JP4423726B2 - 新規芳香族ジイソシアネート化合物およびその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な芳香族ジイソシアネート化合物及びその製造方法に関する。
本発明の芳香族ジイソシアネート化合物は、新規な構造のジイソシアネートであり、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリイミド樹脂等の原料として、発泡体、弾性体、合成皮革、塗料、接着剤、光学レンズ、フィルム等多方面に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、芳香族ジイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(以下TDIと略す)、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと略す)が工業的に大量生産され、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリイミド樹脂等の原料として多方面に使用されている。他にナフタレンジイソシアネート等も工業的に使用されている。特に工業的に大量生産されて主に利用されているTDIは、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートのそれぞれ4対1の混合物である。
【0003】
また、脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HMDIと略す)、キシリレンジイソシアネートがそれぞれ無黄変、難黄変型として工業的に使用されている。また、脂環族イソシアネートには、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートがあり、いずれも無黄変型として工業的に使用されている。
【0004】
これら公知のジイソシアネートのうち芳香族ジイソシアネートは、芳香環にイソシアネート基が直接結合しているため反応性に富み、かつ芳香環を有することから耐熱性、機械的強度およびその他諸物性に優れており、この特徴を活かして非常に多くの用途がある。
【0005】
例えば、ポリウレタンエラストマーとして、前記TDI末端プレポリマーを4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタンで硬化させる硬化性樹脂組成物が知られている。その得られたポリウレタンエラストマーは、耐熱性、機械的強度、化学的特性に優れており、各種工業用ロール、ベルト、事務機器部品等に幅広く利用されている。
【0006】
また、特開平8−300469号には前記TDIを用いたカルボジイミド樹脂フィルムの製法を記載しており、その耐熱性および熱回復性を利用した被覆材、テープ剤等の様々な材料に応用可能なことが報告されている。
【0007】
しかしながら、TDIは蒸気圧が高く、またTDIが特定化学物質に指定されていることなどから、その取り扱い作業上注意を必要とするところがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、反応性に富み、機械強度、耐熱性及びその他の諸物性と共に作業性にも優れ、また前記ジイソシアネートとは構造の全く異なるポリウレタン樹脂やポリウレア樹脂及びポリカルボジイミド樹脂等の原料として新たな用途も期待される新規な芳香族ジイソシアネート化合物を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1.一般式(1)
【0010】
【化5】
【0011】
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ低級アルキル基を、XおよびYは、一方がイソシアネート基を、他方が水素原子を示す。)
で表される化合物、および
【0012】
2.一般式(4)
【化6】
【0013】
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ低級アルキル基を、X’およびY’は、一方がアミノ基であり、他方が水素原子を示す。)
で表される化合物またはその塩をホスゲンと反応させることを特徴とする前記1.記載の芳香族ジイソシアネート化合物の製造方法、
に関する。
【0014】
上記一般式(4)で表される芳香族ジアミノ化合物において、R1、R2およびR3で示される低級アルキル基としては、分枝状または直鎖状の炭素数1〜10のアルキル基があり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基)が挙げられる。
【0015】
X’またはY’で示されるアミノ基は、2,4−または2,6−置換ジアミノである化合物(4)を構成する。本発明の化合物(4)においては、これら2,4−もしくは2,6−置換ジアミンの何れでもよく、またこれらの混合物(例えば、2,4−置換ジアミン:2,6−置換ジアミン=10〜1:1の混合物)でもよい。
【0016】
このような芳香族アミノ化合物としては、例えば、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジエチルチオ−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジエチルチオ−2,6−ジアミノトルエン、3−メチルチオ−5−エチルチオ−2,4−ジアミノトルエン、3−メチルチオ−5−エチルチオ−2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジアミノ−1−エチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジアミノ−1−エチルベンゼン、3,5−ジエチルチオ−2,4−ジアミノ−1−エチルベンゼン、3,5−ジエチルチオ−2,6−ジアミノ−1−エチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジアミノ−1−n−プロピルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジアミノ−1−n−プロピルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジアミノ−1−イソプロピルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジアミノ−1−イソプロピルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジアミノ−1−n−ブチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジアミノ−1−n−ブチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジアミノ−1−sec−ブチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジアミノ−1−sec−ブチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジアミノ−1−tert−ブチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジアミノ−1−tert−ブチルベンゼン及びそれらの混合物等が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。より好ましい芳香族ジアミノ化合物の例としては、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジアミノトルエンと3,5−ジメチルチオ−2,6−ジアミノトルエンの混合物(商品名エタキュアー300:アルベマール社製)がある。
【0017】
このような芳香族ジアミノ化合物は、米国特許第4,594,453号、第4,670,598号及び第4,751,330号の方法を用い、2,6−または2,4−ジアミノ−1−アルキルベンゼン環上にヒドロカルビチオ基を置換する既知の方法により製造できる。
【0018】
本発明の一般式(1)で表される芳香族ジイソシアネート化合物は、後述する方法により反応させることで、工業的にも有利な方法で合成できることを見いだし本発明を完成した。
【0019】
本発明の芳香族ジイソシアネート化合物は、一般式(4)で表される芳香族ジアミノ化合物を▲1▼直接ホスゲンと反応させる方法、または▲2▼一般式(4)で表される芳香族ジアミノ化合物の塩酸塩等の塩を予め合成し、これを不活性溶媒中に懸濁させてホスゲンと反応させる方法によって製造される。
【0020】
▲1▼の方法は、「冷熱二段ホスゲン化法」と呼ばれ、「冷ホスゲン化反応」の主反応はカルバミルクロリド及びアミン塩酸塩の生成であり、「熱ホスゲン化反応」の主反応はカルバミルクロリドからイソシアネートへの熱分解とアミン塩酸塩のイソシアネートへのホスゲン化からなる。
【0021】
反応の実施形態は特に制限はないが、一般には反応系内が十分に攪拌可能であり、且つホスゲン導入管を備えた反応器を用いる。反応器に不活性溶媒を装入し、反応系内の圧力を常圧〜1.0MPa好ましくは常圧〜0.5MPaとし温度を0〜80℃好ましくは0〜60℃に冷却し、ホスゲンを上記芳香族ジアミノ化合物の化学量論の1〜10倍、好ましくは1〜6倍導入し、不活性溶媒に溶解した上記芳香族ジアミノ化合物溶液を添加する。この間反応液を0〜80℃に好ましくは0〜60℃の範囲に保ち発生する塩化水素を還流冷却器を通じて反応系外に逃がす。反応器の内容物はスラリー状となる。
【0022】
つぎに反応系内を加圧し、30分〜5時間で80〜180℃の温度範囲に昇温する。なお昇温時には溶解ホスゲンが気化して還流冷却器を通じて反応系外に逃げるため、還流冷却器からの還流量が確認できるまでホスゲンを適宜導入する。昇温後、30分から8時間反応をつづけて、スラリー液が完全に溶解すれば反応を終了とする。熱ホスゲン化反応終了後、反応系内を80℃から180℃の範囲で、窒素ガス等の不活性ガスを導入し、溶解している過剰のホスゲン及び塩酸ガスをパージする。
【0023】
本発明の方法では、熱ホスゲン化反応の反応温度を80〜180℃の範囲で実施できるが、好ましくは90〜160℃である。180℃を越える温度でホスゲン化を長時間行うと生成した芳香族ジイソシアネート化合物が熱重合等をするためタール分が増加するなどの好ましくない副反応が起き、収率の低下を来す。また、反応温度が80℃未満では反応速度が遅く、実際的でない。また熱ホスゲン化反応の反応圧力は、常圧〜1.0MPa好ましくは常圧〜0.5MPaの範囲で実施できる。1.0MPaを越える圧力では、耐圧設計のため反応装置の設備化コストが高くなり実際的でない。ついで、冷却後、減圧下不活性溶媒を留去し一般式(1)で表される芳香族ジイソシアネート化合物を得る。
【0024】
▲2▼の方法は、「アミン塩酸塩のホスゲン化法」と呼ばれており、予め上記一般式(4)の芳香族ジアミノ化合物の塩酸塩を合成する。塩酸塩の合成方法は周知の方法であり、芳香族ジアミノ化合物を塩化水素または濃塩酸と処理する事により容易に合成できる。
【0025】
十分に乾燥し微粉砕された上記芳香族ジアミノ化合物塩酸塩を前述の「冷熱二段ホスゲン化法」で用いた同様な設備を備えた反応器内で、アミン塩酸塩を不活性溶媒中で強い攪拌によって分散させスラリーとする。ついで反応温度を80〜180℃、好ましくは90〜160℃、反応圧力を常圧〜1.0MPa好ましくは常圧〜0.5MPaに維持し、ホスゲンを1〜10時間かけて、トータルホスゲン量が化学量論の1〜10倍になるように導入し芳香族ジイソシアネート化合物を製造する。
【0026】
反応の進行は発生する塩化水素ガスの量と、不活性溶媒に不溶のスラリーが消失し反応液が澄明均一になることより推測でき、反応を完了させる。発生する塩化水素は、還流冷却器を通じて反応系外に逃がす。反応の終了時に上記の方法で溶解している過剰のホスゲン及び塩酸ガスをパージする。その後冷却後、減圧下不活性溶媒を留去し一般式(1)で表される芳香族ジイソシアネート化合物を得る。
【0027】
本発明で使用される不活性溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等の脂肪酸エステル類、サリチル酸メチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、安息香酸メチルのような芳香族カルボン酸エステル類、モノジクロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンのような塩素化芳香族炭化水素、またはクロロホルム、四塩化炭素などの塩素化炭化水素が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。
【0028】
溶媒の使用量は原料アミンに対して重量比で4倍から30倍、好ましくは5〜20倍の範囲である。4倍未満ではスラリーの流動性が悪く攪拌が困難となる。また30倍を越えて用いても良いが、反応速度に効果が少なく溶媒の使用量が多くなることにより容積効率、溶媒留去時の熱効率の悪化より工業的に経済面で不利となる。
【0029】
また、本発明の化合物は周知である「カーバメート熱分解法」、つまりジアミンと炭酸ジアルキルあるいは炭酸ジアリールからカーバメート化合物を合成し、そのカーバメート化合物を熱分解して上記芳香族ジイソシアネート化合物を得る方法で製造を行うことができる。
【0030】
以上のようにして製造できる、上記一般式(1)で表される芳香族ジイソシアネート化合物に関し、R1およびR2で示される低級アルキル基としては、分枝状または直鎖状の炭素数1〜10のアルキル基があり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基)が挙げられる。
【0031】
XまたはYで示されるイソシアネート基は、2,4−または2,6−置換ジイソシアネートである化合物(1)を構成する。本発明の化合物(1)においては、これら2,4−もしくは2,6−置換ジイソシアネートの何れでもよく、またこれらの混合物(例えば、2,4−置換ジイソシアネート:2,6−置換ジイソシアネート=10〜1:1の混合物)でもよい。
【0032】
本発明の式(1)で表される芳香族ジイソシアネート化合物は、室温では結晶として得られ、常温付近でも蒸気圧が非常に低いので、かぶれなどの毒性が少なく取り扱い易く作業性に優れている。
【0033】
このような芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジイソシアナトトルエン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジイソシアナトトルエン、3,5−ジエチルチオ−2,4−ジイソシアナトトルエン、3,5−ジエチルチオ−2,6−ジイソシアナトトルエン、3−メチルチオ−5−エチルチオ−2,4−ジイソシアナトトルエン、3−メチルチオ−5−エチルチオ−2,6−ジイソシアナトトルエン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジイソシアナト−1−エチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジイソシアナト−1−エチルベンゼン、3,5−ジエチルチオ−2,4−ジイソシアナト−1−エチルベンゼン、3,5−ジエチルチオ−2,6−ジイソシアナト−1−エチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジイソシアナト−1−n−プロピルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジイソシアナト−1−n−プロピルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジイソシアナト−1−イソプロピルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジイソシアナト−1−イソプロピルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジイソシアナト−1−n−ブチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジイソシアナト−1−n−ブチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジイソシアナト−1−sec−ブチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジイソシアナト−1−sec−ブチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジイソシアナト−1−tert−ブチルベンゼン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジイソシアナト−1−tert−ブチルベンゼン及びそれらの混合物等が挙げられるが、、これらのみに限定されるものではない。より好ましい芳香族ジイソシアネート化合物の例としては、3,5−ジメチルチオ−2,4−ジイソシアナトトルエン、3,5−ジメチルチオ−2,6−ジイソシアナトトルエン、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0034】
また、本発明の式(1)で表される芳香族ジイソシアネート化合物は、前記の製造方法において、出発材料としてのジアミノ化合物を混合物形態で用いた場合、たとえば2,4−ジアミノ化合物と2,6−ジアミノ化合物の混合物を使用した場合には、対応する2,4−または2,6−置換ジイソシアネートの混合物として得られるが、この混合物は必要であれば、蒸留法及びカラム法を用いて、2,4−置換ジイソシアネート及び2,6−置換ジイソシアネートのそれぞれに分離することが可能である。しかしながら、混合物の形態、たとえば2,4−及び2,6−置換ジイソシアネートの混合物の形態であっても、有用な性能が出る場合は、経済性などから特に分離を必要としない。
【0035】
本発明の上記式(1)の芳香族ジイソシアネート化合物は、ポリマーの製造に有用である。これを用いて製造したポリマーは、例えばポリウレタンエラストマー組成物は、室温で良好なゴム弾性を示し、機械的強度、耐熱性、化学的特性に優れており、各種工業用ロール、ベルト、事務機器部品等に幅広く利用可能である。
【0036】
また、(1)の芳香族ジイソシアネート化合物をリン系触媒の存在下で縮合させて得たポリカルボジイミド樹脂は、溶液成形性、耐熱性に優れ、高性能の成形品を与える。
【0037】
以上のように、本発明の新規芳香族ジイソシアネート化合物は、トリレンジイソシアネートのような毒性が無く、優れた樹脂組成物を与えるばかりでなく、新規の硬化剤としてその特性を活かした種々の新しい用途が期待できる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これによって制限されるものではない。
【0039】
実施例1
芳香族ジアミノ化合物としてエタキュアー300(アルベマール社製)を原料として冷熱2段ホスゲン化法で行った。攪拌機、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備え付けた2L反応フラスコにオルトジクロルベンゼン450gにホスゲン166g(1.68mol)を溶解した溶液を加え、攪拌下反応フラスコを氷冷浴につけ、内温を約2℃に保った。次いで、上記ジアミノ化合物90g(0.42mol)をオルトジクロルベンゼン450gに溶解した溶液を滴下ロートにて60分で滴下し2〜10℃で冷ホスゲン化を行った。滴下終了後、フラスコ内は淡褐白色スラリー状液となった。
【0040】
次いで反応フラスコ内液を60分で120℃に昇温し、さらに反応温度120℃で60分熱ホスゲン化を行った。熱ホスゲン化の過程でフラスコ内液は淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜105℃で窒素ガスを250ml/分で通気し脱ガスを行った。
【0041】
減圧下で溶媒のオルトジクロルベンゼンの留去を行い、さらに減圧蒸留により、沸点176〜180/0.5KPaの留分89g(収率80.2%)を得た。(淡黄色固体、融点86.5〜87.0℃、NCO含量31.5%)。このようにして得られたジイソシアネート化合物の物性は次の通りであった。
【0042】
1H−NMRスペクトル(CDCl3、TMS:ppm)
7.16ppm(s,1H;2,6−ジイソシアネート 4−H)
7.00ppm(s,1H;2,4−ジイソシアネート 2−H)
2.47,2.45,2.40ppm
(s,6H;2,6−ジイソシアネート 3and
5−S−CH3
s,3H;2,4−ジイソシアネート 3−S−CH3
s,3H;2,4−ジイソシアネート 5−S−CH3)
2.33,2.31ppm
(s,3H;2,6−ジイソシアネート −CH3
s,3H;2,4−ジイソシアネート −CH3)
【0043】
IRスペクトル
イソシアネート基に基づく2231cm-1の強い吸収を示した。
EI−MSスペクトル
(M+)=266
注:ジメチルチオトリレンジイソシアネートの分子量
C11H10N2O2S2=266.3と一致した。
【0044】
以上の物性とNMRスペクトルの芳香環に結合した水素原子の強度比から、この留分は3,5−ジメチルチオ−2,4−ジイソシアナトトルエンと3,5−ジメチルチオ−2,6−ジイソシアナトトルエンの82:18の混合物であることを確認した。
【0045】
実施例2
エタキュアー300を原料として冷熱2段ホスゲン化法を加圧下で行った。電磁誘導攪拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器、原料フィードポンプを、備え付けたジャケット付き5L加圧反応器にオルトジクロルベンゼン1500gを仕込む。次いでホスゲン830g(8.4mol)をホスゲン導入ラインより加え攪拌を開始する。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約5℃に保った。そこへ上記ジアミン300g(1.4mol)をオルトジクロルベンゼン1200gに溶解した溶液をフィードポンプにて60分かけてフィードし5〜10℃、常圧下で冷ホスゲン化を行った。フィード終了後、フラスコ内は淡褐白色スラリー状液となった。
【0046】
次いで反応器内液を60分で120℃まで昇温しながら0.2MPaに加圧し、さらに圧力0.2Mpa、反応温度120℃で60分熱ホスゲン化を行った。また、熱ホスゲン化の途中でホスゲンを280g追加した。熱ホスゲン化の過程でフラスコ内液は淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜105℃で窒素ガスを1000ml/分で通気し脱ガスを行った。
【0047】
減圧下で溶媒のオルトジクロルベンゼンの留去を行い、さらに減圧蒸留により、沸点176〜180/0.5KPaの留分332g(収率89.1%)を得た。(淡黄色固体、NCO含量31.5%)。このようにして得られたジイソシアネート化合物の物性は実施例1と同じであった。
【0048】
応用例1
ポリウレタンエラストマーの製造
[プレポリマーの製造]
平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化成社製、PTMEG1000)100部に、実施例2で得たジイソシアネート化合物47部を加え、窒素気流下、80℃で2時間攪拌しながら反応を行い、イソシアネート基含量4.4%、粘度1850cps(80℃)のプレポリマー(A)を得た。
【0049】
[ポリウレタンエラストマーの製造]
上記の方法で得られたプレポリマー(A)100部を80℃に予備加熱し、予め120℃に予備加熱した硬化剤4,4’−メチレンビス−2−クロロアニリン(MOCA)12.6部を混合し、一分間攪拌した。これを1分間減圧脱泡した後110℃に予備加熱しておいたステンレス製の金型に注ぎ、同温度にて4時間硬化を行ってポリウレタンエラストマーを得た。得られたポリウレタンエラストマーは、室温で良好なゴム弾性を示した。
【0050】
参考例1
末端にイソシアネート基を含有する市販のプレポリマー(タケネートL−2710、イソシアネート基含量4.2%、武田薬品工業(株)製)100部と、硬化剤としてMOCA12部を用い、応用例1と同様の方法でポリウレタンエラストマーを得た。応用例1及び参考例1において得られたポリウレタンエラストマーの各種物性を測定した結果を(表1)に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
応用例2
カルボジイミド樹脂の製造
実施例2にて得られたジイソシアネート化合物18g、テトラヒドロフラン(和光純薬(株)試薬特級)90ml及びカルボジイミド化触媒0.216gを200mlナスフラスコに仕込み60℃にて20時間攪拌した。その結果Mn=5100のポリカルボジイミド樹脂を得た。この樹脂をガラス板上にキャスティングし、90℃で30分間乾燥して可撓性のあるフィルムを得た。
【0053】
【発明の効果】
本発明の化合物(1)は、新規なジイソシアネート化合物であり、一般に使用されているTDI(トルエンジイソシアネート)に比べて蒸気圧は格段に低く、作業環境への悪影響を顕著に改善することができる。加えて、本発明のジイソシアネート化合物は、ポリウレタンの製造に非常に有用である。
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