JP2006162563A - データフィルタ、データフィルタリング方法、データフィルタリングプログラム、測位装置、測位方法および測位プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 測位装置10は、GPS受信機2とGISデータベース3と観測データフィルタ5と航法計算装置6とを備えて測位計算を行う。観測データフィルタ5は、GPS受信機2から各衛星に対する擬似距離と衛星位置とを入力し、さらに、GISデータベース3から建物などのGISデータを取得する。次に、自己位置と衛星位置と建物との位置関係に基づいて各衛星からの測位信号が直接波か反射波か判定する。そして、直接波である測位信号から求めた擬似距離を測位計算に使用する擬似距離として出力する。また、反射波に対して測位計算における重みを設定して出力する。航法計算装置6は、観測データフィルタ5が出力した擬似距離および擬似距離の重みに基づいて測位計算を行う。
【選択図】 図2
Description
マルチパスエラーには疑似距離マルチパス(Pseudorange multipath)と搬送波マルチパス(Carrier phase multipath)とがあるが、ここでは疑似距離マルチパスの低減技術について説明する。
GPS受信機が疑似距離を算出する際、GPS受信機内部で生成したコード(L1測位信号のC/Aコードなど)と受信信号の相互相関を取ることによって測位信号の到着時刻を知り、疑似距離に換算する。その際、マルチパスが存在せず直接波だけ受信していれば、その相互相関関数の形状が自己相関関数の形状に一致し、正確にピークの位置を知ることができるため測位信号の正確な時刻同定が可能となる。
ところが、マルチパスが存在する場合、受信する測位信号の相互相関関数の形状は、直接波(図1(a))によるものとマルチパス波(図1(b))によるものとの重ねあわせ(図1(c))となる。このため、受信する測位信号の相互相関関数の形状は、直接波(図1(a))と比べ形状が崩れてしまいピーク位置もずれてしまう。これにより、そのずれ分が受信時刻誤差となり距離に換算されて疑似距離誤差となる。
[1]Narrow−Correlator technology
[2]Leading−Edge Techniques
[3]Correlation Function Shape−Based Methods(ELS method, MEDLLなど)
[4]Modified Correlator Reference Waveforms(strobe correlator)
[5]MMT Technology
GPS受信機に関する技術として特許文献1がある。
ここで、RAIMのアルゴリズムは先に述べたように5衛星以上の観測データが必要であるので、観測衛星数が4以下の場合は擬似距離精度の悪い衛星を特定できない欠点がある。また、マルチパスが存在しても必ずしも測位信号のキャリアノイズ比が悪くなるとは限らない。よって、キャリアノイズ比が悪ければ擬似距離精度が低下していることが予想されるが、キャリアノイズ比がよいからといって必ずしも擬似距離精度が良いとは限らない。一般にマルチパスの存在による擬似距離精度の低下を、1エポックデータのキャリアノイズ比だけで判断するのは難しい。よって、キャリアノイズ比だけを判断基準とする手法が有効に働かない瞬間もあると予想される。
GPSの測位方式は大きく分類するとコード測位とGPS測量(干渉測位とも呼ばれる)とに分けられる。コード測位ではC/A(Coarse/Acquisition)コードなどを利用し、GPS測量では搬送波位相積算値を利用する(GPSではC/Aコードの他にP(Precision又はProtected)コードもあるが秘匿操作によってYコードになっており民生用には開放されていない)。また、コード測位で使用する擬似距離(Pseudorange)を搬送波位相積算値で平滑化する手法などもあるが、これはコード測位に分類されると考える。実施の形態ではコード測位用のGPS受信機の使用を前提として説明を行う。
直接波とマルチパスを同時に受信するケースでは、マルチパス低減技術で誤差を軽減できる。しかし、前記の通り、必ずしも最適なマルチパス低減技術がGPS受信機に組み込まれているとは限らない。そのような場合は特に、マルチパスの存在を予測して、観測データの扱いをそれに応じて変えることが望ましい。
実施の形態1における測位装置10の構成について、図2に基づいて以下に説明する。但し、測位装置10の構成は複数種類考えられ、図2は測位装置10の代表的な構成を示す。
GPS衛星が発信したGPS測位を行うための測位信号を受信するGPSアンテナ1とGPS受信機2。
建物等の3次元地理情報(以下、3次元GISデータとする)を記憶管理するGISデータベース3。
GPSとの複合航法システムを構成するための慣性装置4。
GPS受信機2が受信した測位信号に基づく擬似距離を測位計算などに使用するかどうかを判断する観測データフィルタ5。
観測データフィルタ5の判断結果に基づいて測位を行う航法計算装置6。
DGPSには、測位結果に誤差情報を適用して補正するもの、衛星との擬似距離に誤差情報を適用して補正するものなどがある。本実施の形態では、擬似距離に誤差情報を適用して測位精度を上げるDGPSを使用する場合を説明する。但し、このDGPSはあくまで精度向上のための補助的手段であり、擬似距離に誤差情報を適用する以外の方法で誤差情報を利用しても構わないし、DGPSを実施しなくてもよい。
実施の形態1における観測データフィルタ5の構成について図3に基づいて以下に説明する。
観測データフィルタ5は以下のものを備える。
GPS受信機2が出力する測位関連情報とGISデータベース3が記憶管理する3次元GISデータを入力する入力部51。
自己位置を推定する自己位置推定部57。
入力部51が入力した測位関連情報と自己位置推定部57が推定した自己位置と3次元GISデータとに基づいて各測位衛星とGPSアンテナ1との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有るかの判定を行う遮蔽判定部53。
入力部51が入力した測位関連情報と自己位置推定部57が推定した自己位置と3次元GISデータとに基づいて各測位衛星が発信した測位信号をGPSアンテナ1に反射する点が有るかの判定を行う反射判定部54。
遮蔽判定部53と反射判定部54とを備え、各測位衛星との擬似距離がそれぞれ、直接波に基づいて算出された擬似距離か、反射波に基づいて算出された擬似距離か、直接波と反射波との合成波に基づいて算出された擬似距離かを判定する擬似距離判定部52。
擬似距離判定部52が反射波または合成波に基づいて算出されたと判定した擬似距離に対して航法計算装置6の測位計算における重要度を示す重み(誤差分散値)を設定する重み設定部55。
擬似距離判定部52が判定した直接波に基づいて算出されたと判定した擬似距離と反射波に基づいて算出されたと判定した擬似距離と合成波に基づいて算出されたと判定した擬似距離と重み設定部55が設定した重みとを航法計算装置6に出力する出力部56。
遮蔽判定部53は、GPSアンテナ1との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が無い測位衛星との擬似距離を直接波と合成波のいずれかに基づいて算出された擬似距離と判定し、GPSアンテナ1との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有る測位衛星との擬似距離を反射波と合成波のいずれかに基づいて算出された擬似距離と判定する。
反射判定部54は、測位信号をGPSアンテナ1に反射する点が無い測位衛星との擬似距離を直接波に基づいて算出された擬似距離と判定し、測位信号をGPSアンテナ1に反射する点が有る測位衛星との擬似距離を反射波に基づいて算出された擬似距離と判定する。
図4において、測位装置10は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)911を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続されている。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信ボード915は、FAX機、電話器、LAN、インターネット等に接続されている。
例えば、通信ボード915は情報入力部の一例であり、出力部の一例である。
ファイル群924には、以下に述べる実施の形態の説明において、「〜を判定し」、「〜を判定した結果」、「〜を計算し」、「〜を計算した結果」、「〜を処理し」、「〜を処理した結果」のような表現で説明する結果情報が、「〜ファイル」として記憶されている。
また、以下に述べる実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータの入出力を示し、そのデータの入出力のためにデータは、磁気ディスク装置920、FD(Flexible Disk cartridge)、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)、その他の記録媒体に記録される。あるいは、信号線やその他の伝送媒体により伝送される。
観測データフィルタ5は、航法計算装置6がGPS受信機2の受信した観測生データ(擬似距離)を利用するのかどうかを判定する。また、観測生データ(擬似距離)を利用する場合、航法計算装置6の測位計算における重要度の設定である重み付けを行う。
まず、測位装置10の利用形態に基づく観測生データの利用を判定する4つのパターンについて図5に基づいて以下に説明する。
この条件は、「とにかくそのエポックのデータで測位計算をできるようにしたいかどうか」を問うものである。そのエポックの擬似距離を4つ以上揃えて測位計算しなくても、デッドレコニング(推測航法)やカルマンフィルタを用いて位置を推測することができるため判断条件の一つとなる。
例えば、疎結合GPS/INS複合航法を使う場合では、GPSデータの誤差分散値が比較的小さくかつ正確に見積もれる状況であれば「YES」を選択して4つ以上の擬似距離に基づいて測位すれば良いし、誤差分散値が大きいと同時に不正確であれば「NO」を選択してINSのデータに基づいて位置を推測した方が良いこともある。
受信した測位信号が直接波であるか反射波であるかを判定する方法には、衛星と測位装置10との間に建物などの遮蔽物が存在する場合に測位装置10の受信したその衛星の測位信号は直接波ではなく反射波であると判定する方法(遮蔽判定)がある。
但し、遮蔽物が存在しない場合に測位装置10の受信した測位信号には直接波の他に反射波(マルチパス)を含むこともある。この反射波(マルチパス)を含むかを判定するのがマルチパス判定である。
つまり、遮蔽判定のみを行うか、遮蔽判定とマルチパス判定とを共に行うかを判断する条件である。
図6は、実施の形態1における判定パターン1の処理を示すフローチャートである。
まず、「擬似距離の数を極力4以下にしない」且つ「マルチパス判定をしない」場合(S103)の擬似距離の利用判定処理を図6に基づいて以下に説明する。
次に、入力部51は、GISデータベース3から建物などの3次元GISデータを取得する(S202)。
以下、擬似距離判定部52は、S205〜S208の処理を全衛星に対して行う。
遮蔽判定方法として二通りが考えられる。一つは天空図を利用する手法、もう一つは3次元座標空間において自己位置と衛星位置を結ぶベクトルが建造物などの障害物内を貫通するかどうかを逐一判断する手法である。
図7は、実施の形態1における天空図である。図7において、右図が魚眼レンズで撮影したもので、左図がGISデータから作成した天空図である。この天空図と、衛星軌道データから計算される衛星の存在する方位角(azimuth)と仰角(Elevation)を利用して、その衛星の可視・不可視を判断する。
擬似距離判定部52は、遮蔽物が有ると判定した場合は、擬似距離の利用有無を示すフラグFuに、擬似距離を利用しないことを示す「0」を設定する(S207)。
遮蔽物が有る場合は、擬似距離が直接波ではなく反射波に基づくデータであると判断できるためである。つまり、擬似距離の精度が悪いため航法計算装置6の測位処理に利用しない。
また、擬似距離判定部52は、遮蔽物が無いと判定した場合は、フラグFuに擬似距離を利用することを示す「1」を設定する(S208)。
「1」を設定したフラグFuの個数が4以上である場合、出力部56はフラグFuに「1」を設定した擬似距離を航法計算装置6に出力して処理を終了する。
そして、重み設定部55は、S211の処理でフラグFuに「1」を設定した擬似距離の重みを算出するための誤差分散σGISを計算する(S212)。
S211の処理でフラグFuに「1」を設定した擬似距離は精度が悪いので、擬似距離の誤差分散にσGISを加えることで、S208の処理でフラグFuに「1」を設定した精度の良い擬似距離に対して、測位処理における重みを低くすることができる。
但し、S211において「0」を設定したフラグFuの一部(例えば必要数分)に「1」をするようにしてもよい。
誤差分散σGISを計算後、出力部56はフラグFuに「1」を設定した擬似距離と誤差分散σGISを航法計算装置6に出力して処理を終了する。
擬似距離の精度に対する重みを測位結果に反映するには、重みつき最小二乗法によって測位計算を行う。この重みを下げるには誤差分散値を大きくすればよい。航法計算装置6が測位処理に使用する重みつき最小二乗法(後述で説明する)における重みは、重み行列C(Weight matrix)によって決定される。重み行列は疑似距離観測値誤差を衛星毎に見積もることによって得られる。疑似距離は衛星と観測者間の測位信号伝播時間を計測することによって得られるが、伝搬遅延などの計測誤差要因は複数あり、全計測誤差要因は式3で表される。
まず、直接波と反射波の両方を受信していると考えられる場合は、測距誤差UERE(User Equivalent Range Error)が5メートル程度であることを考慮してσG=5(すなわち、σG 2=25)とする。
また、反射波しか受信していないと考えられる場合は、擬似距離誤差が数十メートルから数百メートルになることを考慮してσG=100(すなわち、σG 2=10000)とする。
「擬似距離の数を極力4以下にしない」且つ「マルチパス判定をする」場合(S104)の擬似距離の利用判定処理を図8に基づいて以下に説明する。
遮蔽判定(S305)後、まず、反射判定部54は、衛星の位置、自己位置、3次元GISデータを用いてマルチパス判定を行う(S306)。
次に、擬似距離判定部52は、遮蔽判定(S305)とマルチパス判定(S306)の結果に基づいて処理を分岐する(S307、S308、S311)。
図9は、実施の形態1におけるマルチパス判定処理を示すフローチャートである。
反射判定部54は以下に説明する図9のフローによりマルチパス判定を行う。
具体的には、S303で推定した自己位置とS301で取得した衛星軌道データに基づく衛星位置とS302で取得した3次元GISデータとに基づいて以下の(a)〜(d)の判定を行い、全ての条件を満たす面(3次元GISデータにおいて建物などを構成する面)を抽出する。
(a)面を構成する点が一つでも規定の距離内に入っている。
(b)その面を構成する点から自己位置までの間に遮蔽物がない。
(c)その面の外向きの法線ベクトル方向に衛星と観測者が両方居る。
(d)単純な平面である(曲面をもたない)。
例えば、その時に観測者が移動している道路に面しているなどの制約条件をさらに付加してもよい。
ここで、面は完全な平面を想定し、入射角と反射角は等しいものとする。
まず、面が持つすべての頂点と観測者を結ぶ方向を反射波の方向としたときの入射波の方向を計算する。面が持つ頂点が4つならば、入射波方向ベクトルは4つ計算される。
次に、これらの入射波方向ベクトルのazimuth/elevationを計算し、このazimuth/elevationをプロットした点で囲まれる領域を算出する。
この判定を行うのは、算出した領域に衛星位置プロットが入っていれば、その衛星からの測位信号がその面で反射されて観測者に到達する可能性があると判断できるためである。
S402で計算した領域に衛星が入っていない場合は「マルチパス無し」として処理を終了する。
判定方法は、S205(図6)で説明した観測者と衛星間の遮蔽判定の処理と同様である。
以上の処理によりS306(図8)のマルチパス判定処理を行う。
S315で、重み設定部55は、擬似距離を利用することを示す「1」を設定したフラグFuの個数を判定する。「1」を設定したフラグFuの個数が4以上であれば、出力部56はフラグFuに「1」を設定した擬似距離を航法計算装置6に出力して処理を終了する。
「1」を設定したフラグFuの個数が4未満であれば、重み設定部55は、「遮蔽物が有り且つマルチパスが有る」ことを示す「1」または「遮蔽物が無く且つマルチパスが有る」ことを示す「4」を設定したフラグFkに対応するフラグFuに「1」を設定する(S316)。
S317で、重み設定部55は、判定パターン1(図6)のS212と同様に誤差分散σGISを計算する。
但し、「1」または「4」を設定したフラグFkに対応するフラグFuの一部(例えば、フラグFkに「4」を設定したフラグFuを優先した必要数分)に「1」を設定するようにしてもよい。
誤差分散σGISを計算後、出力部56は、フラグFuに1を設定した擬似距離と誤差分散σGISを航法計算装置6に出力して処理を終了する。
判定パターン3では、図6に示す判定パターン1のフローチャートにおいてS210〜S212の処理(利用する擬似距離の個数が4未満の場合に利用しないと判定した擬似距離を利用するようにフラグを設定する)を実行しない。その他の処理は図6に示す判定パターン1と同じである。
判定パターン4では、図8に示す判定パターン2のフローチャートにおいてS315〜S317の処理(利用する擬似距離の個数が4未満の場合に利用しないと判定した擬似距離を利用するようにフラグを設定する)を実行しない。その他の処理は図8に示す判定パターン2と同じである。
上記の通り、判定パターン1、判定パターン3はマルチパス判定を行わず、遮蔽判定で擬似距離を利用するか判定する。
図10において、遮蔽がある場合は、受信波が反射波であること、擬似距離を利用しない(判定パターン3)こと、擬似距離を利用する場合は誤差分散σGISに100(m)を設定する(判定パターン1)ことを示している(図10(1))。
また、遮蔽がない場合は、受信波が直接波および反射波であること、擬似距離を利用する(判定パターン1および3)ことを示している(図10(2))。
上記の通り、判定パターン2、判定パターン4は遮蔽判定とマルチパス判定とで擬似距離を利用するか判定する。
図11において、遮蔽がありマルチパスがある場合は、受信波が反射波であること、擬似距離を利用しない(判定パターン4)こと、擬似距離を利用する場合は誤差分散σGISに100(m)を設定する(判定パターン2)ことを示している(図11(1))。
また、遮蔽がなくマルチパスがない場合は、受信波が直接波であること、擬似距離を利用する(判定パターン2および4)ことを示している(図11(2))。
また、遮蔽がありマルチパスがない場合は、受信波が無いこと、擬似距離を利用できない(判定パターン2および4)ことを示している(図11(3))。
また、遮蔽がなくマルチパスがある場合は、受信波が直接波および反射波であること、擬似距離を利用しない(判定パターン4)こと、擬似距離を利用する場合は誤差分散σGISに5(m)を設定する(判定パターン2)ことを示している(図11(4))。
なお、この計算は最初に(X0,Y0,Z0)を適当に仮定して計算し、
分散ファクターの値は適当に決めて計算するが、その値が適切な値であれば、
分散ファクターの見積もり値は1に近くなる。分散ファクターの見積もり値は式16、式17で見積もられる。
ここで、観測データフィルタ5が算出したσGISに基づく分散σD 2(式5)は航法計算装置6で算出するものとする。
例えば、高感度GPS受信機においてマルチパスのみで測距を行っている場合は、擬似距離誤差は大きくなることから測位精度は悪くなる。この高感度GPS受信機は、測位結果を全く得られないよりは精度が悪くても自己位置を知ることができたほうが良い場面で使用される。
ここで、観測によって得た複数の擬似距離の中には精度のよいものもあるため、マルチパスのみで測距を行っている精度の悪いデータなのかそうではないのかを判断する基準が必要となる。
最も代表的な判断基準はキャリアノイズ比であるが、実施の形態1では3次元GISデータを利用した判断基準を以下のように提供した。
3次元GISデータを利用して、直接波の経路、すなわち衛星への視線方向(LOS)に建物がないかどうかを判断する。また、マルチパスを発生させる建物がないかどうかを判断する。もし、建物が存在すると判断される場合は、その衛星の観測データは反射波によるものである可能性が高いと判断する。
つまり、3次元GISデータを利用して精度の低い擬似距離を判断できることが、実施の形態1のポイントの1つである。
Claims (13)
- 移動先で1以上の測位衛星から測位信号を受信して各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを算出する受信機と、地理情報を記憶するデータベースと、前記受信機の算出データから求められる受信機が測位信号を受信した位置と擬似距離と前記受信機の移動速度に関する情報とに基づいて測位する測位部とに接続し、
前記受信機から各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを入力すると共に前記データベースから地理情報を入力する入力部と、
前記受信機が測位信号を受信した位置と前記入力部が入力した各測位衛星の位置と地理情報とに基づいて、前記入力部が入力した各測位衛星との擬似距離がそれぞれ、直接的に測位衛星から受信機に届く測位信号を示す直接波に基づいて算出された擬似距離であるか否かを判定する擬似距離判定部と、
前記擬似距離判定部が直接波に基づいて算出されたと判定した擬似距離を前記測位部に出力する出力部と
を備えたことを特徴とするデータフィルタ。 - 前記擬似距離判定部は、
前記受信機が測位信号を受信した位置と前記入力部が入力した各測位衛星の位置と地理情報とに基づいて、前記入力部が入力した各測位衛星との擬似距離がそれぞれ、直接的に測位衛星から受信機に届いた測位信号を示す直接波に基づいて算出された擬似距離か、任意の物体に反射して測位衛星から受信機に届いた測位信号を示す反射波に基づいて算出された擬似距離か、或いは直接波と反射波との合成波に基づいて算出された擬似距離かを判定することを特徴とする請求項1記載のデータフィルタ。 - 前記データフィルタは、さらに、
前記擬似距離判定部が直接波に基づいて算出されたと判定した擬似距離の数と特定数とを比較し、直接波に基づいて算出されたと判定した擬似距離の数が特定数未満である場合に、前記測位部が行う位置情報の算出における重要度を示す重み情報であり直接波に基づいて算出された擬似距離より低い重要度を示す重み情報を、任意の物体に反射して測位衛星から受信機に届いた測位信号を示す反射波或いは直接波と反射波との合成波に基づいて算出されたと判定した擬似距離に対して設定する重み設定部を備え、
前記出力部は、直接波に基づいて算出された擬似距離と反射波に基づいて算出された擬似距離と反射波に基づいて算出された擬似距離に対する重み情報とを前記測位部に出力し、前記測位部に、直接波に基づいて算出されたと判定した擬似距離と反射波と合成波とのいずれかに基づいて算出されたと判定した擬似距離とそれぞれの擬似距離に対する重み情報とに基づいて位置情報を算出させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のデータフィルタ。 - 前記重み設定部は、
擬似距離の精度が低いほど大きい誤差分散値を重み情報として設定する
ことを特徴とする請求項3記載のデータフィルタ。 - 前記擬似距離判定部は、
前記受信機が測位信号を受信した位置と各測位衛星の位置と地理情報とに基づいて各測位衛星と受信機との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有るかの判定を行い、受信機との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が無い測位衛星との擬似距離を、直接波に基づいて算出された擬似距離と、任意の物体に反射して測位衛星から受信機に届いた測位信号を示す反射波もしくは反射波と直接波との合成波に基づいて算出された擬似距離とのいずれかと判定し、受信機との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有る測位衛星との擬似距離を反射波に基づいて算出された擬似距離と判定する遮蔽判定部を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかに記載のデータフィルタ。 - 前記判定部は、
前記受信機が測位信号を受信した位置と各測位衛星の位置と地理情報とに基づいて各測位衛星が発信した測位信号を受信機に反射する点が有るかの判定を行い、測位信号を受信機に反射する点が無い測位衛星との擬似距離を直接波に基づいて算出された擬似距離と判定し、測位信号を受信機に反射する点が有る測位衛星との擬似距離を反射波に基づいて算出された擬似距離と合成波に基づいて算出された擬似距離とのいずれかと判定する反射判定部を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかに記載のデータフィルタ。 - 前記反射判定部は、
前記受信機が測位信号を受信した位置と測位衛星の位置に基づいて、地理情報から、受信機との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が無い面であり法線方向に測位衛星と受信機とが有る面を取得し、
取得した面が測位信号を受信機に反射する場合の測位衛星の位置する範囲を算出し、
測位衛星の位置が算出した範囲内にあるか判定し、
測位衛星の位置が算出した範囲内にあると判定した場合、測位衛星の発信した測位信号を受信機に反射する面内の点を算出し、
測位衛星と算出した点との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有るかを判定し、
測位衛星との間に遮蔽物が無いと判定した点を測位信号を受信機に反射する点と判定する
ことを特徴とする請求項6記載のデータフィルタ。 - 移動先で1以上の測位衛星から測位信号を受信して各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを算出する受信機と、地理情報を記憶するデータベースと、前記受信機の算出データから求められる受信機が測位信号を受信した位置と擬似距離と前記受信機の移動速度に関する情報とに基づいて測位する測位部とに接続し、
前記受信機から各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを入力すると共に前記データベースから地理情報を入力する入力部と、
前記受信機が測位信号を受信した位置と前記入力部が入力した各測位衛星の位置と地理情報とに基づいて、各測位衛星と受信機との間に測位信号を遮蔽する遮蔽物が有るかの判定を行う遮蔽判定部を
備えたことを特徴とするデータフィルタ。 - 移動先で1以上の測位衛星から測位信号を受信して各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを算出する受信機から各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを入力し、
地理情報を記憶するデータベースから地理情報を取得し、
前記受信機が測位信号を受信した位置と擬似距離と前記受信機の移動速度に関する情報とに基づいて測位する測位部に対して、前記受信機が測位信号を受信した位置と前記受信機から入力した各測位衛星の位置と前記データベースから入力した地理情報とに基づいて、前記受信機から入力した各測位衛星との擬似距離がそれぞれ、直接的に測位衛星から受信機に届く測位信号を示す直接波に基づいて算出された擬似距離であるか否かを判定し、直接波に基づいて算出されたと判定した擬似距離を出力する
ことを特徴とするデータフィルタリング方法。 - 請求項9記載のデータフィルタリング方法をコンピュータに実行させるデータフィルタリングプログラム。
- 測位衛星が発信した測位信号を受信して測位を行う測位装置において、
移動先で1以上の測位衛星から測位信号を受信して各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを算出する受信機と、
前記受信機の算出データから求められる受信機が測位信号を受信した位置と擬似距離と前記受信機の移動速度に関する情報とに基づいて測位する測位部と、
地理情報を記憶するデータベースにアクセスし、前記受信機が測位信号を受信した位置と前記受信機が算出した各測位衛星の位置と前記データベースに記憶された地理情報とに基づいて、前記受信機が算出した各測位衛星との擬似距離がそれぞれ、直接的に測位衛星から受信機に届く測位信号を示す直接波に基づいて算出された擬似距離であるか否かを判定し、直接波に基づいて算出されたと判定した擬似距離を前記測位部に出力するデータフィルタと
を備えたことを特徴とする測位装置。 - 測位衛星が発信した測位信号を受信して測位を行う測位装置の測位方法において、
移動先で1以上の測位衛星から測位信号を受信して各測位衛星との擬似距離と各測位衛星の位置とを算出し、
地理情報を入力し、地理情報と測位信号を受信した位置と各測位衛星の位置とに基づいて、各測位衛星との擬似距離がそれぞれ、直接的に測位衛星から受信機に届く測位信号を示す直接波に基づいて算出された擬似距離であるか否かを判定し、
直接波に基づいて算出されたと判定した擬似距離に基づいて測位計算する
ことを特徴とする測位方法。 - 請求項12記載の測位方法をコンピュータに実行させる測位プログラム。
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