JP4419392B2 - 演奏データ処理装置および演奏データ処理方法を実現するためのプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、演奏データの発音特性を自動的に変更する演奏データ処理装置および演奏データ処理方法を実現するためのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、演奏データの発音特性を変更する演奏データ処理装置として、目的の演奏データに対して、マニュアル入力により、既に設定されているパラメータの値を修正したり、新たなパラメータを追加したりして、当該演奏データから再生される、機械的で無表情な演奏に表情(自然な演奏、美しい演奏、生々しい演奏等の音楽的表現)を付加できるようにしたものが知られている。
【0003】
しかし、このような演奏データ処理装置では、修正したり追加したりすべきパラメータをユーザが自ら選択し、その値を決定しなければならず、特にユーザが初心者である場合には、好みの表情を付加するためのパラメータを選択し、その表情に最適なパラメータ値を決定することは困難であり、また、パラメータ値をマニュアルで入力すること自体が煩わしい作業となる。
【0004】
したがって、初心者を含む、幅の広いユーザが、演奏データに対して簡単に表情付けを行えるようにするには、自動的に表情付けを行っても違和感なく行える部分については、できるだけ自動的に行う方が望ましい。
【0005】
そこで、演奏データに自動的に表情付けを行うようにした演奏データ処理装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−229564号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の演奏データ処理装置では、同じ条件で表情付けを行うと、表情付けを何度繰り返したとしても、演奏データに付加される表情は変化しないので、やはり機械的な表情付けとなってしまう。これに対して、条件を無視して、ランダムに表情付けを行うことも考えられるが、これでは、設定した条件は意味をなさず、ユーザの意図する傾向の表情を演奏データに付加することはできない。
【0008】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、機械的でなく、かつユーザの意図通りの傾向の表情を演奏データに自動的に付加することが可能となる演奏データ処理装置および演奏データ処理方法を実現するためのプログラムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の演奏データ処理装置は、演奏データの個々の発音特性の加工の仕方をそれぞれ指示する指示要素複数からなる加工基準データを生成する生成手段と、前記演奏データのそれぞれについて当該演奏データの属する小節の小節線からの位置を検出し、前記加工基準データの前記複数の指示要素のうち、前記検出された位置に対応するものに基づいて、当該演奏データの発音特性を加工処理する加工処理手段と、前記加工基準データの前記複数の指示要素のそれぞれについて、前記加工処理手段での発音特性の加工に用いるかどうかをランダムに決定する決定手段と、前記ランダムの程度を制御する制御手段と、前記加工基準データのパターンと、前記演奏データのうち、当該加工基準データを適用する一部演奏データのパターンとを小節単位で比較する比較手段とを有し、前記決定手段は、前記制御されたランダムの程度で、前記複数の指示要素のそれぞれについて、前記加工処理手段での発音特性の加工に用いるかどうかを決定し、前記加工処理手段は、前記演奏データに前記加工基準データを適用するときに、前記比較手段により、当該加工基準データのパターンとそれを適用する一部演奏データのパターンとを比較し、両パターンが一致する一部演奏データについては、当該加工基準データをそのまま適用する一方、両パターンが一致しない一部演奏データについては、当該加工処理手段での発音特性の加工に用いることが決定された指示要素に基づいて、その発音特性を加工することを特徴とする。
【0010】
また、請求項1の演奏データ処理装置において、前記制御手段は、所定範囲内の乱数を発生する発生手段と、前記所定範囲内の一部領域を任意に拡大または縮小して設定する設定手段とからなり、前記決定手段は、前記発生手段によって発生された乱数が前記設定手段によって設定された領域に含まれるか否かに応じて、前記加工処理手段での発音特性の加工に用いるかどうかを決定することが好ましい。
【0011】
さらに、請求項1または2のいずれかの演奏データ処理装置において、前記決定手段によって使用態様が決定されない、少なくとも一部要素を前記加工基準データ内に設けることが好ましい。
【0012】
またさらに、請求項1または2のいずれかの演奏データ処理装置において、前記使用態様は、当該要素をそのまま使用する態様または当該要素を変更して使用する態様のいずれかであることが好ましい。
【0013】
また、請求項3に記載のプログラムは、請求項1と同様の技術的思想によって実現できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る演奏データ処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0016】
同図に示すように、本実施の形態の演奏データ処理装置は、文字入力用キーボード、マウス等のポインティングデバイスおよび各種スイッチ等の複数の操作子からなる操作子群1と、該操作子群1の各操作子の操作状態を検出する検出回路2と、装置全体の制御を司るCPU3と、該CPU3が実行する制御プログラムや、各種テーブルデータ等を記憶するROM4と、演奏データ、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM5と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや、各種演奏データ、各種データ等を記憶する外部記憶装置6と、各種情報等を表示する、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)および発光ダイオード(LED)等を備えた表示装置7と、外部MIDI(Musical Instrument Digital Interface)機器100等の外部機器を接続し、この外部機器とデータの送受信を行う通信インターフェース(I/F)8と、上記記憶された演奏データ等を楽音信号に変換する音源回路9と、該音源回路9からの楽音信号に各種効果を付与するための効果回路10と、該効果回路10からの楽音信号を音響に変換する、たとえば、DAC(Digital-to-Analog Converter)やアンプ、スピーカ等のサウンドシステム11とにより構成されている。
【0017】
上記構成要素2〜10は、バス12を介して相互に接続され、通信I/F8には外部MIDI機器100が接続され、音源回路9には効果回路10が接続され、効果回路10にはサウンドシステム11が接続されている。
【0018】
外部記憶装置6としては、たとえば、フレキシブルディスクドライブ(FDD)、ハードディスクドライブ(HDD)、CD−ROMドライブおよび光磁気ディスク(MO)ドライブ等を挙げることができる。そして、外部記憶装置6には、前述のように、CPU3が実行する制御プログラムも記憶でき、ROM4に制御プログラムが記憶されていない場合には、この外部記憶装置6に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM5に読み込むことにより、ROM4に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU3にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。
【0019】
通信I/F8には、図示例では、外部MIDI機器100が接続されているが、これに限られず、たとえばLAN(Local Area Network)やインターネット、電話回線等の通信ネットワークを介して、サーバコンピュータが接続されるようにしてもよい。この場合、外部記憶装置6に上記各プログラムや各種パラメータが記憶されていなければ、通信I/F8は、サーバコンピュータからプログラムやパラメータをダウンロードするために用いられる。クライアントとなるコンピュータ(本実施の形態では、演奏データ処理装置)は、通信I/F8および通信ネットワークを介してサーバコンピュータへとプログラムやパラメータのダウンロードを要求するコマンドを送信する。サーバコンピュータは、このコマンドを受け、要求されたプログラムやパラメータを、通信ネットワークを介してコンピュータへと配信し、コンピュータが通信I/F8を介して、これらプログラムやパラメータを受信して外部記憶装置6に蓄積することにより、ダウンロードが完了する。
【0020】
なお、本実施の形態の演奏データ処理装置は、上述の構成から分かるように、汎用的なパーソナルコンピュータ上に構築されたものであるが、これに限らず、本発明を実施できる最小限要素のみから構成した専用装置上に構築してもよい。
【0021】
以上のように構成された演奏データ処理装置が実行する制御処理を、まずその概要を説明し、次に図2〜図6を参照して詳細に説明する。
【0022】
本実施の形態の演奏データ処理装置は、演奏データがギターのコードストローク奏法を模して作成されている場合に、その演奏データの一部をミュート演奏で置き換える(間引く)ことにより、コードストローク奏法に対する表情付けを行うようにしたものである。
【0023】
具体的には、図5(a)に示すような1小節分のミュートパターンを選択し、このミュートパターンを、図5(b)に示すような演奏データに1小節毎適用して行くことで、図5(c)および(d)に示すような表情付けを演奏データに施すことができる。このとき、ミュートパターンをそのまま適用すると、図5(c)のような表情付けとなり、表情付け後の演奏データは、各小節内では適切な表情付けとなっているものの、全体としては、各小節毎に同じパターンが繰り返され、機械的であるので、適切な表情付けとは言い得ない。そこで、本実施の形態では、ランダムの程度を設定できるようにし、このランダムの程度に応じて、ミュートパターンの適用を制御するようにしている。図5(d)は、ランダムの程度を25%(完全ランダムを100%としている)に設定した場合の表情付け結果の一例を示している。すなわち、図5(d)の表情付け結果は、その第1小節と第2小節とで、ミュート位置が異なっているが、その発生確率は、各小節毎に1/8となっており、大半(7/8)はミュートパターンがそのまま適用されている。
【0024】
このように、本実施の形態では、ミュートパターンの傾向を残しながら、演奏データに表情を付与することができるので、機械的でなく、かつユーザの意図通りの傾向の表情を演奏データに自動的に付加することができる。
【0025】
もちろん本実施の形態では、ランダムの程度を任意に設定できるため、完全ランダムにすることも、非ランダムにすることもできる。前者の場合では、ミュートパターンの傾向は完全になくなるので、機械的ではないものの、音楽的でもなくなり、ユーザの意図通りの表情付けとはならない。これに対して、後者の場合では、ミュートパターンの傾向がそのまま出てしまい、上述のように、曲全体として見たときには、機械的な表情付けとなり、これもユーザの意図通りの表情付けとはならない。両者とも極端な場合であり、そのような設定が可能であることを意味するに過ぎない。
【0026】
次に、この制御処理を詳細に説明する。
【0027】
図2は、本実施の形態の演奏データ処理装置、特にCPU3が実行するメインルーチンの手順を示すフローチャートである。
【0028】
同図において、まず、RAM5をクリアしたり、各種パラメータの値をデフォルト値に設定したりする等の初期化処理を実行する(ステップS1)。
【0029】
次に、前記操作子群1の各操作子の操作に応じて、本装置の各種設定を行ったり、演奏データの各種処理を行ったりする操作子処理サブルーチン(その詳細は、図3に基づいて後述する)を実行し(ステップS2)、RAM5の所定領域に確保された自動演奏データ格納領域に格納された演奏データを自動演奏する自動演奏処理を実行し(ステップS3)、該自動演奏処理よって発生したイベントに基づいて各種パラメータを生成し、該生成した各種パラメータを前記音源回路9に出力するとともに、音源回路9に対して発音を指示することにより音源回路9から対応する楽音信号を発生させ、効果回路10に対してユーザが選択した効果を付与するための指示を行うことにより、この楽音信号に当該効果を付与して、前記サウンドシステム11に出力し、該サウンドシステム11から楽音を発生させる楽音発音処理を行った(ステップS4)後、前記ステップS2に戻って、上述の処理を繰り返す。
【0030】
図3は、上記操作子処理サブルーチンの詳細な手順を示すフローチャートであり、本操作子処理サブルーチンは、次の4種類の処理を行うことができるように構成されている。すなわち、
(1)表情付け処理
(2)演奏関連処理
(3)曲変更処理
(4)その他処理
である。
【0031】
図3において、まず、操作子群1のいずれかの操作子が操作されたときには、その操作子が、表情付け処理を指示するためのものである場合には、ステップS13〜S18の処理、すなわち上記(1)表情付け処理を実行し、演奏関連を指示するためのものである場合には、ステップS20〜S24の処理、すなわち上記(2)演奏関連処理を実行し、曲の変更を指示するためのものである場合には、ステップS26およびS27の処理、すなわち上記(3)曲変更処理を実行し、その他の処理を指示するためのものである場合には、ステップS28の処理、すなわち上記(4)その他処理を実行する。
【0032】
ステップS13では、表示装置7上に表情付けメニューを表示し、ステップS14では、表情付けメニューの中からユーザが選択した表情付け範囲と表情付け種類を受け付ける。そして、ユーザが、表情付け種類として「間引きミュート処理」を選択したときには、図4を用いて後述する間引きミュート処理サブルーチンを実行する(ステップS15→S16)一方、その他の表情付け種類を選択したときには、その他の表情付け処理を実行する(ステップS15→S17)。表情付け後の演奏データは、元の演奏データ、つまり表情付け対象の演奏データと置き換えて記録し直すととともに、前記自動演奏データ格納領域に格納する(ステップS18)。なお、表情付け後の演奏データと元の演奏データとの差分を取り、その差分データを元の演奏データに対応付けて記録するようにしてもよい。この場合、自動演奏データ格納領域には、表情付け後の演奏データをそのまま格納するようにしてもよいし、あるいは、表情付け後の演奏データを自動演奏するときに、元の演奏データのみを格納し、この演奏データを読み出しながら、対応する差分データで修正した後、発音するようにしてもよい。
【0033】
上記(2)演奏関連処理としては、たとえば、表情付けを行った演奏データを再生する処理(ステップS20→S21)、その再生を停止する処理(ステップS20→S22→S23)、その他の処理(ステップS20→S22→S24)がある。
【0034】
また、曲の変更が指示されると、その変更指示を受け付け(ステップS26)、その曲データ(演奏データ)を読み出して種々の情報を表示させる(ステップS27)。
【0035】
図4は、上記間引きミュート処理サブルーチンの詳細な手順を示すフローチャートである。
【0036】
同図において、まず、前記外部記憶装置6からミュートパターンを示すテンプレートを複数種類読み出して、前記RAM5の所定領域に保存した後、表示装置7上に表示するとともに、テンプレートの指示内容を採用する割合を規定する採用率の設定画面を表示する(ステップS31)。ここで、表示されるテンプレートには、ユーザがその指示内容を修正できるものも含まれ、ユーザは、このテンプレートを選択して、ミュートパターンを自由に設定することができる。図5(a)は、表示された複数のテンプレートから選択された、ある1つのテンプレートを示すものであるが、このように、テンプレートそのものを表示するのではなくて、テンプレートを選択するための条件、たとえば、ミュートを行う箇所の多少や、その分布状態(1小節の前半に多く存在するか、後半に多く存在するか)等を設定できるようにし、設定された条件に基づいて、いずれかのテンプレートを自動的に選択するようにしてもよい。また、採用率は、前記ランダムの程度の逆に相当し、たとえば%(完全ランダムを0%とし、非ランダムを100%とする)で設定する。
【0037】
次に、ユーザがテンプレート(または条件)と採用率を入力すると、これを受け付ける(ステップS32)。ユーザは、表示された複数のテンプレートのうちの任意のもの、またはユーザ設定可能なものを選択するとともに、所定小節毎にテンプレートを切り替えて用いるときの切り替え態様を選択する。テンプレートの切り替えの態様としては、切り替えなし(同じテンプレートを繰り返して使う)、ユーザが設定した順序で切り替えての使用、ユーザが選択した複数のテンプレートをランダムに切り替えての使用、ユーザが選択した複数のテンプレートを使用し終えると、最初に戻るのではなく、その途中の、ある決まった、またはランダムに選択されたテンプレートに戻る等の態様が考えられる。
【0038】
そして、ステップS32で受け付けた情報に基づいて、テンプレートと基準値を生成する(ステップS33)。テンプレートは、上述のように、ユーザ設定可能なものが選択された場合には、ユーザが入力した設定状態に応じて生成され、また、切り替え態様として、「切り替えなし」以外のものが選択された場合には、その設定態様に応じて、前記図3のステップS14によって入力された表情付け範囲内の演奏データ全体に亘って適用されるテンプレートが生成される。また、基準値は、上記入力された採用率に応じて生成される。基準値は、後述するように、発生した乱数が基準値を超えたときに、テンプレートの対応する位置の指示内容を、対応する位置の演奏データに適用する一方、発生した乱数が基準値以下のときに、テンプレートの対応する位置の指示内容を反転した指示内容を、対応する位置の演奏データに適用するためのものである。発生する乱数の範囲が、たとえば、0から255までの整数値(8ビットで表現できる値)であるとし、採用率が75%に設定された場合には、基準値は、128×(100−75)/100−1=31となる。基準値が“0”のときには、発生した乱数はすべて基準値を超える(厳密には、乱数が“0”のときには、基準値“0”を超えないが、このときでも超えているとみなす)ので、非ランダム(採用率=100%)となり、基準値が“127”のときには、発生した乱数は1/2の確率で“127”を超えるので、完全ランダム(採用率=0%)となる。つまり、採用率が100〜0%の範囲で、基準値は0〜127の範囲の値となる。
【0039】
次に、読み出しポインタ(図示せず)が示す位置の演奏データを読み出し、その演奏データの小節線(該演奏データを含む小節の先頭の小節線)からの位置を検出し(ステップS34)、乱数を発生し(ステップS35)、発生した乱数が上記基準値を超えたときには、検出した位置に対応するテンプレートの指示内容(情報)を読み出し、この情報で、検出位置の演奏データの発音特性を処理する(ステップS37)一方、発生した乱数が上記基準値以下のときには、検出した位置に対応するテンプレートの指示内容(情報)を読み出し、この情報を反転した情報で、検出位置の演奏データの発音特性を処理する(ステップS38)。そして、上記処理された、検出位置の演奏データの発音特性を記録し(ステップS39)、上記ステップS34〜S39の処理を、すべての演奏データ(ノートオンイベント)について行った(ステップS40→S41→S34)後、修正した演奏データに従って曲データを生成する(ステップS40→S42)。
【0040】
図5は、上記間引きミュート処理を説明するための図であり、(a)は、選択されたテンプレートを示し、(b)は、表情付け対象として選択された演奏データを示し、(c)は、採用率を100%としたときの表情付け後の演奏データを示し、(d)は、採用率を75%としたときの表情付け後の演奏データを示している。
【0041】
採用率を100%に設定した場合、つまり、基準値を“0”にした場合、上述のように、発生した乱数はすべて基準値を超えるので、(c)に示すように、(a)のテンプレートでの指示内容がすべてそのまま、対応する演奏データに適用される。
【0042】
一方、採用率を75%に設定した場合、つまり、基準値を“31”にした場合、発生した乱数は、1−(31+1)/256=7/8の確率で基準値を超えるので、(d)に示すように、(a)のテンプレートでの指示内容の大半がそのまま、対応する演奏データに適用されるものの、少数の指示内容が反転されて、対応する演奏データに適用される。
【0043】
このように、本実施の形態では、テンプレートの指示内容そのものではなく、ランダム性を考慮して変更した指示内容を演奏データに適用したので、機械的でない表情を演奏データに付加することができ、さらに、ランダム性の程度を設定するようにしたので、ユーザの意図通りの傾向の表情を演奏データに付加することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、テンプレートの指示内容のそれぞれについて、すべて同様の確からしさで、乱数と基準値に応じた制御を行うようにしたが、これに限らず、テンプレートの所定位置の指示内容は、乱数と基準値に応じた制御を行わず、対応する演奏データにそのまま適用されるようにしてもよい。図6は、この場合のテンプレートの一例((a))と、該テンプレートを用いて表情付けを行った演奏データの一例((b))を示す図である。同図(a)のテンプレート中の矢印は、その位置の指示内容を、乱数と基準値に応じた制御を行わずにそのまま適用することを意味している。このテンプレートを用いると、同図(b)に示すように、矢印で示される位置の指示内容は、対応する演奏データにそのまま適用される。このように、テンプレート中に、その指示内容をそのまま演奏データに適用する機能を追加するだけで、できるだけ音楽性を損なわずに、ランダム性のある表情を演奏データに付加することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、テンプレートの指示内容を、対応する演奏データに適用するときには、演奏データの形態に拘わらず、その指示内容をランダム性を考慮して変更した後、適用するようにしているが、これに限らず、テンプレートのパターンと同じパターンが演奏データ中に現れたときには、そのテンプレートの指示内容をそのまま当該演奏データに最優先して、つまりランダム性を考慮した制御に優先して適用するようにしてもよい。図7は、この場合のテンプレートの一例((a))と、該テンプレートを用いて表情付けを行った演奏データの一例((c))を示す図である。同図(a)のテンプレートの音符列のパターンと、同図(b)の演奏データの第2小節の音符列のパターンは同じであるので、同図(c)に示すように、(a)のテンプレートの指示内容が(b)の演奏データの第2小節にそのまま適用されている。しかし、(b)の演奏データの第1小節の音符列のパターンは、(a)のテンプレートの音符列のパターンと異なっているので、ランダム性を考慮した制御がなされている。このように、ランダム性を考慮した制御に優先して適用されるテンプレートを設定できるようにすると、ユーザの拘りに応じた表情を演奏データに付加することができる。そして、このようなテンプレートを数多く登録しておくと、ユーザの音楽性をより強く反映させた表情付けを行うことができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、テンプレートの指示内容をそのまま採用するか、変更して採用するかにランダム性を持たせているが、これに限らず、テンプレートの時間軸に対してランダム性を持たせるようにしてもよい。具体的には、テンプレートの全時間を100とし、そのうち、指示内容をそのまま採用する時間幅をランダム性を考慮して決定する。
【0047】
また、本実施の形態では、表情付けの例として、演奏データがギターのコードストローク奏法を模して作成されている場合に、その演奏データの一部をミュート演奏で置き換えることを挙げて説明したが、これは単に例示に過ぎず、本発明の特徴は、何らかの基準データに基づいて演奏データの発音特性を変更する際に、その基準データの適用にランダム性を持たせ、さらに、そのランダムの程度を制御できるようにしたことにある。
【0048】
なお、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPU3やMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0049】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0050】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。また、通信ネットワークを介してサーバコンピュータからプログラムコードが供給されるようにしてもよい。
【0051】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0052】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU3などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1または3に記載の発明によれば、演奏データに加工基準データを適用するときに、当該加工基準データのパターンとそれを適用する一部演奏データのパターンとが小節単位で比較され、両パターンが一致しない一部演奏データについてのみ、制御されたランダムの程度で発音特性の加工に用いることが決定された指示要素に基づいて、その発音特性が加工されるので、ランダム性を考慮した演奏データの発音特性の加工制御に優先して適用される加工基準データのパターンを設定できるようにすると、ユーザの拘りに応じた表情を演奏データに付加することができる。そして、このようなパターンを数多く登録しておくと、ユーザの音楽性をより強く反映させた表情付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る演奏データ処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の演奏データ処理装置、特にCPUが実行するメインルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図3】 図2の操作子処理サブルーチンの詳細な手順を示すフローチャートである。
【図4】 図3の間引きミュート処理サブルーチンの詳細な手順を示すフローチャートである。
【図5】 図4の間引きミュート処理を説明するための図である。
【図6】 他の表情付け処理を説明するための図である。
【図7】 さらに他の表情付け処理を説明するための図である。
【符号の説明】
1 操作子群(制御手段、設定手段),3 CPU(生成手段、加工処理手段、決定手段、制御手段、比較手段、発生手段、設定手段),4 ROM,5 RAM(生成手段),6 外部記憶装置(生成手段),7 表示装置,8 通信インターフェース,9 音源回路,10 効果回路,11 サウンドシステム
Claims (3)
- 演奏データの個々の発音特性の加工の仕方をそれぞれ指示する指示要素複数からなる加工基準データを生成する生成手段と、
前記演奏データのそれぞれについて当該演奏データの属する小節の小節線からの位置を検出し、前記加工基準データの前記複数の指示要素のうち、前記検出された位置に対応するものに基づいて、当該演奏データの発音特性を加工処理する加工処理手段と、
前記加工基準データの前記複数の指示要素のそれぞれについて、前記加工処理手段での発音特性の加工に用いるかどうかをランダムに決定する決定手段と、
前記ランダムの程度を制御する制御手段と、
前記加工基準データのパターンと、前記演奏データのうち、当該加工基準データを適用する一部演奏データのパターンとを小節単位で比較する比較手段と
を有し、
前記決定手段は、前記制御されたランダムの程度で、前記複数の指示要素のそれぞれについて、前記加工処理手段での発音特性の加工に用いるかどうかを決定し、
前記加工処理手段は、前記演奏データに前記加工基準データを適用するときに、前記比較手段により、当該加工基準データのパターンとそれを適用する一部演奏データのパターンとを比較し、両パターンが一致する一部演奏データについては、当該加工基準データをそのまま適用する一方、両パターンが一致しない一部演奏データについては、当該加工処理手段での発音特性の加工に用いることが決定された指示要素に基づいて、その発音特性を加工する
ことを特徴とする演奏データ処理装置。 - 前記制御手段は、所定範囲内の乱数を発生する発生手段と、前記所定範囲内の一部領域を任意に拡大または縮小して設定する設定手段とからなり、
前記決定手段は、前記発生手段によって発生された乱数が前記設定手段によって設定された領域に含まれるか否かに応じて、前記加工処理手段での発音特性の加工に用いるかどうかを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の演奏データ処理装置。 - 演奏データの個々の発音特性の加工の仕方をそれぞれ指示する指示要素複数からなる加工基準データを生成する生成手順と、
前記演奏データのそれぞれについて当該演奏データの属する小節の小節線からの位置を検出し、前記加工基準データの前記複数の指示要素のうち、前記検出された位置に対応するものに基づいて、当該演奏データの発音特性を加工処理する加工処理手順と、
前記加工基準データの前記複数の指示要素のそれぞれについて、前記加工処理手順での発音特性の加工に用いるかどうかをランダムに決定する決定手順と、
前記ランダムの程度を制御する制御手順と、
前記加工基準データのパターンと、前記演奏データのうち、当該加工基準データを適用する一部演奏データのパターンとを小節単位で比較する比較手順と
をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記決定手順では、前記制御されたランダムの程度で、前記複数の指示要素のそれぞれについて、前記加工処理手順での発音特性の加工に用いるかどうかを決定し、
前記加工処理手順では、前記演奏データに前記加工基準データを適用するときに、前記比較手順により、当該加工基準データのパターンとそれを適用する一部演奏データのパターンとを比較し、両パターンが一致する一部演奏データについては、当該加工基準データをそのまま適用する一方、両パターンが一致しない一部演奏データについては、当該加工処理手順での発音特性の加工に用いることが決定された指示要素に基づいて、その発音特性を加工する
ことを特徴とするプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003004378A JP4419392B2 (ja) | 2003-01-10 | 2003-01-10 | 演奏データ処理装置および演奏データ処理方法を実現するためのプログラム |
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