JP4423482B2 - レーザー捕捉顕微解剖用の消耗品 - Google Patents
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Description
ほんの数秒で組織から小さな一群の細胞を抽出できる新規な技術が開発された。この技術はレーザー捕捉顕微解剖(LCM)と言われる。レーザー捕捉顕微解剖は一段階の技術で、低エネルギーレーザーの標準的な研究室用顕微鏡と、例えば食品の包装に使用するプラスチックシールのような、透明なエチレンビニルアセテートポリマーの熱可塑性フィルムを統合したものである。
レーザー捕捉顕微解剖では試験したすべての組織で細胞の抽出に成功した。これらには腎糸球体、インサイチュー乳ガン、胸部の異型管肥厚、前立腺上皮間新形成(prostatic interepithielial neoplasia)及びリンパ小節(lymphoid follicle)が含まれる。レーザー捕捉顕微解剖が提供する細胞への直接アクセスは、早期かつより正確な疾病の検出に対する基盤形成に役立ち、ガン及び他の疾病の分子レベルにおける理解が革命的になろう。この技術の他の適切な役割は、医学研究での新たな課題である、種々の細胞型における遺伝子発現のパターンを記録することである。例えば、国立ガン研究所ガンゲノム解剖計画(the National Cancer Institute's Cancer Genome Anatomy Project、CGAP)は、正常細胞、前ガン細胞及び悪性細胞の遺伝子発現のパターンを明らかにしようとしている。CGAPのような計画では、レーザー捕捉顕微解剖が組織試料から純粋な細胞試料を得るのに役立つ手段である。
典型的な組織バイオプシー試料は5−10μm(5−10ミクロン)の組織切片から成っており、これを組織学の分野で周知の技術を使用してガラスの顕微鏡のスライド上に乗せる。この組織切片は研究している体器官の断面である。組織は種々の異なる型の細胞から成る。組織学者はさらなる分析のために、組織のごく小部分を除去しようとすることが多い。
LCMでは、組織試料の一番上に置く熱可塑性の移動用フィルムを使用する。このフィルムは有機染料を含んで製造され、この染料を、通常のAlGaAsレーザーダイオードの放射領域と重複するスペクトルの赤外に近い領域を選択的に吸収するように選択する。収束したレーザービームをフィルムに当てると、当たった領域がレーザーで加熱されて溶融し、ビームを当てた領域の組織に接着する。次いでフィルムが組織から引き上げられ、組織のうちの選択した部分がフィルムと共に除去される。
LCM技術で使用する熱可塑性のEVAフィルムは染料、例えば赤外ナフタロシアニン染料でドーピングされてきており、この染料はAldrich Chemical Company (染料番号43296−2又は39317−7)から入手可能である。これらの染料は800nm領域に強い吸収を有し、波長領域がフィルムを選択的に溶融するのに使用するレーザーエミッターと重複する。この染料を溶融したバルクプラスチックと高温で混合する。染色したプラスチックを次いで標準的なフィルム形成技術を使用してフィルムに形成する。プラスチック中の染料の濃度は約0.001Mである。
LCMを適用する場合に使用するフィルムはこの操作については満足すべきものであることが分かっているが、いくつかの欠点がある。染料を含浸させたフィルムの光吸収は厚さの関数である。フィルムのこの性質は、他の理由からフィルムの厚さを選択しようとする場合に対立することがある。
フィルムの吸収特性を変更するのに使用する有機染料が、有害な光化学作用を生じる場合がある。この結果LCM試料が汚染される可能性がある。さらに、現在使用されている有機染料は同時に使用するレーザー光の波長に対して感受性であり、従ってフィルムは使用するレーザーに適合しなければならない。
本発明のこれらの観点及び他の観点は、以下の説明及び添付の図を組み合わせて考慮すると、よりよくわかり理解されるであろう。しかしながら、以下の説明は本発明の好ましい態様を示し、その多くの特定の細部を示すものであるが、これらは説明のためにあるものであって制限するものではないことを理解すべきである。本発明の精神から離れずにその範囲内で多くの変化や変更を行うことができ、本発明はこのようなすべての変更を含む。
米国特許出願 60/037,864号、1997年2月7日出願(事件番号ARCT−002)、米国特許出願 08/797,026号、1997年2月7日出願、米国特許出願 08/800,882号、1997年2月14日出願、米国特許出願 60/060,731号、1997年10月1日出願、及び米国特許出願 60/060,732号、1997年10月1日出願の全内容を参考として本出願にそれらが完全に記載されているように本明細書に明確に取り込む。
図1A−1Cにおいて、平板100が記載されている。平板100を金属、ガラス、セラミック又は以下に記載する後処理工程に適するあらゆる材料から製造することができる。好ましい態様において、平板100はガラスの顕微鏡スライドである。平板100の上面101が平面であることが重要である。記載した態様では何もない顕微鏡スライドを示しているが、平板は被覆することができ、そうしない場合は最初の処理工程で表面を処理する。
剥離剤は適切な非接着性材料であればいずれでもよく、例えばシリコーン又はTEFLON(すなわちポリテトラフルオロエチレン)である。有利には、剥離被覆は界面活性剤であることができ、それは接触することとなる液体の接触角を大きくする。最初に上面101によって提供された平面性を剥離剤210が維持し広げることが重要である。好ましい態様において、剥離剤210は界面活性剤、例えばRAIN−Xを含むシリコーンを含むことができる。
図3A−3Dにおいて、試料担体300が記載されている。試料担体300は上の部分310及び下の部分320を有している。上の部分310は上面315と外部外辺部317及び肩319を含む。下の部分320はフレア322、内辺外辺部324、テーパー326及び基盤表面328を含む。
試料担体300は透明な光学特性の重合性キャップであることができる。例えば、キャップはポリカーボネート、又は他の適切な光学的に透明なプラスチックから製造することができる。しかしながら、キャップが製造されるポリマーの吸収特性が、レーザーエネルギーの捕捉フィルムへの適切な伝達に適合していれば、キャップは光学的に透明である必要はない。
LCM移動用フィルム400は薄いことが有利である。例えば、50μm(ミクロン)の厚さのフィルムは100μm(ミクロン)の厚さのフィルムより好ましい。しかしながら、約500、400、300、200、50μm(ミクロン)又はそれより薄い厚さで有利に製造することができる。
図6A−6Cでは、真空高温焼成の処理工程中にある、平板100に4個の試料担体300を乗せたものが記載されている。真空高温焼成処理によりEVAは軟化し、溶融しかつ流動することによって、剥離剤210によって与えられた実質的に平面の表面に一致する。このようにして、平板100が有している平面性がLCM移動用フィルム400に移動する。これは捕捉した空気も排除する。
フィルムの高温真空焼成は穏やかな真空で行うことができる。好ましい態様では、高温注型成形は1.3hPa(1トール)、95℃、約1時間で起こる。
剥離被覆はシリコーンであることができる。これとは別に剥離被覆はポリテトラフルオロエチレンであることができる。
本明細書を通じて、記述的な語句である“移動用フィルム担体”を“試料担体”という語句に置き換えることができる。一般に、移動用フィルム担体は移動用フィルムを担持する。移動用フィルムに移動される試料の部分だけが担体に担持される。
好ましい態様において、キャップの大きさを標準的なミクロ遠心管に合わせる。LCM移動用フィルムをキャップに、接着剤を使用し、又はプラスチックを溶着させることにより、又は他の機械的な手段によりフィルムを適切に保持して取り付けることができる。
キャップの側壁はネガティブドラフトを有することができる。ネガティブドラフトを加工してキャップが製造される装置にすることができる。
分析用の組織をキャップの底に捕捉した後、キャップを蛋白質分解酵素(すなわちプロテアーゼ、例えばトリプシン)を含むミクロ遠心管の上に置き、この管を反転させる。次いで組織が溶解し、DNAが遊離して溶液中に流出する。次いで溶液を管の外に吸い出してPCR混合物に移す。
LCM移動用フィルムの厚さは20%、好ましくは5%以内に保持されるべきである。底はLCM移動用フィルムの照射された表面であり、捕捉表面と言うこともできる。LCM移動用フィルムの平面性は約5μm(ミクロン)、好ましくは約1μm(ミクロン)以内に保持すべきである。フィルムの平面性は、λ/2で増加するフリンジ数(number of fringes)に基づいてただちに特徴づけられる。LCM移動用フィルムの平面性は、540nmのλによって与えられるフリンジ当たり1/4μm(ミクロン)にほぼ等しい二つの波の間に保持されるべきである。
エチレンビニルアセテート中の染料はレーザーエネルギーを吸収する。エチレンビニルアセテートは液相に変換し、目的の細胞構造に浸入し、次いで固まる。
組立体を製造するのに使用する特定の製造方法は廉価で再現性がなければならない。本発明の製造をすべての被覆及び焼成方法を使用することによって簡便に実施することができる。方法は汚染物のない環境で行われることが好ましい。製造操作に関して、自動化方法を使用することがさらに有利である。
しかしながら、製造方法が記載した組立体を提供する限り、組立体を製造するのに使用する特定の製造方法は、本発明にとって必須ではない。本発明を行い又は使用する者は通常、装置及びエネルギーの要件、最終製品の期待する適用要件、及び全体的な製造工程に対する要望に基づいて製造工程を選択するであろう。
しかしながら、材料が記載した機能を提供する限り、キャップ用に選択した特定の材料は本発明にとって必須ではない。本発明を行い又は使用する者は通常、コスト及び入手可能性、最終製品の期待する適用要件、及び全体的な製造工程に対する要望に基づいて市場で入手可能な最良の材料を選択するであろう。
LCM移動用フィルムはいかなる適切なプラスチックであってよい。例えば、LCM移動用フィルムは一又は複数のEVA;ポリウレタン(PU);ポリビニルアセテート;エチレン−メチルアアクリレート(EMAC);ポリカーボネート(PC);エチレン−ビニルアルコールポリマー(EVOH);ポリプロピレン(PP);及び発泡性又は汎用ののポリスチレン(PS)を含むことができる。ELVAX410、200及び205は、DuPontから市場で入手可能なEVAの適切な樹脂であり、この操作上の変数はビニル基の量である。
LCM移動用フィルムは散乱媒体をも含むことができる。LCM移動用フィルムは試料の極めて近くに存在するので、散乱物質が影を減少させ、これによって映像化の工程が改良される。散乱媒体は拡散材料を含むことができる。例えば、LCM移動用フィルムを小さな粒子材料に負荷させることができ、これが照明光を散乱させて影を最小化し、かつLCM線に悪影響を与えずに映像化を改良する。他の方法として、移動用フィルムは同様の作用をする二色性のゼラチン(DCG)を含むことができる。DCGは照射されて発色して移動用フィルムの中で特定の散乱特性の形成剤として提供することができる。
非接触性LCM移動用フィルム及び/又は担体を組み立てるための方法は多数存在する。非接触性LCMを使用することの目的は、組織のLCMフィルムへの非特異的な結合に伴う問題点を排除する方法を提供することである。より詳細には、試料スライドが緩く付着した細胞の部分を有していると、LCMフィルムへの非特異的な付着に起因して、試料のこれらの部分が誤ってスライドから持ち上げられる。すなわち、これらの部分が、レーザーで照射されていないのにフィルムに結合することとなる。これらの部分を試薬管に移すと、これらが試薬で消化されて試料中の汚染物として現れることになる。緩く結合した組織の部分をフィルムと接触させないことが重要である。
数マイクロメートル(ミクロン)“離れている”非接触性のLCM移動用フィルムを製造する技術の一つは、数マイクロメートル(ミクロン)高い一連の台座を創製することであり、それにより基礎となるキャップに対して一連の離れたものを提供することができる。これらの台座を、移動用フィルムの角に収束したレーザー光を照射することによって創製することができる。レーザー光により、通常は平面であるフィルムが、収束した領域においてこの領域が盛り上がって歪められる。移動用フィルム担体の縁に位置する点を有する正三角形の頂点にこれらの台座を置くことにより、良好な三点取付を提供できる。これらの台座の高さは、収束したレーザー光の出力とパルス長を変化することによって調整できる。直径はレーザー光の直径を変化することによって調整できる。照射レベルは組織移動に使用されるレベルと同様であり、約10−90ミリセコンド当たり10−90mWである。(台座を創製する場合に、フィルムがガラススライドと接触しているときにフィルムを照射することが有用である。)試薬バイアルを、台座に接触する内部縁を有するように構成することができ、台座を試薬からシールし、これにより台座の上に存在する可能性のある組織が試料を汚染するのを防ぐ。
部材710の目的は、極微小のレーザースポットの大きさのものを除き、LCMを使用する組織試料から単一細胞を選択する付加的な方法を提供することである。LCM移動用フィルム中に作られる部材710は、所望の細胞とほぼ同じ大きさであることができる。部材710はフィルム表面から数マイクロメートル(ミクロン)広がることができる。
フィルム700自体は、キャップの周囲を通る突き出し部材730によって約5から約10μm(ミクロン)の距離で、細胞から離しておくことができる。フィルムの平面を安定化するために、突き出し部材はフィルムの外辺部の少なくとも三点に沿って伸びる必要があるが、連続する縁である必要はないことが理解されよう。
所望の細胞740を得るための隆起(盛り上がった部分720)は、直径がほぼ5〜20μm(ミクロン)のLCMフィルムの小さな盛り上がった部分を含むことができる。レーザー光が750がこの部分を加熱すると、盛り上がった部分720が組織にまず接触するが、周囲の隣接するフィルム領域が組織と接触しないようにレーザーの出力を調整することができる。従って、レーザー光の位置、大きさ及びモードによって行われた空間的な区分に加えて、盛り上がった部分720が空間的な区分を行う。部材710の利点は、大きなレーザー光を使用することができ、また、研究者又は研究所の技術者が単一細胞の離昇(lift-off)を従来どおり行えることである。フィルムの盛り上がった部分(盛り上がった部分720)を周囲の平面フィルム部分より高い温度まで加熱する。突き出した部材730(すなわち縁)は加熱しない。このことにより、この部材のこの領域の細胞が排他的に捕捉される可能性が増加することにもなる。もちろん、盛り上がった部分720が突き出した部材730より突き出さないことが有利である。
試料から離れてフィルムを保持する構造部材(すなわちスペーサー)を高温真空焼成して移動用フィルムとすることができる。この方法によると、この構造部材の鋳型(negative)を平板中で形成できる。次いで、この構造部材を加熱してこの部材の鋳型によって規定されたくぼみに流し込み、フィルム中に構造部材を複製する(現物(positive)として)。他の方法として、構造部材をレーザーを使用し、又は微細加工装置で、移動用フィルム中に形成することができる。
構造部材、又はスペーサーをレーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルム中に一体形成することができる。構造部材は移動用フィルムと試料の間を分離する。この分離によりフィルムは試料から離れて保持され、これにより非接触のレーザー捕捉顕微解剖が可能となる。
移動用フィルムを屈折率が合った透明な液体又は接着剤で基盤表面に結合することができる。他の方法として、試料担体と移動用フィルムの両者を原材料から同時にパンチングして移動用フィルムを基盤表面に結合することができる。フィルムを担体と両面テープで結合することも可能である。
移動用フィルムを通る線量測定が一定であるためには、組織と接触するものはすべて組織から等距離であることが必要である。このようにして、組織と移動用フィルムの間の公知の距離を確立することができる。多くの場合、このような公知の距離は、移動用フィルム表面の実質的な部分を越えて固定されている。しかしながら、知るべき距離は十分であり、固定する必要はない。組織の移動を行うためのレーザー出力を調整する目的から距離を知る必要がある。
移動用フィルムに電磁エネルギーを照射すると、フィルムは基盤表面に対して発泡して(上下の両方向)組織と接触し、これにより自体を試料中に注入する。移動用フィルムと試料の上部表面との間に空間がある場合は、(非接触レーザー捕捉顕微解剖)注入相の開始時にフィルムが試料の上部表面と接触する前に、発泡フィルムがその空間突き出す。
レーザー捕捉顕微解剖装置は上部部分910及び底の部分920を含む。上部部分910は散乱媒体930が結合することができる上部表面を含む。底の部分920は散乱媒体940を結合することができる基盤表面を含む。散乱媒体930及び940の一方又は両方を使用することができる。散乱媒体を移動用フィルム担体及び/又はLCM移動用フィルムに取り込むことができる。
標準の逆相顕微鏡用光源を使用し、散乱媒体(例えば紙片)を組織の近くにおいて光を散乱させると、結果として試料の発光が劇的に改善され、可視化が良好となる。この型の散乱媒体により試料の屈折率を合わせる必要がなくなる。このような散乱媒体により、普通の発光技術では通常隠されている細胞の核及び他の細胞下の構造を可視化することが可能になる。
散乱媒体を移動用フィルム担体及び/又はLCM移動用フィルムに直接又は間接に結合することができる。他の方法として、移動用フィルム担体及び/又はLCM移動用フィルムの表面又は内部で散乱媒体を形成することができる。散乱媒体をLCM線及び/又は発光光線を形成するように製造することができる。有効であるためには散乱媒体は試料から数ミリメートルの範囲内にあることが必要である。数ミリメートルは、1センチメートルより少なく、好ましくは5ミリメートルより少ないことを意味している。
本発明の特定の態様をさらに以下の制限するものではない実施例によって示すが、これは種々の重要な意義を有する特徴をいくらか詳細に示すのに役立つであろう。実施例は、本発明を実施するやり方を理解するのを容易にし、さらに当業者が本発明を実施するのを容易にすることのみを意図している。従って、実施例を、本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきでない。
本発明の典型的な態様において、ガラスの顕微鏡スライドをまず洗浄する。次いで、ガラスの顕微鏡スライドを、市場から入手可能なシリコーン剥離剤の薄層でスプレー被覆するが、本実施例では剥離剤は界面活性剤を含むシリコーンであり、これはただちに市場から入手可能である(すなわち、RAINEX)。一方、ミクロ遠心管キャップの形での試料担体の供給はプレキシグラスGから成形されたものである。次いで、エチレンビニルアセテート(EVA)のシートからパンチングしたLCMフィルムの円筒状チップを、任意にエポキシ接着剤でキャップの底の表面に付着させる。次いで、得られたキャップの半組立体を、剥離剤で被覆したガラスの半組立体の表面に置き、高温真空焼成する。高温真空焼成を、約1.3hPa(1トール)より下の圧力下に95℃の温度で約1時間行う。この操作が移動用フィルムを平面化する。次いで焼成した組立体を室温まで放冷する。得られた組立体は、各キャップと下にある平板との間に位置する平凹くぼみを含むことができる。この方法により、キャップの底の外辺部だけがガラス平板と接触する。このことから二つの大きな利点が生じる。第一に、LCMフィルムの作業表面は真空中でガラススライドから離れて間隔があいており、表面の損傷及び汚染がないままに残る。第二に、ガラススライドから各キャップを除去するのが容易になるが、これは、キャップの底のごくわずかな表面部分のみがガラススライドに被覆した剥離剤層に付着しているという事実による。それゆえ、キャップをスライドから除去するのに必要な力は、キャップの全底面が剥離層に接触している場合に比べてより少ない。
完成した消耗品を滅菌することができる(例えばβ線又はγ線照射で)。最後に、完成した消耗品の厳格な品質保証検査を行うべきである。
キャップを使用するまでスライドに残しておくことに多くの利点がある。これらの利点には、光学的に平らな表面を保護することが含まれる。例えば、キャップをスライドに残しておくことにより、移動用フィルムのヒドロキシル汚染が減少する。これらの利点は表面に沈着するものからの粒状物を阻止することも含む。
技術的な価値を有する本発明の実際の適用は、疾病の異なる段階における、健康及び疾病組織の両者の遺伝子発現パターンの大きなデータベースを収集することである。このデータベースはガン及び感染性疾患の病因をより完全に理解するために使用される。本発明により科学者は、遺伝子パターンを特定し、この情報を疾病の有効な診断に取り入れることができる。本発明により、医師は現実の患者の組織試料を異なる疾病の段階における患者からの確認済みのデータと比較することができ、これによって医師はより効果的な段階の治療を行い、不要な手順を廃し、患者の苦痛を軽減することができる。本発明の使用が見込まれる他の研究分野は、医薬の発見、発生生物学、法医学、植物学、及び薬剤耐性結核症のような感染性疾患の研究である。本発明の使用は事実上無数にあり、そのすべてをここで詳細に述べる必要はない。
本発明の態様を示すレーザー捕捉顕微解剖は費用の点で有効であり少なくとも以下の理由で利点がある。本発明は現在行われている方法をよりよい技術で代替するものであり、これによってより正確かつ再現性のある結果が得られる。本発明を使用して低コストの射出成形したポリマーの使い捨て製品を提供することが可能であり、この製品はレーザー捕捉顕微解剖のフィルムを、分析容器、例えばミクロ遠心管の内表面に組み込んでいる。
本明細書で記載した本発明の開示したすべての態様は、過度の実験をしなくても実現しかつ実施することができる。本発明者らが考えた本発明を実施するための最良の形をが先に記載しているが、本発明の実施はこれに制限されない。本発明の特徴の種々の付加、変形及び再構成を、根底にある発明概念の精神及び範囲から逸脱することなく、行うことができる。すなわち、本明細書で特定して記載したものとは別のやり方で本発明が実施できることを、当業者は理解するであろう。
添付のクレームはすべてのこのような付加、変形及び再構成を含むことを意図している。クレーム中に“手段”(means)という用語が使用されて限定が明白である場合を除き、手段−プラス−機能(means-plus-function)限定を含むものとしてクレームを解釈すべきではない。本発明の好適な態様は添付のサブクレームと区別される。
(請求項1) 以下を含むレーザー捕捉顕微解剖装置:
基盤表面を有する移動用フィルム担体;及び
該移動用フィルム担体の該基盤表面に結合したレーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムであって、該レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムが少なくとも一の一体的に形成した構造部材を含み、その部材が突き出して制御可能な空間を該レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムと試料の間に提供している。
(請求項2) レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムが、十分な電磁エネルギーの照射を受けて発泡しかつ基盤表面から離れて突出する材料を含む、請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項3) 散乱媒体をレーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムの近くにさらに含む、請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項4) レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムが吸収性物質を含む、請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項5) レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムが基盤表面上で高温真空焼成される、請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項6) レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムが基盤表面に屈折率が合った透明な接着剤で結合している、請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項7) 移動用フィルム担体が、移動用フィルム担体の表面で規定される遠位直径が移動用フィルム担体の内部外辺部で規定される近位直径より大きいネガティブドラフトを含む、請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項8) 移動用フィルム担体がネガティブドラフトと接触しているガードルを含む、請求項7のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項9) 移動用フィルム担体が基盤表面と接触している面取り部を含む、請求項7のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項10) レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムが500μm(ミクロン)より小さい厚さを有する、請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項11) レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムが20%以内に保持される厚さを有する、請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項12) レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムが、基盤表面に対面し、捕捉表面が5μm(ミクロン)以内に保持される平面性を有する補足表面を有する、請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項13) レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムが少なくとも一の台座を含み、この台座が突き出してレーザー捕捉顕微解剖取得領域を規定している、請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項14) レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムが突出部材を含み、この部材がレーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムの外辺部の少なくとも三点に沿って通っている、請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置。
(請求項15) 請求項1のレーザー捕捉顕微解剖装置を含むミクロ遠心管キャップ。
Claims (16)
- 以下工程を含む試料のレーザー捕捉顕微解剖顕微鏡による映像化方法。
光源を有するレーザー捕捉顕微解剖顕微鏡を用意する工程;
該顕微鏡で規定される光線通路の範囲内に散乱媒体及び試料を置き、ここで、散乱媒体は、光源と試料との間に、試料の1センチメータより小さい範囲内でまたは試料と接触して配置される、散乱媒体及び試料を置く工程;及び
該顕微鏡で試料を映像化する工程。 - 散乱媒体がレーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムに光学的に結合している、請求項1の方法。
- 移動用フィルム担体を用意する工程を更に含み、
散乱媒体は、移動用フィルム担体の上部表面に取り付けられる、請求項1の方法。 - 移動用フィルム担体を用意する工程を更に含み、
散乱媒体は、移動用フィルム担体の基盤表面に取り付けられる、請求項1の方法。 - 移動用フィルム担体を用意する工程を更に含み、
散乱媒体は、移動用フィルム担体に取り付けられる、請求項1の方法。 - 移動用フィルム担体を用意する工程を更に含み、
散乱媒体を、移動用フィルム担体の内部に配置する、請求項1の方法。 - 移動用フィルム担体を用意する工程と、
移動用フィルム担体に取り付けられたレーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムを用意する工程と、を更に含み、
散乱媒体は、レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムに組み込まれている、請求項1の方法。 - 移動用フィルム担体を用意する工程と、
移動用フィルム担体に取り付けられたレーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムを用意する工程と、を更に含み、
散乱媒体は、レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムの表面に配置される、請求項1の方法。 - 光源と、
散乱媒体と、を含むレーザー捕捉顕微解剖システムであって、
散乱媒体が、システムで規定される光線通路の範囲内で、光源と映像化される試料との間に、試料の1センチメータより小さい範囲内でまたは試料と接触して配置される、レーザー捕捉顕微解剖システム。 - 散乱媒体に光学的に結合しているレーザー捕捉顕微解剖フィルムを更に含む、請求項9のシステム。
- 移動用フィルム担体を更に含み、散乱媒体は、移動用フィルム担体の上部表面に取り付けられている、請求項9のシステム。
- 移動用フィルム担体を更に含み、散乱媒体は、移動用フィルム担体の基盤表面に取り付けられている、請求項9のシステム。
- 移動用フィルム担体を更に含み、散乱媒体は、移動用フィルム担体に取り付けられている、請求項9のシステム。
- 移動用フィルム担体を更に含み、散乱媒体は、移動用フィルム担体の内部に配置される、請求項9のシステム。
- 移動用フィルム担体と、レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムとを更に含み、フィルムは、移動用フィルム担体に取り付けられ、散乱媒体は、レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムに組み込まれている、請求項9のシステム。
- 移動用フィルム担体と、レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムとを更に含み、散乱媒体は、レーザー捕捉顕微解剖の移動用フィルムの表面に配置される、請求項9のシステム。
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