JP4417485B2 - マルチトール球形顆粒 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
【0002】
本発明はマルチトール球形顆粒に関し、詳細には、食品及び医薬品の賦形剤及び甘味料として有用なマルチトールを主成分とした、高純度マルチトールを用いたマルチトール球形顆粒に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
【0004】
薬剤に徐放性や腸溶性を付与する方法として、セルロースアセテートフタレート(CAP)やヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)等の二塩基酸モノエステル誘導体などを錠剤やカプセルの表面にコーティングする方法や、カプセル基剤そのものに腸溶性物質を用いる方法、球形顆粒の表面を溶出制御層でコーティングした後カプセルに入れる方法等が検討・実用化されている。
【0005】
その中でも、球形顆粒は容易に秤量が可能であり、粉末剤・錠剤・カプセル剤と比較してそのままで服用し易いこと、粉末剤に比べ付着性・飛散製・流動性に優れていることなどから、薬剤層や溶出制御層を直接コーティングできる顆粒剤の開発が望まれている。
【0006】
球形顆粒を製造するのに適した物質や製造方法については、既に数多くの提案が紹介されており、その原料としては主に、蔗糖、蔗糖と澱粉の混合物、結晶セルロース、乳糖などが用いられている。
【0007】
また、近年では低カロリー、虫歯になりにくい、メイラード反応や加熱による褐変防止、などの理由から、糖アルコールを原料とした球形顆粒やその製造方法が特開平11−92403号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、蔗糖は水に対する溶解性が高いため、球形粒子の表面に薬剤や溶出制御層剤をコーティングする際に、粒子同士が凝集したり造粒装置の内側に付着することがある。この方法で製造した医薬品は服用後、水分の浸透により蔗糖が溶出し保型性が悪くなるため、期待する徐放性能が維持できないことがある。
【0010】
乳糖を用いる場合も、乳糖そのものは適度な結合性を有していないため、澱粉や多糖類などの増粘剤を添加剤として加えなければならない。
【0011】
結晶セルロースを用いた場合、結晶セルロースの水に対する溶解性が低いため、口解けが悪くなり、経口摂取に適した物質とは言えない。
【0012】
更に、蔗糖、乳糖、結晶セルロースなどは、何れも還元性のアルデヒド基を有するため、酸や熱に不安定であり、顆粒剤を得る際の製造条件及び用途が制限されてしまうなどの欠点を有していた。
【0013】
一方、糖類を用いた場合に起り得る欠点を改善するため、糖アルコールを原料とした球形顆粒およびその製造方法について、特開平11−92403号公報に記載されている。この文献は、表面の平滑性が高く、摩損度の低い単一種類の物質の球形粒及びその製造方法を開示している。しかしながら、該文献が開示する球形顆粒の原料として使用される糖アルコールは、飽和水溶液の状態で粘度が10cps以下となるような、低粘性物質に限られている。
【0014】
飽和水溶液の状態で粘度が低い物質は、水に対する溶解度が高くないことを示している。よって、経口摂取した際、口内において局地的に飽和な状態が生じた場合、なめらかな口解け感を得られにくい。
【0015】
また、該公報の段落番号[0044]には、「本発明の単一物質球形粒の製造に使用される遠心転動装置において噴霧する液は、水単独でもよいが、所望により少量の水溶性高分子を溶解させてもよいし、単一物質水溶液、又はこれらに着色剤等を少量添加したものであってもよい。しかし、通常は水単独の使用が好ましい。」と記載されており、結合剤として噴霧される液の粘度も、非常に低いものに限定されている。
【0016】
しかしながら、結合剤とは核とコーティング層を形成する賦形製剤とを結着させるために使用するものであるから、このような低粘度の液体を結合剤として用いた場合、十分な結着性を得ることが難しい。さらに、結着性が低いため、コーティング層を形成する賦形製剤が核に付着しにくく、所望の厚さを有する球形顆粒を得るまでの製造工程が長期化してしまう。そして、結着性の低下は、最終的に得られる球形顆粒に十分な強度を与えることが難しくなってしまう。
【0017】
また、粘度の低い結合剤は芯剤となる核の表面に薄く延びるため、核の形状及び大きさの影響を受けやすい。このため該公報による発明では、球形顆粒の核として使用できる核の大きさが500μmよりも小さいものに限定されてしまう。しかしながら、このような小さい核を使用すると、所望の大きさの球形顆粒を得るまで、製造に要する時間が長くなってしまう。
【0018】
以上の観点から、低カロリーで、虫歯の原因とならず、メイラード反応や分解反応が起りにくく、水に対する溶解度の高い物質で構成され、十分な硬度を有し、なおかつ滑らかな口解け感を与える、新しい球形顆粒の開発が望まれていた。
【0019】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者等の鋭意研究の結果、球形顆粒を構成する核、結合剤としてのマルチトール水溶液、コーティング層賦形製剤としてのマルチトール粉末のそれぞれについて、高純度のマルチトールを用い、さらに結合剤について特定の濃度範囲で使用することにより、実質的にマルチトールのみで構成される球形顆粒の製造が可能となり、かかる課題をすべて解決し本発明を完成するに至った。
【0021】
即ち、課題を解決する手段は以下の通りである。
【0022】
第1に、マルチトールを含有する核の周囲を、マルチトール層でコーティングした球形顆粒であって、固形分の93.5重量%以上、好ましくは96.0重量%以上、さらに好ましくは98.0重量%以上がマルチトールであることを特徴とする、マルチトール球形顆粒。
第2に、マルチトールを含有する核に、マルチトール水溶液を噴霧することでマルチトール層を形成した球形顆粒であって、固形分の93.5重量%以上、好ましくは96.0重量%以上、さらに、好ましくは98.0重量%以上がマルチトールであることを特徴とする、マルチトール球形顆粒。
第3に、マルチトールを含有する核に、マルチトール水溶液を噴霧しつつ、マルチトール粉末を掛けることでマルチトール層を形成した球形顆粒であって、固形分の93.5重量%以上、好ましくは96.0重量%以上、さらに、好ましくは98.0重量%以上がマルチトールであることを特徴とする、マルチトール球形顆粒。
第4に、マルチトール水溶液の固形分の98.0重量%以上が、マルチトールであることを特徴とする、上記第2又は第3に記載のマルチトール球形顆粒。
第5に、マルチトール水溶液の固形分濃度が、40〜60%、好ましくは45〜55%、さらに好ましくは48〜52%であることを特徴とする、上記第4に記載のマルチトール球形顆粒。
第6に、核を構成する固形分の93.5重量%以上、好ましくは98.0重量%以上がマルチトールであることを特徴とする、上記第1〜5の何れか一つに記載のマルチトール球形顆粒。
第7に、核の大きさが18メッシュパスである、上記第1〜6の何れか一つに記載のマルチトール球形顆粒。
第8に、マルチトール粉末の固形分の93.5重量%以上、好ましくは98.0重量%以上がマルチトールであることを特徴とする、上記第3に記載のマルチトール球形顆粒。
第9に、マルチトール粉末が、50メッシュパスの粉体であることを特徴とする、上記第8に記載のマルチトール球形顆粒。
【0023】
本願発明のマルチトール球形顆粒は、マルチトールを含有する核、主に結合剤として用いるマルチトール水溶液、コーティング層賦形製剤として用いるマルチトール粉末を原料とするが、いずれも高純度のマルチトールを含有することが、本願発明を好適に実施するうえで、重要な要素である。
【0024】
本願発明にかかる結合剤として用いるマルチトール水溶液は、固形分の98.0重量%以上がマルチトールであることが必要である。また、マルチトール水溶液は、固形分濃度が40〜60%、好ましくは45〜55%、さらに好ましくは48〜52%の固形分濃度を有していることが必要である。
【0025】
このような高純度で、適度な固形分濃度を有したマルチトール水溶液を結合剤に用いることにより、以下に示す特徴的な性質を利用することができる。
【0026】
即ち、マルチトールは糖アルコールの中でも水に対する溶解度が高く、水溶液にした場合に比較的高い粘度が得られる。そして、マルチトールは結晶化速度が遅く、また、水溶液中のマルチトール純度が低くなると結晶化しなくなってしまう。このように、マルチトール水溶液からなる結合剤が有する適度な粘度と特徴的な結晶化形態により、コーティング層を形成させるための強固な結着剤としての役割を果たす一方で、結合剤が核に対して付着しても、すぐに結晶化することなく、いびつな形状や粒径の大きな核であっても、その表面の凹凸を均一に覆い隠すように延びるため、所望の大きさの球形顆粒を容易に製造することが可能となる。
【0027】
また、本願発明にかかる結合剤は適度な粘度を有しているため、核の表面を覆った結合剤に対して、コーティング層賦形製剤の吸着が促進する。結合剤に吸着した大量の粉末状マルチトールは、結合剤であるマルチトール水溶液に対して種結晶として作用するため、結合剤中のマルチトールの結晶化が進行するようになる。この様にして得られるコーティング層は、結合剤の粘度が高いために結着性に優れ、高い強度をもったコーティング層を得ることができる。
【0028】
結合剤となるマルチトール水溶液中のマルチトール純度が98.0%より低くなると、核に付着した時に核を溶解してしまい、球形顆粒に必要な核が溶解してしまうため、球形顆粒の製造が困難になる。また、純度の低いマルチトール溶液は、種結晶を添加してもマルチトールの結晶化が起らないため、コーティング層賦形製剤を噴霧しても、べとついたままで球形顆粒とならない。
【0029】
結合剤となるマルチトール水溶液の固形分濃度が40%以下の場合には、噴霧した液が核となるマルチトールを溶解してしまい好ましくない。また、結合剤の粘度が低いため、核の表面に噴霧される結合剤の核に対する付着力も減少してしまい、所望の大きさの球形顆粒を得るまでの工程に長時間を要してしまう。
【0030】
結合剤となるマルチトール水溶液の固形分濃度が60%以上になると、結合剤の粘度が高くなりすぎてしまい好ましくない。即ち、結合剤の粘度が高くなりすぎると、核の表面に噴霧される結合剤の伸びが悪くなるため、核同士の付着が起きたり、核表面に均一に付着しないなど、均一な球形顆粒とならない。また、核表面に均一に付着しないため、球状にコーティングすることができず、いびつな形になったり、平滑な球形面を得ることができなくなってしまう。
【0031】
本願発明にかかる核とは、球形顆粒の芯剤となる物質であり、核を構成する物質の固形分のマルチトール含有量は、93.5重量%以上、好ましくは98.0重量%以上のマルチトール結晶やその含蜜結晶などが好適に使用できる。ただし、マルチトール純度が本願発明の実施を妨げない程度であれば、結晶や含蜜結晶だけに限定されない。即ち、高純度マルチトール粉体を造粒して得られた、マルチトール造粒物も本願発明の核として使用可能である。
【0032】
本願発明で使用される核は、18メッシュの篩いを通過する程度の大きさであれば、本願発明の実施を妨げない限り、その大きさや形状については特に限定されない。また、本願発明を実施する際、篩い分けをして核の大きさを均一に整えることで、より好適に実施できる。
【0033】
核に用いられるマルチトールの純度が93.5%よりも低下してしまうと、核そのものが吸湿しやすくなるため、球形顆粒製造中に核同士が付着してしまったり、潮解する恐れがあるため好ましくない。
【0034】
本願発明にかかるコーティング層賦形製剤とは、結合剤と共に用いることで核の表面を球形状に被覆していくための物質であり、マルチトール純度が93.5%以上、好ましくは98.0%以上の高純度マルチトールの粉末が使用される。マルチトールの粉末は、マルチトール結晶やその含蜜結晶を破砕粉末化し、篩い分け等により粒度調整を行なうことにより得ることができるが、本願発明の実施を妨げない程度の純度を有していれば、その原料および製造方法は特に問わない。また、本願発明において使用するマルチトール粉末は、50メッシュの篩を通過する程度の大きさであれば、問題なく使用できるが、篩い分けによって粒度を均一に整えたり、粉末を50μm以下の粒子サイズにすることによって、さらに好適に球形顆粒の製造ができる。
【0035】
本願発明におけるコーティング層賦形製剤の役割は、コーティング層の形成にあるが、もう一つの働きとして、結合剤として噴霧されるマルチトール水溶液から、結晶を析出させる種結晶としての役割がある。よって、この点からも、コーティング層賦形製剤について高純度マルチトールを用いることが必要である。コーティング層賦形製剤のマルチトール純度が低下すると種結晶として作用しなくなり、結合剤がコーティング層を形成するための結着剤として作用しなくなる。
【0036】
コーティング層賦形製剤のマルチトール純度が低くなると、吸湿性が高くなり、べとついた状態になり易い。また、上述の通り種結晶として作用させる意味もあるため、マルチトール純度が93.5%以下の物は好ましくない。
【0037】
本願発明に係る球形顆粒は、高純度のマルチトールにより製造される全ての球形顆粒を含み、製造方法による限定をうけない。即ち、球形顆粒の製造において、適当な攪拌力及び回転力を連続的又は継続的に与えられるものであり、乾燥空気などによる乾燥を適宜行なうことにより、公知の造粒方法を使用して容易に製造することができる。
【0038】
なお、球形顆粒の製造において、十分な乾燥を行なうことにより、結合剤であるマルチトール水溶液の水分を蒸発させることが可能な場合、結合剤として噴霧したマルチトール水溶液は、核そのものを種結晶として結晶化し、球形顆粒を形成させることも可能であるので、マルチトール粉末を用いること無く、球形顆粒を製造することが可能である。
【0039】
本願発明は、特に高純度のマルチトールを用いることにより好適に実施できるが、球形顆粒の製造を妨げない範囲であれば、酸味料、高甘味剤、フレーバーなどをそれぞれ任意に配合してもよい。
【0040】
また、本願発明にかかる球形顆粒は、本質的にマルチトールからなるため、甘味剤としての利用や、圧縮成形処理により錠剤として利用することも可能である。
【0041】
【実施例】
【0042】
以下、実施例および比較例に従ってそれぞれ球形顆粒の製造を行い、その形状や物性などの比較試験を行い、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
本実施例及び比較例では、いずれも東和化成工業株式会社製のマルチトール製品を使用した。これらのマルチトール製品の純度および製品名について、表1に記載した。
【0043】
【表1】
【0044】
【実施例1】
【0045】
核として48メッシュ(以下、メッシュはMと省略する)パス、60Mオンの大きさの高純度結晶マルチトール[レシス(商品名)、マルチトール純度99.0%]350gを、遠心流動造粒装置(フロイント産業(株))に仕込み、回転円盤を230rpmで回転させ、回転円盤下方からは空気を流入させた状態で、50Mパスの高純度結晶マルチトール微粉末[レシス(商品名)、マルチトール純度99.0%]700gを撒布しつつ、固形分濃度51%の高純度マルチトール水溶液(水溶液中の固形分のマルチトール含有量99.0重量%)240gを1時間かけて噴霧した。
この方法により、固形分のマルチトール含有量が99.0重量%で、32Mパス、48Mオンの良好なマルチトール球形顆粒が91.0%の収率で得られた。該球形顆粒は、カサ比重が0.77g/mlであり、安息角が32.5度であった。
【0046】
【実施例2】
【0047】
核として48Mパス、60Mオンの大きさの高純度結晶マルチトール[アマルティMR(商品名)、マルチトール純度95.0%]350gを用いた他は、実施例1と同様に操作し球形顆粒の製造を行なった。
その結果、固形分のマルチトール含有量が97.5重量%で、32〜48Mの良好な球形顆粒が89.9%の収率で得られた。該球形顆粒は、カサ比重が0.79g/mlであり、安息角が33.1度であった。
【0048】
【実施例3】
【0049】
撒布微粉末として100Mパスの高純度結晶マルチトール微粉末[アマルティMR(商品名)、マルチトール純度95.0%]700gを用いた他は、実施例1と同様に操作し球形顆粒の製造を行なった。
その結果、固形分のマルチトール含有量が96.5重量%で、32〜48Mの良好な球形顆粒が91.8%の収率で得られた。該球形顆粒は、カサ比重が0.76g/mlであり、安息角が32.0度であった。
【0050】
【実施例4】
【0051】
核として24Mパス、32Mオンの高純度結晶マルチトール[アマルティMR(商品名)、マルチトール純度95.0%]350g、撒布微粉末として50Mパスの高純度結晶マルチトール微粉末[アマルティMR(商品名)、マルチトール純度95.0%]700gを用いた他は、実施例1と同様に操作し球形顆粒の製造を行なった。
その結果、固形分のマルチトール含有量が95.1重量%で、16Mパス、24Mオンの良好な球形顆粒が90.1%の収率で得られた。該球形顆粒は、カサ比重が0.79g/mlであり、安息角が33.2度であった。
【0052】
【実施例5】
【0053】
実施例1で得られた32Mパス、48Mオンの球形顆粒を核として用いた他は、実施例1と同様に操作して、固形分のマルチトール含有量が99.0重量%で、12Mパス、16Mオンの良好なマルチトール球形顆粒を、91.5%の収率で得た。該球形顆粒は、カサ比重が0.81g/mlであり、安息角が33.5度であった。
この球形顆粒の表面構造についての電子顕微鏡写真を、50倍の倍率で撮影し、図1に示した。
該写真によると、本実施例で得られた球形顆粒は、表面がマルチトール結晶に均一に覆われ、球状化した顆粒になっていることが確認できた。
【0054】
【実施例6】
【0055】
核として48Mパス、60Mオンの大きさの高純度結晶マルチトール[レシス(商品名)、マルチトール純度99.0%]350gを、遠心転動造粒装置(フロイント産業(株))に仕込み、回転円盤下方からは60℃に加温した乾燥空気を送入しつつ、回転円盤を230rpmで回転させた状態で、固形分濃度51%の高純度マルチトール水溶液(水溶液中の固形分のマルチトール含有量99.0重量%)1640gを8時間かけて噴霧した。なお、マルチトール水溶液が核に付着した際、付着したマルチトール水溶液からマルチトールの結晶化を促すように、連続的な噴霧を行わず断続的に噴霧することもできる。
この方法により、固形分のマルチトール含有量が99.0重量%で、32Mパス、48Mオンの良好なマルチトール球形顆粒が90.3%の収率で得られた。該球形顆粒は、カサ比重が0.77g/mlであり、安息角が32.5度であった。
【0056】
【比較例1】
【0057】
噴霧する水溶液として固形分濃度51%のマルチトール水溶液(水溶液中の固形分のマルチトール含有量95.0重量%)を用いた他は、実施例1と同様に操作した。しかし、噴霧した水溶液のマルチトール純度が低いため、水溶液中のマルチトールの結晶化が起りにくくなってしまい、その結果、核同士が付着してしまい、さらに表面が凸凹になり、良好な球形顆粒が得られなかった。
【0058】
【比較例2】
【0059】
噴霧する水溶液として固形分濃度51%のマルチトール水溶液(水溶液中の固形分のマルチトール含有量95.0重量%)、撒布微粉末として50Mパスの高純度結晶マルチトール微粉末[アマルティMR(商品名)、マルチトール純度95.0%]を用いた他は、実施例1と同様に操作した。結果は比較例1と同様に、水溶液からの結晶化が起りにくいため、核同士の付着が起り、表面が凸凹になり良好な球形顆粒が得られなかった。
【0060】
【比較例3】
【0061】
核として48Mパス、60Mオンの大きさの高純度結晶マルチトール[アマルティMR(商品名)、マルチトール純度95.0%]、噴霧する水溶液として固形分濃度51%のマルチトール水溶液(水溶液中の固形分のマルチトール含有量95.0重量%)、撒布微粉末として50Mパスの高純度結晶マルチトール微粉末[アマルティMR(商品名)、マルチトール純度95.0%]を用いたほか実施例1と同様に操作した。結果は比較例1と同様に、水溶液からの結晶化が起りにくいため、核同士の付着が起り、表面が凸凹になり良好な球形顆粒が得られなかった。
【0062】
【比較例4】
【0063】
核として48Mパス、60Mオンの大きさの高純度結晶マルチトール[アマルティMR(商品名)、マルチトール純度95.0%]、噴霧する水溶液として固形分濃度51%のマルチトール水溶液(水溶液中の固形分のマルチトール含有量95.0重量%)を用いた他は、実施例1と同様に操作した。結果は比較例1と同様に、水溶液からの結晶化が起りにくいため、核同士の付着が起り、表面が凸凹になり良好な球形顆粒が得られなかった。
【0064】
【比較例5】
【0065】
核として48Mパス、60Mオンの大きさのマルチトール含蜜結晶[アマルティP(商品名)、マルチトール純度91.0%]を用いた他は、実施例1と同様に操作した。しかし、このような低純度マルチトールは吸湿性が高いため、マルチトールの水溶液や微粉末を撒布する前に、核同士が付着してしまった。このため、良好な球形顆粒が得られなかった。
【0066】
【比較例6】
【0067】
撒布微粉末として50Mパスのマルチトール含蜜結晶[アマルティP(商品名)、マルチトール純度91.0%]を用いた他は、実施例1と同様に操作した。しかし、撒布した微粉末のマルチトール純度が低いため、同時に噴霧されているマルチトール水溶液に対して、マルチトールを結晶化させるための種結晶としての役割を果たさなかった。このため、核同士の付着が起り、良好な球形顆粒が得られなかった。
【0068】
【各例のまとめ】
【0069】
上述の実施例1〜6で得られた球形顆粒の物性、および比較例1〜6を含めた作業性について、表2にまとめた。
【0070】
ここで、球形顆粒表面の形状については、[◎:奇麗な球形で凹凸が無い状態、○:球形であるが若干凹凸のある状態、×:凹凸で双子が多い]の3段階で評価を行なった。
また、作業性については、[○:核同士の付着がなく製造が容易、×:核同士付着し作業困難]の2段階で評価を行なった。
【0071】
【表2】
【0072】
【試験例1】
(高純度マルチトール球形顆粒の溶解性)
【0073】
本願発明にかかる球形顆粒の溶解性について評価するため、32〜42Mと、24〜32Mの粒度範囲を持つものについて以下に示す溶解性試験を行なった。測定対象となる結晶マルチトールには、マルチトール純度99.0%のものを使用し、篩い分けを行ない粒度調整した。32〜42Mの粒度範囲を持った球形顆粒については、実施例1で得た球形顆粒を篩い分けし、粒度調整したものを用いた。24〜32Mの粒度範囲を持った球形顆粒については、実施例1で得られた球形顆粒を核として実施例1と同様に更にコーティングを行ない、より大きな球形顆粒を製造した後、篩い分けし、粒度調整を行なったものを用いた。
溶解性の測定は以下の手順で行なった。マグネッティックスターラー(40mm×5mmφ)の入った200mlビーカーに25℃の純水100gを入れ、次いで各サンプル10gをビーカー内に添加した。試料添加後、直ちに300rpmの速度で攪拌を開始した。攪拌開始後、ビーカー内に残存するサンプルが完全に溶解するまでの時間を目視により測定した。その結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
【試験例2】
(球形顆粒の硬度)
【0076】
本願発明にかかる球形顆粒の硬度について評価するため、24〜32Mの粒度範囲を持つ球形顆粒について以下に示す硬さ試験を行なった。
24〜32Mの粒度範囲を持った球形顆粒については、実施例1で得られた球形顆粒を核として実施例1と同様に更にコーティングを行ない、より大きな球形顆粒を製造した後、篩い分けし、粒度調整を行なったものを用いた。比較対象として、フロイント産業(株)より市販されている球形顆粒(ノンパレル101)を用いた。
球形顆粒の硬度の測定には、クリープメータ(レオナー RE−33005:山電株式会社製)を用いた。測定には、クリープメータ専用のNo.4プランジャー(円柱形 15mmφ)を用い、圧縮速度1cm/minで圧縮を行ない、球形顆粒一粒が粉砕する時の強度を測定し、10回の測定結果の平均値を球形顆粒の硬度とした。その結果を、表4に示す。
【0077】
【表4】
【0078】
測定の結果、本願発明に係るマルチトール球形顆粒は、従来の球形顆粒よりも硬度が高く、丈夫で破砕しにくいことが解った。
【0079】
【発明の効果】
【0080】
以上、本願発明により、糖類および糖アルコール類を用いて製造される球形顆粒の両者の長所を併せ持った、新規なマルチトール球形顆粒が見出され、その製造が可能になった。
本願発明にかかるマルチトール球形顆粒は、本質的にマルチトールのみで構成されるため、糖類を原料とした場合と比較して、メイラード反応や分解反応が起りにくい、虫歯になりにくい、保存安定性が良い、カロリーが低いなどの効果を有している。また、従来まで紹介されていた糖アルコールを利用した球形顆粒と比較して、水に対する溶解度が高いため、口解けが良く、硬度が高いため丈夫で破砕しにくい、という特徴を有している。
また、本願発明はマルチトールのみで構成されているため、医薬用品のみならず、食品用途にも使用可能であり、また特段の加工をしなくても甘味剤としても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5で得られた球形顆粒の50倍の電子顕微鏡写真
Claims (4)
- 核を構成する固形分の93.5重量%以上がマルチトールである核に、固形分の98.0重量%以上がマルチトールであって、固形分濃度が40〜60%であるマルチトール水溶液を噴霧することでマルチトール層を形成した球形顆粒であることを特徴とする、マルチトール球形顆粒。
- 核を構成する固形分の93.5重量%以上がマルチトールである核に、固形分の98.0重量%以上がマルチトールであって、固形分濃度が40〜60%であるマルチトール水溶液を噴霧しつつ、固形分の93.5重量%以上がマルチトールであるマルチトール粉末を掛けることでマルチトール層を形成した球形顆粒であることを特徴とする、マルチトール球形顆粒。
- 核の大きさが18メッシュパスである、請求項1または2に記載のマルチトール球形顆粒。
- マルチトール粉末が、50メッシュパスの粉体であることを特徴とする、請求項2または3に記載のマルチトール球形顆粒。
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