JP3222785B2 - 癌細胞の定量測定方法 - Google Patents
癌細胞の定量測定方法Info
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Description
方法に関し、抗癌剤の感受性試験法などにおいて、癌細
胞の増殖を定量的に測定する方法に関する。
与された癌細胞と投与しなかった癌細胞とを同じ条件で
培養して、培養後の癌細胞の増殖度を比較することで、
癌細胞の抗癌剤に対する感受性を評価する。癌細胞の増
殖が少ないほど、優れた制癌剤となる。
リ皿あるいは寒天やコラーゲンゲル等の表面あるいは内
部で培養される。コラーゲンゲル内で癌細胞を培養する
コラーゲンゲル包埋培養法は、従来の表面培養法に比べ
て、癌細胞の増殖が良好に行われることが知られてお
り、本願出願人が先に出願している特願平5−3510
36号等に具体的方法が開示されている。
MTT試薬などを用いて癌細胞を染色してから試料内に
取り込まれた染料を取り出して定量する染色による比色
定量法が良く知られている。また、本願出願人は、癌細
胞を培養した試料を顕微鏡およびTVカメラ等で撮像
し、得られた画像情報を電子的に画像解析して、癌細胞
コロニーの体積を算出することで癌細胞の増殖度を定量
する方法を開発し、特願平2−267343号(特開平
3−285696号公報参照)等で特許出願している。
量法では、培養試料から染料を溶出させて取り出す工程
が必要であり、作業に手間とコストがかかる。特に、前
記したコラーゲンゲル包埋培養法で得られた培養試料か
ら染料を取り出すには、コラゲナーゼ等の酵素でコラー
ゲンゲルを分解する必要があり、作業性が悪くコストも
高くつく。
が取り込まれると、癌細胞の正確な定量ができないとい
う問題もある。例えば、癌細胞を培養する際には線維芽
細胞も同時に増殖することがある。線維芽細胞も染料を
取り込むので、比色定量法では、癌細胞と線維芽細胞の
合計の増殖度が測定されてしまう。生体から取り出され
た癌細胞を培養する初代培養では、線維芽細胞などの癌
細胞以外で染料を取り込む性質のある細胞や成分が含ま
れていることが多い。
と線維芽細胞等の不要物とをその形状の上から識別して
癌細胞のみの情報を取り出すので、上記のような問題は
生じない。しかし、画像解析によって癌細胞と不要物と
を識別するには、複雑なフィルター処理その他の演算処
理を行わなければならず、高性能の画像解析装置やコン
ピュータ等の機器が必要になる。また、測定結果が得ら
れるまでの作業時間も長くかかる。特に、癌細胞のコロ
ニーの輪郭が不明確であると癌細胞の体積を正確に算出
することが困難になる。例えば、線維芽細胞の混入量が
多かったり、染色性が悪い場合にこのような問題が生じ
る。
確かつ簡単に行えるようにすることである。
定量測定方法は、癌細胞の培養試料から癌細胞を定量的
に測定する方法であり、以下の工程を含む。試料中の癌
細胞を呈色する工程。呈色された癌細胞を含む試料を撮
像する工程。
し、各分割領域毎の画像濃度を得る工程。分割領域毎の
画像濃度を全領域について積算する工程。画像濃度の積
算値から吸光度を算出し、得られた吸光度の値で癌細胞
を定量する工程。
法が適用できる。例えば、単層培養、コラーゲンゲル培
養、コラーゲンゲル包埋培養等が挙げられる。但し、培
養試料を撮像して呈色された癌細胞の画像情報が得られ
る形態で培養試料を得る必要がある。具体的には、通常
の顕微鏡観察が可能な形態であればよい。
号、特願平7−517910号等で開示しているコラー
ゲンゲル包埋培養法を適用するのが好ましい。上記コラ
ーゲンゲル包埋培養法は、癌細胞を含むコラーゲン溶液
を支持面上に滴下して滴塊状のコラーゲンゲルを形成さ
せ、このコラーゲンゲルに培養液を接触させてコラーゲ
ンゲル中の癌細胞を培養する。この方法では、培養に使
用する癌細胞の量が少なくても良好な培養およびその後
の癌細胞の定量測定が行える。
方法が適用できる。具体的には、ギムザ液染色法、クリ
スタルバイオレット染色法、ニュートラルレッド(N
R)染色法、フルオレセインジアセテート(FDA)染
色法あるいはその他の蛍光試薬を用いた染色法が挙げら
れる。癌細胞を選択的に呈色でき、癌細胞以外の成分を
出来るだけ呈色しない方法が好ましい。生細胞を選択的
に染色する生細胞染色法を用いれば、抗癌剤の感受性等
を測定するのに適している。NR染色法は、癌細胞のう
ち生細胞だけを選択的に呈色できる方法として好まし
い。
次の撮像工程までの間に染料など溶出することを防げ、
培養試料の取り扱いや保存も容易になる。培養試料を乾
燥させずに培養状態のままで、次の撮像工程を行うこと
も可能である。この場合には、培養途中で適宜の段階毎
に撮像および癌細胞の定量を行って、経過時間と癌細胞
の増殖量との関係データを得ることができる。
態が画像情報として得られれば、通常の細胞培養後にお
ける顕微鏡画像やTV画像の撮影と同様の方法が適用さ
れる。具体的な装置としては、顕微鏡、試料ステージ、
照明装置、顕微鏡に接続できるTVカメラ、撮像画面の
表示用モニタ等を備えたものが用いられる。画像情報は
電子的データとして得られる。画像情報を記憶したり演
算処理するために、パーソナルコンピュータ等の演算処
理および記憶装置が用いられる。癌細胞の定量測定結果
を出力したりするためには、TVモニタ等のディスプレ
イ装置、プリンタ装置、外部記憶装置などが用いられ
る。
画像情報は、通常、縦横に配置された多数の画素データ
の集合として構成される。各画素には、それぞれの位置
における画像濃度を表す情報が含まれている。このよう
な個々の画素を分割領域とすれば、画像情報が画素単位
で分割される。複数の画素からなる領域を一つの分割領
域としてもよい。
の強度に対応し、画面の明るさとして表れる。培養試料
中に呈色されて光を遮る物体すなわち癌細胞が存在すれ
ば、その部分で撮像素子や撮像管に捉えられる光の強度
は弱くなる。癌細胞の厚みが分厚いほど、光の強度は弱
くなる。なお、線維芽細胞などの癌細胞の測定に有害な
物質は通常、癌細胞に比べて格段に呈色され難く、画像
濃度は癌細胞に比べて明らかに高くなる。
調に対応する一定範囲のデジタル数字で表される。通
常、明るい画像ほど画像濃度の値は高い値をとる。例え
ば、濃度階調を8ビットで表せば、濃度は0〜255ま
での値を持つ。濃度階調の上下限値および間隔は、撮像
装置の性能あるいは画像情報の加工処理方法によって変
わる。
れるブランク画像濃度と、暗黒状態の画像情報から得ら
れる暗画像濃度とを上下限として、各分割領域毎に前記
上下限値に対する画像濃度の相対値を求める。ブランク
画像は、癌細胞を添加しないことを除いて癌細胞の培養
試料と同じ工程を経て処理されたブランク試料を撮像し
て得られた、最も明るい状態の画像である。但し、コラ
ーゲンゲル基質などは存在するので、完全な白画像では
ない。暗画像は、撮影レンズのシャッターを閉じるなど
して光が入らないようにした最も暗い状態での画像であ
る。各領域の画像濃度は、ブランク画像の濃度と暗画像
の濃度との間にある。前記した濃度階調を8ビットで表
す場合には、暗画像の画像濃度を0、ブランク画像の画
像濃度を255で表し、各領域の画像濃度は0〜255
までの何れかの値で表すことができる。但し、暗画像が
0以上の値、ブランク画像が255以下の値であっても
構わない。濃度階調を、4ビットで表したり、16ビッ
ト以上で表すことも可能である。
濃度の値を、全領域について積算する。ブランク画像お
よび暗画像についても全領域の画像濃度の値を積算す
る。ブランク画像の画像濃度積算値は、理想的には25
5×画素数になるはずであるが、実際の測定では255
よりも小さな画像濃度値も測定されるので、前記理想値
よりも小さな積算値が得られる場合がある。同じよう
に、暗画像の画像濃度積算値は0になるのが理想的であ
るが、実際の測定では0よりも大きな積算値が得られる
場合がある。培養試料の画像濃度積算値は、0〜255
×画素数の間にある。
超える場合に、その領域の画像濃度を積算から除外すれ
ば、癌細胞以外の雑音情報を確実に取り除くことがで
き、測定精度が高まる。線維芽細胞などの癌細胞の測定
に悪影響を与える物質は通常、癌細胞に比べて呈色され
難いので、線維芽細胞を通過する光は癌細胞を通過する
光よりも強くなり、画像濃度が高くなる。したがって、
画像濃度が臨界値を超える領域については、癌細胞は存
在しないと判断でき、前記積算から除外できる。画像濃
度の臨界値、すなわち癌細胞とその他の物質とを区別す
る画像濃度の値は、実験により求めておくことができ
る。
収するので画像濃度は低くなる。癌細胞の厚みが分厚け
ればそれだけ光の吸収量は多くなり画像濃度も低くな
る。したがって、個々の領域における画像濃度はその位
置における癌細胞の厚みと相関している。全領域につい
て画像濃度を積算した値は、全領域における癌細胞の存
在量との間に相関関係を有する。したがって、画像濃度
積算値から癌細胞を定量することができる。癌細胞と線
維芽細胞等の不要成分との画像濃度の違いは大きいの
で、画像濃度の積算値に与える不要成分の影響は少な
く、画像濃度の積算値は癌細胞の量のみにほぼ相関する
と言える。特に、前記した臨界値による雑音情報の除去
を行えば、得られた画像濃度積算値は癌細胞の量と非常
に高い相関性を示す。
胞を定量するのでなく、画像濃度積算値から吸光度を求
めて、吸光度の値で癌細胞を定量するのが好ましい。吸
光度は、試料を透過する光が試料中で吸収される量で表
す。試料中に呈色された癌細胞が存在すれば、試料に吸
収される光の量が多くなり、吸光度は高くなる。吸光度
が高いほど、試料中に光を吸収する癌細胞の量が多いこ
とになる。
値ΣTCと、ブランク画像の各領域毎の画像濃度WCを
積算した値ΣWCと、暗画像の各領域毎の画像濃度BC
を積算した値ΣBCとから、下記(1)式で吸光度Aが
算出できる。 A=log10 {(ΣWC−ΣBC)/(ΣTC−ΣBC)} ……(1) 吸光度Aの値は、癌細胞の量と直線的な相関関係を示
す。吸光度Aが高いほど、培養試料に含まれる癌細胞の
量が多いことになる。
加えなかったコントロール試料と制癌剤を加えた測定試
料とで、前記吸光度Aを比較すれば、制癌剤の感受性が
評価できる。また、既知の制癌剤について測定された吸
光度Aと対比することで、感受性が強いか弱いかを評価
することができる。吸光度Aの値は、その定義および測
定方法から、測定装置あるいは培養試料の違いに影響を
受けないので、制癌剤の感受性を客観的に評価する基準
として用いることができる。
微鏡10は、通常の細胞測定に用いられるものと同様の
構造を有し、下方に培養試料を載せるステージ12を有
する。ステージ12には照明装置14からの照明光が導
入されて培養試料を照明する。顕微鏡10には照度計1
6が接続されてあり、照明の強さを測定および調整す
る。照度計16で照明の強さを調整することは、測定精
度の向上あるいは測定条件のばらつきを防ぐのに有用で
ある。
加えて、観察画面を撮像するTVカメラ20が取り付け
られる。TVカメラ20は、撮影画像を写しだす位置合
わせ用モニタ22を経てパーソナルコンピュータ30に
接続されている。パーソナルコンピュータ30には出力
用プリンタ32が接続されている。通常の培養方法で培
養された癌細胞の試料を呈色し、顕微鏡を通してTVカ
メラ20で撮像すると、図2に模式的に示すような画像
Sが得られる。癌細胞のコロニーCや線維芽細胞fの存
在が確認できる。癌細胞コロニーCに比べると線維芽細
胞fの呈色は少ない。また、癌細胞コロニーCは、厚み
のある立体的な形態を有しており、癌細胞コロニーCの
厚みが分厚いところほど、強く呈色された状態で観察さ
れる。
タ30に送られた画像情報には、各画素毎にそれぞれの
位置の画像濃度の情報が含まれる。図3に示すように、
画像濃度の値は、8ビットのデータすなわち0〜255
の数値で表される。ブランク画面の画像濃度WC=25
5、暗画面の画像濃度BC=0になり、各画素毎に測定
された画像濃度の測定値TCが0〜255の間の値をと
るように設定される。ブランク画像の画像濃度WCは、
予め癌細胞を加えずに癌細胞の培養試料と同じ工程を経
て処理されたブランク試料を撮像して求める。暗画像
は、TVカメラのシャッターを閉じた状態で撮像して求
める。各画素毎に測定された測定画像濃度TCは0〜2
55の間にある。なお、測定値TCが、臨界値となる画
像濃度LC=128(測定条件等で数値は変わる)を超
えると、その測定値TCは次の積算からは除外される。
積算して積算値ΣWCを算出する。同様にして暗画像濃
度積算値ΣBCを算出する。培養試料の測定画像濃度積
算値ΣTCを算出する。このとき、測定値TCと臨界値
LCを比較して、臨界値LCを超える測定値TCは積算
から除外する。各積算値ΣWC、ΣBC、ΣTCから、
下記(1)式で吸光度Aを算出する。
理は、パーソナルコンピュータ30に組み込まれたプロ
グラムで自動的に行われる。演算処理プログラムの流れ
を、図4および図5に示す。図4に示すように、最初に
画像記憶処理が行われる。ブランク画像を撮像し、その
画像情報を記憶させる。暗画像についても撮像および記
憶が行われる。次に、培養試料を撮像し測定画像として
記憶させる。培養試料が複数ある場合には、この処理を
繰り返す。培養試料に対する測定画像の撮像記憶が完了
すれば、次の吸光度算出処理に移る。
る。ブランク画像を読み出し、その各画素毎の画像濃度
WCから積算値ΣWCを算出する。暗画像についても、
読みだしおよび画像濃度積算値ΣBCの算出が行われ
る。次に、培養試料の測定画像を読み出し、各画素毎の
画像濃度TCを積算し、積算値ΣTCを求める。この
と、各画像濃度TCを臨界値LCと比較して、TC>L
Cであれば、積算値ΣTCに加えない。
ら、測定画像の吸光度Aを算出する。培養試料が複数あ
る場合には、上記作業を繰り返す。測定結果は、プリン
タ装置32で出力したり、パーソナルコンピュータ30
の外部記憶装置に記憶させたりする。以上で癌細胞の定
量測定が完了する。
た。 〔画像処理装置〕 パーソナルコンピュータ:Power Macintosh 7500 (RAM:
48MB HDD:1.0GB)(アップル社製) 画像測定ソフト:NIH-Image Ver.1.56 画像取込条件:256X256(8bit gray) プリンター:MJ500C(エプソン社製) 〔画像入力装置〕 TVカメラ:CTC-2600計測用テレビカメラ(池上通信機
社製) 光学顕微鏡:STEMI SV-8(カールツアイス社製) 照明装置:LGPS(オリンパス社製) 位置合わせ用モニター:GVM-1411(ソニー社製) 照度計:デジタル照度計 T-1M (ミノルタ社製) 〔疑似サンプル〕 写真機用フィルター各種 <照明条件の設定>本発明の測定方法では、TVカメラ
で測定される画像の明るさが、最も暗い状態から最も明
るい状態までの間の出来るだけ広い範囲で、前記画像濃
度と前記ΣTCとが直線的な比例関係を示すことが好ま
しい。直線的な比例関係になかったり、直線的な比例関
係を示すレンジが狭かったりすると、測定精度が悪くな
る。
係が広いレンジで得られる照明の設定条件を求める。図
1において、照明装置14から照射され顕微鏡10を通
過した光を照度計16で測定した。光の透過度が異なる
疑似サンプルとして様々な写真機用フィルターを顕微鏡
10のステージ12上に載せて測定を行った。ステージ
12上に写真機用フィルターを載せないブランク状態
で、照度計16で測定される照明の明るさが2.0〜
5.0lux になるように照明装置14を調整した。この
状態で、TVカメラ20を経てパーソナルコンピュータ
30で測定されるΣTCの値を求め、照明の明るさとΣ
TCとの相関関係を調べた。
lux 迄であれば、フィルターを通過する光の明るさとΣ
TCが直線的な比例関係になった。なお、ブランク状態
で2.0lux の場合、直線的な比例関係を示す範囲はあ
るが、そのレンジが狭くなる傾向があった。以上の結
果、本測定装置では、ブランク状態で3.0〜4.0lu
x になるように照明装置14を設定することが好ましい
ことが判った。但し、装置の構成や測定条件が変われ
ば、好ましい明るさの条件も変動する可能性があるの
で、測定装置毎に上記のような照明条件の調査および設
定を行うことが好ましい。
ジ12上に種々の写真機用フィルターを載せ、明るさを
変えてΣTCの測定を行い、このときの吸光度Aと1画
素当たりの平均濃度値{ΣTC/(256×256)}
を求めた。つぎに、線維芽細胞(NB1−RGB)を5
×105cells/drop になるように30μlのコラーゲン
ゲルドロップ中に包埋して、FBS〔牛胎児血清〕を1
0%含んだDF培地〔ダルベッコ変法イーグル(DM
E)培養液1容とハムのF12培養液1容との混合培養
液〕で8日間培養した後、NR染色剤で染色し乾燥させ
た。この培養試料を用い、各画素の画像濃度TCを測定
した。0〜255のTC値毎に出現頻度(同じTC値を
有する画素の合計数)を求めた。照明の明るさを変えて
測定を行い、それぞれの場合に得られたTC値の出現頻
度グラフを図6に示す。
値に、前記した臨界値LCを設定しておけば、線維芽細
胞の影響を完全に除くことができる。実際上は、線維芽
細胞の影響が実用上問題がない範囲に臨界値LCを設定
しておけばよい。通常は、線維芽細胞およびバックグラ
ウンド画像のデータを99.0%以上除去できる位置に
臨界値LCを設定する。具体的には、照明の明るさによ
って異なり、LC=95(2.0lux )、LC=128
(3.0lux )、LC=160(4.0lux )、LC=
186(5.0lux )となった。
の測定方法とで、癌細胞の定量測定における定量性を比
較した。 −培養試料の作製− 癌細胞としてヒト肺癌由来細胞株であるPC−13を用
い、コラーゲンドロップ培養で培養する。細胞を包埋す
るコラーゲンゲル溶液として、セルマトリックス Type
CD(新田ゼラチン社製)8容量に、10倍のハムF12
培養液(重曹不含)1容量、再構成用緩衝溶液(260
mM重曹および200mM-HEPESを含む50mM-NaOH 溶液)
1容量を加え、氷中に保存した。コラーゲンゲル溶液を
8等分し、各コラーゲン溶液にPC−13株を、最終密
度が3×105 、1.5×105、5×104 、1.7
×104 、5.7×103 、1.9×103 、6.7×
102 、2.1×102cells/ml になるようにそれぞれ
加え、良く混合してコラーゲン混合液を調製した。これ
らのコラーゲン混合液を、マイクロ・ピペットを用い
て、それぞれ6穴マルチプレートに1ウェル当たり30
μlずつ、適当な間隔をあけて3個所に滴下した。これ
を前記1濃度当たり3ウェルずつ作製した。その後、C
O2 インキュベータ中で37℃で1時間加温し、癌細胞
を含むコラーゲン基質を作製した。得られたコラーゲン
ゲル基質に、前記10%FBS含有DF培地を3ml/ ウ
ェル加えて、6時間培養を行った。
MTT試薬を残りの2つにはNR染色剤を入れた。MT
T試薬を入れたウェルでは、培養容器内でコラーゲンゲ
ルをコラゲナーゼで溶解しホルマザン抽出用液を添加し
て、ウェル中に析出したホルマザンを抽出し、抽出液の
吸光度を測定することで癌細胞を定量した〔MTT
法〕。
1ウェルについては、培養容器内でコラーゲンゲルをコ
ラゲナーゼを用いて溶解し抽出液を添加することによっ
て生細胞が取り込んだNRを抽出し、抽出液の吸光度を
測定することで、癌細胞を定量した〔NR抽出法〕。
もう一方のNR染色剤を入れたウェルは、ホルマリン固
定・乾燥を行い、前記特開平3−285696号公報に
開示された従来法の画像解析測定法(体積法)〔画像
体積法〕と本発明の測定法〔本発明法〕とで癌細胞を
定量した。
好な定量性が得られたが、細胞数が少ない条件では、
MTT法、NR抽出法は、画像を用いる画像体積法
および本発明法に比べて定量性が悪かった。また、
MTT法、NR抽出法では、測定までに1ウェル毎に
コラゲナーゼ処理が必要で煩雑であった。画像体積法
および本発明法では、細胞数の多寡にかかわらず直線
的な相関関係が得られた。しかし、細胞数が多い条件で
は、本発明法のほうが画像体積法よりも定量性が良
かった。また、専用の画像解析装置を用いた画像体積
法では1画面1分の測定処理時間がかかったが、本発
明法では1画面5秒で処理でき、測定の能率化に貢献で
きることが判った。
して株化細胞からヒト癌由来癌細胞株C(PC−13)
とヒト由来線維芽細胞株F(NB1−RGB)とを用い
て、前項と同様の測定を行った。但し、コラーゲンゲル
に細胞を包埋する際に、癌細胞Cと線維芽細胞Fとを種
々の比率(C:F=1:0、2:1、1:2、0:1)
で、合計の細胞数が1ドロップ当たり5×105 個にな
るように混合した。また、包埋培養して24時間後に、
抗癌剤(CDDP)を種々の濃度で24時間作用させ、
その後7日間培養を行った。
なる増殖形態と繊維状の線維芽細胞Fからなる増殖形態
とが観察された(図2参照)。線維芽細胞Fの増殖形態
は、抗癌剤を接触させなかった対象群に顕著であった。
抗癌剤の接触群では、癌細胞Cおよび線維芽細胞Fの増
殖が、薬剤依存的に減少する傾向が観察された。それぞ
れの培養試料について、前記〜の測定方法で癌細胞
の定量を行った。その結果、MTT法およびNR抽
出法では、線維芽細胞Fの存在が測定結果に大きな影響
を及ぼした。しかし、画像体積法および本発明法で
は、線維芽細胞Fの混入量に関わらず、癌細胞Cのみの
抗癌剤に対する感受性を測定することができた。
である。 <比色定量法との対比> (a) 比色定量法では、測定に用いた培養試料は染料溶出
のために破壊されたが、本発明法では、培養試料に影響
を与えないので保管して繰り返す測定することができ
る。
ラゲナーゼ処理に手間がかかるが、本発明法では、上記
処理が不要であり、撮像から測定結果が出るまでのパー
ソナルコンピュータにおける処理はきわめて短時間で済
む。 (c) 比色定量法では、培養系に混入した線維芽細胞が測
定結果に影響を与えたが、本発明法では、線維芽細胞の
影響はほとんど無い。
胞の量との間の直線相関性があまり良くなく、癌細胞の
量が少な過ぎたり多すぎたりすると測定の信頼性が良く
ないが、本発明法では、吸光度と癌細胞の量との間の直
線相関性が良く、癌細胞の量が少なくても多くても信頼
性の高い結果が得られる。 <画像解析(体積)法との対比> (a) 画像解析(体積)法では、高価な画像解析装置が必
要であり処理時間も長くかかるが、本発明法では、通常
のパーソナルコンピュータで極めて短時間に処理でき
る。具体的には、時間当たり20倍の処理能力が確認さ
れた。
方法でもほぼ同等であり、本発明法は処理時間が短くて
も測定の信頼性には影響しない。 (c) 画像解析(体積)法では、線維芽細胞が非常に多い
場合には癌細胞コロニーの形状が捉えにくく、また、癌
細胞コロニーの外形が不明瞭な培養試料では、測定値の
バラツキが生じるが、本発明法では、何れの場合でも安
定した測定結果が得られる。
は、呈色された癌細胞を含む培養試料を撮像した画像情
報から、複数の分割領域毎の画像濃度を積算して吸光度
を求め、この吸光度から癌細胞を定量することにより、
簡単な装置および処理操作で正確な定量が果たせる。
像濃度の情報から簡単な演算処理で得ることができるの
で、複雑な画像解析処理を行う手間と時間が省け、処理
装置が簡単になる。しかも、吸光度の値と癌細胞の量と
の間には良好な直線的相関関係があり、培養試料に含ま
れる癌細胞以外の不要成分は、吸光度に与える影響が少
ないので、不要成分による誤差が含まれる可能性が削減
でき、正確な定量が行える。
れた臨界値を超える画像濃度のデータを除外して積算す
れば、前記臨界値を超える画像濃度を示す線維芽細胞な
どの不要成分の影響を確実に除くことができる。
置の構成図
度線図
Claims (6)
- 【請求項1】癌細胞の培養試料から癌細胞を定量的に測
定する方法であって、 前記試料中の癌細胞を呈色する工程と、 前記呈色された癌細胞を含む試料を撮像する工程と、 前記撮像された画像情報を複数の領域に分割し、各分割
領域毎の画像濃度を得る工程と、 前記分割領域毎の画像濃度を全領域について積算する工
程と、 前記画像濃度の積算値から吸光度を算出し、得られた吸
光度の値で癌細胞を定量する工程とを含む癌細胞の定量
測定方法。 - 【請求項2】前記画像濃度を積算する工程が、予め決め
られた臨界値を超える画像濃度の値を除外して積算する
請求項1に記載の癌細胞の定量測定方法。 - 【請求項3】前記吸光度を算出する工程が、癌細胞を含
まない試料の画像情報から得られるブランク画像濃度積
算値ΣWCと、暗黒状態の画像情報から得られる暗画像
濃度積算値ΣBCと、培養試料の画像濃度積算値ΣTC
とから、下記(1)式で吸光度Aを算出する請求項1ま
たは2に記載の癌細胞の定量測定方法。 A= log10{(ΣWC−ΣBC)/(ΣTC−ΣBC)} ……(1) - 【請求項4】前記培養試料が、前記癌細胞をコラーゲン
ゲル中に包埋して培養するコラーゲンゲル包埋培養法で
得られた培養試料である請求項1〜3の何れかに記載の
癌細胞の定量測定方法。 - 【請求項5】前記呈色工程が、生細胞を選択的に染色す
る生細胞染色法を用いて前記試料中の癌細胞を呈色する
請求項1〜4の何れかに記載の癌細胞の定量測定方法。 - 【請求項6】前記培養試料が、前記コラーゲンゲル包埋
培養法で得られた培養試料であり、 前記生細胞染色法が、ニュートラルレッド染色法である
請求項5に記載の癌細胞の定量測定方法。
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