JP4866162B2 - 抗がん作用の評価方法 - Google Patents

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本発明は、抗がん作用の評価方法に関し、詳しくは、がん治療に用いる抗がん剤の選定や抗がん剤の開発などに利用され、抗がん剤など抗がん作用に関与する薬剤の存在下で、がん細胞を培養することによって、前記薬剤の、がん細胞に対する抗がん作用を評価する方法を対象にしている。
抗がん剤の開発、あるいは、がん治療における適切な抗がん剤の選択のために、生体外において、抗がん剤の存在下で、がん細胞を培養することによって、がん細胞に対する抗がん剤の抗がん作用を評価することが行われている。
しかし、従来における抗がん作用の評価方法では、生体内に投与した時には優れた抗がん作用を発揮できる薬剤が、生体外における抗がん作用の評価では低い評価しか得られないため使用されない場合があるなど、生体外での評価結果が必ずしも実際の臨床効果に結び付かないと言う不具合が起きていた。そのため、従来の評価方法では、がん治療に対して適切な抗がん剤などの薬剤を選択することができず、がん治療の成績向上が果せないことがあった。
抗がん剤の研究開発においても、多数の薬剤の中から、従来の評価方法で薬剤の有効性を決めても、実際の臨床における成績とは一致しないことが多く、研究開発に大きな障害となっていた。
そこで、本発明の課題は、前記した生体外における抗がん作用の評価方法において、体内環境を再現し、生体内における抗がん作用を適切に評価できるようにすることである。
本発明者は、上記の課題を解決するため、種々、検討を重ねた。その過程で、抗がん作用の評価試験の場において、生体内環境を再現しておくと、当該評価対象が生体内において実際に作用する状態が再現できて、臨床の場で、評価どおりの結果がでないという不具合の発生を避けることができることに気がついた。具体的に言えば、培養容器に、抗がん作用に関与する薬剤を供給する際に、生体内の環境でがん細胞と共存する免疫細胞を一緒に供給すれば良いことに気がついたのである。
ところで、本発明者の着想と一見似ている評価方法として、特開平11−174053号公報に開示されている方法がある。特開平11−174053号公報に開示されている方法は、血液から分離したリンパ球の溶液に抗ガン薬などを添加したリンパ球培地と、ガン細胞を含む標的細胞液とを混合して、免疫能を測定したり評価したりする技術である。この技術は、抗がん剤の存在下におけるリンパ球の免疫能による抗がん作用を評価しようとするものではあるが、がん細胞を単層培養して評価しようとしているため、臨床で人体に投与する抗がん剤濃度の10倍から100倍の濃い抗がん剤濃度で培養を行う必要のあることが分かった。しかし、このような抗がん剤高濃度環境下では免疫細胞が死滅するおそれがあるため、免疫細胞を共存させて培養させること自体が困難であり、特開平11−174053号公報記載の培養方法では、結局、生体外で、体内環境を再現して抗がん作用を評価すると言うことができなかった。
そこで、生体内環境再現による評価試験を行うにあたり、人体に投与する抗がん剤濃度とほぼ同様の濃度で抗がん剤を用いても抗がん剤の感受性を見ることができる培養法を採用することが必要となった。
本発明者は、抗がん作用の評価において、臨床で人体に投与する抗がん剤濃度とほぼ同様の濃度で抗がん剤を用いても抗がん剤の感受性を見ることができる培養法につき、種々検討を重ねた。その過程で、本出願人が先に開発していた滴塊状コラーゲンゲルによる培養法に着目した。この培養法は、国際公開WO95/18216号明細書に詳しく説明しているように、動物細胞を分散させたコラーゲン溶液の液滴を支持体表面でゲル化させて滴塊状のコラーゲンゲルを支持体表面に形成固定し、この滴塊状のコラーゲンゲルに培養液を接触させる技術である。
国際公開WO95/18216号明細書にも記載されているように、本発明者が先に開発した、この培養技術は、少量の動物細胞しか回収できなくても、コラーゲンのゲルからなる滴塊に包埋された状態で培養することで、正確で十分な感受性試験を行える、というものであり、この技術によって、臨床で人体に投与する生理的な抗がん剤濃度で評価ができるか否かについての知見はなかった。
本発明者が、この培養技術に着目して種々検討する中で、以下のようなことが分かってきた。
この技術では、抗がん剤感受性試験での抗がん剤濃度を、臨床で人体に投与する抗がん剤濃度とほぼ同じ程度にしておいても、その抗がん作用を見ることができる。しかも、この培養技術を利用するにあたり、体内環境を再現する手法として、培養液中に免疫細胞を共存させるようにすれば、賦活剤としてのサイトカインの使用による免疫細胞の活性化を必要としない、と言うことである。免疫細胞を用いて生体外で免疫療法の評価をするには、IL−12などのサイトカインで長時間培養して活性化させた免疫細胞を、がん細胞と共培養して評価することが必要であると言うのが従来の技術常識であった。サイトカインの使用による免疫細胞の活性化は、長期間を要し、そのため、がん患者の時間的ニーズと一致させ難い。しかも、高価なサイトカインの使用という経済的な問題もあった。ところが、培養液中に免疫細胞を共存させると、サイトカイン・ネットワークが自生し、事前に、賦活剤としてのサイトカインの使用による免疫細胞の活性化を行っておく必要のないことが分かったのである。
本発明者は、このように、コラーゲンゲル中でがん細胞を三次元培養する技術によれば、臨床で人体に投与する生理的な抗がん剤濃度で評価ができることを見出すとともに、さらに、免疫細胞を共存させることにより、安価に、そして、時間的スケジュールに拘束されることなく、生体外で、体内環境を再現でき、抗がん作用を評価できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる抗がん作用の評価方法は、抗がん作用に関与する薬剤の、がん細胞に対する抗がん作用を評価する方法であって、前記がん細胞を包埋するコラーゲンゲルの滴塊を培養容器の内面に固着支持させる工程(a)と、前記培養容器に、前記抗がん作用に関与する薬剤と、生体内環境で前記がん細胞と共存する免疫細胞とを含む培養液を供給して、がん細胞の培養を行なう工程(b)と、前記コラーゲン滴塊内における前記がん細胞の培養結果を評価する工程(c)とを含む。
各構成について具体的に説明する。
〔がん細胞〕
抗がん作用の評価対象となるがん細胞は、がん治療を行なう、がん患者から採取された初代がん細胞のほか、がん治療の研究や抗がん剤の開発に利用するために、予め準備されている、継代培養がん細胞もある。ヒトがん細胞のほか、動物がん細胞や人工培養がん細胞も利用されることがある。
〔抗がん作用に関与する薬剤〕
本発明にかかる抗がん作用に関与する薬剤とは、がん細胞に直接的に作用する抗がん剤のほか、がん細胞を直接的に攻撃するのではないが、生体内の免疫細胞やその他の薬剤との協働的な作用によって、がん細胞の増殖を抑制したり、がん細胞の活動を鈍らせたり、がん細胞を死滅させたりする機能を発揮する薬剤も含まれる。
前記抗がん剤としては、特に限定するわけではないが、例えば、アルキル化剤、プラチナ誘導体、5FU系抗がん剤に代表される代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、微小管阻害剤などが挙げられる。
前記した、がん細胞を直接的に攻撃しない、抗がん剤以外の抗がん作用に関与する薬剤としては、特に限定されないが、例えば、抗がん剤のプロドラッグ、抗がん剤もしくはそのプロドラッグの代謝に関連する細胞内代謝酵素活性を調整する薬剤(以下、明細書中では、「細胞内酵素調整剤」という)、免疫療法剤などが挙げられる。
前記抗がん剤のプロドラッグは、肝臓などの臓器やがん細胞の細胞内酵素によって、活性体に変換されるが、サイトカインネットワークがこの酵素活性を上昇させることにより、活性体量が増し、抗腫瘍効果の増強をもたらすものであることから、抗がん作用に関与する薬剤として挙げられるものである。
前記細胞内酵素調整剤としては、例えば、単剤では直接的な抗腫瘍効果をもたないが、5FU系抗がん剤の分解酵素(DPD)を阻害することにより抗がん作用に関与する、ギメラシルなどが挙げられる。
前記免疫療法剤としては、クレスチン、レンチナン、OK−432などの生体応答調節剤療法に用いられる薬剤(以下、「BRM製剤」と略記する)、インターロイキン類やインターフェロン類などのサイトカイン系製剤などが挙げられる。
その他にも、抗がん剤の機能を高めたり、生体内の免疫機能を向上させたりすることで、最終的に抗がん作用に関与する薬剤が使用できる。
これらの薬剤は、単独で使用することもできるし、特定の薬剤と組み合わせたときに初めて抗がん作用を示すものは所定の組み合わせで使用することができる。単独で使用できる薬剤でも、他の薬剤との組み合わせにおける抗がん作用を評価する場合には、そのような組み合わせで使用することになる。
〔培養技術の基本〕
基本的には、通常の抗がん作用の評価方法で採用されている培養技術が適用される。
培養装置、培養容器、培養液の供給・交換、培養環境の調整維持など、基本的な培養技術については、特に限定されない。
前記した国際公開WO95/18216号明細書や特開2003−9853号公報に記載の培養技術を利用することができる。
〔培養容器〕
通常の培養技術において、培養試料である、がん細胞とともに培養液を保持しておける培養容器が使用される。コラーゲンゲルを固定できる表面を備えていれば、その仕様や構造は限定されない。例えば、ペトリ皿やマルチデッシュなどの培養皿、フラスコなどが挙げられる。ガラスやプラスチックスの薄片状をなす、いわゆるカバースリップあるいはセルディスクと呼ばれるような培養プレートを、培養液を貯留する別の容器に収容して用いることもできる。この場合は、培養プレートの表面が、培養容器の内面に相当することになる。
培養容器のうち、コラーゲンゲルの滴塊を固着支持させる内面は、内壁面または内底面、特に内底面を意味するものであり、平滑であっても良いし、供給されるコラーゲン溶液の滴の拡がりを規制する枠状の突起や溝からなる画線を設けておくこともできる。これらの培養容器や支持体は光学的に透明であることが、培養後の観察や評価を容易にする上で好ましい。
〔コラーゲンゲル滴塊〕
前記国際公開WO95/18216号明細書の技術が適用できる。
<コラーゲン溶液>
各種の細胞包埋培養方法で使用されている通常のコラーゲン材料、多糖類その他の細胞外基質などの高分子材料、および、液体材料からなるものが用いられる。コラーゲンとして、酸可溶性タイプIコラーゲンを用いることができる。
コラーゲン溶液には、コラーゲン、および、がん細胞以外にも、培養に必要な各種成分を添加しておくことができる。例えば、栄養成分、殺菌成分などがある。免疫細胞の一部を、コラーゲン溶液に添加しておくこともできる。がん細胞ではなく正常細胞である各種細胞や、細胞に作用させる化合物、例えば、カルシウム、リン酸カルシウムなどの無機塩類や脂質、糖質、蛋白質も添加できる。
コラーゲン溶液に、目的とするがん細胞の生理的条件と同一または近似した緩衝液の組成を含んでいることが好ましい。ヒトを含む動物由来のがん細胞では、緩衝液として、pH6.2〜7.6、望ましくはpH6.8〜7.4で、食塩に換算した時の塩強度100〜180ミリモルに設定しておくのが好ましい。140〜160ミリモルに設定しておくのがさらに好ましい。
コラーゲン溶液に、がん細胞を含む培養試料を配合する方法は、常法が適用される。コラーゲン溶液中に播種される、がん細胞の密度を、10〜10cells/ml程度に設定しておくことができる。
コラーゲン溶液のコラーゲン濃度や粘度は、形成されるコラーゲンゲル滴塊の構造に影響を与える。具体的な数値条件は、試験の目的などの条件によっても異なるが、コラーゲン濃度は0.1〜2.0重量%が好ましい。濃度が高すぎると粘度が高くなり、濃度が低すぎると、滴塊状の形を維持し難い。粘度は50〜2000センチポイズが好ましく、100〜1000センチポイズがより望ましい。粘度が低すぎると、細胞がコラーゲン溶液中を沈降して、培養容器の内面に接触してしまい、単層に増殖することになるので、抗がん剤などの効果などを正確に評価できない。粘度が高すぎると、コラーゲン溶液の取扱いが困難である。コラーゲン溶液をゲル化させたときのゲル強度によっても、性能に影響があり、ゲル強度が50〜1000グラム程度、あるいは、50〜700グラム程度のコラーゲンが好ましく、より望ましくは、ゲル強度100〜500グラムのものを用いる。ゲル強度の数値は、JISに準拠して測定された値である。ゲル強度が低すぎると、培養中に、コラーゲンゲルの滴塊が剥離したり、ゲルが伸縮しやすくなったりし、ゲル強度が高すぎると、がん細胞の増殖が抑制されるという欠点がある。
<コラーゲンゲル滴塊の形成>
コラーゲン溶液を、培養容器の内面に滴状に供給すると、コラーゲン溶液の表面張力などの作用で、支持体表面に水滴状に盛り上がる。具体的には、コラーゲン溶液の容器から直接に滴状にたらしたり、スポイドなどの器具を用いて水滴状に盛り上がった形のコラーゲン溶液を静かに配置したりする方法が採用できる。
供給されたコラーゲンゲル溶液は、そのままの形でゲル化する。概略半球状をなすコラーゲンゲルが形成される。半球の上端が平坦になった形状や、平面形状が円形以外の長円形や楕円形などをなす場合もある。コラーゲン溶液の粘性や温度、コラーゲン溶液の量、内面の濡れ性などの諸条件で違ってくる。培養の目的、培養後の評価方法に合わせて、好ましい形状に設定することができる。例えば、コラーゲンゲルの滴塊を撮影したり画像解析したりし易い形状が選択される。
培養容器には、同じ種類のコラーゲン溶液からなる同じ形態のコラーゲンゲル滴塊を、一つあるいは複数設けることができる。コラーゲン溶液の配合や含有するがん細胞などが異なる複数種類のコラーゲンゲル滴塊を、同じ培養容器に設けることもできる。複数のコラーゲンゲル滴塊は、互いに間隔をあけて配置されていても良いし、複数のコラーゲンゲル滴塊が一部で接触していたり連結しておいたりする場合もある。
コラーゲンゲル滴塊は、コラーゲン溶液の滴を、培養容器の内面に配置したのちゲル化させるので、支持体表面に確実に固定された状態になる。したがって、培養後に、層状に広がったコラーゲンゲルの場合よりも、目的とするがん細胞の培養結果を、容易に位置を特定して観察あるいは撮影することができる。
通常の試験条件では、ひとつの滴塊状コラーゲンゲルの大きさを、配置するコラーゲン溶液の滴の量で3〜300マイクロリットルに設定しておきことができる。好ましくは3〜150マイクロリットルである。実用的には、5〜100マイクロリットルの範囲にあるものが好ましい。より望ましくは15〜50マイクロリットル程度のものを用いる。初代細胞を培養する場合には、30マイクロリットル前後のものが好ましい。コラーゲンゲル滴塊の高さが、約2mm以下程度になるように設定するのが好ましい。
培養容器に形成する滴塊状コラーゲンゲルの個数や配置間隔は、滴塊状コラーゲンゲルの寸法や支持体の構造に合わせて、任意に設定することができる。
従来、顕微鏡観察や画像解析に用いるコラーゲンゲルは、透明度の高いものが必要であったが、この発明の方法では、比較的に透明度の低いものでも使用できる。具体的には、400nmの光に対して透過率1〜95%のものが使用できる。上記範囲で透過率の低いものは、後述する染色処理を行なうことで、濁りの影響を受けずに試験が良好に行なえる。
形成されたコラーゲンゲル滴塊は、少なくとも培養が終了するまでは、ゲル状態を維持させておく必要がある。立体的なコラーゲンゲル滴塊も、乾燥すると水分が失われて、平坦な乾燥物になってしまう。一旦、乾燥してしまうと、水分を接触させても、元の立体形状には戻り難い。そこで、コラーゲンゲル滴塊を成形した後、培養液などを供給するまでの間に、コラーゲンゲル滴塊が過度に乾燥しないように含水状態に保っておくことができる。コラーゲンゲル滴塊が培養液に接触したあとは乾燥する心配はない。培養後に、コラーゲンゲル滴塊を固定・乾燥させるのは、培養結果を評価する上で何ら差し支えない。
<コラーゲンゲル滴塊の利点>
コラーゲンゲル滴塊を用いることで、がん細胞を生体内環境に近い状態で培養することができる。
生体内においては、抗がん剤などは血液やリンパ液によって、栄養分などとともに、がん細胞が存在する部位まで運ばれ、がん細胞の周囲全体から抗がん剤などが作用する。
従来のように、培養皿の内底面全体に形成されたコラーゲンゲル層の平坦な表面のみで抗がん剤や栄養分さらには廃棄物の出入りが行なわれる状態は、前記した生体内の環境とは大きく異なるため、抗がん作用を適確に評価できなかった。
コラーゲンゲルの滴塊は、層状のコラーゲンゲルに比べて、その容積がはるかに小さくなり、生体組織から培養しようとする目的の、がん細胞がわずかな量しか得られなくても、適切で十分な密度で播種することができる。しかも、滴塊状のコラーゲンゲルでは、凸表面の広い面積で培養液と接触することになる。細胞への栄養分の取り込み、細胞からの廃棄物の排出が、きわめて効率的に行なわれる。また、コラーゲンゲルに接触する培養液の量を相対的に増やすことができる。生体内環境と極めて近い培養環境が構築される。
〔培養液〕
基本的には、通常の培養方法で使用される培養液と共通する技術が適用できる。
培養液には、抗がん作用に関与する薬剤と、対象としているがん細胞と生体内環境で共存する免疫細胞とを含む。
そのほかに、培養に必要な栄養成分やpH調整成分なども必要に応じて含まれる。
培養液の成分配合を、目的とするがん細胞の増殖に適し、それ以外の細胞などの増殖を抑制できるような成分配合にしておくことが好ましい。培養液として、血清を含む血清培養液と血清を含まない無血清培養液が知られているが、この発明では何れも使用できる。無血清培養液とは、通常の細胞培養に用いられる培養液が、その成分として血清を含むのに対し、血清を含有させないことに特徴がある。したがって、無血清培養液は、培養に必要な血清以外の各種の化学物質を組み合わせて構成される。具体的な配合成分とその割合は、必要に応じて設定できるが、目的とするがん細胞の増殖性が良好で、その他の細胞の増殖を抑制するような配合からなる無血清培養液を用いる。特に、線維芽細胞の過度の増殖を抑制する配合成分からなる無血清培養液を用いるのが好ましい。血清培養液では、通常、血清の濃度が0.001〜5.0重量%程度のものが使用されるが、血清の濃度が5〜20重量%程度のものを使用しても、良い結果が得られる場合もある。培養液の量は、コラーゲンゲル滴塊を覆って、培養が良好に行なわれるようになっていればよい。コラーゲンゲル滴塊に包埋された、がん細胞の数が多い場合には、それに合わせて、培養液の量を多くしたり、培養中の培養液の交換間隔を短くしたりする必要がある。
<免疫細胞>
生体内環境で、培養の対象としているがん細胞と共存する免疫細胞である。
具体的には、PBMC(自己血漿中末梢血単核球)が使用できる。PBMCには、リンパ球および単球が包含される。単球にはマクロファージが包含される。リンパ球には、NK細胞、B細胞、T細胞が包含される。これらの成分を単独あるいは複数組み合わせたものが用いられる。
免疫細胞は、生体から採取されたものであってもよいし、生体外で合成されたり培養されたりしたものであってもよい。
免疫細胞には、ABO血液型のように、同じ成分でも少し異なった性質を有する複数の型が存在することがある。必要に応じて、何れか一つの型の免疫細胞を使用することもできるし、複数型の免疫細胞を組み合わせて使用することもできる。
がん治療に利用する場合は、対象とする、がん患者の生体から採取された血液やリンパ液などの体液に含まれる免疫細胞を使用することができる。このようにすれば、前記した免疫細胞の型を含めて、より生体内環境に近い培養環境が構築できる。
免疫細胞(E;エフェクター細胞)が、培養液に、がん細胞(T;Tumor)に対する細胞数の比(以下、「E/T比」という)で0.01〜100含まれることが好ましい。この範囲で、特に、検出感度のよい評価結果を得ることができる。より好ましくは、0.1〜100、さらに好ましくは、0.5〜10である。
〔がん細胞の培養〕
コラーゲンゲル滴塊が配置された培養容器に培養液を供給した状態で、一定の期間を保持して、培養作業を行なう。
培養液は、培養作業の最初の段階で供給した後、培養作業が終了するまで放置してもよいし、途中で新たな培養液を追加供給したり、配合成分の異なる培養液に入れ換えたりすることもできる。培養液の成分のうち、一部をあとから追加することもできる。例えば、予め、免疫細胞を除く必要成分が配合された培養液を準備しておき、この培養液を培養容器に供給したあと、免疫細胞だけをあとから添加することもできる。複数の培養容器にそれぞれ異なる免疫細胞を添加することができる。
培養容器内のコラーゲンゲル滴塊に培養液を接触させるには、培養皿などでは、単に培養液を注入して液面がコラーゲンゲル滴塊を覆う高さになればよい。培養容器に培養プレートを配置しておく場合は、培養プレートを収容した状態で、培養液を注入すればよい。培養液には、試験条件に合わせて、既知の各種培養液が使用される。
培養は、支持体表面に固定された滴塊状コラーゲンゲルを培養液に接触させた状態で、恒温培養装置や炭酸ガス培養装置などの環境条件で、所定の期間保持しておくことにより行なわれる。培養開始前あるいは培養中の適当な段階で、培養容器の内面に固定されたコラーゲンゲル滴塊に、抗がん剤を接触させればよい。具体的には、培養液に抗がん剤を添加したり、抗がん剤が添加された培養液に交換したりすればよい。抗がん剤以外の薬剤についても同様である。加温などの温度変化あるいは放射線などの影響を試験する場合にも、コラーゲンゲル滴塊が、そのような環境条件に一定時間さらされるようにすればよい。
〔培養結果の評価〕
コラーゲン滴塊内における、がん細胞の培養結果を評価する。培養を終えたコラーゲンゲル滴塊内では、培養条件にしたがって、がん細胞が増殖したり死滅したりしている。
基本的には、通常の抗がん作用の評価技術を適用すればよい。
例えば、顕微鏡による目視観察で形成されたコロニーや細胞の数を計測したり、写真や映像に撮影して得られた画像を分析したりすることができる。培養容器に培養プレートを収容して培養を行った場合は、培養容器から培養プレートを取り出して、観察や撮影を行うことができる。画像解析は、撮影された映像を電子的に処理し、コンピュータなどで解析することによって識別し、目的とするがん細胞の増殖状態を正確に評価することができる。
コラーゲンゲル滴塊中の生細胞のみを選択的に染色し、その結果を評価すれば、がん細胞のうち、生細胞と死細胞とを明確に区別できることになり、培養試験の目的であるがん細胞の増殖状態を正確に評価することが可能になる。染色法としては、生細胞を、死細胞その他の物体に比べて選択的に染色できる方法であれば、通常の各種細胞に対する染色方法が採用できる。具体的な染色剤や染色条件は、常法にしたがえばよい。例えば、細胞の食作用を利用した染色方法としてNR(ニュートラルレッド:Neutral Red)染色法やラテックス粒子染色法、細胞内の酵素活性を利用したFDA(フルオレセインジアセート:Fluorescein Diacetate)染色法あるいはその他の蛍光試薬を用いた染色法などが採用できる。なお、NR染色による比色分析には、特許公報第3222785号に記載されている「画像比色定量法」の技術を用いることができ、この画像比色定量法によって測定される画像吸光度は、NR染色したコラーゲンゲルドロップ中の生存がん細胞数に対して、良好な直線性を示すことが確認されている(文献Jpn.j.Cancer.Res.92,p203−210,2001)。
培養結果を評価する他の方法として、生細胞の代謝活性により選択的に呈色反応を起こす呈色試薬を用いて比色分析を行なうことができる。水溶性呈色試薬を用いれば、FDA染色と同様に、がん細胞に悪影響を与えないので、経時的な評価ができる。呈色試薬としては、AB(アラマーブルー:AlamarBlue、商品名、アラマーバイオサイエンス社製)呈色剤、WST−1呈色剤、XT呈色剤、MTT色素還元剤などが使用できる。
細胞に含まれる物質を選択的に染色し、その結果を評価する方法も適用できる。例えば、染色には組織染色に用いられる染色試薬が使用できる。具体的な染色剤としては、ヘマトキシリン、ギムザ液、クリスタルバイオレットなどの色素、核酸を染色するエチジウムブロマイドや、蛋白質、糖質、脂質等の成分を染色する試薬、細胞膜の物質を染色する試薬、細胞内骨格など特定の部位を染色する試薬、特定抗原に対する抗原、DNAプローブ等があげられる。
生細胞や細胞成分の染色は、2重3重に重ねて行なうことができる。細胞の多重染色によって、細胞の多様な作用を同一の試料に対して評価することができる。
コラーゲンゲル滴塊を溶解したりして支持体表面から分離してから、培養結果を評価することもできる。具体的には、コラーゲンゲル滴塊中の細胞に含まれる物質を定量し、その結果を評価する方法がある。例えば、蛋白質を定量するクーマシーブリリアントブルー呈色法やローリー法、核酸を定量するDABA蛍光発色法、ATPを測定するルシフェリン発光法、糖類を定量する各種の方法を用いることができる。細胞から培養液中に分泌された物質を定量し、その結果を評価する方法もある。例えば、代表的な代謝産物(老廃物)である乳酸などを定量する方法等が挙げられる。
本発明にかかる抗がん作用の評価方法は、培養容器の内面に固着支持させたコラーゲンゲルの滴塊に、がん細胞を包埋した状態で、培養容器に供給する培養液に、抗がん作用に関与する薬剤と生体内環境でがん細胞と共存する免疫細胞とを含ませておくことにより、生体内環境と極めて近い培養環境で、がん細胞に対する前記薬剤の抗がん作用を評価することができる。
〔抗がん剤の評価〕
図1に示す実施形態は、基本的な抗がん剤の評価方法を模式的に示している。
培養容器10の内底面に、半球状をなすコラーゲンゲルの滴塊すなわちコラーゲンゲルドロップ20が固着支持されている。コラーゲンゲルドロップ20は、がん細胞40を含むコラーゲン溶液の液滴を培養容器10の内底面に滴下し、半球状を構成させた状態でゲル化させることによって形成される。
コラーゲンゲルドロップ20の上から培養容器10に培養液30が供給される。培養液30には、がん細胞40の培養に必要な栄養成分が含まれているとともに、リンパ球などのPBMC(自己血漿中末梢血単核球)が添加されている。
このようにして調製された培養環境において、培養液30に抗がん剤50を添加する。抗がん剤50は培養液30からコラーゲンゲルドロップ20の内部へと侵入して、がん細胞40を攻撃して死滅させたり、活動を停止させたり、増殖を抑制したりする。
一定期間の培養試験を終えたあと、コラーゲンゲルドロップ20における、がん細胞40の増殖状態あるいは減少状態を、常法により評価する。
がん治療に抗がん剤50を使用するときには、抗がん剤50を投与する、がん細胞40を含む生体内環境には、生体内の免疫細胞であるPBMC60も存在する。免疫細胞であるPBMC60は、通常、抗がん剤50と協働的に作用して、抗がん剤50の機能を高めることになる。抗がん剤50によっては、PBMC60が機能を抑制することもある。
何れにしても、前記した培養環境は、コラーゲンゲルドロップ20の三次元構造内に、がん細胞40が支持されていることとも相俟って、生体内環境に非常に近い環境で、抗がん剤50の性能、あるいは、抗がん剤50に対する、がん細胞40の感受性を評価することになる。
〔細胞内酵素調整剤の評価〕
図2に示す実施形態は、抗がん剤と細胞内酵素調整剤とを併用した場合の抗がん作用を評価する方法であり、具体的に、細胞内酵素調整剤としてDPD阻害剤を使用したときの例である。基本的には前記実施形態と共通するので、相違点を主に説明する。
培養容器20の内底面に、がん細胞40を包埋するコラーゲンゲルドロップ20が固着支持され、その上から、PBMC60を含む培養液30が供給されるのは、前記実施形態と共通している。
このような培養環境において、抗がん剤50である5FUとともに、DPD阻害剤52であるCDHPを添加する。DPD阻害剤52:CDHPは、抗がん剤50:5FUが代謝されることを阻害して、5FUの効果を増強させる作用があることが知られている。
抗がん剤50は、PBMC60およびDPD阻害剤52と協動的に作用して、がん細胞40に対する攻撃や増殖抑制などの機能を果たすことになる。
細胞内酵素調整剤として、DPD阻害剤52の代わりに、別の薬剤を用いれば、その薬剤の細胞内酵素調整機能を比較したり評価したりすることができる。抗がん剤50とDPD阻害剤52との組み合わせを種々に変更して培養および評価を行なえば、がん細胞40に対して適切な組み合わせを見つけ出すことができる。
〔免疫療法剤の評価〕
図3に示す実施形態は、免疫療法剤の抗がん作用を評価する方法であって、具体的に、免疫療法剤としてBRM製剤を使用したときの例である。BRM製剤54は、がん細胞40に対して直接的に作用する通常の抗がん剤50とは異なり、生体内の免疫細胞を介して、がん細胞40に作用する。基本的には前記実施形態と共通するので、相違点を主に説明する。
培養容器20の内底面に、がん細胞40を包埋するコラーゲンゲルドロップ20が固着支持され、その上から、PBMC60を含む培養液30が供給されるのは、前記実施形態と共通している。
このような培養環境において、BRM製剤54であるPSK(製品名:クレスチン)を投与する。BRM製剤54は、PBMC60と協動的に作用して、がん細胞40に対する攻撃や増殖抑制などの機能を果たすことになる。
BRM製剤54の他にも、がん細胞40に対して直接的に作用するのではないが、生体内における免疫細胞の存在下では、がん細胞40の増殖や活動を抑制したり死滅させたりするのに有効な他の免疫療法剤の機能や効果を評価することもできる。
〔その他の抗がん作用の評価〕
前記した各実施形態のほかにも、生体内環境に近い培養環境によって、より適切な抗がん作用の評価が行なえる用途にも利用することができる。
例えば、5´DFURのような、抗がん活性体ではない抗がん剤のプロドラッグの評価が行なえる。5´DFURは、通常の抗がん剤感受性試験では抗がん効果が過小評価される。しかし、生体内においては、サイトカインネットワークによって腫瘍内の酵素が活性されることで、腫瘍内で5´DFURが活性体に変化し、抗がん効果を発揮する。培養液30にPBMC60が存在する培養環境であれば、上記した生体内と同様の環境条件になるので、5´DFURが有する抗がん効果を適切に評価することができる。勿論、5´DFURと同様の機能を有する薬剤についても、同様の評価が行なえることになる。
BRM製剤54や5´DFURと抗がん剤50とを同時に培養液30に投与しておけば、これらの相乗的な抗がん作用を評価することができる。
本発明にかかる抗がん作用の評価方法を具体的に実施し、その性能を評価した。
−実施例1−
以下に示す実施例1は、抗がん剤5FUと細胞内酵素調整剤CDHP(DPD阻害剤)をコラーゲンゲルドロップ中で三次元培養する際に、本発明のように免疫細胞を共存させれば、体内の免疫系まで再現できることを明らかにするものであるが、5FUとCDHPを併用した場合、従来の評価方法では、実際の臨床の場での抗がん作用よりも過小評価されてしまうことが知られている。
〔免疫細胞〕
ヒトの末梢血管から血液10mlを、ヘパリンの入った採血管に採取した。室温にしたPBS(リン酸緩衝溶液、インビトロジェン社製)10mlに、上記血液サンプルを同量、ピペットで加え、混合した。
Ficoll液(GEヘルスケア社製)を50ml容の各遠心管に25mlずつ分注しておき、その液面上に、上記の採取血液希釈液20mlを、Ficoll液の密度勾配を壊さないように注意しながら注いで、Ficoll液面上に重層した。
これを、遠心分離機で、室温、1800rpm、ブレーキ・オフで20分間遠心分離し、遠心管内の白色の中間層をピペットで吸い取り、PBMC(血漿中抹消血単核球)層を回収した。続いて、4℃、1700rpm、ブレーキ・オンで10分間遠心分離後、上清を捨て、沈渣をタッピングして粉砕した後、この沈渣に、RPMI1640(インビトロ社製)を加えて、ピペッティングしながら全量を40mlにし、懸濁液を得た。
上記懸濁液を、さらに、4℃、1500rpm、ブレーキ・オンで10分間遠心分離し、上清を捨て、もう一度、沈渣をタッピングして粉砕した後、この沈渣に、RPMI1640(インビトロ社製)を5ml加えてピペッティングして懸濁し、細胞数を測定した。
その後、上記懸濁液を、遠心分離機で、4℃、1300rpm、ブレーキ・オンで10分間遠心した後、RPMI1640を加えて、1〜5×10cell/mlの細胞懸濁液を調製した。
上記の回収細胞懸濁液の凍結保存は以下のようにして行った。
上記の回収細胞懸濁液を、同量の凍結保存液と混ぜ、複数の凍結チューブ(2ml容)に1〜2mlずつ分注して、冷蔵庫、−20℃冷凍庫、−80℃ディープフリーザーと場所を移して、徐々に冷却凍結していき、最終的に、液体窒素下で凍結保存した。このとき、細胞懸濁液の凍結保存に使用した凍結保存液は、CP−1(極東製薬社製)3.4mlと25重量%血清アルブミン(吉冨製薬社製)1.6mlを氷中で混合したものを使用した。
〔がん細胞〕
ヒト大腸がん細胞株HCT−116を0.1重量%トリプシン含有Hanks液(インビトロジェン社製;CaおよびMg不含)で剥離し、遠心分離機を用いて1300rpm×3分で回収し、血球計算盤により細胞数を測定して、このがん細胞懸濁液が必要細胞数を確保できるものであることを確認した。
〔コラーゲン溶液〕
容量比で、酸可溶性I型コラーゲン0.3重量%溶液(新田ゼラチン社製、「セルマトリックスタイプ CD」)8容量に対し、10倍濃度のハムF12(新田ゼラチン社製)を1容量、再構成緩衝液(260mM−重曹および200mM−Hepesを含む50mM−NaOH溶液)(新田ゼラチン社製)を1容量、それぞれ、氷冷中の50ml遠心管内に入れて、管内で混合させた。このようにして得たコラーゲン混合液を用いて、以下の作業を行った。
すなわち、上記HCT−116の細胞懸濁液を1300rpm×3分で遠心分離し、得られた沈渣をDME培地(インビトロジェン社製)で懸濁させてから、がん細胞の細胞密度が2×10cell/mlになるように、がん細胞懸濁液と上記コラーゲン混合液を、氷冷中の50ml遠心管内に入れて、管内で混合させた。
〔コラーゲンゲルドロップの作製〕
つぎに、マイクロピペットを用いて、6穴プレートの1穴あたり、上記がん細胞を含んだコラーゲン混合液30μlを3滴(計90μl)、半球状に配置し、37℃の炭酸ガスインキュベータ内で1時間ゲル化して、コラーゲンゲルドロップを作製した。
〔培養液および培養作業〕
上記のがん細胞を包埋したコラーゲンゲルドロップに、4mlの無血清培養液(新田ゼラチン社製、「PCM2」)を加えて、重層し、一晩培養した。これに、以下に示すように、免疫細胞や抗がん剤などを添加し、培養作業を続けた。
〔免疫細胞の添加〕
上述した血液サンプル由来の免疫細胞を2×10cell/ml調製するために必要な細胞数を試算して、必要数だけ液体窒素凍結保存下の免疫細胞を37度の湯煎器で解凍し、一部の細胞をサンプリングし、0.4重量%トリパンブルー液(インビトロジェン社製)で等量混合するとともに、混合直後に、細胞数を測定し、死細胞を抜いた生細胞数を確認し、この作業で得られた免疫細胞数を算出した。
6穴プレートの1穴中のE/T比が1になるように、必要な免疫細胞数を算出し、全ウェル分(全データ分)の免疫細胞懸濁液の調製を行った。なお、免疫細胞懸濁液は、がん細胞含有コラーゲンゲルドロップを重層した6穴プレートの1穴あたり4mlの各培地に対し添加するので、その希釈倍率も考慮して免疫細胞懸濁液の密度を決定した。以上を踏まえてがん細胞をコラーゲンゲルで包埋した6穴プレートの1穴について一定液量の免疫細胞の懸濁液を添加した。
〔抗がん剤などの添加〕
5FU(協和発酵工業)を30μg/mlに、またDPD阻害剤であるCDHP(大鵬薬品工業社製、「ギメラシル」)を60μg/mlに調製して、これらの溶液を、上記のがん細胞含有コラーゲンゲルドロップを重層した6穴プレートの1穴あたり4mlの各培地に対して、添加することによって、5FUおよびCDHPを、コラーゲンゲルドロップに包埋されたがん細胞に接触させた。5FUおよびCDHPはドロップ作製後一晩後に添加し、最終濃度で5FUが0.3μg/ml、CDHPが0.6μg/mlの接触条件で、6日間持続接触させた。
〔抗がん作用の評価〕
6日間持続接触させた後、ニュートラルレッド染色液(新田ゼラチン社製)を1穴あたり4mlの各培地に対して、40μlずつ添加を行い、生細胞の染色を炭酸ガスインキュベータ内37℃、5%CO濃度下で3時間行った。続いて、10重量%中性緩衝ホルマリン液を、6穴プレートの1穴あたり3mlずつ添加し、1時間かけて、色素を細胞内に固定した。生細胞が染色・固定された上記プレートを、水道水で満たしたバット中で、30分水洗をし、余剰な固定液を取り除いた。最後に、コラーゲンゲルを乾燥させるために、水洗したプレートを水切り後、クリーンベンチ内でコラーゲンゲルドロップを風乾させて、画像比色定量用のサンプルとした。
この培養プレートサンプルを特許公報第3222785号に記載されている「画像比色定量法」に準じて、以下のように測定を行った。
下からの照明装置によって、培養プレートサンプル中の無処理群と接触処理群(抗がん作用に関与する薬剤および/または免疫細胞で接触処理された群)の各コラーゲンゲルドロップに対して透過光を照射した。
無処理群および接触処理群の各サンプル(コラーゲンゲルドロップ)について、コンピュータに入力したサンプル画像情報から、サンプルが無い時の画像(ブランク画像)と有る時の画像(サンプル画像)間の画像上の吸光度を算出した。全てのサンプルについて、この画像吸光度を算出した。
無処理群の画像吸光度の値を100%とした時の、接触処理群の画像吸光度値からX%(接触処理群O.D./無処理群O.D.×100%)を算出した。
評価は、増殖抑制率;100−X%を算出することにより、無処理群(0%)と比較して接触処理群が何%のがん細胞を増殖抑制したかを示すことで行った。
以上の工程を経た結果、ヒト大腸がん細胞株HCT−116に対する増殖抑制率は、抗がん作用に関与する薬剤(5FUおよびCDHP)単独処理群では、無処理群に対し15%であったが、抗がん作用に関与する薬剤(5FUおよびCDHP)および免疫細胞による処理群(体内環境再現下での処理群)では、無処理群に対し80%を示し、顕著な抑制効果を示すことが分かった。
抗がん作用に関与する薬剤単独処理群では、実際の臨床結果よりも抗がん作用が過小評価されているが、一方、抗がん作用に関与する薬剤と免疫細胞による処理群は、実際の臨床結果と同様に優れた抗がん作用を示していることがわかる。
このことから、PBMC中の免疫細胞共存下では、抗がん剤5FUを分解する酵素(DPD)を阻害することで効果を増強させるCDHPの作用が、抗がん作用に関与する薬剤単独の場合と比べて、更に著しく増強されていることがわかる。このことは、PBMC中から分泌される免疫細胞由来の成分とのCDHPの相互作用により認められる現象と考えられ、抗がん作用の生体内での多様性を再現できているということがわかる。
−実施例2−1−
以下に示す実施例2−1は、抗がん剤のプロドラッグ5´DFUR(中外製薬社製、「フルツロン」)をコラーゲンゲルドロップ中で三次元培養する際に、本発明のように免疫細胞を共存させれば、体内の免疫系まで再現できることを明らかにするものであるが、5´DFURを用いた場合、従来の評価方法では、抗がん作用はほとんど発揮されず、実際の臨床の場での抗がん作用よりも過小評価されてしまうことが知られている。
下記操作以外の、細胞株HCT―116の細胞懸濁液の調製、コラーゲンゲルドロップの作製、PBMC由来の免疫細胞との共培養、細胞の染色と固定、および、画像比色定量法による細胞数定量法、の操作については実施例1と同様である。
抗がん剤のプロドラッグである5´DFURを生理食塩水で300μg/mlに調製した。この5´DFURを、実施例1における、がん細胞含有コラーゲンゲルドロップを重層した6穴プレートの1穴あたり4mlの各培地に対して、添加することによって、5´DFURを、コラーゲンゲルドロップに包埋されたがん細胞に接触させた。5´DFURはドロップ作製後一晩後に添加し、最終濃度で5´DFURが3μg/mlの接触条件で、6日間持続接触させた。
以上の工程を経た結果、ヒト大腸がん細胞株HCT―116に対する増殖抑制率は、抗がん作用に関与する薬剤(5´DFUR)単独処理群では、無処理群に対し13%であったが、抗がん作用に関与する薬剤(5´DFUR)および免疫細胞による処理群では、無処理群に対し29%を示し、抑制効果の増強があった。
5´DFURは5FUのプロドラッグで、活性体ではないため、抗がん剤感受性試験では抗腫瘍効果はほとんど発揮されないと考えられてきた。しかし、生体内では、サイトカインネットワークにより腫瘍内の酵素が活性化され、腫瘍内で活性体に変化し、抗腫瘍効果を発揮する。
そして、上記評価結果では、抗がん作用に関与する薬剤単独処理群は、実際の臨床結果よりも抗がん作用が過小評価されているが、一方、抗がん作用に関与する薬剤と免疫細胞による処理群は、実際の臨床結果と同様に、より優れた抗がん作用を示していることからわかるとおり、本発明にかかる方法ではサイトカインネットワークが再現され、実際の生体内環境に極めて近い培養環境が構築されていることが分かる。
−実施例2−2−
以下に示す実施例2−2は、抗がん剤のプロドラッグ5´DFUR(中外製薬社製、「フルツロン」)とBRM製剤PSK(クレハ社製、「クレスチン」)をコラーゲンゲルドロップ中で三次元培養する際に、本発明のように免疫細胞を共存させれば、体内の免疫系まで再現できることを明らかにするものであるが、5´DFURとPSKを併用した場合、従来の評価方法では、実際の臨床の場での抗がん作用よりも過小評価されてしまうことが知られている。
下記操作以外の、細胞株HCT―116の細胞懸濁液の調製、コラーゲンゲルドロップの作製、PBMC由来の免疫細胞との共培養、細胞の染色と固定、および、画像比色定量法による細胞数定量法、の操作については実施例1と同様である。
5´DFURの調製は実施例2−1と同様に行った。この5´DFURと、BRM製剤であるPSKを、実施例1のがん細胞含有コラーゲンゲルドロップを重層した6穴プレートの1穴あたり4mlの各培地に対して、それぞれ添加することによって、5´DFURおよびPSKを、コラーゲンゲルドロップに包埋されたがん細胞に接触させた。5´DFURおよびPSKはドロップ作製後一晩後に添加し、最終濃度で5´DFURが3μg/ml、PSKが100μg/mlの接触条件で、6日間持続接触させた。
以上の工程を経た結果、ヒト大腸がん細胞株HCT―116に対する増殖抑制率は、抗がん作用に関与する薬剤(5´DFURおよびPSK)単独処理群では、無処理群に対し15%であったが、抗がん作用に関与する薬剤(5´DFURおよびPSK)および免疫細胞による処理群では、無処理群に対し45%を示し、顕著な抑制効果の増強があった。
抗がん作用に関与する薬剤単独処理群では、実際の臨床結果よりも抗がん作用が過小評価されているが、一方、抗がん作用に関与する薬剤と免疫細胞による処理群は、実際の臨床結果と同様に、より優れた抗がん作用を示していることがわかる。
上記評価結果をみると、抗がん作用に関与する薬剤単独処理群は、実際の臨床結果よりも抗がん作用が過小評価されているが、一方、抗がん作用に関与する薬剤と免疫細胞による処理群は、実際の臨床結果と同様に、より優れた抗がん作用を示していることがわかる。このことから実施例2−2においても、実施例2−1と同様に、サイトカインネットワークが再現され、実際の生体内環境に極めて近い培養環境が構築されていることが分かる。
−実施例3−
以下に示す実施例3は、BRM製剤PSK(クレハ社製、「クレスチン」)をコラーゲンゲルドロップ中で三次元培養する際に、本発明のように免疫細胞を共存させれば、体内の免疫系まで再現できることを明らかにするものであるが、5´DFURとPSKを併用した場合、従来の評価方法では、実際の臨床の場での抗がん作用よりも、抗がん作用は過小評価されてしまうことが知られている。
下記操作以外の、細胞株HCT―116の細胞懸濁液の調製、コラーゲンゲルドロップの作製、PBMC由来の免疫細胞との共培養、細胞の染色と固定、および、画像比色定量法による細胞数定量法、の操作については実施例1と同様である。
BRM製剤であるPSKを実施例1のがん細胞含有コラーゲンゲルドロップを重層した6穴プレートの1穴あたり4mlの各培地に対して、添加することによって、PSKを、コラーゲンゲルドロップに包埋されたがん細胞に接触させた。PSKはドロップ作製後一晩後に添加し、最終濃度でPSKが500μg/mlの接触条件で、6日間持続接触させた。
以上の工程を経た結果、ヒト大腸がん細胞株HCT―116に対する増殖抑制率は、抗がん作用に関与する薬剤(PSK)単独処理群では、無処理群に対し18%であったが、抗がん作用に関与する薬剤(PSK)および免疫細胞による処理群では、無処理群に対し32%を示し、抑制効果の増強があった。
抗がん作用に関与する薬剤単独処理群では、実際の臨床結果よりも抗がん作用が過小評価されているが、一方、抗がん作用に関与する薬剤と免疫細胞による処理群は、実際の臨床結果と同様に、より優れた抗がん作用を示していることがわかる。
一般的に、PSKは腫瘍に対して直接作用するものではなく、免疫細胞を介した作用であると考えられており、生体外での評価は困難であった。しかし、上述のとおり、抗がん作用に関与する薬剤および免疫細胞による処理群では、がん細胞の増殖抑制効果の増強が見られる。このことから、本発明にかかる方法によれば、実際の生体内環境に極めて近い培養環境が構築することができ、PBMCを介した薬剤効果を評価することができるということがわかる。
−実施例4−
以下の実施例4では、コラーゲンゲル包埋培養法を用いた免疫細胞共培養下におけるがん細胞の抗がん剤代謝酵素、特にTPの遺伝子mRNAの発現量について、従来の評価方法である単層培養(二次元培養)と、本発明にかかる方法であるコラーゲンゲル包埋培養法(三次元培養)との比較を行なった。
ここで、TP(thimidine phosporylase)は、抗がん剤のプロドラッグである5´DFURを5FUに変換する酵素であり、がん組織内に多く存在し、効率的に抗がん作用を発揮させると考えられている。したがって、実施例4に示す結果は実施例2−1および2−2で5´DFURが体内での評価および効果増強を示したこととの関連性について示唆される。
実施例1と同様の操作で、細胞株HCT―116の細胞懸濁液の調製、コラーゲンゲルドロップの作製、および、PBMC由来の免疫細胞との共培養、を行った。
培養したがん細胞数を測定し、3mlのトリプシンを加えて細胞をはがし、7mlのDMEM(インビトロ社製)とF−12培地との混合液を加えて、3000rpm×5分で遠心分離した。これを、PBSで洗浄した後、Rneasy Mini Kit(QUIAGEN社製)を用いて、RNA抽出を行った。
次に、抽出したRNAの吸光度を測定した。
測定された吸光度からRNAの濃度を求め、DNA−freeTM(アンビオン社製)を用いて、RNAサンプルからDNAを除去した。
DNAを除去したRNAサンプルから、SuperScriptTM III First−Strand Synthesis System for RT−PCR(インビトロジェン社製)を用いて、cDNA合成を行った。
合成したcDNAからTPのターゲットプライマーをLightCycler First−Strand DNA Mater Plus SYBR GreenI(Roche社製)を用いて、表1に示す条件で、Real−Time PCRを行った。
Figure 0004866162
本願発明によって、がん細胞とPBMCをコラーゲンゲルドロップ中で三次元培養した場合の結果を、無処理の場合および二次元培養した場合の結果と比較して、表2に示す。なお、比較は腫瘍内5FU代謝酵素の一つであるTPの遺伝子mRNAの発現で行った。
Figure 0004866162
TP活性上昇が腫瘍内に誘導され、その結果、5´DFURに対する感受性が増強されたと考えられた。三次元培養では、より腫瘍内酵素の発現が顕著になっていることがわかった。
すなわち、表2は、がん細胞と免疫細胞を二次元培養するだけでは、体内環境を十分に再現することはできず、コラーゲンゲル中でがん細胞と免疫細胞を三次元培養することによって初めて、体内環境に極めて近い培養環境を再現でき、実施例2−1および2−2に示した評価結果が得られたということを示すものであり、他の実施例1および3についても同様に、コラーゲンゲル中でがん細胞と免疫細胞を三次元培養し、体内環境に極めて近い培養環境を再現できたことにより、各実施例に示した評価結果が得られたと考えることができる。
−実施例5−
実施例1と同様の操作で、細胞株HCT―116の細胞懸濁液の調製、コラーゲンゲルドロップの作製、および、PBMC由来の免疫細胞との共培養、を行った。
そして、抗がん剤5FUを接触させたもの、5´DFURを接触させたもの、PSKを接触させたもの、5´DFURとPSKを接触させたもの、5´DFURとサイトカイン系製剤TNF(R&D SYSTEMS社製、「Recombinant Human TNF−α/TNFSF1A」)を接触させたもの、についてE/T比を変えて、それぞれの抗がん作用を評価した。
がん細胞への薬剤の接触は、最終濃度で、5´DFURを接触させたものについては3μg/ml、PSKを接触させたものについては500μg/ml、5´DFURとPSKを接触させたものについては各々3μg/ml、500μg/ml、5´DFURとTNFを接触させたものについては各々3μg/ml、30Unit/mlとなるよう行い、いずれも6日間持続接触とした。
被験者AまたはBの血液から採取したPBMCのそれぞれについて、結果を図4、図5に示す。なお、図4,5において、縦軸の「T/C(%)」は「相対増殖度比」を表すものである。具体的な算出方法は、評価したい薬剤を添加した条件と薬剤を添加しない条件のそれぞれについて一定期間がん細胞を増殖培養する試験を行い、薬剤を添加した条件での増殖度(がん細胞数):Tと、薬剤を添加しない条件での増殖度(がん細胞数):Cとの比(T/C)を算出し、これに100をかけて「T/C(%)」値とした。したがって、「T/C(%)」が高いほど薬効が弱いことを意味し、低いほど薬効が高いことを意味する。
図4、図5をみると、E/T比が抗がん作用に影響していることがわかり、5FU、PSKではPBMCの比が大きくなるほど、感受性が低くなっており、5´DFUR、5´DFURとPSKを併用したものではPBMCの比が大きくなるほど、感受性が高くなっていることがわかる。
このように、E/T比を変化させることにより、検出感度が向上し、いくつか有効と判断される薬剤の候補があった場合に、特にどの薬剤が最適であるかといった判断までも容易になしうることが分かる。
また、さらに、患者のがん細胞と免疫細胞の細胞数の比を考慮して、極めて適切に投与薬剤の選択や投与量を決定することができることもわかる。
本発明にかかる抗がん作用の評価方法は、例えば、がん細胞を含む生体内環境に近い培養環境を構築して、抗がん剤などに対するがん細胞の感受性を適切に評価することができる。その結果、抗がん剤の開発研究、がん治療における投与薬剤の選択などを効率的に行なうことができるようになる。
本発明の実施形態となる抗がん作用の評価方法を説明する模式図 別の実施形態となる抗がん作用の評価方法を説明する模式図 別の実施形態となる抗がん作用の評価方法を説明する模式図 E/T比の抗がん作用に及ぼす影響を表す図 E/T比の抗がん作用に及ぼす影響を表す図
符号の説明
10 培養容器
20 コラーゲンゲルドロップ
30 培養液
40 がん細胞
50 抗がん剤
52 DPD阻害剤
54 BRM製剤
60 PBMC

Claims (14)

  1. 抗がん作用に関与する薬剤の、がん細胞に対する抗がん作用を評価する方法であって、
    がん細胞を包埋するコラーゲンゲルの滴塊を内面に固着支持させた培養容器に、前記抗がん作用に関与する薬剤と、生体内環境で前記がん細胞と共存する免疫細胞と、を含む培養液を供給して、がん細胞の培養を行なう工程(b)と、
    前記コラーゲン滴塊内における前記がん細胞の培養結果を評価する工程(c)と、
    を含む、抗がん作用の評価方法。
  2. 工程(b)に先立ち、がん細胞を包埋するコラーゲンゲルの滴塊を培養容器の内面に固着支持させる工程(a)を含む、請求項1に記載の抗がん作用の評価方法。
  3. 前記工程(a)が、前記がん細胞を含むコラーゲン溶液を調製する工程(a−1)と、前記コラーゲン溶液を前記培養容器の内面に滴下し、ゲル化させる工程(a−2)と、を含む、請求項に記載の抗がん作用の評価方法。
  4. 前記抗がん作用に関与する薬剤が、抗がん剤、抗がん剤のプロドラッグ、抗がん剤もしくはそのプロドラッグの代謝に関連する細胞内代謝酵素活性を調整する薬剤および免疫療法剤からなる群から選ばれる、請求項1から3までのいずれかに記載の抗がん作用の評価方法。
  5. 前記免疫細胞が、生体から採取された末梢血単核球である、請求項1から4までのいずれかに記載の抗がん作用の評価方法。
  6. 前記免疫細胞が、前記培養液に、がん細胞に対する細胞数の比で0.01〜100含まれている、請求項1からまでのいずれかに記載の抗がん作用の評価方法。
  7. がん治療における投与薬剤を選択するための、請求項1から6までのいずれかに記載の方法。
  8. 抗がん剤の候補薬剤を選択するための、請求項1から6までのいずれかに記載の方法。
  9. 抗がん剤の候補薬剤を選択する方法であって、
    がん細胞を包埋するコラーゲンゲルの滴塊を内面に固着支持させた培養容器に、前記抗がん剤の候補薬剤と、生体内環境で前記がん細胞と共存する免疫細胞と、を含む培養液を供給して、がん細胞の培養を行なう工程(b)と、
    前記コラーゲン滴塊内における前記がん細胞の培養結果を評価する工程(c)と、
    を含む方法。
  10. 工程(b)に先立ち、がん細胞を包埋するコラーゲンゲルの滴塊を培養容器の内面に固着支持させる工程(a)を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記工程(a)が、前記がん細胞を含むコラーゲン溶液を調製する工程(a−1)と、前記コラーゲン溶液を前記培養容器の内面に滴下し、ゲル化させる工程(a−2)と、を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記抗がん作用に関与する薬剤が、抗がん剤、抗がん剤のプロドラッグ、抗がん剤もしくはそのプロドラッグの代謝に関連する細胞内代謝酵素活性を調整する薬剤および免疫療法剤からなる群から選ばれる、請求項9から11までのいずれかに記載の方法。
  13. 前記免疫細胞が、生体から採取された末梢血単核球である、請求項9から12までのいずれかに記載の方法。
  14. 前記免疫細胞が、前記培養液に、がん細胞に対する細胞数の比で0.01〜100含まれている、請求項9から13までのいずれかに記載の方法。
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