JP4422288B2 - 車両用の戸挟み検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドアが閉じるときに人の手足や鞄等が挟まったことを検出する車両用の戸挟み検出装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
上記戸挟み検出装置には、戸先ゴムに作用する押圧力をドアが閉鎖位置にある状態およびドアが開放位置から閉鎖される状態で検出し、両押圧力を加算した加算圧力を予め設定された判定レベルと比較することに基づいて戸挟みの有無を判定する構成のものがある。
【0003】
上記構成の場合、ドアの閉鎖状態で戸先ゴムが車体等によって過大に押圧されたり、戸先ゴムと車体等との間に隙間が生じることがある。この現象はドアの組付誤差や製造誤差に起因するものであり、押圧力が過大なときには乗客の衣服等が挟まった程度で加算圧力が判定レベルを越え、人の手足や鞄等が挟まっていないにも拘らずドアが開放されることがある。これを対策するには判定レベルを予め高く設定しておくことが考えられるが、戸先ゴムと車体等との間に隙間があると、人の手足や鞄等が挟まっても加算圧力が判定レベルを越えないので、戸挟みが正確に検出されない虞れがある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、人の手足や鞄等が挟まったことを正確に判定できる車両用の戸挟み検出装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両用の戸挟み検出装置は、車両の乗降口を閉鎖するための閉鎖位置および当該乗降口を開放するための開放位置相互間で移動可能な車両用ドアに当該車両用ドアの閉鎖位置側の先端部に位置して設けられた戸先ゴムと、前記戸先ゴムの内部に設けられ前記戸先ゴムに外力が作用した場合に弾性変形することが可能であって密閉された空間を有する圧力室と、前記戸先ゴムの内部に設けられ前記戸先ゴムに外力が作用することで前記圧力室が弾性変形しても弾性変形しないものであって密閉された空間を有する基準圧力室と、前記圧力室の内圧および前記基準圧力室の内圧の相互間の差圧の大きさに応じたレベルの電気信号を出力する圧力センサと、前記車両用ドアが開放位置から閉鎖位置に向けて移動する状態で前記圧力センサから出力される電気信号を判定値と比較することに基づいて戸挟みの有無を判定する判定手段とを備え、前記判定手段は前記車両用ドアが閉鎖位置に静止している状態で前記圧力センサから出力される第1圧力信号と前記車両用ドアが閉鎖位置から開放位置に向けて移動する状態で前記圧力センサから出力される第2圧力信号と前記車両用ドアが開放位置から閉鎖位置に向けて移動する状態で前記圧力センサから出力される第3圧力信号とを検出し、前記第1圧力信号と前記第2圧力信号と前記第3圧力信号との3つの検出結果に基づいて前記判定値を補正して演算するところに特徴を有している。
【0006】
上記手段によれば、車両用ドアが閉鎖位置に静止している状態と車両用ドアが閉鎖位置から開放位置に向けて移動している状態と車両用ドアが開放位置から閉鎖位置に向けて移動している状態のそれぞれでの圧力室の内圧および基準圧力室の内圧相互間の差圧の大きさに応じて判定値が補正される。このため、ドアが開放位置から閉鎖される場合に圧力センサから出力される電気信号が衣服が挟まった程度で判定値を越えたり、手足や鞄が挟まれても判定値を越えないことが防止されるので、戸挟みの有無が正確に判定される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図13に基づいて説明する。まず、図5において、車両に相当する列車の車体1には2枚のドア2が左右方向へスライド可能に装着されている。これら両ドア2はドアモータ等のアクチュエータ(図示せず)に機械的に連結されたものであり、ドアモータの駆動に基づいて左右方向へスライドし、車体1の乗降口3を開閉する。
【0008】
各ドア2の先端部には、図13に示すように、凹部4が形成されている。これら各凹部4は上面が開口するものであり、各凹部4内には戸先ゴム5が装着されている。以下、各戸先ゴム5について説明する。
【0009】
<戸先ゴム5について>
ドア2の凹部4内には取付部6が固定されている。この取付部6は凹部4内に上方から圧入されることに基づいて凹部4内に固定されたものであり、取付部6の中央部には基準圧力室7が形成されている。この基準圧力室7は、図12の (a)に示すように、上下面が開口する縦長な空間状をなすものであり、基準圧力室7内には下端部に位置して2個の栓8が圧入され、2個の栓8は基準圧力室7の下端部を気密状態に塞いでいる。
【0010】
取付部6には、図13に示すように、幅狭部9が一体形成されており、幅狭部9には凹部4の外部に位置して断面略半円形状の戸当り部10が一体形成されている。この戸当り部10は上下面が開口する縦長な筒状をなすものであり、戸当り部10の内周面には規制壁部11が一体形成されている。この規制壁部11は戸当り部10の前後方向の中心から車外側へ偏った部分に位置するものであり、規制壁部11の厚さ寸法は戸当り部10の厚さ寸法より厚く設定されている。
【0011】
戸当り部10の内周面には第1の連結板12および第2の連結板13が一体形成されている。これら第1の連結板12および第2の連結板13の先端部には縦長な円筒部14が一体形成されており、第1の連結板12および第2の連結板13は円筒部14を戸当り部10の前後方向の中心から車内側へ偏った部分に保持している。この円筒部14は上下面が開口する空間状の圧力室15を形成するものであり、圧力室15内には、図12の(a)に示すように、下端部に位置して2個の栓16が圧入され、2個の栓16は圧力室15の下面を気密状態に塞いでいる。
【0012】
戸当り部10はドア2の閉鎖時にドア2が相手側のドア2に衝突するときの衝撃を緩和したり、戸当り部10間に人の手足や鞄等の異物が挟まったときの衝撃を緩和するものであり、戸当り部10間に異物が挟まったときには下記の挙動を呈する。
【0013】
▲1▼戸当り部10間に図13の車外側から異物が挟まった状態で車外側へ引張られると、円筒部14が車外側へ移動する。そして、円筒部14が規制壁部11に接触することに基づいて移動停止し、規制壁部11により押潰されるので、圧力室15の内圧が変化する。このとき、取付部6には引張力が作用しないので、取付部6が一定形状に保持されることに基づいて基準圧力室7の内圧が初期状態に保持される。
【0014】
▲2▼戸当り部10間に図13の車内側から異物が挟まった状態で車内側へ引張られると、円筒部14が押潰されることなく車内側へ移動するので、圧力室15の内圧が初期状態に保持される。このとき、取付部6には引張力が作用しないので、取付部6が一定形状に保持されることに基づいて基準圧力室7の内圧が初期状態に保持される。
【0015】
戸当り部10内には、図12の(a)に示すように、上下端部に位置して芯ゴム17が固定されており、戸当り部10のうち各芯ゴム17の配設部分に車外側または車内側から異物が挟まって車外側または車内側へ引張られたときには戸当り部10が初期状態に保持され、戸当り部10のうち両芯ゴム17間に車外側または車内側から異物が挟まって車外側または車内側へ引張られたときには戸当り部10が上記▲1▼または▲2▼の挙動を呈する。戸先ゴム5は以上のように構成されている。
【0016】
各戸先ゴム5の基準圧力室7内には上端部に位置して基準チューブ18の一端部が圧入されている。これら各基準チューブ18はシリコンゴムを材料に形成されたものであり、各基準チューブ18の他端部には、図12の(b)に示すように、基準パイプ19の一端部が接続されている。これら各基準パイプ19は金属を材料に形成されたものであり、各基準パイプ19には第1圧抜孔20が形成されている。また、各基準パイプ19の他端部には基準チューブ21の一端部が接続されている。これら各基準チューブ21は基準パイプ19および基準チューブ18と共に第1の圧力通路22を構成するものであり、シリコンゴムを材料に形成されている。
【0017】
各戸先ゴム5の圧力室15内には上端部に位置して検出チューブ23の一端部が圧入されている。これら各検出チューブ23はシリコンゴムを材料に形成されたものであり、各検出チューブ23の他端部には検出パイプ24の一端部が接続されている。これら各検出パイプ24は金属を材料に形成されたものであり、各検出パイプ24には第2の圧抜孔25が形成されている。また、各検出パイプ24の他端部には検出チューブ26の一端部が接続されている。これら各検出チューブ26は検出パイプ24および検出チューブ23と共に第2の圧力通路27を構成するものであり、シリコンゴムを材料に形成されている。
【0018】
各ドア2の前面には、図12の(c)に示すように、上端部に位置して合成樹脂製のパイプベース28が固定されている。これら各パイプベース28には左右方向へ延びる2本の凹部29が上下2段に形成されており、各パイプベース28の上段の凹部29内には基準パイプ19が嵌合され、各パイプベース28の下段の凹部29内には検出パイプ24が嵌合されている。
【0019】
各ドア2の前面にはパイプベース28の前方に位置して取付金具30が装着されている。これら各取付金具30は前方から取付金具30の貫通孔31を通してドア2に複数本のねじ32を締込むことに基づいてドア2に固定されたものであり、各取付金具30内には接着性を有するシール材33が固定されている。
【0020】
各シール材33には左右方向へ延びる2本の凹部34が上下2段に形成されている。これら各シール材33の上段の凹部34内には基準パイプ19が嵌合され、各シール材33の下段の凹部34内には検出パイプ24が嵌合されており、各組の基準パイプ19および検出パイプ24はパイプベース28とシール材33との間で挟持されることに基づいてドア2の前面に保持され、各基準パイプ19の第1の圧抜孔20および各検出パイプ24の第2の圧抜孔25は接着性のシール材33が貼付されることに基づいて気密状態に塞がれている。
【0021】
各組の第1の圧力通路22および第2の圧力通路27は、図12の(a)に示すように、圧力ユニット35に接続されている。以下、各圧力ユニット35について説明する。
【0022】
<圧力ユニット35について>
ドア2の上端面には鉄製のユニットケース36がねじ止めされている。このユニットケース36は、図9に示すように、後面が開放された部品室37を有するものであり、部品室37内にはプリンント配線基板38が収納されている。このプリント配線基板38は後方からプリント配線基板38を通してユニットケース36に複数本のねじ39を締込むことに基づいて固定されたものであり、各ねじ39にはナット40が螺合され、各ナット40はプリント配線基板38とねじ39の頭部41との間に介在されている。尚、各ねじ39の頭部41には雌ねじ部(図示せず)が形成されている。
【0023】
プリント配線基板38には戸先センサに相当する圧力センサ42が電気的に接続されており、圧力センサ42は前方から圧力センサ42を通してユニットケース36にねじ43を締込むことに基づいて部品室37内に固定されている。この圧力センサ42は2個の圧力検出素子(図示せず)を有するものであり、2個の圧力検出素子には基準ポート44および検出ポート45が個別に設けられている。これら基準ポート44および検出ポート45には、図8の(a)および(b)に示すように、基準チューブ21および検出チューブ26が圧入されており、圧力センサ42は基準チューブ21を通して入力される基準圧力室7の内圧および検出チューブ26を通して入力される圧力室15の内圧に応じたレベルの電気信号を出力する。
【0024】
ユニットケース36の後面には、図9に示すように、合成樹脂製のカバー46が被せられている。このカバー46は後方からカバー46を通して各ねじ39の雌ねじ部内にねじ47を締込むことに基づいてユニットケース36に固定されたものであり、カバー46には前面が開口する凹部48が形成され、凹部48内にはボビン49が嵌合されている。このボビン49は合成樹脂を材料に形成されたものであり、ボビン49には二次コイル50が巻装され、二次コイル50はプリント配線基板38に電気的に接続されている。
【0025】
プリント配線基板38には、図4に示すように、二次コイル50およびコンデンサ51を並列接続してなる共振回路52,全波整流回路53,定電圧回路54,送信手段に相当するドア側マイクロコンピュータ55(ドア側マイコン55と称する),クロック抽出回路56,AND回路57,復調回路58,NPN型のトランジスタ59,抵抗60が搭載されている。このうち共振回路52は二次コイル50で誘起される交流電力をコンデンサ51に充電するものであり、全波整流回路53はコンデンサ51の放電電力を全波整流することに基づいて直流化する。尚、ドア側マイコン55はCPU,ワークエリアとして機能するRAM,制御プログラムが予め記録されたROMを主体に構成されたものである。
【0026】
定電圧回路54は全波整流回路53からの直流電源を定電圧化するものであり、ドア側マイコン55は定電圧回路54から直流電源が印加されることに基づいて駆動する。また、クロック抽出回路56はコンデンサ51に充電される交流電力の周波数に同期したクロック信号を生成し、AND回路57に出力する。また、復調回路58は二次コイル50からの出力信号に基づいて復調データを生成するものであり、ドア側マイコン55は復調回路58からの復調データに基づいて二次コイル50の出力信号の内容を判断する。
【0027】
AND回路57はクロック抽出回路56からのクロック信号とドア側マイコン55からの出力信号とを演算処理することに基づいて駆動信号を生成するものであり、トランジスタ59はAND回路57から駆動信号が与えられることに基づいてオンされる。圧力ユニット35は以上のように構成されている。
【0028】
車体1の前面には、図10の(b)に示すように、各圧力ユニット35に対応して2枚の取付板61が固定されており、2枚の取付板61の前面にはターミナルユニット62が固定されている。以下、各ターミナルユニット62について説明する。
【0029】
<ターミナルユニット62について>
ユニットケース63は鉄を材料に形成されたものであり、ユニットケース63には、図7に示すように、前面が開口する凹部64が形成されている。この凹部64の底面には複数のボス65が一体形成されており、複数のボス65の前面にはプリント配線基板66が支持され、プリント配線基板66の前面には合成樹脂製のボビン67が支持されている。
【0030】
ボビン67には一次コイル68が巻装されており、一次コイル68はプリント配線基板66に電気的に接続されている。この一次コイル68は二次コイル50の3倍程度の直径寸法を有するものであり、ドア2の閉鎖時には、図11の(a)に示すように、二次コイル50が一次コイル68の端部に対向し(磁気的な結合状態)、ドア2が閉鎖状態から開放されると、図11の(b)に示すように、ドア2の移動途中で二次コイル50が一次コイル68から外れる(磁気的な遮断状態)。
【0031】
ユニットケース63の前面には、図7に示すように、合成樹脂製のカバー69が被せられており、カバー69は前方からカバー69,ボビン67,プリント配線基板66を通して各ボス65内にねじ70を締込むことに基づいてユニットケース63に固定されている。また、プリント配線基板66には、図6に示すように、ケーブル71の一端部が電気的に接続されている。このケーブル71は、図5に示すように、車体1内に収納されたものであり、ケーブル71の他端部にはコネクタ72が電気的に接続されている。
【0032】
プリント配線基板66には、図4に示すように、発振回路73,分周回路74,増幅器75,コンデンサ76および一次コイル68を直列接続してなる共振回路77,抵抗78,抵抗79,NPN型のトランジスタ80,バッファ81,復調回路82が搭載されている。このうち発振回路73は設定周波数の電力信号を分周回路74に出力するものであり、分周回路74は発振回路73からの電力信号を分周して増幅器75に出力する。
【0033】
増幅器75は電力信号を増幅して共振回路77に出力するものであり、共振回路77の一次コイル68は増幅器75からの電力信号に応じた周波数で発振し、図7の合成樹脂製のカバー69を通して前方へ磁界を発生させる。また、図4のバッファ81はトランジスタ80に駆動信号を出力するものであり、トランジスタ80は駆動信号が与えられることに基づいてオンされる。このトランジスタ80のオン時にはコンデンサ76の充電電荷が抵抗79を介して放電され、一次コイル68の発振レベルが低下する。ターミナルユニット62は以上のように構成されている。
【0034】
車体1の床下には、図5に示すように、各ターミナルユニット62に対応してコントローラ83が配設されており、各コントローラ83は、図4に示すように、車載の電源装置84に電気的に接続されている。この電源装置84は電源に相当するものであり、各コントローラ83には電源装置84から駆動電源が印加される。これら各コントローラ83は、図5に示すように、ケーブル85,コネクタ86を介してコネクタ72,ケーブル71に電気的に接続されており、各ターミナルユニット62には電源装置84からコントローラ83,ケーブル85,ケーブル71を通して駆動電源が印加される。以下、各コントローラ83について説明する。
【0035】
<コントローラ83について>
コントローラ83は、図4に示すように、入力回路87,判定手段に相当する車体側マイクロコンピュータ88(車体側マイコン88と称する),出力回路89,フィルタ回路90を有している。このうちフィルタ回路90はターミナルユニット62の復調回路82から復調データが与えられることに基づいて復調データからノイズ成分を除去し、ノイズ成分が除去された復調データを発振回路73から出力される発振周波数に同期して車体側マイコン88に出力するものであり、車体側マイコン88はフィルタ回路90からの復調データに基づいて戸挟みの有無を判定する。尚、車体側マイコン88はCPU,ワークエリアとして機能するRAM,制御プログラムが予め記録されたROMを主体に構成されたものである。
【0036】
入力回路87は乗務員が戸開操作および戸閉操作することに基づいて戸開信号および戸閉信号が入力されるものであり、戸開信号および戸閉信号を車体側マイコン88に与える。また、出力回路89はドライブ回路(図示せず)を介して乗務員室の異常表示ランプ(図示せず)に接続されたものであり、車体側マイコン88から戸挟み検出信号が与えられることに基づいてドライブ回路を通して異常表示ランプに異常駆動信号を与え、異常表示ランプを点灯させる。
【0037】
次に上記構成の作用について説明する。ドア2の閉鎖時には、図11の(a)に示すように、二次コイル50が一次コイル68の前方に対向し、一次コイル68および二次コイル50間が磁気的に結合している。このため、図4の一次コイル68が分周回路74からの電力信号に応じた周波数で発振すると、二次コイル50が誘導起電力を発生し、定電圧回路54からドア側マイコン55に電源が印加される。
【0038】
ドア側マイコン55はパワーオンリセットレベルの電源が印加されると、図2のステップP1へ移行し、定電圧回路54からの電源が定格レベルに達したかを判定する。ここで「YES」と判断すると、図2のステップP2へ移行し、測定開始信号の有無を判断する。
【0039】
車体側マイコン88は電源が投入されると、図1のステップS1へ移行し、図4のバッファ81を介してトランジスタ80にパルス状の測定開始信号を出力する。すると、トランジスタ80が測定開始信号に応じてオンオフされ、一次コイル68の発振レベルが測定開始信号に応じてハイレベルおよびロウレベルに変化する。このため、二次コイル50の発振レベルが測定開始信号に応じてハイレベルおよびロウレベルに変化し、二次コイル50が一次コイル68からの測定開始信号を受信する。
【0040】
二次コイル50の発振レベルが変化すると、復調回路58が測定開始信号を復調してドア側マイコン55に出力する。すると、ドア側マイコン55は図2のステップP2で測定開始信号を検出し、ステップP3へ移行する。ここで、圧力センサ42からの出力信号を検出し、パルス状の圧力信号Pを設定する。この圧力信号Pは図13の基準圧力室7の内圧と圧力室15の内圧との差圧を示すものであり、ドア側マイコン55は圧力信号Pを設定すると、図2のステップP4へ移行し、圧力信号Pを図4のAND回路57に出力する。
【0041】
AND回路57は圧力信号Pが与えられると、図4のクロック抽出回路56からのクロック信号と圧力信号Pとに基づいて駆動信号を生成し、トランジスタ59に出力する。すると、二次コイル50の発振レベルがハイレベルになるタイミング(一次コイル68の発振レベルがハイレベルになるタイミング)でトランジスタ59がオンされ、一次コイル68のインダクタンスが変化する。このインダクタンスの変化を復調回路82が復調データとしてフィルタ回路90に出力し、フィルタ回路90が発振回路73の発振周波数に同期して車体側マイコン88に出力する。
【0042】
車体側マイコン88はフィルタ回路90から復調データが与えられると、図1のステップS2で圧力信号Pが有ると判断してステップS3へ移行し、圧力信号Pを閉鎖圧力P0 に投入する(P→P0 )。そして、ステップS4へ移行し、図4の入力回路87からの戸開信号の有無を判断する。ここで、戸開信号が無いこと検出すると、図1のステップS1に復帰し、ステップS4で戸開信号を検出するまでステップS1〜S4を繰返す。従って、ドア側マイコン55が圧力信号Pの送信を繰返し、車体側マイコン88が閉鎖圧力P0 (ドア2の閉鎖時の圧力)を更新することになる。尚、図3はドア側マイコン55から車体側マイコン88に送信される圧力信号Pの時間変化を示すものである。
【0043】
車体側マイコン88は図1のステップS4で戸開信号を検出すると、ステップS5へ移行し、最低閉開圧力P1 に最大値P1maxを投入する(P1max→P1 )。この最大値P1maxはドア2が閉鎖位置から開放されるときの閉開圧力の最大値であり、車体側マイコン88は「P1max→P1 」を実行すると、ステップS6へ移行し、ドア側マイコン55に測定開始信号を送信する。すると、ドア側マイコン55が上述の手順で圧力信号Pを送信し、車体側マイコン88が圧力信号Pを受信する。尚、最低閉開圧力P1 の最大値P1maxは車体側マイコン88のROMに予め記録されたものである。
【0044】
車体側マイコン88は圧力信号Pを受信すると、図1のステップS7で「YES」と判断してステップS8へ移行し、閉開圧力P1 ´に圧力信号Pを投入する。そして、ステップS9へ移行し、最低閉開圧力P1 と閉開圧力P1 ´とを比較する。この場合には最低閉開圧力P1 に最大値P1maxが投入されているので、「最低閉開圧力P1 ≧閉開圧力P1 ´」を検出してステップS10へ移行し、閉開圧力P1 ´を最低閉開圧力P1 に投入する(P1 ´→P1 )。
【0045】
車体側マイコン88は「閉開圧力P1 ´→最低閉開圧力P1 」を実行すると、ステップS11へ移行し、図4の入力回路87からの戸閉信号の有無を判断する。ここで、戸閉信号が無いこと検出すると、図1のステップS6に復帰し、ステップS6〜S11を繰返す。従って、ドア側マイコン55が圧力信号Pの送信を繰返し、車体側マイコン88が最低閉開圧力P1 を最低値に更新することになる
(図3のステップS5〜S11)。
【0046】
ドア2が閉鎖位置から開放位置に移動する途中で二次コイル50が一次コイル68の前方から外れると(図11のb参照)、ドア側マイコン55に対する電源の供給が遮断され、ドア側マイコン55がオフされる。この状態では車体側マイコン88が図1のステップS6で測定開始信号を送信してもドア側マイコン55から圧力信号Pが送信されないので、車体側マイコン88はステップS7で「NO」と判断してステップS11へ移行し、戸閉信号を検出するまでステップS6,S7,S11を繰返す。
【0047】
車体側マイコン88はステップS11で戸閉信号を検出すると、ステップS12へ移行し、最低開閉圧力P2 に最大値P2maxを投入する(P2max→P2 )。この最大値P2maxはドア2が開放位置から閉鎖されるときの開閉圧力の最大値であり、車体側マイコン88は「P2max→P2 」を実行すると、ステップS13へ移行し、ドア側マイコン55に測定開始信号を送信する。尚、最低開閉圧力P2 の最大値P2maxは車体側マイコン88のROMに予め記録されたものである。
【0048】
戸閉信号の出力直後はドア2が開放位置付近に存在しているので、二次コイル50が一次コイル68の前方から外れ、ドア側マイコン55に対する電源の供給が遮断されている。このため、車体側マイコン88から測定開始信号が送信されてもドア側マイコン55から圧力信号Pが送信されないので、車体側マイコン88はステップS14で「NO」と判断してステップS13に復帰し、測定開始信号の送信を繰返す。
【0049】
ドア2が開放位置から閉鎖される移動途中で二次コイル50が一次コイル68の前方に対向すると、ドア側マイコン55が起動し、測定開始信号を受信して圧力信号Pを送信する。すると、車体側マイコン88は図1のステップS14で 「YES」と判断してステップS15へ移行し、開閉圧力P2 ´に圧力信号Pを投入する(P→P2 ´)。そして、ステップS16へ移行し、最低開閉圧力P2 と開閉圧力P2 ´とを比較する。
【0050】
車体側マイコン88はステップS16で「開閉圧力P2 ´≦最低開閉圧力P2 」を検出すると、戸挟みが無いと判定してステップS17へ移行し、最低開閉圧力P2 に開閉圧力P2 ´を投入する(P2 ´→P2 )。そして、ステップS18へ移行し、戸閉信号の状態を判断する。この戸閉信号はドア2が開放位置から閉鎖位置に移動することに基づいて出力停止されるものであり、車体側マイコン88はステップS18で戸閉信号を検出すると、ステップS13に復帰し、ステップS18で戸閉信号の出力停止を検出するまでステップS13〜S18を繰返す。従って、ドア側マイコン55が圧力信号Pの送信を繰返し、車体側マイコン88が最低開閉圧力P2 を最低値に更新することになる(図3のステップS12〜S18)。
【0051】
車体側マイコン88は図1のステップS18で戸閉信号の出力停止を検出すると、ステップS19へ移行する。そして、戸挟み検出信号の出力をオフし(この場合には戸挟み検出信号は出力されていない)、ステップS1に復帰して上記一連の動作を繰返す。
【0052】
車体側マイコン88はステップS16で「開閉圧力P2 ´>最低開閉圧力P2 」を検出すると、ステップS20へ移行し、下記(1)式を演算することに基づいて戸挟み判定値P3 を得る。尚、戸挟み判定値P3 は戸挟みの有無を判定する判定レベルに相当するものである。
P3 =(P0 −P1 )+P2 +しきい値ΔP ……(1)
【0053】
車体側マイコン88は戸挟み判定値P3 を算出すると、ステップS21へ移行し、先のステップS15で記録した開閉圧力P2 ´をステップS20で算出した戸挟み判定値P3 と比較する。ここで「開閉圧力P2 ´<戸挟み判定値P3 」を検出したときには戸挟みが無いと判定してステップS22へ移行し、戸挟み検出信号の出力をオフする。そして、ステップS18で戸閉信号の出力停止を検出するまで上記一連の動作を繰返し、ステップS18で戸閉信号の出力停止を検出すると、ステップS19へ移行して戸挟み検出信号の出力をオフする。
【0054】
車体側マイコン88はステップS21で「開閉圧力P2 ´≧戸挟み判定値P3 」を検出すると、戸挟みが有ると判定してステップS23へ移行し、戸挟み検出信号の出力をオンする。すると、図4の出力回路89からドライブ回路を通して異常表示ランプに異常駆動信号が与えられ、異常表示ランプが点灯することに基づいて乗務員に戸挟みが報知される。この後、車体側マイコン88は図1のステップS18で戸閉信号のオフを検出すると、ステップS19へ移行し、戸挟み検出信号の出力を停止する。尚、図1は車体側マイコン88がROMの制御プログラムに基づいて実行するものである。また、図1はドア側マイコン55がROMの制御プラグラムに基づいて実行するものである。
【0055】
上記第1実施例によれば、ドア2が閉鎖されているときの圧力値P0 に基づいて戸挟み判定値P3 を補正した(図1のステップS20)。このため、ドア2の閉鎖状態で戸先ゴム5が相手側の戸先ゴム5によって過大に押圧されたり、戸先ゴム5と相手側の戸先ゴム5との間に隙間が生じているときには過大な押圧力に応じた圧力値P0 や隙間に応じた圧力値P0 に基づいて戸挟み判定値P3 が補正される。従って、ドア2が開放位置から閉鎖されるときの圧力値P2 ´が衣服が挟まった程度で戸挟み判定値P3 を越えたり、手足や鞄が挟まれても戸挟み判定値P3 を越えないことが防止されるので、戸挟みが正確に判定される。尚、図3の破線αはドア2の閉鎖状態で戸先ゴム5と相手側の戸先ゴム5との間に隙間が生じている場合の圧力値P0 を示すものである。
【0056】
また、ドア側マイコン55から車体側マイコン88に圧力信号Pを送信し、車体側マイコン88が圧力信号Pに基づいて戸挟みの有無を判定するようにした。このため、電源が供給・遮断されるドア側マイコン55で戸挟みの有無を判定する場合とは異なり、圧力信号Pを保管する不揮発性メモリが不要になるので、部品コストが安くなる。しかも、不揮発性メモリを交換する等のメンテナンスが不要になるので、保守点検が簡単になる。
【0057】
また、ドア2が開放位置から閉鎖されるときの最低圧力値P2 に基づいて戸挟み判定値P3 を設定し(図1のステップS20)、ドア2が開放位置から閉鎖されるときの圧力値P2 ´と比較した。このため、ドア2の開放状態で戸先ゴム5の戸当り部10に直射日光が当ったときには急激な温度上昇分を含んだ圧力値P2 ´と急激な温度上昇分を含んだ戸挟み判定値P3 とが比較されるようになるので、急激な温度上昇分がキャンセルされ、この点からも戸挟みの有無が正確に判定される。尚、図3の破線βはドア2の開放状態で戸当り部10に直射日光が当ったときの圧力値P2 ´を示すものである。
【0058】
また、戸挟み判定値P3 を設定するときの圧力値としてドア2が開放位置から閉鎖されるときの最低値P2 を使用した。このため、ドア2が開放位置から閉鎖されるときに乗客が戸当り部10に寄掛かっていたり、乗客や物が戸当り部10にぶつかったときには圧力室15の内圧が一時的に上昇するが、一時的な上昇圧力が戸挟み判定値P3 の設定に使用されることがなくなるので、この点からも戸挟みの有無が正確に判定される。
【0059】
また、第1の圧力通路22および第2の圧力通路27に第1の圧抜孔20および第2の圧抜孔25を設けたので、第1の圧力通路22の基準チューブ18および第2の圧力通路27の検出チューブ23を圧力センサ42に接続した後に基準圧力室7内および圧力室15内に圧入すると、基準圧力室7内および圧力室15内が第1の圧抜孔20および第2の圧抜孔25を通して外部に開放される。この状態でドア2に取付金具30をねじ止めし、第1の圧抜孔20および第2の圧抜孔25を取付金具30のシール材33により塞げば基準圧力室7内および圧力室15内が同レベルの大気圧になる。従って、戸先ゴム5の戸当り部10が相手側の戸当り部10に接触した程度で基準圧力室7の内圧と圧力室15の内圧との差圧が戸挟みの判定レベルを越えたり、人の手足や鞄等が挟まっても差圧が戸挟みの判定レベルを越えないことが防止されるので、この点からも戸挟みの有無が正確に判定される。
【0060】
尚、上記第1実施例においては、戸挟み判定値P3 を最低閉開圧力P1 に基づいて補正したが、これに限定されるものではなく、例えば戸開信号の出力から設定時間が経過したときの閉開圧力P1 に基づいて戸挟み判定値P3 を補正しても良い。
また、上記第1実施例においては、ドア2が閉鎖位置から開放位置へ移動する間の最低閉開圧力P1 を検出したが、これに限定されるものではなく、例えばドア2が閉鎖位置→開放位置→閉鎖位置へ移動する間の最低圧力を検出し、当該最低圧力に基づいて戸挟み判定値P3 を補正しても良い。
【0061】
次に本発明の第2実施例を図14に基づいて説明する。車体側マイコン88はステップS11で戸閉信号を検出すると、ステップS13へ移行する。ここで、ドア側マイコン55に測定開始信号を送信し、ステップS14へ移行する。この戸閉信号の検出直後はドア2が開放位置付近に存在しているので、ドア側マイコン55に電源が供給されておらず、ドア側マイコン55から圧力信号Pが送信されない。従って、車体側マイコン88はステップS14で「NO」と判断してステップS13およびS14を繰返す。
【0062】
ドア2が閉鎖位置付近に移動し、ドア側マイコン55に電源が供給されると、ドア側マイコン55から車体側マイコン88に圧力信号Pが送信される。すると、車体側マイコン88はステップS14で「YES」と判断してステップS15へ移行し、ドア側マイコン55からの圧力信号Pを開閉圧力P2 ´に投入する(P→P2 ´)。
【0063】
車体側マイコン88は「圧力信号P→開閉圧力P2 ´」を実行すると、ステップS20へ移行し、下記(2)式を演算することに基づいて戸挟み判定値P3 を得る。
P3 =(P0 −P1 )+P1 +しきい値ΔP ……(2)
【0064】
車体側マイコン88は戸挟み判定値P3 を算出すると、ステップS21へ移行し、先のステップS15で記録した開閉圧力P2 ´をステップS20で算出した戸挟み判定値P3 と比較する。ここで「開閉圧力P2 ´<戸挟み判定値P3 」を検出したときには戸挟みが無いと判定してステップS22へ移行し、戸挟み検出信号の出力をオフする。そして、ステップS18へ移行し、上記一連の動作を繰返す。
【0065】
車体側マイコン88はステップS21で「開閉圧力P2 ≧戸挟み判定値P3 」を検出すると、戸挟みが有ると判定してステップS23へ移行する。そして、戸挟み検出信号の出力をオンし、異常表示ランプを点灯させることに基づいて乗務員に戸挟みを知らせる。この後、ステップS18で戸閉信号のオフを検出すると、ステップS19へ移行し、戸挟み検出信号の出力を停止する。尚、図14は車体側マイコン88がROMに予め記録された制御プログラムに基づいて実行するものである。
【0066】
尚、上記第1および第2実施例においては、戸先センサとして戸先ゴム5の内圧に応じた電気信号を出力する圧力センサ42を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば下記▲1▼〜▲3▼のいずれかの構成としても良く、要は戸先ゴム5の変形具合に応じた電気信号を出力するものであれば良い。
▲1▼戸先ゴム5の戸当り部10の内周面に圧電ゴムを設け、戸当り部10に作用する押圧力に応じたレベルの電気信号を圧電ゴムからドア側マイコン55に出力する。
▲2▼戸当り部10内の上端部および下端部に光電スイッチの投光素子および受光素子を配置し、戸当り部10の変形具合に応じたレベルの受光量信号を受光素子からドア側マイコン55に出力する。
▲3▼戸当り部10内の上端部および下端部に超音波センサの送信機および受信機を配置し、戸当り部10の変形具合に応じたレベルの受波量信号を受信機からドア側マイコン55に出力する。
【0067】
また、上記第1および第2実施例においては、戸当り部10内に円筒部14等を設け、円筒部14の内圧を検出する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば規制壁部11,第1の連結板12,第2の連結板13,円筒部14を廃止し、戸当り部10の内圧を検出しても良い。
また、上記第1および第2実施例においては、車体側マイコン88が基準圧力室7の内圧と圧力室15の内圧との差圧に基づいて戸挟みの有無を判定するように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば圧力室15の内圧のみに基づいて戸挟みの有無を判定するようにしても良い。
【0068】
また、上記第1および第2実施例においては、車体側マイコン88とドア側マイコン55とを双方向通信させたが、これに限定されるものではなく、ドア側マイコン55から車体側マイコン88へ単方向通信させる構成としても良い。この構成の場合、ドア側マイコン55から車体側マイコン88へ定期的に圧力信号Pを送信すると良い。
【0069】
また、上記第1および第2実施例においては、ドア2が閉鎖位置付近に存在しているときだけ二次コイル50を一次コイル68に磁気的に結合させたが、これに限定されるものではなく、例えばドア2の移動範囲の全域で二次コイル50を一次コイル68に磁気的に結合させても良い。この場合、ドア2が閉鎖位置にあるときの閉鎖圧力P0 と開放位置にあるときの開放圧力とに基づいて戸挟み判定値P3 を補正しても良い。
【0070】
また、上記第1および第2実施例においては、車体1側から圧力ユニット35に非接触で電源を供給したが、これに限定されるものではなく、例えば電源ケーブルを使用して供給しても良い。
また、上記第1および第2実施例においては、ターミナルユニット62とコントローラ83とを別々のユニットとして構成したが、これに限定されるものではなく、例えばターミナルユニット62のユニットケース63内に車体側マイコン88等を収納することに基づいてターミナルユニット62とコントローラ83とを機械的な1個のユニットにしても良い。
【0071】
また、上記第1および第2実施例においては、複数のターミナルユニット62に対して個別にコントローラ83を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば複数のターミナルユニット62を集中制御する1個のコントローラ83を設けても良い。
また、上記第1および第2実施例においては、戸挟み判定値P3 を補正するしきい値ΔPを固定したが、これに限定されるものではなく、例えば車体側マイコン86に可変抵抗器を接続しておき、しきい値ΔPを可変抵抗器の操作に基づいて調節しても良い。
【0072】
また、上記第1および第2実施例においては、乗降口3を2枚のドア2により開閉したが、これに限定されるものではなく、例えば1枚のドア2により開閉しても良い。この場合、ドア2の閉鎖時に戸先ゴム5が車体1に当接することになる。
また、上記第1および第2実施例においては、本発明を列車のドア2に適用したが、これに限定されるものではなく、例えばバスのドア,船舶のドア,飛行機のドア等の車両のドア全般に適用できる。
【0073】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の車両用の戸挟み検出装置によれば、車両用ドアが閉鎖位置に静止している状態と車両用ドアが閉鎖位置から開放位置に向けて移動している状態と車両用ドアが開放位置から閉鎖位置に向けて移動している状態のそれぞれでの圧力室の内圧および基準圧力室の内圧相互間の差圧の大きさに応じて判定値を補正した。このため、ドアの閉鎖状態で戸先ゴムが車体等によって過大に押圧されたり、戸先ゴムと車体等との間に隙間が生じているときには戸先ゴムの変形具合に応じて判定値が補正されるので、戸挟みの有無が正確に判定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す図(車体側マイコンの制御内容を示すフローチャート)
【図2】ドア側マイコンの制御内容を示すフローチャート
【図3】ドアの開閉と圧力信号との関係を示す図
【図4】圧力ユニット,ターミナルユニット,コントローラの電気的構成を示すブロック図
【図5】ドアの周辺部を示す前面図
【図6】ターミナルユニットの外観を示す図(aはXa視図、bはXb視図)
【図7】ターミナルユニットを分解状態で示す断面図(図6のX7 線に沿う断面図)
【図8】圧力ユニットの外観を示す図(aはXa視図、bはXb視図、cはXc視図)
【図9】圧力ユニットを分解状態で示す断面図(図8のX9 線に沿う断面図)
【図10】圧力ユニットとターミナルユニットとの位置関係をドアの閉鎖状態で示す図 (aはXa視図、bはXb視図、cはXc視図)
【図11】圧力ユニットとターミナルユニットとの位置関係を示す図(aはドアの閉鎖状態で示す図10のa相当図、bはドアの開放途中状態で示す図10のa相当図)
【図12】(a)はドアを示す前面図、(b)はドアの上端部を基準パイプおよび検出パイプの非固定状態で示す図、(c)はXc線に沿う断面図
【図13】戸先ゴムを示す断面図(図12のX13線に沿う断面図)
【図14】本発明の第2実施例を示す図(車体側マイコンの制御内容を示すフローチャート)
【符号の説明】
2はドア、3は乗降口、5は戸先ゴム、42は圧力センサ(戸先センサ)、88は車体側マイクロコンピュータ(判定手段)を示す。
Claims (1)
- 車両の乗降口を閉鎖するための閉鎖位置および当該乗降口を開放するための開放位置相互間で移動可能な車両用ドアに当該車両用ドアの閉鎖位置側の先端部に位置して設けられた戸先ゴムと、
前記戸先ゴムの内部に設けられ、前記戸先ゴムに外力が作用した場合に弾性変形することが可能であって密閉された空間を有する圧力室と、
前記戸先ゴムの内部に設けられ、前記戸先ゴムに外力が作用することで前記圧力室が弾性変形しても弾性変形しないものであって密閉された空間を有する基準圧力室と、
前記圧力室の内圧および前記基準圧力室の内圧の相互間の差圧の大きさに応じたレベルの電気信号を出力する圧力センサと、
前記車両用ドアが開放位置から閉鎖位置に向けて移動する状態で前記圧力センサから出力される電気信号を判定値と比較することに基づいて戸挟みの有無を判定する判定手段とを備え、
前記判定手段は、
前記車両用ドアが閉鎖位置に静止している状態で前記圧力センサから出力される第1圧力信号と、前記車両用ドアが閉鎖位置から開放位置に向けて移動する状態で前記圧力センサから出力される第2圧力信号と、前記車両用ドアが開放位置から閉鎖位置に向けて移動する状態で前記圧力センサから出力される第3圧力信号とを検出し、
前記第1圧力信号と前記第2圧力信号と前記第3圧力信号との3つの検出結果に基づいて前記判定値を補正して演算することを特徴とする車両用の戸挟み検出装置。
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