JP4414557B2 - 巻鉄心用非晶質合金薄帯およびそれを用いた巻鉄心 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力トランス、高周波トランスなどの巻鉄心に用いられる非晶質合金薄帯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合金を溶融状態から急冷することによって、連続的に薄帯や線を製造する方法として、遠心急冷法、単ロール法、双ロール法などが知られている。これらの方法は、高速回転する金属製ドラムの内周面または外周面に溶融金属をオリフィスなどから噴出させることによって、急速に溶融金属を凝固させて薄帯や線を製造するものである。さらに、合金組成を適正に選ぶことによって、液体金属に類似した非晶質合金を得ることができ、磁気的性質あるいは機械的性質に優れた材料を製造することができる。
【0003】
この非晶質合金は、その優れた特性から多くの用途において工業材料として有望視されている。その中でも、電力トランスや高周波トランスなどの鉄心材料の用途として、鉄損が低く、かつ、飽和磁束密度や透磁率が高いことなどの理由から、Fe系あるいはCo系などの非晶質合金薄帯が採用されている。
しかし、非晶質合金薄帯を巻回して巻鉄心に加工する場合、巻鉄心の鉄損が薄帯単板で得られる鉄損の2倍以上に増加してしまうという問題が、従来から存在している。すなわち、巻鉄心の鉄損「W(巻)」を薄帯の鉄損「W(薄)」で割った値をビルディングファクタ−(BF)と定義されるが、BF=W(巻)/W(薄)>2となってしまうのである。これに対して、珪素鋼板ではBF≒1であって、巻回の影響による鉄損劣化はほとんどない。
【0004】
非晶質合金薄帯のBF増加の原因としては、巻回した時に発生する応力や積層された薄帯間を磁束が渡ることによって生じる渦電流によるものなどが考えられている。特に、巻回によって発生する応力は、その後の焼鈍によっても完全に除去することができない。なぜならば、発生した応力を完全に除去するためには、薄帯の結晶化温度以上まで昇温しなければならず、この場合、非晶質合金特有の優れた磁気特性自体が失われてしまうからである。
【0005】
この非晶質合金薄帯のBFを低減させることを目的とした従来技術として、以下のものが開示されている。
非晶質合金薄帯を巻回して巻鉄心にする場合、薄帯の幅方向の曲がり量を所定量以下に規定した薄帯が特開平7−283035号公報に開示されている。この特開平7−283035号公報は、幅方向に曲がっている薄帯では、その端部が伸びた耳波状態なっているため、そのような薄帯を巻回して巻鉄心にすると、端部に皺状歪が発生して鉄損を増加させることから、その増加を防止できる薄帯を開示したものである。また、Fe−Si−B系薄帯にMnを含有させて、ビルディングファクタ−の低減を実現した薄帯が特開平8−273918号公報に開示され、さらに、非晶質合金薄帯に特定量のエチルシリケ−ト系の絶縁性の皮膜を形成させて、ビルディングファクタ−を低減する方法が特開昭59−177377号公報に開示されている。
【0006】
特開平7−283035号公報および特開平8−273918号公報開示の薄帯では、巻回して巻鉄心に加工する場合、薄帯の幅方向の曲がり量を所定量以下に規定することによって、あるいは、Mnの含有によって、巻回によるひずみの影響をある程度は低減できるものの、巻回によるひずみの発生そのものは避けられない。巻回によって一端発生したひずみは、その後の焼鈍によっても除去することはできないため、ビルディングファクタ−の低減効果も大きいものとは言えない。さらに、特開昭59−177377号公報開示の方法は、巻回によって発生するひずみに対して何ら寄与しない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、非晶質合金薄帯を巻回して巻鉄心を作る場合、巻回によってひずみが発生するが、このひずみを問題のないレベルまで低減する手段は従来にはなかった。
本発明は、無外部応力下における薄帯の幅方向の曲率半径を巻鉄心の薄帯の曲率半径に応じて決めることによって、巻鉄心に加工した後でも巻回によって発生する応力(ひずみ)を低減でき、ビルディングファクタ−の改善を可能にする非晶質合金薄帯、および、それを用いた巻鉄心を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)無外部応力下で薄帯の幅方向に対して曲率半径rを有する厚さtの樋状非晶質合金薄帯であって、
r= νR +t(1−ν)/2〔ただし、νはポアソン比、Rは該薄帯を長手方向に巻回したときの巻鉄心の曲率半径〕の関係を満たすことを特徴とする巻鉄心用非晶質合金薄帯。
(2)前記薄帯の厚さが0.01mm以上0.1mm以下、幅が5mm以上250mm以下であることを特徴とする前(1)記載の巻鉄心用非晶質合金薄帯。
(3)薄帯の長手方向に対して曲率半径Rを有する巻鉄心に巻回された巻鉄心であって、薄帯の幅方向の曲率中心側が巻鉄心の曲率中心側に一致していることを特徴とする前(1)または(2)記載の巻鉄心用非晶質合金薄帯を用いた巻鉄心。
(4)前記薄帯の長手方向に対して、(R−3)以上(R+3)以下の曲率半径〔単位はmm〕を有する巻鉄心に巻回されたことを特徴とする前(3)記載の巻鉄心。
【0009】
本発明の特徴は、非晶質合金薄帯を巻回して巻鉄心に加工する場合に、巻回によって発生する応力を極力低減するように、急冷鋳造後の薄帯の無外部応力下における形状を工夫することにある。この目的を達成するために、無外部応力下において曲がりの無い平板状薄帯から曲がりを有する樋状薄帯に至るまで、種々の形状の薄帯を巻回し、巻回前の初期形状と巻回後の応力状態の関係を詳細に調べた。
【0010】
無外部応力下において曲がりの無い薄帯を曲率半径Rまで曲げた場合には、図4に示すように薄帯の曲率中心側の面では薄帯長手方向に圧縮応力、その反対側の面では引張り応力が発生する。巻鉄心では薄帯長手方向が励磁方向となるため、中立面よりも曲率中心側にある面では励磁方向に圧縮応力が作用する。
磁歪が正のFe系、あるいはCo系非晶質合金薄帯では、励磁方向に圧縮応力が作用すると鉄損が増加してしまい、ビルディングファクタ−を増加させる原因となる。磁歪が負の非晶質合金薄帯では、反対に、励磁方向に引張り応力が作用する中立面よりも外側において鉄損が増加してしまう。
【0011】
これらの現象は、曲がりの無い平坦状の薄帯を曲げた場合には必ず生じ、巻回によって薄帯表面に発生する応力は、同じ曲率半径Rであるならば、薄帯厚が厚いほど大きくなる。
これらの巻回によって薄帯内に生じる応力は、通常の非晶質合金薄帯に施される巻回後の焼鈍では完全に除去できないために、鉄損劣化が生じてしまう。
【0012】
そこで、本発明者は、薄帯を曲げる場合に面内に生じる応力は2軸状態になることに注目して、その2軸応力の組み合わせを制御することによって、薄帯を巻回した後においても、巻回によって発生する応力をほとんど生じさせないようにできることを見い出して、本発明を完成させるに至った。
図1を用いて本発明を説明する。図1は、無外部応力状態における樋状の形状を有する薄帯を示している。長手方向に渡って一様に、幅方向に対して曲率半径rを有する薄帯であって、幅がw、厚さがtである。ただし、この薄帯は、特開平7−283035号公報に開示されているような端部が伸びて耳波状態を呈しているものではなく、幅方向のどの部分においても薄帯長手方向の長さは同じである。この樋状薄帯を長手方向に巻回して曲率半径Rのトロイダル形状にすると、見かけ上、幅方向の曲率半径は無限大となって、幅方向に平坦化される。この時の薄帯形状の変化の様子を図2および図3に示す。
【0013】
すなわち、図2は、樋状薄帯が幅方向に平坦化された状態であり、図3は、さらに長手方向に巻回した曲率半径Rのトロイダルの一部である。
ここで、図2に示すように、幅方向をx軸、長手方向をy軸、厚さ方向をz軸とし、曲率中心と反対側の薄帯表面を面1、曲率中心側の薄帯表面を面2と定義する。無外部応力下で、図1に示す形状の樋状薄帯が、外部応力によって図2のように平坦化されると、面1には圧縮応力、面2には引張り応力が、それぞれ、x軸、および、y軸方向に生じる。薄帯厚が薄いためz軸方向の応力は無視できる。ぞれぞれの面における応力は、次に示すとおりである。
【0014】
[面1]
x方向(圧縮)
σxr( 面1) =−{E/( 1−ν2)}・{t/( 2r−t) } ・・・(1)
y方向(圧縮)
σyr( 面1) =−{νE/( 1−ν2)}・{t/( 2r−t) } ・・・(2)
[面2]
x方向(引張り)
σxr( 面2) ={E/( 1−ν2)}・{t/( 2r−t) } ・・・(3)
y方向(引張り)
σyr( 面2) ={νE/( 1−ν2)}・{t/( 2r−t) } ・・・(4)
次に、図2に示す平坦化された薄帯が、図3に示す長手方向に曲率半径Rを持ったトロイダル形状に変化した場合の発生応力を考えると、面1には引張り応力、面2には圧縮応力が、それぞれ、x軸、および、y軸方向に生じる。ぞれぞれの面における応力は、次に示すとおりである。
[面1]
x方向(引張り)
σxR( 面1) ={νE/( 1−ν2)}・{t/( 2R−t) } ・・・(5)
y方向(引張り)
σyR( 面1) ={E/( 1−ν2)}・{t/( 2R−t) } ・・・(6)
[面2]
x方向(圧縮)
σxR( 面2) =−{νE/( 1−ν2)}・{t/( 2R−t) } ・・・(7)
y方向(圧縮)
σyR( 面2) =−{E/( 1−ν2)}・{t/( 2R−t) } ・・・(8)
本発明者が着眼した点は、従来の平坦な薄帯を巻回してトロイダル形状の巻鉄心に加工すると、(8)式に示す大きさの圧縮応力が面2の励磁方向に生じてしまうために鉄損が増加し、ビルディングファクタ−が大きくなるが、無外部応力下における薄帯形状を図1に示すような樋状にすることによって、(4)式で示す引張り応力を、面2の励磁方向に作用させることができることである。
【0015】
すなわち、面2では(4)式、(8)式から
σyr( 面2) +σyR( 面2) ≧0
を満たせば、巻回後に鉄損を増加させる圧縮応力は、面2側には作用しないことになる。両式を代入して計算すると、
r≦νR+t(1−ν)/2 ・・・(9)
ここで、面1についてみると、rがRに対して小さすぎる場合には、図2の平坦化時に面1に発生した圧縮応力が、トロイダル化後にも残ってしまう。したがって、面1でもy方向の応力が圧縮にならないようにしなければならない。
【0016】
すなわち、σyr( 面1) +σyR( 面1) ≧0、であればよい。(2)式、(6)式を代入して計算すると、
r≧νR+t(1−ν)/2 ・・・(10)
となる。
したがって、面1および面2の両面に関して、巻鉄心に加工した後においても、巻回によって生じる応力を無くすには、(9)式、および、(10)式から、
r=νR+t(1−ν)/2 ・・・(11)
を満たすように、巻鉄心の曲率半径Rに応じて、樋状薄帯の幅方向の曲率半径rを決めればよい。この関係を用いることによって、巻回で生じる圧縮応力を無くすことが可能になって、ビルディ ングファクタ−の増加を抑制することができる。
【0017】
巻鉄心の曲率中心側が樋状薄帯の幅方向の曲率中心側に一致しない場合には、巻回によって生じる圧縮応力、あるいは、引張り応力を打ち消すことができなくなるため、薄帯の幅方向の曲率中心側を巻鉄心の曲率中心側に一致させなければならない。
実際の非晶質合金薄帯の巻鉄心は、鉄心の巻厚があるために、最内周面と最外周面では、曲率半径Rが大きく異なる場合がある。このような場合には、幅方向に同じ曲率半径rを持った樋状薄帯では、最内周面と最外周面で同時に(11)式を満たすことができなくなるため、この樋状薄帯を連続して巻回することはできない。
【0018】
そこで、本発明者は、(11)式のrとRの関係において、rを決めた場合にどの程度のRの偏差までならば許容できるかを実際に調べた。具体的には、同じ曲率半径rの樋状薄帯を巻回して曲率半径Rのトロイダルにする際、Rの値を種々変えてビルディングファクタ−を求めた。
その結果、Rが(11)式を満たすRに対して、(R−3)mm以上(R+3)mm以下の範囲であるならば、ビルディングファクタ−を1. 3以下まで改善できた状態に押さえることが可能であることがわかった。巻鉄心の曲率半径が(R−3)より小さい場合、あるいは、(R+3)より大きくなる場合には、ビルディングファクタ−が1. 3よりも大きくなって、鉄損低減効果が小さくなってしまう。
【0019】
薄帯厚さは、それが0.01mm未満の場合、もしくは、0.1mm超になると安定して非晶質合金薄帯を鋳造することが難しくなるため、0.01mm以上0.1mm以下がよい。0.01mm以上0.07mm以下がより薄帯鋳造が安定するため好ましい。薄帯幅は、5mm未満になると樋状の薄帯にすることが難しくなり、250mm超になると、鋳造自体が難しくなるために、5mm以上250mm以下がよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の薄帯は所定の合金成分を溶解し、溶湯を移動している冷却基板上にスロットノズルを通して噴出させて、該合金を急冷凝固させる方法、例えば、冷却基板にエンドレスタイプのベルトを使うベルト法などによって製造することができる。これらの鋳造の際に、例えば、ベルト法であるならば、ベルト表面の形状とスロットノズルの形状をベルト幅方向に対して、所定の曲率半径rを持つように湾曲させることによって、本発明の薄帯を製造することができる。
【0021】
ただし、溶湯が冷却されるベルト部位は、ベルト回転方向に対して湾曲しないようにする必要がある。なぜならば、単ロール法のように冷却面が回転方向に曲率を有している場合には、鋳造後の薄帯長さが薄帯幅方向中央部と端部で異なってしまうからである。合金組成は、Fe系、Co系などの公知の組成を用いることができる。
【0022】
本発明の薄帯を用いて、巻初めと巻き終わりで曲率半径Rが大きく異なる巻厚の厚い鉄心を作製する場合には、巻鉄心の曲率半径が(R−3)mm以上(R+3)mm以下を1ユニットとして、このユニットを構成する樋状薄帯の幅方向の曲率半径を(11)式で得られるrにすればよい。数ユニットから数十ユニットを組み合わせることによって、一つの巻鉄心を作製できる。これらの各ユニットから巻鉄心への加工には公知の方法を用いることができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例を使って詳細に説明する。
(実施例1)
幅方向に種々の曲率半径rを有する樋状のFe−Si−B系の非晶質合金薄帯をべルト法で鋳造した。鋳造の際、ベルト幅方向のベルトおよびノズルの形状を、曲率半径rを有した形状にすることによって、樋状薄帯を作製した。薄帯の幅は25mm、薄帯厚は0.025mmと0.050mmである。ここで、0.050mmの薄帯にする場合には、公知の多重スロットノズルを用いた。
【0024】
比較のために、同じ合金を用いて、薄帯厚0.025mmと0.050mmの従来の平坦状の薄帯を鋳造した。
先ず、従来の平坦状薄帯を360℃で1時間、磁場中アニ−ルした後に単板磁気測定器(SST)を用いて50Hz、1.3Tの条件で鉄損を評価した。このSSTで評価した鉄損を、ビルディングファクタ−を計算する場合の基準値とした。
【0025】
次に、本発明の樋状薄帯を幅方向の曲率中心側と長手方向に巻回してトロイダルにした場合の曲率中心側が一致するように1周分のトロイダルを作り、360℃で1時間アニ−ルした。アニ−ルの際には、周方向に磁場を印加した。トロイダルを作る際には、その曲率半径Rを種々変えてビルディングファクタ−を比較した。このトロイダルをプラスチック製のケ−スに入れて、B−Hアナライザ−で50Hz、1.3Tの条件で鉄損を評価した。比較材として、従来の平坦状薄帯も同様に1周分のトロイダルを作って鉄損を評価した。
【0026】
ビルディングファクタ−(BF)は、(トロイダルの鉄損)/(単板の鉄損)で評価した。
結果を表1に示す。ただし、ポアソン比を0.3とした。
【0027】
【表1】
【0028】
以上から、試料No.4、10および17に示す(11)式のr=νR+t(1−ν)/2の関係を満たす場合には、ビルディングファクタ−は1. 1以下の小さな値になることがわかる。本来、(11)式を満たす場合には、巻回による応力は入らないはずであり、BF=1となるはずであるが、実際には測定トロイダル試料作製の際に局所的な応力が入ってしまったために、BF≠1になったものと考えられる。
【0029】
また、試料No.3、5、9、11、16および18に示すように、(11)式によるRに対して、トロイダルの曲率半径が(R−3)mm以上(R+3)mm以下の範囲であれば、BF≦1. 3の小さなビルディングファクタ−を維持することができることがわかる。これらの結果に対して、比較例として示した試料No.1、2、6、7、8、12、13、14、15、19、20および21は、全てビルディングファクタ−が1. 3を超えた値になっている。
【0030】
従来の平坦材をトロイダルにした場合の試料No.22および23では、巻回によって生じる応力が大きくなるため、ビルディングファクタ−が2を超えた値になっていることがわかる。
(実施例2)
実施例1で鋳造した薄帯厚さt=0.025mm、幅W=25mm、幅方向の曲率半径r=18mmの樋状薄帯を用いて、内径57.5mm、外径62.5mmの巻鉄心を作製した。実施例1と同様な熱処理後、B−Hアナライザ−で、50Hz、1.3Tの条件で鉄損を評価した。比較のために、従来の平坦状の薄帯でも試した。
【0031】
その結果、ビルディングファクタ−は、従来の平坦材では2.28と大きい値であったが、本発明の樋状薄帯では1.29と小さな値となり、本発明の薄帯がビルディングファクタ−の低減に有効であることが確認できた。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に従って、無外部応力下における薄帯の幅方向の曲率半径を巻鉄心の薄帯の曲率半径に応じて決めることによって、巻鉄心に加工した後でも巻回によって発生する応力(ひずみ)を低減でき、ビルディングファクタ−を改善することが可能になった。
【0033】
これによって、巻鉄心のエネルギ−損失が低減されるとともに、例えば、巻鉄心の発熱によって生じる周囲の素子などへの悪影響も軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無外部応力状態における樋状の形状を有する薄帯を示す図である。
【図2】樋状薄帯が外部応力によって平坦化された状態を示す図である。
【図3】樋状薄帯を薄帯長手方向に巻回したトロイダル状薄帯(曲率半径R)を示す図である。
【図4】従来の平坦状薄帯を巻回した場合に生じる薄帯断面内の応力分布を示す図である。
Claims (4)
- 無外部応力下で薄帯の幅方向に対して曲率半径rを有する厚さtの樋状非晶質合金薄帯であって、
r= νR +t(1−ν)/2〔ただし、νはポアソン比、Rは該薄帯を長手方向に巻回したときの巻鉄心の曲率半径〕の関係を満たすことを特徴とする巻鉄心用非晶質合金薄帯。 - 前記薄帯の厚さが0.01mm以上0.1mm以下、幅が5mm以上250mm以下であることを特徴とする請求項1記載の巻鉄心用非晶質合金薄帯。
- 薄帯の長手方向に対して曲率半径Rを有する巻鉄心に巻回された巻鉄心であって、薄帯の幅方向の曲率中心側が巻鉄心の曲率中心側に一致していることを特徴とする請求項1または2記載の巻鉄心用非晶質合金薄帯を用いた巻鉄心。
- 前記薄帯の長手方向に対して、(R−3)以上(R+3)以下の曲率半径〔単位はmm〕を有する巻鉄心に巻回されたことを特徴とする請求項3記載の巻鉄心。
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