JP4417489B2 - 導波管による電気音響的変換 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音響導波管ラウドスピーカーシステムに関し、更に詳細には、断面積が均等でない導波管を備えたラウドスピーカーシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、米国特許第4,628,528号及び1993年5月5日に出願された「周波数選択的音響導波管減衰」という標題の米国特許出願第08/058478号を参照されたい。これらの特許文献に触れたことにより、これらの文献に開示されている内容は本明細書中に組み込まれたものとする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の重要な目的は、改良された導波管を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の、音波を放射するための導波管ラウドスピーカーシステムは、音波を伝達するための低損失導波管を含む。この導波管は、ラウドスピーカードライバーに連結された第1末端と、音波を外部環境に放射するようになった第2末端と、導波管の長さに沿って延在する中心線と、この中心線に対して垂直な複数の平面の複数の断面領域を包囲する複数の壁を備える。壁は、第2末端の断面積が第1末端の断面積よりも小さくなるように、テーパして形成されている。
【0005】
本発明の別の特徴によれば、音波を放射するための導波管ラウドスピーカーシステムは、音波を伝達するための低損失導波管を備える。この導波管は、ラウドスピーカードライバーに連結された第1末端と、音波を外部環境に放射するようになった第2末端と、中心線と、この中心線に対して垂直な複数の平面の複数の断面領域を包囲する複数の壁と、中心線の長さに沿って延在する複数の区分とを有する。これらの区分は、それぞれ、第1端部と第2端部とを有し、第1端部は第2末端よりも第1末端により近く配置され、第2端部は第1末端よりも第2末端により近く配置され、各区分は平均断面積を有する。複数の区分のうちの第1区分及び複数の区分のうちの第2区分は、第1区分の第2端部が第2区分の第1区分に連結されるように構成され且つ配置されている。第1区分の第2端部の断面積は、第2区分の第1端部の断面積に対して十分に異なる。
【0006】
本発明の更に別の実施例によれば、音波を放射するための導波管ラウドスピーカーシステムは、音波を伝達するための低損失導波管を有する。この導波管は、ラウドスピーカードライバーに連結された第1末端と、音波を外部環境に放射するように構成された第2末端と、導波管の長さに沿って延在する中心線と、この中心線に対して垂直な複数の平面の複数の断面領域を包囲する複数の壁と、中心線の長さに沿う複数の区分とを有する。これらの区分は、それぞれ、第1端部及び第2端部を有し、第1端部は第1末端により近く配置され、第2端部は第2末端により近く配置される。複数の区分のうちの第1区分と複数の区分のうちの第2区分は、第1区分の第2端部が第2区分の第1端部に連結されるように構成され且つ配置される。第1区分の断面積は、第1端部から第2端部まで第1の指数関数に従って増大し、第1区分の第2端部の断面積は、第2区分の第1端部の断面積よりも大きい。
【0007】
本発明の他の実施例によれば、音波を放射するための導波管ラウドスピーカーシステムは、音波を伝達するための低損失導波管を備える。この導波管は同調周波数を有し、この周波数は対応する同調波長を有する。導波管は、導波管の長さに沿って延在する中心線と、この中心線に対して垂直な複数の平面の複数の断面領域を包囲する複数の壁と、中心線に沿う複数の区分とを有する。これらの区分は、それぞれ、同調波長の約四分の一の長さを有し、各区分は平均断面積を有する。複数の区分のうちの第1区分の平均断面積は、複数の区分のうちの隣接する区分の平均断面積とは異なる。
本発明の更に他の実施例によれば、音波を放射するための導波管は、
【0008】
【数7】
【0009】
によって示される長さとほぼ等しい長さのセグメントを有し、この式において、Iは導波管の有効長さであり、nは正の整数である。これらのセグメントは、それぞれ、平均断面積を有する。一つおきのセグメントで構成される第1の組の平均断面積の積は、一つおきのセグメントで構成される第2の組の平均断面積の積の2倍以上である。
【0010】
他の特徴、目的、及び利点は、添付図面を参照してなされた以下の詳細な説明から明らかになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
添付図面のうち、特に図1を参照すると、この図には、本発明によるラウドスピーカー−導波管アッセンブリが示されている。導波管14は、第1端部即ち末端12及び第2端部即ち末端16を有する。導波管14は、断面積が狭窄する中空チューブの形態である。導波管14の壁はテーパしており、第1端部12での導波管の断面積が第2端部16の断面積よりも大きい。第2端部16は、音響的理由又は外観上の理由により、僅かにフレア状をなしているのがよい。断面(導波管14の中心線11に対して垂直な、図1のA−A線に沿った)は、円形、楕円形、又は正多角形又は不規則な多角形、又は何等かの他の閉鎖輪郭であるのがよい。導波管14は、端部が閉鎖していてもよいし、開放していてもよい。図示のように両端が自由空気中に放射していてもよいし、一端が、閉鎖容積又はポート付き容積等の音響閉鎖体内に放射していてもよく、導波管はテーパしていてもよいしテーパしていなくてもよい。
【0012】
説明を明瞭にするため、導波管14の壁は直線として示してあり、導波管14はその全長に沿って均等にテーパしているように示してある。実際に実施する上では、導波管は、包囲体に嵌入するため、又は音響的理由のために導波管の一端を導波管の他端に対して位置決めするため、所望の形状になるように湾曲させることができる。導波管14の断面は、様々な幾何学的形状を備えているのがよく、即ち様々な形状を有し又は直線状の又は湾曲した側部をその長さに沿った様々な位置に有する。更に、導波管のテーパは導波管の長さに沿って変化する。
【0013】
電気音響変換器10が導波管14の第1端部12に位置決めされている。本発明の一実施例では、電気音響変換器10は、セラミック磁石モータを有するコーン型65mmドライバーであるが、別の種類のコーン−磁石変換器又は他の種類の電気音響変換器であってもよい。電気音響変換器10のいずれかの側部が導波管14の第1端部12に取り付けられているか或いは、電気音響変換器10が第1端部12と隣接した導波管14の壁に取り付けられているのがよく、音波を導波管内に放射する。更に、導波管14から遠ざかる方に向いた電気音響変換器10の表面は、図示のように周囲環境に合わせて直接放射でき、又はテーパした又はテーパしていない導波管や閉鎖した又はポート付きの閉鎖体等の音響エレメント内に放射することができる。
【0014】
導波管14の内壁は、本質的に音響的に無損失である。導波管内には、少量の音響吸収材料13が設けられているのがよい。少量の音響吸収材料13は、現在継続中の「周波数選択的音響導波管減衰」という標題の米国特許出願第08/058478号に記載されているように、変換器10の近くに配置されているのがよい。その結果、導波管は、低い周波数では低損失であり、高い周波数では応答が比較的滑らかである。少量の音響吸収材料は、望ましからぬ共鳴を抑え、導波管が放射する周波数範囲に亘って滑らかな出力を提供するが、導波管で低周波数の定在波が形成されることを阻止しない。
【0015】
本発明の一実施例では、導波管は円錐形をなしてテーパした導波管であり、導波管に沿った幾つかの箇所の断面積は、以下の式によって記述される。
【0016】
【数8】
【0017】
ここで、Aは面積を示し、yは入口(広幅)端からの距離であり、Bは以下の式によって算出される。
【0018】
【数9】
【0019】
ここで、xは導波管の有効長さであり、ARは以下の等式によって算出される。
【0020】
【数10】
【0021】
この実施例の第1共鳴周波数即ち同調周波数は、
【0022】
【数11】
【0023】
のゼロでない第1解として近似される。ここで、
【0024】
【数12】
【0025】
であり、
C0は音速である。上掲の等式で近似を行った後、最終的な効果及び他の要因を考慮して導波管を経験的に変更できる。
【0026】
一実施例では、導波管14の長さxは66.04cm(26インチ)である。第1端部12の断面積は41.29cm2(6.4平方インチ)であり、第2端部16の断面積は5.81cm2(0.9平方インチ)であり、面積比(第1端部12の断面積を第2端部16の断面積で除した値と定義される)は約7.1である。
【0027】
次に図2及び図3を参照すると、これらの図には、周波数に対する放射された音響出力及びドライバーエクスカーションの、コンピューターでシミュレートした曲線が示してある。曲線32は、音響吸収材料13を持たない長さが66.04cm(26インチ)の本発明による導波管ラウドスピーカーシステムに関し、曲線34は、容積が同じで長さが91.44cm(36インチ)の壁が直線状で減衰がなされていない導波管に関する。図2及び図3からわかるように、バス範囲は、ほぼ同じ周波数(約70Hz)まで延びており、本発明による導波管システムについての周波数応答は、テーパしていない導波管システムよりも平らである。音響吸収材料(図1の13)を使用することによって、二つの曲線の狭幅の帯域ピーク(以下「スパイク」という)を大幅に減少させることができる。
【0028】
次に図4を参照すると、この図には、本発明の第2の特徴を示す目的で従来技術のラウドスピーカー−導波管アッセンブリが示してある。端部が開放した断面が均等な長さがyの導波管14' の一端に電気音響変換器10' が位置決めされている。導波管の端部は互いに近接している(即ち、距離tが小さい)。変換器10' が周波数がfで波長〜の音波を放射するとき、導波管からの放射は変換器からの直接放射に対して逆相であり、及び従って、アッセンブリからの放射が前記周波数で大幅に減少する。
【0029】
図5を参照すると、この図には、図4に示し且つ添付のテキストに説明した導波管端部位置の問題を大幅に小さくする本発明の特徴を示すラウドスピーカー−導波管アッセンブリが示してある。電気音響変換器10は、端部が開放した導波管14aの端部即ち末端12に位置決めされている。電気音響変換器10は、図示のコーン−磁石変換器であるか或いは、静電的、圧電的、又は他の音圧波源等の任意の他の種類の電気音響変換器であるのがよい。電気音響変換器10は、導波管14aのいずれかの端部に面しているのがよく、或いは導波管14aの壁に取り付けられているのがよく、音波を導波管14a内に放射する。電気音響変換器10が位置決めされたキャビティ17の形態は、電気音響変換器10とぴったりと一致する。この実施例では、導波管14aの内壁は音響的に低損失である。導波管14aには少量の音響吸収材料13が入っており、そのため、導波管は低周波数では音響損失が低く、高周波数では応答が比較的フラットである。少量の音響吸収材料は、望ましからぬ共鳴を抑え、導波管が放射する周波数範囲に亘ってより滑らかな出力を提供するが、導波管内に定在波が形成されることを阻止しない。導波管14aの第2端部即ち末端16が周囲環境に音波を放射する。第2端部16は、外観上の理由のため又は音響的目的のため、外方にフレアをなしているのがよい。
【0030】
導波管14aは、複数の区分181、182、・・・18nをその長さに沿って有する。これらの区分181 、182 、・・・18n の各々は、長さX1 、X2 、・・・Xn及び断面積A1 、A2、・・・An を有する。これらの区分の各々の長さの決定を以下に説明する。これらの区分の各々は、隣接した区分と断面積が異なっているのがよい。導波管の長さに亘る平均断面積は、米国特許第4,628,528号に開示されているように決定でき、又は経験的に決定できる。この実施例では、断面積変化部19は、いきなりであるように示してある。他の実施例では、断面積変化部が次第に変化していてもよい。
【0031】
次に図6を参照すると、この図には、n=4の図5によるラウドスピーカー−導波管アッセンブリが示してある。図6の変換器が、周波数がfで対応する波長λがxに等しい音を放射するとき、導波管からの放射は変換器からの放射に対して逆相であるが、容積速度及び従って振幅が僅かに異なる。従って、導波管14aが図4に示すように端部が近付くように形成した場合でも、相殺量が大幅に減少する。
【0032】
図6のアッセンブリの一実施例では、導波管の断面は円形であり、寸法A1及びA3は3.42cm2(0.53平方インチ)であり、寸法A2及びA4は5.87cm2(0.91平方インチ)である。
【0033】
本発明の他の実施例では、A2及びA4の積はA1及びA3の積の3倍であり、即ち、
【0034】
【数13】
【0035】
である。即ち、この関係は、
【0036】
【数14】
【0037】
及び、
【0038】
【数15】
【0039】
の関係により満たされる。ここで、
【0040】
【外1】
【0041】
は導波管の平均断面積である。
次に図7を参照すると、この図には、端部がScm離間した導波管システムについての、周波数に対する音響出力電力の、コンピューターでシミュレートされた二つの曲線が示してある。曲線42は、図4に示す従来の導波管を表し、出力の大きな落ち込み即ちディップ(dip)46が約350Hz(下文において、導波管の相殺周波数と呼ぶ。この周波数は、波長が導波管の有効長さと等しい周波数と対応する)のところにあり、同様のディップが相殺周波数の整数倍のところに存在する。図6の導波管システムについての、破線で示す曲線44は、約350Hzでの出力ディップ及び相殺周波数の奇数倍での出力ディップが大幅に減少している。
図9を参照すると、この図には、n=8の図5によるラウドスピーカー−導波管アッセンブリが示してある。各区分の長さはx/8である。ここで、xは導波管の全長である。この実施例では、断面積A1、・・・A8は、以下の関係を満たす。
【0042】
【数16】
【0043】
ここで、A1、A3、A5、及びA7が等しく、A2、A4、A6、及びA8が等しい場合(図6の実施例と同様。これは、本発明が機能する上で必要ではない。)には、
【0044】
【数17】
【0045】
であり、且つ、
【0046】
【数18】
【0047】
の関係が、
【0048】
【数19】
【0049】
を満たす。
【0050】
【外2】
【0051】
は、導波管の平均断面積である。
次に、図10を参照すると、この図には、端部がScm離間した導波管についての、周波数に対する音響出力電力の、コンピューターでシミュレートされた二つの曲線が示してある。曲線52は、図4に示す従来の導波管を表し、出力の大きなディップ56が約350Hzのところにあり、同様のディップが約350Hzの整数倍のところに存在する。図9の導波管についての、破線で示す曲線54は、約350Hzでの出力ディップ及び相殺周波数の奇数倍での出力ディップ(即ち、2×3、5、7・・・=6、10、14・・・)が大幅に減少している。
図9の導波管を図6の導波管に重ねると、図12の導波管ができる。図8のアッセンブリの一実施例では、
【0052】
【数20】
【0053】
【数21】
【0054】
【数22】
【0055】
【数23】
【0056】
であり、各区分の長さはx/8である。
次に、図13を参照すると、この図には、端部が5cm離間した導波管についての、周波数に対する音響出力電力の、コンピューターでシミュレートされた二つの曲線が示してある。曲線60は、図4に示す従来の導波管を表し、出力の大きなディップ64が約350Hzのところにあり、同様のディップが約350Hzの整数倍のところに存在する。図12の導波管についての曲線62は、相殺周波数での出力ディップ、相殺周波数の奇数倍(3、5、7、...)での出力ディップ、及び相殺周波数の奇数倍の2倍(2、6、10、14・・・)での出力ディップが大幅に減少している。
【0057】
次に、図14を参照すると、この図には、端部が5cm離間した導波管についての、周波数に対する音響出力電力の、コンピューターでシミュレートされた二つの曲線が示してある。曲線66は、図4に示す従来の導波管を表し、出力の大きなディップ70が約350Hzのところにあり、同様のディップが約350Hzの整数倍のところに存在する。n=16で各セグメントの長さがx/16で、
【0058】
【数24】
【0059】
の、図5による導波管(図示せず)についての破線で示す曲線68は、相殺周波数の4倍ところの出力ディップ及び相殺周波数の奇数倍の4倍(即ち、4×3、5、7、...=12、20、28...)での出力ディップが大幅に減少している。
同様に、相殺周波数の奇数倍の8倍、16倍、...での出力ディップは、n=32、64・・・で各区分の長さがx/nで
【0060】
【数25】
【0061】
の、図5による導波管によって大幅に減少できる。導波管は、図12に示すように重ねて導波管の効果を組み合わせることができる。
図15を参照すると、この図には、端部が5cm離間した導波管システムについての、周波数に対する音響出力電力の、コンピューターでシミュレートされた二つの曲線が示してある。従来の導波管システムを表す曲線71は、大きな出力ディップ74が約350Hzのところにあり、同様のディップが約350Hzの整数倍のところに存在する。図12の導波管に図5による導波管を重ねることによって得られた導波管システム(図示せず)を表す破線で示す曲線72は、n=16で各セグメントの長さがx/16で、相殺周波数のところ、相殺周波数の偶数倍のところ、相殺周波数の奇数倍のところ、相殺周波数の奇数倍の2倍のところ、及び相殺周波数の奇数倍の4倍での出力ディップが大幅に減少している。
nが大きくなるに従って、重ねられた導波管は図16に示す導波管に近付く。図16では、導波管は長さがx/2の二つの区分を有する。導波管の壁は、各区分の始端の断面積が
【0062】
【数26】
【0063】
であり、
【0064】
【数27】
【0065】
の関係に従って
【0066】
【数28】
【0067】
まで増大するように形成されている。
(ここで、yは、導波管の変換器端部12と16との間の距離であり、xは導波管の長さであり、
【0068】
【外3】
【0069】
は導波管の平均断面積である)。
図17を参照すると、この図には、区分の長さを決定する上で有用な定在波を持つ導波管が示してある。図17は、音波が導波管内に放射されたときに定在波80が形成される、側部が平行な導波管を示す。定在波80は、同調周波数がfであり、対応する波長λが導波管の長さxに等しい。定在波80は、導波管の長さに沿った幾つかの箇所に圧力を及ぼす。圧力定在波80の圧力は、変換器の箇所82及び導波管の開口部84の箇所で夫々ゼロであり、別の零位点86が変換器と開口部との間のほぼ半分の箇所にある。音波を導波管内に放射したときに形成された定在波88は、導波管の長さに沿った箇所での容積速度を示す。容積速度定在波88の容積速度零位点92、94は、圧力零位点82及び86の間、及び圧力零位点86及び84の間の夫々にあり、圧力零位点からほぼ等距離のところにある。本発明の一実施例では、図6に示す導波管(図17で破線で示す)は四つの区分を有し、区分の始端及び終端は、平行な壁を有し且つ平均断面積が同じ導波管の、容積速度零位点及び圧力零位点の位置によって決定される。容積速度零位点92のところで第1区分181が終端し且つ第2区分182が始端し、圧力零位点86のところで第2区分182が終端し且つ第3区分183が始端し、容積速度零位点94のところで第3区分183が終端し且つ第4区分184が始端する。直線状の壁を持つ導波管では、第1圧力零位点と第1容積速度零位点との間の距離、第1容積速度零位点と第2圧力零位点との間の距離、第2圧力零位点と第2容積速度零位点との間の距離、及び第2容積速度零位点と第3圧力零位点との間の距離は全て等しく、そのため、区分181...184の長さX1...X4は、全て、導波管の長さの1/4である。
【0070】
周波数がfで波長がλの定在波に加え、周波数が2f、4f、8f、・・・nfで対応する波長がλ/2、λ/4、λ/8、・・・λ/nの定在波が導波管内に存在する。周波数が2fの定在波は、5つの圧力零位点を有する。側部が平行な導波管では、導波管の各端に一つの圧力零位点があり、残りの圧力零位点は導波管の長さに沿って等距離に間隔が隔てられている。周波数2fの定在波は、圧力零位点間、及びこれらの圧力零位点間で等距離に間隔が隔てられた4つの容積速度零位点を有する。同様に、周波数が4f、8f、・・・nfで対応する波長がλ/4、λ/8、・・・λ/nの定在波は、2n+1個の圧力零位点及び2n個の容積速度零位点を有し、これらの零位点は、周波数が2fで波長がλ/2の定在波と同様に間隔が隔てられている。平行な側部を持たない導波管にも同様の定在波が形成されるが、零位点の位置は均等に間隔が隔てられていない。零位点の位置は経験的に決定できる。
【0071】
図18乃至20を参照すると、これらの図には、本発明の他の原理を示す他の実施例が示してある。図18は、隣接したセグメントが図17の区分と等しい長さを持つという原理を示し、同じ断面積を有し、それでも本発明の利点を提供する。図18では、セグメントの長さは図17の区分と同じ方法で決定される。幾つかの隣接した区分は同じ断面積を有し、セグメントのうちの少なくとも一つが隣接したセグメントよりも大きな断面積を有する。断面積は、
【0072】
【数29】
【0073】
のように選択される。図18による導波管は、図6による導波管の利点と同様の利点を有する。同様に、波長がλ/2、λ/4、λ/8、・・・λ/nで、セグメントの平均断面積が
【0074】
【数30】
【0075】
の関係を満たし、幾つかの隣接したセグメントの平均断面積が等しい定在波の圧力零位点と容積速度零位点との間の距離に等しいセグメントを持つ導波管は、図5の導波管システムと同様の利点を有する。
【0076】
次に図19を参照すると、この図には本発明の別の原理が示してある。この実施例では、断面積の変化部19は、図17に示し且つ開示の添付部分に説明した箇所にない。しかしながら、セグメント181、182、183、及び184の断面積が以下の等式の関係を満たす場合には、上文中に説明した相殺の問題が大幅に軽減される。
【0077】
【数31】
【0078】
ここで、A1、A2、A3、A4は、セグメント181、182、183、及び184の夫々の断面積である。
次に、図20を参照すると、この図には本発明の更に別の特徴が示してある。この実施例では、断面積はいきなり変化するのでなく、正弦曲線又は他の滑らかな関数に従って滑らかに変化する。しかしながら、図19の実施例と同様に、セグメント181、182、183、及び184の断面積が以下の等式に従う場合には、上文中に説明した相殺の問題が大幅に軽減される。
【0079】
【数32】
【0080】
ここで、A1、A2、A3、A4は、セグメント181、182、183、及び184の夫々の断面積である。
以上の図面に示し且つ開示の対応する区分に説明した実施例では、変化する区分又はセグメントの平均断面積の積の比は3である。比3は特に有利な結果をもたらすけれども、面積比が1以上例えば2以上の同じ数である本発明による導波管システムは、改善された性能を示す。
【0081】
次に図21を参照すると、この図には、図1の実施例の原理と図5の実施例の原理とを組み合わせた本発明の一実施例が示してある。電気音響変換器10は、端部が開放した導波管14' の端部に位置決めされている。本発明の一実施例では、電気音響変換器10は、コーン−磁石変換器又は静電的、圧電的、又は他の音響波源等の任意の他の電気音響変換器である。電気音響変換器10は、導波管14' のいずれかの端部に面しているか或いは導波管14' の壁に取り付けられているのがよく、音波を導波管14' 内に放射する。電気音響変換器10が位置決めされたキャビティ17の形態は、電気音響変換器10とぴったりと一致する。導波管14' の内壁は、本質的に平滑であり音響的に無損失である。導波管14' には少量の音響吸収材料13が入れてあり、そのため、導波管は音響的に低損失である。少量の音響吸収材料は、望ましからぬ共鳴を減衰し、導波管システムが放射する周波数範囲に亘って出力を滑らかにするが、導波管内で低周波定在波が発生するのを阻止しない。
【0082】
導波管14' は、複数の区分181、182、・・・18nをその長さに沿って有する。これらの区分181、182、・・・18nの各々の長さはX1、X2 、・・・Xnであり、断面積はA1、A2、・・・Anである。これらの区分の各々の電気音響変換器10に最も近い端部の断面積は、電気音響変換器から最も遠い端部よりも大きい。この実施例では、断面積の変化部19は急であるように示してある。実際の実施例では、断面積の変化部は徐々に変化していてもよい。
【0083】
図21の実施例による導波管は、図1及び図5の実施例の利点を組み合わせる。図21による導波管システムで、導波管端部での相殺の問題が大幅に低減し、従来の導波管よりも平坦な周波数応答を実現できる。
【0084】
図22乃至24を参照すると、これらの図には図12、図14、及び図15の実施例と同様の導波管システムが示してあるが、これらは右に向かって断面積が小さくなっている。図12、図14、及び図15の実施例と同様に、端部相殺位置の問題が大幅に低減することに加え、長い導波管を持つラウドスピーカーアッセンブリと等価の音響性能を実現できる。
【0085】
図22乃至24に示す導波管は、圧力零位点及び容積速度零位点に対して同様の場所で始端し終端する区分を有するが、これらの零位点は、側部が平行な導波管のように均等に配置されているのではない。図22乃至24に示す導波管では、零位点の位置が経験的に決定され、或いはコンピューターのモデリングによって決定される。
【0086】
図22乃至24に示す導波管では、nが大きくなるにつれて、導波管は、以下の等式によって記述される導波管形状に近付き始める。
【0087】
【数33】
【0088】
ここで、
【0089】
【数34】
【0090】
である。
【0091】
【数35】
【0092】
ここで、
【0093】
【数36】
【0094】
である。
ここで、停止されていないテーパした導波管の
【0095】
【数37】
【0096】
(即ち面積比)について、
【0097】
【数38】
【0098】
【数39】
【0099】
である。
このような導波管の例は、図25(AR=4)及び図26(AR=9)に示してある。面積比が1(テーパしていない導波管を示す)である場合には、導波管は、図16に示し且つ添付のテキストに説明したような導波管である。
【0100】
この他の実施例は添付の特許請求の範囲に記載してある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による導波管ラウドスピーカーシステムの断面図である。
【図2】本発明による導波管及び従来の導波管についての、周波数に対する音響出力のコンピューターでシミュレートした曲線を示すグラフである。
【図3】本発明による導波管及び従来の導波管についての、周波数に対するドライバー暴走のコンピューターでシミュレートした曲線を示すグラフである。
【図4】従来技術の導波管の断面図である。
【図5】本発明の第2の特徴による導波管の断面図である。
【図6】図5の導波管の変形例の断面図である。
【図7】図6の導波管についての、周波数に対する音響出力のコンピューターでシミュレートした曲線を示すグラフである。
【図8】図6の導波管についての、周波数に対する音響出力のコンピューターでシミュレートした曲線を示すグラフである。
【図9】図5の導波管の変形例の断面図である。
【図10】図9の導波管についての、周波数に対する音響出力のコンピューターでシミュレートした曲線を示すグラフである。
【図11】図9の導波管についての、周波数に対する音響出力のコンピューターでシミュレートした曲線を示すグラフである。
【図12】図7の導波管を図6の導波管に重ねた導波管の断面図である。
【図13】図12の導波管についての、周波数に対する音響出力のコンピューターでシミュレートした曲線を示すグラフである。
【図14】16個の区分を持つ図5による導波管についての周波数に対する音響出力のコンピューターでシミュレートした曲線を示すグラフである。
【図15】16個の区分を持つ、図12の導波管に図5による導波管を重ねることによって得られた導波管についての周波数に対する音響出力のコンピューターでシミュレートした曲線を示すグラフである。
【図16】多数の区分を持つ、図12の導波管に図5による多数の導波管を重ねることによって得られた導波管の断面図である。
【図17】以上の図面の導波管の区分の長さを説明する上で有用な、定在波を持つ導波管の断面図である。
【図18】本発明の他の実施例を示す導波管の断面図である。
【図19】本発明の他の実施例を示す導波管の断面図である。
【図20】本発明の他の実施例を示す導波管の断面図である。
【図21】図1及び図5の実施例を組み合わせた導波管の断面図である。
【図22】図1の実施例と組み合わせた図6の実施例と同様の断面図である。
【図23】図1の実施例と組み合わせた図9の実施例と同様の断面図である。
【図24】図1の実施例と組み合わせた図12の実施例と同様の断面図である。
【図25】図16の実施例を図1の実施例と組み合わせた導波管の断面図である。
【図26】図16の実施例を図1の実施例と組み合わせた導波管の断面図である。
【符号の説明】
10 電気音響変換器
12 第1端部即ち末端
14 導波管
16 第2端部即ち末端
Claims (24)
- 音波を放射するための導波管システムであって、
前記導波管システムは、音波を伝達するための低損失の音響導波管を有し、
前記導波管は、
音波源に連結されるように構成された第1末端と、
前記音波を外部環境に放射するように構成された第2末端と、
前記導波管の長さに沿って延在する中心線と、
前記中心線に対して垂直な複数の平面内に形成された複数の断面領域を包囲する複数の壁とを有し、
前記壁は、前記第2末端の断面積が前記第1末端の断面積よりも小さくなるように、テーパした形状を成すように構成し、
前記断面積は、
- 前記断面積は、前記第1末端からの距離の関数として徐々に減少するように構成した、請求項1に記載の導波管システム。
- 前記第2末端の断面積は、前記第1末端の断面積の半分以下である、請求項1に記載の導波管システム。
- 前記第2末端の断面積は、前記第1末端の断面積の約七分の一である、請求項3に記載の導波管システム。
- 音波を放射するための導波管システムであって、前記導波管システムは、音波を伝達するための低損失の導波管を有し、前記導波管は、
前記音波の発生源に連結されるように構成された第1末端と、
前記音波を外部環境に放射するように構成された第2末端と、
中心線と、
前記中心線に対して垂直な複数の平面の複数の断面領域を包囲する複数の壁と、
前記中心線の長さに沿う複数の区分とを有し、
前記複数の区分は、それぞれ、第1端部と第2端部とを有し、
前記第1端部は前記第1末端により近く配置され、前記第2端部は前記第2末端により近く配置され、前記複数の区分は、それぞれ、前記区分の容積を前記中心線に沿った前記区分の長さで除した平均断面積を有し、
前記複数の区分のうちの第1区分と前記複数の区分のうちの第2区分とは、前記第1区分の前記第2端部と前記第2区分の前記第1区分とが連結するように、構成され、且つ、配置され、
前記第1区分の前記第2端部の断面積は、前記第2区分の前記第1端部の断面積とは、十分に異なるように形成され、
前記導波管は、前記低損失導波管の有効長さIにほぼ等しい波長を有する定在圧力波を形成するように構成され且つ配置され、前記定在圧力波は複数の圧力零位点を有し、前記連結は、前記複数の圧力零位点のうちの一つに一致するように位置決めされている、ことを特徴とする、音波を放射するための導波管システム。 - 前記第1区分の前記平均断面積は、前記第2区分の前記平均断面積とは、十分に異なるように形成された、請求項5に記載の導波管システム。
- 前記第1区分の断面積は実質的に一定である、請求項5に記載の導波管システム。
- 前記第2区分の断面積は実質的に一定である、請求項6に記載の導波管システム。
- 偶数の区分が存在する、請求項5に記載の導波管システム。
- 一つおきの区分からなる第1の組の平均断面積の積は、一つおきの区分からなる第2の組の平均断面積の積の約3倍である、請求項9に記載の導波管システム。
- 前記第1区分の前記第2端部の断面積が、前記第1区分の前記第1端部の断面積よりも小さくなるように、前記壁はテーパした形状に形成されている、請求項5に記載の導波管システム。
- 前記第2区分の前記第2端部の断面積が、前記第2区分の前記第1端部の断面積よりも小さくなるように、前記壁はテーパした形状に形成されている、請求項5に記載の導波管システム。
- 前記第1区分及び前記第2区分の前記第2端部の断面積が、前記第1区分及び前記第2区分の前記第1端部の断面積よりも小さくなるように、前記壁はテーパした形状に形成されている、請求項5に記載の導波管システム。
- 前記導波管は、前記低損失導波管の有効長さIにほぼ等しい波長を有する定在容積速度波を発生するように形成され且つ構成され、
前記容積速度定在波は複数の零位点を有し、
前記連結は、前記容積速度零位点のうちの一つに一致するように位置決めされている、請求項5に記載の導波管システム。 - 音波を放射するための導波管システムにおいて、
前記導波管システムは、音波を伝達するための低損失導波管を有し、
前記導波管は、
前記音波の発生源に連結されるように構成された第1末端と、
前記音波を外部環境に放射するように構成された第2末端と、
前記導波管の長さに沿って延在する中心線と、
前記中心線に対して垂直な複数の平面内に形成された複数の断面領域を包囲する複数の壁と、
前記中心線の長さに沿う複数の区分とを有し、前記複数の区分は、それぞれ、第1端部と第2端部とを有し、
前記第1端部は前記第1末端により近く配置され、前記第2端部は前記第2末端により近く配置され、前記複数の区分はそれぞれ平均断面積を有し、
前記複数の区分のうちの第1区分と前記複数の区分のうちの第2区分は、前記第1区分の前記第2端部が前記第2区分の前記第1端部と連結されるように構成され且つ配置され、
前記第1区分の断面積は、前記第1端部から前記第2端部まで、第1の指数関数に従って増大し、前記第1区分の前記第2端部の断面積は、前記第2区分の前記第1端部の断面積よりも大きく形成されている、ことを特徴とする、音波を放射するための導波管システム。 - 前記第2区分の前記断面は、前記第1端部から前記第2端部まで、第1の指数関数に従って増大する、請求項15に記載の導波管システム。
- 前記第2区分の前記断面は、前記第1端部から前記第2端部まで、第2の指数関数に従って増大する、請求項15に記載の導波管システム。
- 音波を放射するための導波管システムにおいて、
前記導波管システムは、同調周波数の音波を伝達するための低損失導波管を有し、
前記周波数は、対応する波長を有し、
前記導波管は、
前記導波管の長さに沿って延在する中心線と、
前記中心線に対して垂直な複数の平面内に形成された複数の断面領域を包囲する複数の壁と、
前記中心線に沿う複数の区分とを有し、
前記複数の区分は、それぞれ、前記波長の約四分の一の長さを有し、
前記複数の区分はそれぞれ平均断面積を有し、
前記複数の区分のうちの第1区分の平均断面積は、前記複数の区分のうちの隣接する区分の平均断面積とは異なるように構成された、ことを特徴とする、音波を放射するための導波管システム。 - 前記第1区分の断面積は実質的に一定である、請求項18に記載の導波管システム。
- 前記隣接する区分の断面積は実質的に一定である、請求項19に記載の導波管システム。
- 一つおきの区分で構成された第1の組の前記平均断面積の積は、一つおきの区分で構成された第2の組の前記平均断面積の積の約3倍である、請求項18に記載の導波管システム。
- 定在圧力波及び定在容積速度波を発生するように構成され且つ配置された、音波を放射するための導波管において、
前記定在容積速度波は、前記導波管の有効長さIにほぼ等しい波長を有し、
前記定在容積速度波は複数の容積速度零位点を有し、
前記定在圧力波は、前記導波管の有効長さIとほぼ等しい波長を有し、
前記定在圧力波は複数の圧力零位点を有し、
前記複数の圧力零位点は前記容積速度零位点同士の間で発生し、
前記容積速度零位点と前記圧力零位点とが前記導波管の複数の区分の境界を画定し、前記複数の区分はそれぞれ平均断面積を有し、
一つおきの区分で構成される第1の組の前記平均断面積の積は、一つおきの区分で構成される第2の組の前記平均断面積の積の2倍以上である、ことを特徴とする、音波を放射するための導波管。 - 一つおきの区分で構成される前記第1の組の前記平均断面積の前記積は、一つおきの区分で構成される前記第2の組の前記平均断面積の前記積の約3倍である、請求項22に記載の導波管。
- 前記複数の区分のうちの一つの区分の平均断面積は、隣接する区分のいずれよりも大きい、請求項22に記載の導波管。
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