以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、電子写真方式でタンデム型のカラー画像形成装置(カラープリンタ)である。
この画像形成装置は、イエロー色の画像を形成する画像形成部1Yと、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部1Mと、シアン色の画像を形成する画像形成部1Cと、ブラック色の画像を形成する画像形成部1Bkの4つの画像形成部(画像形成ユニット)を備えており、これら4つの画像形成部1Y,1M,1C,1Bkは、一定の間隔をおいて一列に配置される。さらにそれらの下方にカセット17や手差しトレイ20を配置し、記録媒体を搬送するための給紙ガイド18やレジストローラ19を縦に配置し、その上方に定着ユニット16を配置する。
各画像形成部1Y,1M,1C,1Bkには、それぞれ像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムという)2a,2b,2c,2dがそれぞれ設置されている。各感光ドラム2a,2b,2c,2dの周囲には、一次帯電器3a,3b,3c,3d、現像装置4a,4b,4c,4d、転写ローラ5a,5b,5c,5d、ドラムクリーナ装置6a、6b、6c、6dがそれぞれ配置されている。こうした画像形成部1Y,1M,1C,1Bkの下方には、レーザ露光装置7が設置されている。レーザ露光装置7は、画像情報を表す時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザ発光部、ポリゴンレンズ、反射ミラー等で構成される。
感光ドラム2a,2b,2c,2dは各々、負帯電のOPC感光体であり、アルミニウム製のドラム基体上に光導電層を有しており、駆動装置(不図示)によって矢印方向(時計回り方向)に所定のプロセススピードで回転駆動される。一次帯電器3a,3b,3c,3dは各々、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって各感光ドラム2a,2b,2c,2dの表面を負極性の所定電位に均一に帯電する。レーザ露光装置7から発光されたレーザ光が、各感光ドラム2a、2b、2c、2dに照射されることによって、各一次帯電器3a,3b,3c,3dで帯電された各感光ドラム2a,2b,2c,2dの表面に、画像情報に応じた各色の静電潜像が形成される。レーザ露光装置7の詳細構成に関しては後述する。
各現像装置4a,4b,4c,4dには、それぞれイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーが収納されていて、各現像装置4a,4b,4c,4dは、各感光ドラム2a,2b,2c,2d上に形成された各静電潜像に各色のトナーを付着させ、これによってトナー像として現像(可視像化)する。
転写ローラ5a,5b,5c,5dは、各一次転写部32a〜32dにて、中間転写ベルト8を介して各感光ドラム2a,2b,2c,2dに当接可能に配置されており、各感光ドラム2a,2b,2c,2d上のトナー像を中間転写ベルト8上に順次転写し、重ね合わせていく。ドラムクリーナ装置6a、6b、6c、6dは各々、クリーニングブレード等で構成され、感光ドラム2a,2b,2c,2d上の一次転写時の残留した転写残トナーを、感光ドラム2a,2b,2c,2dからそれぞれ掻き落とし、感光ドラム2a,2b,2c,2dの表面を清掃する。
中間転写ベルト8は、各感光ドラム2a,2b,2c,2dの上面側に配置されて、二次転写対向ローラ10とテンションローラ11との間に張架されている。二次転写対向ローラ10は、二次転写部34において、中間転写ベルト8を介して二次転写ローラ12と当接可能に配置されている。なお中間転写ベルト8は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルムのような誘電体樹脂によって構成されている。
中間転写ベルト8に転写された画像は、二次転写部34において、カセット17から搬送された記録媒体上に転写される。
中間転写ベルト8の外側で、テンションローラ11の近傍には、中間転写ベルト8の表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング装置(図示せず)が設置されている。
以上説明したプロセスにより各トナーによる画像形成が行われる
給紙を行うユニットは、記録媒体Pを収納するためのカセット17、手差しトレイ20、カセット17または手差しトレイ20から記録媒体Pを一枚ずつ送り出すためのピックアップローラ13,14、ピックアップローラ13,14から送り出された記録媒体Pをレジストローラ19まで搬送するための給紙ローラ(不図示)、給紙ガイド18、そして、画像形成部1Y,1M,1C,1Bkの各画像形成タイミングに合わせて記録媒体Pを二次転写部34へ送り出すためのレジストローラ19から成る。
二次転写部34において記録媒体上に転写された画像を定着させるための定着ユニット16は、内部にセラミックヒータ基板などの熱源を備えた定着フィルム16aと、熱源に前記フィルムをはさんで加圧される加圧ローラ16b(このローラに熱源を備える場合もある)とから成る。また、定着ユニット16の搬送路前後には、上記ローラ対16a,16bのニップ部31へ記録媒体Pを導くためのガイド(不図示)と、定着ユニット16から排出された記録媒体Pを排紙トレイ22に導き出すための外排紙ローラ21とが配設される。
画像形成装置の動作制御を行なうための制御ユニットは、画像形成装置内の機構の動作を制御するための制御基板(不図示)や、モータドライバ基板(不図示)などから成る。
図2は、画像形成装置におけるコントローラ部150および画像処理部300の構成を示すブロック図である。
図2において201は、画像形成装置全体の制御を行うCPUであり、装置本体の制御手順(制御プログラム)を記憶した読み取り専用メモリ(ROM)203から該プログラムを順次読み取り、実行する。CPU201のアドレスバスおよびデータバスは、バスドライバ・アドレスデコーダ202を介して各構成部に接続されている。204は、入力データの記憶やCPU201への作業用記憶領域の提供を行うランダムアクセスメモリ(RAM)である。
206はI/Oインターフェースであり、該I/Oインターフェース206に接続される入出力装置としては、ユーザによって操作されるキー入力部や画像形成装置の状態等を表示する液晶またはLED表示部からなる操作パネル151、給紙系、搬送系、光学系の駆動を行うモーター類207、クラッチ類208、ソレノイド類209、記録媒体の搬送を検知するための紙検センサ類210、現像装置4a,4b,4c,4d内のトナー量を検知するためのトナーセンサ211、各機構部分のホームポジションやドアの開閉状態等を検知するためのスイッチ類212、CPU201の指示に従って一次帯電器3a,3b,3c,3d、現像装置4a,4b,4c,4d、転写前帯電器、転写帯電器、分離帯電器へ高圧を出力するための高圧制御部213、そして後述のビーム検知センサ214がある。
300は画像処理部であり、パーソナルコンピュータ106などから出力された画像信号に対して画像処理を行い、PWM部215へ画像データを出力する。PWM部215は、受け取った画像データに基づきパルス幅変調を行って、レーザユニット117へ制御信号を出力する。レーザユニット117は、制御信号に基づき各色に対応したレーザ光を発光し、感光ドラム2a,2b,2c,2dにそれぞれ照射する。
感光ドラム2a,2b,2c,2dの各非画像領域には、ビーム検知センサ214がそれぞれ設けられ、これらによって各色に対応したレーザ光の発光状態がそれぞれ検知され、その出力信号がI/Oインターフェース206に入力される。
図3は、レーザ露光装置7の内部の走査光学式装置の構成と各画像形成部1Y,1M,1C,1Bkとを示す図である。
レーザ露光装置7は、1つのポリゴンミラー50を用いて4本の照射光E1〜E4を発射し、各感光ドラム2a,2b,2c,2dを露光する方式である。図3において、ポリゴンミラー50は、レーザ発光ビームを偏向走査する。53a〜53c,54a〜54cは各々、f−θレンズであり、レーザ発光ビームを各感光ドラム2a,2b,2c,2d上に等速走査させるとともに、スポット結像させるものである。51a〜51c,52a〜52cは、レーザ発光ビームを所定の方向へ反射するための折り返しミラー、59は、レーザ露光装置7の各光学部品を格納する光学箱である。
レーザ露光装置7での光学的な配置では、中央にポリゴンミラー50を配置しており、各感光ドラム2a,2b,2c,2dへのレーザ発光ビームの光学パスは、左右対称形状であるため、以下の説明においては、照射光E1、E2に関連する構成部分についてだけ説明する。
図4及び図5は、レーザ露光装置7の構成のうち、照射光E1、E2に関連する部分を示す図であり、図4は、ポリゴンミラー50での2つのレーザ発光ビームの反射位置が同一である場合、図5は、ポリゴンミラー50での2つのレーザ発光ビームの反射位置が異なる場合を示す。また図6は、ポリゴンミラー50における法線方向と回転方向とで定義される基本平面(X−Y平面)におけるポリゴンミラー50および光路を示す図である。以下、これらの図を参照しながら説明を進める。
レーザ露光装置7の走査式光学装置は、小型化を達成するために薄型ポリゴンミラーを使用した斜入射光学系である。斜入射光学系でのレーザ光は、ポリゴンミラー50を出射した後で上下の各光路に分離して照射光E2、E1とするために、図4及び図5に示すように、基本平面(図6のX−Y平面)に対して+θおよび−θの角度で出射する。一般的に、前記斜入射角度θは、画像性能上3°以下が良いとされている。また、上下の各光路が基本平面に対して必ずしも等しくなくともよいが、本実施の形態では、光学的な特性を揃えるため、両者を同一の角度としている。
ポリゴンミラー50での2つのレーザ発光ビームの反射位置は、図4に示すように同一であっても、また図5に示すようにミラー面高さ方向にずれていてもよい。なお、ポリゴンミラー50での反射位置を、図5に示すように距離Δxだけずらすことで、折り返しミラー52bの位置を、よりポリゴンミラー50側に配置することが可能となる。
ポリゴンミラー50から出射した2本のレーザ光は、f−θレンズ(第1の結像レンズ)53aを通過し、上側のレーザ光(照射光E2)は折り返しミラー52bで下方向に反射される。f−θレンズ(第1の結像レンズ)53aには、レーザ光が互いに異なる角度で入射するため、f−θレンズ(第1の結像レンズ)53aはシリンダレンズで構成されており、副走査方向へは、それぞれの光路に配置されたf−θレンズ(第2及び第3の結像レンズ)53b,53cを使って結像させる。上側のレーザ光(照射光E2)は、下側のレーザ光(照射光E1)と交差して下方に向かい、途中に設けられたf−θレンズ(第2の結像レンズ)53bを通過した後に、光学箱59下面に配置された折り返しミラー52cによって反射され、感光ドラム2c上に照射される。
下側のレーザ光(照射光E1)は、f−θレンズ(第3の結像レンズ)53cを通過した後に折り返しミラー52aで反射され、感光ドラム2dへ照射される。
折り返しミラー52a〜52cは、各部品公差やポリゴンモータの面倒れ等によって2本のレーザ光の光束にケラレが発生しない位置に配置されている。
なお、本実施の形態における光路長より長い光路長で構成される光学系の場合、外側に配置された感光ドラム2a,2dを照射する光路に対しても、内側に配置された感光ドラム2b,2cを露光する場合と同様に、2枚の折り返しミラー(第1及び第2の折り返しミラー)を配置して、照射光E1,E4が、自身の照射光と交差する構成であってもよい。その場合、f−θレンズ(第3の結像レンズ)53cを、ポリゴンミラー50から第1の折り返しミラーまでの光路ではなく、第1の折り返しミラーから第2の折り返しミラーまでの光路に配置するようにしてもよい。
なおまた、f−θレンズ(第2の結像レンズ)53bを、折り返しミラー52cから感光ドラム2cまでの光路に配置することも考えられるが、折り返しミラー52cにて感光ドラム2c上での照射位置調整を行なうので、このように配置されたf−θレンズ(第2の結像レンズ)53bに入射されるレーザ光の位置が変わり、光学性能も変化してしまう可能性がある。そうした理由から、本実施の形態では、f−θレンズ(第2の結像レンズ)53bを、折り返しミラー52bから折り返しミラー52cまでの光路に配置するようにしており、これによって、折り返しミラー52cにて感光ドラム2c上での照射位置調整を行なっても光学性能が変化してしまうことがなく、且つ折り返しミラー52bから折り返しミラー52cまでの光路に配置することでコンパクト化を達成している。
また、上側のレーザ光(照射光E2)を折り返しミラー52bで下方向に反射させ、且つ折り返しミラー52cで、ポリゴンミラー50からの全てのレーザ発光ビームを横切る光路を形成することで、光学系をコンパクト化できる。一方、折り返しミラー52bと折り返しミラー52cとの間にf−θレンズ(第2の結像レンズ)53bを配置することで、折り返しミラー52b,52cの長手方向の長さを短くすることができるとともに、f−θレンズ(第2の結像レンズ)53bを配置する上で空間を有効に利用でき、レーザ露光装置7を薄型化することができる。なお本実施の形態における構成は、1つのレーザダイオードチップから複数のレーザ光を発光する構成においても適用でき、同様の効果が得られる。
図7は、レーザ露光装置7のX−Y平面図である。
図7において、ビーム検知センサ214は、レーザユニット117の基板上に実装されており、画像形成部1Bkの感光ドラム2dの走査開始側に取り付けられている。
画像形成部1Bkの感光ドラム2d以外へのレーザ露光走査も、ビーム検知センサ214でのビーム検知信号に基づき行われる。図7に示すように、レーザユニット117から発光されたレーザ光を同じ方向からポリゴンミラー50に照射した場合は、画像形成部1Yの感光ドラム2a及び画像形成部1Mの感光ドラム2bへのレーザ露光走査は、主走査の後端側から露光することになり、画像形成部1Cの感光ドラム2c及び画像形成部1Bkの感光ドラム2dへのレーザ露光走査とは逆方向となる。このため、画像形成部1Yの感光ドラム2a及び画像形成部1Mの感光ドラム2bへのレーザ露光走査用ビデオデータの1ライン分をLIFO(Last In First Out)メモリ等に入れ、レーザ露光走査の順番を入れ替えるようにする。
なお、レーザ光がポリゴンミラー50に対して同じ方向から照射されるのでなく、画像形成部1Yの感光ドラム2a及び画像形成部1Mの感光ドラム2bに対して照射されるべきレーザ光のポリゴンミラー50に対する入射方向が、画像形成部1Cの感光ドラム2c及び画像形成部1Bkの感光ドラム2dに対して照射されるべきレーザ光のポリゴンミラー50に対する入射方向と逆方向になるようにすれば、LIFOを用いる必要はない。
次に図8を参照してレーザ露光装置7に含まれるレーザ駆動回路の説明を行う。
図8は、レーザ露光装置7に含まれるレーザユニット117の構成を示す回路図である。
図8において73は、1ビームを出力するレーザチップであり、レーザダイオード73Aと、レーザダイオード73Aの光量を検出するフォトダイオードセンサ(以下「PDセンサ」と呼ぶ)73Bとから構成される。レーザダイオード73Aには、バイアス電流源71Aとパルス電流源72Aとが並列に接続され、これによって、レーザダイオード73Aの発光特性の改善を図っている。また、レーザダイオード73Aの発光を安定化させるために、PDセンサ73Bからの出力信号を用いてパルス電流源72Aに帰還をかけ、レーザダイオード73Aの発光量が目標値になるように、パルス電流源72Aからのパルス電流量を制御する。
すなわち、この帰還制御の実行時には、シーケンスコントローラ77がスイッチ81をONにするとともに、OR論理素子70Aに高レベル信号を出力してスイッチ79AをONにして、フィードバックループを形成する。このフィードバックループが形成されると、バイアス電流源71Aとパルス電流源72Aとからの電流の和がレーザダイオード73Aへ流れ、レーザダイオード73Aが発光する。その時のレーザダイオード73Aの発光量をPDセンサ73Bが検出し出力する。そのPDセンサ73Bからの出力信号が電流電圧変換器74に入力され、ついで増幅器75で増幅され、APC(Auto Power Control)回路76Aに入力される。このAPC回路76Aは、増幅器75から送られた電圧値に基づき、レーザダイオード73Aの発光量が目標値になるように、パルス電流源72Aに制御信号を供給する。
レーザダイオード73Aは温度特性を持っており、一定の光量を発光するためには、温度が高くなるほど、供給されるべき電流量が多くなる必要がある。また、レーザダイオード73Aは自己発熱するため、一定量の電流を供給するだけでは一定の光量を発光し続けることができず、これらが画像形成に重大な影響を及ぼす。このことを解決するために、APC回路76Aが、1走査毎の感光ドラム2a,2b,2c,2dへのレーザ光の各照射の間欠期間において、スイッチ81及びスイッチ79AをONにしてフィードバックループを形成するとともに、レーザダイオード73Aの発光量が一定の目標値になるようにパルス電流源72Aの出力電流量を制御している。
こうして発光量が一定値に制御されたレーザダイオード73Aからのレーザ発光を、画像データの入力されたPWM部215からのパルス幅変調信号でON/OFFすることで画像形成が行われる。すなわち、PWM部215からのパルス幅変調信号がOR論理素子70Aに入力され、パルス幅変調信号が高レベルになっている間だけスイッチ79AがONになってレーザ発光が行われ、画像形成が行われる。
ところで、タンデム式の画像形成において、感光ドラム2a,2b,2c,2dの相互間で発生する各画像の倍率差を、本発明におけるPWM部215は、補助画素を追加することによって解消する。これを、図9を参照して説明する。
図9〜図11は、画像倍率差を解消するべくPWM部215で行われる補助画素の追加手順を示す図である。
ここで、1画素はχビットで周波数変調されたデータ列から構成されているものとする。すなわち、1画素はχビットの画像情報によって構成されている。図9〜図11に各画素はすべて、同一の主走査ライン内に存在するものである。
まず図9において、補助画素(χビット)を追加するべく、第1番目(左側)の画素と、隣接する第2番目(中央)の画素との間で、1ビット分の追加を行う。すなわち、第1番目の画素を構成する(l−1)番目の第1ビット〜第χビットのうち最終の第χビットと同じ値を、第2番目の画素の先頭の第1ビットに追加し、第2番目の画素の第2ビット〜第χビットに、(l)番目の第1ビット〜第(χ−1)ビットの各値を入れる。したがって、次の第3番目(右側)の画素の先頭の第1ビットには、(l)番目の最終の第χビットの値が入れられ、第3番目の画素の第2ビット〜第χビットに、(l+1)番目の第1ビット〜第(χ−1)ビットの各値が入れられる。
図10は、図9に示す1ビット分の追加の後に、1ビット分の追加を行う場合を示す。
すなわち、図10に示す第1番目(左側)の画素は、(m−2)番目の第χビットと、(m−1)番目の第1ビット〜第(χ−1)ビットで構成されるものとし、第1番目の画素と、隣接する第2番目(中央)の画素との間で、1ビット分の追加を行う。つまり、第1番目の画素の最終の(m−1)番目の第(χ−1)ビットと同じ値を、第2番目の画素の先頭の第1ビットに追加し、第2番目の画素の第2ビットに、(m−1)番目の第χビットの値の入れるとともに、第2番目の画素の第3ビット〜第χビットに、(m)番目の第1ビット〜第(χ−2)ビットの各値を入れる。したがって、次の第3番目(右側)の画素の先頭の第1ビットには、(m)番目の第(χ−1)ビットの値が入れられ、第2ビットには、(m)番目の第χビットの値が入れられ、第3ビット〜第χビットに、(m+1)番目の第1ビット〜第(χ−2)ビットの各値が入れられる。
図11は、図10に示す1ビット分の追加の後に、さらに(χ−3)ビット分の追加が行われた状態において、最後の1ビットの追加が行われて補助画素(χビット)の追加が完了する場合を示す。
すなわち、図11に示す第1番目(左側)の画素は、(n−2)番目の第2ビット〜第χビットと、(n−1)番目の第1ビットで構成されるものとし、第1番目の画素と、隣接する第2番目(中央)の画素との間で、1ビット分の追加を行う。つまり、第1番目の画素の最終の(n−1)番目の第1ビットと同じ値を、第2番目の画素の先頭の第1ビットに追加し、第2番目の画素の第2ビット〜第χビットに、(n−1)番目の第2ビット〜第χビットの各値を入れる。
次の第3番目(右側)の画素の第1ビット〜第χビットには、(n)番目の第1ビット〜第χビットの各値が入れられる。
したがって、本来(n)番目の第1ビット〜第χビットの各値で構成されるべき第2番目の画素が、(n−1)番目の第1ビット〜第χビットの各値で構成され、また本来(n+1)番目の第1ビット〜第χビットの各値で構成されるべき第3番目の画素が、(n)番目の第1ビット〜第χビットの各値で構成されることになり、χビットからなる1画素分の補助画素が追加されたことなる。
なお、上記の例では、1ビットずつ追加を行うようにしているが、複数ビットずつ追加を行うようにして、最終的に1画素分の補助画素を追加するようにしてもよい。
以上のように、隣り合った画素の数ビットのデータだけを流用して数ビットの追加を行って、最終的に1画素分の補助画素を追加するようにするので、画像の中に1画素分のまとまったスペース(空白)を入れることなく画像の拡大を行うことが可能となる。
なお、数ビットずつ削除を行って、最終的に1画素分の画素を削除するようにすれば、画像品質を劣化させることなく画像の縮小を行うことが可能となる。
次に、補助画素の追加開始タイミングと画像のずれ量との関係を、図12〜図14を参照して説明する。
図12〜図14は、補助画素の追加開始タイミングを主走査ラインごとに設定した場合における画像のずれ量を説明すべく、各主走査ラインと、該ラインを構成する各画素とを示す図である。なお、以下の説明では、補助画素の追加開始タイミングをX、補助画素の追加間隔をY、各画素の間で挿入される補助画素を1/16画素(χ=16としたときの1ビット分)とする。
図12においては、補助画素挿入間隔Yが10画素とされ、補助画素の挿入開始タイミングXが、各主走査ラインとも第1画素直後に設定されている。この場合、図12から分かるように、各主走査ラインにおいて、主走査方向(図12の左右方向)の同一位置で補助画素が挿入され、その位置で画像倍率(サイズ)が変わる。このような画像倍率の変化は、色味変動やモアレ画像と呼ばれる画像劣化を引き起こす原因となる。
図13においては、補助画素挿入間隔Yが10画素とされ、補助画素の挿入開始タイミングXが、第1主走査ラインでは第1画素直後に設定され、第2主走査ラインでは第20画素直後に設定され、第3主走査ラインでは第12画素直後に設定され、第4主走査ラインでは第31画素直後に設定される。この場合、図12に比べて、各主走査ラインにおいて補助画素の挿入開始タイミングXが変化しているため、各主走査ラインにおける主走査方向(図13の左右方向)の特定位置で補助画素が挿入されることはない。
しかし、第1主走査ライン及び第3主走査ラインにおける第22画素の各終了時点のズレ量aが、2/16画素分となる。また、第1主走査ライン及び第4主走査ラインにおける第32画素の各終了時点のズレ量bが、3/16画素分となる。このような画像のズレも色味変動やモアレ画像などの画像劣化を引き起こす原因となる。各主走査ラインにおける補助画素の挿入開始タイミングXの差が大きくなればなるほど、画像のズレが大きくなることは言うまでもない。
図14においては、補助画素挿入間隔Yが10画素とされ、補助画素の挿入開始タイミングXが、第1主走査ラインでは第1画素直後に設定され、第2主走査ラインでは第9画素直後に設定され、第3主走査ラインでは第10画素直後に設定される。すなわち、補助画素の挿入開始タイミングXを、第10画素直後以下に設定するようにしている。この場合、図12と比べて、各主走査ラインにおいて補助画素の挿入開始タイミングXが変化しているため、各主走査ラインにおける主走査方向の特定位置で補助画素が挿入されることはない。さらに、図13と比較すると、補助画素の挿入開始タイミングXを、第10画素直後以下のタイミングとしているため、最大の画像ズレを生じている第1主走査ライン及び第2主走査ラインにおける第12画素の各終了時点のズレ量cが、1/16画素分で済んでいる。
以上の例から分かるように、補助画素の挿入開始タイミングXを、以下のような条件で決定することで画像劣化を最小限にすることができる。
(1)補助画素の挿入開始タイミングXは、乱数などにより設定するようにして、固定した値を用いないようにする。
(2)補助画素の挿入開始タイミングXの最大値は、補助画素の挿入間隔Yの値と同じ数だけ先頭画素から主走査ラインの後続方向に離れた画素の終了タイミングとする。
こうした補助画素の挿入開始タイミングXを生成する乱数の最大値を決定する方法を、図15を参照して説明する。
図15は、補助画素の挿入間隔Yの決定及び補助画素の挿入開始タイミングXの設定、並びに画像形成を行う処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、画像形成装置におけるコントローラ部150のCPU201によって実行されるものである。
画像形成装置の電源が投入されると、画像形成装置において画像形成のための初期化処理が行われる(S1001)。その際に、本実施の形態に示すようなカラー画像形成装置の場合には、各色(Y,M,C,Bk)の色ずれ量の検知が行われる(S1002)。すなわち、色ずれ用パターン(不図示)を用いて、副走査方向、主走査方向の色ずれ量(書き出しタイミングのズレ量)、さらには主走査方向の倍率のズレ量が検知される。
ステップS1003では、ステップS1002で検知された色ずれ量(倍率のずれ量)を用いて補助画素の挿入間隔Yを算出する。
この補助画素の挿入間隔Yの算出方法を、以下に具体的な例を挙げて説明する。
例えば、総画素数が4000の画像データにおいて、イエローの画像を基準にしてマゼンタの画像が5画素分縮んでいると検知された場合を想定する。なお、1画素が16ビットに分割されているものとする(すなわち、図12〜図14で示したように、各ビット間に挿入される補助画素が1/16画素であるものとする)。
まず、5画素分の画像の縮みを補正するために追加すべき補助画素の数を、下記式で算出する。
5(画素)×16(1画素当たりの補助画素の数)=80
次に、補助画素の挿入間隔Yを、下記式で算出する。
4000÷80=50(画素)
このように、上記の例の場合、補助画素の挿入間隔Yを50画素にすべきことが求められる。なお、補助画素の挿入間隔Yの算出において整数を得られない場合は、算出された値を挟む大小2つの整数を、補助画素の挿入間隔Yとして主走査ラインごとに交互に用いるようにする。
次にステップS1004では、ステップS1004で求められた補助画素の挿入間隔Yに基づき、補助画素の開始タイミングXを生成する乱数の最大値を設定する。
すなわち、補助画素の開始タイミングXを生成する乱数の最大値を、ステップS1004で求められた補助画素の挿入間隔Y(例えば50画素)に設定する。これによって、同色での書き出しタイミングの最大のずれ量を1/16画素にすることができる。もし、乱数の最大値を50画素よりも大きく設定すると、このずれが最大2/16画素の可能性がある。
以上の設定が終了したら、画像形成装置においてプリントスタートの操作がされるのを待つ(S1005)。プリントスタートの操作がされたならば、ステップS1006へ進んで、後述する画像形成動作を行う。
この画像形成動作の際に、前述した補助画素追加動作を行い、各色の画像倍率の調整(各色の画像のずれ補正)を行う。画像形成動作が終了したら本処理を終了する。
なお、色ずれ補正動作などが行われた場合は再度、ステップS1002〜S1004を実行し、補助画素の挿入間隔Yを決定するとともに、補助画素の挿入開始タイミングXを生成する乱数の最大値を設定する。
次に、ステップS1006で行われる画像形成装置での画像形成動作について説明を行う。
画像形成装置に接続されたパーソナルコンピュータ106または画像形成装置の操作部(不図示)から画像形成開始信号が発せられると、画像形成装置において、選択されたカセット17または手差しトレイ20から記録媒体Pが給紙される。例えばカセット17から記録媒体Pが給紙された場合について説明すると、まずピックアップローラ13により、カセット17から記録媒体Pが一枚ずつ送り出される。そして記録媒体Pが給紙ガイド18の間を案内されてレジストローラ19まで搬送される。その時、レジストローラ19は停止されており、紙先端はレジストローラ19のニップ部に突き当たる。その後、画像形成部1Y,1M,1C,1Bkが画像の形成を開始するタイミングに基づいてレジストローラ19が回転を始める。このレジストローラ19の回転開始タイミングは、記録媒体Pと、画像形成部1Y,1M,1C,1Bkにより中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー画像とが、二次転写部34においてちょうど一致するように設定されている。
一方、画像形成部1Y,1M,1C,1Bkでは、画像形成動作開始信号が発せられると、各色に対応する各感光ドラム2a,2b,2c,2d上に静電潜像がそれぞれ形成される。副走査方向の画像形成タイミングは、中間転写ベルト8の回転方向において一番上流にある画像形成部1Yの感光ドラム2aから順に、各画像形成部間の距離に応じて決定され、制御される。また各感光ドラム2a,2b,2c,2dの主走査方向の書き出しタイミングについては、ビーム検知センサ214(本実施の形態では画像形成部1Bkに配置されている)の出力信号を用いて擬似ビーム検知センサ信号を生成し、この擬似ビーム検知センサ信号に基づき制御される。
なお、各感光ドラム2a,2b,2c,2d上に静電潜像を形成する際に、予め色ずれ量を検知しておき、前述した補助画素追加制御を行い、これによって、主走査方向の画像倍率を調整し、各色における画像ずれを補正する。
各感光ドラム2a,2b,2c,2d上に形成された静電潜像は、前述したプロセスにより現像される。そして一番上流にある感光ドラム2a上に形成されたトナー画像が、高電圧が印加された転写ローラ5a(一次転写用帯電器)によって中間転写ベルト8に一次転写される。一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト8の回転によって次の転写ローラ5bまで搬送される。感光ドラム2bでは、各画像形成部間をトナー像が搬送される時間だけ遅延して画像形成が行われており、転写ローラ5aによって中間転写ベルト8に一次転写されたトナー像に合わせて、感光ドラム2b上のトナー像が中間転写ベルト8に一次転写される。同様の工程が繰り返され、最終的に4色のトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。
その後、記録媒体Pが二次転写部34(二次転写ローラ12)に進入し、中間転写ベルト8に接触すると、記録媒体Pの通過タイミングに合わせて二次転写ローラ12に、高電圧が印加される。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー画像が記録媒体Pの表面に二次転写される。この二次転写後、記録媒体Pはローラ対16a,16bのニップ部31まで案内される。そして、ローラ対16a,16bの熱及びニップ部31の圧力によって、トナー画像が記録媒体Pの表面に定着される。その後、記録媒体Pは外排紙ローラ21により搬送されて排紙トレイ22に排出され、一連の画像形成動作を終了する。
なお、本実施の形態では、中間転写ベルト8の上流側から、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に画像形成部1Y,1M,1C,1Bkを配置したが、本発明は、こうした配置に限定されるものではない。また、4色のカラー画像形成装置を例にして説明したが、さらに多くの数の色に対応した画像形成部を備えたカラー画像形成装置においても、本発明は適用可能である。
〔他の実施の形態〕
なお、本発明の目的は、前述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPU、MPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体およびプログラムは本発明を構成することになる。
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。或いは、上記プログラムは、インターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることにより供給される。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。