JP4421702B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、特に記録ヘッドのノズルからインクあるいは洗浄液を吐出してインク通路の清掃を行うインクジェットプリンタに関する。
【０００２】
【従来の技術】
特開平８−１１２９１６号公報には、図４に示すようにリザーバ（４）の上方にベンチュリ通路（６）を設け、記録ヘッド（５２）のノズルから空打ちにより吐出されたインク小滴をベンチュリ通路（６）に入れるようにしたインクジェットプリンタが開示されている。ベンチュリ通路（６）はインク小滴周囲の空気の流れがリザーバ（４）に向かって流れるにつれて、ベルヌーイの原理によりインク含有空気流の速度を上げ、静圧を下げる。これにより、通路内に圧力勾配が生じ、小滴流を含む空気を流れの方向及びリザーバの方向へ流す。この内側への流れは、記録ヘッド（８）底面にミストと呼ばれる誤誘導インク小滴を含む霧状の流体が付着するのを防止する。記録ヘッド（８）の底面にミストが付着すると、作画時におけるインク小滴の軌道に誤差が生じ、作画品質の低下を生じさせる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のリザーバ・アッセンブリは、ベンチュリ通路（６）の下方にガス状のインク小滴がたくさん溜まってくるとこのガスの流れがベンチュリ通路（６）を上方に向かい、記録ヘッド（８）から吐出されるインク小滴の流れが遅いと、図４中、符号１０で示すように、ベンチュリ通路（６）の開口部から上方に出て行き、ミストとして記録ヘッド（８）の底面に付着してしまう。また、リザーバ（４）とベンチュリ通路（６）の下端との隙間からガス状のインク小滴が流出し、プリンタの他の部分に付着してしまうという問題点がある。
本発明は、上記問題点を解決することを目的とするものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、記録ヘッド（５２）を作画範囲外に配設した液体収納容器（１０６）の排出口（１１０）の直上に移動し、記録ヘッド（５２）のノズルからインク或いは洗浄液を排出口（１１０）に吐出して記録ヘッド（５２）のインク通路の目詰まりを防ぐようにしたインクジェットプリンタにおいて、前記液体収納容器（１０６）に前記排出口（１１０）を設け、該液体収納容器（１０６）の排出口形成壁（１２）の内側に突出し対向間隔が前記液体収納容器（１０６）の底部に向けて狭まるようにテーパー面（１４a）(１６a)を有する一対のガイド板（１４）（１６）を設け、前記液体排出容器（１０６）内部に、前記テーパー面（１４a）（１６a）と平行に傾斜し、流体の流れを前記液体収納容器（１０６）の底部に向かう方向に案内する流体案内面（１４b）（１６b）を設けたものである。
【０００５】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の構成を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図３において、（２２）はインクジェットプリンタ（２４）の基板（２６）の左右に配置された脚体（他方は図示省略）であり、これらの上端に基板（２６）が固設されている。前記脚体（２２）及び基板（２６）は、インクジェットプリンタ（２４）の機体を構成している。
【０００６】
脚体（２２）の上部には、軸ホルダ（２８）が固設され、軸ホルダ（２８）には、ロール紙ホルダ（３２）の軸部が回転自在且つ脱着自在に支承されている。ロール紙ホルダ（３２）にはロール状に巻かれた作画媒体（３０）のロール部（３０ａ）が脱着可能に保持されている。
【０００７】
前記基板（２６）にはプラテン（３４）（用紙案内板）が固定され、該プラテン（３４）の上流端の近傍には、Ｙ軸方向に延びる、作画媒体（３０）の幅と略同長のガイドローラ（３６）が配置されている。前記ガイドローラ（３６）は、前記ロール紙（３０）のロール部（３０ａ）の上方に配置され、該ガイドローラ（３６）の両端は前記基板（２６）にブラケットを介して回転自在に支承されている。（３８）はＹ軸レールであり、前記プラテン（３４）の上方に水平に配置され、両端がブラケットを介して基板（２６）に支承されている。
【０００８】
前記Ｙ軸レール（３８）にはＹカーソル（４０）（キャリッジ）が移動可能に取り付けられ、該Ｙカーソル（４０）は、プーリ間に無端状に掛け渡されたスチールベルト（４２）を介して、基板（２６）に配設されたＹ軸駆動装置（図示省略）に連係している。前記プラテン（３４）には、Ｙ軸方向に沿ってスリットが形成され、該スリットに駆動ローラ（４４）が配置されている。
【０００９】
駆動ローラ（４４）の両端は、ブラケットを介して基板（２６）に回転可能に支承され、該駆動ローラ（４４）は、基板（２６）に配設されたＸ軸駆動装置（図示省略）に連係している。前記Ｙ軸レール（３８）には、ピンチローラ軸（４６）が弾発機構（図示省略）を介して昇降可能に取り付けられ、該ピンチローラ軸（４６）に回転自在に嵌着されたピンチローラ（４８）は、前記駆動ローラ（４４）の表面から離反した状態と、該表面に水平に弾接した状態のいずれか一方の状態に設定し得るように構成されている。
【００１０】
前記Ｙカーソル（４０）の一方側にはヘッドベース（５０）が固設され、これに４色用の４個の、それぞれノズル（５２ａ）を備えたインクジェット記録ヘッド（５２）が取り付けられている。前記４列の記録ヘッド（５２）の互いに同一平面上に配置された底面は細長い長方形となっており、該底面に、多数のインク吐出孔が一列状に開口するノズル（５２ａ）が若干突出して配設されている。
【００１１】
前記４列の記録ヘッド（５２）の各々は互いに所定の間隔を存して互いに平行に並列配置され、各々の底面がＹ軸レール（３８）に対して直角なＸ軸線に対してある角度αを有して配列されている。前記Ｙカーソル（４０）の他方側には、記録ヘッド（５２）と同数の、４色（ブラックＫ、シアンＣ、マゼンダＭ、イエローＹ）の溶剤インク用のサブタンク（５４）が取り付けられ、該サブタンク（５４）の上蓋には、それぞれ、３方電磁弁（５６）が取り付けられている。
【００１２】
各サブタンク（５４）には、インクのレベルを検出するセンサが設けられている。前記記録ヘッド（５２）とこれに対応するサブタンク（５４）間のインク供給路即ちチューブ（５３）内が負圧に保たれるように、前記サブタンク（５４）の液上面が対応する記録ヘッド（５２）のインク吐出口よりも下方に配置されている。
【００１３】
（５８）は基板（２６）に配設されたメインタンクケースであり、これにサブタンク（５４）と同数の、４色溶剤インク用のメインタンク（６０）（３個は図示省略）と洗浄液タンク（６２）が脱着可能に収納されている。各タンク（６０）（６２）は、ばねにより支えられ、各タンク（６０）（６２）の下に配置されたリミットスイッチから成るセンサ（１３６）（１３８）（図３参照）により、インク残量が検出されるように構成されている。
【００１４】
前記メインタンク（６０）とサブタンク（５４）とは電磁弁を介してチューブケーブル（１２２）により連通している。（６４）は基板（２６）に取り付けられた供給コントロールボックスであり、図３に示すポンプ（６６）と電磁弁（６８）（７０）（７２）（７４）（７６）（７８）（８０）（８２）（８４）（８６）（８８）（９０）（９２）（９４）（９６）（９８）（１００）（１０１）を内蔵し、更に、これら電子機器を制御する電子制御回路部を備えている。
【００１５】
またプリンタ（２４）の基板（２６）には、ＸＹ軸駆動装置及び記録ヘッド（５２）等を制御するコントローラ（図示省略）が取り付けられている。（２）は記録ヘッド（５２）の底面のノズル周囲部分とノズル（５２ａ）の吐出口を清掃するためのワイピング装置であり、ワイパモータ（１０２）（図３参照）により駆動されるように構成されている。
【００１６】
（１０６）は、記録ヘッド（５２）のノズル（５２ａ）の吐出口を蓋ぐためのゴムキャップ（１０８）と、液体排出口（１１０）とを交互に有する液体排出容器であり、基板（２６）の、作画範囲外の側部で且つ記録ヘッド（５２）の移動範囲に配置され、モータ（１１２）(図４参照)によって昇降可能に構成されている。
【００１７】
液体排出容器（１０６）の各キャップ（１０８）と排出口（１１０）は、チューブ及び電磁弁を介して、基板（２６）に固設された集合管（１２０）に接続している。前記液体排出容器（１０６）の上部壁（１２）にはガイド板（１４）（１６）が逆ハ字状に屈折形成されている。該ガイド板（１４）（１６）間に、液体排出口（１１０）が形成され、液体排出口（１１０）の上部の幅広開口部（１８）と下部の幅狭開口部（２０）との間にガイド板（１４）（１６）上面のテーパー面（１４ａ）（１６ａ）が配置されている。
【００１８】
ガイド板（１４）（１６）の下面には、逆ハ字状に傾斜した流体案内面（１４ｂ）（１６ｂ）が形成されている。前記容器（１０６）の上部壁（１２）と側壁との間には僅かな隙間（６５）（６７）が形成されている。（１１４）はメインタンク（６０）内のインクを攪拌するための攪拌用モータ、（１１６）は脚体（２２）に取り付けられた廃液タンクケース、（１１８）は廃液タンクである。
【００１９】
前記廃液タンク（１１８）は、ケース（１１６）に収納されたばねにより支持され、タンク（１１８）の底部とケース（１１６）の上面との間に配置されたリミットスイッチから成るセンサ（１３４）(図３参照)によって、インク量が検出されるように構成されている。
【００２０】
前記各メインタンク（６０）の底部には、磁性材から成る回転子が回転自在に軸支され、モータ（１１４）の駆動によって回転子が回転し、各メインタンク（６０）内のインクが攪拌されるように構成されている。上記各部品及び装置は、図４に示すようにチューブによって配管されている。前記記録ヘッド（５２）は、Ｙカーソル（４０）のＹ軸レール（３８）に沿った移動によって、作図範囲から外れた、液体排出容器（１１２）の直上まで移動し得るように構成されている。
【００２１】
次に本実施形態の動作について説明する。
プラテン（３４）上に作画媒体（３０）をセットするには、ピンチローラ（４８）を上昇させ、ロール部（３０ａ）から作画媒体（３０）を引き出し、ガイドローラ（３６）を経て、駆動ローラ（４４）とピンチローラ（４８）との間に挿入し、しかる後に、ピンチローラ（４８）を下降させて、ピンチローラ（４８）を作画媒体（３０）の上から駆動ローラ（４４）に弾接する。
【００２２】
これにより、作画媒体のセットが終了する。作画媒体のセットが完了し、プリンタが作画モードにはいると、コントローラは、インク充填動作を行い、しかる後に、作画動作に移行する。作画がスタートすると、作画媒体（３０）のくり出し部は、駆動ローラ（４４）の一方向の間欠回転により、プラテン（３４）上をＸ軸方向即ち矢方向（Ｃ）に搬送される。
【００２３】
また、記録ヘッド（５２）は、コントローラの制御により画像情報に基いて駆動され、ノズル（５２ａ）からインクを吐出するとともに、Ｙカーソル（４０）のＹ軸レール（３８）に沿った往復移動によって、Ｙ軸に沿って作画媒体（３０）を走査し、コントローラのメモリに展開された画像情報が作画媒体（３０）に可視化される。
【００２４】
記録ヘッド（５２）のピエゾ素子がインクを吐出すれば、ピエゾ素子は、その分、インクをサブタンク（５４）から自動的に吸引する。この場合、サブタンク（５４）を負圧にしないと、記録ヘッド（５２）は、インクを吸引しすぎてインクが流れ出てしまうことになる。サブタンク（５２）を負圧にするため、本実施形態では、記録ヘッド（５２）のインク吐出口に対してサブタンク（５４）底面のレベルを下方に設定してある。
【００２５】
作画動作が終了すると、サブタンク（５４）にインクが無いか否かセンサの信号によって判断し、インク無しと判断するとインク補給動作に移行する。インク補給後、または、インク有りと判断した場合には、作画して所定時間経過したか否か判断し、肯定を判断したときは、クリーニング動作に移行する。クリーニング後あるいは作画して所定時間経過していない場合には、作画終了または待機状態で所定時間経過したか否か判断し、否定を判断すると作画動作に戻る。また肯定を判断すると、インク回収動作、ヘッド洗浄動作に順次移行する。
【００２６】
次にヘッド洗浄動作について説明する。
まず、洗浄液タンク（６２）に残量が有るか否かセンサ（１３８）の信号に基いて判断し、残量が無いときは、表示部に洗浄液タンク残量無しを表示してエラー処理を行う。残量有りと判断した場合には、記録ヘッド（５２）を液体排出容器（１０６）の排出口（１１０）の直上に移動する。次にポンプ電磁弁（６８）（７０）を圧送方向へ切り換える。
【００２７】
次にヘッド洗浄動作において、洗浄液の圧送が瞬時に行われるようにするために、洗浄液タンク（６２）を６０秒間エアーで加圧する。この加圧動作は、電磁弁（７８）を閉じた状態で、ポンプ−メインタンク間電磁弁（７２）（７４）（７６）を洗浄液タンク方向へ切り換え、ポンプ（６６）を駆動し、洗浄液タンク（６２）内にエアーを送り込んで行う。
【００２８】
次にコントローラは、ヘッドエアー電磁弁（７４）（８８）をエアー送り込み方向に切り換え、ヘッド電磁弁（５６）をエアー送り込み方向に切り換えてポンプ（６６）を駆動し、記録ヘッド（５２）にエアーを２０秒間圧送する。これにより、３方電磁弁（５６）から記録ヘッド（５２）までのインクをエアーで押し出し、ノズルから排出口（１１０）に捨てる。次にコントローラは電磁弁（７４）（７６）を洗浄液タンク方向へ切り換え、洗浄液タンク電磁弁（７８）（８８）とヘッド電磁弁（５６）を洗浄液タンク方向へ切り換え、ポンプ（６６）を駆動して記録ヘッド（５２）に２０秒間洗浄液を圧送する。
【００２９】
これにより、ノズル（５２ａ）から排出口（１１０）に洗浄液が吐出され、記録ヘッド（５２）の内部が洗浄液で洗われる。次にコントローラは、記録ヘッド（５２）にエアーを３０秒間圧送する。次にコントローラは記録ヘッド（５２）をワイピング装置（２）の直上に移動して記録ヘッド（５２）の底部の拭き取り即ちワイピング動作を行う。次にコントローラは記録ヘッド（５２）に２０秒間洗浄液を圧送し、ノズル（５２ａ）から排出口（１１０）に洗浄液が吐出される。
【００３０】
次にコントローラは、廃液タンク（１１８）を５秒間負圧にして集合管（１２０）内に溜まった液を回収する。次にコントローラは、洗浄液タンク（６２）を大気に開放し、洗浄液タンク（６２）の加圧を解除する。
インクの空打ちを行う場合には、コントローラは、記録ヘッド（５２）インク制御部を駆動し、液体排出口（１１０）上でノズル（５２ａ）からインクを吐出しノズル（５２ａ）の目詰まりを防ぐ。
【００３１】
記録ヘッド（５２）のノズル（５２ａ）が液体排出容器（１０６）の排出口（１１０）の直上で、インク又は洗浄液などの液体を吐出すると、液体は図１中、矢印ａで示すように液体排出口（１１０）から容器（１０６）内に落下する。容器（１０６）内に落下した液体は霧状となって容器（１０６）の底部に溜まり、しかる後に、上方に逆流する。この逆流した流体は矢印ｂで示すように、上部壁（１２）に突き当たった後、流体案内面（１４ｂ）（１６ｂ）に案内されて再び容器（１０６）の底部に向かい、容器（１０６）内を循環する。
【００３２】
この流体案内面（１４ｂ）（１６ｂ）の案内作用による流体の循環現象によって容器（１０６）の底部から上方に向かった流体は排出口（１１０）を逸れた方向に案内され、排出口（１１０）から外部に出ることがない。液体排出容器（１０６）内の圧力がガス状の流体で高まると、この流体は隙間（６５）（６７）から外部に放出される。これにより、液体排出容器（１０６）内の圧力が高まるのを防止している。
【００３３】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したので、記録ヘッドのインク通路の清掃時、ノズルから吐出する空打ち用のインクや洗浄液などの液体が液体排出容器から跳ね返り、インクを含む液体が記録ヘッドのノズルに霧状に付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の説明図である。
【図２】インクジェットプリンタの外観図である。
【図３】インクジェットプリンタのインク供給系統を示す配管説明図である。
【図４】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
２ ワイピング装置
４ リザーバ
６ ベンチュリ通路
８ 記録ヘッド
１０ 流体
１２ 上部壁
１４ ガイド板
１６ ガイド板
１８ 幅広開口部
２０ 幅狭開口部
２２ 脚体
２４ インクジェットプリンタ
２６ 基板
２８ 軸ホルダ
３０ 作画媒体
３０ａ ロール部
３２ ロール紙ホルダ
３４ プラテン
３６ ガイドローラ
３８ Ｙ軸レール
４０ Ｙカーソル
４２ スチールベルト
４４ 駆動ローラ
４６ ピンチローラ軸
４８ ピンチローラ
５０ ヘッドベース
５２ インクジェット記録ヘッド
５２ａ ノズル
５３ チューブ
５４ サブタンク
５６ 電磁弁
５８ メインタンクケース
６０ メインタンク
６２ 洗浄液タンク
６４ 供給コントローラ
６５ 隙間
６６ 電磁弁
６７ 隙間
６８ 電磁弁
７０ 電磁弁
７２ 電磁弁
７４ 電磁弁
７６ 電磁弁
７８ 電磁弁
８０ 電磁弁
８２ 電磁弁
８４ 電磁弁
８６ 電磁弁
８８ 電磁弁
９０ 電磁弁
９２ 電磁弁
９４ 電磁弁
９６ 電磁弁
９８ 電磁弁
１００ 電磁弁
１０１ 電磁弁
１０２ ワイパモータ
１０６ 液体排出容器
１０８ キャップ
１１０ 液体排出口
１１２ モータ
１１４ モータ
１１６ 廃液タンクケース
１１８ 廃液タンク
１２０ 集合管
１２２ チューブケーブル
１３４ センサ
１３６ センサ
１３８ センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、特に記録ヘッドのノズルからインクあるいは洗浄液を吐出してインク通路の清掃を行うインクジェットプリンタに関する。
【０００２】
【従来の技術】
特開平８−１１２９１６号公報には、図４に示すようにリザーバ（４）の上方にベンチュリ通路（６）を設け、記録ヘッド（５２）のノズルから空打ちにより吐出されたインク小滴をベンチュリ通路（６）に入れるようにしたインクジェットプリンタが開示されている。ベンチュリ通路（６）はインク小滴周囲の空気の流れがリザーバ（４）に向かって流れるにつれて、ベルヌーイの原理によりインク含有空気流の速度を上げ、静圧を下げる。これにより、通路内に圧力勾配が生じ、小滴流を含む空気を流れの方向及びリザーバの方向へ流す。この内側への流れは、記録ヘッド（８）底面にミストと呼ばれる誤誘導インク小滴を含む霧状の流体が付着するのを防止する。記録ヘッド（８）の底面にミストが付着すると、作画時におけるインク小滴の軌道に誤差が生じ、作画品質の低下を生じさせる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のリザーバ・アッセンブリは、ベンチュリ通路（６）の下方にガス状のインク小滴がたくさん溜まってくるとこのガスの流れがベンチュリ通路（６）を上方に向かい、記録ヘッド（８）から吐出されるインク小滴の流れが遅いと、図４中、符号１０で示すように、ベンチュリ通路（６）の開口部から上方に出て行き、ミストとして記録ヘッド（８）の底面に付着してしまう。また、リザーバ（４）とベンチュリ通路（６）の下端との隙間からガス状のインク小滴が流出し、プリンタの他の部分に付着してしまうという問題点がある。
本発明は、上記問題点を解決することを目的とするものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、記録ヘッド（５２）を作画範囲外に配設した液体収納容器（１０６）の排出口（１１０）の直上に移動し、記録ヘッド（５２）のノズルからインク或いは洗浄液を排出口（１１０）に吐出して記録ヘッド（５２）のインク通路の目詰まりを防ぐようにしたインクジェットプリンタにおいて、前記液体収納容器（１０６）に前記排出口（１１０）を設け、該液体収納容器（１０６）の排出口形成壁（１２）の内側に突出し対向間隔が前記液体収納容器（１０６）の底部に向けて狭まるようにテーパー面（１４a）(１６a)を有する一対のガイド板（１４）（１６）を設け、前記液体排出容器（１０６）内部に、前記テーパー面（１４a）（１６a）と平行に傾斜し、流体の流れを前記液体収納容器（１０６）の底部に向かう方向に案内する流体案内面（１４b）（１６b）を設けたものである。
【０００５】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の構成を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図３において、（２２）はインクジェットプリンタ（２４）の基板（２６）の左右に配置された脚体（他方は図示省略）であり、これらの上端に基板（２６）が固設されている。前記脚体（２２）及び基板（２６）は、インクジェットプリンタ（２４）の機体を構成している。
【０００６】
脚体（２２）の上部には、軸ホルダ（２８）が固設され、軸ホルダ（２８）には、ロール紙ホルダ（３２）の軸部が回転自在且つ脱着自在に支承されている。ロール紙ホルダ（３２）にはロール状に巻かれた作画媒体（３０）のロール部（３０ａ）が脱着可能に保持されている。
【０００７】
前記基板（２６）にはプラテン（３４）（用紙案内板）が固定され、該プラテン（３４）の上流端の近傍には、Ｙ軸方向に延びる、作画媒体（３０）の幅と略同長のガイドローラ（３６）が配置されている。前記ガイドローラ（３６）は、前記ロール紙（３０）のロール部（３０ａ）の上方に配置され、該ガイドローラ（３６）の両端は前記基板（２６）にブラケットを介して回転自在に支承されている。（３８）はＹ軸レールであり、前記プラテン（３４）の上方に水平に配置され、両端がブラケットを介して基板（２６）に支承されている。
【０００８】
前記Ｙ軸レール（３８）にはＹカーソル（４０）（キャリッジ）が移動可能に取り付けられ、該Ｙカーソル（４０）は、プーリ間に無端状に掛け渡されたスチールベルト（４２）を介して、基板（２６）に配設されたＹ軸駆動装置（図示省略）に連係している。前記プラテン（３４）には、Ｙ軸方向に沿ってスリットが形成され、該スリットに駆動ローラ（４４）が配置されている。
【０００９】
駆動ローラ（４４）の両端は、ブラケットを介して基板（２６）に回転可能に支承され、該駆動ローラ（４４）は、基板（２６）に配設されたＸ軸駆動装置（図示省略）に連係している。前記Ｙ軸レール（３８）には、ピンチローラ軸（４６）が弾発機構（図示省略）を介して昇降可能に取り付けられ、該ピンチローラ軸（４６）に回転自在に嵌着されたピンチローラ（４８）は、前記駆動ローラ（４４）の表面から離反した状態と、該表面に水平に弾接した状態のいずれか一方の状態に設定し得るように構成されている。
【００１０】
前記Ｙカーソル（４０）の一方側にはヘッドベース（５０）が固設され、これに４色用の４個の、それぞれノズル（５２ａ）を備えたインクジェット記録ヘッド（５２）が取り付けられている。前記４列の記録ヘッド（５２）の互いに同一平面上に配置された底面は細長い長方形となっており、該底面に、多数のインク吐出孔が一列状に開口するノズル（５２ａ）が若干突出して配設されている。
【００１１】
前記４列の記録ヘッド（５２）の各々は互いに所定の間隔を存して互いに平行に並列配置され、各々の底面がＹ軸レール（３８）に対して直角なＸ軸線に対してある角度αを有して配列されている。前記Ｙカーソル（４０）の他方側には、記録ヘッド（５２）と同数の、４色（ブラックＫ、シアンＣ、マゼンダＭ、イエローＹ）の溶剤インク用のサブタンク（５４）が取り付けられ、該サブタンク（５４）の上蓋には、それぞれ、３方電磁弁（５６）が取り付けられている。
【００１２】
各サブタンク（５４）には、インクのレベルを検出するセンサが設けられている。前記記録ヘッド（５２）とこれに対応するサブタンク（５４）間のインク供給路即ちチューブ（５３）内が負圧に保たれるように、前記サブタンク（５４）の液上面が対応する記録ヘッド（５２）のインク吐出口よりも下方に配置されている。
【００１３】
（５８）は基板（２６）に配設されたメインタンクケースであり、これにサブタンク（５４）と同数の、４色溶剤インク用のメインタンク（６０）（３個は図示省略）と洗浄液タンク（６２）が脱着可能に収納されている。各タンク（６０）（６２）は、ばねにより支えられ、各タンク（６０）（６２）の下に配置されたリミットスイッチから成るセンサ（１３６）（１３８）（図３参照）により、インク残量が検出されるように構成されている。
【００１４】
前記メインタンク（６０）とサブタンク（５４）とは電磁弁を介してチューブケーブル（１２２）により連通している。（６４）は基板（２６）に取り付けられた供給コントロールボックスであり、図３に示すポンプ（６６）と電磁弁（６８）（７０）（７２）（７４）（７６）（７８）（８０）（８２）（８４）（８６）（８８）（９０）（９２）（９４）（９６）（９８）（１００）（１０１）を内蔵し、更に、これら電子機器を制御する電子制御回路部を備えている。
【００１５】
またプリンタ（２４）の基板（２６）には、ＸＹ軸駆動装置及び記録ヘッド（５２）等を制御するコントローラ（図示省略）が取り付けられている。（２）は記録ヘッド（５２）の底面のノズル周囲部分とノズル（５２ａ）の吐出口を清掃するためのワイピング装置であり、ワイパモータ（１０２）（図３参照）により駆動されるように構成されている。
【００１６】
（１０６）は、記録ヘッド（５２）のノズル（５２ａ）の吐出口を蓋ぐためのゴムキャップ（１０８）と、液体排出口（１１０）とを交互に有する液体排出容器であり、基板（２６）の、作画範囲外の側部で且つ記録ヘッド（５２）の移動範囲に配置され、モータ（１１２）(図４参照)によって昇降可能に構成されている。
【００１７】
液体排出容器（１０６）の各キャップ（１０８）と排出口（１１０）は、チューブ及び電磁弁を介して、基板（２６）に固設された集合管（１２０）に接続している。前記液体排出容器（１０６）の上部壁（１２）にはガイド板（１４）（１６）が逆ハ字状に屈折形成されている。該ガイド板（１４）（１６）間に、液体排出口（１１０）が形成され、液体排出口（１１０）の上部の幅広開口部（１８）と下部の幅狭開口部（２０）との間にガイド板（１４）（１６）上面のテーパー面（１４ａ）（１６ａ）が配置されている。
【００１８】
ガイド板（１４）（１６）の下面には、逆ハ字状に傾斜した流体案内面（１４ｂ）（１６ｂ）が形成されている。前記容器（１０６）の上部壁（１２）と側壁との間には僅かな隙間（６５）（６７）が形成されている。（１１４）はメインタンク（６０）内のインクを攪拌するための攪拌用モータ、（１１６）は脚体（２２）に取り付けられた廃液タンクケース、（１１８）は廃液タンクである。
【００１９】
前記廃液タンク（１１８）は、ケース（１１６）に収納されたばねにより支持され、タンク（１１８）の底部とケース（１１６）の上面との間に配置されたリミットスイッチから成るセンサ（１３４）(図３参照)によって、インク量が検出されるように構成されている。
【００２０】
前記各メインタンク（６０）の底部には、磁性材から成る回転子が回転自在に軸支され、モータ（１１４）の駆動によって回転子が回転し、各メインタンク（６０）内のインクが攪拌されるように構成されている。上記各部品及び装置は、図４に示すようにチューブによって配管されている。前記記録ヘッド（５２）は、Ｙカーソル（４０）のＹ軸レール（３８）に沿った移動によって、作図範囲から外れた、液体排出容器（１１２）の直上まで移動し得るように構成されている。
【００２１】
次に本実施形態の動作について説明する。
プラテン（３４）上に作画媒体（３０）をセットするには、ピンチローラ（４８）を上昇させ、ロール部（３０ａ）から作画媒体（３０）を引き出し、ガイドローラ（３６）を経て、駆動ローラ（４４）とピンチローラ（４８）との間に挿入し、しかる後に、ピンチローラ（４８）を下降させて、ピンチローラ（４８）を作画媒体（３０）の上から駆動ローラ（４４）に弾接する。
【００２２】
これにより、作画媒体のセットが終了する。作画媒体のセットが完了し、プリンタが作画モードにはいると、コントローラは、インク充填動作を行い、しかる後に、作画動作に移行する。作画がスタートすると、作画媒体（３０）のくり出し部は、駆動ローラ（４４）の一方向の間欠回転により、プラテン（３４）上をＸ軸方向即ち矢方向（Ｃ）に搬送される。
【００２３】
また、記録ヘッド（５２）は、コントローラの制御により画像情報に基いて駆動され、ノズル（５２ａ）からインクを吐出するとともに、Ｙカーソル（４０）のＹ軸レール（３８）に沿った往復移動によって、Ｙ軸に沿って作画媒体（３０）を走査し、コントローラのメモリに展開された画像情報が作画媒体（３０）に可視化される。
【００２４】
記録ヘッド（５２）のピエゾ素子がインクを吐出すれば、ピエゾ素子は、その分、インクをサブタンク（５４）から自動的に吸引する。この場合、サブタンク（５４）を負圧にしないと、記録ヘッド（５２）は、インクを吸引しすぎてインクが流れ出てしまうことになる。サブタンク（５２）を負圧にするため、本実施形態では、記録ヘッド（５２）のインク吐出口に対してサブタンク（５４）底面のレベルを下方に設定してある。
【００２５】
作画動作が終了すると、サブタンク（５４）にインクが無いか否かセンサの信号によって判断し、インク無しと判断するとインク補給動作に移行する。インク補給後、または、インク有りと判断した場合には、作画して所定時間経過したか否か判断し、肯定を判断したときは、クリーニング動作に移行する。クリーニング後あるいは作画して所定時間経過していない場合には、作画終了または待機状態で所定時間経過したか否か判断し、否定を判断すると作画動作に戻る。また肯定を判断すると、インク回収動作、ヘッド洗浄動作に順次移行する。
【００２６】
次にヘッド洗浄動作について説明する。
まず、洗浄液タンク（６２）に残量が有るか否かセンサ（１３８）の信号に基いて判断し、残量が無いときは、表示部に洗浄液タンク残量無しを表示してエラー処理を行う。残量有りと判断した場合には、記録ヘッド（５２）を液体排出容器（１０６）の排出口（１１０）の直上に移動する。次にポンプ電磁弁（６８）（７０）を圧送方向へ切り換える。
【００２７】
次にヘッド洗浄動作において、洗浄液の圧送が瞬時に行われるようにするために、洗浄液タンク（６２）を６０秒間エアーで加圧する。この加圧動作は、電磁弁（７８）を閉じた状態で、ポンプ−メインタンク間電磁弁（７２）（７４）（７６）を洗浄液タンク方向へ切り換え、ポンプ（６６）を駆動し、洗浄液タンク（６２）内にエアーを送り込んで行う。
【００２８】
次にコントローラは、ヘッドエアー電磁弁（７４）（８８）をエアー送り込み方向に切り換え、ヘッド電磁弁（５６）をエアー送り込み方向に切り換えてポンプ（６６）を駆動し、記録ヘッド（５２）にエアーを２０秒間圧送する。これにより、３方電磁弁（５６）から記録ヘッド（５２）までのインクをエアーで押し出し、ノズルから排出口（１１０）に捨てる。次にコントローラは電磁弁（７４）（７６）を洗浄液タンク方向へ切り換え、洗浄液タンク電磁弁（７８）（８８）とヘッド電磁弁（５６）を洗浄液タンク方向へ切り換え、ポンプ（６６）を駆動して記録ヘッド（５２）に２０秒間洗浄液を圧送する。
【００２９】
これにより、ノズル（５２ａ）から排出口（１１０）に洗浄液が吐出され、記録ヘッド（５２）の内部が洗浄液で洗われる。次にコントローラは、記録ヘッド（５２）にエアーを３０秒間圧送する。次にコントローラは記録ヘッド（５２）をワイピング装置（２）の直上に移動して記録ヘッド（５２）の底部の拭き取り即ちワイピング動作を行う。次にコントローラは記録ヘッド（５２）に２０秒間洗浄液を圧送し、ノズル（５２ａ）から排出口（１１０）に洗浄液が吐出される。
【００３０】
次にコントローラは、廃液タンク（１１８）を５秒間負圧にして集合管（１２０）内に溜まった液を回収する。次にコントローラは、洗浄液タンク（６２）を大気に開放し、洗浄液タンク（６２）の加圧を解除する。
インクの空打ちを行う場合には、コントローラは、記録ヘッド（５２）インク制御部を駆動し、液体排出口（１１０）上でノズル（５２ａ）からインクを吐出しノズル（５２ａ）の目詰まりを防ぐ。
【００３１】
記録ヘッド（５２）のノズル（５２ａ）が液体排出容器（１０６）の排出口（１１０）の直上で、インク又は洗浄液などの液体を吐出すると、液体は図１中、矢印ａで示すように液体排出口（１１０）から容器（１０６）内に落下する。容器（１０６）内に落下した液体は霧状となって容器（１０６）の底部に溜まり、しかる後に、上方に逆流する。この逆流した流体は矢印ｂで示すように、上部壁（１２）に突き当たった後、流体案内面（１４ｂ）（１６ｂ）に案内されて再び容器（１０６）の底部に向かい、容器（１０６）内を循環する。
【００３２】
この流体案内面（１４ｂ）（１６ｂ）の案内作用による流体の循環現象によって容器（１０６）の底部から上方に向かった流体は排出口（１１０）を逸れた方向に案内され、排出口（１１０）から外部に出ることがない。液体排出容器（１０６）内の圧力がガス状の流体で高まると、この流体は隙間（６５）（６７）から外部に放出される。これにより、液体排出容器（１０６）内の圧力が高まるのを防止している。
【００３３】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したので、記録ヘッドのインク通路の清掃時、ノズルから吐出する空打ち用のインクや洗浄液などの液体が液体排出容器から跳ね返り、インクを含む液体が記録ヘッドのノズルに霧状に付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の説明図である。
【図２】インクジェットプリンタの外観図である。
【図３】インクジェットプリンタのインク供給系統を示す配管説明図である。
【図４】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
２ ワイピング装置
４ リザーバ
６ ベンチュリ通路
８ 記録ヘッド
１０ 流体
１２ 上部壁
１４ ガイド板
１６ ガイド板
１８ 幅広開口部
２０ 幅狭開口部
２２ 脚体
２４ インクジェットプリンタ
２６ 基板
２８ 軸ホルダ
３０ 作画媒体
３０ａ ロール部
３２ ロール紙ホルダ
３４ プラテン
３６ ガイドローラ
３８ Ｙ軸レール
４０ Ｙカーソル
４２ スチールベルト
４４ 駆動ローラ
４６ ピンチローラ軸
４８ ピンチローラ
５０ ヘッドベース
５２ インクジェット記録ヘッド
５２ａ ノズル
５３ チューブ
５４ サブタンク
５６ 電磁弁
５８ メインタンクケース
６０ メインタンク
６２ 洗浄液タンク
６４ 供給コントローラ
６５ 隙間
６６ 電磁弁
６７ 隙間
６８ 電磁弁
７０ 電磁弁
７２ 電磁弁
７４ 電磁弁
７６ 電磁弁
７８ 電磁弁
８０ 電磁弁
８２ 電磁弁
８４ 電磁弁
８６ 電磁弁
８８ 電磁弁
９０ 電磁弁
９２ 電磁弁
９４ 電磁弁
９６ 電磁弁
９８ 電磁弁
１００ 電磁弁
１０１ 電磁弁
１０２ ワイパモータ
１０６ 液体排出容器
１０８ キャップ
１１０ 液体排出口
１１２ モータ
１１４ モータ
１１６ 廃液タンクケース
１１８ 廃液タンク
１２０ 集合管
１２２ チューブケーブル
１３４ センサ
１３６ センサ
１３８ センサ
Claims (1)
- 記録ヘッド（５２）を作画範囲外に配設した液体収納容器（１０６）の排出口（１１０）の直上に移動し、記録ヘッド（５２）のノズルからインク或いは洗浄液を排出口（１１０）に吐出して記録ヘッド（５２）のインク通路の目詰まりを防ぐようにしたインクジェットプリンタにおいて、前記液体収納容器（１０６）に前記排出口（１１０）を設け、該液体収納容器（１０６）の排出口形成壁（１２）の内側に突出し対向間隔が前記液体収納容器（１０６）の底部に向けて狭まるようにテーパー面（１４a）(１６a)を有する一対のガイド板（１４）（１６）を設け、前記液体排出容器（１０６）内部に、前記テーパー面（１４a）（１６a）と平行に傾斜し、流体の流れを前記液体収納容器（１０６）の底部に向かう方向に案内する流体案内面（１４b）（１６b）を設けたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
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