JP4422814B2 - 気動車用補機軸受け着脱装置 - Google Patents

気動車用補機軸受け着脱装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気動車の車両床下にて補機枠に囲まれた補機軸受けを着脱する際に用いられる気動車用補機軸受け着脱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に示すように、気動車の車両床下8には、冷房圧縮機2、空気圧縮機3、充電発電機4および送風機5といった各種補機装置と共に補機軸受け6(補機駆動用機軸受けともいう)が配置されている。また、これらの周囲には補機枠7と呼ばれる金属製の枠組みが設けられている。補機軸受け6は、エンジン1の駆動軸1aの回転力をプーリに掛けられたベルトを介して上述の各種補機装置へ伝達する軸受け装置であり、重さ約70kgの重量物である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の補機軸受け6に関し、例えば補機軸受け6のベアリングが不良となったりプーリが摩耗したりした場合には、エンジン1を取り外さずに補機軸受け6だけを交換したいという要望があった。しかしながら、図7に示すように、補機枠7のうち補機軸受け6を取り囲む空間S1の下向きに開いた開口の長さL1が補機軸受け6の軸方向長さよりも短く、また駆動軸1aの配置されていた空間S2の下向きに開いた開口の長さL2も同様に補機軸受け6の軸方向長さよりも短いため、補機軸受け6を補機枠7の下方へ水平状態のまま通過させることができないという事情があった。このため、図8に示すように、一旦エンジン1及び駆動軸1aを取り外し、補機枠7の前後方向から治具9を差し込み、この治具9により補機軸受け6を取り外すという作業を行わざるを得なかった。このように補機軸受け6のみを着脱したい場合であってもエンジン1を着脱せざるを得ず、多くの作業時間と人手が必要となった。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、エンジンを取り外さなくても補機軸受けの着脱を可能とする気動車用補機軸受け着脱装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するため、本発明は、気動車の車両床下にて補機枠に囲まれた補機軸受けがエンジンの駆動軸に水平な姿勢で連結され、前記補機軸受けの周囲には各種補機装置が配設され、これらを囲むようにして前記補機枠が設けられ、前記駆動軸を前記エンジンから取り外した後には前記エンジン、前記各種補機装置、前記補機軸受けおよび前記補機枠に囲まれた駆動軸用空間(空間S2に相当)が形成され、さらに、前記補機軸受けを取り外した後には前記駆動軸用空間、前記各種補機装置、および前記補機枠に囲まれた補機軸受け用空間(空間S1に相当)が形成され、前記補機軸受けの交換時に前記駆動軸を前記エンジンから取り外した後に前記補機軸受けを前記補機軸受け用空間内では前記エンジン側に前傾させた姿勢にするとともに前記補機軸受け用空間と前記補機枠の外との間では前傾させた姿勢を保持しながら前記駆動軸用空間を経由して前記補機軸受け用空間と前記補機枠の外との間で移動可能な前記車両床下に対して前記補機軸受けを着脱する際に用いられる気動車用補機軸受け着脱装置であって、水平テーブルとこの水平テーブルを上下させる上下用アクチュエータとを有すると共にキャスタにより前進後退可能なテーブルリフタと、下膊部と上膊部とが鈍角をなす略L字型アームのうちの下膊部の上面に形成され、前記上膊部の基端部が前記水平テーブルに対して任意の仰角をなすように前記水平テーブルに回動自在に取り付けられ、前記補機軸受けのプーリをはめ込むためのプーリ座および前記補機軸受けのグリスニップルをはめ込むためのニップル座を備えたホルダと、前記水平テーブルに対する前記ホルダの仰角を調節する仰角調節用アクチュエータとを備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の気動車用補機軸受け着脱装置を用いて、補機枠に囲まれた補機軸受けを車両床下から脱着する場合を例に挙げて説明する。まず、エンジンと補機軸受けとを連結している駆動軸を外す。次に、仰角調節用アクチュエータにより水平テーブルに対して空のホルダが所定の仰角をなすように傾斜させる。これにより、ホルダは水平状態のときと比べてX軸成分(水平軸であるX軸に投影したときの長さ成分)が短くなり、補機枠で囲まれた空間のうち下向きに開いた開口(駆動軸用空間の下向きに開いた開口)の長さがホルダの長さより短くても上下方向に通過可能になる。次に、上下用アクチュエータにより水平テーブルを所定の高さ位置まで上昇させ、ホルダを前出の狭い開口の下から上へと通過させる。次に、仰角調節用アクチュエータによりホルダの仰角を調節したり、キャスタによりテーブルリフタを前進又は後退させたり、上下用アクチュエータにより水平テーブルの高さを調節したりすることにより、車両床下に取り付けられた補機軸受けの下にホルダを移動する。そして、補機軸受けを車両床下から取り外してホルダに移し替える。その後、仰角調節用アクチュエータによりホルダの仰角を調節したり、キャスタによりテーブルリフタを前進又は後退させたり、上下用アクチュエータにより水平テーブルの高さを調節したりすることにより、前出の狭い開口の真上にホルダを移動し、次いで仰角調節用アクチュエータにより水平テーブルに対してホルダを所定の仰角をなすように傾斜させる。これにより、補機軸受けを保持した状態のホルダは水平状態のときと比べてX軸成分が短くなり、前出の狭い開口であっても上下方向に通過可能になる。そして、その状態で上下用アクチュエータによりホルダを前出の開口の上から下へ通過させ、補機軸受けの脱着が完了する。補機軸受けを車両床下に装着する場合は、今述べた手順と逆の手順で作業すればよい。
【0007】
本発明によれば、補機枠で囲まれた空間の開口が狭くても補機軸受けを斜めに保持することによりその開口を上下方向に通過させることができ、また、その狭い開口を持つ空間内で補機軸受けの姿勢を斜めから水平あるいは水平から斜めに変更できる。このため、車両床下からエンジンを取り外すことなく補機枠に囲まれた補機軸受けを着脱することができ、従来に比べてエンジンを取り外す手間が不要なため、その分作業負担・作業時間が軽減される。
【0008】
本発明において、ホルダは略L字型アームの下膊部上面に形成されていることが好ましい。ここで下膊部とは、略L字型アームのうち水平テーブルに回動自在に取り付けられている部材(上膊部という)に対し、所定の角度をもって連結されている部材をいう。この場合、ホルダを水平テーブルに対して水平な状態とした場合、ホルダと水平テーブルとの間にはアームの上膊部の長さに応じたスペースが形成されるため、補機軸受けの着脱作業中、補機枠がこのスペースに逃がされ、作業性が向上する。
【0009】
本発明において、ホルダは、補機軸受けのプーリをはめ込むためのプーリ座を備えていることが好ましい。この場合、補機軸受けを保持した状態のホルダが水平テーブルに対して斜めに傾斜しても、補機軸受けがホルダから落下するおそれがない。
【0010】
本発明において、ホルダは、補機軸受けのグリスニップルをはめ込むためのニップル座を備えていることが好ましい。この場合、グリスニップルを破損するおそれがなく、また補機軸受けをより確実に保持できる。
本発明において、ホルダは、水平テーブルに対して所定の傾斜角度を越えて傾斜しないように規制するストッパを有していることが好ましい。この場合、補機軸受けを保持した状態のホルダが予想外に大きく傾斜することがないため、バランスを崩して倒れるおそれがない。
【0011】
本発明の補機軸受け着脱装置は、前記水平テーブルの高さ位置を示す高度目盛と、前記テーブルリフタの移動距離を示す距離目盛と、前記水平テーブルに対する前記ホルダの角度を示す角度目盛とを備え、前記各目盛には1又は複数の目盛位置に目印が付されており、前記水平テーブルの高さ位置・前記テーブルリフタの移動位置・前記ホルダの角度位置をそれぞれ前記高度目盛・前記距離目盛・前記角度目盛に付された前記目印に順次合わせていけば前記補機軸受けを着脱できるようにしてもよい。この場合、作業者の熟練度にかかわらず短時間で作業を完遂できる。
本発明において、ホルダは、補機軸受けの胴回りを包み込むようにして支持する湾曲支持部材を備えていることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の気動車用補機軸受け着脱装置の正面図、図2は同じく平面図である。
気動車用補機軸受け着脱装置10は、テーブルリフタ11と、ホルダ30と、仰角調節用アクチュエータである油圧ジャッキ46とを備えている。
【0013】
テーブルリフタ11は、四隅にキャスタ12の付いた土台フレーム13と、この土台フレーム13に対して上下動可能に取り付けられた水平テーブル14とを備えている。水平テーブル14は、前面側及び後面側にてX字状に交差された第1支持脚15及び第2支持脚16により上下動可能となっている。ここで、第1支持脚15は基端側が土台フレーム13の後方(図1にて左側)に固定された第1固定軸15aに回動自在に取り付けられ、先端側が水平テーブル14の前方(図1にて右側)にスライド可能に取り付けられている。また、第2支持脚16は基端側が水平テーブル14の後方に固定された第2固定軸16aに回動自在に取り付けられ、先端側が土台フレーム13の前方にスライド可能に取り付けられている。そして、第1支持脚15と第2支持脚16とは交点にて支持軸17に回動自在に支持されている。更に、前面側と背面側の第1支持脚15はいずれも第1固定軸15aに取り付けられ、前面側と背面側の第2支持脚16はいずれも第2固定軸16aに取り付けられ、前面側と背面側の交点はいずれも支持軸17に取り付けられている。したがって、水平テーブル14が上昇する場合には、支持軸17が第1固定軸15aを中心として上向きに円運動すると共に第1および第2支持脚15の先端側が後方へスライドし、下降する場合には、支持軸17が第1固定軸15aを中心として下向きに円運動すると共に第1および第2支持脚15の先端側が前方へスライドする。
【0014】
また、テーブルリフタ11は、水平テーブル14を上下動させる上下用アクチュエータとしての油圧シリンダ18と、ポンピング操作によりこの油圧シリンダ18から図示しないプランジャを突出させるペダル19と、開操作によりこの油圧シリンダ18からプランジャを没入させるバルブ20とを備えている。この油圧シリンダ18は、一端が第1固定軸15aに固着されたブラケット15bに軸支され、他端が支持軸17に固着されたブラケット17bに軸支されている。このため、ペダル19をポンピングすると油圧シリンダ18からプランジャが突出して水平テーブル14を上昇させ、一方バルブ20を開くと油圧シリンダ18にプランジャが没入して水平テーブル14を下降させる。
【0015】
更に、テーブルリフタ11は、土台フレーム13に対してほぼ垂直に取り付けられた矩形状のハンドル21を備えており、作業者はこのハンドル21を持ってキャスタ12を利用して装置全体を前後方向に移動させることができる。また、土台フレーム13には、水平テーブル14の高さ位置を示すための高度目盛22が着脱自在に取り付けられている。この高度目盛22には、所定の高さ位置(ここでは4箇所)に目印としての矢印が付されている。なお、この高度目盛22は不要ならば取り外すことができる。一方、水平テーブル14の前後方向に沿ってテーブルリフタ11の移動距離を示す距離目盛24が設けられている。この距離目盛24には、作業床面に引かれた基準線SLを基準とする所定の移動位置(ここでは3箇所)に目印としての矢印が付されている。
【0016】
ホルダ30は、下膊部31と上膊部32とが鈍角(ここでは135°)をなす略L字型アーム33のうちの下膊部31の上面に形成されている。このアーム33は、水平テーブル14に設けられた回動軸34に上膊部32の基端部が回動自在に取り付けられている。このため、ホルダ30は水平テーブル14に対して任意の仰角をなすことができる。また、上膊部32の基端部には、水平テーブル14に対する仰角が所定の最大傾斜角度(ここでは45°)を越えて傾斜しないように仰角を規制するストッパ35が設けられている。このため、アーム33は、ホルダ30が水平テーブル14と平行な状態つまり水平状態から水平テーブル14に対して仰角45°をなす状態まで回動可能であり、ホルダ30はこの回動範囲で任意の仰角をなすことができる。
【0017】
また、ホルダ30は、図3に示す補機軸受け6の4つのプーリ6a〜6dのうち最大径のプーリ6bをはめ込むためのプーリ座36を備えている。このプーリ座36は、アーム33の下膊部31のうち上膊部32に近い側に設けられた凹部である。更に、ホルダ30は、補機軸受け6の複数箇所に設けられたグリスニップル6e〜6gをはめ込むためのニップル座41〜43を備えているほか、補機軸受け6の胴回りを包み込むようにして支持する湾曲支持部材44、45を備えている。更にまた、アーム33の略中央には、重力により絶えず鉛直下向きを指す指針38が設けられ、この指針38の回転軸回りには水平テーブル14に対するホルダ30の角度を示す角度目盛39が設けられている。この角度目盛39には、所定の角度位置(ここでは4箇所)に目印として矢印が付されている。
【0018】
油圧ジャッキ46は、基端側が水平テーブル14に回動自在に取り付けられ、先端側がアーム33の上膊部32に軸支されている。この油圧ジャッキ46は、レバー47とバルブ48とを備えている。このレバー47をポンピングすると、油圧ジャッキ46から図示しないプランジャが突出し、水平テーブル14に対するホルダ30の仰角が大きくなる。一方、バルブ48を開くと、油圧ジャッキ46にプランジャが没入し、水平テーブル14に対するホルダ30の仰角が小さくなる。なお、レバー47は差し込み部49に抜き差し可能に取り付けられているため、作業に支障がある場合には適宜取り外すことができる。
【0019】
次に、本実施形態の動作について図4〜図6に基づいて説明する。図6に示すように、車両床下8においては、補機軸受け6はエンジン1の駆動軸1aに連結され、補機軸受け6の周囲には各種補機装置2〜5が配設され、これらを囲むようにして補機枠7が設けられている。今、補機軸受け6の交換が必要になったとすると、最初に駆動軸1aを取り外す。この駆動軸1aはエンジン1および補機軸受け6にボルト締結された伸縮可能なものであるため、容易に取り外すことができる。そして、駆動軸1aを取り外した後の空間S2を利用してエンジン1を取り外すことなく補機軸受け6のみを交換する。
【0020】
まず、車両床下8に取り付けられている補機軸受け6の真下までホルダ30を導入する手順につき、導入手順1〜11として以下に説明する。最初に作業者はホルダ30の仰角を45°に調節する(導入手順1)。すなわち、作業者はレバー47をポンピングすることによりホルダ30が水平テーブル14に対して45°をなすように、つまり指針38が角度目盛39の「45°」の矢印と一致するように調節する。この結果、ホルダ30は、図4の実線で示す姿勢から二点差線で示す姿勢つまり図5の「▲1▼」の姿勢になるため、駆動軸1aが配置されていた空間S2の下向きの開口(開口長さL2)を上下方向に通過可能となる。なお、図5はアーム33を便宜上実線又は破線で表したものであり、「▲1▼」、「▲2▼」、…は導入手順を表す。実線と破線を使い分けたのは図示したときの見やすさを考慮したためである。
【0021】
次に、作業者は装置10を165mmだけ前進させる(導入手順2)。すなわち、作業者は、ハンドル21を持ちキャスタ12を利用して装置10を前進後退させることにより、一旦、気動車用補機軸受け着脱装置10の前端を作業床面の基準線SLに合わせた後、距離目盛24の一番手前の矢印つまり図2で最も右側の矢印と基準線SLとが一致するまで装置10を前進させる。この結果、ホルダ30は空間S2の下向きの開口の真下に位置決めされる。
【0022】
次に、作業者は水平テーブル14を400mmだけ上昇させる(導入手順3)。すなわち、作業者は水平テーブル14の上面と高度目盛22の一番下の矢印とが一致するまでペダル19をポンピングする。この結果、ホルダ30は空間S2内に入り込んだ状態となる。
【0023】
次に、作業者はホルダ30を15°だけ前傾させる(導入手順4)。すなわち、作業者は指針38と角度目盛39の「30°」の矢印とが一致するまでバルブ48を開く。次いで、作業者は装置10を120mmだけ前進させる(導入手順5)。すなわち、作業者は距離目盛24の真ん中の矢印と基準線SLとが一致するまで装置10を前進させる。次いで、作業者はホルダ30を15°だけ前傾させる(導入手順6)。すなわち、作業者は指針38と角度目盛39の「15°」の矢印とが一致するまでバルブ48を開く。その後、作業者は水平テーブル14を130mmだけ上昇させる(導入手順7)。すなわち、作業者は水平テーブル14の上面と高度目盛22の下から2つ目の矢印とが一致するまでペダル19をポンピングする。更に、作業者は装置10を180mmだけ前進させる(導入手順8)。すなわち、作業者は距離目盛24の左側の矢印と基準線SLとが一致するまで装置10を前進させる。以上の一連の操作により、ホルダ30は徐々に水平に近づきながら補機枠7の空間S2から補機軸受け6が配置されている空間S1へと移行していく。
【0024】
次に、作業者は水平テーブル14を100mmだけ上昇させる(導入手順9)。すなわち、作業者は水平テーブル14の上面と高度目盛22の上から2番目の矢印とが一致するまでペダル19をポンピングする。次いで、作業者はホルダを15°だけ前傾させる(導入手順10)。すなわち、作業者は指針38と角度目盛39の「0°」の矢印とが一致するまでバルブ48を開く。以上の操作により、ホルダ30は補機軸受け6の真下で水平な状態になる。
【0025】
最後に、作業者は水平テーブル14を135mmだけ上昇させる。すなわち、作業者は水平テーブル14の上面と高度目盛22の1番上の矢印とが一致するまでペダル19をポンピングする(導入手順11)。これにより、補機軸受け6のプーリ6bがプーリ座36に着座し、グリスニップル6e〜6fがニップル座41〜43に着座し、更に湾曲支持部材44,45が補機軸受け6の胴回りを保持する。
【0026】
以上の導入手順1〜11の操作を行ったあと、作業者は補機軸受け6のボルト締結面6hからボルトを外す。この結果、補機軸受け6は車両床下8から離れ、ホルダ30に保持された状態となる。
続いて、補機枠7の空間S1から補機軸受け6を運び出す作業について説明する。この作業は上述の導入手順と逆の順序で行うことになるが、以下にこれを搬出手順として簡単に説明する。作業者は、まず水平テーブル14を135mmだけ下降させ(搬出手順1)、次にホルダ30を15°だけ後傾させて仰角15°とし(搬出手順2)、次に水平テーブル14を100mmだけ下降させ(搬出手順3)、次に装置10を180mmだけ後退させ(搬出手順4)、次に水平テーブル14を130mmだけ下降させ(搬出手順5)、次にホルダ30を15°だけ後傾させて仰角30°とし(搬出手順6)、次に装置10を120mmだけ後退させ(搬出手順7)、次にホルダ30を15°だけ後傾させて仰角45°とする(搬出手順8)。これにより、補機軸受け6を保持した状態のホルダ30は、開口長さL2の開口の真上に位置決めされると共に、水平状態のときと比べてX軸成分が短くなって開口長さL2の狭い開口であっても上下方向に通過可能になる。そして、作業者は最後に水平テーブル14を400mmだけ下降させる(搬出手順9)。この結果、補機軸受け6はホルダ30に保持された状態で補機枠7に衝突することなくスムーズに補機枠7の空間S1から空間S2を経て補機枠7の外へ搬出される。以上の導入手順・搬出手順に従って作業することにより補機軸受け6は車両床下8から脱着される。
【0027】
引き続き、補修後の補機軸受け6を補機枠7の空間S1へ運び込む作業について説明する。この作業は上述の導入手順と同じ順序で行うことになるが、以下にこれを搬入手順として簡単に説明する。作業者は、まず補修後の補機軸受け6をホルダ30に載せ、このホルダ30の仰角を45°とし(搬入手順1)、装置10を165mmだけ前進させ(搬入手順2)、水平テーブル14を400mmだけ上昇させ(搬入手順3)、ホルダ30を15°だけ前傾させて仰角30°とし(搬入手順4)、装置10を120mmだけ前進させ(搬入手順5)、ホルダ30を15°だけ前傾させて仰角15°とし(搬入手順6)、水平テーブル14を130mだけ上昇させ(搬入手順7)、装置10を180mmだけ前進させ(搬入手順8)、水平テーブル14を100mmだけ上昇させ(搬入手順9)、ホルダ30を15°だけ前傾させて仰角0°つまり水平状態とし(搬入手順10)、最後に水平テーブル14を135mmだけ上昇させる(搬入手順11)。この結果、補機軸受け6はホルダ30に保持された状態で補機枠7に衝突することなくスムーズに補機枠7の外から補機枠7の空間S2を経て空間S1へ搬入され、車両床下8の所定の取付位置に位置決めされる。以上の搬入手順1〜11の操作を行ったあと、作業者は補機軸受け6のボルト締結面6hを介して車両床下8に補機軸受け6をボルトで締結する。
【0028】
続いて、補機枠7の空間S1から空のホルダ30を運び出す作業について説明する。この作業は上述の搬出手順と全く同じであるが、以下にこれを導出手順として簡単に説明する。作業者は、まず水平テーブル14を135mmだけ下降させ(導出手順1)、次にホルダ30を15°だけ後傾させて仰角15°とし(導出手順2)、次に水平テーブル14を100mmだけ下降させ(導出手順3)、次に装置10を180mmだけ後退させ(導出手順4)、次に水平テーブル14を130mmだけ下降させ(導出手順5)、次にホルダ30を15°だけ後傾させて仰角30°とし(導出手順6)、次に装置10を120mmだけ後退させ(導出手順7)、次にホルダ30を15°だけ後傾させて仰角45°とし(導出手順8)、最後に水平テーブル14を400mmだけ下降させる(導出手順9)。この結果、空のホルダ30は補機枠7に衝突することなくスムーズに補機枠7の空間S1から空間S2を経て補機枠7の外へ導出される。以上の搬入手順・導出手順に従って作業することにより補機軸受け6は車両床下8に装着される。
【0029】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
▲1▼補機枠7で囲まれた空間S2の開口の長さL2が狭くても補機軸受け6を斜めに保持することによりその開口を上下方向に通過させることができ、また、その狭い開口を持つ空間S2内で補機軸受け6の姿勢を斜めから水平あるいは水平から斜めに変更できる。このため、車両床下8からエンジン1を取り外すことなく補機枠7に囲まれた補機軸受け6を着脱することができ、従来に比べてエンジン1を取り外す手間が不要となり、その分作業負担・作業時間が軽減される。
【0030】
▲2▼ホルダ30は略L字型のアーム33の下膊部31の上面に形成されているため、ホルダ30を水平テーブル14に対して水平な状態とした場合、ホルダ30と水平テーブル14との間にはアーム33の上膊部32の長さに応じたスペースが形成される。このため、補機軸受け6の着脱作業中、補機枠7がこのスペースに逃がされ、作業性が向上する。
【0031】
▲3▼補機軸受け6は最大径のプーリ6bがプーリ座36に保持され、またグリスニップル6e〜6gがニップル座41〜43に保持され、更に胴回りが湾曲支持部材44,45に保持されているため、ホルダ30の仰角を0〜45°としても、また水平テーブル14を上下前後に動かしたとしても、補機軸受け6がホルダ30から落下するおそれはない。
【0032】
▲4▼ホルダ30は、ストッパ35の存在により水平テーブル14に対して所定の仰角を越えて傾斜しないように規制されているため、補機軸受け6を保持した状態のホルダ30が予想外に大きく傾斜することがないため、バランスを崩して倒れるおそれがない。
【0033】
▲5▼高度目盛22・距離目盛24・角度目盛39には1又は複数の目盛位置に目印(ここでは矢印)が付されており、水平テーブル14の高さ位置・テーブルリフタ11の移動位置・ホルダ30の角度位置をそれぞれ高度目盛22・距離目盛24・角度目盛39に付された目印に順次合わせていけば補機軸受けを着脱できる。このため、作業者の熟練度にかかわらず短時間で作業を完遂できる。
【0034】
尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態において、各手順は仰角角度・前進後退距離・上昇下降高度を具体的に数値を特定して説明したが、これらの数値は補機枠7や補機軸受け6などの大きさにより適宜変更されるものである。したがって、これらの数値は所定角度・所定距離・所定高度と置き換えて説明しても足りる。
【0035】
また、ホルダ30は略L字型のアーム33の下膊部31の上面に設けたが、ホルダ30を直接水平テーブル14に回動自在に取り付けてもよい。この場合、着脱作業時にホルダ30や水平テーブル14等が補機枠7と干渉しないように設計する必要がある。
【0036】
更に、高度目盛22・距離目盛24・角度目盛39には目印として矢印を付したが、この矢印に代えて又はこの矢印に加えて作業手順を表す番号を付してもよい。なお、作業者の熟練度によっては各目盛の目印を利用せず、経験と勘を頼りに装置10を操作してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の気動車用補機軸受け着脱装置の正面図である。
【図2】 本実施形態の気動車用補機軸受け着脱装置の平面図である。
【図3】 補機軸受けの斜視図である。
【図4】 ホルダが水平状態にあるとき最大傾斜状態にあるときを表す説明図である。
【図5】 導入手順を表す概略説明図である。
【図6】 車両床下のエンジン、補機軸受け、各種補機装置の配置図(車両床側から見た図)である。
【図7】 車両床下を車両側面から見た説明図である。
【図8】 従来の補機軸受け交換作業の説明図である。
【符号の説明】
1・・・エンジン、1a・・・駆動軸、6・・・補機軸受け、6a〜d・・・プーリ、6e〜g・・・グリスニップル、6h・・・ボルト締結面、7・・・補機枠、8・・・車両床下、10・・・気動車用補機軸受け着脱装置、11・・・テーブルリフタ、12・・・キャスタ、13・・・土台フレーム、14・・・水平テーブル、18・・・油圧シリンダ、19・・・ペダル、20・・・バルブ、21・・・ハンドル、22・・・高度目盛、24・・・距離目盛、30・・・ホルダ、31・・・下膊部、32・・・上膊部、33・・・アーム、34・・・回動軸、35・・・ストッパ、36・・・プーリ座、38・・・指針、39・・・角度目盛、41・・・ニップル座、44・・・湾曲支持部材、46・・・油圧ジャッキ、47・・・レバー、48・・・バルブ、49・・・差し込み部、L1、L2・・・開口長さ、S1、S2・・・空間、SL・・・基準線。

Claims (4)

  1. 気動車の車両床下にて補機枠に囲まれた補機軸受けがエンジンの駆動軸に水平な姿勢で連結され、前記補機軸受けの周囲には各種補機装置が配設され、これらを囲むようにして前記補機枠が設けられ、前記駆動軸を前記エンジンから取り外した後には前記エンジン、前記各種補機装置、前記補機軸受けおよび前記補機枠に囲まれた駆動軸用空間が形成され、さらに、前記補機軸受けを取り外した後には前記駆動軸用空間、前記各種補機装置、および前記補機枠に囲まれた補機軸受け用空間が形成され、前記補機軸受けの交換時に前記駆動軸を前記エンジンから取り外した後に前記補機軸受けを前記補機軸受け用空間内では前記エンジン側に前傾させた姿勢にするとともに前記補機軸受け用空間と前記補機枠の外との間では前傾させた姿勢を保持しながら前記駆動軸用空間を経由して前記補機軸受け用空間と前記補機枠の外との間で移動可能な前記車両床下に対して前記補機軸受けを着脱する際に用いられる気動車用補機軸受け着脱装置であって、
    水平テーブルとこの水平テーブルを上下させる上下用アクチュエータとを有すると共にキャスタにより前進後退可能なテーブルリフタと、
    下膊部と上膊部とが鈍角をなす略L字型アームのうちの下膊部の上面に形成され、前記上膊部の基端部が前記水平テーブルに対して任意の仰角をなすように前記水平テーブルに回動自在に取り付けられ、前記補機軸受けのプーリをはめ込むためのプーリ座および前記補機軸受けのグリスニップルをはめ込むためのニップル座を備えたホルダと、
    前記水平テーブルに対する前記ホルダの仰角を調節する仰角調節用アクチュエータと
    を備えた気動車用補機軸受け着脱装置。
  2. 前記ホルダは、前記水平テーブルに対する仰角が所定の最大傾斜角度を越えて傾斜しないように仰角を規制するストッパを有していることを特徴とする請求項1に記載の気動車用補機軸受け着脱装置。
  3. 前記水平テーブルの高さ位置を示す高度目盛と、前記テーブルリフタの移動距離を示す距離目盛と、前記水平テーブルに対する前記ホルダの仰角を示す角度目盛とを備え、前記各目盛には1又は複数の目盛位置に目印が付されており、前記水平テーブルの高さ位置・前記テーブルリフタの移動位置・前記ホルダの角度位置をそれぞれ前記高度目盛・前記距離目盛・前記角度目盛に付された前記目印に順次合わせていけば前記補機軸受けを着脱できることを特徴とする請求項1または2に記載の気動車用補機軸受け着脱装置。
  4. 前記ホルダは、前記補機軸受けの胴回りを包み込むようにして支持する湾曲支持部材を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の気動車用補機軸受け着脱装置。
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