従来、例えば携帯電話機等に代表される移動可能な通信端末(移動通信端末)どうし、あるいは、そのような移動通信端末と、インターネットに接続されているサーバ等との通信が、複数の基地局によって構築された無線ネットワーク上で行われている。この無線ネットワーク上では、各移動通信端末は、直接には最寄の基地局と無線通信を行い、その基地局を介して、他の移動通信端末や、インターネットに接続されているサーバ等と通信を行う。
このような無線ネットワークが備える各基地局は、各移動通信端末との無線通信に使われる、通信レートが互いに異なる複数の無線チャネルを有している。そして、通信時には、各基地局と通信しようとする移動通信端末それぞれに、その基地局が有する複数の無線チャネルのうちのいずれかの無線チャネルを割り当てる。このような無線チャネルの割当ては、複数の基地局に接続された無線ネットワーク制御装置によって行われる。この無線ネットワーク制御装置は、無線ネットワークを構成する複数の基地局を、無線チャネルの割当てを含む制御の配下に置いている。従来、移動通信端末と複数の基地局と、このような無線ネットワーク制御装置とを備えた無線通信システムが、広く利用されている。
ここで、ある無線チャネルを使った無線通信において、その無線チャネルの通信レートに対してトラヒック量が多過ぎる場合には、無線通信に時間が掛かり過ぎてしまう。また、そのような場合には、無線チャネルはデータによって常時占有され、使用されっぱなしの状態となっている。一方、通信レートに対してトラヒック量が少な過ぎると無線通信は短時間で済むが、無線チャネルはデータによってほとんど占有されることがなく、遊びが多い状態となっている。このため、移動通信端末と基地局との間の無線通信に対して、無線ネットワークは、各移動通信端末に、トラヒック量に応じた通信レートの無線チャネルを割り当てる。
ところが、一般的に無線通信のトラヒック量は一定ではなく、その無線通信の状況に応じて増減する。そのため、例えば、移動通信端末に高い通信レートの無線チャネルが割り当てられている場合に、その無線通信のトラヒック量が、低い通信レートを有する他の無線チャネルでも十分なまでに減少することがある。このように、低い通信レートの無線チャネルでも十分な移動通信端末に高い通信レートの無線チャネルが割り当てられているという状態は、無線リソースの有効利用という点で問題である。
そこで、移動通信端末と基地局との間の通信中、無線ネットワーク制御装置においてその無線通信のトラヒック量を確認し、トラヒック量の増減に応じて無線チャネルを切り替えるという技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術では、無線ネットワーク制御装置において、トラヒック量の確認と無線チャネルの切替え(レート制御)が所定の時間間隔で定期的に実行される。その結果、移動通信端末と基地局との無線通信が、トラヒック量に応じた最適な通信レートの無線チャネルを使って行われ、無線リソースが有効に活用されることとなる。
ところで、各基地局は、その基地局から見て無線通信が可能な領域(セル)内に位置している移動通信端末と無線通信を行う。そのため、ある基地局と通信中の移動通信端末が、その基地局のセルから、他の基地局のセルへと移動した場合には、その移動通信端末と無線通信を行う基地局の切替えが必要となる。このような基地局の切替えはハンドオーバと呼ばれ、複数の基地局を配下におく無線ネットワーク制御装置において実行される。
図1は、無線通信システムの一例を、ハンドオーバが行われる様子とともに示す模式図である。
この図1には、A基地局600_A、B基地局600_B、およびC基地局600_Cという3つの基地局と、それら3つの基地局を配下におく無線ネットワーク制御装置500と、各基地局と通信を行う移動通信端末700とを備えた無線通信システム50が示されている。ここで、無線ネットワーク制御装置500は、図示されている3つの基地局以外にも多数の基地局を配下に置いており、無線通信システム50は、そのような無線ネットワーク制御装置も多数備えているが、この図1では、図を簡単なものとするために、上記の1つの無線ネットワーク制御装置500と3つの基地局が代表として図示されている。
A基地局600_AはAセル601_A内の移動通信端末と無線通信を行い、B基地局600_BはBセル601_B内の移動通信端末と無線通信を行い、およびC基地局600_CはCセル601_C内の移動通信端末と無線通信を行う。ここで、例えば、この図1に示すように、移動通信端末700が、Aセル601_AからBセル601_Bへと移動すると、無線ネットワーク制御装置500が、その移動通信端末700と無線通信を行う基地局を、A基地局600_AからB基地局600_Bに切り替えるハンドオーバを実行する。
図2は、図1に示す無線ネットワーク制御装置500の詳細を示すブロック図である。尚、この図2には、移動通信端末700が示され、さらに、その移動通信端末700と無線通信を行う基地局として、図1における3つの基地局の区別を捨象した概念的な基地局600が示されている。
この図2に示す無線ネットワーク制御装置500は、ハンドオーバを実行するハンドオーバ制御部510と、基地局600を介して移動通信端末700と各種情報の遣り取りを行う端末管理部520と、基地局600に対して移動通信端末700との通信に使う無線チャネルを指定する無線チャネル管理部530と、トラヒック量に応じた無線チャネルの切替え(レート制御)のためにトラヒック量に応じた通信レートを求めるレート制御部540と、通信レートを求める際にレート制御部540によって参照されるデータベース550とを備えている。また、レート制御部540は、基地局600と移動通信端末700との無線通信のトラヒック量を、データベース550を参照することで確認するトラヒック量確認部541と、トラヒック量確認部541によって確認されたトラヒック量に応じた通信レートを求める最適レート取得部542とを備えている。さらに、データベース550は、基地局600と移動通信端末700との無線通信における通信履歴がその無線通信のトラヒック量の確認用に格納されるトラヒック量確認用テーブル551を備えている。
この図2に示す無線ネットワーク制御装置500では、基地局600と移動通信端末700との通信中は、無線リソースの有効活用のために、その無線通信についてレート制御が所定の時間間隔で定期的に繰り返される。
図3は、レート制御が定期的に繰り返される様子を概念的に示す図であり、図4は、無線ネットワーク制御装置500における、レート制御を含む処理シーケンスを示す図である。
図4では、ステップS306からステップS311に、レート制御の処理シーケンスが示されている。尚、この図4では、ステップS301からステップS305に、後述するハンドオーバの処理シーケンスも示されており、この図4のステップS301からステップS305については、ハンドオーバの処理シーケンスを説明する際に改めて参照する。
この図3の例では、無線チャネルの切替えが必要か否かの判定と、切替えが必要と判定されたときの基地局600への無線チャネルの切替えの指示が、レート制御として、XX秒毎に無線ネットワーク制御装置500において実行される。
以下、このXX秒毎に実行されるレート制御について、図4のステップS306からステップS311に示すレート制御の処理シーケンスを参照しながら説明する。
XX秒毎のタイミングが到来すると、まず、図4に示すステップS306の処理において、最適レート取得部542が、トラヒック量確認部541に対してトラヒック量の確認を要求する。トラヒック量確認部541は、基地局600と移動通信端末700との無線通信のトラヒック量を、トラヒック量確認用テーブル551に現時点までに格納されている通信履歴に基づく算出によって確認し(ステップS307)、確認結果のトラヒック量を最適レート取得部542に伝える(ステップS308)。最適レート取得部542は、トラヒック量確認部541から伝えられたトラヒック量に応じた通信レートを求める。さらに、この最適レート取得部542は、その求めた通信レートが、その時点における無線チャネルの通信レートと異なっている場合に、無線チャネルの切替えが必要と判定し、両者が同じである場合に無線チャネルの切替えは不要と判定する。そして、最適レート取得部542は、無線チャネルの切替えが必要と判定した場合にのみ、上記のトラヒック量に応じた通信レートを端末管理部520に伝える(ステップS309)。端末管理部520は、最適レート取得部542から通信レートが伝えられると、基地局600に対して、その通信レートの無線チャネルへの切替えを要求する無線チャネル切替要求を、無線チャネル管理部530を介して基地局600に送る(ステップS310)。無線チャネル切替要求を受信した基地局600は、その無線チャネル切替要求に従って無線チャネルを切り替えて、その後に、無線チャネルの切替えが終了した旨を示す無線チャネル切替応答を、無線チャネル管理部530を介して端末管理部520に送る(ステップS311)。
無線ネットワーク制御装置500では、以上に説明した処理が、レート制御として、XX秒毎に繰り返され、これにより、無線リソースが有効に活用されることとなる。
次に、以上に説明したレート制御が行われている無線ネットワーク制御装置500で実行されるハンドオーバについて、、図4のステップS301からステップS305に示すハンドオーバの処理シーケンスを参照して説明する。
ある基地局600と通信している移動通信端末700は、その基地局600のセルから別の基地局600のセルへと移動した場合、基地局の切替えを要求するハンドオーバ要求を、無線ネットワーク制御装置500に向けて発信する(ステップS301)。
ここで、無線ネットワークを構成する各基地局600は、所定出力の電波信号(パイロット信号)を、所定の無線チャネルを使って常時発信している。また、移動通信端末700は、各基地局600からのパイロット信号を常時受信している。このとき、現在通信中の基地局600から受信したパイロット信号の電界強度との差が所定値以下となる電界強度を有する他のパイロット信号が受信された場合に、自機がセルを移りつつあると認識する。そして、そのような認識がなされた場合に、移動通信端末700は、後者のパイロット信号を発している基地局600への切替えを要求するハンドオーバ要求を、無線ネットワーク制御装置500に向けて発信する。尚、このハンドオーバ要求は、切替え前の基地局600を介して行われる。
移動通信端末700が発したハンドオーバ要求は、無線ネットワーク制御装置500において、端末管理部520を介してハンドオーバ制御部510で受信される。すると、ハンドオーバ制御部510が、切替え先の基地局600に対して、現時点において切替え前の基地局600で移動通信端末700との通信に使われている無線チャネルの通信レートと同じ通信レートの無線チャネルを使ってこの移動通信端末700に接続するように指示する無線チャネル接続要求を、端末管理部520と無線チャネル管理部530とを介して送る(ステップS302)。切替え先の基地局600では、その無線チャネル接続要求に従った無線チャネルを使って移動通信端末700への接続が実行される。そして、切替え先の基地局600は、移動通信端末700との接続がなされた旨を通知する無線チャネル接続応答を、ハンドオーバ制御部510に、無線チャネル管理部530と端末管理部520とを介して送る(ステップS303)。ハンドオーバ制御部510は、切替え先の基地局600から無線チャネル接続応答を受け取ると、切替え前の基地局600に対して、それまで移動通信端末700との通信に使っていた無線チャネルの解放を指示するとともに、切替え先の基地局600を介して、ハンドオーバが完了した旨を通知するハンドオーバ完了通知を、端末管理部520を介して移動通信端末700に送る(ステップS304)。移動通信端末700は、ハンドオーバ完了通知を受信すると、その通知を了解した旨を示すハンドオーバ完了応答を、切替え先の基地局600と端末管理部520とを介してハンドオーバ制御部510に送る(ステップS305)。
尚、無線ネットワーク制御装置500では、上記のレート制御の定期的な繰返しとハンドオーバとは各々別個に実行されるが、ハンドオーバ前のレート制御は、切替え前の基地局600と移動通信端末700との間の無線通信について行われ、ハンドオーバ後のレート制御は、切替え後の基地局600と移動通信端末700との間の無線通信について行われる。
ここで、図4に示す処理シーケンスでは、ハンドオーバの際には、切替え前の基地局600で移動通信端末700との通信に使われている無線チャネルの通信レートが、切替え先の基地局600での通信に引き継がれる。その結果、以下に説明するように、切替え先の基地局600における無線リソースの利用に無駄が生じてしまうという問題がある。
図5は、図4に示す処理シーケンスを示すハンドオーバを、通信レートに注目して概念的に示す図である。
まず、移動通信端末700が、A基地局600_Aのセル内に位置し、A基地局600_Aと通信を行っているとする(ステップS351)。このとき、移動通信端末700とA基地局600_Aとの無線通信のトラヒック量が、多めのトラヒック量Tr1であり、A基地局600_Aにおいて、この移動通信端末700に、上記のレート制御によって、通信レートが高い無線チャネル(高レートチャネル)Ch1_Aが割り当てられているとする。
ここで、移動通信端末700がB基地局600_Bのセルに向かって移動しており、その移動中に、移動通信端末700とA基地局600_Aとの無線通信のトラヒック量が、通信レートが低い無線チャネルで十分な少なめのトラヒック量Tr2に減少したとする(ステップS352)。このとき、定期的に訪れるレート制御のタイミングに至るまでは、たとえ無線通信のトラヒック量がこのように減少しても高レートチャネルCh1_Aがそのまま使われる。
このとき、レート制御のタイミングに至る前に、移動通信端末700がB基地局600_Bのセルに移動し、移動通信端末700からハンドオーバ要求が出され、そのハンドオーバ要求に応じてハンドオーバが実行されたとする(ステップS353)。上述したように図4に示す処理シーケンスでは、ハンドオーバの際には、切替え前の通信レートが切替え先に引き継がれるので、B基地局600_Bでは、A基地局600_Aにおいて使われていた高レートチャネルCh1_Aの通信レートと同じ高い通信レートを有する高レートチャネルCh1_Bが使われる。
そして、ハンドオーバ後に、レート制御のタイミングが訪れると、切替え先のB基地局600_Bと移動通信端末700との通信についてレート制御が行われる。その結果、そのレート制御のタイミングに至った時点で、無線チャネルが、高レートチャネルCh1_Bから、少なめのトラヒック量Tr2に応じ、通信レートが低い無線チャネル(低レートチャネル)Ch2_Bに切り替えられる(ステップS354)。
このように、図4に示す処理シーケンスには、レート制御のタイミングに至る前に、トラヒック量の減少とハンドオーバが発生してしまうと、切替え先のB基地局600_Bにおいて、無線チャネルが切り替えられるまでの間、無線リソースが無駄に使われてしまうという問題がある。また、切替え先のB基地局600_Bで、高レートチャネルCh1_Bに空きが無かった場合には、本来成功するはずのハンドオーバが失敗してしまうという不具合が生じてしまう。
ここで、移動体端末からハンドオーバ要求が出されると、ハンドオーバの前に、まず、切替え前の基地局において無線チャネルを、切替え先の基地局において空きがある無線チャネルの通信レートと同じ通信レートの無線チャネルに切り替えておき、その後にハンドオーバを実行するという技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2005−73087号公報
特開2003−284116号公報
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図7は、本発明の第1実施形態が適用された無線通信システムの一例を、ハンドオーバが行われる様子とともに示す模式図である。
この図7には、A基地局200_A、B基地局200_B、およびC基地局200_Cという3つの基地局と、それら3つの基地局を配下におく無線ネットワーク制御装置100と、各基地局と無線通信を行う移動通信端末300とを備えた無線通信システム10が示されている。ここで、無線ネットワーク制御装置100は、図示されている3つの基地局以外にも多数の基地局を配下に置いており、無線通信システム10は、そのような無線ネットワーク制御装置も多数備えているが、この図1では、図を簡単なものとするために、上記の1つの無線ネットワーク制御装置100と3つの基地局が代表として図示されている。
A基地局200_AはAセル201_A内の移動通信端末と無線通信を行い、B基地局200_BはBセル201_B内の移動通信端末と無線通信を行い、およびC基地局200_CはCセル201_C内の移動通信端末と無線通信を行う。
この図7に示す無線通信システム10は、本発明の無線通信システムの一実施形態に相当し、無線ネットワーク制御装置100は、本発明の無線ネットワーク制御装置の一実施形態に相当する。また、A基地局200_A、B基地局200_B、およびC基地局200_Cは、それぞれが本発明にいう基地局の一例に相当し、これら3つの基地局を含む複数の基地局によって、無線ネットワーク制御装置100を含む複数の無線ネットワーク制御装置を介して構成される無線ネットワークが、本発明にいう無線ネットワークの一例に相当する。さらに、移動通信端末300は、本発明にいう通信端末の一例に相当する。
図8は、図7に示す無線ネットワーク制御装置100の詳細を示すブロック図である。
尚、この図8には、移動通信端末300が示され、さらに、その移動通信端末300と無線通信を行う基地局として、図7における3つの基地局の区別を捨象した概念的な基地局200が示されている。
この図8に示す無線ネットワーク制御装置100は、ハンドオーバを、定期的なレート制御とは別に、後述するようなハンドオーバ用のレート制御とともに実行するハンドオーバ制御部110と、基地局200を介して移動通信端末300と各種情報を遣り取りを行う端末管理部120と、基地局200に対して移動通信端末300との通信に使う無線チャネルを指定する無線チャネル管理部130と、定期的およびハンドオーバ用両方のレート制御のためにトラヒック量に応じた通信レートを求めるレート制御部140と、レート制御の際にレート制御部140によって参照されるデータベース150とを備えている。また、レート制御部140は、基地局200と移動通信端末300との無線通信のトラヒック量を、データベース150を参照することで確認するトラヒック量確認部141と、トラヒック量確認部141によって確認されたトラヒック量に応じた通信レートを求める最適レート取得部142とを備えている。さらに、データベース150は、基地局200と移動通信端末300との無線通信における通信履歴がその無線通信のトラヒック量の確認用に格納されるトラヒック量確認用テーブル151を備えている。
ここで、ハンドオーバ制御部110とトラヒック量確認部141とを合せたものが、本発明にいうトラヒック量確認部の一例に相当し、ハンドオーバ制御部110と端末管理部120と無線チャネル管理部130と最適レート取得部142とを合せたものが、本発明にいう通信要求部の一例に相当する。
この図8に示す無線ネットワーク制御装置100では、基地局200と移動通信端末300との通信中は、無線リソースの有効活用のために、その無線通信についてレート制御が所定の時間間隔で定期的に繰り返される。
ここで、例えば、上記の図7の例のように、移動通信端末300が、Aセル201_AからBセル201_Bへと移動すると、無線ネットワーク制御装置100が、その移動通信端末300と無線通信を行う基地局を、A基地局200_AからB基地局200_Bに切り替えるハンドオーバを実行する。また、本実施形態では、このハンドオーバの際には、移動通信端末300と切替え前のA基地局200_Aとの無線通信のトラヒック量の確認と、切替え先のB基地局200_Bに対して、そのトラヒック量に応じた通信レートの無線チャネルを移動通信端末300に割り当てるように指示するというハンドオーバ用のレート制御が行われる。このような処理により、本実施形態の無線ネットワーク制御装置100では、無線リソースの無駄が抑制されたハンドオーバが行われ、本来成功するはずのハンドオーバの失敗が確実に回避される。
図9は、図7および図8に示す無線ネットワーク制御装置におけるハンドオーバの処理シーケンスを示す図である。
ある基地局200と通信している移動通信端末300は、その基地局200のセルから別の基地局200のセルへと移動した場合、基地局の切替えを要求するハンドオーバ要求を、無線ネットワーク制御装置100に向けて発信する(ステップS101)。ここで、移動通信端末300は、このようなセルの移動を、現在通信中の基地局200から受信した上述のパイロット信号の電界強度と他の基地局200から受信したパイロット信号の電界強度との比較に基づいて認識する。また、上記のハンドオーバ要求は、切替え前の基地局200を介して行われる。
移動通信端末300が発したハンドオーバ要求は、無線ネットワーク制御装置100におけるハンドオーバ制御部110で端末管理部120を介して受信される。すると、本実施形態では、ハンドオーバ制御部110が、レート制御部140が備える最適レート取得部142に、現時点でのトラヒック量に適した通信レートを問い合わせる(ステップS102)。
ここで、上述したように、基地局200と移動通信端末300との通信中は、その通信についてレート制御が所定の時間間隔で定期的に繰り返されている。
本実施形態では、端末管理部120から通信レートの問合せがあった場合には、定期的に訪れるこのレート制御のタイミングとは無関係に、最適レート取得部142が、トラヒック量確認部141に対してトラヒック量の確認を要求する(ステップS103)。トラヒック量確認部141は、基地局200と移動通信端末300との無線通信のトラヒック量を、トラヒック量確認用テーブル151に、現時点までに格納されている通信履歴に基づく算出によって確認し(ステップS104)、確認結果のトラヒック量を最適レート取得部142に伝える(ステップS105)。最適レート取得部142は、トラヒック量確認部141から伝えられたトラヒック量に応じた通信レートを次のように求めてハンドオーバ制御部110に伝える、(ステップS106)。
基地局200が有する複数の無線チャネルそれぞれには、各無線チャネルの通信レートで適切な通信が可能な好ましいトラヒック量の範囲が対応付けられている。そして、最適レート取得部142は、トラヒック量確認部141から伝えられたトラヒック量が属する範囲に対応した無線チャネルの通信レートを、そのトラヒック量に応じた通信レートとして求める。その結果、伝えられたトラヒック量が、現時点の無線チャネルに対応したトラヒック量の範囲における上限のトラヒック量を超えている場合には、その現時点の無線チャネルの通信レートよりも高い通信レートが求められ、逆に、上記の範囲における下限のトラヒック量を下回っている場合には、現時点の無線チャネルの通信レートよりも低い通信レートが求められる。
ここで、移動通信端末300と基地局200との通信には、厳密には、移動通信端末300から基地局200へと電波信号が向かう上り無線通信と、逆に基地局200から移動通信端末300へと電波信号が向かう下り無線通信とがある。そして、移動通信端末300に係るこれら2種類の通信は、各々独立した無線チャネルを使って同時並行に行われる。本実施形態では、上記のステップS102からステップS106に至る一連の処理は、上り無線通信と下り無線通信との両方について行われ、ハンドオーバ制御部110には、上り無線通信のトラヒック量に応じた通信レートと、下り無線通信のトラヒック量に応じた通信レートとが伝えられる。
ハンドオーバ制御部110は、これら2つの通信レートを伝えられると、各通信レートを、それぞれ現時点における上り無線通信の通信レートおよび下り無線通信の通信レートと比較する。そして、上り無線通信について伝えられた通信レートと現時点の通信レートとが異なっていた場合に上り無線通信について無線チャネルの切替えが必要と判定し、下り無線通信について伝えられた通信レートと現時点の通信レートとが異なっていた場合に下り無線通信について無線チャネルの切替えが必要と判定する(ステップS107)。また、伝えられた通信レートと現時点の通信レートとが同じである無線通信については無線チャネルの切替えは不要と判定する。
ハンドオーバ制御部110は、上り無線通信と下り無線通信とのうち、無線チャネルの切替えが必要と判定した無線通信について、上記のハンドオーバ要求における切替え先の基地局200に対して、最適レート取得部142から伝えられた通信レートの無線チャネルを使って移動通信端末300に接続するように指示する無線チャネル接続要求を、端末管理部120と無線チャネル管理部130とを介して送る(ステップS108)。一方、上り無線通信と下り無線通信とのうち、無線チャネルの切替えが不要と判定した無線通信については、現時点において切替え前の基地局200で移動通信端末300との通信に使われている無線チャネルの通信レートと同じ通信レートの無線チャネルを使ってこの移動通信端末300に接続するように指示する無線チャネル接続要求を、端末管理部120と無線チャネル管理部130を介して切替え先の基地局200に送る(ステップS109)。
切替え先の基地局200では、上り無線通信と下り無線通信とについて、上記の無線チャネル接続要求に従った無線チャネルを使って移動通信端末300への接続が実行される。そして、切替え先の基地局200は、移動通信端末300との接続がなされた旨を通知する無線チャネル接続応答を、ハンドオーバ制御部110に、端末管理部120と無線チャネル管理部130とを介して送る(ステップS110)。ハンドオーバ制御部110は、切替え先の基地局200から無線チャネル接続応答を受け取ると、切替え前の基地局200に対して、それまで移動通信端末300との通信に使っていた無線チャネルの解放を指示するとともに、端末管理部120と切替え先の基地局200とを介して、ハンドオーバが完了した旨を通知するハンドオーバ完了通知を移動通信端末300に送る(ステップS111)。移動通信端末300は、ハンドオーバ完了通知を受信すると、その通知を了解した旨を示すハンドオーバ完了応答を切替え先の基地局200と端末管理部120とを介してハンドオーバ制御部110に送る(ステップS112)。
以上に説明したように、本実施形態では、ハンドオーバの際に、定期的なレート制御とは無関係にハンドオーバ用のレート制御が実行される。その結果、以下に説明するように、切替え先の基地局200における無線リソースの無駄が抑えられ、本来成功するはずのハンドオーバの失敗が確実に回避される。
図10は、図9に示す処理シーケンスが示すハンドオーバを、通信レートに注目して概念的に示す図である。尚、この図10は、説明を簡単なものとするために、上り無線通信と下り無線通信とのうち、下り無線通信のみに注目した図となっている。
まず、移動通信端末300が、A基地局200_Aのセル内に位置し、A基地局200_Aと通信を行っているとする(ステップS151)。このとき、移動通信端末300とA基地局200_Aとの無線通信のトラヒック量が、多めのトラヒック量Tr3であり、A基地局200_Aにおいて、この移動通信端末300に、定期的なレート制御によって、通信レートが高い無線チャネル(高レートチャネル)Ch3_Aが割り当てられているとする。
ここで、移動通信端末300がB基地局200_Bのセルに向かって移動しており、その移動中に、移動通信端末300とA基地局200_Aとの無線通信のトラヒック量が、通信レートが低い無線チャネル(低レートチャネル)で十分な少なめのトラヒック量Tr4に減少したとする(ステップS152)。このとき、定期的に訪れるレート制御のタイミングに至るまでは、たとえ無線通信のトラヒック量がこのように減少しても高レートチャネルCh3_Aがそのまま使われる。
このとき、レート制御のタイミングに至る前に、移動通信端末300がB基地局200_Bのセルに移動し、移動通信端末300からハンドオーバ要求が出され、そのハンドオーバ要求に応じてハンドオーバが実行されたとする(ステップS153)。ここで、本実施形態では、図9の処理シーケンスに示すように、ハンドオーバの際に、定期的なレート制御とは無関係にハンドオーバ用のレート制御が実行される。即ち、ハンドオーバにおける基地局の切替えの際に、切替え前のA基地局200_Aにおいて、レート制御における上記の定期的なタイミングとは無関係に、トラヒック量の確認と、その確認されたトラヒック量に応じた通信レートの判断とが行われ、切替え先のB基地局200_Bにおいて、その求められた通信レートの無線チャネルを使って移動通信端末300との接続が実行される。その結果、この図10の例では、ステップS153において、切替え先のB基地局200_Bでは、少なめのトラヒック量Tr4に応じた低レートチャネルCh4_Bを使って移動通信端末300との接続が実行される。
以上に説明したように、本実施形態では、ハンドオーバの際に、切替え先の基地局で、ハンドオーバの時点のトラヒック量に応じた通信レートの無線チャネルが使われるので、切替え先の基地局での無線リソースの無駄が抑えられる。また、本実施形態では、ハンドオーバの際に、トラヒック量が、低い通信レートの無線チャネルで十分なほどに減少している場合には、切替え先の基地局では、そのトラヒック量に応じた低い通信レートの無線チャネルが使われる。これにより、無理に高い通信レートの無線チャネルを使おうとして、高い通信レートの無線チャネルに空きが無くて、本来成功するはずのハンドオーバに失敗するといった不具合が確実に回避される。さらに、本実施形態では、定期的なレート制御については、従来どおりの時間間隔で行うことが出来るので処理が簡単である。このように、本実施形態によれば、無線リソースの無駄が抑えられたハンドオーバを簡単に行うことができるとともに、本来成功するはずのハンドオーバの失敗を確実に回避することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態は、無線通信システムが、互いに接続された2つの無線ネットワーク制御装置を備えている点を除いて、上記の第1実施形態と同様である。以下では、この第2実施形態について、第1実施形態との相違点に注目して説明を行う。
図11は、本発明の第2実施形態が適用された無線通信システムの一例を、ハンドオーバが行われる様子とともに示す模式図である。尚、この図11では、上述の図7に示す構成要素と同等な構成要素については図7と同じ符号を付して示し、以下では重複説明を省略する。
この図11に示す無線通信システム20は、互いに接続された第1および第2の無線ネットワーク制御装置400_1,400_2を備えている。第1の無線ネットワーク制御装置400_1は、A基地局200_AおよびB基地局200_Bを配下に置き、第2の無線ネットワーク制御装置400_2は、C基地局200_Cを配下に置いている。尚、第1の無線ネットワーク制御装置400_1は、図示されている2つの基地局以外にも多数の基地局を配下に置いており、第2の無線ネットワーク制御装置400_2は、図示されている1つの基地局以外にも多数の基地局を配下に置いており、さらに、無線通信システム20は、これら2つの無線ネットワーク制御装置以外にもこのような無線制御ネットワーク制御装置を多数備えているが、この図11では、図を簡単なものとするために、上記の2つの無線ネットワーク制御装置と3つの基地局が代表として図示されている。
ここで、この図11に示す無線通信システム20は、本発明の無線通信システムの一実施形態に相当し、第1および第2の無線ネットワーク制御装置400_1,400_2それぞれは、本発明の無線ネットワーク制御装置の一実施形態に相当する。また、本実施形態では、A基地局200_AおよびB基地局200_Bを含む多数の基地局のグループと、C基地局200_Cを含む多数の基地局のグループとの2つのグループの基地局によって、第1および第2の無線ネットワーク制御装置400_1,400_2を含む多数の無線通信ネットワーク制御装置を介して構成される無線ネットワークが、本発明にいう無線ネットワークの一例に相当する。
本実施形態では、図11に示す第1および第2の無線ネットワーク制御装置400_1,400_2は、互いに同等な構成を有している。
図12は、図11に示す2つの無線ネットワーク制御装置の詳細を、互いの区別を捨象して示すブロック図である。尚、この図12では、上述の図8に示す構成要素と同等な構成要素については図8と同じ符号を付して示し、以下では重複説明を省略する。
この図12の無線ネットワーク制御装置400が備えるハンドオーバ制御部410では、自機配下の基地局200間でのハンドオーバだけでなく、自機配下の基地局200と他機配下の基地局200との間でのハンドオーバも実行される。ここで、ハンドオーバ制御部410とトラヒック量確認部141とを合せたものが、本発明にいうトラヒック量確認部の一例に相当し、ハンドオーバ制御部410と端末管理部120と無線チャネル管理部130と最適レート取得部142とを合せたものが、本発明にいう通信要求部の一例に相当する。
ここで、本実施形態における自機配下の基地局200間でのハンドオーバは、上述の第1実施形態におけるハンドオーバと同じ処理であるので、この自機配下の基地局200間でのハンドオーバについては重複説明を省略し、以下では、自機配下の基地局200と他機配下の基地局200との間でのハンドオーバに注目した説明を行う。
例えば、上記の図11の例のように、移動通信端末300が、第1の無線ネットワーク制御装置400_1の配下のB基地局200_BのBセル201_Bから、第2の無線ネットワーク制御装置400_2の配下のC基地局200_CのCセル201_Cに移動したとする。すると、第1の無線ネットワーク制御装置400_1が、その移動通信端末300と無線通信を行う基地局を、自機配下のB基地局200_Bから、第2の無線ネットワーク制御装置400_2の配下のC基地局200_Cに切り替えるハンドオーバを実行する。また、このハンドオーバの際には、移動通信端末300と切替え前のB基地局200_Bとの無線通信のトラヒック量が確認され、切替え先のC基地局200_Cに対して、そのトラヒック量に応じた通信レートの無線チャネルを移動通信端末300に割り当てるように指示される。このような処理により、無線リソースの無駄が抑制されたハンドオーバが行われ、本来成功するはずのハンドオーバの失敗が確実に回避される。
図13は、図11および図12に示す無線ネットワーク制御装置におけるハンドオーバの処理シーケンスを示す図である。尚、この図13では、上述の図9に示す処理ステップと同等な処理ステップについては図9と同じ符号を付して示し、以下では重複説明を省略する。
ある無線ネットワーク400配下の基地局200と通信している移動通信端末300は、その基地局200のセルから、他の無線ネットワーク400配下の基地局200のセルへと移動した場合、基地局の切替えを要求するハンドオーバ要求を、元の無線ネットワーク制御装置100に向けて発信する(ステップS201)。
このハンドオーバ要求は、元の無線ネットワーク制御装置100が備えるハンドオーバ制御部410で端末管理部120を介して受信される。すると、本実施形態では、上記の図9に示すステップS102からステップS107に至る一連の処理と同じ処理が実行される。これら一連の処理を経て、移動通信端末300に係る上り無線通信と下り無線通信とのそれぞれについて無線チャネルの切替えの要否が判定される。
ハンドオーバ制御部410は、上り無線通信と下り無線通信とのうち、無線チャネルの切替えが必要と判定した無線通信について、上記のハンドオーバ要求における切替え先の基地局200に対して、最適レート取得部142から伝えられた通信レートの無線チャネルを使って移動通信端末300に接続するように指示する無線チャネル接続要求を、切替え先の基地局200を配下に置く他の無線ネットワーク制御装置400を介して送る(ステップS202)。また、無線チャネルの切替えが不要と判定した無線通信については、現時点において切替え前の基地局200で移動通信端末300との通信に使われている無線チャネルの通信レートと同じ通信レートの無線チャネルを使ってこの移動通信端末300に接続するように指示する無線チャネル接続要求を、上記の他の無線ネットワーク制御装置400を介して送る(ステップS203)。
切替え先の基地局200では、上り無線通信と下り無線通信とについて、上記の無線チャネル接続要求に従った無線チャネルを使って移動通信端末300への接続が実行される。そして、切替え先の基地局200は、移動通信端末300との接続がなされた旨を通知する無線チャネル接続応答を、切替え前の基地局200を配下に置く元の無線ネットワーク制御装置400のハンドオーバ制御部410に、上記の他の無線ネットワーク制御装置400を介して送る(ステップS204)。
元の無線ネットワーク制御装置400のハンドオーバ制御部410は、切替え先の基地局200から無線チャネル接続応答を受け取ると、切替え前の基地局200に対して、それまで移動通信端末300との通信に使っていた無線チャネルの解放を指示するとともに、ハンドオーバが完了した旨を通知するハンドオーバ完了通知を、上記の他の無線ネットワーク制御装置400を介して移動通信端末300に送る(ステップS205)。また、移動通信端末300は、ハンドオーバ完了通知を受信すると、その通知を了解した旨を示すハンドオーバ完了応答を元の無線ネットワーク制御装置400のハンドオーバ制御部410、上記の他の無線ネットワーク制御装置400を介して送る(ステップS206)。
以上に説明したように、本実施形態では、移動通信端末が、ある無線ネットワーク制御装置400の配下の基地局200のセルから、他の無線ネットワーク制御装置400の配下の基地局200のセルに移動した場合であっても、ハンドオーバの際に、定期的なレート制御とは無関係にハンドオーバ用のレート制御が実行される。その結果、以下に説明するように、切替え先の基地局200における無線リソースの無駄が抑えられ、本来成功するはずのハンドオーバの失敗が確実に回避される。
図14は、図13に示す処理シーケンスが示すハンドオーバを、通信レートに注目して概念的に示す図である。尚、この図14は、説明を簡単なものとするために、上り無線通信と下り無線通信とのうち、下り無線通信のみに注目した図となっている。
まず、移動通信端末300が、第1の無線ネットワーク制御装置400_1の配下のB基地局200_Bのセル内に位置し、B基地局200_Bと通信を行っているとする(ステップS251)。このとき、移動通信端末300とB基地局200_Bとの無線通信のトラヒック量が、多めのトラヒック量Tr5であり、B基地局200_Bにおいて、この移動通信端末300に、上記のレート制御によって、通信レートが高い無線チャネル(高レートチャネル)Ch5_Bが割り当てられているとする。
ここで、移動通信端末300が、第2の無線ネットワーク制御装置400_2の配下のC基地局200_Cのセルに向かって移動しており、その移動中に、移動通信端末300とB基地局200_Bとの無線通信のトラヒック量が、通信レートが低い無線チャネル(低レートチャネル)で十分な少なめのトラヒック量Tr6に減少したとする(ステップS252)。このとき、定期的に訪れるレート制御のタイミングに至るまでは、たとえ無線通信のトラヒック量がこのように減少しても高レートチャネルCh5_Bがそのまま使われる。
このとき、レート制御のタイミングに至る前に、移動通信端末300が、第2の無線ネットワーク制御装置400_2の配下のC基地局200_Cのセルに移動し、移動通信端末300からハンドオーバ要求が出され、そのハンドオーバ要求に応じてハンドオーバが実行されたとする(ステップS253)。ここで、本実施形態では、図13の処理シーケンスに示すように、移動通信端末300が、ある無線ネットワーク制御装置400の配下の基地局200のセルから、他の無線ネットワーク制御装置400の配下の基地局200のセルに移動した場合であっても、ハンドオーバの際に、定期的なレート制御とは無関係にハンドオーバ用のレート制御が実行される。即ち、ハンドオーバにおける基地局の切替えの際に、切替え前のB基地局200_Bにおいて、レート制御における上記の定期的なタイミングとは無関係に、トラヒック量の確認と、その確認されたトラヒック量に応じた通信レートの取得とが行われ、切替え先のC基地局200_Cにおいて、その求められた通信レートの無線チャネルを使って移動通信端末300との接続が実行される。その結果、この図14の例では、ステップS253において、切替え先の、第2の無線ネットワーク制御装置400_2の配下のC基地局200_Cでは、少なめのトラヒック量Tr6に応じた低レートチャネルCh6_Cを使って移動通信端末300との接続が実行される。
以上に説明したように、本実施形態によれば、無線ネットワーク制御装置400が、自機配下の基地局200間でのハンドオーバを無線リソースの無駄を抑えて簡単に実行できるだけでなく、自機配下の基地局200と他機配下の基地局200との間でのハンドオーバについても無線リソースの無駄を抑えて簡単に実行することができる。さらに、本実施形態によれば、自機配下の基地局200間でのハンドオーバの際に、無理に高い通信レートの無線チャネルを使おうとして、本来成功するはずのハンドオーバに失敗するといった不具合が確実に回避されるだけでなく、自機配下の基地局200と他機配下の基地局200との間でのハンドオーバについてもこのような不具合が確実に回避される。
尚、上記では、本発明にいう「他の基地局との通信が必要となった場合」について、移動通信端末が他の基地局との通信を要求する場合を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、本発明にいう「他の基地局との通信が必要となった場合」は、無線ネットワーク制御装置が、通信中の移動通信端末について他の基地局との通信が必要と判断する場合であっても良い。
また、上記では、本発明の通信要求部の一例として、トラヒック量が確認された移動通信端末が用いている無線チャネルに対応付けられているトラヒック量の範囲における上限のトラヒック量をその確認されたトラヒック量が越えている場合には、ハンドオーバの切替え先の基地局に対し、その無線チャネルの通信レートよりも高い通信レートの無線チャネルを使った通信を要求し、トラヒック量の範囲における下限のトラヒック量をその確認されたトラヒック量が下回っている場合には、その無線チャネルの通信レートよりも低い通信レートの無線チャネルを使った通信を要求する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。本発明の通信要求部は、例えば、確認されたトラヒック量が上限のトラヒック量を越えている場合には高い通信レートの無線チャネルを使った通信を要求するが、確認されたトラヒック量が下限のトラヒック量を下回っている場合には現時点の無線チャネルの通信レートと同じ通信レートの無線チャネルを使った通信を要求するという形態であっても良く、あるいは、確認されたトラヒック量が下限のトラヒック量を下回っている場合には、その無線チャネルの通信レートよりも低い通信レートの無線チャネルを使った通信を要求するが、確認されたトラヒック量が上限のトラヒック量を越えている場合には現時点の無線チャネルの通信レートと同じ通信レートの無線チャネルを使った通信を要求するという形態であっても良い。
また、上記では、本発明の通信要求部の一例として、上り無線通信と下り無線通信との双方について、ハンドオーバの切替え先の基地局に対して、トラヒック量に応じた無線チャネルを使った通信を要求する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。本発明の通信要求部は、例えば、上り無線通信と下り無線通信とのうちのいずれか一方についてのみトラヒック量に応じた無線チャネルを使った通信を要求し、他方については、現時点の無線チャネルの通信レートと同じ通信レートの無線チャネルを使った通信を要求するという形態であっても良い。