JP4414640B2 - 細胞検出方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞を含む試料の画像を取り込み、取り込んだ画像の一定範囲の色信号を計測することにより、細胞の形状を検出することなく細胞の有無、細胞の数等を検出する方法及びその装置に関する。
特に、この方法及び装置は、膵臓器から遊離したランゲルハンス島を検出するのに適している。検出されたランゲルハンス島は、分離、精製し、糖尿病患者内にインシュリンを生成させるために糖尿病患者に移植することができる。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は、日本のみならず世界的に広がっている深刻な疾病である。1997年に旧厚生省が行った調査では、「糖尿病が強く疑われる人」約690万人、この値に「糖尿病の可能性を否定できない人」680万人を加えると、約1370万人がリスク群と推定されている。WHOの推定する全世界の糖尿病人口は、2000年で1億5千万人あまりであり、2025年には約3億人に達するものと予測されている。
【0003】
近年、糖尿病の根治的治療法として膵島移植が注目を浴びるようになってきている。膵島移植は、生理的な血糖コントロールを可能とし、手技も簡単で、ハイリスク例にも応用できる、優れた糖尿病治療法として期待されている。膵島移植は、糖代謝の改善による糖尿病性二次病変の進行阻止又は改善を目的としているが、強化インスリン療法やインスリン持続皮下注入療法でも血糖コントロールの難しいインスリン依存型糖尿病(IDDM)は、まさに膵島移植のよい適応であると考えられている。膵島移植は局所麻酔で可能なほどで、手術侵襲が極めて小さいため糖尿病患者にとってより安全であり、血管吻合の必要がないため、血管病変の進行により膵(臓器)移植の適応外になった患者でも実施可能である。また、門脈循環にインスリンが放出されるため、生理学的にも有利である。さらに、分離膵島の凍結保存による、いわゆるbankingも可能である等、膵(臓器)移植と比較して多くの利点を有している。
【0004】
インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)臨床の実際では、積極的にインスリン療法が用いられている。これは、インスリンを投与することにより、患者自身の膵島β細胞を休息させ、それによりβ細胞の機能が回復してくるのを待つという考え方からであり、近年、積極的に導入され、好結果が報告されている。このことは、NIDDMにおいても、膵島移植によって治療可能であることを示しており、NIDDM例のβ細胞機能が低下してきている時期に膵島を移植すれば、再びβ細胞機能が回復し、NIDDMの悪化を防止できる可能性も考えられている。
【0005】
実験的医療の段階から始まった膵島移植は、当初、成績が芳しくなかったが、1999年3月よりカナダEdmontonにあるAlberta大学において、新しい画期的なEdmonton Protocolが実施され、膵島移植施行7例全例が、insulin independentとなったということが報告され(Shapiro AM,Lakey JRT,Ryan EA,Korbutt GS,Toth E,Warnock GL,Kneteman NM,Rajotte RV: N Eng J Med,343,230−238(2000)を参照。)、このprotocolによる多施設共同トライアルも準備されている。
【0006】
このように、膵島移植の臨床研究までに発展した理由としては、大動物膵よりの大量膵島分離法の研究がなされ、1984年、Ricordi等が独自の自動膵島分離装置を考案し、ブタ、ヒト膵よりの大量膵島分離に成功したことが大きい。
大量膵島分離に関する技術としては、特表平2−504222号公報(米国特許第5079160号公報に対応)には、細胞亜類型の細胞クラスターを単離する方法が記載されている。この先行技術には、膵臓から膵島を分離する手法及び装置が開示されている。
【0007】
具体的には、脊椎動物の完全な器官からの細胞の一定の特定型群を得る方法であって、
(a)完全器官を、特定型群に含まれる細胞を遊離させるに有効な量のプロテアーゼを含有する生理的媒体で膨張させ、
(b)前記膨張器官を通して及び細胞、すなわち、特定型群の細胞クラスターを通過させるが器官を通過させない分離手段を通して、生理的媒体を、前記細胞を移動させ、かつ、細胞を取り出すのに十分な時間、再循環し、
(c)前記細胞が分離手段の通過を開始した後、前記器官を通し及び前記分離手段を通して回収手段に新たな生理的媒体を循環し、次いで、
(d)前記分離手段を通過する細胞の特定型群を回収する、
ことを特徴とする方法である。
【0008】
しかしながら、上記の、膵臓からのランゲルハンス島の分離法において、細胞の存在を検出する手段は、出口媒体からサンプリングを行い、顕微鏡で確認するものであった。これは操作を非常に煩雑にし、作業者に負担を強い、かつ、分離プロセス全体の自動化を妨げるものであった。そこで、細胞の検出を簡便、かつ、自動で行う方法の開発が求められている。
目的の細胞の検出方法としては、Jaggi B, Poon SSS, MacAulay C, and Palcic B: Cytometry, 9, 566−562(1988)には、撮像した画像を演算処理することにより、染色した細胞の吸光度又は蛍光強度を計測する方法が記載されている。しかしながら、この方法は複雑な演算処理を伴うため、そのプログラム作成が煩雑である、という問題点が挙げられる。
【0009】
特開平6−241981号公報には、吸光度検出と画像解析を組み合わせて粒子を検出する方法が記載されているが、複数の検出系の操作や波長の切り替えが非常に煩雑であり、画像を解析し、粒子を検出するために多数のパラメータ設定が必要といった問題点があった。
特開平7−286952号公報には、原画像から粒子の形状にしたがって粒子画像の切り出しを行い、粒子画像を表示する方法が記載されているが、粒子の検出は目視によるため、作業者に負担を強いる、検出基準を明確化しにくい、粒子形状の切り出しのためのパラメータ設定が複雑となる、といった問題点があった。
【0010】
特許第2959814号明細書には、撮像された画像を解析し、粒子を検出する方法が記載されているが、特開平6−241981号公報と同様に、粒子を検出解析するためのパラメータ設定が必要であり、操作が煩雑になる、という問題点があった。
特表2002−506522号公報には、流体中の細胞を蛍光物質で標識し、その発光を計測することにより細胞を検出する方法が記載されているが、蛍光物質を励起するための光源が必要となる、光源及び検出器のフィルターの波長を用いる蛍光物質によって変更する必要があるなど、操作が煩雑となる問題を有していた。
すなわち、これまで膵臓器から分離したランゲルハンス島を、目視や複雑な画像解析検出手段を用いずに効率的に検出する方法は知られていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、検液中の細胞の有無、数等を検出する方法及び装置、とりわけ、膵臓器から遊離したランゲルハンス島を検出するに際して、簡素なパラメータ設定及び検出装置を用いて効率的に検出する方法及びその装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記のような問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、細胞を含む試料を撮像した画像からその色信号の値を計測することにより、細胞の形状を検出することなく細胞を検出することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0013】
第一の発明は、被検液中の細胞の有無を検出する方法であって、撮像手段を用いて被検液の画像を取り込み、取り込んだ画像における一定範囲の色信号の計測を行い、その計測結果を、予め同様に計測した細胞を含まない試料の計測結果又は細胞数が既知の試料の計測結果と比較することを特徴とする細胞検出方法である。
第二の発明は、試料の設置手段、細胞を含む試料を撮像する撮像手段、及び撮像部から撮像した画像受信し、取り込んだ画像における一定範囲の色信号の計測を行う計測手段を備えることを特徴とする細胞検出装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に用いられる細胞検出装置の一例である。試料支持体である透明な基板1上に被検液である試料2が戴置されている。透明基板の下側に、細胞を含む試料を撮像するためのCCDカメラ4が設置されている。CCDカメラからの映像信号は、コンピュータ5に取り込まれ、取り込まれた画像における一定範囲の色信号の値が計測され、必要に応じて記憶装置に保存される。一定範囲とは、撮像された試料の画像における任意の範囲である。
【0015】
細胞を検出するために、予め作成された色信号と細胞数の関係を示すデータをコンピュータに内蔵させておき、コンピュータにより色信号とを対比させて細胞を検出することができる。他の手段として、映像をCRTディスプレイ6に表示させて、測定者が、予め作成された色信号と細胞数の関係を示すデータを対比することもできる。予め作成しておく色信号と細胞数の関係を示すデータとして、例えば、対照試料の色信号と細胞が存在する試料の色信号との差異を用いて、計測時に対照試料の色信号と比較することにより、細胞の有無の検出を行うことができる。対照試料としては、細胞を含まない試料、例えば、試料作成時に用いられる生理的媒体などを用いることができる。また、細胞数が既知の試料の計測を行うことにより得られる検量線を用いて、試料中の細胞数を特定することも可能である。
【0016】
色信号としては、形式がRGB表色系、XYZ表色系、X10Y10Z10表色系、Yxy表色系、UCS表色系、Luv表色系、L*u*v*表色系、LAB表色系、L*a*b*表色系、CMYK表色系、Munsell表色系、修正Munsell表色系、Ostwalt表色系、HSV表色系、HSB表色系、HSL表色系、HLS表色系、YIQ表色系及びPCCS表色系等が挙げられる。これらの一種又は複数を用いることができる。例えば、RGB表色系の場合には赤色値(R)、緑色値(G)、青色値(B)である。
【0017】
計測された一定範囲の色信号の平均値又は積算値を計算し、試料の評価を行うことにより、より精度良く細胞の検出が可能となるので好ましい。精度の向上のためには、複数の色信号の測定結果を組み合わせることも有効であり、例えば、RGB表色系において赤色値(R)と青色値(B)を加算するといった手法が挙げられる。
試料支持体の材料としては、透明なガラス及びプラスチックが好ましい。試料は必ずしも支持体上に静置されている必要はない。支持体に試料を流すための溝又は孔を設けて、連続的又は断続的に検出を行うことが好ましい。このような例として、透明なプラスチックチューブやガラス製のパイプ、ガラスチップ上のチャネル等が挙げられる。
【0018】
本発明においては、試料中の細胞を破砕することは必ずしも必要ではないが、精度良く色信号の値を計測するためには細胞を破砕し、均質な破砕液を試薬又は抗体で染色し、撮像することが好ましい。破砕は、被検液全体に、例えば、図1に示すような超音波破砕装置3を用いて行われる。破砕には、その他に、ホモジナイザー、酵素、界面活性剤等を用いることができる。
本発明において、試料を、試薬又は抗体により染色することは必ずしも必要ではないが、感度よく検出を行うため、あるいは複数の細胞種を含む試料中より特定の細胞種の検出を行うためには、試薬又は抗体による染色を行うことが好ましい。染色に用いる試薬又は抗体は限定されないが、目的の細胞又はその分泌物、器官を選択的に染色するものであることが求められる。例えば、膵臓から遊離したランゲルハンス島を検出するためにはジチゾン(ジフェニルチオカルバゾン)による染色が好適である。
【0019】
撮像手段は、試料の静止画を画像として取り込む手段であり、CCDカメラの他に、CIDカメラ、RGBカメラ、フィルムカメラ、ポラロイドカメラ、C−MOSカメラ、ビデオカメラ等が用いられる。これらの撮像手段は限定されないが、画像を取り込んで、コンピュータ上で解析を行うことが好ましい。フィルムカメラ又はポラロイドカメラを用いる場合には、例えば、撮像した写真をスキャナで取り込むことが有効である。取り込まれた画像を保存表示できることが好ましい。
【0020】
試料が、微量又は限定された空間に存在する場合には、拡大して撮像してもよい。撮像手段は、試料と接触してもよく、非接触であってもよい。撮像手段からの映像信号を計測手段が受信することができることが必要であるが、映像信号の受信の手段は限定されず、例えば、一時記憶媒体を介して映像信号を受け渡しすることも、これに含まれるものとする。
撮像された画像の解析のためには、画像の表示は必須では無いが、作業者が目視で細胞を含む試料の状態を確認するためには、撮像された画像の表示をすることが好ましい。撮像した画像を表示するために用いる手段としては、CRTディスプレイ、液晶モニター、PDP、液晶プロジェクター、ELディスプレイ、FED、VFD、DMD等が挙げられる。
解析により得られた色信号の値が既定の、ある範囲を逸脱した際に、それを通知する手段が設けられていてもよく、特に、作業を自動化する場合には有効である。既定の範囲とは、作業者が任意の範囲に設定した色信号の値の範囲である。通知の手段としては、警告灯7の点灯の他、警報、画像表示手段上での警告等が挙げられる。
【0021】
本発明の装置において、試料の撮像、撮像された画像からの色信号の計測解析の工程を、必ずしも自動で行う必要はないが、作業者の負担をより一層軽減するためには自動で行えることが好ましい。その手段として、例えば、試料の設置を検出するセンサー8を備え、センサーからの信号により画像の取り込みを行う撮像装置、画像情報を解析装置へ伝送する手段、伝送された画像情報より色信号の計測解析を行う計測装置によって構成されるシステムが好ましい。
本発明は、膵臓由来の細胞、特に、ランゲルハンス島の検出に好適である
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
【実施例1】
ブタ膵臓消化液からのランゲルハンス島遊離検出実験
食用ブタより摘出した膵臓を摘出後、直ちに氷冷し、細切したもの30g程度を250ml容の遠沈管(Corning社製)に取り、HBSS(Hank緩衝液)にリベラーゼ(Roche社製)を0.5mg/mlの濃度になるように溶解した液50mlを加えた。37℃に加熱した恒温槽で30分間加温し、溶液を15ml容チューブ(旭テクノグラス社製)1に取った。溶液の一部を6本の15ml容チューブ1aに取り、1.25、1.9、2.5、3.75、5、7.5倍の希釈液を作成し。作成した希釈液、未希釈の溶液及びHBSSに、ジチゾン(ジフェニルチオカルバゾン)を0.125mg/mlの濃度になるように加えることによって溶液を染色したものを試料とした。
【0023】
図2は、本実施例における装置の構成を示した概略図である。15ml容チューブ1に分取した試料2aの画像をデジタルカメラFinePix(登録商標)4700z(フジフィルム社製)4aを用いてチューブ1aの側面より撮像し、撮像した画像をコンピュータ5aに取り込んだ。図3は、本実施例において、画像の計測範囲9を示した図である。取り込まれた画像上において計測範囲は試料画像2b内の任意の位置に設定することができるが、ここでは各試料2aについて試料画像2bのほぼ中央に設定した。コンピュータ5a上にて画像解析機能を持つソフトウェアを用いて、計測範囲9における水平方向の三色信号RGB値の平均値を計測した。図4は、上記手法により作成された、ランゲルハンス島数と三色信号RGB値の関係を示したチャートである。これより、ランゲルハンス島濃度が5個/μl以上をランゲルハンス島が検出された目安とすると、これは緑色値(G)の値が約35以上低下した点に相当する。
【0024】
食用ブタより摘出した膵臓を摘出後、直ちに氷冷し、細切したもの30g程度を250ml容の遠沈管に取り、HBSSにリベラーゼを0.5mg/mlの濃度になるように溶解した液50mlを加えた。37℃に加熱した恒温槽で加温し、5分間ごとに溶液を15ml容チューブ1aに分取した。分取した溶液にジチゾンを0.125mg/mlの濃度になるように加えることによって溶液を染色したものを試料とした。対照として、HBSSを同様に染色したものを試料として用意した。
【0025】
15ml容チューブ1aに分取した各試料と対照試料の画像を、図2のごとくデジタルカメラFinePix(登録商標)4700z(フジフィルム社製)4aを用いてチューブ1aの側面より撮像し、撮像した画像をコンピュータ5aに取り込んだ。コンピュータ5a上にて画像解析機能を持つソフトウェアを用いて、上記と同様に図3に示すように、画像内における一定範囲の三色信号RGB値の横軸における平均値を計測し、同様に計測した対照試料のRGB値を差し引いて、RGB値の変化量を得た。
【0026】
各試料について、ジチゾン染色によりランゲルハンス島の数をカウントし、ランゲルハンス島の濃度を求めた。図6は、各サンプリング時間における、計測されたRGB値とランゲルハンス島濃度との関係を示したチャートである。緑色値(G)が35低下するのは消化開始20分後に相当し、その時間においてランゲルハンス島の遊離を確認することができた。
以上のことから、本実施例においては撮像した画像の一定範囲のRGB値を計測するだけで、遊離したランゲルハンス島の検出を行うことができることが確認された。
【0027】
【実施例2】
破砕したブタ膵臓消化液からのランゲルハンス島遊離検出実験。
食用ブタより摘出した膵臓を摘出後、直ちに氷冷し、細切したもの30g程度を250ml容の遠沈管(Corning社製)に取り、HBSS(Hank緩衝液)にリベラーゼ(Roche社製)を0.5mg/mlの濃度になるように溶解した液50mlを加えた。37℃に加熱した恒温槽で30分間加温し、溶液を15ml容チューブ(旭テクノグラス社製)に取り、超音波破砕機によって細胞を破砕した。溶液の一部を6本の15ml容チューブ1aに取り、1.25、1.9、2.5、3.75、5、7.5倍の希釈液を作成し。作成した希釈液、未希釈の溶液及びHBSSに、ジチゾン(ジフェニルチオカルバゾン)を0.125mg/mlの濃度になるように加えることによって溶液を染色したものを試料とした。
【0028】
実施例1と同様に撮像した試料2aの画像をコンピュータ5に取り込み、実施例1と同様、画像解析機能を持つソフトウェアを用いて、図3に示すような画像内における測定範囲9の三色信号RGB値の横軸における平均値を計測した。図5は上記手法により作成された、ランゲルハンス島数と三色信号RGB値の関係を示したチャートである。これより、ランゲルハンス島濃度が5個/μl以上をランゲルハンス島が検出された目安とすると、これは緑色値(G)の値が約35以上低下した点に相当する。
【0029】
食用ブタより摘出した膵臓を摘出後、直ちに氷冷し、細切したもの30g程度を250ml容の遠沈管に取り、HBSSにリベラーゼを0.5mg/mlの濃度になるように溶解した液50mlを加えた。37℃に加熱した恒温槽で加温し、5分間ごとに溶液を15ml容チューブ1に分取した。分取した溶液を超音波破砕機によって細胞を破砕した後にジチゾンを0.125mg/mlの濃度になるように加えることによって溶液を染色したものを試料とした。また、対照としてHBSSを同様に染色したものを試料として用意した。
【0030】
実施例1と同様に各試料2aと対照試料2aの撮像した画像をコンピュータ5に取り込み、実施例1と同様、コンピュータ5a上にて画像解析機能を持つソフトウェアを用いて、図3のごとく画像内における一定範囲の三色信号RGB値の横軸における平均値を計測し、同様に計測した対照試料のRGB値を差し引いて、RGB値の変化量を得た。
各試料について、ジチゾン染色によりランゲルハンス島の数をカウントし、ランゲルハンス島の濃度を求めた。図7は各サンプリング時間における、計測されたRGB値及びランゲルハンス島濃度を示したチャートである。緑色値(G)が35低下するのは消化開始20分後に相当し、その時間においてランゲルハンス島の遊離を確認することができた。
以上のことから、本実施例においては撮像した画像の一定範囲のRGB値を計測するだけで、遊離したランゲルハンス島の検出を行うことができることが確認された。
【0031】
【発明の効果】
本発明によると、簡便な操作及び解析によって容易に、検液中の細胞の有無、細胞の数等を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における細胞検出装置の一例の概略図。
【図2】実施例1及び2で用いた細胞検出装置の概略図。
【図3】実施例1及び2で測定された画像の範囲の一例を示す図。
【図4】実施例1におけるランゲルハンス島濃度とRGB値の関係を示すチャート。
【図5】実施例2におけるランゲルハンス島濃度とRGB値の関係を示すチャート。
【図6】実施例1におけるRGB値と経過時間の関係を示すチャート。
【図7】実施例2におけるRGB値と経過時間の関係を示すチャート。

Claims (15)

  1. 細胞の形状を検出することなく被検液中のランゲルハンス島の有無又は数を検出する方法であって、撮像手段を用いて被検液の画像を取り込み、取り込んだ画像における一定範囲の色信号の計測を行い、その計測結果の平均値又は積算値を、予め同様に計測したランゲルハンス島を含まない試料の計測結果の平均値もしくは積算値又はランゲルハンス島数が既知の試料の計測結果の平均値もしくは積算値と比較することを特徴とする細胞検出方法。
  2. 色信号の計測結果が複数の色信号の測定結果の組み合わせであることを特徴とする請求項1記載の細胞検出方法。
  3. 被検液の計測された一定範囲の色信号の平均値又は積算値を、予め、作成してある色信号の平均値又は積算値とランゲルハンス島数の関係を示す検量線と照合することを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞検出方法。
  4. 被検液中のランゲルハンス島数を検出することを特徴とする請求項3記載の細胞検出方法。
  5. 被検液を透明な試料支持体を介して、撮像手段を用いて被検液の画像を取り込むことを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞検出方法。
  6. 該試料支持体が溝又は孔からなる流れ経路を有し、該流れ経路に被検液を連続的又は断続的に流し、流れる被検液の画像を、撮像手段を用いて取り込むことを特徴とする請求項5記載の細胞検出方法。
  7. 計測する色信号の形式が、RGB表色系、XYZ表色系、X10Y10Z10表色系、Yxy表色系、UCS表色系、Luv表色系、L*u*v*表色系、LAB表色系、L*a*b*表色系、CMYK表色系、Munsell表色系、修正Munsell表色系、Ostwalt表色系、HSV表色系、HSB表色系、HSL表色系、HLS表色系、YIQ表色系及びPCCS表色系から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2記載の細胞検出方法。
  8. ランゲルハンス島を含む試料が、試薬又は抗体によって染色されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞検出方法。
  9. 染色に用いる試薬がジチゾン(ジフェニルチオカルバゾン)であることを特徴とする請求項8記載の細胞検出方法。
  10. 細胞を破砕処理した試料の画像を取り込むことを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞検出方法。
  11. 破砕処理に際して、超音波、酵素及び界面活性剤から選ばれた少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項10記載の細胞検出方法。
  12. 撮像手段は、CCD(Charge−CoupledDevice)カメラ及びCID(ChargeInjectionDevice)カメラ、RGBカメラ、フィルムカメラ、インスタントカメラ、C−MOSカメラ及びビデオカメラから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞検出方法。
  13. 撮像された画像をコンピュータ内に取り込むことを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞検出方法。
  14. 取り込まれた画像を画像表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞検出方法。
  15. ランゲルハンス島を含む試料の撮像、及び撮像された画像からの色信号の測定までの工程を自動で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞検出方法。
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