JP4422058B2 - 配管継手 - Google Patents

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Description

この発明は配管継手に関し、詳しくは配管挿入時の抵抗を少なくするための技術手段に特徴を有するものに関する。
従来、(a)内側に配管の挿入空間を形成する外筒部と、(b)周方向に連続したフラットなリング基部及びリング基部から配管の挿入方向に向けて径方向内方に斜めに突出する形態でリング基部に沿って周方向に複数形成された爪を有し、挿入空間に挿入された配管の外面に爪を食い込ませて、配管を抜止状態にロックするロックリングと、を備えた配管継手が公知である。
図8はその一例を示している(下記特許文献1に開示)。
同図において200は配管継手202における外筒部で、内側に配管204の挿入空間206を形成している。
208は外筒部200に保持されたロックリングで、この配管継手202は、挿入空間206に挿入された配管204をロックリング208によって抜止状態にロックする。
ロックリング208は、図8(B)に示しているように周方向に連続したフラットなリング基部210、及びリング基部210から配管204の挿入方向に向けて径方向内方に斜めに突出した爪212をリング基部210に沿って複数有しており、挿入空間206に挿入された配管204の外面に、それら爪212を食い込ませて配管204を抜止状態にロックする。
このロックリング208は、爪212と212との間に切込み(具体的には切込みの一形態としての切欠き)214が形成されていて、それら切込み214によって各爪212に弾性変形能が付与されている。
この配管継手202では、配管204を挿入空間206に挿入すると、ロックリング208の各爪212が配管204の挿入方向に弾性変形して、配管204の挿入を許容する。
一方配管204に対し引抜方向の力が働くと、各爪212が配管204の外面に食い込んで配管204を抜け防止する。
しかしながらこの配管継手は、配管の挿入時にロックリングの爪を強制的に弾性変形させて配管の挿入を行うものであり、配管の挿入時に大きな抵抗が働いて配管の挿入作業性が悪く、ひいては配管の接続作業性が悪い問題があった。
また配管を配管継手から引き抜く際には、ロック解除部材によって配管に対するロックリングの爪の食込みを解除し、配管の引抜作業を行うが、そのロック解除操作の際にも大きな抵抗が働いて、解除操作の際の作業性が悪いといった問題があった。
特開平11−63347号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、配管の挿入時或いはロックリングによるロックを解除するための解除操作の際の抵抗を十分に小さくして、配管を小さな力で円滑に挿入可能、或いはまたロック解除の際にも小さな力で簡単に解除操作することが可能な、ロックリングを用いた配管継手を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、(a)内側に配管の挿入空間を形成する外筒部と、(b)周方向に連続したフラットなリング基部及び該リング基部から該配管の挿入方向に向けて径方向内方に斜めに突出する形態で該リング基部に沿って周方向に複数形成された爪を有し、該挿入空間に挿入された該配管の外面に該爪を食い込ませて、該配管を抜止状態にロックするロックリングと、を備えた配管継手において、前記ロックリングにおける前記爪と爪との間の切込みの内、周方向に隔たった複数個所の一部の切込みだけを前記リング基部まで入り込む深い切込みとなす一方、残りの他の切込みについては該リング基部まで入り込まない浅い切込みとなし、且つ該深い切込みの個所の数を該浅い切込みの個所の数よりも少なくしてあることを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記外筒部は前記ロックリングの前記リング基部を軸方向両側から挟み込んで保持する一対の挟持部を有しており、且つ該一対の挟持部の間には、前記配管の挿入に伴なって生ずる該リング基部の変形を許容する軸方向の隙間が確保してあることを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように本発明は、ロックリングを用いて配管を抜止めする配管継手において、そのロックリングにおける爪と爪との間の切込みの内、周方向に隔たった複数個所の一部の切込みだけをフラットなリング基部まで入り込む深い切込みとなす一方、残りの他の切込みについては、リング基部まで入り込まない浅い切込みとなしたものである。
このロックリングにあっては、周方向に連続したフラットなリング基部の内の周方向に隔たった複数個所、詳しくはリング基部まで入り込む深い切込みを設けた複数個所が強度的に弱い部分(変形抵抗の小さな部分)となり、従って挿入空間に配管を挿入したとき、従来のロックリングでは単に各爪がそれらの間の切込みに基づいて弾性変形するのみであったのが、本発明の配管継手におけるロックリングにあっては、配管の挿入時に挿入力を受けた爪からリング基部への力の伝達によって、リング基部まで達する深い切込みと切込みとの間の所定周長部分が、上記深い切込みを設けた部分を中心として一体に変形する。
詳しくは、リング基部の外周側が当初の位置から浮き上がる方向に変形する。
そしてこのリング基部の変形によって、また上記の深い切込みと切込みとの間に位置している複数の爪が、リング基部の上記の変形に伴なって配管の挿入方向に一体に変形する。
このときの各爪の変形は、挿入空間から径方向外方に逃げる方向の変形であり、このため配管の挿入時にロックリングに発生する抵抗力は小となり、即ち配管の挿入時の挿入抵抗が小となり、配管の挿入を小さな力で作業性良く行うことができるようになる。
或いはまた、配管の外面に対する爪の食込みを解除する際、即ちロックリングによるロックを解除する際、解除操作のための力も小さな力で済み、解除操作を簡単にできるようになる。
ここで上記の深い切込みは、周方向に沿って一定の切込みごとに同じ間隔で設けておくことができる。
尚、爪と爪との間の切込み全てをフラットなリング基部まで入り込む深い切込みとなした場合、各爪の弾性変形能は増大するものの、リング基部の変形が効果的に生じず、従ってリング基部の変形に伴なう爪の挿入空間外方(径方向外方)への変形、つまり逃げ方向の変形が効果的に生じず、従って配管の挿入時の挿入抵抗を効果的に低減することができない。
しかるに本発明によれば、リング基部の変形に基づいて配管の挿入時の挿入抵抗を効果的に低減せしめることができる。
この場合において、ロックリングにおけるリング基部を軸方向両側から挟み込んで保持する、外筒部に設けた一対の挟持部の間に、配管の挿入に伴なう上記リング基部の変形を許容する軸方向の隙間を確保しておくことが望ましい(請求項2)。
このようにすることでロックリングの変形、詳しくはリング基部の上記の変形を確実に生ぜしめることができる。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1及び図2において、10は金属製の配管継手、12は継手本体で、フランジ状の大径の工具掛部14を有しており、その工具掛部14の図中右側の外周面に雄ねじ16を有している。
また雄ねじ16とは反対側の図中左側に、円筒形状の内筒部18を一体に備えている。
そしてこの内筒部18に対して、樹脂製の配管20が外嵌状態に軸方向から外挿され、内筒部18に接続されるようになっている。
ここで内筒部18の外周面には、軸方向に間隔を隔てて一対のOリング溝(保持溝)22-1,22-2が形成されており、そこに弾性を有する環状のシール部材としてのOリング24-1,24-2が保持されている。
26は配管継手10に備えられた外筒部で、外スリーブ28と内スリーブ30とから成っており、その内スリーブ30と内筒部18との間に配管20の挿入空間32を形成している。
外スリーブ28は、図中右端部に雌ねじ34を有していて、その雌ねじ34において継手本体12の雄ねじ36にねじ結合され、固定されている。
この外スリーブ28の反対側の端部即ち図中左端部には、段付形状の第1挟持部38が形成されていて、この第1挟持部38が内スリーブ30の端部にて構成される第2挟持部39とともに、後述する金属製の皿ばね状のロックリング40のリング基部72(図4参照)を軸方向に挟持し保持している。
この外スリーブ28にはまた、更に第1係合部42,第2係合部44が形成されており、そしてその第1係合部42においてロックリング40をバックアップするバックアップリング46を抜止めし、更にまた第2係合部44において、ロックリング40によるロックを解除するための解除部材48を抜止めしている。
ここで解除部材48には被係合部50が設けられていて、その被係合部50が第2係合部44に係合させられ、それらの係合作用で解除部材48が外スリーブ28、即ち外筒部26から抜止めされている。
ここで解除部材48は、図中左右方向に所定ストローク移動可能である。
54はOリング24-1,24-2の外周側において内筒部18に嵌装された金属製のコイルばねである。
このコイルばね54は、図3に示しているように隣接するコイル56と56との間に隙間を生ぜしめないで密着巻きして成る密巻部58と、コイル56と56との間に隙間を形成する状態で疎に巻いて成る疎巻部60とを有しており、その密巻部58を挿入前の配管20の先端面20A(図2参照)の側に、また疎巻部60を反対側に位置させる状態でOリング24-1,24-2の外周側に嵌装されている。
このコイルばね54は、配管20の先端面20Aが斜めに切断されている場合において、配管20を挿入空間32に挿入して配管20を内筒部18に対し軸方向に外嵌状態に嵌め合わせる際、斜めの先端面20AにてOリング24-1,24-2がOリング溝22-1,22-2から浮き上がるのを防止するために設けられている。
詳しくは、配管20の挿入時に密巻部58にてOリング24-1,24-2を外側から被った状態として、Oリング24-1,24-2がOリング溝22-1,22-2から浮き上がり、はみ出すのを防止する。
図1及び図2に示しているように上記配管継手10における外筒部26、詳しくは内スリーブ30の内周面は、挿入空間32の配管20の挿入側とは反対側の奥部において大径部62とされ、また挿入側において小径部64とされていて、それらの間に段付部66が形成されている。
他方上記コイルばね54もまた図3に示しているように、図中右部が大径部68、左部が小径部70とされている。
コイルばね54は、このように構成された結果、配管継手10に嵌装された状態で大径部68が内スリーブ30の段付部66に当ることによって、かかる配管継手10から脱落防止される。
上記皿ばね状のロックリング40の構成が図4に具体的に示してある。
同図に示しているように、ロックリング40は周方向に連続した円環状をなすフラットなリング基部72、及びリング基部72から配管20の挿入方向に向けて径方向内方に斜めに突出する形態で、リング基部72に沿って周方向に並んで形成された複数の爪74を有している。
各爪74と74との間には、切欠形状の切込み76が設けられており、これら切込み76によって各爪74のそれぞれに弾性変形能が与えられている。
このロックリング40は、配管20の挿入時には各爪74を配管20の挿入方向に弾性変形させて配管20の挿入を許容する。
一方、挿入後の配管20に対し引抜方向の力が働いたときには、爪74のそれぞれが配管20の外面に食い込んで配管20を抜け止めする。
即ち配管20を抜止状態にロックする働きをなす。
本実施形態においては、上記切込み76の内、周方向に隔たった複数個所、具体的にはここでは90°ごと隔たった4個所の切込み76だけが、フラットなリング基部72まで入り込む深い切込み76Aとされており、残りの他の切込み76についてはリング基部72まで入り込まない浅い切込み76Bとされている。
この結果フラットなリング基部72は、深い切込み76Aの設けられた個所、即ち切込み残部72Aが、他の部分よりも小幅をなしている。
この切込み残部72Aは、リング基部72の他の部分に対して強度的に弱い部分、即ち変形抵抗の小さい部分となる。
本実施形態の配管継手10においては、配管20を挿入空間32に挿入する際、ロックリング40における各爪74が同方向に弾性変形して配管20の挿入を許容するが、このときロックリング40は、爪74のみでなくフラットなリング基部72自体も変形を生じて、配管20の挿入に対する抵抗を小さくする。
図5はその変形の様子を表わしたものである。
上記のロックリング40における切込み76が全て浅い切込み76Bのみであり、上記のような深い切込み76Aを有していない従来の配管継手にあっては、図6(A)の比較例に示しているように配管20を挿入する際に爪74の弾性変形のみにて配管20の挿入を許容する。
これに対し、本実施形態では周方向4個所に深い切込み76Aが設けられていて、リング基部72に部分的に小幅の切込み残部72Aが変形抵抗の小さい部分として形成されているため、配管20の挿入時に爪74のみならずリング基部72自体も変形を生じる。
詳しくは、図5(II)に示しているように深い切込み76Aと76Aとの間に周方向に挟まれたリング基部72の周長部分が、切込み残部72Aを中心として変形を生ずる。
具体的には、リング基部72の外周部が図6(B)に示しているように当初の位置から浮き上がる方向に変形を生ずる。
そしてこれとともに深い切込み76Aと76Aとの間に位置している複数の爪74が、リング基部72と一体に挿入空間32から径方向外方に逃げる方向に変形する。
そしてこれら爪74の同方向の変形に基づいて配管20の挿入に対する抵抗が小さくなり、これによって配管20を小さい力で容易に挿入空間32に挿入できるようになるのである。
本実施形態では、このリング基部72の変形を確保するため、図2に示しているように、その変形に必要な軸方向の隙間lが第1挟持部38と第2挟持部39との間に確保されている。
以上のように本実施形態では、周方向に連続したフラットなリング基部72の周方向に隔たった4個所、詳しくはリング基部72まで入り込む深い切込み76Aを設けた4個所が強度的に弱い部分(変形抵抗の小さな部分)となり、配管20の挿入時に挿入力を受けた爪74からリング基部72への力の伝達によって、リング基部72まで達する深い切込み76Aと76Aとの間の周長部分が、深い切込み76Aを設けた部分を中心として一体に変形する。またこれに伴って深い切込み76Aと76Aとの間に位置している複数の爪74が、リング基部72の上記の変形に伴なって配管20の挿入空間32から径方向外方、即ち配管20から逃げる方向に変形するため、配管20の挿入時にロックリング40に発生する抵抗力は小となり、配管20の挿入を小さな力で作業性良く行うことができるようになる。
また配管20の外面に対する爪74の食込みを解除する際の力、即ちロックリング40によるロックの解除操作のための力も少なくて済み、解除操作も小さな力で簡単にできるようになる。
また本実施形態ではロックリング40のリング基部72を軸方向両側から挟み込んで保持する外筒部26の第1挟持部38と第2挟持部39との間に軸方向の隙間lを確保していることから、ロックリング40の変形、詳しくはリング基部72の上記の変形を確実に生ぜしめることができる。
尚本実施形態において、ロックリング40はプレス打抜加工と曲げ加工とによって形成することができ、その際上記の深い切込み76Aは、他の切込み76Bと同時に打抜きで形成することができ、従って従来のロックリングと同じ工程で安価にロックリング40を製造することができる。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明においては、図7に示しているように深い切込み76Aを上記のような周方向4個所ではなく、45°ごとに隔たった周方向8個所或いはそれ以上の個所に、又は逆に周方向4個所よりも少ない数で周方向複数個所に設けておくといったことも可能である。
更に上例では切欠形状の切込み76を設けているが、単に細いスリットを入れることによって本発明の目的を達成するようになすことも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
本発明の一実施形態の配管継手を配管接続状態で一部切り欠いて示す図である。 同実施形態の配管継手を配管接続前の状態で示す図である。 同実施形態における配管継手を分解して示す斜視図である。 同配管継手のロックリングを示す図である。 同ロックリングの作用説明図である。 配管挿入時のロックリングの変形状態を比較例とともに示す図である。 本発明の他の実施形態を示す図である。 従来の配管継手を示す図である。
符号の説明
10 配管継手
20 配管
26 外筒部
32 挿入空間
38 第1挟持部
39 第2挟持部
40 ロックリング
72 リング基部
74 爪
76 切込み
76A 深い切込み
76B 浅い切込み
l 隙間

Claims (2)

  1. (a)内側に配管の挿入空間を形成する外筒部と、(b)周方向に連続したフラットなリング基部及び該リング基部から該配管の挿入方向に向けて径方向内方に斜めに突出する形態で該リング基部に沿って周方向に複数形成された爪を有し、該挿入空間に挿入された該配管の外面に該爪を食い込ませて、該配管を抜止状態にロックするロックリングと、を備えた配管継手において
    前記ロックリングにおける前記爪と爪との間の切込みの内、周方向に隔たった複数個所の一部の切込みだけを前記リング基部まで入り込む深い切込みとなす一方、残りの他の切込みについては該リング基部まで入り込まない浅い切込みとなし、且つ該深い切込みの個所の数を該浅い切込みの個所の数よりも少なくしてあることを特徴とする配管継手。
  2. 請求項1において、前記外筒部は前記ロックリングの前記リング基部を軸方向両側から挟み込んで保持する一対の挟持部を有しており、且つ該一対の挟持部の間には、前記配管の挿入に伴なって生ずる該リング基部の変形を許容する軸方向の隙間が確保してあることを特徴とする配管継手。
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