JP4412472B2 - 平膜エレメントの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は平膜エレメントの製造方法に係り、特に膜シートを支持板上に接合して形成され、被処理水を浸漬した状態で濾過するための平膜エレメントを製造する製造方法に関する。
従来、被処理水中に浸漬設置され、被処理水を膜シートで濾過する平膜エレメントは、膜シートの周縁部を支持板上に接合することにより形成される。排水処理に使用される平膜エレメントの濾過性能としては、SS濃度が0.4mg/L以下(以後、SS検出限界以下と記す)であり、大腸菌不検出である濾過水を得られることが要求される。この平膜エレメントの濾過性能は、膜シート自体の濾過性能の他に、膜シートと支持板との接合部における密着性が大きく影響する。
従来、平膜エレメントの製造において、膜シートを支持板に接合する方法としては、特許文献1で開示されているように、接着剤を用いる方法が多く採用される。これにより、安価かつ簡易に膜シートを支持板に接合することができる。
また、特許文献2で開示されているように、接合部に対して超音波の照射や局部加熱を行なうことにより、膜シートと支持板の界面を溶融させて溶着させる方法も提案されている。これにより、膜シートを支持板に短時間で接合することができる。
特開平10−128080号公報 特開平7−24271号公報
しかしながら、特許文献1のように接着剤を用いる方法では、接着剤の塗り斑や硬化斑が発生し易いため、膜シートと支持板との接着力に偏りが生じる。この接着力の偏りが生じると、効率のよい固液分離が行なわれなくなる上、平膜エレメントの寿命を低下させる要因となる。また、平膜エレメントは水中に浸漬された状態で使用されるため、長期間水中浸漬されると接着剤が劣化して平膜エレメントがリークする可能性がある。
また、特許文献2の局部加熱を用いた方法では、局部加熱された境目の膜シートの強度が著しく低下するため、使用中に膜シートの接合部が割れるという問題があった。
さらに、特許文献2の超音波の照射を用いた方法は上述した問題を解消できるが、膜シートの接合部よりも広い部分が熱や振動によって変質し、膜シートの濾過機能を低下させるという新たな問題が生じる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、膜シートに対する損傷を最低限に抑えた接合を行なうことができるとともに、SS検出限界以下及び大腸菌不検出の濾過水を得られる平膜エレメントを製造可能な平膜エレメントの製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、固液分離を行なう膜シートと、該膜シートを支持する支持板とを重ね合わせて、互いの接合部にレーザーを照射することにより、前記膜シートを前記支持板に溶着させて平膜エレメントを製造する平膜エレメントの製造方法において、前記膜シートはレーザー透過性を有する材質で構成されるとともに、前記支持板はレーザー吸収性を有する材質で構成され、前記膜シートと前記支持板とを重ね合わせた後、前記膜シートの接合部に対して、前記膜シートの上面から前記支持板方向へ圧力を付与しながら、前記膜シートの接合部に対してレーザー照射し、前記膜シートの周縁部に沿って複数本の溶着部を重ならないように多重に形成し、前記複数本の溶着部のうち内側よりも外側のレーザー照射強度を弱くすることを特徴とする。
本発明において、平膜エレメントを製造する際に、レーザー透過性を有する膜シートとレーザー吸収性を有する支持板とを重ね合わせて、接合部に対して膜シート上方からレーザー照射を行なう。このとき、照射されたレーザー光は膜シートを透過して支持板の界面に吸収されて支持板の界面を溶融し、その熱によって膜シートの界面を溶融させる。そして、レーザー照射を停止すると、支持板の溶融した樹脂と膜シートの溶融した樹脂とが融合した状態で硬化する。これにより、膜シートと支持板とをレーザー照射した箇所で強固に溶着することができる。また、レーザー光は直進性に優れており、照射した箇所のみを局部的に発熱させることが可能であるため、膜シートへの熱影響を最小限に抑制することができる。これにより、溶着時における膜シートの性能や強度の低下を防止することができる。
ところで、膜シートの層を構成する大部分は、濾過機能が要求されることから多孔性を有する低密度の樹脂で構成されているため、熱伝導性が悪く支持体を溶融させた熱が伝わりにくい。したがって、膜シートと支持板とをレーザー溶着させる際に、支持板界面で溶融した樹脂やその熱が膜シートの上面まで到達することは極めて困難である。しかも、そのまま膜シートと支持板とを重ね合わせてレーザー照射を行なったとしても、膜シートを支持板に不安定な状態で支持できない上に、接合部において膜シートの横方向からのリークが発生し易くなる。
そこで、本発明では、接合部である膜シートの上面に対して所定の圧力を付与しながらレーザー照射を行なうようにした。これにより、膜シートの多孔性を有する樹脂が圧縮された状態でレーザー溶着が行なわれるため、支持板界面の溶融した樹脂を膜シートの多孔部分に効果的に入り込ませながら膜シートの上面に到達させることができる。また、溶融した樹脂の熱を圧縮された膜シートの接合部のみに優先的に伝達させることができる。これにより、膜シートを支持板表面に安定した状態で確実に溶着することができるとともに、膜シートにおける横方向からのリークを発生させることを防止できる。
なお、膜シートを圧縮する圧力は、0.5kg/cm2 以上5kg/cm2 以下の範囲で付与されることが好ましい。膜シートを圧縮する圧力が0.5kg/cm2 未満ではレーザー照射により溶融した樹脂が膜シートの多孔部分に十分に入り込まない一方、5kg/cm2 を超えると膜シートが潰れて破損し易くなるためである。これにより、圧力によって膜シートに損傷を与えることを防止できるとともに、レーザー照射によって効率よく溶着を行なうことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のレーザー照射は、照射する幅を1mm以上10mm以下で行なうことを特徴とする。
請求項3によれば、平膜エレメントにおいて、SS検出限界以下及び大腸菌不検出の濾過水を得るためには、膜シートの濾過性能の他に、膜シートと支持板との接合部の密着性、即ち接合部からのリークが大きく影響する。そこで、本願発明者はレーザー溶着幅と密着性との相関を調査したところ、レーザー溶着の幅が1mm以上であれば接合部からのリークを確実に防止できることが判明した。一方、レーザー溶着の幅は大きさに応じてその密着性は向上するが、溶着幅が大きくなると濾過可能な膜シートの面積が減少するという新たな問題が生じる。しかも、溶着強度の面においても、溶着幅が10mmを超えると溶着強度に変化が見られなくなる傾向がある。したがって、レーザー溶着を行なう幅を1mm以上10mm以下の範囲にすることにより接合部からのリークを確実に防止し、SS検出限界以下及び大腸菌不検出の性能を有するとともに、適切な強度及び面積に膜シートを溶着させた平膜エレメントを製造することができる。
本発明によれば、レーザー照射を複数回行い、膜シートの周縁部に沿って複数本の溶着部を重ならないように多重に形成するようにした。これにより、一重の溶着部よりも多重の溶着部の方が溶着面積を低減できるとともに、膜シートと支持体の溶着強度を向上させることができる。また、溶着部を多重に形成することにより、内側の溶着部の断面は直接的に被処理水と接しなくなるので、リークの危険性が大幅に低減する。また、1箇所の接合部が剥がれたとしても他の接合部が溶着しているため、予測できない応力によってリークが圧制することを防止できる。さらに、各溶着部の間には空間が形成されるため、その空間により膜シートの外周方向からのリークを効果的に防止することができる。
本発明によれば、複数本の溶着部のうち内側よりも外側のレーザー照射強度を弱くするようにした。これは、溶着部に一番大きな力が生じるのは、平膜エレメントを被処理水中から引き上げる際に平膜エレメント内の濾過水が平膜エレメント下部に集まり、膜が膨らむ状態の時である。この時、多重に形成された溶着部のうち内側(膜シートの中央に近い側)の溶着部には膜シートと支持体とを引き剥がす方向の力が働くが、外側の溶着部には膜シートと支持体とを引き剥がす方向の力は殆ど働かない。したがって、レーザー照射による膜シートへの負担を軽減するには、多重に形成された溶着部のうち内側よりも外側のレーザー照射強度を弱くすることが好ましい。これにより、接合部の強度を保持しつつレーザー溶着における膜シートへの損傷を低減することができる。
以上説明したように本発明に係る平膜エレメントの製造方法によれば、膜シートを圧縮しながらレーザー照射を行なうため、溶融した樹脂の熱を膜シートの上方へ効率よく伝達できるとともに溶融した樹脂を膜シートの上面まで浸透させることができるので、膜シートを支持板に強固に溶着できる。また、膜シートの周縁部に沿って複数本の溶着部を重ならないように多重に形成することにより、膜シートと支持板との接合部の密着性を向上できるとともに溶着に要する面積を低減できる。これにより、SS検出限界以下及び大腸菌不検出の濾過水を得ることができるので、平膜エレメントの信頼性を高めることができるとともに膜寿命も長くできる。
以下添付図面に従って本発明に係る平膜エレメントの製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明の平膜エレメントの製造方法を好適に用いた平膜エレメント製造ライン10を示したブロック図である。また、図2はレーザー溶着工程を説明するとともに平膜エレメント20の層構成を説明する断面図である。
平膜エレメント20は、主に濾過を行なうための膜シート22と、膜シート22を支持する支持板24と、から構成される。したがって、平膜エレメント製造ライン10では、膜シート製造工程12で製造された膜シート22と、支持板製造工程14で製造された支持板24とを重ね合わせて、レーザー溶着工程18で接合部に対して膜シート22側からレーザーを照射することにより、膜シート22を支持板24に高い密着性で溶着させた平膜エレメント20が製品化される。
膜シート製造工程12では、上から順にスキン層22aと、含浸層22bと、支持層22cとから構成されるシートを所定の大きさに裁断することにより膜シート22が製造される。スキン層22aは、高い固液分離能を備え、かつ耐久性及び強度の高い材質が使用され、例えばポレオレフィン等有機高分子が使用される。支持層22cは、膜シート22全体を支持できる強度を有する材質であることが好ましく、例えばポリエチレン等が用いられる。含浸層22bは、支持層22cの中にスキン層22aを構成する材質が入り込んだ状態で形成される。なお、膜シート22は、スキン層22a、含浸層22b、及び支持層22cの3層で構成されたもので説明したが、特に限定するものではなく、スキン層22a及び含浸層22bの2層で構成されたものを用いてもよい。また、膜シート22に使用される材質は、レーザー透過性を有していることが好ましい。
支持板製造工程14では、膜シート22を透過した濾過水が集水され易い構造に矩体状の板材を成型することにより、支持板が24製造される。支持板24に使用される材質としては、レーザー吸収性を有し、かつ軽量で高強度を有する熱可塑性樹脂が好ましく、例えばABS樹脂等が使用される。したがって、支持板24の製造方法としては、製品精度のばらつきが少なく生産性に優れた射出成型法を採用することが好ましい。
レーザー溶着工程18では、製造された膜シート22と支持板24を重ね合わせて、溶着する箇所に対して膜シート22の上方からレーザー光26aを所定の時間照射する。レーザー照射は、膜シート22の外周に沿って2箇所に重ならないように行なわれ、外側の接合部よりも内側の接合部の方が溶着強度を強くするように、レーザー光26aの照射幅をコントロールするか、照射出力及び照射速度の調整を行なう。
図2に示す如く、レーザー溶着工程18において、膜シート22が支持板24上に重ね合わせた状態で設置される。膜シート22の上方には、レーザー照射装置26が設置される。レーザー照射装置26は、例えば半導体製造用の装置を使用することが好ましい。レーザー光26aの出力は、膜シート22を透過するとともに支持板24に吸収される出力であることが好ましく、例えば半導体製造用の装置であれば25Wに設定される。また、照射速度は中間材28にレーザー光26aを効率よく吸収させることができるとともに、照射した箇所以外に対して影響を与えない速度であることが好ましく、例えば半導体製造用の装置であれば30mm/sに設定される。なお、レーザー照射を走行しながら行なうようにすれば、省スペースかつ短時間で効率よくレーザー照射が可能となる。
また、膜シート22とレーザー照射装置26との間には、押圧板28が設けられる。押圧板28は、膜シート22の上面からレーザー光26aが照射される箇所に対して所定の圧力を付与する。押圧板28の材質としては、レーザー照射装置26から照射されるレーザー光26aを透過可能で剛性を有するものが好ましく、例えばアクリルが使用される。なお、押圧板28からの圧力は、0.5kg/cm2 以上5kg/cm2 以下の範囲であることが好ましい。
したがって、レーザー溶着工程18において、支持板24上に設置された膜シート22は、押圧板28によって押え付けられた状態でレーザー照射装置26からレーザー光26aが所定の時間照射される。これにより、膜シート22が支持板24上に溶着されて、平膜エレメント20が形成されて製品化される。
図3は、製品化された平膜エレメント20の正面図である。
同図の如く、平膜エレメント20において、膜シート22は、膜シート22の外周に沿って形成された2本の溶着部30a,30bによって支持板24の表面上に接合されている。外側の溶着部30aは、内側の溶着部30bよりも溶着幅が狭く形成されている。各溶着部30a,30bの幅は、1mm以上10mm以下であることが好ましい。
次に、上記の如く構成される平膜エレメント製造ライン10を用いて、本発明の平膜エレメントの製造方法における作用について説明する。
レーザー溶着法は、比較的狭い溶着面積に対して強度及び密着性の高い溶着を行なうことができる上、接合部以外の部分に対する溶融や変形を低減できる特徴を有している。このため、平膜エレメント20を製造する際に膜シート22を支持板24に接合する場合には、高い強度や密着性を備えつつ接合部の面積を最小限に抑えるとともに、接合処理による損傷を少なくする必要がある。したがって、レーザー溶着法が適切な方法であるといえる。
しかしながら、膜シート22は透水性を有するために少なくとも一層が多孔性で構成されている一方、支持板24はその高強度性を備えさせるために高密度の樹脂が使用されている。レーザー溶着法における溶着は、レーザー吸収性を有する樹脂部材がレーザー光を吸収して発熱することによって行なわれるため、構成の異なる樹脂部材同士を強固に溶着させることは極めて難しい。
図4は、レーザー溶着工程18で圧力を付与しない状態でレーザー照射を行なった平膜エレメント20の断面図である。
同図の如く、膜シート22と支持板24とを重ね合わせて、そのままレーザー照射装置26によりレーザー光26aが膜シート22上方から照射を行なうと、支持板24の界面上で溶融した樹脂の熱で膜シート22の支持層22cを溶融させることができるが、多孔性を有する含浸層22bは溶融した樹脂の熱を分散してしまう。このため、含浸層22bを上方向に完全に溶融させることは困難である。その上、含浸層22bに溶融した樹脂を浸透させてスキン層22aまで到達させることはできない。したがって、膜シート22と支持板24とは、レーザー溶着法により支持板24の界面上の溶融した樹脂が膜シート22の溶融した支持層22cと混合して硬化するが、膜シート22の大部分を構成するスキン層22a及び含浸層22bは、材質や密度が異なるため極めて不安定な状態で固定される。また、膜シート22を溶着させた箇所では含浸層22bの横方向が遮蔽されていないため、平膜エレメント20を浸漬させて濾過を行なう際に、膜シート22の接合部において横方向からリークが発生する可能性がある。
ところで、従来の平膜エレメント20では、濾過処理時に膜シート22と支持板24とが密着することを防止して、平膜エレメント20内における濾過水の流路を形成させるために、膜シート22と支持板24との間に透水性を有する不織布で構成されたスペーサーを介在させる場合がある。この平膜エレメント20をレーザー溶着法で製造する場合、膜シート22と支持板24との間にスペーサーを介在させた状態で溶着を行なわなければならない。したがって、スペーサーの介在により支持板24の界面と膜シート22のスキン層22a上面までの距離が更に増えるため、膜シート22と支持板24との接合部における密着性が更に低下する。
そこで、本発明では、図2のように、レーザー溶着工程18において、押圧板28で膜シート22の表面に対して圧力を付与しながらレーザー照射装置26からレーザー光26aを照射するようにした。したがって、レーザー照射装置26からレーザー光26aが照射されると、レーザー光26aは膜シート22を透過して支持板24に吸収され、支持板24の界面の樹脂を溶融させる。支持板24の溶融した樹脂は、その熱によって膜シート22の界面である支持層22cを溶融させる。このとき、膜シート22において、レーザー光26aが照射された箇所の含浸層22bは押圧板28によって圧縮された状態である。このため、支持板24溶融した樹脂の熱を膜シート22の上方まで垂直に伝達させることができるとともに、支持板24の溶融した樹脂と膜シート22の溶融した樹脂とを混合した状態でスキン層22aまで到達させることができる。これにより、溶融した樹脂を膜シート22の多孔部分に効果的に入り込ませることができるので、膜シート22を支持板24の表面上にレーザー照射した範囲内で強固に溶着させることができるとともに、膜シート22の溶着した箇所は硬化した樹脂によって含浸層22bが遮蔽されているため、膜シート22における横方向からのリークの発生を防止することができる。また、押圧板28が押圧する圧力を0.5kg/cm2 以上5kg/cm2 以下の範囲に設定することにより、溶融した樹脂をスキン層22aまで浸透できる厚さに含浸層22bを圧縮できるとともに、押圧による膜シート22の損傷を防止できる。
こうして製品化された平膜エレメント20を排水処理に利用する場合、平膜エレメントの濾過能力として濾過水がSS検出限界以下(SS濃度0.4mg/L未満)であるとともに大腸菌不検出であることが要求される。平膜エレメント20の濾過能力については、膜シート22の濾過性能もさることながら、膜シート22と支持板24との密着性も非常に重要な要素となる。
そこで、本願発明者は、本発明の平膜エレメントの製造方法で溶着させた各溶着幅の平膜エレメント20,20…を用いて排水処理を行い、得られた濾過水中のSS濃度及び大腸菌数を調査したところ、表1で示した結果となった。
表1は、各溶着幅に対する濾過水中のSS濃度及び大腸菌の相関を示した表である。
Figure 0004412472
表1によると、濾過水中のSS濃度は溶着幅が0.25〜1.5mmの範囲全てで検出限界値よりも下回ったが、濾過水中の大腸菌は溶着幅が1mm以上であるときに不検出となった。
図5は、本発明の平膜エレメントの製造方法で溶着させた各溶着幅に対する接合部の引張り強度を示したグラフである。
図5のグラフによると、接合部の引張り強度は溶着幅に応じて高くなるが、溶着幅が10mmを超えると引張り強度の変化が見られなくなった。したがって、溶着幅が10mmを超えても溶着強度を向上させることができない上に、平膜エレメント20で膜処理を行なう面積を縮小させる。
これらのことから、膜シート22と支持板24との溶着幅、すなわちレーザーの照射幅を1mm以上10mm以下に設定することにより、SS検出限界以下及び大腸菌不検出の濾過性能を備えさせることができるとともに、溶着強度や溶着面積の面で優れた平膜エレメント20を製造することができる。
また、レーザー溶着工程18では、膜シート22の外周に沿って重ならない位置にレーザー照射が行なわれる。このため、膜シート22は外側の溶着部30aと内側の溶着部30bの2箇所で支持板24に溶着される。これにより、1箇所のレーザー照射で溶着させた場合と同じ溶着強度を少ない溶着幅で得ることができるので、溶着に要する面積を低減することができる。その上、何らかの応力でどちらか一方の溶着部30a,30bが剥離しても、もう一方の溶着部30b,30aにより膜シート22と支持板24とは溶着されているため、応力に対する耐久性を向上させることができる。しかも、図6に示すように互いに重ならないように溶着が行なわれているため、外側の溶着部30aと内側の溶着部30bとの間に膜処理を行なう箇所とは別の膜処理された空間32を形成することができる。したがって、濾過処理時の平膜エレメント20では、膜シート22の外側横方向からの被処理水は必ず空間32を介して膜処理が行なわれるため、各溶着部30a,30bにおけるリークの発生を効果的に防止することができる。
また、レーザー光26aを内側の接合部よりも外側の接合部に対して弱く照射する、すなわち外側の溶着部30aよりも内側の溶着部30bを広く形成させることにより、平膜エレメント20を被処理水中から引き上げる際にも、膜シート22と支持体24とが引き剥がれないようにでき、且つレーザー照射による膜シート22への負担を軽減することができる。
なお、上述した平膜エレメント製造ライン10において、各部材及び装置の個数、形状、材質などは特に限定するものではない。
レーザー溶着工程18では、レーザーの照射を2回に分けて行なったが、特に限定するものではない。内側と外側を同時に照射可能にすれば、レーザー照射に要する時間を大幅に短縮することができる。
また、レーザー溶着工程18において、外側と内側の溶着部30a,30bに対する照射はレーザー光26aの照射幅を変えて行っていたが、特に限定するものではない。各溶着部30a,30bの幅が所定の範囲を満たしていれば照射出力や照射速度を変えて行なってもよい。
平膜エレメント製造ライン10において、製造される平膜エレメント20の濾過方法に関して特に限定はない。吸引ポンプによって支持板24を吸引力して濾過する平膜エレメントや、サイフォン式に吸引濾過する平膜エレメント、重力によって平膜エレメントの膜面を加圧して濾過する平膜エレメントを製造する際にも、本発明の平膜エレメントの製造方法を好適に用いることができる。
本発明のレーザー溶着方法を好適に用いた平膜エレメント製造ラインを示したブロック図 平膜エレメント製造ラインのレーザー溶着工程における平膜エレメントの一部を示した断面図 本発明のレーザー溶着方法を好適に用いた平膜エレメント製造ラインで製品化された平膜エレメントの正面図 平膜エレメント製造ラインのレーザー溶着工程において、膜シートを押圧しない状態でレーザー照射を行なった状態を示した断面図 レーザー溶着の溶着幅に対する接合部の引張り強度を示したグラフ 本発明の平膜エレメントの製造方法で製造された平膜エレメントの使用時の状態を示した断面図
符号の説明
10…平膜エレメント製造ライン、12…膜シート製造工程、14…支持板製造工程、16…膜シート前処理工程、18…レーザー溶着工程、20…平膜エレメント、22…膜シート、22a…スキン層、22b…含浸層、22c…支持層、22d…前処理部、24…支持板、26…レーザー照射装置、26a…レーザー光、28…押圧板、30a…外側の溶着部、30b…内側の溶着部、32…空間

Claims (4)

  1. 固液分離を行なう膜シートと、該膜シートを支持する支持板とを重ね合わせて、互いの接合部にレーザーを照射することにより、前記膜シートを前記支持板に溶着させて平膜エレメントを製造する平膜エレメントの製造方法において、
    前記膜シートはレーザー透過性を有する材質で構成されるとともに、前記支持板はレーザー吸収性を有する材質で構成され、
    前記膜シートと前記支持板とを重ね合わせた後、前記膜シートの接合部に対して、前記膜シートの上面から前記支持板方向へ圧力を付与しながら、前記膜シートの接合部に対してレーザー照射し、前記膜シートの周縁部に沿って複数本の溶着部を重ならないように多重に形成し、前記複数本の溶着部のうち内側よりも外側のレーザー照射強度を弱くすることを特徴とする平膜エレメントの製造方法。
  2. 前記圧力は、0.5kg/cm以上5kg/cm以下の範囲で付与されることを特徴とする請求項1に記載の平膜エレメントの製造方法。
  3. 前記レーザー照射は、照射する幅を1mm以上10mm以下で行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の平膜エレメントの製造方法。
  4. 前記膜シートは多孔性の樹脂で構成され、レーザー照射により前記接合部の前記膜シート及び前記支持体の界面を溶融し、溶融した樹脂を前記膜シートの多孔部分に浸透させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の平膜エレメントの製造方法。
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