JP4418357B2 - データフィルタ、データフィルタリング方法、データフィルタリングプログラムおよび測位装置 - Google Patents

データフィルタ、データフィルタリング方法、データフィルタリングプログラムおよび測位装置 Download PDF

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本発明は、米国のGPS(Global Positioning System)をはじめとするGNSS(Global Navigation Satellite System)測位システムを利用するデータフィルタ、データフィルタリング方法、データフィルタリングプログラム、測位装置、測位方法および測位プログラムに関するものである。
GPS測位は、理想的な環境下ではスペックどおりの精度で測位が可能であるが、マルチパスが多く発生する環境下や、建物による測位信号の遮蔽がおきる場合は測位精度が大きく劣化する。このためGPS受信機の中にはマルチパス低減技術を実装し、擬似距離の測位精度劣化を一定範囲に抑えるように工夫しているものもある。しかし、ハードウェアの追加により受信機のサイズに制約が生じることやコストがよりかかるという問題が生じる。
ここで、これまでのGPS受信機に一般的に用いられているマルチパス低減技術について説明する。
マルチパスエラーには疑似距離マルチパス(Pseudorange multipath)と搬送波マルチパス(Carrier phase multipath)とがあるが、ここでは疑似距離マルチパスの低減技術について説明する。
良く知られているように、マルチパスによる誤差はGPS衛星からの直接波の他に、地面や建物からの反射波を同時に受信することによって発生する。マルチパスは常に存在し、観測精度を悪くするだけでなく、それが原因となって測位信号の捕捉を失うことすらある。また、高精度のDGPS(Differential GPS)受信機ではマルチパスが最も大きな誤差要因となることが多い。DGPSについては後述で説明する。
GPS受信機が疑似距離を算出する際、GPS受信機内部で生成したコード(L1測位信号のC/Aコードなど)と受信信号の相互相関を取ることによって測位信号の到着時刻を知り、疑似距離に換算する。その際、マルチパスが存在せず直接波だけ受信していれば、その相互相関関数の形状が自己相関関数の形状に一致し、正確にピークの位置を知ることができるため測位信号の正確な時刻同定が可能となる。
ところが、マルチパスが存在する場合、受信する測位信号の相互相関関数の形状は、直接波(図1(a))によるものとマルチパス波(図1(b))によるものとの重ねあわせ(図1(c))となる。このため、受信する測位信号の相互相関関数の形状は、直接波(図1(a))と比べ形状が崩れてしまいピーク位置もずれてしまう。これにより、そのずれ分が受信時刻誤差となり距離に換算されて疑似距離誤差となる。
GPS受信機の多くは、複数の相関器(correlator)を使うDLL(Delay Lock Loop)を実装してコードタイミングを測定しており、1.0 chip early−late correlator spacingと呼ばれる技術が一般的に使われていた。
この最も一般的であった技術に対してマルチパス誤差を減らす手法として以下のものが挙げられる。
[1]Narrow−Correlator technology
[2]Leading−Edge Techniques
[3]Correlation Function Shape−Based Methods(ELS method, MEDLLなど)
[4]Modified Correlator Reference Waveforms(strobe correlator)
[5]MMT Technology
例えば[1]Narrow Correlatorは、通常early correlatorとlate correlatorのspacingを1chip分にしていたものを、もっと少ない時間差(0.1chip分など)にしたもので、非常に簡単な原理で疑似距離誤差を低減できる。ただし、帯域幅が狭いと相関関数の形状が崩れて鈍化することから、Narrow Correlatorを使用するには帯域幅を確保し、それに見合った計算処理能力をGPS受信機が備える必要がある。
また、GPS受信機にマルチパス低減技術が使われるか使われないかにかかわらず、GPS受信機で得た擬似距離から精度の悪い擬似距離を特定する技術もある。その一つが、RAIM(Receiver Autonomous Integrity Monitoring)で使われているアルゴリズムをベースとした手法である。しかし、この手法には5衛星あるいはそれ以上の衛星の観測データがなければ使えないという制約がある。
今後、GPS受信機の性能向上のため、マルチパス低減技術の向上のほかに、GPS受信機の感度向上と信号補足時間(Acquisition time)の短縮が見込まれる。これにより、GPS衛星からの直接波が届かない場所でも、反射波だけでその信号を捕捉することが可能になる。このようなGPS受信機は高感度GPS受信機と呼ばれ、すでに実用段階に入っているものも存在する。また、欧州のGALILEO計画やロシアが運用するGLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)が計画どおりに執行されれば、28衛星(GPS)+30衛星(Galileo)+24衛星(GLONASS)の合計82機の測位衛星が利用可能になる。このような状況においては可観測衛星数が大幅に増えることから、精度が悪い観測データを使用しなくても測位計算が行える機会が増えることが予想される。
GPS受信機に関する技術として特許文献1がある。
特開2003−139843号公報
従来の技術では、RAIMベースのアルゴリズムを用いて精度の悪い擬似距離を除去する技術のほかに、測位信号のキャリアノイズ比CN0を基準に、測位に使う信号と使わない信号を区別する技術(特許文献1)、最小二乗法による測位計算にキャリアノイズ比を使って重み付けをする手法などがある。
ここで、RAIMのアルゴリズムは先に述べたように5衛星以上の観測データが必要であるので、観測衛星数が4以下の場合は擬似距離精度の悪い衛星を特定できない欠点がある。また、マルチパスが存在しても必ずしも測位信号のキャリアノイズ比が悪くなるとは限らない。よって、キャリアノイズ比が悪ければ擬似距離精度が低下していることが予想されるが、キャリアノイズ比がよいからといって必ずしも擬似距離精度が良いとは限らない。一般にマルチパスの存在による擬似距離精度の低下を、1エポックデータのキャリアノイズ比だけで判断するのは難しい。よって、キャリアノイズ比だけを判断基準とする手法が有効に働かない瞬間もあると予想される。
本発明は、上記の課題などを解決するためになされたもので、キャリアノイズ比によらず、1衛星の観測データに基づいて、その衛星との擬似距離が精度の悪いものか判定して測位計算できるようにする、つまり、精度の高い擬似距離を選択して測位計算できるようにすることを目的とする。
本発明のデータフィルタは、移動先で1以上の測位衛星から測位信号を受信して各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを算出する受信機と、地理情報を記憶するデータベースと、前記受信機の算出データから求められる受信機が測位信号を受信した位置と前記受信機の移動速度に関する情報とに基づいて測位する測位部とに接続し、前記受信機から各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを入力すると共に前記データベースから地理情報を入力する入力部と、前記受信機が測位信号を受信した位置と前記入力部が入力した各測位衛星の位置と地理情報とに基づいて、前記入力部が入力した各測位衛星との擬似距離がそれぞれ、直接的に測位衛星から受信機に届く測位信号を示す直接波に基づいて算出された擬似距離であるか否かを判定する擬似距離判定部と、前記擬似距離判定部が直接波に基づいて算出されたと判定した擬似距離を前記測位部に出力する出力部とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、地理情報を利用することで、例えば、キャリアノイズ比によらず、1衛星の観測データに基づいて、精度の高い擬似距離を選択して測位することができる。
実施の形態1.
GPSの測位方式は大きく分類するとコード測位とGPS測量(干渉測位とも呼ばれる)とに分けられる。コード測位ではC/A(Coarse/Acquisition)コードなどを利用し、GPS測量では搬送波位相積算値を利用する(GPSではC/Aコードの他にP(Precision又はProtected)コードもあるが秘匿操作によってYコードになっており民生用には開放されていない)。また、コード測位で使用する擬似距離(Pseudorange)を搬送波位相積算値で平滑化する手法などもあるが、これはコード測位に分類されると考える。実施の形態ではコード測位用のGPS受信機の使用を前提として説明を行う。
GPSによるコード測位では複数の衛星から直接波を受信して、直接波の到達時間をもとに各衛星から自分の位置までの擬似距離を算出し、算出した擬似距離をもとに自己位置を計算するのが基本である。この際、地表やビルによって反射した反射波を受信して測位を行ってしまうと擬似距離の精度が劣化し、測位精度が悪くなってしまう。そこで実施の形態1では、大きな誤差を持つ擬似距離データを3次元GIS(Geographic Information System)データを用いて予測する手法を提案する。
擬似距離データの誤差要因には、マルチパス、樹木やポールなどの障害物による回折、散乱などがある。通常は直接波にマルチパスが加わって誤差が増大するが、高感度GPSの場合はマルチパスだけで擬似距離を算出することもあるため、その場合は直接波との距離差分がそのまま測距誤差となる。
直接波とマルチパスを同時に受信するケースでは、マルチパス低減技術で誤差を軽減できる。しかし、前記の通り、必ずしも最適なマルチパス低減技術がGPS受信機に組み込まれているとは限らない。そのような場合は特に、マルチパスの存在を予測して、観測データの扱いをそれに応じて変えることが望ましい。
図2は、実施の形態1における測位装置10の構成図である。
実施の形態1における測位装置10の構成について、図2に基づいて以下に説明する。但し、測位装置10の構成は複数種類考えられ、図2は測位装置10の代表的な構成を示す。
測位装置10は以下のものを備える。
GPS衛星が発信したGPS測位を行うための測位信号を受信するGPSアンテナ1とGPS受信機2。
建物等の3次元地理情報(以下、3次元GISデータとする)を記憶管理するGISデータベース3。
GPSとの複合航法システムを構成するための慣性装置4。
GPS受信機2が受信した測位信号に基づく擬似距離を測位計算などに使用するかどうかを判断する観測データフィルタ5。
観測データフィルタ5の判断結果に基づいて測位を行う航法計算装置6。
GPS受信機2は、GPSアンテナ1からのRF(Radio Frequency)を受信してデジタルデータに変換する回路を備え、そのデジタルデータを使用して疑似距離、疑似距離変化率(または搬送波位相、ドップラー観測値)、測位結果、衛星軌道データ(GPS航法メッセージ中のエフェメリスデータあるいはアルマナックデータ)や、衛星軌道データに基づく各GPS衛星の位置などの測位関連情報を出力するものである。但し、GPS受信機2は、上記GALILEOやGLONASSで使用する受信機であっても構わない。
GPS衛星から発信される測位信号は、電離層や対流圏などの影響を受け伝搬速度が変化し、GPS受信機2が算出する擬似距離には誤差が含まれる。そこで、GPS受信機2は誤差情報を通信回線経由で取得することで擬似距離の精度を向上して測位精度を向上させることができる。このような誤差情報は、あらかじめGPSアンテナ1の位置が分かっているGPS受信機が受信した観測データに基づいて作成される。このような誤差情報に基づいてGPS測位精度を向上するための手法を一般にDGPSと呼ぶ。
DGPSには、測位結果に誤差情報を適用して補正するもの、衛星との擬似距離に誤差情報を適用して補正するものなどがある。本実施の形態では、擬似距離に誤差情報を適用して測位精度を上げるDGPSを使用する場合を説明する。但し、このDGPSはあくまで精度向上のための補助的手段であり、擬似距離に誤差情報を適用する以外の方法で誤差情報を利用しても構わないし、DGPSを実施しなくてもよい。
また、慣性装置4も無くてもよいが、今後自動車などで利用される航法システムにはMEMS INS(Micro Electro Mechanical System Inertial Navigation System)を利用した複合航法システムが採用される見込みが高いことから、代表的な構成として含めている。ここでMEMSとは半導体製造技術を用いて作製された微小な機能素子で、マイクロマシン、MST(Microsystem Technology)とも呼ばれる。
航法計算装置6は、GPS受信機2から擬似距離、搬送波位相、ドップラー周波数、キャリアノイズ比などの観測生データを取得し、慣性装置4からは加速度・レートなどの慣性データを取得し、航法フィルタを通して現在の自己位置、速度、方向などのデータを予測し出力する。通常、航法フィルタにはカルマンフィルタ(Kalman filter)が使われ、GPSの測位結果を利用する疎結合方式(loose coupling)と、擬似距離などの観測生データを使用する密結合方式(tight coupling)とがある。コード測位(GPSのL1測位信号のC/A codeによる疑似距離を使って自己位置を算出する測位方式)において、疑似距離を利用して測位計算を行う際、誤差分散値が小さな疑似距離観測値をより信頼して解を算出する方が測位精度を高くするため望ましい。そこで、航法計算装置6は、重みつき最小二乗法により測位計算を行う。
また、GISデータベース3は測位装置10が備えず外部装置であっても構わない。この場合、測位装置10は通信回線(図示しない)を通じて外部装置であるGISデータベース3から3次元GISデータを取得する。
図3は、実施の形態1における観測データフィルタ5の構成図である。
実施の形態1における観測データフィルタ5の構成について図3に基づいて以下に説明する。
観測データフィルタ5は以下のものを備える。
GPS受信機2が出力する測位関連情報とGISデータベース3が記憶管理する3次元GISデータを入力する入力部51。
自己位置を推定する自己位置推定部57。
入力部51が入力した測位関連情報と自己位置推定部57が推定した自己位置と3次元GISデータとに基づいて各測位衛星とGPSアンテナ1との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有るかの判定を行う遮蔽判定部53。
入力部51が入力した測位関連情報と自己位置推定部57が推定した自己位置と3次元GISデータとに基づいて各測位衛星が発信した測位信号をGPSアンテナ1に反射する点が有るかの判定を行う反射判定部54。
遮蔽判定部53と反射判定部54とを備え、各測位衛星との擬似距離がそれぞれ、直接波に基づいて算出された擬似距離か、反射波に基づいて算出された擬似距離か、直接波と反射波との合成波に基づいて算出された擬似距離かを判定する擬似距離判定部52。
擬似距離判定部52が反射波または合成波に基づいて算出されたと判定した擬似距離に対して航法計算装置6の測位計算における重要度を示す重み(誤差分散値)を設定する重み設定部55。
擬似距離判定部52が判定した直接波に基づいて算出されたと判定した擬似距離と反射波に基づいて算出されたと判定した擬似距離と合成波に基づいて算出されたと判定した擬似距離と重み設定部55が設定した重みとを航法計算装置6に出力する出力部56。
自己位置推定部57は、直前の自己位置を現在位置と推定する方法、カルマンフィルタを使ってダイナミクスに応じた自己位置を推定する方法、ジャイロなどを用いたデッドレコニングにより自己位置を推定する方法、航法計算装置6から自己位置推定値を取得する方法、GPS受信機2が測位した位置を用いる方法など、どのような方法で自己位置の推定を行っても構わない。
遮蔽判定部53は、GPSアンテナ1との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が無い測位衛星との擬似距離を直接波と合成波のいずれかに基づいて算出された擬似距離と判定し、GPSアンテナ1との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有る測位衛星との擬似距離を反射波と合成波のいずれかに基づいて算出された擬似距離と判定する。
反射判定部54は、測位信号をGPSアンテナ1に反射する点が無い測位衛星との擬似距離を直接波に基づいて算出された擬似距離と判定し、測位信号をGPSアンテナ1に反射する点が有る測位衛星との擬似距離を反射波に基づいて算出された擬似距離と判定する。
図4は、実施の形態1における測位装置10のハードウェア構成図である。
図4において、測位装置10は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)911を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続されている。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信ボード915は、FAX機、電話器、LAN、インターネット等に接続されている。
例えば、通信ボード915は情報入力部の一例であり、出力部の一例である。
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム(OS)921、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923は、CPU911、OS921により実行される。
上記プログラム群923には、実施の形態の説明において「〜部」、「〜機」、「〜装置」、「〜フィルタ」、「〜データベース」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、以下に述べる実施の形態の説明において、「〜を判定し」、「〜を判定した結果」、「〜を計算し」、「〜を計算した結果」、「〜を処理し」、「〜を処理した結果」のような表現で説明する結果情報が、「〜ファイル」として記憶されている。
また、以下に述べる実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータの入出力を示し、そのデータの入出力のためにデータは、磁気ディスク装置920、FD(Flexible Disk cartridge)、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)、その他の記録媒体に記録される。あるいは、信号線やその他の伝送媒体により伝送される。
また、実施の形態の説明において「〜部」、「〜機」、「〜装置」、「〜フィルタ」、「〜データベース」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
また、実施の形態を実施するプログラムは、磁気ディスク装置920、FD、光ディスク、CD、MD、DVD、その他の記録媒体による記録装置を用いて記憶されても構わない。
以下に、観測データフィルタ5の処理について説明する。
観測データフィルタ5は、航法計算装置6がGPS受信機2の受信した観測生データ(擬似距離)を利用するのかどうかを判定する。また、観測生データ(擬似距離)を利用する場合、航法計算装置6の測位計算における重要度の設定である重み付けを行う。
図5は、実施の形態1における観測生データ利用判定パターンを示すフローチャートである。
まず、測位装置10の利用形態に基づく観測生データの利用を判定する4つのパターンについて図5に基づいて以下に説明する。
判定パターンを判断する条件の一つは、「観測生データ(擬似距離)の数を極力4以下にしない(S101)」かどうかである。
この条件は、「とにかくそのエポックのデータで測位計算をできるようにしたいかどうか」を問うものである。そのエポックの擬似距離を4つ以上揃えて測位計算しなくても、デッドレコニング(推測航法)やカルマンフィルタを用いて位置を推測することができるため判断条件の一つとなる。
例えば、疎結合GPS/INS複合航法を使う場合では、GPSデータの誤差分散値が比較的小さくかつ正確に見積もれる状況であれば「YES」を選択して4つ以上の擬似距離に基づいて測位すれば良いし、誤差分散値が大きいと同時に不正確であれば「NO」を選択してINSのデータに基づいて位置を推測した方が良いこともある。
判定パターンを判断する条件のもう一つは、「マルチパス判定をする(S102、S105)」かどうかである。
受信した測位信号が直接波であるか反射波であるかを判定する方法には、衛星と測位装置10との間に建物などの遮蔽物が存在する場合に測位装置10の受信したその衛星の測位信号は直接波ではなく反射波であると判定する方法(遮蔽判定)がある。
但し、遮蔽物が存在しない場合に測位装置10の受信した測位信号には直接波の他に反射波(マルチパス)を含むこともある。この反射波(マルチパス)を含むかを判定するのがマルチパス判定である。
つまり、遮蔽判定のみを行うか、遮蔽判定とマルチパス判定とを共に行うかを判断する条件である。
上記2つの判断条件に基づく4つの判定パターンについて以下に説明する。
図6は、実施の形態1における判定パターン1の処理を示すフローチャートである。
まず、「擬似距離の数を極力4以下にしない」且つ「マルチパス判定をしない」場合(S103)の擬似距離の利用判定処理を図6に基づいて以下に説明する。
観測データフィルタ5は、以下の処理を行い、航法計算装置6がどの衛星の擬似距離を利用して測位処理を行うかを判定する。
まず、入力部51は、GPS受信機2が記憶部に記憶した観測生データ(擬似距離、衛星の位置など)、衛星軌道データ、受信時刻などを取得する(S201)。
次に、入力部51は、GISデータベース3から建物などの3次元GISデータを取得する(S202)。
次に、自己位置推定部57は自己位置の推定を行う(S203)。
次に、擬似距離判定部52は、前記観測生データから観測衛星情報を抽出し衛星の選択を行う(S204)。
以下、擬似距離判定部52は、S205〜S208の処理を全衛星に対して行う。
次に、遮蔽判定部53は、S201で取得した衛星の位置、S203で推定した自己位置、S202で取得した3次元GISデータを用いて遮蔽判定を行う(S205)。
遮蔽判定方法として二通りが考えられる。一つは天空図を利用する手法、もう一つは3次元座標空間において自己位置と衛星位置を結ぶベクトルが建造物などの障害物内を貫通するかどうかを逐一判断する手法である。
前者は3次元GISデータを天球面に投影し、それを2次元平面に投影した天空図を利用する。
図7は、実施の形態1における天空図である。図7において、右図が魚眼レンズで撮影したもので、左図がGISデータから作成した天空図である。この天空図と、衛星軌道データから計算される衛星の存在する方位角(azimuth)と仰角(Elevation)を利用して、その衛星の可視・不可視を判断する。
後者の方法では、ある建物によって衛星の測位信号が遮られる範囲を、S203で推定した自己位置とS202で取得した3次元GISデータとに基づいて計算する。例えば、自己位置から衛星位置への仰角をα、方位角をθとする。3次元GISデータにおいて建物の存在する範囲が、仰角eと方位角Bにより式1、式2のように表されるとする。このとき、式1、式2で示される範囲が測位信号の遮られる範囲となり、この範囲内に衛星位置が存在する(自己位置から衛星位置への仰角α、方位角θが入る)場合に衛星の測位信号が遮られると判断する。また、この範囲外に衛星位置が存在する場合には衛星の測位信号が遮られないと判断する。尤も、建物によって衛星の測位信号が遮られる範囲は、実際にはこのように単純な数式で表現することができず、図7に示したような複雑な形状を成す。そのような場合であっても、数式や図形データを用いて建物の存在する範囲を適宜天空図上で表現すれば良い。
次に、擬似距離判定部52は、S205で遮蔽判定した結果に基づいて処理を分岐する(S206)。
擬似距離判定部52は、遮蔽物が有ると判定した場合は、擬似距離の利用有無を示すフラグFuに、擬似距離を利用しないことを示す「0」を設定する(S207)。
遮蔽物が有る場合は、擬似距離が直接波ではなく反射波に基づくデータであると判断できるためである。つまり、擬似距離の精度が悪いため航法計算装置6の測位処理に利用しない。
また、擬似距離判定部52は、遮蔽物が無いと判定した場合は、フラグFuに擬似距離を利用することを示す「1」を設定する(S208)。
ここで、擬似距離判定部52は、全衛星に対する処理が終わっていなければS204に処理を分岐してS205〜S208の処理を繰り返す。また、全衛星に対して処理済みである場合はS210に処理を分岐する(S209)。
全衛星に対するS205〜S208の処理を終了後、重み設定部55は、擬似距離を利用することを示す「1」を設定したフラグFuの個数を判定する(S210)。
「1」を設定したフラグFuの個数が4以上である場合、出力部56はフラグFuに「1」を設定した擬似距離を航法計算装置6に出力して処理を終了する。
「1」を設定したフラグFuの個数が4未満である場合、重み設定部55は、まず「0」を設定したフラグFuに「1」を設定する(S211)。
そして、重み設定部55は、S211の処理でフラグFuに「1」を設定した擬似距離の重みを算出するための誤差分散σGISを計算する(S212)。
S211の処理でフラグFuに「1」を設定した擬似距離は精度が悪いので、擬似距離の誤差分散にσGISを加えることで、S208の処理でフラグFuに「1」を設定した精度の良い擬似距離に対して、測位処理における重みを低くすることができる。
但し、S211において「0」を設定したフラグFuの一部(例えば必要数分)に「1」をするようにしてもよい。
誤差分散σGISを計算後、出力部56はフラグFuに「1」を設定した擬似距離と誤差分散σGISを航法計算装置6に出力して処理を終了する。
ここで、S212で行う誤差分散σGISの計算処理について説明する。
擬似距離の精度に対する重みを測位結果に反映するには、重みつき最小二乗法によって測位計算を行う。この重みを下げるには誤差分散値を大きくすればよい。航法計算装置6が測位処理に使用する重みつき最小二乗法(後述で説明する)における重みは、重み行列C(Weight matrix)によって決定される。重み行列は疑似距離観測値誤差を衛星毎に見積もることによって得られる。疑似距離は衛星と観測者間の測位信号伝播時間を計測することによって得られるが、伝搬遅延などの計測誤差要因は複数あり、全計測誤差要因は式3で表される。
従って、全計測誤差の分散σD 2は式4で計算される。
GPS受信機のキャリアノイズ比CN0(Carrier noise ratio)を利用して重み行列を計算する手法があるが、これはトラッキングエラーの分散をGPS受信機の設計内容およびCN0に応じて計算して、全遅延量の分散σD 2に反映させる方法である。
これに対し実施の形態1では、3次元GISデータを使用して判定した遮蔽・マルチパスに対する誤差分散値σGIS 2を新たに追加する。遮蔽・マルチパスに対する誤差分散値σGIS 2を追加後の全遅延量の分散σD 2を式5に示す。
σGIS 2は各衛星の視線方向(LOS:Line Of Sight)に建造物などの障害物があると判断された場合は所与の値を設定する。例えば式6の計算によりσGIS 2の値を設定する。
σG 2はあらかじめ決めた一定値で、Fuはその観測生データ(擬似距離)を測位に利用するかどうかを示すフラグである。σG 2の値は、例えば以下のように設定することができる。
まず、直接波と反射波の両方を受信していると考えられる場合は、測距誤差UERE(User Equivalent Range Error)が5メートル程度であることを考慮してσG=5(すなわち、σG 2=25)とする。
また、反射波しか受信していないと考えられる場合は、擬似距離誤差が数十メートルから数百メートルになることを考慮してσG=100(すなわち、σG 2=10000)とする。
図8は、実施の形態1における判定パターン2の処理を示すフローチャートである。
「擬似距離の数を極力4以下にしない」且つ「マルチパス判定をする」場合(S104)の擬似距離の利用判定処理を図8に基づいて以下に説明する。
観測データフィルタ5は、以下の処理を行い、航法計算装置6がどの衛星の擬似距離を利用して測位処理を行うかを判定する。
図8においてS301〜S305及びS314は判定パターン1(図6)のS201〜S205及びS209と同じ処理である。
ここで、S306〜S312の処理を説明する。
遮蔽判定(S305)後、まず、反射判定部54は、衛星の位置、自己位置、3次元GISデータを用いてマルチパス判定を行う(S306)。
次に、擬似距離判定部52は、遮蔽判定(S305)とマルチパス判定(S306)の結果に基づいて処理を分岐する(S307、S308、S311)。
擬似距離判定部52は、「遮蔽物が有り且つマルチパスが有る」と判定した場合、この衛星との擬似距離は反射波に基づくデータであると判断できる為、フラグFuに擬似距離を利用しないことを示す「0」を設定する。また、遮蔽判定とマルチパス判定の結果を示すフラグFkに「遮蔽物が有り且つマルチパスが有る」ことを示す「1」を設定する(S309)。
擬似距離判定部52は、「遮蔽物が有り且つマルチパスが無い」と判定した場合、直接波、反射波共に受信できず擬似距離は算出されない為、フラグFuに「0」を設定する。また、フラグFkに「遮蔽物が有り且つマルチパスが無い」ことを示す「3」を設定する(S310)。
擬似距離判定部52は、「遮蔽物が無く且つマルチパスが有る」と判定した場合、この衛星との擬似距離は直接波の他に反射波にも基づくデータであると判断できる為、フラグFuに「0」を設定する。また、フラグFkに「遮蔽物が無く且つマルチパスが有る」ことを示す「4」を設定する(S312)。
擬似距離判定部52は、「遮蔽物が無く且つマルチパスが無い」と判定した場合、この衛星との擬似距離は直接波に基づくデータであると判断できる為、フラグFuに擬似距離を利用することを示す「1」を設定する。また、フラグFkに「遮蔽物が無く且つマルチパスが無い」ことを示す「2」を設定する(S313)。
ここで、マルチパス判定処理(S306)について説明する。
図9は、実施の形態1におけるマルチパス判定処理を示すフローチャートである。
反射判定部54は以下に説明する図9のフローによりマルチパス判定を行う。
まず、反射波を生成する可能性がある面の抽出を行う(S401)。
具体的には、S303で推定した自己位置とS301で取得した衛星軌道データに基づく衛星位置とS302で取得した3次元GISデータとに基づいて以下の(a)〜(d)の判定を行い、全ての条件を満たす面(3次元GISデータにおいて建物などを構成する面)を抽出する。
(a)面を構成する点が一つでも規定の距離内に入っている。
(b)その面を構成する点から自己位置までの間に遮蔽物がない。
(c)その面の外向きの法線ベクトル方向に衛星と観測者が両方居る。
(d)単純な平面である(曲面をもたない)。
但し、反射波を生成する可能性がある面を上記(a)〜(d)以外の条件に基づいて抽出しても構わない。
例えば、その時に観測者が移動している道路に面しているなどの制約条件をさらに付加してもよい。
次に、衛星からの測位信号が上記の面抽出で選択された面によって観測者の方向へ反射されるかどうかを判定する(S402)。
ここで、面は完全な平面を想定し、入射角と反射角は等しいものとする。
まず、面が持つすべての頂点と観測者を結ぶ方向を反射波の方向としたときの入射波の方向を計算する。面が持つ頂点が4つならば、入射波方向ベクトルは4つ計算される。
次に、これらの入射波方向ベクトルのazimuth/elevationを計算し、このazimuth/elevationをプロットした点で囲まれる領域を算出する。
この判定を行うのは、算出した領域に衛星位置プロットが入っていれば、その衛星からの測位信号がその面で反射されて観測者に到達する可能性があると判断できるためである。
次に、S402で算出した領域に衛星が位置しているかを判定する(S403)。
S402で計算した領域に衛星が入っていない場合は「マルチパス無し」として処理を終了する。
次に、S402で算出した領域に衛星が位置していると判定した場合、衛星の測位信号が面のどこの点で反射されるかを計算する(S404)。
次に、S404で算出した反射点と衛星間に遮蔽物がないかどうかの判定を行う(S405)。
判定方法は、S205(図6)で説明した観測者と衛星間の遮蔽判定の処理と同様である。
以上の処理によりS306(図8)のマルチパス判定処理を行う。
次に、S315〜S317の処理について説明する。
S315で、重み設定部55は、擬似距離を利用することを示す「1」を設定したフラグFuの個数を判定する。「1」を設定したフラグFuの個数が4以上であれば、出力部56はフラグFuに「1」を設定した擬似距離を航法計算装置6に出力して処理を終了する。
「1」を設定したフラグFuの個数が4未満であれば、重み設定部55は、「遮蔽物が有り且つマルチパスが有る」ことを示す「1」または「遮蔽物が無く且つマルチパスが有る」ことを示す「4」を設定したフラグFkに対応するフラグFuに「1」を設定する(S316)。
S317で、重み設定部55は、判定パターン1(図6)のS212と同様に誤差分散σGISを計算する。
但し、「1」または「4」を設定したフラグFkに対応するフラグFuの一部(例えば、フラグFkに「4」を設定したフラグFuを優先した必要数分)に「1」を設定するようにしてもよい。
誤差分散σGISを計算後、出力部56は、フラグFuに1を設定した擬似距離と誤差分散σGISを航法計算装置6に出力して処理を終了する。
次に、図5に示す判定パターン3(S107:「擬似距離の数が4以下でも構わない」且つ「マルチパス判定をしない」)の擬似距離の利用判定処理について説明する。
判定パターン3では、図6に示す判定パターン1のフローチャートにおいてS210〜S212の処理(利用する擬似距離の個数が4未満の場合に利用しないと判定した擬似距離を利用するようにフラグを設定する)を実行しない。その他の処理は図6に示す判定パターン1と同じである。
次に、図5に示す判定パターン4(S106:「観測生データの数が4以下でも構わない」且つ「マルチパス判定をする」)の擬似距離の利用判定処理について説明する。
判定パターン4では、図8に示す判定パターン2のフローチャートにおいてS315〜S317の処理(利用する擬似距離の個数が4未満の場合に利用しないと判定した擬似距離を利用するようにフラグを設定する)を実行しない。その他の処理は図8に示す判定パターン2と同じである。
判定パターン3や判定パターン4の使用は、具体的には密結合GPS/INS複合航法フィルタを使う場合を想定している。この場合には、計算に使える擬似距離の数(観測衛星数)が4を下回っても、航法フィルタ(カルマンフィルタ)は観測更新を行えるため、INSによる累積誤差を小さくすることができる。そのため、疎結合方式のGPS/INSよりも精度が良くなるのが普通である。従って密結合方式の場合は、航法フィルタが測位結果を利用する疎結合方式とは違い、建物等に遮蔽されていると判断された衛星を無理に使用する必要がない。
図10は、実施の形態1における判定パターン1および3を示す図である。
上記の通り、判定パターン1、判定パターン3はマルチパス判定を行わず、遮蔽判定で擬似距離を利用するか判定する。
図10において、遮蔽がある場合は、受信波が反射波であること、擬似距離を利用しない(判定パターン3)こと、擬似距離を利用する場合は誤差分散σGISに100(m)を設定する(判定パターン1)ことを示している(図10(1))。
また、遮蔽がない場合は、受信波が直接波および反射波であること、擬似距離を利用する(判定パターン1および3)ことを示している(図10(2))。
図11は、実施の形態1における判定パターン2および4を示す図である。
上記の通り、判定パターン2、判定パターン4は遮蔽判定とマルチパス判定とで擬似距離を利用するか判定する。
図11において、遮蔽がありマルチパスがある場合は、受信波が反射波であること、擬似距離を利用しない(判定パターン4)こと、擬似距離を利用する場合は誤差分散σGISに100(m)を設定する(判定パターン2)ことを示している(図11(1))。
また、遮蔽がなくマルチパスがない場合は、受信波が直接波であること、擬似距離を利用する(判定パターン2および4)ことを示している(図11(2))。
また、遮蔽がありマルチパスがない場合は、受信波が無いこと、擬似距離を利用できない(判定パターン2および4)ことを示している(図11(3))。
また、遮蔽がなくマルチパスがある場合は、受信波が直接波および反射波であること、擬似距離を利用しない(判定パターン4)こと、擬似距離を利用する場合は誤差分散σGISに5(m)を設定する(判定パターン2)ことを示している(図11(4))。
次に、観測データフィルタ5が利用すると判定した擬似距離と算出した重み(誤差分散σGIS)とに基づいて航法計算装置6が行う重みつき最小二乗法による測位処理について説明する。
まず、疑似距離の観測値は式7のように表される。
ここで、n衛星の観測値が得られている時、式7を点(X0,Y0,Z0)の周りでテイラー展開して式8を得る。
hot’sは繰り返し計算によって小さくすることができるので無視するものとする。また誤差の項Xを疑似距離観測値に含めて考えると、疑似距離残差をδρとして式9を得る。ここで式10〜式12を使用するものとする。
式9を解く際、δρiの誤差分散値σi 2を見積もることができていれば、δρの疑似距離観測値誤差の共分散行列Pが求められる。通常、それぞれの疑似距離観測値誤差の間には相関がないものとして、式13のように共分散行列Pを決めるからである。
共分散行列Pを用いて重み行列Cを式14で表す。
そして、式9を変形して式15により最小二乗解を得る。
σ0 2は分散ファクター(Variance factor, the variance of unit weight)である。
なお、この計算は最初に(X0,Y0,Z0)を適当に仮定して計算し、
のcΔtr以外の要素((X−X0)など)の値が十分小さな値に収束するまで繰り返し計算する。
分散ファクターの値は適当に決めて計算するが、その値が適切な値であれば、
分散ファクターの見積もり値は1に近くなる。分散ファクターの見積もり値は式16、式17で見積もられる。
ただし行列Hがm×n行列の場合とする。(m−n)は方程式の自由度となる。
を使えば、解
の分散値は式18のように見積もられる。
以上から、重みつき最小二乗法では式15、式18によって解とその分散値を得る。
ここで、観測データフィルタ5が算出したσGISに基づく分散σD 2(式5)は航法計算装置6で算出するものとする。
実施の形態1において、遮蔽判定または遮蔽判定とマルチパス判定により測位計算に使用する擬似距離の判定を行ったが、遮蔽判定を行わずマルチパス判定で測位計算に使用する擬似距離の判定を行っても構わない。
実施の形態1では、以下のようなことを説明した。
例えば、高感度GPS受信機においてマルチパスのみで測距を行っている場合は、擬似距離誤差は大きくなることから測位精度は悪くなる。この高感度GPS受信機は、測位結果を全く得られないよりは精度が悪くても自己位置を知ることができたほうが良い場面で使用される。
ここで、観測によって得た複数の擬似距離の中には精度のよいものもあるため、マルチパスのみで測距を行っている精度の悪いデータなのかそうではないのかを判断する基準が必要となる。
最も代表的な判断基準はキャリアノイズ比であるが、実施の形態1では3次元GISデータを利用した判断基準を以下のように提供した。
3次元GISデータを利用して、直接波の経路、すなわち衛星への視線方向(LOS)に建物がないかどうかを判断する。また、マルチパスを発生させる建物がないかどうかを判断する。もし、建物が存在すると判断される場合は、その衛星の観測データは反射波によるものである可能性が高いと判断する。
つまり、3次元GISデータを利用して精度の低い擬似距離を判断できることが、実施の形態1のポイントの1つである。
3次元GISデータを利用したマルチパスの判断処理では、衛星の信号を観測者の方へ反射する面が近くにないかどうかを判定した。そこで現在位置の推定値と衛星の位置を使用した。衛星、観測者、周囲の建造物の位置関係が分かれば、どの衛星からの測位信号がどのビルのどの面で反射されて観測者の方に到達するかを予測することが可能となるからである。
そして、マルチパス(反射波)に基づく擬似距離を測位計算に使用する場合に、誤差分散値を大きく設定して、重みつき最小二乗法による測位計算を行った。これにより、より精度の高い測位計算を行うことができる。これも実施の形態1のポイントの1つである。
実施の形態1で示した処理方法は、マルチパスである反射波を判断し、測位計算に使用しない又は測位計算における重みを下げることができることから、マルチパス除去技術ということもできる。
測位信号の相互相関関数を示す図。 実施の形態1における測位装置10の構成図。 実施の形態1における観測データフィルタ5の構成図。 実施の形態1における測位装置10のハードウェア構成図。 実施の形態1における観測生データ利用判定パターンを示すフローチャート。 実施の形態1における判定パターン1の処理を示すフローチャート。 実施の形態1における天空図。 実施の形態1における判定パターン2の処理を示すフローチャート。 実施の形態1におけるマルチパス判定処理を示すフローチャート。 実施の形態1における判定パターン1および3を示す図。 実施の形態1における判定パターン2および4を示す図。
符号の説明
1 GPSアンテナ、2 GPS受信機、3 GISデータベース、4 慣性装置、5 観測データフィルタ、6 航法計算装置、10 測位装置、51 入力部、52 擬似距離判定部、53 遮蔽判定部、54 反射判定部、55 重み設定部、56 出力部、57 自己位置推定部、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、923 プログラム群、924 ファイル群。

Claims (7)

  1. 移動先で1以上の測位衛星から測位信号を受信して各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを算出する受信機と、地理情報を記憶するデータベースと、疑似距離を入力して入力した疑似距離に基づいて前記受信機の位置を測位する測位部とに接続し、
    前記受信機から各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを入力すると共に前記データベースから地理情報を入力する入力部と、
    所定の方法により前記受信機の位置を推定する位置推定部と、
    前記位置推定部により推定された前記受信機位置と前記入力部が入力した各測位衛星の位置と前記入力部が入力した地理情報とに基づいて、前記入力部が入力した各測位衛星との擬似距離がそれぞれ、直接波に基づいて算出された擬似距離と、反射波に基づいて算出された疑似距離と、直接波と反射波との合成波に基づいて算出された疑似距離とのいずれであるか判定する擬似距離判定部と、
    前記擬似距離判定部により直接波に基づいて算出されたと判定された擬似距離を前記測位部に出力する出力部とを備え、
    前記擬似距離判定部は、
    前記受信機の位置と各測位衛星の位置と前記地理情報とに基づいて各測位衛星と前記受信機との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有るか否かを判定し、前記受信機との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が無い測位衛星との擬似距離を、直接波に基づいて算出された擬似距離と、合成波に基づいて算出された擬似距離とのいずれかと判定し、前記受信機との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有る測位衛星との擬似距離を反射波に基づいて算出された擬似距離と判定する遮蔽判定部と、
    前記受信機の位置と各測位衛星の位置と前記地理情報とに基づいて各測位衛星からの測位信号を前記受信機に反射する点が有るか否かを判定し、前記遮蔽判定部により直接波と合成波とのいずれかに基づいて算出されたと判定された疑似距離のうち、測位信号を前記受信機に反射する点が無い測位衛星との擬似距離を直接波に基づいて算出された擬似距離と判定し、前記遮蔽判定部により直接波と合成波とのいずれかに基づいて算出されたと判定された疑似距離のうち、測位信号を前記受信機に反射する点が有る測位衛星との擬似距離を合成波に基づいて算出された擬似距離と判定する反射判定部とを備える
    ことを特徴とするデータフィルタ。
  2. 前記反射判定部は、
    前記受信機位置と測位衛星の位置に基づいて、地理情報から、前記受信機と建物面との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が無い建物面であり建物面に対する法線ベクトル方向に測位衛星と前記受信機とが有る建物面を取得し、
    取得した建物面が測位信号を前記受信機に反射する場合の測位衛星の位置する範囲を算出し、
    算出した範囲内に少なくともいずれかの測位衛星が位置するか判定し、
    少なくともいずれかの測位衛星が前記範囲内に位置すると判定した場合、前記建物面内の点であって、前記範囲内に位置する測位衛星からの測位信号を前記受信機に反射する点を算出し、
    前記範囲内に位置する測位衛星と算出した点との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有るか否かを判定し、
    当該遮蔽物が無いと判定した場合、前記範囲内に位置する測位衛星からの測位信号を前記受信機に反射する点が有ると判定する
    ことを特徴とする請求項記載のデータフィルタ。
  3. 前記データフィルタは、さらに、
    前記擬似距離判定部により直接波に基づいて算出されたと判定された擬似距離の数特定数と比較し、直接波に基づいて算出されたと判定された擬似距離の数が特定数未満である場合に、前記疑似距離判定部により反射波と合成波とのいずれかに基づいて算出されたと判定された疑似距離に、直接波に基づいて算出されたと判定された疑似距離より低い重み付けを設定する重み設定部を備え、
    前記出力部は、前記疑似距離判定部により直接波に基づいて算出されたと判定された擬似距離と前記疑似距離判定部により反射波と合成波とのいずれかに基づいて算出されたと判定された擬似距離と前記重み設定部により設定された重み付けの情報とを前記測位部に出力し、前記測位部に、直接波に基づいて算出されたと判定された擬似距離と反射波と合成波とのいずれかに基づいて算出されたと判定された擬似距離とそれぞれの擬似距離に対する重み付けの情報とに基づいて前記受信機の位置を測位させる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のデータフィルタ。
  4. 前記重み設定部は、
    反射波に基づいて算出されたと判定された疑似距離に合成波に基づいて算出されたと判定された疑似距離より低い重み付けを設定する
    ことを特徴とする請求項3記載のデータフィルタ。
  5. 移動先で1以上の測位衛星から測位信号を受信して各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを算出する受信機から各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを入力し、
    地理情報を記憶するデータベースから地理情報を取得し、
    所定の方法により前記受信機の位置を推定し、
    前記受信機の位置と各測位衛星の位置と前記地理情報とに基づいて各測位衛星と前記受信機との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有るか否かを判定し、前記受信機との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が無い測位衛星との擬似距離を、直接波に基づいて算出された擬似距離と、合成波に基づいて算出された擬似距離とのいずれかと判定し、前記受信機との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有る測位衛星との擬似距離を反射波に基づいて算出された擬似距離と判定し、
    前記受信機の位置と各測位衛星の位置と前記地理情報とに基づいて各測位衛星からの測位信号を前記受信機に反射する点が有るか否かを判定し、直接波と合成波とのいずれかに基づいて算出されたと判定した疑似距離のうち、測位信号を前記受信機に反射する点が無い測位衛星との擬似距離を直接波に基づいて算出された擬似距離と判定し、直接波と合成波とのいずれかに基づいて算出されたと判定した疑似距離のうち、測位信号を前記受信機に反射する点が有る測位衛星との擬似距離を合成波に基づいて算出された擬似距離と判定し、
    前記受信機の位置を疑似距離に基づいて測位する測位部に、直接波に基づいて算出されたと判定した擬似距離を出力する
    ことを特徴とするデータフィルタリング方法。
  6. 請求項記載のデータフィルタリング方法をコンピュータに実行させるデータフィルタリングプログラム。
  7. 請求項1〜請求項4いずれかに記載のデータフィルタと、
    移動先で1以上の測位衛星から測位信号を受信して各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを算出する受信機
    備えたことを特徴とする測位装置。
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