JP4423680B2 - Cdr−グラフト化抗組織因子抗体及びその使用 - Google Patents

Cdr−グラフト化抗組織因子抗体及びその使用 Download PDF

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Description

発明の分野
組織因子(TF)を阻害しうるモノクローナル抗体は、抗凝固剤として有用である。従来の齧歯類のモノクローナル抗体は、しかしながら、免疫原性及び短い血清半減期故に、ヒトにおける治療及び診断への適用に制限があった。本発明は、齧歯類抗体の高い結合親和性を維持するが、免疫原性が低減された、TFに対するCDR−グラフト化モノクローナル抗体を提供する。このヒト化された抗体は強力な抗凝固剤であり、それ故ヒトの血栓性疾患の治療及び予防において有用である。本発明は、また、CDR−グラフト化抗体の作成方法及び凝固の低減又は阻害のための医薬組成物を提供する。
発明の背景
血液の凝固は、フィブリンの形成を誘導する一連のカスケードを含む。凝固カスケードは、二つの重複する経路からなり、それら両者は止血のために必要とされる。固有の経路は循環血中に存在する蛋白因子を含み、一方非固有的経路は組織因子を要求し、そしてそれは血管の損傷に応答して様々な組織の細胞表面で発現される。Davie et al.(1991)Biochemistry,30:10363。凝固カスケードに干渉する、ヘパリン及びクマリン誘導体等の試薬は、静脈の血栓の予防への治療的使用はよく知られている。Goodman及びGilman,eds.,(1980)The Pharmacological Basis of Therapeutics,MacMillan Publishing Co.,Inc.,New York。
組織因子(TF)は抗凝固療法における標的として研究されてきた。TFは、第VII因子及び第VIIa因子のレセプターとして機能し、それによって血管の損傷に応答して凝固カスケードの非固有的経路を開始する膜の糖蛋白質である。血液凝固の開始によって恒常性の維持におけるその役割に加えて、TFは病原性の状態に関係してきた。特に、TFの合成及び細胞表面発現は血管の疾病(Wilcox et al.,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.86:2839)及びグラム陰性敗血症ショック(Warr er al.,1990,Blood 75:1481)に関係してきた。
Ruf et al.(1991,Thrombosis and Haemostasis 66:529)は、ヒトTFに対するネズミのモノクローナル抗体の抗凝固力を特徴付けた。評価された殆どのモノクローナル抗体によるTF機能の阻害は、TFが血漿と接触すると急速に形成されるTF/VIIa複合体の解離に依存していた。このような抗体は、従って血漿中のTFの比較的遅い阻害剤であった。モノクローナル抗体TF8-5G9は、TF/VIIa複合体の解離がなくてもこの複合体を阻害しえるので、即時の血漿中での抗凝固効果を提供した。Ruf et al.は、TF/VIIa複合体を不活性化する機構が、その形成を阻害するよりもむしろ、生体内での凝固の妨害のための戦略を提供するかもしれないと提案している。
TFに対するモノクローナル抗体の治療的使用は、現在入手可能なモノクローナル抗体が齧歯類起源であることで制限される。ヒトの治療における齧歯類抗体の使用は、多くの問題を提起し、その最も顕著なものは、免疫原性である。齧歯類モノクローナル抗体の繰り返しの投薬は、いわゆるヒト抗マウス抗体(HAMA)の抗免疫グロブリン応答を引き出し、そしてそれは免疫複合体疾患及び/又は治療抗体の中和をもたらすことが見出された。例えば、Jaffers et al.(1986)Transplantation 41:527参照。ヒトモノクローナル抗体の使用が前記制限を処理しうるが、一方、従来のハイブリドーマ技法によってヒトモノクローナル抗体を大量に生産することが難しいことが証明された。
組み換え技術は、齧歯類のモノクローナル抗体の高い結合親和性を維持するが、低減されたヒトにおける免疫原性を示す「ヒト化」された抗体を構成する努力において用いられてきた。融合抗体は、特異性及び齧歯類抗体の親和性を維持するが、非ヒトでありそれ故免疫原である蛋白質の量を減少させる取り組みにおいて、マウス抗体の可変部(V)をヒト抗体の定常部(C)と結合させて製造されてきた。融合抗体に対する免疫応答は一般に対応する齧歯類抗体に比べて低下するが、マウスV領域が免疫応答を引き出すことができるので、免疫応答は完全には消失しない。Lobuglio et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.86:4220;Jaffers et al.(1986)Transplantation 41:572。
齧歯類抗体の免疫原性を低減させるための最近の試みでは、Vドメイン全体よりもむしろ齧歯類の相補性決定領域(CDRs)のみがヒト抗体に移植されている。このようなヒト化された抗体はCDR−グラフト化抗体として知られている。CDRは、枠組み構造(FR)領域と隣り合っているV領域における超可変領域である。それぞれのVドメインは4つのFRと隣り合っている3つのCDRsを含む。CDRsは、折りたたまれて抗体の抗原結合部位を形成し、一方FRsはVドメインの構造的配置を維持する。このように齧歯類CDRsのヒト抗体への移植によって、抗原結合ドメインもまた、理論的に移される。Owens et al.(1994)J.Immunol.Methods 168:149及びWinter et al.(1993)Immunology Today 14:243はCDR−グラフト化抗体の発展を総説している。
Orlandi et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:3833は比較的簡単なハプテンであるニトロフェナセチル(NP)に対するヒト化された抗体を構築した。CDR−グラフト化抗体はマウスCDRs及びヒトFRsを含み、元のマウス抗体に近似したNP結合活性を示した。しかしながら、より複雑な抗原を認識するCDR−グラフト化抗体の構築は、元々の齧歯類抗体よりも顕著に低い結合活性を有する抗体しか得られなかった。多くの場合、齧歯類CDRsのヒト抗体背景(background)への単なる導入は、十分な結合活性を維持するには不充分であり、恐らくヒトFRによるCDRの配置のゆがみによるものであろうことを具体的に示してきた。
例えば、Gorman et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.88:4181は、ヒトCD4に対する2種のヒト化された抗体を比較し、ヒト化された抗体の特定のヒト枠組み構造領域に依存する顕著に異なる結合性(avidies)を観察した。Co et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2869は、ヒト化された抗体のデザインにおいて考慮すべき臨界アミノ酸の特定のために、興味あるネズミ抗体の精製されたコンピューターモデルを必要とした。Kettleborough et al.(1991)Protein Engineering 4:773は、抗原が結合したCDR−グラフト化抗体の特定のFR残基の影響を報告し、そしてその残基が直接に抗原と相互作用するか、又はCDRループの配置を変えると提案した。同様に、Singer et al.(1993)J.Immunol.150:1844は、抗CD18ネズミモノクローナル抗体の最適なヒト化は、適当な抗原結合配置においてCDRを支持する選択されたFRの有用性に依存していることを報告している。従って、抗原結合部位の再生はFRとCDRとの間の強力な鎖内相互作用の考慮、及びCDRsによって形成されるループとの接触を維持するFRのアミノ酸残基の巧みな操作を必要とする。一般的な理論的ガイドラインはヒト化抗体の設計を提案している(例えば、Owens et al.参照)一方、全ての場合において、操作が注文仕立てであり、興味ある特定の齧歯類抗体に最適化される。
多様な治療適用のための、低減された免疫原性及び親の齧歯類抗体と同等の結合親和性を有するヒト化された抗体のための技術が必要である。特に、抗凝固活性を有し、血栓性疾患の治療及び予防に有用な、ヒト組織因子に対するヒト化された抗体が必要である。
発明の要約
本発明は、CDRsが組織因子に対する非ヒトモノクローナル抗体から誘導され、FR及び定常部(C)が1種又はそれ以上のヒト抗体から誘導される、ヒト組織因子を阻害しうるCDR−グラフト化抗体に関する。好ましい態様においては、ネズミモノクローナル抗体がTF8-5G9である。
もう一つの態様では、本発明は、CDR−グラフト化抗体の重鎖及び軽鎖をコードする核酸を含む1又はそれ以上の発現ベクターを構築し、発現ベクター又はベクター類を適当な宿主細胞にトランスフェクトさせ、トランスフェクトされた宿主を培養し、CDR−グラフト化抗体を回収することを含む、ヒト組織因子を阻害しうるCDR−グラフト化抗体の製造方法を提供する。
本発明は、また、凝固の低減が必要な患者に、ヒト組織因子を阻害しうるCDR−グラフト化抗体を投与することを含む凝固の低減方法を提供する。
本発明は、さらに、血栓性疾患の治療又は予防が必要な患者に、ヒト組織因子を阻害しうるCDR−グラフト化抗体を投与することを含む、血栓性疾患の治療又は予防方法を提供する。好ましい態様においては、血栓性疾患は、血管内凝固、動脈の再狭窄又は動脈硬化である。
本発明のもう一つの態様は、ヒト組織因子を阻害しうるCDR−グラフト化抗体を含み、さらに薬学的に許容しうる担体を含む、医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
図1は、ネズミモノクローナル抗体TF8-5G9の重鎖のヌクレオチド及び推定されるアミノ酸配列を示す。
図2は、ネズミモノクローナル抗体TF8-5G9の軽鎖のヌクレオチド及び推定されるアミノ酸配列を示す。
図3は、CDR−グラフト化抗体TF8HCDR1 x TF8LCDR1のヒト組織因子への結合能及び組織因子への結合のためのネズミモノクローナル抗体TF85G9との競合能を描いたグラフを示す。黒塗りの記号はTF8HCDR1 x TF8LCDR1及び陽性対照である融合TF85G9の組織因子に対する直接結合を示す。白抜きの記号はTF8HCDR1 x TF8LCDR1又は融合TF85G9とネズミモノクローナル抗体TF85G9との競合結合を示す。
図4は、発現ベクターpEe6TF8HCDR20のDNA配列及びCDR−グラフト化重鎖のコード領域のアミノ酸配列TF8HCDR20を示す。
図5は、発現ベクターpEe12TF8LCDR3のDNA配列及びCDR−グラフト化軽鎖のコード領域のアミノ酸配列TF8LCDR3を示す。
図6は、CDR−グラフト化抗体TF8HCDR20 x TF8LCDR3のヒト組織因子への結合能を描いたグラフである。
図7は、CDR−グラフト化抗体TF8HCDR20 x TF8LCDR3の組織因子に結合するためのネズミモノクローナル抗体TF85G9との競合能を描いたグラフである。
図8は、CDR−グラフト化抗体TF8HCDR20 x TF8LCDR3の第 因子活性化阻害能を描いたグラフである。
図9は、CDR−グラフト化重鎖TF8HCDR20を骨髄腫発現ベクターpEehCMV-Bg1Iへサブクローニング(subcloning)して得られる発現ベクターpEe6TF8HCDR20を示す。次の略号を使用する:VHはCDR−グラフト化重鎖の可変部;Cγ4はヒトIgG4の定常部;pAはポリアデニル化シグナル;ampRはβ−ラクタマーゼ遺伝子;及びhCMVはヒトサイトメガロウィルスである。
図10は、CDR−グラフト化軽鎖TF8LCDR3を骨髄腫発現ベクターpEe12にサブクローニングして得られる発現ベクターpEe12TF8LCDR3を示す。次の略号を使用する:VLはCDR−グラフト化軽鎖の可変部;CKはヒトカッパー定常部;SVEはSV40の初期プロモーター;GSはグルタミン合成酵素のcDNAである。他の略号は図9の記載と同じである。
発明の詳細な説明
本発明は、CDRsが組織因子に対する非ヒトモノクローナル抗体から誘導され、FR及びC領域が1種以上のヒト抗体から誘導される、ヒト組織因子を阻害しうるCDR−グラフト化抗体を提供する。本発明は、さらにCDR−グラフト化抗体の調製及び使用の方法を提供する。
本発明によれば、CDR−グラフト化抗体は、CDRsがヒト組織因子に結合しそして阻害しうる非ヒト抗体から誘導され、FR及びC領域が1種又はそれ以上のヒト抗体から誘導されるものである。CDR−グラフト化抗体が組織因子に結合及び阻害する能力を維持する限り、置換、加入及び欠失などのいかなる及び全ての改変を意図するが、非ヒト抗体から誘導されるCDRsは、好ましくは非ヒト抗体のCDRsと約90〜100%の同一性を有する。ヒト抗体から誘導されるCDR−グラフト化抗体の領域は、ヒト抗体との100%の同一性を有する必要はない。好ましい態様においては、可能な程度にヒトアミノ酸残基の多くが免疫原性が無視しうるより順序正しく保持されているが、ヒト残基、特にFR領域の残基は、要求されるように、そして本発明に従って以下に教示するように置換されている。ここに開示されているような改変はCDRsによって形成される抗原結合部位を維持するのに必要であるが、同時に抗体のヒト化を最大化するものである。
誘導され得るヒト組織因子に対する非ヒトモノクローナル抗体は、公知であるか(Ruf et al.,1991;Morrisey et al.,1988,Thrombosis Research 52:247)、又はモノクローナル抗体製造の周知の方法(例えば、Harlow et al.,eds.,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,New York参照)によって製造できる。モノクローナル抗体が誘発される精製されたヒト組織因子は、同様に周知(Morrisey et al.,1987,Cel1 50:129)であり、当業者に入手可能である。ネズミモノクローナル抗体、特にRuf et al.及びMorrisey et al.,1988,Thrombosis Research 52:247、並びに米国特許第5,223,427号に開示されているネズミモノクローナル抗体TF8-5G9が特に好ましい。
当業者は、公開されている科学文献又は配列データバンクを参照して、又は従来方法によって抗体の重鎖及び軽鎖をクローニングし、配列決定することによりCDRsの配列を決定できる。本発明によれば、ネズミモノクローナル抗体TF8-5G9の重鎖(それぞれ配列番号(SEQ ID NO):1及び2)及び軽鎖(それぞれ配列番号(SEQ ID NO):3及び4)のcDNA及びアミノ酸配列が提供される。ネズミTF8-5G9重鎖のcDNA及び相当するアミノ酸配列は図1に提供される。ネズミTF8-5G9軽鎖のcDNA及び相当するアミノ酸配列は図2に提供される。
重鎖及び軽鎖の可変部のそれぞれは、結合して抗原結合部位を形成する3つのCDRsを含む。3つのCDRsは、CDRsを支持するように主として機能する4つのFR領域で囲まれている。重鎖及び軽鎖の可変部の配列の中のCDRsの配列は、Kabat et al.(1987)免疫学的に興味ある蛋白質の配列(Sequence of Proteins of Immunological interest)、第4版、United States Department of Health and Human Services,US Government Printing Office,ワシントンD.C.中のコンピューター−補助つき整列(alignment)によって、又は可変部の分子モデル化、例えばLevitt(1983)J.Mol.Biol.168:595によって記載されたENCADプログラムによって同定できる。
好ましい態様においては、CDRsはネズミモノクローナル抗体TF8-5G9から誘導される。好ましい重鎖CDRsは、次の配列を有する:
Figure 0004423680
好ましい軽鎖CDRSは次の配列を有する:
Figure 0004423680
ネズミ又は他の非ヒト抗体のCDRsの配列、特にTF8-5G9のCDRsの配列は、CDR−グラフト化抗体がヒト組織因子に結合及び阻害する能力を維持する限りにおいて、加入、置換及び欠失によって改変されていてもよい。当業者は、後記する機能分析を実行することによってこの活性の維持を確認できる。CDRsは、例えば配列番号(SEQ ID NO):5−10のCDRsと約50〜約100%の同一性を有することができる。好ましい態様においては、CDRsは、配列番号(SEQ ID NO):5−10のCDRsと約80〜約100%の同一性を有する。より好ましい態様においては、CDRsは、配列番号(SEQ ID NO):5−10のCDRsと約90〜約100%の同一性を有する。最も好ましい態様においては、CDRsは、配列番号(SEQ ID NO):5−10のCDRsと約100%の同一性を有する。
本発明のCDR−グラフト化抗体のFR及びC領域は、1種又はそれ以上のヒト抗体から誘導される。CDRsが誘導される抗体と同じクラス及び型のヒト抗体が好ましい。重鎖の可変部のFRは、好ましくはヒト抗体KOL(Schmidt et al.,1983,Hoppe-Seyler’s Z.Physiol.Chem.364:713)から誘導される。軽鎖の可変部のFRは、好ましくはヒト抗体REI(Epp et al.,1974,Eur.J.Biochem.45:513)から誘導される。本発明によれば、ヒトFRのある残基が、CDRsが誘導される非ヒト抗体の対応する残基によって置換されているのが好ましいことが見出された。例えば、TF8-5G9のあるFR残基が抗原への最適の結合の達成を保持する。
便宜のため、Kabat et al.の番号付けスキームを本明細書では採用した。残基は標準Kabat番号付与された配列にこの配列を一致させる必要から、より低いケース番号又はハイフン(−)によって指定されている。
本発明によれば、FR領域中に保持される残基、すなわちヒトFR残基で置換されない残基は、次のガイドラインに従って決定される。Kabat et al.のヒト共通配列に関して、親抗体、例えばTF8-5G9に特異的な残基は、保持される。対応するヒト抗体の残基、例えばKOL又はREIが特異的であるならば、共通配列と合致する親抗体の残基は維持される。抗体の一部である残基は、Chothia et al.(1989)Nature,342:877によって定義された輪唱的な(canonical)構造で輪になり、重鎖及び軽鎖の残基71のように保持される。重鎖の残基28−30のようなループを形成すると予測されるFR残基は保持される。重鎖のCDR2に先行する残基48及び49のような、CDRsの配置に影響を与えると予測される残基は保持される。他の抗体のヒト化において臨界的であると具体的に示されてきた残基もまた、保持される。前述のガイドラインは、CDRsによって形成される抗原結合部位を支持するのに必要な程度に従っている一方、同時に抗体のヒト化を最大化させる。
ネズミのモノクローナル抗体TF8-5G9及びヒト抗体KOLから誘導される代表的なCDR−グラフト化重鎖の可変部のアミノ酸配列を以下に示す。CDR−グラフト化重鎖はTF8HCDR1で示され;ネズミ残基はFR中の残基6,17,23,24,28,29,30,48,49,68,71,73,78,88及び91に保持された。CDRsには下線を付した。
Figure 0004423680
ネズミモノクローナル抗体TF8-5G9及びヒト抗体REIから誘導される代表的なCDR−グラフト化軽鎖の可変部のアミノ酸配列を以下に示す。CDR−グラフト化軽鎖はTF8LCDR1で示され;ネズミ残基はFR中の残基39,41,46及び105に保持された。CDRsには下線を付した。
Figure 0004423680
可変部TF8HCDR1及びTF8LCDR1を含むCDR−グラフト化抗体が、ヒト組織因子への結合においてネズミモノクローナル抗体TF8-5G9と同じに効果があることが、本発明によって具体的に示された。さらに本発明によれば、ネズミモノクローナル抗体の分子構造の検査により、そしてCDR−グラフト化抗体の設計、構築及び分析によって、FR領域が抗原結合活性の低下を伴わずにさらにヒト化できることが見出された。特に、FR領域は、抗原結合活性の維持と共に、ヒトFR残基の重鎖の残基6,17,68,73及び78、及び軽鎖の残基39,41,16及び105に保持される。
最も好ましい態様においては、重鎖の可変部が、ネズミモノクローナル抗体TF8-5G9残基が、アミノ酸23,24,28,29,30,48,49,71,88及び91で保持されるヒト抗体KOLから誘導されるFRを含む。好ましい重鎖の可変部はTF8HCDR20で示され、次の配列を有する。
Figure 0004423680
最も好ましい態様においては、軽鎖の可変部は、ネズミモノクローナル抗体TF8-5G9残基がアミノ酸39及び105で保持されている、ヒト抗体REIから誘導されるFRを含んでいる。好ましい軽鎖の可変部はTF8LCD3で示され、以下の配列を有する。
Figure 0004423680
アミノ酸の置換、欠失及び加入のような前記配列に小さな改変を為すことは、当業者の知識の範囲内である。いかなるそのような改変もヒト組織因子への結合及び阻害の能力を結果として得られたCDR−グラフト化抗体が維持する限り、本発明の範囲内である。当業者は、後記する機能分析を参照してCDR−グラフト化抗体の活性を評価することができる。
本発明のCDR−グラフト化抗体のヒト定常部は、エフェクター機能を最小化するように選択される。本発明のCDR−グラフト化抗体の意図された使用は、組織因子の阻害による凝固カスケードをブロックすることであり、それ故補体の固定のような抗体のエフェクター機能は望ましくない。最小化されたエフェクター機能を有する抗体には、IgG2、IgG4、IgA、IgD及びIgEが含まれる。本発明の好ましい態様においては、重鎖の定常部はヒトIgG4の定常部であり、軽鎖の定常部はヒトIgG4カッパ定常部である。
エフェクター機能は、治療的使用にとって望ましくないかも知れない点で、本発明はさらに、CDR−グラフト化抗体の活性断片、及び特にFab断片及びF(ab’)2断片をも意図する。活性断片は、ヒト組織因子を阻害しうる断片である。Fab断片及びF(ab’)2断片は、従来の手段、例えばパパイン又はペプシンのような適当な蛋白分解酵素による本発明のCDR−グラフト化抗体の開裂によって、又は組み換え法によって得られる。活性断片はCDR−グラフト化抗体の抗原結合部位を維持し、それ故同様に治療的に有用である。
ヒト組織因子に結合し及び阻害する本発明に従って教示されるように示され、そして構築されたCDR−グラフト化抗体の能力は、機能分析により評価できる。例えば、迅速であり便利な分析においては、CDR−グラフト化重鎖及び軽鎖をコードする核酸を含む発現ベクターは、適当な宿主細胞に同時にトランスフェクト、一時的に発現される。結果として得られる抗体は、標準分析によって、ヒト組織因子への結合能及びCDRsから誘導される非ヒト抗体の組織因子への結合と競合する能力を評価できる。
例えば、COS細胞中のCDR−グラフト化重鎖及び軽鎖をコードする核酸の一時的発現は、抗体遺伝子の発現及び機能を試験する迅速で便利なシステムを提供する。CDR−グラフト化重鎖及び軽鎖のそれぞれをコードする核酸は、哺乳動物細胞発現ベクター、例えばGreen et al.(1988)Nucleic Acids Tes.16:369に記載され、Strategne Cloning Systems,La Jolla,CAから商業的に入手可能なpSG5中にクローニングされる。pSG5発現ベクターは、重鎖及び軽鎖の挿入のための特有の制限部位を与え、生体内発現は、SV40初期プロモーターの制御下にある。複写終結はSV40ポリアデニル化シグナル配列によって信号が伝えられる。
重鎖及び軽鎖をコードする核酸を含むpSG5系(pSG5-based)発現ベクターを、COS細胞に同時トランスフェクト、一時的な発現に適する条件で培養する。細胞培養培地を回収し、抗体発現を例えば酵素結合免疫ソーベントアッセイ(ELISA)によって試験し、適当な濃度の抗体が製造されたことを測定する。ELISAはそして、CDR−グラフト化抗体のヒト組織因子への結合能力を評価するために用いられる。ヒト組織因子を、マイクロタイター プレート上に固定し、CDR−グラフト化抗体を含むCOS細胞上清を加え、約1時間室温でインキュベートする。そして適当な洗剤を含むリン酸緩衝生理食塩水のような緩衝液(PBS)/Tweenでプレートを洗浄し、適当な検出システムの要素を添加する。例えば、ヤギ抗ヒトカッパ−鎖ポリクローナル抗体に接合されたホースラディッシュペルオキシダーゼを加え、洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼの基質を加えて検出する。本発明の範囲内のCDR−グラフト化抗体は、前記の分析によって決定されたCDRsが誘導される非ヒト抗体と同等のヒト組織因子への結合能力を有するものである。
生体内でのヒト組織因子の活性を阻害するCDR−グラフト化抗体の能力は、生体内凝集イベントに擬態する以下のインビトロでの分析によって都合よく評価できる。生体内での血管の損傷に応答して、組織因子は第VII因子に結合し、第VII因子のセリンプロテアーゼ(第VIIa因子)への変換を促進する。第VIIa因子−組織因子複合体は、第X因子をセリンプロテアーゼ(第Xa因子)に変換する。第Xa因子は、(固有の凝固系からの)第Va因子と複合体を形成し、その結果プロトロンビンのトロンビンへの変換が起き、そしてそれは順にフィブリノーゲンのフィブリンへの変換をもたらす。便利な生体内機能分析では、組織因子は第 a因子及び上記の一時的な発現システムで製造されたCDR−グラフト化抗組織因子抗体の存在下にインキュベートされる。第X因子を加え、反応混合物をインキュベートし、第X因子に対する色原体基質(スペクトロジームFXa、American Diagnostica,Inc.,Greenwich,CT)を用いた第Xa因子活性の分析を行う。このようにCDR−グラフト化抗体の第X因子活性化阻害能は、ヒト組織因子の活性を阻害するCDR−グラフト化抗体の能力の測定手段を提供する。
本発明の範囲内のCDR−グラフト化抗体は、前記の分析によって測定されるようにCDRsから誘導される非ヒト抗体と同等にヒト組織因子を阻害しうるものである。ある態様では、CDR−グラフト化抗体は、ヒト組織因子に対するTF8-5G9の阻害活性の少なくとも50%を有する。好ましい態様においては、CDR−グラフト化抗体は、ヒト組織因子に対するTF8-5G9の阻害活性の少なくとも70%を有する。より好ましい態様においては、CDR−グラフト化抗体は、CDR−グラフト化抗体は、ヒト組織因子に対するTF8-5G9の阻害活性の少なくとも80%を有する。最も好ましい態様においては、CDR−グラフト化抗体は、ヒト組織因子に対するTF8-5G9の阻害活性の少なくとも90%を有する。
もう一つの態様においては、本発明はヒト組織因子を阻害しうるCDR−グラフト化抗体の製造方法を提供する。この方法は、CDR−グラフト化抗体の重鎖をコードする核酸を含む発現ベクター及びCDR−グラフト化抗体の軽鎖をコードする核酸を含む発現ベクターを構築し、これらの発現ベクターを適当な宿主細胞に感染させ、感染された宿主細胞を重鎖及び軽鎖の発現に適した条件で培養し、CDR−グラフト化抗体を回収することを含む。別に、重鎖及び軽鎖をコードする核酸を含む一つの発現ベクターを用いてもよい。
例えばSambrook et al.(1989),Molecular Cloning:A laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NYによって開示されたような標準分子生物学的技術を本発明のCDR−グラフト化抗体の重鎖及び軽鎖をコードする核酸を得るために用いてもよい。CDR−グラフト化変異ドメインをコードする核酸は、ヒト化される抗体、例えばネズミモノクローナル抗体TF8-5G9をコードするcDNAを、抗体を製造するハイブリドーマからの従来のクローニング方法によって単離することによって、又は例えばWinter et al.によって記載されているように可変部遺伝子のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅し、部位特異的突然変異誘発によってFR領域中に所望のヒト残基をコードするヌクレオチドを置換することによって構築してもよい。別に、ヒト抗体をコードするcDNAが単離でき、部位特異的突然変異誘発によってCDRs中に所望のネズミ残基をコードするヌクレオチドを置換する。
CDR−グラフト化可変ドメインをコードする核酸もまた、合成オリゴヌクレオチドを組み立てること、例えばDNAポリメラーゼ及びDNAリガーゼによって製造できる。得られる合成可変部は、PCRによって増幅できる。CDR−グラフト化可変ドメインをコードする核酸もまた、当業界で知られており、Owens et al.によって総説されているPCRストランド・オーバーラップ法(PCR strand overlap methods)によって構築できる。
従って、本発明によってCDR−グラフト化可変ドメインの所望のアミノ酸配列が決定されれば、当業者は可変ドメインをコードする核酸を得ることができる。さらに、当業者は遺伝子コードの縮重のために、CDR−グラフト化変異ドメインをコードする種々の核酸配列を構築できる。そのような全ての核酸配列は本発明によって意図されている。
CDR−グラフト化変異ドメインをコードする核酸は、ヒト抗体の重鎖又は軽鎖の定常部をコードする適当な核酸と結合している。ヒト重鎖及び軽鎖の定常部をコードする核酸配列は、当業界で知られている。転写、翻訳及び分泌を促進すること、例えば開始コドン、リーダー配列、Kozak共通配列(Kozak,1987,J.Mol.Biol.196:947)等は、発現ベクター中にクローニングを促進する制限エンドヌクレアーゼと同様に当業者の知識の範囲内である。
それ故本発明はさらに、CDRsが組織因子に対するネズミモノクローナル抗体から誘導され、FR及びC領域が1種又はそれ以上のヒト抗体から誘導されるヒト組織因子を阻害しうるCDR−グラフト化抗体の重鎖及び軽鎖をコードする核酸を提供する。
本発明によれば、CDR−グラフト化重鎖及び軽鎖をコードする代表的な核酸が構築される。CDR−グラフト化重鎖は、ヒト抗体KOLから誘導されるFR領域及びネズミモノクローナル抗体TF8-5G9から誘導されるCDRsを含む可変部を含み、さらにヒトIgG4の重鎖から誘導される定常部を含む。CDR−グラフト化軽鎖は、ヒト抗体REIから誘導されるFR領域及びネズミモノクローナル抗体TF8-5G9から誘導されるCDRsを含む可変部を含み、さらにヒトIgG4カッパ鎖から誘導される定常部を含む。重鎖及び軽鎖をコードする核酸は、合成ヌクレオチドから可変部を組み立て、PCRによって組み立てた可変部を増幅し、増幅した核酸を精製し、可変部をコードする核酸を適当なヒト定常部をコードする核酸を含むベクター中に結合させることによって構築される。
CDR−グラフト化重鎖及び軽鎖をコードする代表的な核酸の配列は、配列番号(SEQ ID NO):15のヌクレオチド1−2360及び配列番号(SEQ ID NO):20のヌクレオチド1−759としてそれぞれ示される。
好ましい重鎖をコードする核酸配列(配列番号(SEQ ID NO):15のヌクレオチド1−2360)は、TF8HCDR20遺伝子を示す。核酸配列は次の領域を含む:5’EcoRI制限部位(ヌクレオチド1−6);Kozak配列(ヌクレオチド7−15);開始コドン及びリーダー配列(ヌクレオチド16−72);CDR−グラフト化可変部(ヌクレオチド73−423);ヒトIgG4 CH1ドメイン(ヌクレオチド424−717);ヒトIgG4イントロン2(ヌクレオチド718−1110);ヒトIgG4 hinge(ヌクレオチド1111−1146);ヒトIgG4イントロン3(ヌクレオチド1147−1267);ヒトIgG4 CH2ドメイン(ヌクレオチド1268−1594);ヒトIgG4イントロン4(ヌクレオチド1595−1691);ヒトIgG4 CH3ドメイン(ヌクレオチド1692−2012);3’非翻訳領域(ヌクレオチド2013−2354);発現ベクターのBclI部位に結合された3’BamHI終末(ヌクレオチド2355−2360)。
好ましい軽鎖遺伝子をコードする核酸配列(配列番号(SEQ ID NO):20のヌクレオチド1−759)は、TF8LCDR3遺伝子を示す。核酸配列は以下の領域を含む:5’EcoRI制限部位(ヌクレオチド1−5);Kozak配列(ヌクレオチド6−8);開始コドン及びリーダー配列(ヌクレオチド9−68);CDR−グラフト化可変部(ヌクレオチド69−392);ヒトkappa定常部(ヌクレオチド393−710);3’非翻訳領域(ヌクレオチド711−753);発現ベクターのBclI部位に結合されたBamHI終末(ヌクレオチド754−759)。
上記の好ましい配列は、遺伝子コードの縮重を考慮し、核酸の機能、即ちヒト組織因子を阻害しうるCDR−グラフト化抗体の重鎖又は軽鎖をコードするという機能が保持される結果となる、付加、欠失及び保守的及び非保守的な置換を為すことによって当業者が改変できる。制限部位及び転写及び翻訳を促進する配列は、発現の選択されるベクター及び宿主系によって必要に応じて変えたり置換したりできる。
本発明のCDR−グラフト化抗体の製造に適する発現ベクター及び宿主は、当業者に知られている。発現ベクターは、特定の宿主細胞中で不定型の核酸配列の再生及び発現を支配しうる、レプリコン及びプロモーターのような調節配列を含む。ベクターはまた、選択遺伝子、エンハンサー、シグナル配列、リボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、転写終結配列等を含む。ベクターは、当業界で周知の従来方法により構築されるか、又は市販品から得ることができる。発現ベクターは、本発明の抗体鎖をコードする核酸が挿入されるのに便利な制限部位を持つのが好ましい。抗体遺伝子発現がヒトサイトメガロウィルスプロモーター−エンハンサーによって誘導される骨髄腫発現ベクターは特に好ましい。
適当なプロモーターの制御下にCDR−グラフト化の重鎖をコードする核酸及び適当なプロモーターの制御下にCDR−グラフト化の軽鎖をコードする核酸を含む発現ベクターを含む発現ベクターを、適当な宿主細胞中に同時トランスフェクトさせる。
本発明のCDR−グラフト化抗体の発現に適する宿主細胞又は細胞系は、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、及びチャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO)、COS細胞、線維芽細胞及び骨髄性細胞などの哺乳類細胞を含む。哺乳類細胞が好ましい。CHO、COS及び骨髄腫細胞は特に好ましい。骨髄腫細胞は、永久的なCDR−グラフト化抗体を製造する細胞株を樹立するのに好ましい。骨髄腫細胞、細菌及び酵母中での抗体の発現は、Sandhu(1992)Critical Reviews in Biotechnology 12:437に総説されている。CDR−グラフト化重鎖及び軽鎖をコードする核酸を含む発現ベクターによる宿主細胞のトランスフェクションは、当業者に周知の方法によって達成できる。そのような方法としては、例えば塩化カルシウム感染、リン酸カルシウム感染、リポフェクション及び電気穿孔法が含まれる。CDR−グラフト化抗体の製造に適した培養方法及び条件は、同様に当業者に周知である。CDR−グラフト化抗体は、硫酸アンモニウム沈殿法、親和性クロマトグラフィー、ゲル電気泳動等を含む従来方法によって精製できる。ヒト組織因子に結合し阻害するCDR−グラフト化抗体の能力は、上記の生体外(in vitro)分析法によって評価できる。
本発明のCDR−グラフト化抗体は、種々の利用可能性を有する。例えば、抗体は、ヒト組織因子に結合でき、それ故体液検体からヒト組織因子の測定やヒト組織因子の精製等において有用である。
本発明のCDR−グラフト化抗体は、ヒト組織因子を阻害しうる。ヒト組織因子は、ヒト凝固カスケードにおける必須の要素であることは周知である。本発明の抗体の凝固カスケードを阻害する能力は、抗体が第X因子活性を阻害する生体外分析法によって具体的に示されている。従って、この抗体は、凝固の低減に有用である。このように本発明は、凝固の低減の必要な患者に、ヒト組織因子を阻害しうる、治療的に有効量のCDR−グラフト化抗体を投与すること含む凝固の低減方法を提供する。
多くの血栓疾患は、過剰な又は不適切な凝固によって特徴づけられ、凝固カスケードに干渉する試薬の投与によって効果的に治療又は予防される。従って、本発明はさらに、治療又は予防が必要な患者に、ヒト組織因子を阻害しうる治療的に有効量のCDR−グラフト化抗体を投与することを含む血栓疾患の治療又は予防方法を提供する。好ましい態様においては、血栓疾患が血管内凝固、動脈の再狭窄又は動脈硬化である。本発明の抗体は、他の抗体又は治療薬との組み合わせで用いることができる。
本発明の抗体の治療的に有効な量は、患者の状態、治療される状態、投与方法等により当業者が決定できる。治療的に有効な量は、従来のパラメーターによって評価される血栓疾患を軽減し、消失し、又は予防するのに必要な投与量である。例えば、本発明のCDR−グラフト化抗体の治療的に有効な量は、体重70kg当たり約0.1mg〜約20mgである。好ましい投与量は、体重70kg当たり約1.0mg〜約5mgである。
そのような治療を必要とする患者は、不適切な又は過剰な凝固によって特徴付けられる不全症に罹患している患者、又はそのような不全症の恐れのある患者である。例えば、抗凝固剤治療は、手術後の静脈の血栓、及びバルーン血管形成術に引き続く動脈の再狭窄の予防に有用である。
本発明のCDR−グラフト化抗体は、同等の治療薬と同様の方法において有用であり、投与量レベルは、それらの同等の治療薬において一般的に採用されているのと同等の大きさの桁である。この抗体は、当業者に知られている方法によって薬学的に許容されうる担体と組み合わせて投与することができる。
本発明のもう一つの態様は、ヒト組織因子を阻害しうる少なくとも1種のCDR−グラフト化抗体を含み、さらに薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物に関する。ここで使用されているように、「薬学的に許容しうる担体」は、いかなるそして全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質としてのこのような媒体及び試薬の使用は、当業界で周知である。配合禁忌である場合を除き、いかなる従来の媒体又は試薬が有効成分も、その治療組成物における使用が意図されている。追加の有効成分を、組成物に含ませることもできる。
抗体は、経口及び例えば静脈内、筋肉内、鼻内、経皮、腹腔内等の非経口を含む周知の経路によって投与できる。非経口投与、及び特に静脈内投与が好ましい。投与経路によって、医薬組成物は保護コーティングを必要とする。
注射使用に適する医薬形態は、滅菌水溶液又は分散液及び滅菌注射溶液及び分散液のその都度の調製のための滅菌パウダーを含む。すべての場合において、最終の溶液形態は滅菌されており、液体でなければならない。典型的な担体は、例えば水緩衝水性液(すなわち、生体適合性緩衝液)、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリオール、それらの適切な混合物、界面活性剤又は植物油を含む溶媒又は分散媒を含む。抗体は、非経口投与用のリポソーム中に入れられる。滅菌は、当業界において認識されている、これらに限定されないが、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸又はチメルサールのようような抗細菌剤又は抗真菌剤の添加を含む技術によって達成できる。さらに、糖類又は塩化ナトリウムなどの等張剤は、組成物に入れることができる。
抗体を含む滅菌注射液の調製は、これらの抗体の必要量を、必要な上記に列挙された種々の活性成分とともに適切な溶媒中に入れ、滅菌、好ましくはフィルター滅菌することによって達成される。滅菌パウダーを得るには、上記溶液を真空乾燥又は必要に応じて凍結乾燥する。
以下の実施例は、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
TF8-5G9の軽鎖(LC)及び重鎖(HC)の単離及び配列決定
二つのDNAライブラリーを、Sambrook et al.によって記載された標準分子生物学手順(standard molecular biology procedure)を利用してオリゴ−(dT)−結合TF8-5G9ハイブリドーマRNAから生産した。cDNAを、Invitrogen(San Diego,CA)から入手したライブラリアンIIプラスミド ベクター中にクローニングし、これらのライブラリーをネズミIgGのHC及びLCをコードするcDNAクローンをスクリーニングした。二つの独立したライブラリーは構築されたにも拘わらず、全長の重鎖に対するcDNAクローンは単離できなかった。ランダム結合TF8-5G9cDNAライブラリーを生産し、重鎖の5’欠損(missing)配列を得た。その結果、重鎖cDNAは、390個のヌクレオチドの5’クローン及び1392個のヌクレオチドの5’クローンの二つの破片となった。この二つのHCクローンは、292個のヌクレオチドで重複している。
HC及びLCクローンは、Sanger et al.(1977)Proc.Natul.Acad.Sci.USA 74:5463のジデオキシ鎖ターミネーション法(dideoxy chaintermination method)によって完全に配列決定した。可変部の配列を確認するため、配列を全TF8-5G9ハイブリドーマRNAから合成された、PCR−増幅されたcDNAから得た。全TF8-5G9ハイブリドーマRNAを、Chrigwin et al.(1970)Biochemistry 18:5294のチオシアン酸グアニジン法(guanidinium thiocyanate method)によって単離した。cDNAを、Perkin Elmer(Norwalk,CT)GeneAmpRNAポリメラーゼ鎖反応(PCR)キットをオリゴ(dT)プライマーとともに用いて合成した。同キットの要素はPCRにおいて、cDNAクローンに対して得られる配列に基づくプライマーを用いてLC及びHCの可変部を増幅するために使用された。増幅された可変部の断片を、ゲル精製し、Model 373A Applied Biosystems,Inc.(Foster City,CA)の自動化された蛍光DNA配列機(automated fluorescent DNA sequencer)に関するTracy et al.(1991)BioTechniques 11:68の方法に従って配列決定した。RNA増幅から得られたTF8-5G9のLC及びHCの配列と、cDNAクローンから得られた配列は一致した。蛋白質翻訳を伴うTF8-5G9のHC可変部の配列を図1及び配列番号(SEQ ID NO):1に示し、LCのそれを図2及び配列番号(SEQ ID NO):3に示す。
実施例2
融合LC及びHC発現ベクターの構築
個々にCDR−グラフト化抗TF LC及びHCの結合活性を試験するため、マウス−ヒト融合TF8-5G9 LC及びHCを構築した。これは、CDR−グラフト化LCを融合HCとの組み合わせにおいてTF結合能を試験し、及びCDR−グラフト化HCを融合LCとの組み合わせにおいて試験した。
ライブラリアンIIベクター中の鋳型cDNAクローンとして使用してTF8-5G9のLC可変部を増幅するようにプライマーを設計した。EcoRI部位を持つように5’プライマーを設計し、一方NarI部位を持つように3’プライマーを設計した。PCRを用いて、LC可変部を増幅し、5’EcoRI末端及び3’NarIを有する433塩基対の断片を生産した。断片は、TF8-5G9のLC cDNAからのシグナル配列を含んでいたが、ATG開始コドンに直ちに続くアルギニンコドン中に、二つの塩基の変化が導入されていた。この変化は、アルギニン残基に保持されたが、LCのmRNAの翻訳を強力に改善するためのKozak共通配列と一致させられなかった。EcoRI及びNarI制限酵素によって、PCR増幅されたLC可変部断片を消化し、2%Nusieve、1%Seakemアガロースゲル(FMC Bio Products,Rockland,ME)上での電気泳動によって精製した。
DNAをゲルスライスから抽出し、Geneclean法(Bio 101,La Jolla,CA)によって精製した。全長の融合TF8-5G9のLC遺伝子をこのDNAをヒトカッパ定常部を含むpSP73ベクター(Promega,Madison,WI)のEcoRI及びNarI部位中にクローニングすることによって生産した。遺伝子をEcoRI消化によってpSP73ベクターから単離し、pSG5哺乳類細胞発現ベクター(Atratagene Cloning Systems,La Jolla,CA)のEcoRI部位中にサブクローニングした。
融合TF8-5G9のHC遺伝子を融合LCのそれと同様にして組み立てた。ライブラリアン ベクターのcDNAライブラリーから単離された全長のHCのcDNAは無かったので、全TF8-5G9ハイブリドーマ細胞RNAからPCRによって産生されたHC可変部断片を鋳型として用いた。5’末端にEcoRI部位及び3’末端にSacI部位が導入されたプライマーをPCRで用いてTF8-5G9のHCのKozak配列、開始コドン、シグナル配列、及び可変部を含む430塩基対断片を生産した。この断片を制限酵素EcoRI及びSacIによって消化し、融合LC構築で用いたのと同じ方法を用いてゲル精製した。
ヒトIgG4定常部を含むpSG5発現ベクターのEcoRI及びSacI部位中に可変部断片をクローニングすることによって、全長のTF8-5G9融合HC遺伝子を構築した。
実施例3
CDR−グラフト化重鎖及び軽鎖の遺伝子の設計及び構築
EcoRIが5’末端で張り出し、Kozak配列が抗体発現を改善するようにCDR−グラフト化HC及びLC遺伝子の可変部ドメインを設計した。リーダー配列をネズミモノクローナル抗体B72.3(Whittele et al.(1987)Protein Engineering 1:499)の重鎖及び軽鎖から誘導した。適切なヒト定常部DNAにつなぎ合わされることを許す飛び出し部を有するように可変部の3’末端を設計した。
最初に設計されたCDR−グラフト化TF8-5G9重鎖及び軽鎖では、CDRsはネズミTF8-5G9配列から誘導されたが、枠組み構造はヒト抗体配列から主として誘導された。ヒト抗体KOL(Schmidt et al.)は、重鎖枠組み構造に用いたが、ヒト抗体二量体(Epp et al.)は軽鎖の枠組み構造に用いた。
TF8-5G9のCDR−グラフト化重鎖及び軽鎖可変部の設計においてネズミ枠組み構造残基を選択するために幾つかの基準を使用した。特定の部位において、TF8-5G9にイディオシンクラティックな(idiosyncratic)枠組み構造残基は、それらが独特の結合特性に寄与するとの推定をもってネズミ配列として保持されていた。TF8-5G9ネズミ残基はまた、それらがヒト一致配列と合致するが、KOL又はREIにおける対応する残基にイディオシンクラティックな(idiosyncratic)枠組み構造部位において保持されていた。重鎖及び軽鎖の(Kabat et alによる番号付けに従って)残基71のような抗体ループの繰り返し構造の部分である残基もまた、ネズミ配列として保持されていた。HCの残基26−30のようなループを形成する枠組み構造残基は、ネズミ配列がヒトとは違う部位でのTF8-5G9のネズミ配列として保持されていた。CDRsの配置に直接に影響を与えることが知られている48及び49のようなHCのCDR2の直ぐ前の残基もまた、ネズミ配列として保持されていた。
最初に設計されたCDR−グラフト化TF8-5G9のHCの可変部のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):11に示す。ネズミ残基は、枠組み構造部位の6,17,23,24,28,29,30,48,49,68,71,73,78,88及び91に保持されていた。CDR−グラフト化HC可変部は、ヒトIgG4定常部に結合されていた。
最初に設計されたCDR−グラフト化TF8-5G9のLCに対する可変部、TF8LCDR1のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):12に示す。ネズミ残基は、枠組み構造部位の39,41,46及び105に保持されていた。CDR−グラフト化LCの可変部は、ヒトカッパ定常部に結合されていた。
上記のCDR−グラフト化HC及びLCに対する可変部は、それぞれResearch Genetics,Inc.、Huntsville,ALによって合成された13個の合成オリゴヌクレオチドから組み立てられた。それらのオリゴヌクレオチドは、42〜80塩基の長さの範囲であり、両方の可変部鎖をコードする。6つの相補的なオリゴヌクレオチドの対をアニーリングすると生じる飛出部は、長さ17〜24塩基であった。これらのオリゴヌクレオチド対を、相補的な飛び出し部において組み合わせ、アニーリングし、結合して、最終の全長の二本鎖の可変部を得た。
5’EcoRI部位及び3’SacI部位を含む452塩基対断片中に、HC可変部のオリゴヌクレオチドを集めた(assembled)。ポリメラーゼ鎖反応を用いてこの断片を増幅した。得られた増幅されたDNAを、2%Nusieve、1%Seakemアガロースゲル(FMC)上で精製した。DNAの適当な大きさのバンドを切り取り、そのDNAをGeneclean(Bio 101)法によって回収した。そして断片をEcoRI及びSacIで消化し、Geneclean法によって再度精製した。このEcoRI及びSacI末端を有するHC可変部断片をpSport-1ベクター(GIBCO-BRL Life Technologies,Gaithersburg,MD)のEcoRI及びSacI部位にクローニングした。幾つかのクローンからのDNAを単離し、配列して適当な可変部組み立て品を確認した。全てのクローンが予期しない塩基変換を有していた。最も少ない塩基変換(塩基133及び140における二つのミスマッチ)を有する一つのクローンを選択し、Kunkel 81985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488による部位特異的突然変異誘発によって修正した。要するに、CJ236(ung-、dut-)競合細胞(Invitorogen Corporation,San Diego,CA)を、二つの塩基ミスマッチを有するCDR−グラフト化HC可変部を含むpSportベクターによって形質転換した。一本鎖のウリジンが導入されたDNA鋳型を形質転換された細胞にM13ヘルパーファージ(Strategene Cloning System)を感染させたファージから精製した。所望の塩基変換を含む突然変異誘発オリゴをApplied Biosystems Model 380B DNA合成機で合成した。突然変異誘発オリゴを鋳型DNAにアニーリングし、T7 DNAポリメラーゼ及びT4 DNAリガーゼ(MutaGene InVitoro突然変異誘発キット、Bo-Rad Laboratories,Richmond,CA)を用いて新たに合成されたDNA鎖にオリゴを導入した。DH5α競合細胞(GIBCO-BRL Life Technologies)を二本鎖DNAによって形質転換した。元々のウリジンが導入された鎖は壊れたが、新たに合成された突然変異誘発オリゴを含む鎖は複製する。ファージミド(phargemid)DNAを、得られた突然変異誘発クローンから調製し、可変部を配列して所望の変換が導入されたクローンと同定した。修正されたHCEcoRI/SacI可変部断片をpSportベクターから切り出し、精製し、ヒトIgG4定常部を含むpSG5ベクターのEcoRI/SacI部位中に結合した。これが、pSG5 COS細胞発現ベクター中での全長のヒト化されたTF8-5G9のHC遺伝子、TF8HCDR1の産生をもたらした。
CDR−グラフト化TF8-5G9のLC可変部もまた、5’EcoRI部位及び3’NarI部位を含む433塩基対断片中に集められた合成オリゴヌクレオチドからPCRによって増幅された。この断片は、HCについて上記のように精製され、EcoRI及びNarIで消化し、Geneclean法によって精製した。この断片をヒトカッパ定常部を含むpSG5ベクターのEcoRI及びNarI部位中にクローニングした。これは、全長のヒト化されたTF8-5G9のLC遺伝子、TF8LCDR1のpSG5 COS細胞発現ベクター中での産生をもたらした。7つのクローンを配列し、一つが所望のCDR−グラフト化LC配列を有することを見出した。ベクターはpSQ5TF5LCDR1を示した。
実施例4
COS細胞中でのCDR−グラフト化重鎖及び軽鎖の発現
COS-1細胞中での抗体遺伝子の一時的発現は、迅速で便利な抗体遺伝子の発現及び機能を試験するシステムを提供する。COS-1細胞を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(CRL 1650)から入手し、10%ウシ胎児血清入りダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、GIBCO BRL Life Techunologiesから)中で培養した。pSG5TF8HCDR1発現因子をLopata et al.(1984)Nucleic Acids Res.14:5707に記載されたDMSOショックに従うDEAE−デキストラン法(DEAE-Dextran method)を用いてpSG5融合LC発現ベクターとともにCOS細胞中に同時トランスフェクトさせた。培養の4日後、培地をウェルから回収し、抗体発現濃度を試験した。
抗体濃度は、ELISA-を基本とするアッセンブリーアッセイによって定量した。プレートをヤギ抗ヒトFc特異的抗体で被覆した。分泌された抗体を含むCOS細胞上清の種々の希釈液を加え、1時間インキュベートし、洗浄した。ホースラディッシュペルオキシダーゼ−結合ヤギ抗ヒトカッパー鎖抗体を加え、室温で1時間インキュベートし、洗浄した。ホースラディッシュペルオキシダーゼの基質を検出のために加えた。COS細胞培地中の抗体濃度は、TF8HCDR1 x融合LCに対しては殆ど測定不能であることが見出された。TF8HCDR1可変部配列のより近似した試験によれば、予期しない塩基変換、TF8HCDR1遺伝子の定常部4に停止コドンの導入が見出され、そしてそれは実施例3に記載された部位特異的突然変異誘発過程の間に起きていた。この置換は、上記の部位特異的突然変異誘発によって修正された。可変部の完全な配列が、追加の変換の導入を伴わずに修正が施されたことを裏付けた。融合LCによって修正されたTF8HCDR1遺伝子の感染時には合理的な発現濃度が得られた。
CDR−グラフト化LC発現ベクターpSGTF8LCDRl、及び融合HC又はTF8HCDR1のいずれかと同時トランスフェクトされたCOS細胞は、合理的な濃度で抗体を製造した。COS細胞上清中の抗体濃度は、0.5μg〜10μg/mlの範囲であった。
実施例5
CDR−グラフト化TF8-5G9の組織因子への結合
CDR−グラフト化TF8-5G9抗体、TF8HCDR1 x TF8LCDR1の組織因子への結合能をELISAを用いて測定した。組織因子をマイクロタイタープレート上に固定した。CDR−グラフト化抗体を含む試験COS細胞上清をウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。PBS/Tweenで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼと結合されたヤギ抗ヒトカッパー鎖ポリクローナル抗体を加え、室温で1時間インキュベートし、洗浄した。ホースラディッシュペルオキシダーゼの基質を検出のために加えた。陽性対照は、TF8-5G9融合抗体であった。CDR−グラフト化TF8-5G9抗体は、融合TF8-5G9抗体と同等程度に組織因子と結合できた(図3、黒塗り記号)。
ヒト化された抗体のネズミTF8-5G9の組織因子への結合との競合能も、試験した。試験CDR−グラフト化抗体を含むCOS細胞上清の様々な量及びネズミTF8-5G9の固定量を、組織因子で被覆したウェルに同時に加えた。室温で1時間結合を起こさせた。ウェルをPBS/Tweenで3回洗浄した。ホースラディッシュペルオキシダーゼと結合されたヤギ抗ヒトカッパー鎖抗体を加え、室温で1時間インキュベートし、洗浄した。ホースラディッシュペルオキシダーゼの基質を、検出のために加えた。陽性抗体は、融合抗体と同様に、ネズミTF8-5G9のTFへの結合と競合した。
これらのデータは、最初に設計されたCDR−グラフト化抗体TF8HCDR1 x TF8LCDR1は、TFへの結合及びネズミ抗体のTFへの結合との競合において、融合TF8-5G9とほぼ同等の活性を有することを示している。
実施例6
追加CDR−グラフト化重鎖の構築及び特性決定
ネズミTF8-5G9の分子構造の試験によって、枠組み構造残基の位置27,68,73及び78が抗体表面に存在することが見出され、認識できないCDRsとの接触はなかった。これらの枠組み構造残基はTF8HCDR1中のネズミ配列のものであるが、種々の組み合わせにおいてヒトKOL配列に変換されて枠組み構造残基のバリエーションをもって一連のCDR−グラフト化重鎖を生産した。この変換は、実施例3で記載した部位特異的突然変異誘発方法によって為された。それぞれのCDR−グラフト化重鎖のバージョンを、CDR−グラフト化LCであるTF8LCDR1との組み合わせでCOS細胞中で発現させ、そのTFへの結合能及びネズミTF8-5G9の結合との競合能を試験した。TF8LCDR1との組み合わせにおけるCDR−グラフト化重鎖の各バージョンが、融合TF8-5G9と同等の親和性をもってTFに結合することが示された。TF8LCDR1との組み合わせでの各CDR−グラフト化HCは、ネズミTF8-5G9のTFへの結合と融合抗体と同等に競合できた。
HC枠組み構造の位置6,7,68,73及び78に対するネズミからヒトへの配列の変換は、抗体の抗原結合能に悪影響を与えなかった。これらの全ての位置でヒト配列を有し、そしてそれ故最もヒト化されたHCであるCDR−グラフト化HCバージョンは、TF8HCDR20であった。
TF8HCDR20の完全な配列を決定した。DNA配列を、pEe6TF8HCDR20発現ベクター中での蛋白質翻訳とともに2360塩基対のEcoRI/BamHI挿入物として図4及び配列番号(SEQ ID NO):15に示す。
遺伝子の本質的な領域は次のとおりである:
Figure 0004423680
実施例7
追加のCDR−グラフト化軽鎖の構築及び特性評価
最初に設計されたCDR−グラフト化LCであるTF8LCDR1は、ネズミTF8-5G9配列由来の4つの枠組み構造残基を含んでいた。これらのうちの2つの位置39及び105において、ヒトREI枠組み構造配列は、REIに特有であるが;しかし、ネズミTF8-5G9LC配列は、ヒト共通配列と合致する。他の二つのネズミ枠組み構造残基trp41及びthr46は、TF8-5G9に特有である。CDR−グラフト化LCの幾つかのバージョンは、これら4つの位置の配列を、様々な組み合わせでネズミからヒトREIに変換して生産された。これらの変換は、部位特異的突然変異誘発によって為された。CDR−グラフト化LCの各バージョンは、CDR−グラフト化HCであるTF8HCDR20との組み合わせでCOS細胞中で発現され、組織因子への結合能及びネズミTF8-5G9の結合との競合能を試験した。CDR−グラフト化LCの各バージョンは、TF8HCDR20との組み合わせにおいて、TF8-5G9に匹敵する親和性でTFと結合することが示された。また、各CDR−グラフト化LCバージョンは、TF8HCDR20との組み合わせにおいて、融合TF8-5G9対照と同様にネズミTF8-5G9のTFへの結合と競合できた。
LC枠組み構造位置39,41,46及び105でのネズミからヒトへの配列の変換は、抗原を認識する抗体の能力に悪影響を与えなかった。ネズミTF8-5G9配列が位置39及び105で使用される場合には、これらがヒト共通配列に合致することから、選択されたCDR−グラフト化LCは、TF8LCDR3である。好ましいCDR−グラフト化TF8-5G9抗体は、TF8HCDR20 x TF8LCDR3である。
TF8LCDR3遺伝子の完全な配列を決定し、pEe12TF8LCDR3発現ベクター中での蛋白質翻訳とともに、759塩基対のEcoRI-BamHI挿入物として、図5及び配列番号(SEQ ID NO):20中に示した。遺伝子の本質的な領域は以下のとおりである:
Figure 0004423680
実施例8
CDR−グラフト化TF8-5G9抗体TF8HCDR20 x TF8LCDR3のヒト組織因子阻害
CDR−グラフト化TF8-5G9抗体、TF8HCDR20 x TF8LCDR3のTFに対する結合を、実施例5に記載したように評価し、図6に具体的に示されているように融合TF8-5G9のそれと同等であることが見出された。ネズミ抗体のTFへの結合と競合するCDR−グラフト化TF8-5G9の能力は、図7に示したように融合TF8-5G9のそれと同等である。
インビトロ分析を用いてCDR−グラフト化TF8-5G9抗体による第X因子活性化の阻害のレベルを測定した。この分析では、TFは第VII因子と活性蛋白質分解複合体を形成する。そしてこの複合体は、蛋白質分解によって第X因子を第Xa因子に変換する。活性化された第Xa因子は、酵素基質であるスペクトロジーム(Spectrozyme)FXaを分解し、そしてそれが色原体を放出する。光学密度によって検出される色原体の濃度が、TF−第VIIa因子活性による第VII因子の活性化を示す。
下記の反応混合物を12×75mmの硼珪酸ガラスチューブ中で調製した。
25μlのTBS(50mMトリス、pH7.4、150mM塩化ナトリウム)
15μlの20mM塩化カルシウム/1%ウシ血清アルブミン(BSA)
20μlのヒト胎盤組織因子溶液(Thromborel S,Curtin Matheson Scientific #269-338の一瓶を4.0mlの蒸留水(dH20)で戻し、TBSで1:10に希釈することによって調製される)
30μlの第 因子(TBS中237.66ng/mlのEnzyme Research Labs #HFVII 1007)
30μlのTBS又はTF8-5G9又はTF8HCDR20 x TF8LCDR3の1.18μg/mlの濃度又は図8に示される濃度
第X因子を添加する前に、反応混合物を37℃で10分インキュベートした。(幾つかの場合においては、第VII因子又は抗体の添加の前に、反応混合物を5分間予めインキュベートし、第X因子の添加の前に10分間インキュベートした。)30μlの第X因子溶液(Enzyme Research Labs,DHFX 330、247.38μg/ml TBS)を添加し、混合物を37℃で3分間インキュベートした。第X因子の活性化を、反応混合物40μgを96ウェルマイクロタイタープレート中の160μlの停止バッファー(50mMトリス、pH7.4、100mM EDTA、150mM塩化ナトリウム)中にピペットで加える(pipetting)ことによって定量した。反応混合物の各チューブを3つのマイクロタイターウェル中にピペットで加えた。スペクトロジームFXa基質(American Diagnostica #222、1μM/ml TBS)50μlを各ウェルに加えた。10分間、20秒毎に読みとりを行うモレキュラー・デバイシス・カイネティック・プレート(Molecular Devices kinetic plate)上で、OD405を読みとった。第X因子活性をmOD/分として記録し、反応曲線の直線部分上の酵素反応速度(enzyme velocities)を抗TF抗体による第X因子活性化の阻害の定量と比較した。
図8に示されるように、CDR−グラフト化TF8-5G9抗体は、第X因子活性化阻害において、ネズミTF8-5G9とほぼ同等の効果を有している。このことは、CDR−グラフト化TF8-5G9が機能的に活性であることを示している。
実施例9
CDR−グラフト化重鎖及び軽鎖の骨髄腫発現ベクターの構築
永久的なCDR−グラフト化抗体を製造する細胞系を確立する目的で、TF8HCDR20及びTF8LCDR3遺伝子を骨髄腫細胞発現ベクター中にサブクローニング(subcloned)した。重鎖TF8HCDR20を、Stephens et al.(1989)Nucleic Acids Res.17:7110に記載されているpEe6hCMV-BglII骨髄腫発現ベクターのEcoRI及びBclI部位中にサブクローニングし、pEe6TF8HCDR20を製造した。軽鎖TF8LCDR3を、pEe13骨髄腫発現ベクターのEcoRI及びBclI部位中にサブクローニングした。重鎖及び軽鎖発現ベクターを図9及び10にそれぞれ示す。両ベクターにおける抗体遺伝子転写は、ヒトサイトメガロウィルス(hCMV)プロモーター−エンハンサーによって誘導され、そしてそれは多クローニング部位の直接に5’に位置する。ポリアデニレーションシグナル配列は、倍数クローニング部位の3’に位置し、転写の停止の信号を送る。各ベクターは、β−ラクタマーゼ遺伝子を含み、大腸菌(E.coli)中でアンピシリンを分泌させる。pEe12ベクターは、SV40初期プロモーターの転写制御下にあるグルタミン合成酵素cDNA遺伝子を含む。グルタミン合成酵素は、骨髄腫細胞感染体(transfectants)のグルタミン非含有培地での選択を許す。骨髄腫細胞は、グルタミン合成酵素活性を欠いており、培養培地中のグルタミンの供給に依存する。pEe12ベクターで感染され、グルタミン合成酵素遺伝子を含む細胞は、グルタミン酸塩からグルタミンを合成でき、グルタミンなしでも生存できる。
pEe6TF8HCDR20発現ベクターは、7073塩基対の、図4及び配列番号(SEQ ID NO):15で示されるDNA配列を有するプラスミドである。TF8HCDR20遺伝子のコード領域を翻訳した。このベクターの本質的な領域を以下に記載する:
1.ヌクレオチド番号1-2360:TF8HCDR20CDR−グラフト化HC遺伝子を実施例6に記載する。HC遺伝子を、EcoRI/BamHI断片としてpEe6hCMV-BglIIベクターのEcoRI/BclI部位に挿入した。
2.ヌクレオチド番号2361-2593:この領域は、SV40初期遺伝子ポリアデニル化シグナル(SV40ヌクレオチド2770-2537)をコードし、転写ターミネーターとして作用する。この断片は、5’BclI部位及び3’BamHI部位と隣接してる。重鎖遺伝子の3’BamHI末端は、ポリアデニル化シグナルの5’BclI部位とつなぎ合わされ、そして両部位は除去された。
3.ヌクレオチド番号2594-3848:この領域は、pBR328(ヌクレオチド375-2422)からのBamHI-BglI断片からのものであるが、SaI及びAvaI部位の間(ヌクレオチド651-1425)が削除されずに、AvaI部位へのSalIリンカーが付加されている。この領域は、Col E1細菌複製起源を含む。
4.ヌクレオチド番号3849-4327:これは、pSP64(Promega Corporation,Madison,WI)のβ−ラクタマーゼ遺伝子由来のBglI-XmnI断片部位である。この遺伝子は、このベクターによって形質転換された細菌にアンピシリン耐性を与える。
5.ヌクレオチド番号4328-4885:これは、Emtage et al.(1983)Proc.Natl.Acad.Soci.USA80:3671に記載されているColEl系プラスミドpCT54のXmnI-HindIII断片である。HindIII部位を、リンカーを添加し、次いで後記するhCNVプロモーターを添加することによってBglII部位に変換した。
6.ヌクレオチド番号4886-7022:これらのヌクレオチドは、hCMV真中の中間体初期プロモーターをコードする領域を含むGreenway et al.(1982)Gene 18:355に記載されているヒトサイトメガロウィルス(hCMV)株AD 169のPst-lm断片をコードする。このPst-lm断片を、以下の配列を有するオリゴヌクレオチドを該断片のいずれかの末端に付加することによってpEe6hCMVのHindIII部位中にクローニングした。
Figure 0004423680
得られた2100塩基対の断片を、プロモーターがpEe6hCMVのEcoRI部位に向かって転写を指図するように挿入した。上記のオリゴヌクレオチドは、hCMV-MIE遺伝子の完全な5’非翻訳配列の再生を該断片の正に5’末端における付加された不適切な配列として与える。5’末端のHindIII部位を、次にさらなるリンカーを加えてBglII部位に変換した。
7.ヌクレオチド番号7023-7073:除去されたBamHI及びSaII部位とのpSP64ポリリンカー。
pEe12TF8LCDR3発現ベクターは、そのDNA配列が図5及び配列番号(SEQ ID NO):17に示される、7864塩基対のプラスミドである。TF8LCDR3遺伝子のコード領域を翻訳した。この発現ベクターの本質的な領域を以下に記載する:
1.ヌクレオチド番号1-759:TF8LCDR3CDR−グラフト化LC遺伝子を実施例7に記載する。この遺伝子を、pEe12発現ベクターのEcoRI/BclII部位中にEcoRI/BamHI断片として挿入した。
2.ヌクレオチド番号760-3284:pEe12のこれらの領域は、上記のpEe6TF8LCDR20ベクターのヌクレオチド2361-4885によってコードされる領域(領域番号2-5)と同一である。
3.ヌクレオチド番号3285-5736:この領域は、SV40初期プロモーターの転写制御下にあり、Subramani et al.(1981)Mol.Cell.Biol.1:854に記載されているpSV2.dhfrベクターからのSV40初期プロモーター及び連結(splice)信号に従うチャイニーズ・ハムスター卵巣グルタミン合成酵素cDNAをコードする。以下に、この領域の誘導過程を記載する:完全なGSコードする配列を含む1200塩基対のNaeI-PvuII断片を、Hayward et al.(1986)Nucleic Acid Res.14:999に記載されているチャイニーズハムスター卵巣cDNAクローンλGS1.1から切り出した。NaeI部位に対するHindIIIリンカー及びPvuII部位に対するBglIIを加えた後(従ってNaeI及びPvuII部位を破壊する)、1200塩基対断片をHindIII及びBglII部位の間のpSV2.dhfr中のDHFR配列の代わりにクローニングしてpSV2.GSを形成した。pSV2BamGS中の単独で残されたPvuII部位を、オリゴヌクレオチドリンカーの添加によってBamHI部位に変換し、pSV2BamGSを形成した。pSV2BamGS部位のアミノ酸配列を変えることなく、部位特異的突然変異誘発によって、GSのcDNA中のEcoRI部位を破壊し、そしてDNAポリメラーゼIで充填して(filling in)HindII部位を破壊した。この完全なSV40-GSハイブリッド転写ユニットを含む、プラスミド由来の2451塩基対のBamHI断片を切り出し、SV40初期プロモーターからの転写がhCMVプロモーターに向かって進むようにpEe6hCMV-BglIIのBglII部位に挿入した。
4.ヌクレオチド番号5737-7864:この領域は、上記のpEe6TF8HCDR20ベクターのヌクレオチド4886-7073によってコードされるhCMV及びpSP64ポリリンカーと同一である(領域6及び7)。
peE6TF8HCDR20及びpeE12TF8LCDR3ベクターの両者が骨髄腫細胞に同時トランスフェクトしたことを確認する目的で、これらのベクターを、線状コンカテマーにつなげた。両peE6TF8HCDR20及びpeE12TF8LCDR3ベクターをSalI特有部位で消化した。SalI直線化された(linearized)pEe6TF8HCDR20ベクターを、その5’末端でリン酸エステル分解(phosphatased)して二つのpEe6TF8HCDR20ベクターが互いに結合するのを禁じた。このリン酸エステル分解されたHCベクターを、2:1のモル比で、Sal直線化されたpEe12TF8LCDR3に結合した。得られたコンカテマーは、恐らく以下の組成であろう:
Figure 0004423680
このコンカテマー化されたDNAをフェノール及びクロロホルムで抽出し、酢酸アンモニウム及びエタノールで沈殿させた。DNA沈殿物を蒸留水に1μg/μLの濃度で再懸濁し、骨髄腫細胞にトランスフェクトさせた。
実施例10
NSO発現細胞系の開発
CDR−グラフト化重鎖及び軽鎖発現ベクターをNSOマウス骨髄腫細胞に感染させることによって、ヒト化されたTF8-5G9抗体を発現する安定に形質転換された細胞系を調製した。優性選択マーカー遺伝子(dominant selectable marker gene)、グルタミン合成酵素(GS)を用いて、感染された細胞の選択を行った。
Celltech,Ltd.から入手したNSOマウス骨髄腫細胞系は、NS-1から誘導されたサブクローンであり、細胞内軽鎖を発現しない。これらの細胞を、グルタミン及び10%ウシ胎児血清(FBS)を加えたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で培養した。トランスフェクションのための準備として、細胞を成長周期の中期対数増殖期に回収し、5分間遠心分離し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、再度遠心分離し、細胞のペレットをPBS2.2mLに再懸濁した。最終の細胞濃度は、2.18×107mLであった。細胞は、操作の間、氷上に保持した。
トランスフェクトされるDNA(pEe12TF8LCDR3 x pEe6TF8HCDR20)を、実施例9で記載したコンカテマーとして調製した。DNA及びNSO細胞を、以下の順に0.4cmのBioRad Gene Pulserキュベットに加えた。
40μL(40μg)DNAコンカテマー
320μL2回蒸留水
40μL 10 x PBS
400μL NSO細胞(8.72 x 106細胞)
Celltech,Ltd.によって提供されたプロトコールに従った電気穿孔法によって感染を行った。この操作においては、PBS緩衝液中の細胞及びDNAを、一時的な微小孔を細胞膜上に形成する短時間の高い電圧の電気パルスに曝した。DNA移送はこれらの開口部を通して起きる。電気穿孔のための準備として、NSO細胞及びDNAの懸濁液を、緩やかに混合し、氷上で5分間インキュベートした。キュベットをBioRad Gene Pulser中に置き、3μF(静電容量)、1.5V(電圧)の設定で2回の連続した電気パルスを与えた。電気穿孔後、キュベットを5分間氷上に戻した。次いで懸濁液を、予め温められた育成培地で希釈し、7つの96−ウェルプレートに分配した。DNA無しで電気穿孔された細胞を含む対照プレートも、自然の変異体の存在を測定するために同時に調製した。プレートを5%二酸化炭素を含む37℃のインキュベーター中に置いた。
GS遺伝子によってコードされるグルタミン合成酵素は、グルタミン酸塩をグルタミンに変換する酵素である。NSO細胞は、内生のGS遺伝子発現の不適当なレベルのため、生育のためにグルタミンを要求する。DNAコンカテマーでは、この遺伝子は、pEe12TF8LCDR3ベクター上に存在する。GS遺伝子が導入された感染された細胞は、グルタミン−非依存性となる。そのゲノム中にGS遺伝子が組込まれない細胞は、グルタミン−依存性のままであり、グルタミン−非含有培地中では生存できない。電気穿孔の約18時間後、全てのプレートにグルタミン−非含有選択培地を入れ、生育可能なコロニーが出現するまでインキュベーターに戻した。
感染から約3週間後、明瞭で微細なコロニーが観察された。実施例5に記載したアッセンブリーELISAを用いて、無傷のヒト抗体の発現をスクリーニングした。コロニーを含むウェルからの組織培養上清を1:10希釈でスクリーニングした。25ng/mL標準液よりも高い活性を示す陽性のウェルを継代培養し、さらに分析を広げた。
高い生産性を有するものを選択するため、96時間の成長期間の後に、抗体産生を定量した。組織培養フラスコに、選択培地10mL中に2×105細胞/mLで細胞を播き、37℃、5%二酸化炭素で96時間インキュベートした。期間の最後に、適量(aliquot)を取り出し、細胞濃度及び抗体の力価を定量した。抗体産生の評価は、μg/mL及びpg/細胞/96時間で計算した。このトランスフェクションによる最も高い産生者は、次のとおりであった:
Figure 0004423680
実施例11
CDR−グラフト化抗体TF8HCDR20 x TF8LCDR3の生体内での組織因子阻害
CDR−グラフト化抗体TF8HCDR20 x TF8LCDR3を、ネズミ抗体TF8-5G9の実験的に誘導された散在性の血管内凝固(DIC)からのラットの保護能と比較した。DICモデルにおいては、ラットをヒトトロンボプラスチン(TF活性を含む粗組織抽出物)でチャレンジし、フィブリノーゲンの消費及び死をもたらす。抗TF−抗体によるラットの前処理が、フィブリノーゲン消費及び死からラットを保護することを以下に具体的に示した。
ヒトトロンボプラスチンを米国特許5,223,427に記載されているように調製した。生理食塩水の対照又は30μ/mlのTF8-5G9又はCDR−グラフト化抗体をラットの尾静脈から注射し、組換体TFの200ngと等量のトロンボプラスチンを注射した。フィブリノーゲン濃度として、T=0及びT=1分での凝固時間を測定した。凝固時間は、フィブリノーゲン濃度の80%の減少に相当する60秒の凝固時間で、フィブリノーゲン濃度に比例している。60秒を超える凝固時間は、正確に測定できず、60秒として記録する。
3つの代表的な研究での生存率及び凝固時間を以下に示す。
Figure 0004423680
Figure 0004423680
Figure 0004423680
24匹の対照ラットのうちの23匹が、60秒を超える凝固時間を有し、ほぼ全ての未処理ラットが80%を超えるそのフィブリノーゲンを消費したことを示した。CDR−グラフト化抗体及びネズミ抗体の両方の処理がされたラットは、1分44.5秒及び1分40秒(at one minute of 44.5 and 40 seconds)の類似の凝固時間を有していた。さらに、ネズミ抗体処理ラットの6匹及びCDR−グラフト化抗体処理ラットの9匹のみが、60秒を超える凝固時間を有していた。従って、ネズミ及びCDR−グラフト化抗体の両者が、TFを中和でき、それ故フィブリノーゲン消費及び死からラットを保護することができた。
配列表
(2) 配列番号(SEQ ID NO):1の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1489 塩基対
(B)型: 核酸
(C)鎖の数: 二本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)
(ix)特徴:
(A)名称/キー:CDS
(B)位置:11..1391
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):1
Figure 0004423680
Figure 0004423680
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):2
(i)配列の特徴:
(A)長さ:460 アミノ酸
(B)型: アミノ酸(amino acid)
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):2
Figure 0004423680
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):3の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:937 塩基対
(B)型: 核酸
(C)鎖の数: 二本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(ix)配列の特徴:
(A)名称/キー:CDS
(B)位置:5..706
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):3
Figure 0004423680
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):4の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:234 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):4
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):5の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:5 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(C)鎖の数: 二本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):5
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):6の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:17 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(C)鎖の数: 二本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):6
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):7の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:8 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(C)鎖の数: 二本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):7
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):8の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:11 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(C)鎖の数: 二本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):8
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):9の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:7 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(C)鎖の数: 二本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):9
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):10の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:9 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(C)鎖の数: 二本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):10
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):11の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:117 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):11
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):12の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:108 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):12
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):13の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:117 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):13
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):14の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:108 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):14
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):15の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:7073 塩基対
(B)型: 核酸
(C)鎖の数: 二本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(ix)配列の特徴:
(A)名称/キー:CDS
(B)位置:61..717
(ix)配列の特徴:
(A)名称/キー:CDS
(B)位置:1111..1146
(ix)配列の特徴:
(A)名称/キー:CDS
(B)位置:1268..1594
(ix)配列の特徴:
(A)名称/キー:CDS
(B)位置:1692..2012
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):15
Figure 0004423680
Figure 0004423680
Figure 0004423680
Figure 0004423680
Figure 0004423680
Figure 0004423680
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):16の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:219 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):16
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):17の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:12 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):17
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):18の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:109 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):18
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):19の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:107 アミノ酸
(B)型: アミノ酸
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):19
Figure 0004423680
(2) 配列番号(SEQ ID NO):20の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:7864 塩基対
(B)型: 核酸
(C)鎖の数: 二本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(ix)配列の特徴:
(A)名称/キー:CDS
(B)位置: 9..711
(xi)配列:配列番号(SEQ ID NO):20
Figure 0004423680
Figure 0004423680
Figure 0004423680
Figure 0004423680
Figure 0004423680
Figure 0004423680

Claims (18)

  1. 配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変部及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変部を含んでなる、ヒト組織因子を阻害し得る単離されたモノクローナル抗体。
  2. 配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変部及び配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変部を含んでなる、ヒト組織因子を阻害し得る単離されたモノクローナル抗体。
  3. 重鎖の定常部が、ヒトIgG4定常部であるヒト定常部を有する、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 軽鎖の定常部が、ヒトIgG4カッパ定常部であるヒト定常部を有する、請求項1又は2に記載の抗体。
  5. 軽鎖の定常部が、ヒトカッパ定常部であるヒト定常部を有する、請求項1又は2に記載の抗体。
  6. 請求項1又は2に記載の抗体の断片であって、かつ、ヒト組織因子を阻害することができ、かつ、配列番号11及び12又は配列番号13及び14に、それぞれ示される完全なアミノ酸配列部分を含む、上記の断片。
  7. 断片がFab又はF(ab’)2断片である、請求項に記載の断片。
  8. 請求項1又は2に記載の抗体の作成方法であって、該抗体の重鎖をコードする核酸を含む発現ベクター及び該抗体の軽鎖をコードする核酸を含む発現ベクターで宿主細胞を同時にトランスフェクトさせる工程;こうしてトランスフェクトされた宿主細胞を培養する工程;及び該抗体を回収する工程を含むことを特徴とする、上記の方法。
  9. 請求項1又は2に記載の抗体の作成方法であって、該抗体の重鎖をコードする核酸及び該抗体の軽鎖をコードする核酸を含む発現ベクターで、宿主細胞をトランスフェクトさせる工程;こうしてトランスフェクトされた宿主細胞を培養する工程;及び該抗体を回収する工程を含むことを特徴とする、上記の方法。
  10. 請求項8又は9に記載の方法であって、該抗体の重鎖をコードする核酸が配列番号15のヌクレオチド1−2360の配列を有する、上記の方法。
  11. 請求項8又は9に記載の方法であって、該抗体の軽鎖をコードする核酸が配列番号20のヌクレオチド1−759の配列を有する、上記の方法。
  12. 請求項8又は9に記載の方法であって、該宿主細胞が細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞又は哺乳類細胞である、上記の方法。
  13. 哺乳類細胞がCHO細胞、COS細胞又は骨髄腫細胞である、請求項12に記載の方法。
  14. 請求項1又は2に記載の抗体の重鎖可変部及び軽鎖可変部をコードする核酸。
  15. 配列番号15のヌクレオチド1−2360の配列及び配列番号20のヌクレオチド1−759の配列を有する、請求項14に記載の核酸。
  16. 凝固の低減又は凝固若しくは血栓疾患の治療又は予防に使用するためのヒト組織因子を阻害しうる請求項1又は2に記載の抗体又は請求項6に記載の断片。
  17. ヒト組織因子を阻害しうる請求項1又は2に記載の抗体又は請求項6に記載の断片、及び薬学的に許容しうる担体を含む、医薬組成物。
  18. 凝固若しくは血栓疾患の治療又は予防に使用するための請求項17に記載の医薬組成物。
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