まず、振れ補正装置が搭載されたレンズシステムとカメラシステムの構成について説明する。図15は、振れ補正装置を搭載したカメラシステム(レンズシステムを含む)の構成を示すブロック図である。
200はカメラ本体、300は交換レンズ本体、201はマイクロコンピュータで構成されるカメラCPUで、後述するカメラ本体200内の種々の回路の動作を制御すると共に、レンズ本体300の装着時にはレンズ接点302とカメラ接点202が接続されて、レンズCPU301との通信を行うものである。203は外部より操作可能な電源スイッチであり、カメラCPU201を立ち上げてシステム内の各アクチュエータやセンサ等への電源供給及びシステムの動作を可能な状態とするためのスイッチである。204は外部より操作可能な2段ストローク式のレリーズスイッチで、その信号はカメラCPU201に入力される。また、205は測光ユニット、206はCCDセンサ、CMOSセンサ等の撮像素子を有する撮像ユニット、208は焦点検出ユニット、209は表示ユニットである。
カメラCPU201はレリーズスイッチ204より入力された信号に従い、第1ストロークスイッチがON(SW1信号発生)であれば、測光ユニット205による露光量の決定や焦点検出ユニット208による被写体の合焦演算結果に基づいた後述の合焦ユニットへの合焦レンズ駆動命令による合焦動作および合焦判定等を行って撮影準備状態に入り、第2ストロークスイッチがON(SW2信号発生)まで操作されたことを検知すると、レンズ本体300内のレンズCPU301(後述するレンズ本体300内の種々のユニット回路の動作を制御すると共に、カメラ本体200に装着された時にはレンズ接点302とカメラ接点202が接続されて、カメラCPU201との通信を行うもの)に後述のレンズ本体300内の絞り装置の駆動命令を送信して、絞りユニットを駆動するとともに、撮像ユニット206に撮影開始命令を送信して実際の動作を行わせる。209は、絞り値やシャッタスピードなどの各種撮影条件や、撮影枚数、電池残量、各種モードを、カメラCPU201の指令により表示を行う表示ユニットである。
303は外部より操作可能な像振れ補正作動切替スイッチ(以下、ISスイッチと記す)であり、後述の像振れ補正動作(以下、IS動作とも記す)を行わせるかどうかを選択すること(ONでIS動作を選択)が可能である。
305は振れ補正装置であり、以下の6つの構成要素に大別される。第1は、振れ補正レンズとそれを保持する保持枠とから成る振れ補正光学系、第2は、振れ補正光学系を駆動するための駆動機構、第3は、移動した振れ補正光学系の位置を検出するための位置検出回路、第4は、振れ補正光学系を所定位置(光軸中心位置)にロックしたりロック解除(アンロック)したりすることのできるロック機構、第5は、ロック機構を駆動するためのロック駆動機構、第6はカメラの縦振れおよび横振れの加速度あるいは速度を検出して、振れ補正の対象となる振動状態を検出する振動検出回路である。
306は合焦ユニットであり、合焦レンズおよびその保持枠と、合焦レンズを目標位置まで駆動するための合焦レンズ駆動機構と、合焦レンズ駆動による駆動力を合焦レンズの移動力として伝達する伝達機構と、前述のようにカメラCPU201から送信された、合焦レンズの移動量の情報に従い、レンズCPU301によって制御され、合焦レンズ駆動機構に駆動指令を送る合焦レンズ駆動回路とから構成されている。
307は絞りユニットであり、開口面積を設定する絞り機構と、絞り機構を駆動するための絞り機構駆動ユニットと、前述のようにカメラCPU201から送信された絞り動作命令に従い、レンズCPU301によって制御され、絞り機構駆動ユニットに駆動指令を送る絞り駆動回路とから構成されている。
図16は、図15に示したレンズシステムおよびカメラシステムにおける主要動作を示すフローチャートである。
まず、カメラ本体200の電源スイッチ203がONされ、レンズ本体300に電源の供給が開始(又は、新しい電池を入れられた場合、カメラ本体200にレンズ本体300が装着された場合などカメラ本体200とレンズ本体300との間で通信が開始)されたことを判別すると(S5001)、レンズCPU301は振れ補正装置305に通電を行い、振れ補正装置305のイニシャル動作を行う(S5002)。
このイニシャル動作についての詳細は、本実施形態の振れ補正装置の機械的構成を説明した後に説明(後述)するが、概説すると、振れ補正装置305のロック機構のロック部材(振れ補正光学系の保持枠をロックする部材)を所定の基準位置に設定するための処理で、ロック機構の駆動途中での電源遮断や衝撃等で、ロック機構のロック部材の位置がズレて、現在のロック状態が所定の基準位置から特定できなくなってしまった時のために、必ず電源投入時にロック機構を駆動して、ロック部材を所定の基準位置に設定する処理である。例えば、ロック駆動機構の駆動源として、ステッピングモータ(パルス駆動モータ)を用いた場合、所定の基準位置から目標位置までの駆動パルス数を制御することで、目標位置に到達させているため、所定の基準位置(現在の位置が基準位置から何パルス目のところか)が分からなくなると、目標位置までの正確なパルス数が算出できなくなる。このために、まず、所定の基準位置を定める動作が必要になる。
次に、カメラCPU201がレリーズスイッチ204にSW1信号が発生しているか否かを判別し(S5003)、発生していればレンズCPU301においてISスイッチ303がON(IS動作選択)になっているかを判別し(S5004)、IS動作が選択されていればステップ5005へ、選択されていなければステップ5019へ進む。ステップ5005では、レンズCPU301が内部タイマをスタートさせ、次にカメラCPU201が、測光ユニット205、合焦検出ユニット208による測光、合焦動作を行い、レンズCPU301が、合焦ユニット306による合焦動作、振れ補正装置305による振れ検出の開始、更にはロック駆動機構による振れ補正光学系のロック解除を行う(S5006)。
次に、レンズCPU301が上記タイマでの計時内容が、所定の時間t1に達したか否かを調べ、達していなければ達するまでこのステップに留まる(S5007)。これは、振動検出回路の出力信号が安定するまでの間、待機する為の処理である。その後、所定の時間t1 が経過すると、振動検出器の出力信号によって演算される目標値信号と、位置検出回路の出力信号に基づいて、振れ補正装置の駆動機構によって振れ補正光学系を駆動し、振れ補正制御を開始する(S5008)。
次に、カメラCPU201が、レリーズスイッチ204のSW2信号が発生しているか否かを調べ(S5009)、発生していなければ再びSW1信号が発生しているか否かの判別を行い(S5011)、もしSW1信号も発生していなければ、レンズCPU301が振れ補正制御を停止する(S5012)と共に、振れ補正光学系を所定の位置(光軸中心位置)にロックするようロック機構を駆動する(S5013)。
また、ステップ5009でSW2信号は発生していないが、ステップ5011でSW1信号が発生していると判別した場合はステップ5009へ戻る。そして、このステップ5009でレリーズスイッチ204のSW2信号が発生したことを判別すると、レンズCPU301が絞りユニット307を制御し、同時にカメラCPU201が、撮像ユニット206により露光(結像及び結像された画像データの電気信号の出力、変換処理等)を行う(S5010)。次いで、カメラCPU201がSW1信号の状態を調べ(S5011)、SW1信号が発生しなくなったらレンズCPU301が振れ補正制御を停止する(S5012)と共に、振れ補正光学系を所定の位置(光軸中心位置)にロック機構によりロックするよう、ロック駆動機構を駆動する(S5013)。
以上の動作を終了すると、次にレンズCPU301は、上記タイマを一旦リセットして再度スタートさせ(S5014)、再びSW1信号が所定時間t2内に発生するかどうかの判別を行う。もし振れ補正を停止してから所定時間t2内に再度SW1信号が発生したならば、測光,AF(測距動作及び合焦動作)及び振れ補正光学系のロック解除を行い(S5017)、振れ検出はそのまま継続されているので、直ちに目標値信号と位置検出回路の出力信号に基づいて、振れ補正光学系を駆動し、振れ補正制御を再び開始する(S5008)。以下、前述と同様の動作を繰り返す。
このような所定時間t2の経過判定の処理をすることにより、撮影者がレリーズ操作を停止した後に再度レリーズ操作をした際に、その度に振動検出回路を起動してその出力安定まで待機するといった不都合を無くすことが可能になる。
一方、振れ補正を停止してから所定時間t2以内にSW1信号が発生しなかった場合は(S5015)、振動検出回路の動作を停止する(S5018)。その後はステップ5003に戻り、SW1信号の発生待機の状態に入る。
ステップ5004でIS動作が選択されていなければ、カメラCPU201が測光、合焦検出動作を、レンズCPU301が合焦動作を、それぞれ実行する(S5019)。
次に、カメラCPU201がレリーズスイッチ204のSW2信号が発生しているか否かを調べ(S5020)、発生していなければ再びSW1信号が発生しているか否かの判別を行い(S5022)、SW1信号も発生していなければステップ5003に戻り、SW1信号の発生待機の状態に入る。また、ステップ5020でSW2信号は発生していないがSW1信号が発生していれば、ステップ5020へ戻る。そして、このステップ5020でレリーズスイッチ204にSW2信号が発生したことを検知すると、レンズCPU301が絞りユニット307を制御し、同時にカメラCPU201が撮像ユニット206を制御して、露光を行う(S5021)。次いで、カメラCPU201がSW1信号の状態を調べ(S5022)、SW1信号が発生していなければステップ5022からステップ5003へ戻る。
本実施形態におけるカメラシステムでは、電源スイッチ203がOFFされるまで上記一連の動作を繰り返し、OFFされるとカメラCPU201とレンズCPU301との通信が終了しレンズ本体300への電源供給が終了する。
次に、本実施形態の振れ補正装置の機械的構成について説明する。
図1は本実施形態の振れ補正装置の分解斜視図である。1は合成樹脂で形成されるベース部材であり、後述するレンズ保持部材5の光軸方向の移動を阻止する突出片部1h−1(移動制限部)が設けられている。2は透磁率の高い鋼板で形成された第1のヨーク部材、3は永久磁石であり、矩形の4つの永久磁石3a−1、3b−1、3a−2、3b−2で構成されている。
4は金属の線材を屈曲させて形成されたガイド部材で第1のガイド部4aと第2のガイド部4bとを有し、ガイド部4aとガイド部4bとの間には退避形状部とし凹形状部4cが設けられている。5は合成樹脂材で形成され、振れ補正レンズ14を保持しているレンズ保持部材(鏡筒)、6a、6bは導線で形成されたコイルである。
7は透磁率の高い鋼板で形成された第2のヨーク部材であり、該第2のヨーク部材には後述する溝部7a−1、7a−2、7a−3が形成され、さらに該溝部7a−1にはベース部材1に固定された際の突出片部1h−1との当接を避けるための退避形状部7a−1−aが設けられている。8は電気絶縁性の高い合成樹脂で形成された絶縁板、9は主に振れ補正制御回路の電気部品が実装された電気回路基板、10は合成樹脂で形成され、レンズ保持部材5の補正動作方向の移動を機械的にロックするロック機構であるロックリング、11はロックリング10を駆動するためのアクチュエータで、ステッピングモータ(パルス駆動モータ)を採用している。12はロックリング10の位置を検出するためのフォトインタラプタ、13はフレキシブルプリント基板、15a、15bは発光素子、16a、16bは受光素子、17〜20は締結部材、21a〜21cは金属の線材で形成された支持軸である。
次に各部品の詳細と各部品の相互関係について説明する。
まず、ベース部材1に第1のヨーク部材2が取り付けられる。その際、ベース部材1に設けられた突出軸部1a−1〜1a−4に、第1のヨーク部材2に設けられた穴部2a−1〜2a−4をそれぞれ係合させる。また、ベース部材1に設けられた当接面部1b−1、1b−2に第1のヨーク部材2の端面を当接させ、締結部材(ネジ)17a、17bを第1のヨーク部材2の溝部2b−1、2b−2に挿通させて、ベース部材1の穴部1b−1−a、1b−2−aに螺合させ、ベース部材1に第1のヨーク部材2を固定する。
次に、永久磁石3を第1のヨーク部材2に設置する。その際、永久磁石3a−1と3b−1、3a−2と3b−2とで、ベース部材1の突出軸部1a−1と1a−2、1a−3と1a−4を挟むように配置する。それらが設置された状態を図2に示す。
第1のヨーク部材2に設置された永久磁石3は、磁気吸引力のため、第1のヨーク部材2に強力に保持されている。次に、フォトインタラプタ12は、フレキシブルプリント基板13に、その端子部12aが半田付けされて固定されている。
そして、フレキシブルプリント基板13の穴部13a−1、13a−2に、ベース部材1に設けられた突出軸部1c−1、1c−2を係合させ、フレキシブルプリント基板13の端面を、ベース部材1の当接面部1c−1−a、1c−2−aに当接させ、締結部材18をフレキシブルプリント基板13の穴部13bに挿通させて、ベース部材1の穴部1dに螺合させ、ベース部材1にフレキシブルプリント基板13を固定させる。その際、フォトインタラプタ12は、ベース部材1の穴部1mを挿通する。
なお、ベース部材1の当接面部1c−1−a、1c−2−aに当接させるフレキシブルプリント基板13の端面部に補強板を設けるとフォトインタラプタの位置が安定する。フォトインタラプタ12の端子12aは、フレキシブルプリント基板13を介して、電気回路基板9へ接続されていている。
次に、ガイド部材4の第1のガイド部である一方の長辺軸部4aは、ベース部材1に設けられた係合柱部1f、1gの係合穴部1f−1、1g−1に係合する。
次に、レンズ保持部材5にコイル6a、6bが取り付けられる。その際、レンズ保持部材5に設けられた弾性変形可能な挟持片部5a−1、5a−2、5b−1、5b−2と、挟持座部5c−1、5c−2、5d−1、5d−2とでコイルを挟み込んで保持し、レンズ保持部材5に対する、光軸方向のコイルの相対移動を阻止する構造になっている。また、挟持片部5a−1、5a−2、5b−1、5b−2の先端には係合凸部5a−1−a、5a−2−a、5b−1−a、5b−2−aがあり、コイルの長穴部6a−1、6b−1に係合させるので、レンズ保持部材5に対する、光軸と垂直方向のコイルの相対移動を阻止する構造になっている。
次に、発光素子15a、15bはレンズ保持部材5に熱カシメ等により取り付けられる。レンズ保持部材5には長穴部5e−1、5e−2が施されていて、それらの長穴部より、発光素子の発光光線が通過できるように発光素子15a、15bがそれぞれ配置されている。
なお、上述のコイル6a、6b、発光素子15a、15bのそれぞれの端子は、不図示のフレキシブルプリント基板を介して、電気回路基板9へ接続されていて、振れ補正制御を行うようになっている。
次にレンズ保持部材5に設けられた係合柱部5i、5jの係合穴部5i−1、5j−1(図3参照)に、ガイド部材4の第2のガイド部である他方の長辺軸部4bが係合する。
次に、レンズ保持部材5の穴部5g−1〜5g−3には、支持軸21a〜21cが圧入等により取り付けられる。その際、支持軸21a〜21cを、ベース部材1の突出片部1h−1〜1h−3に設けられた長穴部1h−1−a〜1h−3−aに係合させるので、ベース部材1に対するレンズ保持部材5の光軸方向の移動が阻止される。
このように第1のガイド部4aがベース部材1に係合し、第2のガイド部4bがレンズ保持部材5に係合し、支持軸21a〜21cがベース部材1の長穴部1h−1−a〜1h−3−aに係合することで、レンズ保持部材5は、光軸を回転軸とした回転移動と光軸方向への移動は阻止され、ピッチ方向(図中Y方向)とヨー方向(図中X方向)にのみ移動可能な構造となる。言い換えれば、該突出片部1h−1〜1h−3と該長穴部1h−1−a〜1h−3−aとがレンズ保持部材5の光軸方向への移動を阻止する移動制限部として機能し、上記方向のみの確実な移動を実現している。
なお、レンズ保持部材5には穴部5h−1と5h−2が設けられていて、ベース部材1に設けられた軸部1i−1、1i−2が挿通するが、穴部5h−1、5h−2の直径は、軸部1i−1、1i−2の直径よりも所定の間隔で大きく形成されていて、穴部5h−1、5h−2の内周面が軸部1i−1、1i−2の外周面に当接することにより、レンズ保持部材5のピッチ方向およびヨー方向の最大の移動量を阻止している。例えば、一方の穴部と軸部のみで移動量を阻止し、他方では所定間隔よりも大きく形成する構成であってもよい。
次に、第2のヨーク部材7が、ベース部材1に取り付けられる。その際、第2のヨーク部材7の端面がベース部材1の端面部1j−1、1j−2、1k−1−a、1k−1−b、1i−1および1i−2の先端面部(全て光軸方向に同一高さの面)に当接し、ベース部材1に対する第2のヨーク部材7の光軸方向の位置を決めている。
第2のヨーク部材7には溝部7a−1〜7a−3が設けられ、レンズ保持部材5の挟持片部5a−1、5a−2、5b−1、5b−2の逃げのための溝である。
また、溝部7a−1には、ベース部材1の長穴部1h−1−aが設けられた突出片部1h−1(移動制限部)の延出方向端面(先端面)1h−1−pを避けるように退避形状部7a−1−aが凹状に形成されている。これは、第2ヨーク部材7が、永久磁石3による磁気吸引力で、長穴部1h−1−aが設けられた突出片部1h−1の延出方向端面1h−1−pを押圧して、長穴部1h−1−aを変形させてしまうことを防止するためである。すなわち、退避形状部7a−1−aにより第2のヨーク部材7とベース部材1の突出片部(移動制限部)1h−1との当接を避けて、長穴部1h−1−aと支持軸21aとの間に過度の摺動摩擦を発生させることなく、常に摺動状態を良好に維持することができ、安定した振れ補正性能が得ることができる。
さらに、突出片部1h−1の延出方向端面1h−1−pの両側には、第2のヨーク部材7の永久磁石側の面と当接し、かつ、該延出方向端面1h−1−pよりも一段低く形成された当接部1k−1−a、1k−1−bが設けられている。よって、ベース部材1に取り付けたとき、第2のヨーク部材7が延出方向端面1h−1−pよりもベース部材1側に入り込んだ位置(光軸方向に入り込んだ位置)となるため、光軸方向の小型化が図れる。
次に電気回路基板9には、受光素子16a、16bが実装されており、前述の発光素子15a、15bからの光線を受光できる位置に配置されている。電気回路基板9は、絶縁板8を挟んでベース部材1に締結される。その際、締結部材20a、20bは、電気回路基板9の穴部9a−1、9a−2、8a−1、8a−2、7b−1、7b−2に挿通し、ベース部材1の穴部1i−1−a、1i−2−aに螺合するので、ベース部材1に対して、電気回路基板9と絶縁板8と第2のヨーク部材7が位置決めされる。
次に、ステッピングモータ11にはその出力軸部にピニオン11cが取り付けられている。そして、ステッピングモータ11の本体部11aに取り付けられた取り付け板部11bの穴部11b−1に、締結部材19を挿通させ、ベース部材1に設けられた取り付け穴部1p−1(1pは取り付け穴部を施すための突状部)に螺合させて、ベース部材1にステッピングモータ11を締結させる。なお、ベース部材1には穴部1mと溝部1nが施されているが、穴部1mはモータ本体の逃げ穴、溝部1nはモータの接続端子の逃げ溝である。そして、ステッピングモータ11はベース部材1に取り付けられると、その本体部11aが、ロックリング10と電気回路基板9との間のスペースに収まるように配置されることから、振れ補正装置の光軸方向の外形よりもステッピングモータ11が突出することがない小型の振れ補正装置が得られる。よって、図8に示すように振れ補正装置の光軸方向両端に形成された光束を通過させる開口の両端面A、Bの間(厚さD)にステッピングモータ11の配置スペースが確保され、振れ補正装置の光軸方向における小型化を図ることができる。
さらに、図7に示すように、ガイド部材4の第1のガイド部4a及び第2のガイド部4bが交差する部分に、退避形状部として凹形状部4cが形成されている。この凹形状部4cにより得られるスペースにステッピングモータ11の本体部11aを配置することで、振れ補正装置の光軸に垂直方向の外形よりもステッピングモータ11が突出することがなく、振れ補正装置の該垂直方向における小型化を図ることができる。
次に、ロックリング10が、ベース部材1に取り付けられる。ロックリング10に設けられ、弾性変形可能な突出片10c−1〜10c−3には、爪部10c−1−a〜10c−3−aと、傾斜面部10c−1−e〜10c−3−eが施されている(図5参照)。一方、ベース部材1には凹部1q−1〜1q−3と光軸方向にほぼ同一の高さ寸法で施された摺動面1r−1〜1r−3が施されている。1t、1s−1、1s−2、1u−1、1u−2はベース部材1の変形を抑える補強部であり、それらの内で、1s−1、1s−2、1u−1、1u−2は、永久磁石3の光軸中心方向への移動を阻止するストッパを兼ねている。
ロックリング10の爪部10c−1−a〜10c−3−aをベース部材1の凹部1q−1〜1q−3にそれぞれ合わせて、光軸方向に両部品を近づけていくと、突出片部10c−1〜10c−3が傾斜面部10c−1−e〜10c−3−eに従って光軸中心側に弾性変形し、さらに、光軸方向に両部品を近づけていくと、突出片部10c−1〜10c−3の弾性変形が開放され(スナップフィット)、組み込みが完了する。この状態では、図6(b)に示すように、ベース部材1の凹端面部(光軸を中心とした円弧形状部)1q−1−a〜1q−3−aに、突出片部10c−1〜10c−3の外側端面部10c−1−b〜10c−3−bが係合するとともに、ベース部材1の摺動面部1w−2〜1w−3とロックリング10の摺動面部10d−1〜10d−3(図5参照)がそれぞれ光軸方向に近接し、爪部10c−1−a〜10c−3−aの端面が、摺動面1r−1〜1r−3にほぼ当接している。この状態により、ロックリング10はベース部材1に対して、光軸方向および光軸に垂直方向への移動が阻止され、光軸を回転中心として回転移動することができる。
また、ロックリング10には、張り出し片部10aを有しており、その外側端部には歯車部10a−3が施されていて、ステッピングモータ11のピニオン11cと噛合わせて、ステッピングモータ11の駆動力をロックリング10に伝達できるようになっている(図5参照)。
また、ロックリング10の回転移動により、レンズ保持部材5の光軸と垂直方向への移動を阻止したり、阻止を解除したりすることができる。これについてはさらに詳しく説明する。ロックリング10の突出片部10c−1〜10c−3にはカム面部10c−1−c〜10c−3−cと、係止面部(光軸を中心とした円弧面部)10c−1−d〜10c−3−dがある。また、レンズ保持部材5には係止爪部5k−1〜5k−3の係合面部(略半円柱状で光軸を中心とした円周上に配置されている面部)5k−1−a〜5k−3−aがある(図3参照)。レンズ保持部材5の光軸と垂直方向への移動を阻止されていない状態(以下アンロック状態)の時は、係合面部5k−1−a〜5k−3−aはどこにも当接することはなく、レンズ保持部材5は、前述の穴部5h−1、5h−2の内周面が軸部1i−1、1i−2の外周面に当接することにより、ピッチ方向およびヨー方向の移動が阻止されている。
一方、アンロック状態から、ステッピングモータ11を駆動してロックリング10を回転移動(図1において、被写体側から見て反時計周りの回転移動)させていくと、係合面部5k−1−a〜5k−3−aがカム面部10c−1−c〜10c−3−cに当接していき、レンズ保持部材5が、カム面部10c−1−c〜10c−3−cの形状に従って移動していく。さらにロックリング10を回転移動させると、係合面部5k−1−a〜5k−3−aは、カム面部10c−1−c〜10c−3−cとの当接状態から係止面部10c−1−d〜10c−3−dとの当接状態に至る。この状態になると、係合面部5k−1−a〜5k−3−aの当接部を結んだ直径と係止面部10c−1−d〜10c−3−dを結んだ直径がほぼ一致するので、レンズ保持部材5は、光軸に垂直方向への移動を阻止されている状態(以下ロック状態)になる。
また、ロックリング10のロック、アンロック方向への回転移動を所定範囲内に阻止するための機械的阻止機構を有している。これは、図4が示すようなベース部材1の突出部1x−1、1x−2とロックリング10の張り出し片10aの両端面10a−1、10a−2よりなり、突出部1x−1の端面1x−1−aに端面10a−1が当接すると、ロック状態での機械的回転阻止状態(図9の状態)となり、突出部1x−2の端面1x−2−aに端面10a−2が当接すると、アンロック状態での機械的回転阻止状態(図10の状態)となる。また、ロックリング10には、屈曲片部10bを有しており、前述のフォトインタラプタ12と係合する位置に配置されている(図5参照)。これについて、さらに詳しく説明する。ロックリング10が、べース部材1に完全に組み込まれた状態では、図13が示すように、屈曲片部10bはフォトインタラプタ12の光軸方向のセンサ位置12C(線12C上にセンサ部がある)と光軸方向にオーバーラップした位置関係になっている。
そして、図9と図10が示すように、ロック状態とアンロック状態での機械的回転阻止状態では、屈曲片部10bが、フォトインタラプタ12の光軸方向から見たセンサ位置12B(線12B上にセンサ部がある)を遮らない構成となっている。
また、図11と図12が示すように、ロック状態とアンロック状態での機械的回転阻止状態よりも若干手前の状態では、屈曲片部10bが、フォトインタラプタ12の光軸方向から見たセンサ位置12B(線12B上にセンサ部がある)を遮るか遮らないかの境界の位置に、屈曲片部10bの端面部10b−1、10b−2が施されている。
上記の機械的構成を線図で表すと、図14(a)のようになる。ロック状態とアンロック状態での機械的回転阻止範囲を全範囲として、機械的にロック状態の範囲とアンロック状態の範囲と機械的にロック・アンロック不完全状態の範囲から構成されている。そして、機械的にロック状態とアンロック状態の範囲内に、それぞれ、フォトインタラプタ12の光軸方向から見たセンサ位置12B(線12B上にセンサ部がある)を遮るか遮らないかの境界の位置がある。
また、フォトインタラプタの出力信号でみると、図14(b)に示すように、上記境界位置を境としてHigh、Lowの出力信号の変化が得られるようになっている。電気的に見れば、Highのときはロック・アンロック不完全状態、Lowのときはロックもしくはアンロック状態となっている。
図14が示すように、電気的なロックもしくはアンロック状態を、機械的なロックもしくはアンロック状態の範囲内に設定しているのは、各部品の機械的な寸法誤差による、ロック・アンロックの判定エラーを回避するためである。例えば、機械的なロック状態と機械的なロック・アンロック不完全状態の境界位置に、フォトインタラプタ12のセンサ位置を合わせたとすると、部品の機械的な寸法誤差により、ロック・アンロック不完全状態であるにもかかわらず、電気的にはロック状態と判定されてしまうので、この問題を回避するために電気的なロック、アンロック状態の機械的阻止部側とその反対側にそれぞれ機械的な余裕範囲を設定にしている(図14(a)参照)。
なお、本実施形態では、ロックリング10の位置検出器として、フォトインタラプタを用いたが、ロックリングの位置が検出できる他のセンサであってもよい。つまり、ロック、アンロックの機械的阻止部の手前でセンサの出力信号の変化が得られればよく、その出力信号の変化に基づいてロックリングを制御すれば、本実施形態は前述と同様にして実現できる。
ところで、上記構成によれば、コイル6a、6bと永久磁石3と第1のヨーク部材2と第2のヨーク部材7により磁気回路が形成されているので、コイル6aに通電することで、レンズ保持部材5はピッチ方向(図中Y方向)に移動でき、コイル6bに通電することで、レンズ保持部材5はヨー方向(図中X方向)に移動できる。また、コイル6aと6bに通電すると、ピッチ方向とヨー方向の合成した方向に移動できる。そして、それぞれのコイルの電流値を変化させることによって、レンズ保持部材5は、移動範囲内の任意の位置に移動することができる。
さらに、上記レンズ保持部材5には、発光素子15a、15bが取り付けられ、それらの発光光線を受光素子16a、16bで受光できるように構成されているので、レンズ保持部材5のピッチ方向およびヨー方向の位置を検知することができる(15aと16aの組み合わせでヨー方向の位置検知可能、15bと16bの組み合わせでピッチ方向の位置検知可能に構成されている)。
なお、上記構成には記載されていないが、コイル6a、6bの端子、発光素子15a、15bの端子はフレキシブルプリント基板等の一方の端部に接続されており、他方の端部は電気回路基板9にコネクタ等で接続されている。また、フレキシブルプリント基板13も、電気回路基板9にコネクタ等で接続されている。さらに、電気回路基板9はレンズCPU301に接続されている。
次に、本実施形態の振れ補正装置の動作を説明する。
まず、先に概説した振れ補正装置のイニシャル動作について、詳細に説明する。
振れ補正装置のイニシャル動作とは、ロックリング(ロック部材)10を所定の初期状態(基準位置)に設定するための処理で、ロックリング10をステッピングモータ11により駆動している途中で電源が遮断されたり、衝撃等でロックリング10の位置がずれて(不意に回転して)、現在のロック状態が、所定基準位置から特定できなくなってしまった時のために、必ず電源投入時に、ロックリング10を駆動して、所定の初期状態(基準位置)に設定する処理である。
例えば、本実施形態のようにロックリング10の駆動源として、ステッピングモータを用いた場合、所定の基準位置から目標位置までの駆動パルス数を制御することで、目標位置に到達させているため、衝撃等でロックリング10が不意に回転するなどして、所定の基準位置からの現在位置(現在位置が基準位置から何パルス目のところか)が分からなくなると、目標位置までの正確なパルス数が算出できなくなる。このために、まず、所定の基準位置を定める動作が必要になる。
なお、本実施形態においては、所定の初期状態(所定の基準位置)とは、図11の状態(屈曲片部10bが、フォトインタラプタ12の光軸方向から見たセンサ位置12B(線12B上にセンサ部がある)を遮るか遮らないかの境界の位置)よりも所定パルス分(所定時間分)、ロック側の機械的阻止部1x−1−a寄りの位置である。図11の状態よりも数パルス分(所定時間分)ずらした位置を基準位置とするのは、図11の状態を基準位置としてしまうと、各部品の寸法誤差による機械的なガタにより、屈曲片部10bがフォトインタラプタ12のセンサ部を遮光したり、遮光しなかったりしてフォトインタラプタ12の出力信号がふらついて、ロック検知が安定せずに、ロックリング10の制御がうまくできなくなる可能性があるからである。例えば、レンズ本体の姿勢が変わると、各部品のガタにより、ロックリング10がそのガタ分ずれて、出力信号のレベルが変化してしまうと、ロックリング10が駆動されていないにもかかわらず、ロック状態と検知されたり、ロック・アンロック不完全状態と検知されたりするからである。そこで、図11の状態よりも所定パルス分(上記ガタの影響を受けない量)だけずらした位置を基準位置(本実施形態の場合はロック側の機械的阻止部1x−1−a寄り)とすることで、上記懸念は解消される。
所定パルス数は、通常数パルス程度に設定される。
図17は、振れ補正装置のイニシャル動作のフローチャートである。なお、図14が示すように、機械的にロック・アンロック状態となる範囲と、電気的にロック・アンロック状態と判定する範囲があるが、以下の説明では、ロック・アンロック状態とは、後者の電気的状態を意味するものとする。
まず、カメラ本体200の電源スイッチ203がONされ、レンズ本体300に電源の供給が開始(又は、新しい電池を入れられた場合や、カメラ本体200にレンズ本体300が装着された場合など、カメラ本体200とレンズ本体300との間で通信が開始)されると、フォトインタラプタ12の出力信号が、Highレベル(屈曲片部10bがフォトインタラプタのセンサ部を遮光した状態。以下H)かLowレベル(屈曲片部10bがフォトインタラプタのセンサ部を遮光していない状態。以下L)かを判定する(S6001)。
Lの場合は、ロック状態のLなのか、アンロック状態のLなのかが分からないため、以下の処理を行って判別する。受光素子16a、16bの出力信号により、レンズ保持部材5の位置を検出する(S6002)。そして、レンズ保持部材5が、所定範囲内(ほぼ光軸中心位置)に位置しているかどうかを判別し(S6003)、所定範囲内に位置していれば、レンズ保持部材5がロック状態であると判定する。また、所定範囲外に位置しているときは、ロック状態でないと判定する。以上の処理で、ロック状態のLなのか、アンロック状態のLなのかが分かる。
次に、ロック状態のLの場合は、レンズ保持部材5がロック状態の範囲のどこに位置しているかがわからないため、まず一端アンロック側へロックリング10を駆動(S6004)して、フォトインタラプタ12の出力信号が、LからHになったのを検出(S6005)後、さらにアンロック側に数パルス(所定時間)駆動して駆動を停止(S6006)する。そして、今度はロック側に駆動(S6007)して、フォトインタラプタ12の出力信号が、HからLになったのを確認(S6008)後、さらにロック側に数パルス(所定時間)駆動して駆動を停止(S6009)し、振れ補正装置のイニシャル動作を終了する。
一方、ステップ6001においてHと判定された場合や、ステップ6003でロック状態でないと判定された場合は、ロックリング10をロック側へ駆動する(S6010)。そして、フォトインタラプタ12の出力信号が、HからLになったのを検出(S6008)後、さらにロック側に数パルス(所定時間)駆動して駆動を停止(S6009)し、振れ補正装置のイニシャル動作を終了する。
次にイニシャル動作が行われた後のロックリング10の駆動について説明する。
レンズCPUのロック解除駆動指令により、ロックリング10が、イニシャル動作にて設定した基準位置から、アンロック側へ駆動される。そして、フォトインタラプタ12の出力信号が、HからLになったのを検出後、さらにアンロック側に数パルス(所定時間)駆動して駆動を停止して、ロック解除動作を終了し、振れ補正動作に移行する。その後、レンズCPUのロック駆動指令があった場合は、ロックリング10が、ロック側へ駆動される。そして、フォトインタラプタ12の出力信号が、HからLになったのを検出後、さらにロック側に数パルス(所定時間)駆動して駆動を停止(基準位置で停止)して、ロック動作を終了する。
ところで、カメラシステム200およびレンズシステム300では、図16のステップ5006およびステップ5017の振れ補正光学系ロック解除動作の途中で、合焦動作もしくは絞り動作が割り込まれることがある。この状況の場合は、ロックリング10は電気的にロック・アンロック不完全状態に位置した状態で強制的に停止される。この場合の動作を図18のフローチャートを用いて説明する。
まず、図16のステップ5006の振れ補正光学系ロック解除動作の途中で、再度合焦動作指令もしくは絞り動作指令が割り込み動作として、カメラCPU201から発せられると(S7001)、カメラCPU201からの指令を受けたレンズCPU301が、ロックリング10の駆動停止信号をステッピングモータ11に送り、強制的にロックリング10が停止させられる(S7002)。この際に、レンズCPUはフォトインタラプタ12の出力信号の履歴を記憶しておく。この出力信号の履歴の記憶とは、停止させられた位置が、1)『Hを通過しないL』なのか、2)『Hを通過したL』なのか、3)『H』なのかを記憶しておくことである。
次に、割り込んできた合焦動作もしくは絞り動作が終了する(S7003)と、SW1がON状態かどうかの判別をする(S7004)。SW1がON状態であると、先ほどのフォトインタラプタ12の出力信号の履歴よりロックリング10がどこに位置しているかを判定する。『Hを通過したL』の場合は、既にアンロック状態にあると判定されるため、ステップ5007(図16)の動作へ移行する。
一方、『Hを通過しないL』もしくは『H』の場合はアンロック状態でないと判定されるため、アンロック側へ駆動される(S7006)。
次に、アンロック側への駆動中に、再度合焦動作もしくは絞り動作の割込みがあるかどうかについて監視し、割込みがあった場合はステップ7002へ移行し、割込みがなかった場合は、フォトインタラプタ12の出力信号がHからLになったのを検出(S7008)後、さらにアンロック側に数パルス(所定時間)駆動して駆動を停止(S7009)してアンロック動作を終了し、ステップ5007に移行する。ここで、アンロック側に数パルス(所定時間)駆動する理由は、前述のロックリング10の基準位置を設定する際の考慮と同じで、アンロック状態の停止位置でのフォトインタラプタ12の出力信号を安定させるために行う処理である。
SW1がON状態かどうかの判別(S7004)をした際に、SW1がOFF状態である場合は、まず振れ補正動作を停止する(S7010)。そして、先ほどのフォトインタラプタ12の出力信号の履歴より、ロックリング10がどこに位置しているかを判定する。『Hを通過しないL』の場合は、既にロック状態であると判定されるため、ステップ5014へ移行する。
一方、『Hを通過したL』もしくは『H』の場合はロック状態でないと判定されるため、ロック側へ駆動される(S7012)。
そして、フォトインタラプタ12の出力信号がHからLになったのを検出(S7013)後、さらにロック側に数パルス(所定時間)駆動して駆動を停止(S7014)してロック動作を終了し、ステップS5014に移行する。
以上説明した本実施形態の構成によれば、どんな状況においても、ロックリングがベース部材の機械的阻止部に突き当たることがないので、突き当たり時の衝撃音が生じない。また、ロックリングの駆動を高速化した際に、衝撃力の増大による突き当たり時の歯車部の損傷を回避できる。さらには、ロックリングの位置検出器を1個で構成しているので、小型の振れ補正装置が提供できる。
なお、ロックリングに検出トリガ部(屈曲片部)を設け、ベース部材にフォトインタラプタ等の検出器を設けたが、ロックリングに検出器を設け、ベース部材に検出トリガ部(屈曲片部)を設けても、同様の機能、効果がある構成となる。
また、ロックリングの駆動機構(モータ)として、ステッピングモータ(パルス駆動モータ)を用いたが、他のモータであってもよい。例えば回転角に応じてパルス出力信号が得られるエンコーダ等の回転角検出回路を有したDCモータを使ってもよい。また、上記エンコーダ等を施さなくても、ロックリングの位置検出回路からの出力信号のトリガ信号(上記本実施形態では、LからH、もしくはLからHの切替わり時の信号)が検出されてから一定時間経過後に駆動を停止させるようにすれば、ロックリングを確実にロックまたはアンロック状態で停止させることができ、上述のように、各部品の寸法誤差による機械的なガタにより、ロックリングの検出トリガ部(屈曲片部)がフォトインタラプタ等の検出器のセンサ部を遮光したり、遮光しなかったりして位置検出回路の出力信号のL、Hがふらついて、ロックまたはアンロックの検出が安定せずに、ロックリングの制御がうまくできなくなる懸念を回避できる。
以上からも明らかなように、本実施形態では、カメラに適用した例を述べたが、これに限定されるものではなく、補正装置を具備したその他の装置やレンズ一体型カメラ双眼鏡等の観察機器といった光学機器への適用も可能である。