JP4415558B2 - 電気二重層コンデンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気二重層コンデンサに関し、さらに詳しく言えば、巻回型の電気二重層コンデンサにおいて、金属ケース内に収納されているコンデンサ素子の振動を押さえる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
巻回型の電気二重層コンデンサは、アルミニウムエッチング箔などの集電体に活性炭およびカーボンブラックなどを主体とする分極性電極を付着した電極体の一対をセパレータ紙を介して巻回したコンデンサ素子を備え、同コンデンサ素子に所定の電解液を含浸させたのち、有底円筒状の金属ケース(多くの場合、アルミケース)内に収納し、その金属ケースの開口部を封口板によって封口することにより製造される。
【0003】
なお、集電体にはリード箔が固着されているとともに、封口板には外部引出端子が設けられており、封口板を金属ケースの開口部に取り付ける際に、リード箔と外部引出端子とが接続される。
【0004】
特に車載用途などにおいてよく見られるが、外部からの衝撃や振動により金属ケース内でコンデンサ素子が動くと、リード箔が断線したりショートすることがある。そのため、金属ケース内でのコンデンサ素子の動きを封ずる必要があり、これには次のような方法が知られている。
【0005】
まず第1の方法として、金属ケース内に加熱により溶融したAPP(アタクチックポリプロピレン)を注入して固化させてコンデンサ素子を固定する。第2の方法として、封口後の金属ケースの周面に同ケース内に向かって出っ張る縦方向もしくは横方向に溝を形成することによりコンデンサ素子を固定する(例えば、特許文献1参照)。第3の方法として、コンデンサ素子を収納する前に、金属ケースの周面にあらかじめ同ケース内に向かって出っ張る溝を形成し、その金属ケース内にコンデンサ素子を収納して固定する(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−124086号公報
【特許文献2】
特開2000−30981号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1のAPPによる固定方法では、次のような危険性が指摘されている。すなわち、有機系電解液を使用する場合、電気二重層コンデンサの組み立てはほぼ絶乾状態のドライボックス内で行われるが、そのドライボックス内にAPPを溶融させる熱源(約150℃)を持ち込むことは火災の原因になりかねないし、作業者に火傷を負わせる危険性がある。また、APP中の残留水分がコンデンサの性能に悪影響を与えるおそれもある。
【0008】
上記第2の封口後の溝加工による固定方法によると、その加工工程が増えるため、生産性の点で好ましくない。また、溝加工時にコンデンサ素子に過大な圧力が加えられないようにするための調整が難しい。
【0009】
上記第3の事前の溝加工による固定方法では、溝加工済みの金属ケース内にコンデンサ素子を挿入するため、コンデンサ素子を挿入し得るだけのクリアランスが必要とされる。このクリアランスは、コンデンサ素子の外径寸法のバラツキを見込んで設定されるため、コンデンサ素子を完全に固定することは難しい。
【0010】
したがって、本発明の課題は、巻回型の電気二重層コンデンサにおいて、組み立て作業工程に負担をかけることがなく、また、コンデンサ素子の外径寸法のバラツキも吸収して金属ケース内でコンデンサ素子を確実に固定できるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、リード箔を有する集電体に活性炭およびカーボンブラックを主体とする分極性電極を付着させた電極体の一対をセパレータ紙を介して巻回してなるコンデンサ素子を含み、上記コンデンサ素子を有底円筒状の金属ケース内に収納し、同金属ケースの開口部を上記リード箔と接続される外部引出端子を有する封口板にて封口してなる電気二重層コンデンサにおいて、上記金属ケース内に、上記コンデンサ素子に弾性的な押圧力を与えて同コンデンサ素子を固定するバネ手段として、上記金属ケースの内周面と上記コンデンサ素子の外周面との間に配置される第1バネ部材と、上記金属ケースの底面と上記コンデンサ素子の底面との間に配置される第2バネ部材のともにステンレス材からなる2つのバネ部材を備え、上記第1バネ部材には、上記金属ケースの円周方向に沿って延びる支持基板と、上記金属ケースの軸線方向に延びるように上記支持基板に対して一体に形成されたバネ片とが含まれ、上記バネ片が3つ以上であって、その各々が上記金属ケースの内周面に沿ってほぼ均等間隔で配置されており、上記第2バネ部材には、裾部に撓みやすくするための切れ目が所定間隔で入れられた皿状バネが用いられていることを特徴としている。
【0014】
上記バネ片には、中央部がほぼくの字状に折り曲げられた板バネ、板バネ材の一部分から切り起こされた舌片、端部がほぼU字状に折り曲げられた板バネの各態様が含まれる
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】
まず、図1を参照して、本発明による電気二重層コンデンサは、コンデンサ素子10を有底円筒状の金属ケース20内に収納してなる巻回型の電気二重層コンデンサである。
【0018】
すなわち、コンデンサ素子10は、図示しないアルミニウムエッチング箔などの集電体に活性炭およびカーボンブラックなどを主体とする分極性電極を付着した電極体の一対をセパレータ紙を介して巻回してなり、所定の電解液が含浸された状態で金属ケース20内に収納される。なお、上記各集電体からは例えばアルミニウム材からなるリード箔11a,11bが引き出されている。
【0019】
金属ケース20は、通常この分野でよく用いられるアルミニウム材であってよく、その開口部は封口板21によって封口される。この例において、封口板21には、ベークライトやフェノール樹脂などの硬質基板21aにゴム膜21bを積層してなる硬質封口板が用いられている。
【0020】
封口板21は、一対のラグ端子(外部引出端子)22a,22bを備え、所定の工程でリード箔11a,11bとラグ端子22a,22bとが接続される。なお、金属ケース20に対する封口板21の固着方法は常法にしたがってよい。すなわち、封口板21を金属ケース20に形成されている横絞り溝23に係止せて配置したのち、開口部の端縁をかしめればよい。
【0021】
本発明において、金属ケース20内でのコンデンサ素子10の振動(動き)を封ずるため、金属ケース20内にはコンデンサ素子10とともにバネ手段が配置される。このバネ手段には、金属ケース20の内周面とコンデンサ素子10の外周面との間に配置される図1に例示する第1のバネ部材30と、金属ケース20の底面とコンデンサ素子10の底面との間に配置される図4に例示する第2のバネ部材40とが含まれている。
【0022】
まず、第1のバネ部材30を図2により説明する。なお、図2(a)は第1のバネ部材30を展開して示す正面図、図2(b)はそのA−A線断面図、図2(c)は金属ケース20内に入れる際の丸めた状態を示す平面図である。
【0023】
この例において、第1のバネ部材30はステンレス材よりなり、支持基板310と、支持基板310に一体に連設された複数、この例では3つのバネ片320とを備えている。
【0024】
金属ケース20との関係で説明すると、支持基板310は所定の幅を有する帯板で、金属ケース20の円周方向に沿って延びている。その長さは、金属ケース20の内周長よりも短い範囲で任意に設定されてよい。各バネ片320は、金属ケース20の軸線方向に沿って延びている。すなわち、各バネ片320は、支持基板310に対して直交するように連設されており、その長さは金属ケース20内に納められる範囲で任意に決められてよい。
【0025】
この例において、各バネ片320は、図2(b)の断面図に示すように、板バネ材321の中央部分を金属ケース20の中心に向け膨らむようにほぼくの字状に折り曲げた板バネとして形成されている。その膨らみ量(出っ張り量)は、金属ケース20の内周面とコンデンサ素子10の外周面との間の隙間以上に設定される。
【0026】
また、各バネ片320の間隔は、図2(c)の平面図に示すように丸めた状態で、金属ケース20の内周面に沿って均等間隔となるように配置されることが好ましい。この例では、3つであるから各バネ片320は120゜間隔となるように配置されることが好ましい。なお、バネ片320が2つの場合には180゜間隔,4つの場合には90゜間隔とすればよい。
【0027】
組み立て手順としては、最初に、第1のバネ部材30を図2(c)の平面図に示すように丸めた状態で金属ケース20内に入れる。金属ケース20内で第1のバネ部材30を解放することにより、弾性復元力にて第1のバネ部材30は金属ケース20の内周面に密着するため接着材などは不要である。
【0028】
次に、コンデンサ素子10に力を加えながら、コンデンサ素子10を各バネ片320を押し広げるようにして金属ケース20内に挿入する。これにより、コンデンサ素子10はその周囲から各バネ片320にて押さえ付けられるため、外部から衝撃や振動を受けたとしても固定状態に保持される。
【0029】
バネ片320の変形例として、図3(a)に示すように、板バネ材321の一部分を切り起こした舌片322をコンデンサ素子10に対するバネ片として用いてもよく、あるいは図3(b)に示すように、板バネ材321のほぼU字状に折り返してなる端部323をコンデンサ素子10に対するバネ片として用いることもできる。
【0030】
なお、上記の例では、支持基板310の図2(a)における上辺側に各バネ片320がほぼ垂直に起立するように連設されているが、金属ケース20内のスペースの許す限り、支持基板310の下辺側にもバネ片320を連設するようにしてもよい。その一例として、図2(a)において、左右のバネ片320はそのままとし、中央のバネ片320を支持基板310の下辺側に配置してもよい。また、第1のバネ部材30の機械的な強度を高めるため、図2(a)に鎖線で示すように、バネ片320の上端間を連結することもできる。
【0031】
次に、図4に示す第2のバネ部材40について説明する。この第2のバネ部材40は、金属ケース20の底面とコンデンサ素子10の底面との間に配置されるものであるため、コンデンサ素子10を上方、すなわち封口板21側に向けて付勢し得るバネであれば、その形状を問われることなく採用することができる。
【0032】
その中でも、コンデンサ素子10対して均一な付勢力を与えることができるという点から、本発明では、図5に示すような裾部に撓みやすくするための切れ目411が所定間隔で入れられた皿状バネ410を採用している。
【0033】
なお、本発明において、金属ケース20の内周面とコンデンサ素子10の外周面との間に配置される第1のバネ部材30と、金属ケース20の底面とコンデンサ素子10の底面との間に配置される第2のバネ部材40は、二者択一的なものではなく、第1のバネ部材30と第2のバネ部材40とを併用する。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、巻回型の電気二重層コンデンサにおいて、その金属ケース内にコンデンサ素子に弾性的な押圧力を与えて同コンデンサ素子を固定するバネ手段を設けたことにより、コンデンサ素子に外径寸法上のバラツキがあったとしても確実に固定することができ、したがって、外部衝撃や振動に起因するリード箔の断線やリード箔同士の接触によるショートが生ずることのない信頼性の高い電気二重層コンデンサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電気二重層コンデンサの一実施形態を示す概略的な断面図。
【図2】上記実施形態に適用されている第1のバネ部材の(a)展開状態での正面図,(b)同正面図のA−A線断面図,(c)丸めた状態での平明図。
【図3】(a),(b)上記第1のバネ部材の変形例を示す図2(b)と同様の断面図。
【図4】本発明による電気二重層コンデンサの他の実施形態を示す概略的な断面図。
【図5】上記他の実施形態に適用されている第2のバネ部材を示す斜視図。
【符号の説明】
10 コンデンサ素子
11a,11b リード箔
20 金属ケース
21 封口板
22a,22b ラグ端子
23 横絞り溝
30 第1のバネ部材
310 支持基板
320 バネ片
321 板バネ材
40 第2のバネ部材
410 皿状バネ

Claims (4)

  1. リード箔を有する集電体に活性炭およびカーボンブラックを主体とする分極性電極を付着させた電極体の一対をセパレータ紙を介して巻回してなるコンデンサ素子を含み、上記コンデンサ素子を有底円筒状の金属ケース内に収納し、同金属ケースの開口部を上記リード箔と接続される外部引出端子を有する封口板にて封口してなる電気二重層コンデンサにおいて、
    上記金属ケース内に、上記コンデンサ素子に弾性的な押圧力を与えて同コンデンサ素子を固定するバネ手段として、上記金属ケースの内周面と上記コンデンサ素子の外周面との間に配置される第1バネ部材と、上記金属ケースの底面と上記コンデンサ素子の底面との間に配置される第2バネ部材のともにステンレス材からなる2つのバネ部材を備え、
    上記第1バネ部材には、上記金属ケースの円周方向に沿って延びる支持基板と、上記金属ケースの軸線方向に延びるように上記支持基板に対して一体に形成されたバネ片とが含まれ、上記バネ片が3つ以上であって、その各々が上記金属ケースの内周面に沿ってほぼ均等間隔で配置されており、
    上記第2バネ部材には、裾部に撓みやすくするための切れ目が所定間隔で入れられた皿状バネが用いられていることを特徴とする電気二重層コンデンサ。
  2. 上記バネ片が、中央部がほぼくの字状に折り曲げられた板バネからなる請求項に記載の電気二重層コンデンサ。
  3. 上記バネ片が、板バネ材の一部分から切り起こされた舌片からなる請求項に記載の電気二重層コンデンサ。
  4. 上記バネ片が、端部がほぼU字状に折り曲げられた板バネからなる請求項に記載の電気二重層コンデンサ。
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