以下、本発明の一実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
まず、本発明を適用したネットワークシステムの構成例について、図1を参照して説明する。このネットワークシステムは、デジタル通信制御バスであるIEEE1394方式のシリアルデータバスライン(以下単にバスラインと称する)1を介して、複数台の機器が接続してある。図1では、4台のAV機器100,200をバスライン1で接続した例を示してある。バスライン1に接続される機器としては、ここではそれぞれがIEEE1394方式のバスを接続するための端子を備えたテレビジョン受像機100と、3台のビデオカメラレコーダ200,300,400を用意してある。各ビデオカメラレコーダ200,300,400は、ビデオ撮影(撮像)を行って得た映像信号及び音声信号を記録媒体(ここでは磁気テープ)に記録する機能を有する機器であるが、本例のネットワークに接続した場合には、その機器に装着されたビデオテープ(磁気テープ)を再生し、その再生データをネットワークに送出するテープ再生装置として機能する。また、機種によってはネットワークを介して受信した映像信号及び音声信号を記録するテープ記録装置としても機能するものもある。
3台のビデオカメラレコーダ200,300,400の内、ビデオカメラレコーダ200はDV方式のビデオカメラレコーダとしてあり、ビデオカメラレコーダ300はM−MV方式のビデオカメラレコーダとしてあり、ビデオカメラレコーダ400はHD方式のビデオカメラレコーダとしてある。DV方式のビデオカメラレコーダ200は、DV方式の規格でデジタルビデオデータをビデオテープに記録する機器である。M−MV方式のビデオカメラレコーダ300は、MPEG2方式の規格でデジタルビデオデータをビデオテープに記録する機器である。ビデオカメラレコーダ400はDV方式の規格とMPEG2方式の規格のいずれか選択した一方の規格でデジタルビデオデータをビデオテープに記録する機器であり、高解像度のビデオデータの記録が可能である。
なお、IEEE1394方式のバスライン1に接続されている各機器100〜400は、ネットワーク上からはユニットと呼ばれており、ユニット間においては、AV/Cコマンドで規定されているコマンド及びレスポンスを用いて、各ユニットに記憶されている情報を相互に読み書きして、制御することが可能である。また、ユニットが有するそれぞれの機能はサブユニットと呼ばれている。
また、バスライン1に接続された各ユニットはノード(node)とも呼ばれ、ノードIDが設定してあり、そのノードIDによりバス上へのデータの発信元及び受信先が特定される。
このようなネットワーク構成としてあることで、3台のビデオカメラレコーダ200〜400の内の選択された1台の機器からバスライン1に送出されるビデオデータ及びオーディオデータを、テレビジョン受像機100で受信して、テレビジョン受像機100で映像の表示及びオーディオの出力が可能である。この場合、テレビジョン受像機100では、バスライン1に接続された機器の動作の制御が可能であり、受像機100の画面に、ビデオカメラレコーダ200〜400の操作画面(いわゆるGUI画面)を表示させて、その画面上での表示に基づいたカーソルキーなどの操作により、ビデオカメラレコーダ200〜400の操作指示を行うことも可能である。このGUI画面を使用した操作例については後述する。
図2は、本例のテレビジョン受像機100の構成例を示したブロック図である。本例のテレビジョン受像機100は、いわゆるデジタルテレビジョン受像機として構成してあり、デジタル放送の受信が可能に構成してある。即ち、地上波受信用のアンテナが接続されるアンテナ接続端子101を備えて、この端子101に得られる信号に基づいて地上波のチャンネルの受信を行うアナログチューナ111及びデジタルチューナ112を有する。また、パラボラアンテナなどの衛星放送受信用アンテナが接続されるアンテナ接続端子102を備えて、この端子102に得られる信号に基づいて衛星放送のチャンネルの受信を行うBSチューナ113を有する。
各チューナ111,112,113で受信したデータは、デマルチプレクサ114に供給されて、ビデオデータ,オーディオデータ,制御データなどの種類別に分離される。なお、アナログチューナ111の出力については、アナログ/デジタル変換器115でデジタルデータに変換した後、デマルチプレクサ114に供給する。
また、外部入力端子103に得られるビデオデータ及びオーディオデータについても、デマルチプレクサ114に供給する。さらに、IEEE1394方式用インターフェース部116が、デマルチプレクサ114に接続してあり、IEEE1394方式用のバスラインが接続されるポート104を介して受信したビデオデータやオーディオデータについても、デマルチプレクサ114に供給する。
デマルチプレクサ114で分離されたビデオデータは、ビデオデコーダ121に供給して、供給されるデータ形式に適合したデコード処理を行い、圧縮符号化されたビデオデータからの復号を行う。本例の場合は、MPEG2方式のデコードと、DV方式のデコードの少なくとも2種類の方式のビデオデータのデコードが可能である。なお、デコーダ121として、MPEG2方式用デコーダとDV方式用のデコーダの2つで構成しても良い。デコーダ121でデコードする方式については、このテレビジョン受像機100の各部の動作制御を行う中央制御ユニット(CPU)141からの指令により設定される。
ビデオデコーダ121でデコードされたビデオデータは、ミキサ122を介して表示用データ処理部123に供給して、この受像機で表示するための倍速変換などの高画質化処理を行う。表示用データ処理部123で処理されたビデオデータは、デジタル/アナログ変換器124でアナログ映像信号に変換して、表示駆動部125に供給し、表示部126を駆動して映像を表示させる処理を行う。表示部126としては、例えば陰極線管,或いは液晶表示パネルなどの各種表示手段が適用可能である。ミキサ122は、GUIデータ生成部127から供給されるGUI用のデータを重畳する。GUIデータ生成部127では、中央制御ユニット141からの制御に基づいて、表示部126にGUI用の映像を表示させるために必要な映像データを生成させる。GUI用の映像の表示例については後述する。
デマルチプレクサ114で分離されたオーディオデータは、オーディオデコーダ131に供給して、供給されるデータ形式に適合したデコード処理を行う。圧縮されていないオーディオデータの場合には、デコード処理は行わない。また、サンプリング周波数などの変換が必要な場合には、その変換処理を行う。そして、オーディオデコーダ131が出力するオーディオデータを、デジタル/アナログ変換器132に供給して、アナログオーディオ信号に変換する。ここでは、左チャンネルのオーディオ信号と右チャンネルのオーディオ信号とし、左チャンネルの信号をアンプ133Lを介してスピーカ134Lに供給して出力(放音)させ、右チャンネルの信号をアンプ133Rを介してスピーカ134Rに供給して出力(放音)させる。
受像機内の各部の動作制御を行う中央制御ユニット141には、操作キーなどで構成される操作部142から操作情報が供給されると共に、図示しないリモートコントロール装置からの赤外線信号を赤外線受光部143で受光して判別した制御コードが供給されて、これらの指令に基づいてテレビジョン受像機の状態を制御する。また、ポート104を介してIEEE1394方式のバスラインで接続された他の機器を制御するモードとなっている場合には、そのための制御データを、中央制御ユニット141からインターフェース部116に供給し、インターフェース部116でバスライン1に送出するための制御コマンドなどを生成させる。また、バスラインを介してインターフェース部116がコマンドなどを受信した場合には、そのコマンドで示される制御データを中央制御ユニット141に送る。これらのコマンドは、IEEE1394方式のバスラインで伝送される制御コマンドとして用意されたAV/Cコマンドを使用する。このAV/Cコマンドの詳細については後述する。
図3は、本例のビデオカメラレコーダ200の構成例を示したブロック図である。ビデオカメラレコーダ200は、レンズなどの光学系201を介して撮像素子202の撮像面に結像した像光に基づいて撮像信号を生成させる。撮像素子202としては、例えばCCD型の撮像素子が使用される。そして、撮像素子202が出力する撮像信号を、撮像処理部203に供給して、所定のフォーマットの映像信号とし、その映像信号をアナログ/デジタル変換器204でデジタルビデオデータに変換する。さらに、そのデジタルビデオデータを、ビデオエンコーダ205で所定のフォーマットに圧縮符号化する。ここで本例のビデオカメラレコーダ200は、DV方式のビデオカメラレコーダであるので、エンコーダ205でDV方式に圧縮符号化されたビデオデータとする。そして、エンコーダ205の出力をマルチプレクサ206に供給する。
また、マイクロホン211が拾った音声信号をアンプ212を介してアナログ/デジタル変換器213に供給してデジタルオーディオデータに変換し、変換されたオーディオデータをオーディオエンコーダ214に供給して、必要により圧縮符号化する。そして、オーディオエンコーダ214が出力するオーディオデータをマルチプレクサ206に供給する。
マルチプレクサ206では、供給されるビデオデータとオーディオデータとを1系統のデータとして、記録・再生処理部207に供給する。記録・再生部207では、供給されるデータを記録用に処理し、回転ヘッドドラム208に供給して、テープカセット230内の磁気テープにデータを供給する。このとき、テープ走行系209によりテープの走行及び回転ヘッドドラム208の回転が制御される。
また、回転ヘッドドラム208で読出されたテープカセット230内のテープに記録されたデータは、記録・再生処理部207で再生処理を行い、マルチプレクサ206を介してIEEE1394方式用のインターフェース部222に供給し、ポート223に接続されたIEEE1394方式のバスラインに送出させるためのデータ構造とし、バスラインを介して接続された他の機器に送る。図3では図示していないが、出力端子から再生されたビデオ信号及びオーディオ信号を出力させることも可能である。
また、ビデオカメラレコーダ200内の各部の動作制御を行う中央制御ユニット221は、インターフェース部222を介してポート223に接続されたバスラインと制御コマンドのやり取りが行えるようにしてある。この制御コマンドの送受信は、AV/Cコマンドとして実行される。中央制御ユニット221には、操作部224が接続してあり、操作部224からの操作指令に基づいて撮影や記録,再生などが制御されると共に、バスラインを介して受信した制御コマンドによっても各種動作を実行させるように制御する。
なお、ここではビデオカメラレコーダ200の構成について説明したが、他のビデオカメラレコーダ300,400についても、基本的な構成については同じであり、回路的にはエンコーダで符号化されるデータ形式などが異なる点が主要な相違点である。但し、DV方式での記録及び再生が可能なビデオカメラレコーダであるレコーダ200と、DV方式及びHD方式での記録及び再生が可能なビデオカメラレコーダであるレコーダ400は、ビデオデータ(磁気テープ)の先頭からの絶対的な記録位置であるタイムコードを、テープ上に記録するようにしてある。この絶対的なタイムコードは、後述するAV/Cコマンドのタイムコードステータスコマンドを使用することで、バスライン1に接続された他の機器は読出すことができるようにしてある。また、M−MV方式(記録フォーマット上はMPEG2方式)のビデオカメラレコーダであるレコーダ300は、テープカセットを装着した位置からの相対的な位置であるカウンタ値を、カウントするようにしてある。この相対的なカウンタ値は、後述するAV/Cコマンドのリラティブタイムカウンタステータスコマンドを使用することで、バスライン1に接続された他の機器は読出すことができるようにしてある。また、ここでは各ビデオカメラレコーダで記録する記録媒体としては、磁気テープとしたが、メモリカードなどのその他の記録媒体にも記録できるように構成しても良い。
次に、各機器100〜400を接続したIEEE1394方式のバスライン1でのデータ伝送状態について説明する。なお、IEEE1394方式のネットワークでは、バスラインに接続された各機器は、ノードと称される。
図4は、IEEE1394で接続された機器のデータ伝送のサイクル構造を示す図である。IEEE1394では、データは、パケットに分割され、125μSの長さのサイクルを基準として時分割にて伝送される。このサイクルは、サイクルマスタ機能を有するノード(バスに接続されたいずれかの機器)から供給されるサイクルスタート信号によって作り出される。アイソクロナスパケットは、全てのサイクルの先頭から伝送に必要な帯域(時間単位であるが帯域と呼ばれる)を確保する。このため、アイソクロナス伝送では、データの一定時間内の伝送が保証される。ただし、受信側からの確認(アクノリッジメント:ack)は行われず、伝送エラーが発生した場合は、保護する仕組みが無く、データは失われる。各サイクルのアイソクロナス伝送に使用されていない時間に、アービトレーションの結果、バスを確保したノードが、アシンクロナスパケットを送出するアシンクロナス伝送では、アクノリッジ、およびリトライを用いることにより、確実な伝送は保証されるが、伝送のタイミングは一定とはならない。
所定のノードがアイソクロナス伝送を行う為には、そのノードがアイソクロナス機能に対応していなければならない。また、アイソクロナス機能に対応したノードの少なくとも1つは、サイクルマスタ機能を有していなければならない。更に、IEEE1394シリアスバスに接続されたノードの中の少なくとも1つは、アイソクロナスリソースマネージャの機能を有していなければならない。
IEEE1394は、ISO/IEC13213で規定された64ビットのアドレス空間を有するCSR(Control&StatusRegister )アーキテクチャに準拠している。図5は、CSRアーキテクチャのアドレス空間の構造を説明する図である。上位16ビットは、各IEEE1394上のノードを示すノードIDであり、残りの48ビットが各ノードに与えられたアドレス空間の指定に使われる。この上位16ビットは更にバスIDの10ビットと物理ID(狭義のノードID)の6ビットに分かれる。全てのビットが1となる値は、特別な目的で使用されるため、1023個のバスと63個のノードを指定することができる。ノードIDは、バスリセットがあった際に、付与し直される。バスリセットは、バス1に接続される機器の構成が変化した場合に発生する。例えば、バス1に接続されたいずれか1台の機器が外されたり、また新規にバス1に機器が接続されことを認識したとき、バスリセットが実行される。
下位48ビットにて規定される256テラバイトのアドレス空間のうちの上位20ビットで規定される空間は、2048バイトのCSR特有のレジスタやIEEE1394特有のレジスタ等に使用される初期化レジスタスペース(Initial Register Space)、プライベートスペース(Private Space )、および初期化メモリスペース(Initial Memory Space)などに分割され、下位28ビットで規定される空間は、その上位20ビットで規定される空間が、初期化レジスタスペースである場合、コンフィギレーションROM(Configuration read only memory)、ノード特有の用途に使用される初期化ユニットスペース(Initial Unit Space)、プラグコントロールレジスタ(Plug Control Register (PCRs))などとして用いられる。
図6は、主要なCSRのオフセットアドレス、名前、および働きを説明する図である。図6のオフセットとは、初期化レジスタスペースが始まるFFFFF0000000h(最後にhのついた数字は16進表示であることを表す)番地よりのオフセットアドレスを示している。オフセット220hを有するバンドワイズアベイラブルレジスタ(Bandwidth Available Register)は、アイソクロナス通信に割り当て可能な帯域を示しており、アイソクロナスリソースマネージャとして動作しているノードの値だけが有効とされる。すなわち、図5に示したCSRは、各ノードが有しているが、バンドワイズアベイラブルレジスタについては、アイソクロナスリソースマネージャのものだけが有効とされる。換言すれば、バンドワイズアベイラブルレジスタは、実質的に、アイソクロナスリソースマネージャだけが有する。バンドワイズアベイラブルレジスタには、アイソクロナス通信に帯域を割り当てていない場合に最大値が保存され、帯域を割り当てる毎にその値が減少していく。
オフセット224h乃至228hのチャンネルアベイラブルレジスタ(Channels Available Register )は、その各ビットが0乃至63番のチャンネル番号のそれぞれに対応し、ビットが0である場合には、そのチャンネルが既に割り当てられていることを示している。アイソクロナスリソースマネージャとして動作しているノードのチャンネルアベイラブルレジスタのみが有効である。
図5に戻り、初期化レジスタスペース内のアドレス200h乃至400hに、ゼネラルROM(read only memory)フォーマットに基づいたコンフィギレーションROMが配置される。コンフィギレーションROMには、バスインフォブロック、ルートディレクトリ、およびユニットディレクトリが配置される。バスインフォブロック内のカンパニーID(Company ID)には、機器の製造者を示すID番号が格納される。チップID(Chip ID )には、その機器固有の、他の機器と重複のない世界で唯一のIDが記憶される。
インターフェースを介して、機器の入出力を制御する為、ノードは、図5のイニシャルユニットスペース内のアドレス900h乃至9FFhに、IEC1883に規定されるPCR(Plug Control Register )を有する。これは、論理的にアナログインターフェースに類似した信号経路を形成するために、プラグという概念を実体化したものである。図7は、PCRの構成を説明する図である。PCRは、出力プラグを表すoPCR(output Plug Control Register)、入力プラグを表すiPCR(input Plug Control Register )を有する。また、PCRは、各機器固有の出力プラグまたは入力プラグの情報を示すレジスタoMPR(output Master Plug Register )とiMPR(input Master Plug Register)を有する。各機器は、oMPRおよびiMPRをそれぞれ複数持つことはないが、個々のプラグに対応したoPCRおよびiPCRを、機器の能力によって複数持つことが可能である。図7に示されるPCRは、それぞれ31個のoPCRおよびiPCRを有する。アイソクロナスデータの流れは、これらのプラグに対応するレジスタを操作することによって制御される。
図8は、oMPR,oPCR,iMPR、およびiPCRの構成を示す図である。図8の(a)はoMPRの構成を、図8の(b)はoPCRの構成を、図8の(c)はiMPRの構成を、図8の(d)はiPCRの構成を、それぞれ示す。oMPRおよびiMPRのMSB側の2ビットのデータレートの能力(data rate capability)には、その機器が送信または受信可能なアイソクロナスデータの最大伝送速度を示すコードが格納される。oMPRの同報チャンネルベース(broadcast channel base)は、ブロードキャスト出力(同報出力)に使用されるチャンネルの番号を規定する。
oMPRのLSB側の5ビットの出力プラグ数(number of output plugs)には、その機器が有する出力プラグ数、すなわちoPCRの数を示す値が格納される。iMPRのLSB側の5ビットの入力プラグ数(number of input plugs )には、その機器が有する入力プラグ数、すなわちiPCRの数を示す値が格納される。主拡張フィールド及び補助拡張フィールドは、将来の拡張の為に定義された領域である。
oPCRおよびiPCRのMSBのオンライン(on-line )は、プラグの使用状態を示す。すなわち、その値が1であればそのプラグがオンラインであり、0であればオフラインであることを示す。oPCRおよびiPCRの同報コネクションカウンタ(broadcast connection counter)の値は、同報コネクションの有り(1)または無し(0)を表す。oPCRおよびiPCRの6ビット幅を有するポイントトウポイントコネクションカウンタ(point-to-point connection counter )が有する値は、そのプラグが有するポイントトウポイントコネクション(point-to-point connection )の数を表す。ポイントトウポイントコネクション(いわゆるp−pコネクション)は、特定の1つのノードと他の特定のノード間だけで伝送を行うためのコネクションである。
oPCRおよびiPCRの6ビット幅を有するチャンネル数(channel number)が有する値は、そのプラグが接続されるアイソクロナスチャンネルの番号を示す。oPCRの2ビット幅を有するデータレート(data rate )の値は、そのプラグから出力されるアイソクロナスデータのパケットの現実の伝送速度を示す。oPCRの4ビット幅を有するオーバーヘッドID(overhead ID )に格納されるコードは、アイソクロナス通信のオーバーのバンド幅を示す。oPCRの10ビット幅を有するペイロード(payload )の値は、そのプラグが取り扱うことができるアイソクロナスパケットに含まれるデータの最大値を表す。
図9はプラグ、プラグコントロールレジスタ、およびアイソクロナスチャンネルの関係を表す図である。ここではIEEE1394方式のバスラインに接続された機器を、AVデバイス(AV-device )91〜93として示してある。AVデバイス93のoMPRにより伝送速度とoPCRの数が規定されたoPCR〔0〕〜oPCR〔2〕のうち、oPCR〔1〕によりチャンネルが指定されたアイソクロナスデータは、IEEE1394シリアスバスのチャンネル#1に送出される。AVデバイス91のiMPRにより伝送速度とiPCRの数が規定されたiPCR〔0〕とiPCR〔1〕のうち、入力チャンネル#1が伝送速度とiPCR〔0〕により、AVデバイス91は、IEEE1394シリアスバスのチャンネル#1に送出されたアイソクロナスデータを読み込む。同様に、AVデバイス92は、oPCR〔0〕で指定されたチャンネル#2に、アイソクロナスデータを送出し、AVデバイス91は、iPRC〔1〕にて指定されたチャンネル#2からそのアイソクロナスデータを読み込む。
このようにして、IEEE1394シリアスバスによって接続されている機器間でデータ伝送が行われるが、本例のシステムでは、このIEEE1394シリアスバスを介して接続された機器のコントロールのためのコマンドとして規定されたAV/Cコマンドセットを利用して、各機器のコントロールや状態の判断などが行えるようにしてある。次に、このAV/Cコマンドセットについて説明する。
図10は、AV/Cコマンドのアシンクロナス転送モードで伝送されるパケットのデータ構造を示している。AV/Cコマンドセットは、AV機器を制御するためのコマンドセットで、CTS(コマンドセットのID)=“0000”である。AV/Cコマンドフレームおよびレスポンスフレームが、上記FCPを用いてノード間でやり取りされる。バスおよびAV機器に負担をかけないために、コマンドに対するレスポンスは、100ms以内に行うことになっている。図10に示すように、アシンクロナスパケットのデータは、水平方向32ビット(=1 quadlet )で構成されている。図中上段はパケットのヘッダ部分を示しており、図中下段はデータブロックを示している。ディスティネーション(destination ID)は、パケットの宛先を示している。
CTSはコマンドセットのIDを示しており、AV/CコマンドセットではCTS=“0000”である。Cタイプ/レスポンス(ctype/response)のフィールドは、パケットがコマンドの場合はコマンドの機能分類を示し、パケットがレスポンスの場合はコマンドの処理結果を示す。コマンドは大きく分けて、(1)機能を外部から制御するコマンド(CONTROL)、(2)外部から状態を問い合わせるコマンド(STATUS)、(3)制御コマンドのサポートの有無を外部から問い合わせるコマンド(GENERAL INQUIRY(opcodeのサポートの有無)およびSPECIFIC INQUIRY(opcodeおよびoperandsのサポートの有無))、(4)状態の変化を外部に知らせるよう要求するコマンド(NOTIFY)の4種類が定義されている。
レスポンスはコマンドの種類に応じて返される。コントロール(CONTROL)コマンドに対するレスポンスには、「実装されていない」(NOT IMPLEMENTED)、「受け入れる」(ACCEPTED)、「拒絶」(REJECTED)、および「暫定」(INTERIM)がある。ステータス(STATUS)コマンドに対するレスポンスには、「実装されていない」(NOT IMPLEMENTED)、「拒絶」(REJECTED)、「移行中」(IN TRANSITION)、および「安定」(STABLE)がある。コマンドのサポートの有無を外部から問い合わせるコマンド(GENERAL INQUIRYおよびSPECIFIC INQUIRY)に対するレスポンスには、「実装されている」(IMPLEMENTED)、および「実装されていない」(NOT IMPLEMENTED)がある。状態の変化を外部に知らせるよう要求するコマンド(NOTIFY)に対するレスポンスには、「実装されていない」(NOT IMPLEMENTED)、「拒絶」(REJECTED)、「暫定」(INTERIM)および「変化した」(CHANGED)がある。
サブユニットタイプ(subunit type)は、機器内の機能を特定するために設けられており、例えば、テープレコーダ/プレーヤ(tape recorder/player ),チューナ(tuner )等が割り当てられる。同じ種類のサブユニットが複数存在する場合の判別を行うために、判別番号としてサブユニットID(subunit id)でアドレッシングを行う。オペレーションのコードであるオペコード(opcode)はコマンドを表しており、オペランド(operand )はコマンドのパラメータを表している。必要に応じて付加されるフィールド(dditionaloperands)も用意されている。オペランドの後には、0データなどが必要に応じて付加される。データCRC(Cyclic Redundancy Check)はデータ伝送時のエラーチェックに使われる。
図11は、AV/Cコマンドの具体例を示している。図11の(a)は、コマンドタイプ/レスポンスの具体例を示している。図中上段がコマンドを表しており、図中下段がレスポンスを表している。“0000”にはコントロール(CONTROL)、“0001”にはステータス(STATUS)、“0010”にはスペシフィックインクワイリ(SPECIFIC INQUIRY)、“0011”にはノティファイ(NOTIFY)、“0100”にはジェネラルインクワイリ(GENERAL INQUIRY)が割り当てられている。“0101乃至0111”は将来の仕様のために予約確保されている。また、“1000”には実装なし(NOT INPLEMENTED)、“1001”には受け入れ(ACCEPTED)、“1010”には拒絶(REJECTED)、“1011”には移行中(IN TRANSITION)、“1100”には実装あり(IMPLEMENTED/STABLE)、“1101”には状態変化(CHNGED)、“1111”には暫定応答(INTERIM)が割り当てられている。“1110”は将来の仕様のために予約確保されている。
図11の(b)は、サブユニットタイプの具体例を示している。“00000”にはビデオモニタ、“00011”にはディスクレコーダ/プレーヤ、“00100”にはテープレコーダ/プレーヤ、“00101”にはチューナ、“00111”にはビデオカメラ、“01010”にはBBS(Bulletin Board Subunit)と称される掲示板として使用されるサブユニット、“11100”には製造メーカ特有のサブユニットタイプ(Vender unique )、“11110”には特定のサブユニットタイプ(Subunit type extended to next byte )が割り当てられている。尚、“11111”にはユニットが割り当てられているが、これは機器そのものに送られる場合に用いられ、例えば電源のオンオフなどが挙げられる。
図11の(c)は、オペコード(オペレーションコード:opcode)の具体例を示している。各サブユニットタイプ毎にオペコードのテーブルが存在し、ここでは、サブユニットタイプがテープレコーダ/プレーヤの場合のオペコードを示している。また、オペコード毎にオペランドが定義されている。ここでは、“00h”には製造メーカ特有の値(Vender dependent)、“50h”にはサーチモード、“51h”にはタイムコード、“52h”にはATN、“60h”にはオープンメモリ、“61h”にはメモリ読出し、“62h”にはメモリ書込み、“C1h”にはロード、“C2h”には録音、“C3h”には再生、“C4h”には巻き戻しが割り当てられている。
図12は、AV/Cコマンドとレスポンスの具体例を示している。例えば、ターゲット(コンスーマ)としての再生機器に再生指示を行う場合、コントローラは、図12の(a)のようなコマンドをターゲットに送る。このコマンドは、AV/Cコマンドセットを使用しているため、CTS=“0000”となっている。ctype(コマンドタイプ)には、機器を外部から制御するコマンド(CONTROL)を用いるため、cタイプ=“0000”となっている(図11参照)。サブユニットタイプはテープレコーダ/プレーヤであることより、サブユニットタイプ=“00100”となっている(図11参照)。idはID0の場合を示しており、id=000となっている。オペコードは再生を意味する“C3h”となっている(図11参照)。オペランドは順方向(FORWARD)を意味する“75h”となっている。そして、再生されると、ターゲットは図12の(b)のようなレスポンスをコントローラに返す。ここでは、「受け入れ」(accepted)がレスポンスに入るため、レスポンス=“1001”となっている(図11参照)。レスポンスを除いて、他は図12(a)と同じであるので説明は省略する。
次に、本例の構成にてバスライン1に接続された1台の機器から、他の機器を調べる処理について説明する。この処理は、AV/Cコマンドに基づいた処理であり、ここでは図1に示すネットワーク構成で、テレビジョン受像機100から3台のビデオカメラレコーダ200,300,400について調べるものとする。なお、これら3台のビデオカメラレコーダは、ここではサブユニットタイプがテープレコーダ/プレーヤであるテープサブとなり、テープ記録・再生装置として認識される。
図13は、本例の機器認識処理例を示した図である。まず、テレビジョン受像機100内の中央制御ユニット141の制御により、ネットワーク上の機器認識処理を開始させる(ステップS11)。この認識処理が開始すると、バスライン1で接続された機器の中で、まだ未認識の機器があるか否か判断する(ステップS12)。ここで、未認識の機器がない場合には、ここでの処理を終了する。そして、未認識の機器がある場合には、テレビジョン受像機100のインターフェース部116からバスライン1を介してその未認識の機器に、サブユニットインフォステータスコマンド(SUBUNIT INFOステータスコマンド)を送信し(ステップS13)、そのコマンドに対するレスポンスを受信し、そのレスポンスの内容を中央制御ユニット141が判断する。ここで、受信されたレスポンスから、結果がテープサブユニットであるか否か判断する(ステップS14)。テープサブユニットでない場合には、ここでの認識処理を終了し、対応したサブユニットタイプの認識処理が行われる。このテープサブユニット以外の場合の処理は、ここでは特に説明しない。
そして、ステップS14でテープサブユニットであると判断した場合には、タイムコードステータスコマンドを該当する機器に対して送信する(ステップS15)。このコマンドに対するレスポンスを中央制御ユニット141は判断して、実装なし(NOT INPLEMENTED)(図11参照)であるか否か判断する(ステップS16)。ここで、実装なしでない場合(即ち実装されている場合)には、機器のタイプとして、DV方式又はHD方式のカメラレコーダ(カムコーダ)に仮決定する(ステップS17)。
また、ステップS16でレスポンスが実装なしである場合には、リラティブタイムカウンタステータスコマンドを該当する機器に対して送信する(ステップS18)。このコマンドに対するレスポンスを中央制御ユニット141は判断して、実装なし(NOT INPLEMENTED)であるか否か判断する(ステップS19)。ここで、実装なしでない場合(即ち実装されている場合)には、機器のタイプとして、M−MV方式のカメラレコーダ(カムコーダ)に仮決定する(ステップS20)。
また、ステップS19でレスポンスが実装なしである場合には、機器のタイプとして、その他のテープ機器(TAPE OTHER)に仮決定する(ステップS21)。
ここまでの判断処理が終了すると、仮決定処理を終了させる(ステップS22)。次に、テープデバイスの決定処理に移る。図14のフローチャートは、このテープデバイスの決定処理例を示した図である。通信制御のIEEE1394バスラインの制御層から中央制御ユニット141は機器の仮決定のデータが来ると(ステップS31)、図13のフローチャートに基づいて仮決定された機器(テープデバイス)が、M−MV方式,DV方式,HD方式のいずれかであるか否か判断する(ステップS32)。
ここで、これらいずれかの方式の機器であると仮決定された場合、これらの機器の表示上のカテゴリをカメラレコーダ(いわゆるカムコーダ:略称CAM)に決定する(ステップS33)。また、ステップS32でこれらの機器でないと判断した場合には、その他のテープ機器(TAPE OTHER)に仮決定されたか否か判断する(ステップS34)。ここで、その他のテープ機器に仮決定された場合には、機器カテゴリをその他のテープ機器に決定する(ステップS35)。さらに、その他のテープ機器以外に仮決定された場合には、機器カテゴリとして、不明(UNKNOWN)に決定する(ステップS36)。ここまでの処理が終了すると、決定した再生専用テープデバイスを登録させて、決定処理を完了させる(ステップS37)。
ステップS33でカメラレコーダとして決定した場合には、機器選択を行う画面上では、機器をカメラレコーダ(CAM)として表示させる。但し実際にはM−MV方式,DV方式,HD方式のいずれかであることを認識していて、機器の動作制御を行う画面などを表示させて、それぞれの機器のテープ再生などを指示するコマンドを発行する際には、それぞれの機器の方式に適したコマンドを使用する。また、これらの機器から伝送されるビデオデータなどをデコーダする際に、その方式に適したデコード方式を設定するようにしてある。その他のテープ機器として認識された場合には、基本的にその機器から伝送されるビデオデータ,オーディオデータのデコードを行って、視聴することは可能であるが、その機器にコマンドを送って動作を制御することはできない。
図15は、このようにして機器のカテゴリが決定した場合の、機器選択を行うための画面の表示例を示した図である。この画面は、例えば受像機100の表示部126に、テレビジョン放送の受像画面などに重畳されて表示される。機器選択画面10としては、選択したカテゴリ(ここではテープ再生機器)での機器の一覧表示が行われる。ここでは、図1に示したネットワーク構成を想定しているので、3台のカメラレコーダ200,300,400があり、CAM−1との表示11、CAM−2との表示12、CAM−3との表示13の3台の表示が、画面の左側に一覧表示として行われている。
この中で、選択された機器(ここではCAM−1と表示された機器)の操作画面の表示14が中央にあり、リモートコントロール装置のカーソル操作などで、操作画面中のいずれかのボタンを選択することで、該当する動作を指示するコマンドが、その機器に対して発行されることになる。またここでは、選択された機器の機種名の表示15を行うようにしてある。この機種名のデータについては、AV/Cコマンドでの機器認識時に、相手の機器から送られるデータの中に機種名が付加されていて、そのデータを利用して表示させる。この機種名が表示されることで、CAM−1,CAM−2,CAM−3と表示された機器がどの機器に対応するのか、ユーザには表示から容易に判断できる。
選択された機器の操作画面の表示14としては、実際に判断した詳細な機器カテゴリにより、特殊な機能を有したり、或いは機能に制限があるカテゴリの場合、その機能に対応して、操作画面で表示させるボタンなどを対応して変更して表示させる。
そして、この機器選択画面で機器が選択されて、その機器からの再生を行う操作が行われた場合に、その機器からバスラインを介して伝送されたデータを受信して、テレビジョン受像機100で視聴させるような入力切換え処理が実行される。
なお、図15の表示例では、テープ再生機器の一覧表示時に、3台の機器をCAM−1,CAM−2,CAM−3と、同一名称の機器として表示させたが、一覧中で機種の方式などが判る表示を行うようにしても良い。例えば図16に示すように、機器選択画面20の機器一覧表示として、M−MV方式のカメラレコーダであることを示すM−MV1との表示21、DV方式のカメラレコーダであることを示すDV1との表示22、HD方式のカメラレコーダであることを示すHD−CAM1とのとの表示23の、3台の表示を行うようにしても良い。操作画面の表示24と、機種名表示25については、図15の例と同じである。
この図15或いは図16に示すような機器選択画面が表示されることで、ユーザはテープ再生機器を選択する場合(本例ではカメラレコーダ)、バスラインに接続された機器が異なるフォーマットの機器であり、AV/Cコマンド上は本来別のカテゴリの機器として扱う必要のある機器が、一覧画面上で一覧表示されることになり、ユーザは簡単に所望の機器を選択できることになる。また、表示上は同じカテゴリの機器として表示されるが、ネットワーク上では別のカテゴリの機器として正しく認識されているので、別々のカテゴリの機器として表示させた場合と同様に、それぞれの機器を正しく制御することが可能である。なお、図15,図16いずれの場合も、機器選択画面の表示形態は一例を示したものであり、このような形状の表示に限定されるものではない。
また、ここまでの説明では、テープ再生機器のカテゴリの場合を例にしたが、その他のカテゴリの機器の場合にも、同様の処理を適用することができることは勿論である。また、上述した実施の形態では、IEEE1394方式のネットワークで接続された機器を、AV/Cコマンドで制御する場合の処理について説明したが、その他のネットワーク方式や機器制御方式に本発明の処理を適用することも可能である。この場合、ネットワーク方式としては、IEEE1394方式のような有線のバスラインで接続させる方式だけでなく、Bluetooth (商標)などの無線通信を行うネットワーク方式にも適用可能である。
1…IEEE1394方式のバスライン、91,92,93…AVデバイス、100…テレビジョン受像機、101,102…アンテナ接続端子、103…外部入力端子、104…ポート、111…アナログチューナ、112…デジタルチューナ、113…BSチューナ、114…デマルチプレクサ、115…アナログ/デジタル変換器、116…IEEE1394方式用インターフェース部、121…ビデオデコーダ、122…ミキサ、123…表示用データ処理部、124…デジタル/アナログ変換器、125…表示駆動部、126…映像表示部、127…GUIデータ生成部、131…オーディオデコーダ、132…デジタル/アナログ変換器、133L,133R…アンプ、134L,134R…スピーカ、141…中央制御ユニット、142…操作部、143…赤外線受光部、200…ビデオカメラレコーダ、201…光学系、202…撮像素子、203…撮像処理部、204…アナログ/デジタル変換器、205…ビデオエンコーダ、206…マルチプレクサ、207…記録・再生処理部、208…回転ヘッドドラム、209…テープ走行系、211…マイクロホン、212…アンプ、213…アナログ/デジタル変換器、214…オーディオエンコーダ、221…中央制御ユニット、222…IEEE1394方式用インターフェース部、223…ポート、224…操作部、230…テープカセット、300,400…ビデオカメラレコーダ