JP4420734B2 - 溶接ワイヤ収納容器及び容器入り溶接ワイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ソリッドワイヤ及びフラックス入りワイヤのいずれにも適用可能な溶接ワイヤ収納容器及び容器入り溶接ワイヤに関する。
ソリッドワイヤ及びフラックス入りワイヤ等の溶接用ワイヤを収納する容器としては、一般に、有底筒状のペイル容器が使用されている。図5(a)は従来の溶接ワイヤ収納容器の一例を模式的に示す斜視図であり、図5(b)はその縦断面図、図5(c)はその押さえ板を示す斜視図である。
溶接ワイヤ100aはループ状又はコイル状に溶接ワイヤ収納容器の外筒101内に収容されている。ループ状の溶接ワイヤコイル100の上部に溶接ワイヤ100aを押さえるため外径が外筒101の内径よりも僅かに小さく、内径が内筒106の外径よりも僅かに大きい押さえ板102を載置し、この押さえ板102上に外筒101の内径よりも僅かに小さい直径を有する輪状で、横断面が円形のリング103を載置し、外筒101の内径に沿って垂直方向に延びる紐105が周方向に均等配置されている。
そして、押さえ板102、リング103及び紐105によって押さえ板102の外周側からのワイヤのはね上がりを防止している。即ち、リング103は紐105と外筒101の内面との間に配置され紐105を介して押さえ板102上に保持されている。従って、リング103は押さえ板102に追従して移動し、これによって押さえ板102の外周部からのワイヤのはね上がりを防止している。溶接ワイヤ100aの落とし込み始端はクランプ材107によって外筒101の内面に係止されている。そして、落とし込み始端と、次に巻き解く容器入り溶接ワイヤの落とし込み終端とを繋ぐことにより、複数の容器入り溶接ワイヤが連続して巻き解く。
更に、従来の溶接ワイヤ収納容器には、内筒106が設けられていないものもある。図6(a)は内筒を有しない従来の溶接ワイヤ収納容器を模式的に示す縦断面図であり、図6(b)はその押さえ板を示す斜視図である。この溶接ワイヤ収納容器には、紐及びリングが設けられておらず、その代わりに、図6(b)に示したように、押さえ板112の外周部に複数のスポンジ製の弾性部材112aが接着剤で接合されている。
そして、図6(a)に示したように、外筒101の内部に内筒が設けられていない溶接ワイヤ収納容器を使用する場合、溶接ワイヤ100aは外筒101の内面に沿って巻き落とされ、外筒101内に収容されて積層される。溶接ワイヤコイル100の積層体は押さえ板112によって下方に押さえつけられる。溶接ワイヤ100aは押さえ板112に設けられた引き出し孔に沿って引き出される。その際、押さえ板112に接合された弾性部材112aを外筒101の内面に接触させることにより、ワイヤ100aが外筒101の内面と押さえ板112の隙間から飛び出すことを防止している。
近時、返送が不要であり、リサイクル性が優れている等の理由から、外筒及び内筒を段ボール等の紙により形成した紙製のペイル容器が使用されている。しかしながら、紙製のペイル容器は、外部から水分及び湿気が浸入しやすいため、保管時に溶接ワイヤが酸化したり、発錆したりすることがある。そこで、外筒の表面に樹脂層を形成することにより、容器内への水分及び湿気の浸入防止を図ったペイル容器が提案されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
特許文献1及び2に記載の紙製ペイル容器は、その表面にポリエチレン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、ポリイソシアネート等の耐水性のある熱可塑性樹脂層が設けられている。
また、特許文献3に記載の紙製ペイル容器は、外筒の外面が透湿・撥水性物質で被覆され、外筒の内面及び底部内面が非透湿性又は難透湿性物質で被覆されている。これにより、容器外面は水をはじくため機械的性質の低下を防止することができると共に、湿気は通過するため紙が過乾燥状態になることを抑制して機械的性質を適切に保つことができる。一方、容器内面及び底部内面は非透湿性又は難透湿性であるため、容器内部への水分及び湿気の浸入を防止することができる。
特開平7−172435号公報 特開2000−6288号公報 特許第3088188号公報
しかしながら、上記従来技術には以下に示す問題点があった。即ち、特許文献1乃至3に記載の紙製ペイル容器は、外部からの湿気の浸入防止には効果があるが、容器の構成材料、特にワイヤが直接接触する容器の内表面のシート層に含まれる酸化性成分に起因して溶接コイルが酸化又は発錆するという問題点があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、容器内への水分及び湿気の浸入を防止するだけでなく、ペイル容器の構成材料に含まれる酸化性成分に起因する錆の発生を防止し、溶接ワイヤを長期間安定に保管することができる溶接ワイヤ収納容器及び容器入り溶接ワイヤを提供することを目的とする。
本願第1発明に係る溶接ワイヤ収納容器は、溶接ワイヤのコイルを収納する有底筒状の溶接ワイヤ収納容器において、少なくとも1層が非透湿性樹脂又は難透湿性樹脂からなる樹脂層で被覆された複数の紙製シートの積層体からなる外筒を有し、この外筒の前記溶接ワイヤと接触する内表面に溶出塩素イオン濃度が10ppm以下、溶出硫酸イオン濃度が80ppm以下の紙製シート層を設けたことを特徴とする。
本発明において、外筒の内部にこの外筒と同軸的に配置された紙製の内筒を設けた場合、この内筒の溶接ワイヤと接触する外表面に溶出塩素イオン濃度が10ppm以下、溶出硫酸イオン濃度が80ppm以下の紙製シート層を設けることが好ましい。
本発明において、紙製シートに被覆される樹脂層は、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びセロファン系樹脂からなる群から選択された2種以上の樹脂フィルムが積層されたものであることが好ましい。
本発明において、前記樹脂層上に、更に、無機酸化物層が蒸着等により形成されていることが好ましい。無機酸化物層としては、たとえば、アルミナ、シリカ、チタニア等が好適に使用される。
本願第2発明に係る容器入り溶接ワイヤは、前記第1発明に係る溶接ワイヤ収納容器内に溶接ワイヤのコイルが収納されていることを特徴とする。
本願第1発明に係る溶接ワイヤ収納容器によれば、溶接ワイヤ収納容器の外筒を複数の紙製シートの積層体で構成し、この紙製シートのうち少なくとも1層を非透湿性樹脂又は難透湿性樹脂からなる樹脂層で被覆したことにより、容器内部への外部からの水分及び湿気の浸入を防止し、ワイヤの腐食および発錆を防止することができる。また、外筒内表面に溶出塩素イオン濃度が10ppm以下、溶出硫酸イオン濃度が80ppm以下の紙製シート層を設けたことにより、溶接ワイヤが容器の構成部材に含まれる酸化性成分の影響を受けることがないので、溶接ワイヤの発錆を防止し、長期間安定に保管することができる。
本願発明において、外筒の内部にこの外筒と同軸的に紙製の内筒を設けた場合、この内筒の溶接ワイヤと接触する外表面に溶出塩素イオン濃度が10ppm以下、溶出硫酸イオン濃度が80ppm以下の紙製シート層を設けることが好ましい。これによって、溶接用ワイヤの酸化又は発錆を有効に防止することができる。
本願発明において、樹脂層として、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びセロファン系樹脂からなる群から選択された2種以上の樹脂フィルムが積層されたものを使用することにより、容器内部への外部からの空気又は湿気の侵入を効果的に防止することができる。
本願発明において、樹脂層上に更に蒸着等により無機酸化物層(Al及びSiO等)を形成することにより、前記樹脂層における外気又は湿気の侵入をより高い確率で防止してワイヤの酸化及び発錆を防止することができる。
本願第2発明に係る容器入り溶接ワイヤによれば、容器内に湿気が入り込むことがなく、また、溶接用ワイヤが直接接触するシートが酸化性成分を殆ど含まない紙製シートであることから、溶接ワイヤの腐食及び発錆を抑制し、溶接ワイヤを長期間安定に保管することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本実施形態の溶接ワイヤ収納容器を示す縦断面図であり、図2はその平面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の溶接ワイヤ収納容器は、紙製シート積層体からなる外筒1の下端部をかしめることにより、この容器の底を形成する紙、合板、繊維板などで形成された底板4が固定されている。この底板4は外筒1の下端かしめ部に保持されている。更に、外筒1の内部には、外筒1よりも小径で紙製の内筒6が外筒1と同軸的に配置されており、内筒6の下端部は底板4上に固定、又は着脱自在となるように予め、底板4に内筒6の内径よりやや小さい直径を有する受け皿(図示せず)が固定されている。
外筒1は、例えば8枚のライナー紙の積層体からなり、このライナー紙のうち少なくとも1層が非透湿性樹脂又は難透湿性樹脂からなる樹脂層で被覆されている。
樹脂層は、ポリエチレン系樹脂(PE)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートPET)、ナイロン系樹脂(NY)、ポリプロピレン系樹脂(PP)及びセロファン系樹脂(PT)からなる群から選択された2種以上の樹脂フィルムが積層されたものであることが好ましく、例えばポリエステル系樹脂フィルムとポリプロピレン系樹脂フィルムとの2層の積層体である。
上記樹脂層にさらに無機酸化物層を蒸着することにより、樹脂層の表面を無機酸化物層で被覆することによって外気又は湿気の容器内への侵入を阻止する効果が向上する、従って、本実施形態においては、紙製シートに被覆する樹脂層には無機酸化物層を被覆しておくことが好ましい。無機酸化物としては、例えばアルミナ(Al)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)等が好適に使用される。無機酸化物層の厚さは、例えば1乃至10μmである。これにより、ガスバリア性が高くなる。
本実施形態において、ワイヤ収納容器内への外気又は湿気の侵入は、上述した少なくとも1層が樹脂層でコーティングされた紙製シート又は前記樹脂層上に無機酸化物層を被覆した紙製シート積層体によって阻止されるが、ワイヤ収納容器の構成材料から酸化性成分が溶出し、この酸化性成分によって溶接ワイヤが腐食又は発錆する場合がある。従って、このような腐食及び発錆をも防止する必要がある。
そこで、本実施形態においては、ワイヤが直接接触する外筒1の内壁面に、Cl、SO 2−等の酸化性成分を溶出しない紙製シート層(以下、低酸化性成分溶出シート又はシート層という)9を設ける。酸化性成分を溶出しない紙製シートとしては、溶出塩素イオン濃度10ppm以下、溶出硫酸イオン濃度80ppm以下の紙製シートが好適に使用される。この低酸化性成分溶出シートにおける含水率は15%以下であることが好ましい。これによって、ワイヤの腐食又は発錆防止効果がより向上する。
本実施形態において、低酸化性成分溶出シートの溶出塩素イオン濃度は10ppm以下である。溶出塩素イオンの溶出量が10ppmを超えると、これに接触するワイヤが発錆する虞がある。また、溶出硫酸イオン濃度は80ppm以下である。溶出硫酸イオン濃度が80ppmを超えるとこれに接触するワイヤが腐食し、発錆する虞がある。
低酸化性成分溶出シートの溶出塩素イオン濃度又は溶出硫酸イオン濃度は、例えば以下のようにして測定される。即ち、サンプルシート5gを100mlの純水に浸漬し、70℃で30分間加熱抽出し、得られた溶液中の塩素イオン又は硫酸イオンをイオンクロマトグラフィー分析法によって定量する。なお、この測定方法によれば、ほとんどの場合、トータル濃度の1/20として表される。
本実施形態において、外筒1の内壁面だけでなく、内筒6の外表面及び底板4の上表面にも低酸化性成分溶出シート層9が設けられる。これによって、ワイヤの腐食、発錆防止効果がより向上する。ワイヤが直接接触しない構成部材に酸化性成分が含まれていても、通常の構成材料に含まれる量と同程度であれば、特に問題にならないが、容器を構成する全ての構成材料が酸化性成分を溶出しないものであることがより好ましい。
本実施形態において、溶接ワイヤ10は、外筒1と内筒6との間の空間部にループ状に落とされて積層され、収容されている。ループ状に積層された溶接ワイヤ10の上部には外径が外筒1の内径よりも僅かに小さく、内径が内筒6の外径よりも僅かに大きい円盤状の抑え板2が溶接ワイヤコイル10を押さえるために載置されている。押さえ板2上には外筒1の内径よりも僅かに小さい直径を有する輪状で、横断面が円形のリング3が載置されている。
更に、外筒1の内面には垂直方向に延びる紐5が外筒1の周方向の3箇所に均等配置されている。この紐5はその上端と下端とで外筒1の内面に取り外し可能に固定されており、紐5は溶接ワイヤ10aのコイル10と外筒1の内面との間を上方に延び、押さえ板2と外筒1内面との間の隙間を抜け、リング3の内面側をくぐって上端まで延びている。これにより、リング3は押さえ板2と共に下降することができ、この下降の過程で、紐5はリング3により拘束されて溶接ワイヤコイル10の外周と押さえ板2の上面とを包絡し、ワイヤ10aが押さえ板2の外周と外筒1の内面との間の隙間から上方にはね上がってしまうことを防止する。
次に、上述の如く構成された本実施形態の溶接ワイヤ収納容器の動作、即ち、溶接ワイヤを容器に収納する方法及び容器入り溶接ワイヤを巻き解く方法について説明する。先ず、溶接ワイヤ10aを容器に収納する際は、底板4上に下方から上方に向かって円軌道に沿って中心軸を移動変位させながら積層する。このとき、溶接ワイヤ10aは、外筒1の内表面、内筒6の外表面及び底板4に接触しつつ積層される。外筒1は樹脂層がコーティングされた少なくとも1層の紙製シートを有するので、外気からの湿気の侵入を阻止する。また、ワイヤ10aが接触する外筒1の内表面、内筒6の外表面及び底板4の上表面には低酸化性成分溶出シート層9が設けられているので、ワイヤが腐食又は発錆するおそれがない。このため、本実施形態の容器入り溶接ワイヤは、保管及び運搬時に酸化したり、発錆したりすることがなく、長期間安定に保存できる。
また、上述の方法で収納された容器入り溶接ワイヤを運搬及び保管する際は、外筒1の上端部に蓋(図示せず)を被せる。
本実施形態において、蓋と容器内部の溶接ワイヤコイル10との間にスペーサ(図示せず)を介在させる場合は、そのスペーサにおけるワイヤとの接触面に低酸化性成分溶出シート層9を設ける。これによってワイヤの腐食をより確実に防止することができる。
溶接ワイヤ10aを巻き解く際は、蓋及びスペーサを取り除いた後、内筒6と押さえ板2との間からワイヤの落とし始め終端が引出され、この部分を巻き解き始端として溶接ワイヤコイル10の上層から下層に向かって巻き解く。このとき、押さえ板2及びリング3は、溶接ワイヤコイル10の高さが低下するに従い下方に移動する。
このように、本実施形態の容器入り溶接ワイヤは、ワイヤ収納容器の外筒1が、少なくとも1層が非透湿性樹脂又は難透湿性樹脂からなる樹脂層でコーティングされた複数の紙製シートの積層体からなるので、外部から容器内部への空気又は湿気の侵入を阻止することができる。また、外筒1の内表面、内筒6の外表面、底板4等の表面には、低酸化性成分溶出シート層9が設けられているので、ワイヤがこれに接触しても腐食又は発錆することはない。従って、ワイヤを酸化又は発錆させることなく、長期間安定に保管することができる。
本発明において、外筒1、底板4等を形成する紙製シート積層体の少なくとも1層を被覆する樹脂層における樹脂フィルムの積層数は、特に限定されるものではないが、例えば2層乃至5層程度とすることができる。各種フィルムには密度が異なるもの及び一軸又は二軸で延伸されたもの又は延伸しないものがあるが、樹脂の種類が異なれば、その製造方法は特に問題にならない。なお、紙製シートに被覆される樹脂層の厚さは、例えば10乃至200μmである。
紙製シートに被覆される樹脂層における2種以上のフィルムの組み合わせの変形例を図3に示す。なお、樹脂フィルム同士の積層を可能とするためには、図3に示された各層の間に接着層(図示せず)が必要となる。接着層としてはPE及びEVA(エチレン酢酸ビニル)共重合体等があげられる。
図3の各分図は以下の層構成を有する。
(a)基材としてのポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートPET)フィルム22に、接着層を介してポリプロピレン系樹脂(PP)フィルム24が積層されている。
(b)基材としてのポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートPET)フィルム22に、接着層を介してナイロン系樹脂(NY)フィルム23が積層されている。
(c)基材としてのポリエチレン系樹脂(PE)フィルム21に、直接ポリプロピレン系樹脂(PP)フィルム24が積層されている(この場合は、基材のPE自体が加熱により接着作用を有する。)。
(d)基材としてのポリエチレン系樹脂(PE)フィルム21に、直接ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートPET)フィルム22が積層されている。
(e)基材としてのポリエチレン系樹脂(PE)フィルム21に、直接ナイロン系樹脂(NY)フィルム23が積層されている。
(f)基材としてのポリプロピレン系樹脂(PP)フィルム24に、ポリエチレン系樹脂(PE)フィルム21及びナイロン系樹脂(NY)フィルム23が積層されている。
(g)基材としてのポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートPET)フィルム22の片面に接着層を介してポリプロピレン系樹脂(PP)フィルム24が積層され、このポリプロピレン系樹脂(PP)フィルム24の他面及び上記ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートPET)フィルム22の他面に夫々ポリエチレン系樹脂(PE)フィルム21が積層されている。
(h)ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートPET)フィルム22の表面にアルミナ26を蒸着したものを基材とし、この基材のアルミナが蒸着されていない面に直接ポリエチレン系樹脂(PE)フィルム21が積層されている。このように、アルミナ26を蒸着することにより、基材におけるガスバリア性が更に向上する。
(i)ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートPET)フィルム22の表面にシリカ27を蒸着したものを基材とし、この基材の両面に直接ポリエチレン系樹脂(PE)フィルム21が積層されている。このようにシリカ27を蒸着することにより、基材におけるガスバリア性が更に向上する。
本発明において、紙製シート積層体における樹脂層がコーティングされた紙製シートの配置位置は、特に限定されるものではない。即ち、シート積層体の最内部、最外部,中間部のいずれでもよく、また全ての紙製シートを樹脂層で被覆することもできる。
図4は、少なくとも1層が樹脂層でコーティングされた紙製シートを含む複数の紙製シート積層体の変形例を示す断面の模式図である。図中、左側が容器外表面、右側が容器内表面である。図4において、
(a)ライナー紙28を、例えば8乃至13枚積層した紙製シート積層体の最も内側に配置されたライナー紙28の外側面を樹脂層29でコーティングしたもの、
(b)ライナー紙28を、例えば8乃至13枚積層した紙製シート積層体の最も外側に配置されたライナー紙28を除き、各ライナー紙の外側面を夫々樹脂層29でコーティングしたもの、
(c)ライナー紙28を、例えば8乃至13枚積層した紙製シート積層体の最も外側及び最も内側のラーナー紙28の外側表面を樹脂層29でコーティングしたもの、
(d)ライナー紙28を、例えば8乃至13枚積層した紙製シート積層体の最も内側のライナー紙28の内側表面を樹脂層29でコーティングしたもの、
(e)ライナー紙28を、例えば8乃至13枚積層した紙製シート積層体の中間部のライナー紙28及び最も内側のライナー紙28の外側表面を夫々樹脂層29でコーティングしたものが記載されている。
このように、本発明においては、容器、具体的には容器の外筒、底板及び蓋を構成する紙製シート積層体の何れか1枚又は複数枚の紙製シートが樹脂層でコーティングされる。
本発明において、容器の構成材料に含まれる酸化性成分として、ワイヤの腐食又は発錆に特に影響の大きい塩素イオン及び硫酸イオンに着目したが、それ以外の酸化性成分として、F、NO 、Br、NO 、PO 3−等が挙げられる。これらの酸化性成分については、ワイヤの腐食又は発錆に及ぼす影響が軽微であると考えられる。
表1に各種紙製シートの酸化性成分溶出試験結果を示す。
Figure 0004420734
表1において、紙製シートの酸化性成分溶出濃度は、サンプルシート5gに100mlの純水を加え、70℃で30分間抽出し、得られた溶液中の目的成分をイオンクロマトグラフィー分析法によって定量したものである。
表1から、紙製シートとしては、S1、及びS3が本発明で規定する溶出塩素イオン濃度及び溶出硫酸イオン濃度を満足する。従って、本発明においては、S1、及びS3を外筒の内表面、内筒の外表面及び底板の上表面に設けるシート層として適用することができる。
樹脂フィルムの酸化性成分溶出濃度は、サンプル樹脂約0.3gを100mlのポリビンに入れ、100mlの超純水を加え、70℃のウオーターバス中で30分間抽出し、冷却後、0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、イオンクロマトグラフィーを使用して目的成分を定量することにより、本願の上述した実施形態で使用した樹脂フィルムが酸化性成分を溶出しないことを確認している。
また、上述した図3の全ての樹脂フィルムが殆ど酸化性成分を溶出しないものであることを確認している。従って、本発明においては、紙製シートにコーティングする樹脂層としてポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びセロファン系樹脂から選択した2種以上のフィルムを積層したものが好適に使用される。
以下、本発明の実施例の効果について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
実施例
ライナー紙を、例えば8枚積層したシート積層体の最も内側のライナー紙の外側表面にポリエステル系樹脂フィルム上にアルミナを蒸着し、その上にポリエチレン樹脂を接着剤
としてポリプロピレン系樹脂フィルムを積層した厚さ50μmの樹脂フィルムをコーティングしたシート積層体で外筒1を構成し、その内壁面に溶出塩素イオン濃度が10ppm以下で、溶出硫酸イオン濃度が80ppm以下の紙製シート層9を設けるとともに、内筒6の外表面、底板4の上表面に前記と同様の低酸化性成分溶出シート層9を設けた溶接ワイヤ収納容器に公知の方法で溶接ワイヤを落とし込み、蓋で密閉し、直射日光が当たる屋外に10日間放置した後、溶接ワイヤの発錆状況を調べたところ、全く錆及び腐食は見られなかった。
なお、本実施例のようにシート積層体の最も内側のライナー紙の外側表面を樹脂層で被覆した場合、収納する溶接ワイヤが高温の場合、樹脂の種類によってはワイヤの熱により軟化することも想定されるから、本発明においては、樹脂層の上に更に紙製シート層9を設けるので、ワイヤが直接樹脂に接触し、樹脂がワイヤ表面に付着したりするおそれもない。
比較例1
外筒を形成するシート積層体の何れの紙製シートにも樹脂層及び無機酸化物層をコーティングしなかった以外は上記実施例と同様にして容器入り溶接ワイヤを製造し、同様の経日試験を行ったところ、ワイヤ表面に明らかな錆が発生していた。
比較例2
外筒1の内表面、内筒6の外表面、底板4の上面及び蓋の内表面に低酸化性成分溶出シート層9を設けなかった以外は、上記実施例と同様にして同様の経日試験を行ったところ、ワイヤ表面にわずかな錆が見られた。
外部からの水分又は湿気の侵入を阻止するとともに、容器の構成部材に含まれる酸化性成分に起因する腐食及び発錆を効果的に抑制して溶接ワイヤを長期間安定に保管することができる本発明の溶接ワイヤ収納容器及び容器入り溶接ワイヤは、溶接を施す構造物の製造分野、特にロボットによる自動溶接の分野において有用である。
本発明の実施形態に係る溶接ワイヤ収納容器を示す断面図である。 図1の平面図である。 本発明に適用される樹脂フィルム層の変形例を示す模式断面図である。 本発明に適用される紙製シート積層体の変形例を示す模式断面図である。 従来技術を示す図である。 従来技術を示す図である。
符号の説明
1:外筒
2:押さえ板
2a:開口部
3:リング
4:底板
5:ひも
6:内筒
9:低酸化性成分溶出シート層
10:溶接ワイヤコイル
10a:溶接ワイヤ
21:ポリエチレン系樹脂フィルム
22:ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートPET)フィルム
23:ナイロン系樹脂フィルム
24:ポリプロピレン系樹脂フィルム
25:セロファン系樹脂フィルム
26:アルミナ
27:シリカ
28:ライナー紙
29:樹脂層
100:溶接ワイヤコイル
100a:溶接ワイヤ
101:外筒
102:押さえ板
103:リング
104:底板
105:紐
106:内筒
107:クランプ
102:押さえ板
112:押さえ板
112a:弾性部材

Claims (5)

  1. 溶接ワイヤのコイルを収納する有底筒状の溶接ワイヤ収納容器において、少なくとも1層が非透湿性樹脂又は難透湿性樹脂からなる樹脂層で被覆された複数の紙製シートの積層体からなる外筒を有し、この外筒の前記溶接ワイヤと接触する内表面に溶出塩素イオン濃度が10ppm以下、溶出硫酸イオン濃度が80ppm以下の紙製シート層を設けたことを特徴とする溶接ワイヤ収納容器。
  2. 前記外筒の内部に前記外筒と同軸的に配置された紙製の内筒を設け、この内筒の前記溶接ワイヤと接触する外表面に溶出塩素イオン濃度が10ppm以下、溶出硫酸イオン濃度が80ppm以下の紙製シート層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の溶接ワイヤ収納容器。
  3. 前記樹脂層は、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びセロファン系樹脂からなる群から選択された2種以上の樹脂が積層されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接ワイヤ収納容器。
  4. 前記樹脂層上に、更に、無機酸化物層が被覆されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の溶接ワイヤ収納容器。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の溶接ワイヤ収納容器内に溶接ワイヤのコイルが収納されていることを特徴とする容器入り溶接ワイヤ。
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