JP4413082B2 - 埋設管の検査方法 - Google Patents
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るものである。
や漏水等の事故が増加しつつある。このため適切な劣化診断とその診断結果に基づく適切
な修繕・更新が要請されている。
この下水管路や農水管路の劣化診断においては、一般に、修繕・改築工事の順番及び工
事方法を決定するために、調査流域を構成する要素区域間の劣化進行度の順位付けや定量
的な劣化レベルの進行度の把握が必要である。
従来では、目視やTVカメラを用いて外観調査を行い、必要に応じコア抜きにより得た
試料の物性を調査しているが、直視し得る劣化しか捉えることができず、管外周や肉厚内
の劣化が見逃されてしまい、劣化の程度を適切に定量的に把握することが困難である。ま
たは、定量的なデータを収集するには、コアを大量に抜く必要があり、健全管体の強度低
下が余儀なくされ、作業コストの過大化も避けられない。
しかしながら、超音波法では、入力波としての超音波が高周波であり、エネルギーも小
さいので、入力波をコンクリート中に伝播させ難く、コンクリート製品の検査には適さな
い。
打音法では、マイクロフォン等の非接触式の音響機器で信号を受信しているために、周
囲の雑音の影響を受け易い、打撃点の裏面側の影響を受け易い、定量的な解析・診断に個
人差が生じ易い等の不都合があり、診断精度に問題がある。
衝撃弾性波法は、被検査体に打撃等の機械的衝撃で弾性波を入力し、被検査体に接触さ
せた振動子が受振した波形の周波数スペクトルを求め、その周波数スペクトルの解析・判
定により劣化診断を行う方法であり、本出願人においては、衝撃弾性波法を利用した埋設
管の診断システムを既に提案している。(例えば、特許文献1、非特許文献1)
図17の(イ)において、pは地中埋設管、aはインパルスハンマー等により弾性波を
入力させる入力点、bは伝播弾性波を振動センサで受振する受振点(出力点)を示してい
る。
弾性波の伝播は、質量m、バネ定数k、減衰係数c等で論じられ、バネ定数kは作用力
と変位との比で与えられるから、管の場合、バネ定数は管の曲げ剛性EIで評価される。
今、入力点での入力を図17の(ロ)に示すインパルスIとすると、このインパルスI
が管端での反射、クラック等の欠陥箇所での反射・透過を経て受振点に到来し、その到来
波xには、出力点と受振点との相対的位置関係、入力点や出力点と管端との相対的位置関
係、入力点や出力点と欠陥箇所との相対的位置関係、管体の曲げ剛性、減衰係数、管の比
重、経過時間等が関与し、出力点と受振点との相対的位置関係や入力点や出力点と管端と
の相対的位置関係に関する変数をL、入力点や出力点と欠陥箇所との相対的位置関係に関
する変数をL’、管体の曲げ剛性をEI、減衰係数をc、管の比重をm、経過時間tとする
と
で表すことができる。
而して、入力弾性波が図17の(ハ)に示すようにf(t)であるとすると、
出力Xは
と管端との相対的位置関係L、入力点や出力点と欠陥箇所との相対的位置関係L’、管体
の曲げ剛性EI、減衰係数c、管の比重m等によって異なる。
リートヒューム管について入力点と受振点との距離を1950mmとし、入力弾性波を時
間長さ120μsのインパルスハンマーで発生させたときの受振弾性波の波形を示してい
る。図18の(ロ)はその波形を高速フーリエ変換して求めた周波数スペクトルを示し、
固有振動周波数で最大ピークを呈している。
この周波数スペクトルにおいて、健全品と欠陥品とでは次のような差異が生じる(勿論
、入力値、入力点と受振点との相対的位置関係、管内水量等の環境条件は同じとしての対
比である)。
(1)最大ピークのスペクトル強度値
劣化品は健全品に較べ最大ピークのスペクトル強度値(固有振動数におけるスペクトル
強度値)が小さくなる。この理由は、クラック等の欠陥が在ると、弾性波が伝播し難くな
るためと推定される。
(2)固有振動周波数
劣化品は健全品に較べ固有振動周波数が低周波域側にシフトする。この理由は、クラッ
ク等の欠陥が在ると、管体の曲げ剛性が低下するためと推定される。
(3)ピーク本数
特に欠陥が管軸方向クラックである場合、ある強度以上のピーク本数が少なくなる。そ
の理由は、管軸方向クラックにより分割された質量のことなるコンクリート部分が別個に
振動するものの連成振動における相互作用により減衰が顕著になるためと推定される。
っている。
すなわち、検査しようとする埋設管の区間の各管体の受振波周波数スペクトルを得、各
周波数スペクトルから最大ピークのスペクトル強度値40%以上の値のスペクトル本数を
求め、ピーク本数が2本以下のものでは軸方向クラックと判定し、ピーク本数が3本以上
のもののうち、健全品の受振波周波数スペクトルと比較して最大ピークの強度値が顕著に
減少しているものは周方向クラックと判定し、減少の程度が小さいものは管厚み減少と判
定している。
合、通常の埋設深さでは、前記(1)〜(3)の特徴が埋設深さにより実質的に影響され
ることはなく、管直上の土被りの存在に関係なく、埋設管に存在するクラック等の欠陥を
受振弾性波の周波数スペクトルの解析より診断できることを確認済みである。
そこで、コンクリートヒューム管及び土被り砂をそれぞれ弾性体と見做してモデルを作
成し、このモデルに実際に弾性波を入力し、実際の受振位置で時刻暦応答波形をFEM解
析により求めてみたが、モデルでは、コンクリートヒューム管と土被り砂との境界を実際
の状態にシュミレートし難く、埋設深さと受振波周波数スペクトルとの関係を正確に把握
することは困難である。
しかしながら、本発明者においては、埋設管と土被りとの間での土砂の圧縮状態が前記
の受振波周波数スペクトルに影響を与えるため、一定の圧縮状態を基準として受振波周波
数スペクトルのスペクトル強度の補正係数を求めておけば、埋設深さが異なっても、その
埋設深さの影響をよく排除して管の欠陥を同一の基準で判定できることを知った。
い、各試験における受振波の周波数スペクトルを解析・判定して劣化診断を行う場合、管
埋設深さが異なっても、その埋設深さに見合った周波数スペクトルの補正によって統一基
準で劣化診断を行い得るようにすることにある。
受振波周波数スペクトルを基準埋設深さ(例えば、埋設深さ0.5m)のときの受振波周
波数スペクトルに補正でき、埋設管の劣化診断を管埋設深さの影響を受けることなく行う
ことができる。
図1は本発明において使用する衝撃弾性波試験法を説明するための図面である。
図1において、pは管体、Aは管体内面の所定箇所に弾性波を入力するための打撃具、
Bは入力点から所定の距離を隔てた管内面の所定箇所に接触させた振動センサー、Cは振
動センサーの受振波を記録し、高速フーリエ変換により周波数スペクトルを表示するコン
ピュータである。
前記打撃具Aには、常に同じ力・時間長さで打撃できるもの、例えばシュミットハンマ
ーやバネ、ピストン等により一定の力でハンマー、鋼球を打ち出すもの(例えばインパル
スハンマー)、一定の高さから鋼球を落下させるもの等を使用でき、特に入力情報の記録
データを計測し、解析時に反映できるものを使用することが好ましい。
前記振動センサーBには、振動加速度、振動速度、振動変位をピックアップする何れの
方式であってもよく、センサー素子には抵抗線ひずみゲージ、ピエゾ効果を利用した半導
体ゲージ、圧電磁器等の圧電型加速度ピックアップ等を使用でき、AE波検波用のAEセ
ンサーも使用できる。振動センサーの管内面への接触には粘着テープ、接着剤、手での押
え付けで行うこともできるが、後述のアームで振動センサーやハンマーをハンドリングす
る検査ロボットを使用することが好ましい。
振動センサーBやハンマーAにおいては、水や酸性水や塩基性水に接触されることがあ
るので、耐食金属製、例えばアルミ合金製、SUS製とすることが好ましい。
播されて来る弾性波を振動センサーBで受振し、その受振波をコンピュータCに記録する
と共にその記録波形を高速フーリエ変換して受振波の周波数スペクトルを求める。
入力の持続時間100〜150μsに対し、受振時間が0〜800×10μsとされ、
周波数スペクトルの周波数は0〜10kHz、好ましくは0.5〜8kHzとされる。(
0.5kHz未満のカットは雑音排除のため)
埋設管路の検査区間における互いに接続された管体を順次に衝撃弾性波試験していくと
きの各管体に対する試験条件を同じにするために入力、入力位置と受振位置との相対的位
置関係は実質的に同じにされる。この場合、入力位置と受振位置との間隔が短いと、出力
位置からの伝播弾性波が管体欠陥箇所を反射して受振位置に至るまでの距離が長くなり、
その伝播中での減衰が大きくなって受振波形に管体の欠陥情報が反映され難くなるので、
入力位置と受振位置との間隔は管体長さの1/4以上とすることが望ましい。
また、入力の大きさ影響を排除するために、受振波/入力波で求められる伝達関数を受
振情報として使用することが好ましい。
波の周波数スペクトルのピーク本数等の欠陥情報が実質的に殆ど変わず、受振波の波高値
が実質的に異なるだけであり、その差異の比は健全管体でのそれに実質的に等しく、従っ
て、健全管体について管埋設深さと受振波周波数スペクトルの波高値との関係をあらかじ
め求めておけば、ある埋設深さの管体の受振波の周波数スペクトルのスペクト強度を補正
して基準埋設深さ(通常0.5m)での周波数スペクトルを求め得るという事実を基礎と
している。
この事実は、埋設管に前記弾性波を入力すると、その入力弾性波の一部が管周囲の土砂
中に伝播し、管周囲の周囲の土砂の圧縮度が高い程、その土砂中への弾性波の伝播割合が
多くなるので、管埋設深さが深い程、土砂中への弾性波の漏れ量が増し、それだけ受振弾
性波の強度が低くなる結果であると推定でき、従って、管埋設深さと受振弾性波の周波数
スペクトルとの間には一定の関係があり、この関係からある管埋設深さの受振弾性波の周
波数スペクトルを基準埋設深さでの受振弾性波周波数スペクトルに補正できる。
(A)埋設条件の設定
実験に使用した試料は次の通りである。
健全管体試料に、JISA 5303のB型1種に基づく呼び径250mm、長さ2m
のコンクリート製ヒューム管を使用し、図2の(イ)に示すように厚み200mmの敷砂
上に健全管体試料を配設し、更に図2の(ロ)に示すように厚み300mmの盛砂を施し
た状態をベースとし、埋設深さ0.5m、1.0m、1.5m、2.0mの土圧状態(管
外面の土圧が0.5m、1.0m、1.5m、2.0m埋設時の土圧と等圧となる状態)
をシュミレートするために、図3の(ハ)に示すように所要枚数の鋼板mを木板スペーサ
cを介して載置した。使用した鋼板の重量は5kN/枚であり、使用した土砂の比重は1
7.8kN/m3であって、所定の埋設深さを設定するための鋼板の総重量(枚数)は表1
の通りとした。
この補正式は次のようにして算出した。
弾性波の入力位置と受振位置とは管内面の頂上で1950mm離れた位置とし、検査装
置には、図3に示すように台車上に第1アーム11aと第2アーム11bとを有し、第1
アーム11aの先端にインパルスハンマーAを支持し、第2アーム11bの先端に振動セ
ンサーBを支持した検査ロボットを使用し、振動センサーにキーエンス社製GH−313
Aを使用し、受信アンプにキーエンス社製GA−245を、データロガーにキーエンス社
製NR−2000をそれぞれ使用し、高速フーリエ変換プログラムに株式会社アブティッ
ク製を使用した。
鋼板の載置により埋設深さを0.5m、1.0m、1.5m、2.0m相当にに設定し
た各試料について、試料内に前記検査ロボットを導入し(インパクトハンマーの打撃箇所
から受振箇所までの距離を1950mmにしてある)、衝撃弾性波試験を行って受振波の
波形を記録した。図4の(イ)は埋設深さ0.5mm相当試料での受振波の波形を示して
いる。
各埋設深さに対する受振波形を絶対値に変換し〔図4の(ロ)は図4の(イ)に示す波
形の絶対値変換を行った波形〕、0〜700×10μsの時間区間で積分し、
積分値の比率y=(埋設深さxmでの受振波の積分値)/(埋設深さ0.5mでの受振
波の積分値)
を算出し、図4の(ハ)に示す、
〔式2〕 y=−0.28x+1.14
を得た。
この積分値の比率yは(埋設深さxmでの受振波のエネルギー)/(埋設深さ0.5m
での受振波のエネルギー)を意味している。
同様にして、前記埋設深さの異なる各試料の受振波の周波数スペクトルを求め(図5の
(イ)埋設深さ0.5m相当試料の受振波の周波数スペクトルを示し、図5の(ロ)は埋
設深さ2.0m相当試料の受振波の周波数スペクトルを示している)、周波数0〜10k
Hzの区間で積分し、
積分値の比率y=(埋設深さxmでの受振波周波数スペクトルの積分値)/(埋設深さ
0.5mでの受振波周波数スペクトルの積分値)
を算出したところ、前記〔式2〕と同じ式を得た。
この補正式から、0.5m単位で変えた埋設深さに対する補正係数を示せば次の通りで
ある。
次のようにして相関性のあることを確認した。
欠陥管体試料として、前記ヒューム管を図6に示すように落下して管体中央に周方向ク
ラックを巾0.15mm(周方向等間隔5点での平均値)の寸法で入れたものを使用した
。
この欠陥管体試料の埋設深さを前記した鋼板載置により異ならしめても、次のように前
記補正式yによりその欠陥管体の受振波周波数スペクトルのスペクトル強度(波高値)を
補正して基準埋設深さ(補正係数1の埋設深さ0/5m)での受振波周波数スペクトルに
ほぼ等しい周波数スペクトルを求めることができる。
図7の(イ)の左側図は欠陥管体の埋設深さ0.5mでの受振波周波数スペクトルを示
し、右側図は前記補正式に基づく補正係数1で補正した補正後受振波周波数スペクトルを
示している。
図7の(ロ)の左側図は欠陥管体の埋設深さ2.0mでの受振波周波数スペクトルを示
し、右側図は前記補正式に基づく補正係数1.72で補正した補正後受振波周波数スペク
トルを示している。
試料についての受振波周波数スペクトルの補正前の最大ピーク値と最大ヒーク値との比を
、図8の(ロ)は埋設深さ0.5mと2.0mの健全品試料及び前記した周方向クラック
試料についての受振波周波数スペクトルの補正後の最大ピーク値と最大ヒーク値との比を
それぞれ示し、埋設深さが異なっても補正により最大ピーク値がほぼ一致され、埋設深さ
が異なっても補正により最大ピーク値による劣化診断を同一基準で行い得ることが明らか
である。
また、埋設深さの異なる図5の(イ)と(ロ)または埋設深さの異なる図7の(イ)と
(ロ)との場合の受振波周波数スペクトルの対比から、最大ピーク値周波数(固有振動周
波数)、ピーク本数も実質的に殆ど変わらないことが明らかである。
数スペクトルのピーク本数等の欠陥情報が実質的に殆ど変わず、受振波の波高値が実質的
に異なるだけであり、その差異の比は健全管体でのそれに実質的に等しく、従って、健全
管体について埋設深さと受振波波高値との関係を求めておけば、埋設深さが異なる欠陥管
体の受振波の周波数スペクトルのスペクト強度を補正して基準埋設深さ(通常0.5m)
での周波数スペクトルを求め得る。
ボットを使用することが好ましい。この検査ロボットは図3の(ロ)に示すように、中折
り可能とし、マンホールから管路に至る間の直角空間に円滑に挿通できるようにしてある
。
ように検査ロボット1を使用し、図10に示すフローに従って進めることができる。この
場合、一本の管体の衝撃弾性波試験を行えば、次の管体内に検査装置を移行させるが、陥
没が過酷な場合は衝撃弾性波試験を行うまでもなく重劣化と判定する。
図9において、3はTVカメラを示し、陥没の程度はTVカメラの監視により行い、管
路内面を監視しつつ検査装置を移行させる。4は制御ユニット、cは操作信号を入力した
り、データ記録、高速フーリエ変換を行うパソコンやTVカメラモニタを示している。
各管体の埋設深さHは、管体中央点位置での埋設深さとすることができ、例えば図11
に示す各管体の傾斜角θm(m=1,2…)を測定し、マンホールでの深さをH0、管体
長さをLとして
取付け、その信号をパソコン5に入力して受振波周波数スペクトルの埋設深さに対する補
正を行い得るようにしてもよい。
ボット1を使用して衝撃弾性波試験を行い、振動センサーBが受振する入力弾性波をパソ
コン5に保存し、高速フーリエ変換ソフトによりその入力弾性波をフーリエ変換して周波
数スペクトルを求める。傾斜計6で埋設深さx(m)を測定し、前記の式2により補正係
数を算出し、埋設深さに対する補正を行い、補正された周波数スペクトルを求める。
この補正した周波数スペクトルを解析し、最大ピークのスペクトル強度値40%以上の
ピーク本数を求め、ピーク本数が2本以下であれば〔図12の(ロ)参照〕、軸方向クラ
ック在りと診断し、ピーク本数が3本以上であれば〔図12の(ハ)、図12の(ニ)参
照〕、最大ピークの強度値を解析し、予め求めておいた健全管体の周波数スペクトル〔図
12の(イ)参照〕と比較して最大ピークの強度値が顕著に減少しているもの〔図12の
(ハ)参照〕では周方向クラック在りと診断し、最大ピークの強度値の減少程度が小さな
もの〔図12の(ニ)参照〕では管厚み減少と診断することができる。
について計算式を求めたのと同様にして礫質土、粘性土についても補正式を求めておき、
土質に対応することが好ましい。
た振動波形の基本式〔数1〕から明らかなように、管内水量は受振波形に影響を及ぼし、
その周波数スペクトルに異同をもたらす。
而るに、検査区間の水抜きは、管内水量0%を基準にして水量に対する環境条件を揃え
る意義を有し、診断精度を高めるのに有効であって上記実施例では、図9に示すように、
検査管路区間に燐在する区間をエアーバッグG等で止水し、検査区間内を水抜きして管内
水量0%を検査基準としている。
に及ぼす影響を鋭意検討し、受振波周波数スペクトルの固有振動周波数、ピーク本数が殆
ど変わらず、スペクトルの強度(波高値)の変化にとどまることを確認済みである。
この事実は、管内水量の上昇に比例して管内水中に出力弾性波の一部が放出されること
による受振弾性波の波高値減少が、減衰係数の変化や質量の変化による受振弾性波の変化
よりも強く現れる結果と推定される。
(A)健全管体における受振波の管内水量に対する補正式の算出
この補正式は次のようにして算出した。
基準埋設深さ(0.5m)の健全管体試料の管体内水位を0%、10%、30%、50
%とし、各水位ごとに衝撃弾性波試験を行って受振波の波形を記録した。図13の(イ)
は水位0%での受振波の波形を示している。
各水位に対する受振波形を絶対値に変換し〔図13の(ロ)は図13の(イ)に示す波
形の絶対値変換を行った波形〕、0〜700×10μsの時間区間で積分し、
積分値の比率y=(水位x%での受振波の積分値)/(水位0%での受振波の積分値)
を算出し、図13の(ハ)に示す、
〔式3〕 y=−0.005x+1
を得た。
この積分値の比率yは(水位x%での受振波のエネルギー)/(水位0%での受振波の
エネルギー)を意味している。
同様にして、水位を変えて受振波の周波数スペクトルを求め(図14の(イ)は水位2
0%での受振波の周波数スペクトルを示し、図14の(ロ)は水位50%での受振波の周
波数スペクトルを示している)、周波数0.5〜10kHzの区間で積分し、
積分値の比率y=(水位x%での受振波周波数スペクトルの積分値)/(水位0%での
受振波周波数スペクトルの積分値)
を算出したところ、前記〔式3〕と同じ式を得た。
この補正式から、10%単位で変えた水位に対する補正係数を示せば次の通りである。
次のようにして相関性のあることを確認した。
欠陥管体として、前記と同様にヒューム管を前記の図6に示すように落下して管体中央
に周方向クラックを巾0.15mm(周方向等間隔5点での平均値)の寸法で入れたもの
を使用した。
この欠陥管体内に水量が存在しても、次のように前記補正式yによりその欠陥管体の受
振波周波数スペクトルのスペクトル強度(波高値)を補正して基準水位(通常0水位)で
の受振波周波数スペクトルを求めることができる。
図15の(イ)の左側図は欠陥管体の管内水位が20%での受振波周波数スペクトルを
示し、右側図は前記補正式に基づく補正係数1.11で補正した補正後受振波周波数スペ
クトルを示している。
図15の(ロ)の左側図は欠陥管体の管内水位が50%での受振波周波数スペクトルを
示し、右側図は前記補正式に基づく補正係数1.33で補正した補正後受振波周波数スペ
クトルを示している。
図15の(イ)の左側図で示す補正後の受振波周波数スペクトルの最大ピーク値と図1
5の(ロ)の左側図で示す補正後の受振波周波数スペクトルの最大ピーク値とは共に8.
4であって一致しており、最大ピーク値周波数(固有振動周波数)、ピーク本数も実質的
に一致している。
数スペクトルのピーク本数等の欠陥情報が実質的に殆ど変わず、受振波の波高値が実質的
に異なるだけであり、その差異の比は健全管体でのそれに実質的に等しく、従って、健全
管体について管内水量と受振波波高値との関係を求めておけば、水量が存在する欠陥管体
の受振波の周波数スペクトルのスペクト強度を補正して基準水量(通常0%水量)での周
波数スペクトルを求め得る。
この理由は、前記した補正係数、すなわち、(水位x%での試料の受振波周波数スペク
トルの積分値)/(水位0%での試料の受振波周波数スペクトルの積分値)の比が、(水
位x%での受振波のエネルギー)と(水位0%での受振波のエネルギー)との比であり、
弾性波出力のエネモルギーが管内水位に比例して管内水に放出され、この放出分だけ受振
波のエネルギーが小さくなることによると推定される。
図16に示すフローに従って進めることができる。
まず、埋設管路の各管体に対し、検査ロボットに前記した傾斜計の外、水位計を取り付
け、管内に水量を存在させたままで前記検査ロボットを使用して衝撃弾性波試験を行い、
振動センサーが受振する入力弾性波をパソコンに保存し、高速フーリエ変換ソフトにより
その入力弾性波をフーリエ変換して周波数スペクトルの伝達関数を求める。埋設深さH(
m)を測定し、また管内水位x(%)を測定して、前記の式2及び式3により補正係数を
算出し、埋設深さに対する補正及び管内水位による補正を行い、補正された周波数スペク
トルの伝達関数を求める。
この補正した周波数スペクトルの伝達関数を解析し、最大ピークのスペクトル強度値4
0%以上のピーク本数を求め、ピーク本数が2本以下であれば、軸方向クラック在りと診
断し、ピーク本数が3本以上であれば、最大ピークの強度値を解析し、予め求めておいた
健全管体の周波数スペクトル伝達関数と比較して最大ピークの強度値が顕著に減少してい
るものでは周方向クラック在りと診断し、最大ピークの強度値の減少程度が小さなもので
は管厚み減少と診断することができる。
B 振動センサー
1 検査ロボット
p 管体
6 傾斜計
Claims (1)
- 埋設管の所定の内面箇所に弾性波を入力し、その入力箇所から所定の間隔を隔てた管内面箇所で伝播弾性波を受振し、この受振波の周波数スペクトルの強度値を、一定の圧縮状態を基準として健全管体について予め求めておいた管埋設深さに対する補正係数で補正してその受振波の基準埋設深さに対する周波数スペクトルを求め、この周波数スペクトルを解析して埋設管の劣化診断を行うことを特徴とする埋設管の検査方法。
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JP2005345116A JP2005345116A (ja) | 2005-12-15 |
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-
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