JP4417019B2 - マスク装置及び真空成膜装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空成膜装置に関し、特に、有機EL素子等の大型基板に対して大量に成膜を行うための真空成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の真空成膜装置においては、所定の蒸着源を有する真空槽内に基板を配置し、蒸着材料を蒸発させその蒸気をマスクを介して基板に蒸着させることにより所定のパターンの膜を形成するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば有機EL素子においては、基板上に複数パターンの膜を多層に形成する必要がある。
【0004】
しかし、従来技術の場合、異なるパターンの膜を形成するためには、他の真空槽に移動させ別のプロセスで成膜を行わなければならないため、複数のパターンの成膜を高速で連続的に行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、複数のパターンの成膜を高速で連続的に行うことが可能なマスク装置及び真空成膜装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、所定の基板を支持する基板支持部と、前記基板に対応する成膜用のマスクを成膜位置に着脱自在に装着可能なマスク装着部と、前記マスクを収容する複数の収容部を有するマスク収容部とを有し、前記マスク収容部が、前記マスク装着部に装着されたマスク上の基板背面側の位置に設けられており、前記マスク装着部と前記マスク収容部との間で所定のマスクを移動するように構成されているマスク装置である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記マスク収容部と前記マスク装着部との間には、ゴミ除け板が設けられているものである。
請求項記載の発明は、請求項又はのいずれか1項記載の発明において、前記マスク収容部が、複数のマスクを所定の間隔をおいて重ねて支持するように構成されているものである。
請求項記載の発明は、真空槽と、前記真空槽内に設けられた蒸着源と、前記真空槽内に設けられ、請求項1乃至のいずれか1項記載の複数のマスク装置と、前記マスク装置のマスク装着部とマスク収容部との間で所定のマスクを移動するための搬送機構とを備え、前記マスク装置が、前記真空槽内において前記蒸着源に対して相対的に移動するように構成されている真空成膜装置である。
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、前記マスク装置のマスク収容部に収容されるマスクに対応する複数の蒸着源を有するものである。
【0007】
本発明のマスク装置は、マスク装着部とマスク収容部との間で所定のマスクを移動するように構成されているため、例えば異なる成膜パターンを有する複数のマスクを単一の成膜室内において交換することによって、複数のパターンの成膜を高速で連続的に行うことが可能になる。
【0008】
また、本発明では、マスク収容部が、マスク装着部に装着されたマスク上の基板背面側の位置に設けられていることから、成膜の際、収容したマスクに成膜材料が到達して汚染することがない。
【0009】
本発明において、マスク収容部が、マスク装着部に装着されたマスク上の基板背面側にゴミ除け板を介して設けられている場合には、既に使用済みのマスクから剥離したゴミが基板の背面に到達することがない。
【0010】
この場合、マスク収容部が、複数のマスクを所定の間隔をおいて重ねて支持するように構成されていれば、コンパクトな構成で複数のマスクを収容することが可能になる。
【0011】
さらに、本発明の真空成膜装置によれば、大量の基板に対して複数のパターンの成膜を高速で連続的に行うことが可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る真空成膜装置の実施の形態の全体を示す外観斜視図、図2は、同真空成膜装置の全体を示す平面構成図、図3は、同真空成膜装置の内部を示す斜視図である。
【0013】
図1〜図3に示すように、本実施の形態においては、クラスター型の第1の真空成膜装置1と、インライン型の第2の真空成膜装置2とを備えている。
【0014】
第1の成膜装置1は、搬送ロボット11を有する搬送室10の周囲に、基板搬出入用の真空カセット室12、前処理室13、成膜室14、交換用マスク室15とが配置されて構成され、これらは図示しない真空排気系に接続されている。
【0015】
第2の成膜装置2は、例えば有機EL素子の有機膜を形成するためのもので、搬出入口20aを介して上記搬送室10に連結された成膜室20を有し、この成膜室20は、図示しない真空排気系に接続されている。
【0016】
そして、搬送室10内に設けられた搬送ロボット11により搬出入口20aを介して基板7の受け渡しを行うように構成されている。
【0017】
本実施の形態の成膜室20は箱型形状に形成され、その下部には、第1〜第3の蒸着源3〜5が配設されている。
【0018】
成膜室20内には、多数のマスク装置6が設けられ、各マスク装置6は、図示しない搬送機構によって移動するように構成されている。
【0019】
本実施の形態の場合、各マスク装置6は、成膜室20の内側部に沿って移動し、搬出入口20aを介して基板7の受け渡しを行うとともに、第1〜第3の蒸着源3〜5上を通過して成膜を行うように構成されている。
【0020】
また、成膜室20の上記第1の成膜装置1と反対側の外側部には、後述するマスク3を交換するためのマスク交換ロボット21a、22aを有する第1及び第2のマスク交換装置21、22が設けられている。
【0021】
また、成膜室20内のマスク交換装置21、22側の隅部には、マスク装置6の方向を切り換えるための第1及び第2の方向転換装置23、24が設けられている。
【0022】
これら第1及び第2の方向転換装置23、24は、載置されたマスク装置6を90度回転するように構成されている。
【0023】
さらに、第1及び第2の方向転換装置23、24の近傍には、後述するするように基板7を移動させるための基板支持アーム25が設けられている。
【0024】
図4(a)は、本実施の形態のマスク装置の構成を示す斜視図、図4(b)は、同マスク装置の構成を示す正面図である。
【0025】
図4(a)(b)に示すように、本実施の形態のマスク装置6は、例えば四角形状のトレー60を有し、このトレー60上の開口部(図示せず)を覆うようにマスク装着部60aが設けられている。
【0026】
このマスク装着部60aには、マスク30を昇降させるためのマスク支持ピン26が設けられている(図6(e)参照)。
【0027】
そして、このトレー60のマスク装着部60aの上方、すなわち、基板背面側には、ゴミ除け板8を支持するゴミ除け板支持部61と、マスクを収容するためのマスク収容部62が設けられている。
【0028】
本実施の形態のゴミ除け板支持部61は、トレー60のマスク装着部60aの周囲に設けられた4つの支柱63に支持片61aが形成され、これら支持片61aによってゴミ除け板8の四隅の部分を支持するように構成されている。
【0029】
これにより、ゴミ除け板8は、トレー60のマスク装着部60aに装着されたマスク30や基板7の直上の所定の高さ位置に支持される。
【0030】
また、本実施の形態の場合、マスク収容部62は、ゴミ除け板支持部61の上方の位置に設けられた第1〜第3の収容部64〜66を有している。
【0031】
ここで、第1〜第3の収容部64〜66は、上記各支柱63のゴミ除け板支持部61の上方に所定の間隔をおいて形成された支持片64a〜66aから構成され、これにより第1〜第3のマスク31〜33がゴミ除け板8の直上の所定の高さ位置に重ねて支持されるようになっている。
【0032】
したがって、本実施の形態においては、既に使用済みのマスク31〜33から剥離したゴミが基板7の背面に到達することがない。
【0033】
なお、本実施の形態の場合、第1〜第3のマスク31〜33は、異なるパターンを有するものが用いられる。
【0034】
図5(a)〜図8(o)は、本実施の形態の動作を示す斜視図である。
本実施の形態において基板7に成膜を行うには、搬送室10内の搬送ロボット11を用い、搬出入口20aを介して複数の基板7を成膜室20内に搬入する。
【0035】
そして、図5(a)に示すように、トレー60上の第1のマスク31に基板7を装着し、このマスク装置6を第1の蒸着源3に向って搬送する。
【0036】
さらに、第1の蒸着源3の上方をマスク装置6を順次通過させることによって基板7上に第1の有機薄膜を蒸着する。
【0037】
その後、第1の方向転換装置23によってマスク装置6を90度回転させる。その際、図5(b)(c)に示すように、基板支持アーム25によって基板7を持ち上げ、さらに、図5(d)及び図6(e)に示すように、マスク支持ピン26によって第1のマスク31を持ち上げる。
【0038】
なお、基板支持アーム25を駆動する基板支持アーム機構(図示せず)は成膜室20の天井部分に設置し、マスク支持ピン26を駆動するマスク支持ピン機構(図示せず)は第1及び第2の方向転換装置23、24の下部に設置すればよい。
【0039】
そして、図6(e)〜(h)に示すように、第1のマスク交換装置21内のマスク交換ロボット21aを用いて第1のマスク31を取り出し、マスク収容部62の第1の収容部64に収容する。
【0040】
さらに、図7(i)〜(l)に示すように、マスク交換ロボット21aを用いてマスク収容部62の第3の収容部66から第3のマスク33を取り出し、マスク支持ピン26に支持させる。
【0041】
そして、図8(m)に示すように、第3のマスク33をトレー60のマスク装着部60aに配置し、さらに、図8(n)(o)に示すように、基板支持アーム25を下降させて基板7を第3のマスク33に装着する。
【0042】
その後、マスク装置6を第2の蒸着源4に向って搬送し、第2の蒸着源4の上方を順次通過させることによって基板7に第2の有機薄膜を蒸着する。
【0043】
そして、第2の方向転換装置24によってマスク装置6を90度回転させ、第2のマスク交換装置22を用い、上記同様の動作を行うことによって第3のマスク33と第2のマスク32の交換を行う。
【0044】
さらに、マスク装置6を第3の蒸着源5に向って搬送し、第3の蒸着源5の上方を順次通過させることによって基板7に第3の有機薄膜を蒸着する。
【0045】
その後、マスク装置6を搬出入口20aに向って搬送し、搬送室10内の搬送ロボット11を用い、搬出入口20aを介して基板7の受け渡しを行う。
【0046】
また、搬送ロボット11を用い、搬出入口20aを介して第2のマスク32と第1のマスク31の交換を行ってもよい。
【0047】
以上述べたように本実施の形態のマスク装置6は、マスク装着部60aとマスク収容部62との間で第1〜第3のマスク31〜33を移動するように構成されているため、異なる成膜パターンを有する第1〜第3のマスク31〜33を単一の成膜室20内において交換することによって、複数のパターンの成膜を高速で連続的に行うことができる。
【0048】
また、本実施の形態においては、マスク収容部62が、マスク装着部60aに装着された第1〜第3のマスク31〜33の基板背面側の位置に設けられていることから、成膜の際、収容した他の基板7等に成膜材料が到達して汚染することがない。
【0049】
さらに、本実施の形態においては、マスク収容部62が、第1〜第3のマスク31〜33を所定の間隔をおいて重ねて支持するように構成されていることから、コンパクトな構成で複数のマスクを収容することができる。
【0050】
このように、本実施の形態によれば、大量の基板7に対して複数のパターンの成膜を高速で連続的に行うことができる。
【0051】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上述の実施の形態においては、成膜用のマスクを三つ設けるようにしたが、本発明はこれに限られず、二つ又は四つ以上設けることも可能である。
【0052】
また、上述の実施の形態においては、第1〜第3のマスクのパターンが異なるようにしたが、同じパターンのマスクを用いることも可能である。
ただし、本発明の趣旨からすれば、異なるパターンのマスクを用いることが好ましい。
【0053】
さらに、本発明は、成膜のみならず種々の処理を行う装置に適用することができる。ただし、本発明は、上記実施の形態のように有機EL素子の有機薄膜を形成する装置に適用した場合に最も有効となるものである。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、複数のパターンの成膜を高速で連続的に行うことが可能な真空成膜装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空成膜装置の実施の形態の全体を示す外観斜視図
【図2】同真空成膜装置の全体を示す平面構成図
【図3】同真空成膜装置の内部を示す斜視図
【図4】(a):本実施の形態のマスク装置の構成を示す斜視図
(b):同マスク装置の構成を示す正面図
【図5】同実施の形態の動作を示す斜視図(その1)
【図6】同実施の形態の動作を示す斜視図(その2)
【図7】同実施の形態の動作を示す斜視図(その3)
【図8】同実施の形態の動作を示す斜視図(その4)
【符号の説明】
1…第1の真空成膜装置 2…第2の真空成膜装置 3〜5…第1〜第3の蒸着源 6…マスク装置 7…基板 8…ゴミ除け板 20…成膜室 21、22…マスク交換装置 31〜33…第1〜第3のマスク 61…ゴミ除け板収容部 62…マスク収容部

Claims (5)

  1. 所定の基板を支持する基板支持部と、
    前記基板に対応する成膜用のマスクを成膜位置に着脱自在に装着可能なマスク装着部と、
    前記マスクを収容する複数の収容部を有するマスク収容部とを有し、
    前記マスク収容部が、前記マスク装着部に装着されたマスク上の基板背面側の位置に設けられており、
    前記マスク装着部と前記マスク収容部との間で所定のマスクを移動するように構成されているマスク装置。
  2. 前記マスク収容部と前記マスク装着部との間には、ゴミ除け板が設けられている請求項1記載のマスク装置。
  3. 前記マスク収容部が、複数のマスクを所定の間隔をおいて重ねて支持するように構成されている請求項又はのいずれか1項記載のマスク装置。
  4. 真空槽と、
    前記真空槽内に設けられた蒸着源と、
    前記真空槽内に設けられ、請求項1乃至のいずれか1項記載の複数のマスク装置と、
    前記マスク装置のマスク装着部とマスク収容部との間で所定のマスクを移動するための搬送機構とを備え、
    前記マスク装置が、前記真空槽内において前記蒸着源に対して相対的に移動するように構成されている真空成膜装置。
  5. 前記マスク装置のマスク収容部に収容されるマスクに対応する複数の蒸着源を有する請求項記載の真空成膜装置。
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