JP4411852B2 - インクジェットインク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規のインクジェットインク及びそれを用いたインクジェット記録方法に関し、詳しくは、インク出射性が良好で、形成した画像の耐擦過性、光沢性(写像性、光沢感)に優れた活性光線硬化型のインクセット及びそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式が、簡便で安価に画像を形成できる観点から、写真用途や、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な分野に広く応用されてきている。特に、騒音が少なく、高速記録が可能で、微細なドットを出射、制御するインクジェット記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインクと、インクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させたインクジェット専用紙との組み合わせにより、更に、インクジェット記録装置のノズルを複数配置することにより、カラー化が容易なことから、文字印刷から写真用途に近いカラー画像作成まで、広く使われるようになった。
【0003】
しかしながら、専用紙を必要とする一般のインクジェット記録方法おいては、それに使用できるインクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう)が制限されることやインクジェット記録媒体のコスト等の課題を抱えている。すなわち、このインクジェット記録方法は、インクを被記録媒体上に出射及び浸透させて定着することから、インクを吸収しない被記録媒体、例えば、高分子樹脂フィルム、陶器、ガラス基板上では、印字したインクを定着できないという欠点があった。この欠点を改善するために、パラフィンワックスなどを加熱融解したインクを用いて、画像形成した後に自然冷却による固体化で定着するホットメルトインクジェット方式、インクに揮発性有機溶媒を用いて画像形成後蒸発させて定着するソルベントインクジェット方式、インクに光硬化性樹脂を含有させて、画像を形成した後に発生光線を照射して、硬化、定着する活性光線硬化型インクジェット方式、反応性物質を含有するインクと反応性物質とを反応させて定着する反応性インクジェット方式など、様々な方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、ホットメルトインクジェット方式では、インクにワックスを使用していることから、被記録媒体と形成した画像との接着強度が弱く、擦過性に劣るという欠点を有している。一方、ソルベントインクジェット方式は、定着性に優れた画像が得られるが、用いる揮発性有機溶媒は臭気が強く、かつ危険物、劇物に指定されているものが多く、環境面からも使用に制限を受ける様になっている。また、陶器のようなインクを全く吸収しない被記録媒体上に記録する場合には、規定の時間内での高速乾燥が求められるなどインクジェット記録装置の設計に対する負荷も高くなる欠点がある。
【0005】
一方、反応性インクを用いたインクジェット方式では、ソルベントインクジェット方式に比べると、比較的低臭気であり、加えて硬化速度がはやく、また陶器などの非インク吸収性の記録媒体にも画像記録できるなど、使用する被記録媒体の種類の制限を受けない等の利点は有しているものの、通常のインクの他に、定着用の特殊なインクを必要とし、それに用いられる反応性物質の多くは、水分などにより保存時に分解する問題や、皮膚刺激性、皮膚感作性等の安全上の課題を抱えている。
【0006】
上記の各インクジェット方式に対し、活性光線硬化型インクを用いたインクジェット方式では、硬化手段が活性光線を照射するだけであり、非接触、短時間でインクの硬化が効率的にできる利点がある。活性光線硬化型インクとしては、実質的に溶媒を含有しない無溶剤タイプと、有機溶剤等を含有する溶剤含有タイプと、水系タイプとに分類される。
【0007】
無溶剤タイプの活性光線硬化型インクは、活性光線硬化型樹脂をインク溶剤としても用いたもので、被記録媒体上に着弾した直後に硬化させることができ、滲みがない画像を高速で大量に得ることができる。しかし、被記録媒体に吐出させたインク組成物の全てが残留するため、画像と非画像部で厚み差が生じてしまい、画像部ではざらつき感が生じ、光沢のない画像となるとともに、インク中の活性光線硬化型樹脂の濃度が高いので、インクが付着すると反応性インクと同様に皮膚感作性に懸念を残している。
【0008】
これに対し、溶剤含有タイプは、活性光線硬化型樹脂の含有量が少ないので、画像と非画像部での厚み差が少なくなり、光沢の高い画像が得られる。しかし、非揮発性の溶剤を用いた場合は、多くの溶剤が被記録媒体上に残留することから、形成された画像の膜物性が低下し、耐擦過性も劣化する。上記課題の対応として、揮発性溶剤を使用した場合には、基本的には上述のソルベントインクジェット方式に記載したと同様の問題を抱えることとなる。
【0009】
上記インクに対して、水系の活性光線硬化型インクは、水を主成分に用いるため、最も安全性が高く、また活性光線硬化性樹脂の含有量が少ないため、溶剤含有タイプと同様に高品位の画像が得られる利点を有している。この方法では、水を用いているため乾燥工程を必要とはするが、環境適性にも優れ、銀塩写真のような高い光沢と解像度を有するカラー画像を、インクを吸収しない被記録媒体上に得る方法としては最適な方法であるといわれている。この水系の活性光線硬化型インクに関しては、数多くの提案がなされている(例えば、特許文献1〜5参照。)。また、粒子径が3μm以下でかつ有機溶剤に不溶性の紫外線透過性樹脂粒子を含有し、光反応開始剤としてアシルフォスフィンオキサイド化合物を配合したインクで、貯蔵安定性、再分散性を改良したインクジェット記録用紫外線硬化型着色インク組成物が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0010】
また、水性媒体中に、光硬化可能な非水溶性粘性マクロマーがエマルジョン状態で含有されたインクが提案されており(例えば、特許文献7参照。)、また、水性媒体中に、エマルジョン状態で分散し、光硬化可能な非水溶性粘性マクロマーと、重合性の水溶性モノマーとを含有したインクが提案されている(例えば、特許文献8参照。)。いずれの開示されている方法は、ノズルにおける微粒化が容易で、爆発などの危険がなく、耐水性、耐候性、被印刷物への密着性を改良したインクジェット印刷用インクを提供するものである。
【0011】
しかしながら、これら提案されている方法の多くは、形成する画像の保存安定性にのみに着目したものであり、得られる画像としては必ずしも高画質であるとは言い難いのが現状である。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−224241号公報 (特許請求の範囲)
【0013】
【特許文献2】
特開平8−48922号公報 (特許請求の範囲)
【0014】
【特許文献3】
特開平10−219158号公報 (特許請求の範囲)
【0015】
【特許文献4】
特開2000−186242号公報 (特許請求の範囲)
【0016】
【特許文献5】
特開2000−187918号公報 (特許請求の範囲)
【0017】
【特許文献6】
特開平3−58868号公報 (特許請求の範囲)
【0018】
【特許文献7】
特開平8−48922号公報 (特許請求の範囲)
【0019】
【特許文献8】
特開平10−219158号公報 (特許請求の範囲)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インク出射性が良好で、形成した画像の耐擦過性、光沢性(写像性、光沢感)に優れた活性光線硬化型のインクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0022】
1.水、顔料及び光硬化性モノマーまたはオリゴマーを含有するインクジェットインクにおいて、含有される粒子のD50の粒径をXnm、下式(1)で表される粒径分布をYとしたとき、下式(2)及び(3)で表される関係を同時に満たし、該光硬化性モノマーまたはオリゴマーが、3つ以上の光官能基を有する光硬化性モノマーまたはオリゴマーを20質量%以上含有し、かつ顔料のゼータ電位の絶対値が20mV以上であることを特徴とするインクジェットインク。
【0023】
式(1)
Y=(D90−D10)/D50
〔式中、D90、D50、D10は、それぞれ分布関数dG=F(D)×dD(Gは粒子数、Dは粒径)の積分が、全粒子数の0.9(90個数%)、0.5(50個数%)及び0.1(10個数%)に等しい粒径を表す。〕
式(2)
10nm<X(D50)<300nm
式(3)
10X−0.7<Y<40X−0.7
2.前記光硬化性モノマーまたはオリゴマーの単官能モノマーの含有量が、0質量%以上、0.1質量以下であることを特徴とする前記1項記載のインクジェットインク。
【0024】
3.前記3つ以上の光官能基を有する光硬化性モノマーまたはオリゴマーの分子量が、300以上、30,000以下であることを特徴とする前記1または2項に記載のインクジェットインク。
【0025】
4.25℃における粘度が、8〜50mPa・sであることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
【0028】
5.前記1〜4項のいずれか1項に記載のインクジェットインクを用いて、インクジェット記録媒体上に画像を形成した後、該画像に活性光線を照射することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0029】
6.画像記録密度が、700dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)以上であることを特徴とする前記5項記載のインクジェット記録方法。
【0030】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、水、顔料及び光硬化性モノマーまたはオリゴマーを含有するインクジェットインクにおいて、含有される粒子のD50の粒径をXnm、前式(1)で表される粒径分布をYとしたとき、前式(2)及び(3)で表される関係を同時に満たし、該光硬化性モノマーまたはオリゴマーが、3つ以上の光官能基を有する光硬化性モノマーまたはオリゴマーを20質量%以上含有し、かつ顔料のゼータ電位の絶対値が20mV以上であるインクジェットインクにより、インク出射性が良好で、形成した画像の耐擦過性、光沢性(写像性、光沢感)に優れた活性光線硬化型のインクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0031】
更に、上記構成からなるインクジェットインクにおいては、光硬化性モノマーまたはオリゴマーの単官能モノマーの含有量が、0質量%以上、0.1質量以下であること、3つ以上の光官能基を有する光硬化性モノマーまたはオリゴマーの分子量が、300以上、30,000以下であること、25℃における粘度が、8〜50mPa・sであること、により、上記の本発明の目的とする効果がより一層発揮されることを見出したものである。
【0032】
上記で規定した構成とすることにより、本発明の目的効果が実現できる詳細な理由に関しては、未だ明確にはなっていないが、3つ以上の光官能基を有する光硬化性モノマーまたはオリゴマーを所定量含有させ、更に、インク中に存在する粒子の粒径分布を特定の条件とすることにより、インク液滴を記録ヘッドより出射させる際に、比較的大きな粒子の間隙を相対的に小さな粒子が充填され、インク液滴としての局部的な粘度上昇を起こしにくくなり、その結果、安定した出射を行えるものと推測している。また、加えて、3つ以上の光官能基を有する光硬化性モノマーの含有比率を高めることにより、低い照射エネルギーでも効率的に硬化を行うことができることにより、平坦で耐擦過性が改良され、光沢性に優れた画像が得られたものと推測している。
【0033】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクジェットインクは、少なくとも水、顔料及び光硬化性モノマーまたはオリゴマーを含有し、インクジェット記録媒体上に吐出した後、印字画像に活性光線を照射して硬化させて画像形成する活性光線硬化型のインクである。
【0034】
本発明のインクジェットインク(以下、本発明のインクともいう)では、少なくとも水、色材及び顔料及び光硬化性モノマーまたはオリゴマーから構成されていることが特徴である。
【0035】
はじめに、活性光線により硬化する光重合性化合物を構成する光硬化性モノマーまたはオリゴマーについて説明する。
【0036】
本発明のインクで用いられる光硬化性モノマーまたはオリゴマーは、全光硬化性モノマーまたはオリゴマー量に対して、3つ以上の光官能基を有する光硬化性モノマーまたはオリゴマーを20質量%以上含有していることが特徴であり、アクリロイル、メタクリロイル基を有する化合物等、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも一つ以上を有する化合物を含有するのが好ましい。
【0037】
又、これらは、いずれも常温、常圧で液体ないし固体のモノマー、オリゴマーないしポリマーの化学形態を持つものである。このようなラジカル重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸およびそれらの塩、エステル、ウレタン、酸アミドや酸無水物があげられ、さらには、アクリロニトリル、スチレン誘導体、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタン等があげられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
以下に、本発明において好ましく用いられるラジカル重合性化合物の具体例を列挙するが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0039】
《アクリレート類の化合物例》
(単官能アルキルアクリレート類の例)
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート。
【0040】
(単官能含ヒドロキシアクリレート類の例)
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート。
【0041】
(単官能含ハロゲンアクリレート類の例)
2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,6−ジブロモ−4−ブチルフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノール3EO付加アクリレート。
【0042】
(単官能含エーテル基アクリレート類の例)
2−メトキシエチルアクリレート、1,3−ブチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、クレジルポリエチレングリコールアクリレート、p−ノニルフェノキシエチルアクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、グリシジルアクリレート。
【0043】
(単官能含カルボキシルアクリレート類の例)
β−カルボキシエチルアクリレート、こはく酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート。
【0044】
(その他の単官能アクリレート類の例)
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、モルホリノエチルアクリレート、トリメチルシロキシエチルアクリレート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性−2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート。
【0045】
(二官能アクリレート類の例)
1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート、ポリエチレングリコール#300ジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールPO(プロピレンオキサイド)変性ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールビス(2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル)エーテル、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノベンゾエート、ビスフェノールAジアクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールAジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、水素化ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジアクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、PO変性ビスフェノールFジアクリレート、EO変性テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート。
【0046】
(三官能アクリレート類の例)
グリセリンPO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε−カプロラクトン変性トリアクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレートトリプロピオネート。
【0047】
(四官能以上のアクリレート類の例)
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルテトラアクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)ホスフェート。
【0048】
《メタクリレート類の化合物例》
(単官能アルキルメタクリレート類の例)
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート。
【0049】
(単官能含ヒドロキシメタクリレート類の例)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート。
【0050】
(単官能含ハロゲンメタクリレート類の例)
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1H−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、2,6−ジブロモ−4−ブチルフェニルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェノール3EO付加メタクリレート。
【0051】
(単官能含エーテル基メタクリレート類の例)
2−メトキシエチルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシトリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、クレジルポリエチレングリコールメタクリレート、p−ノニルフェノキシエチルメタクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、グリシジルメタクリレート。
【0052】
(単官能含カルボキシルメタクリレート類の例)
β−カルボキシエチルメタクリレート、こはく酸モノメタクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−メタクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−メタクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−メタクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート。
【0053】
(その他の単官能メタクリレート類の例)
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、トリメチルシロキシエチルメタクリレート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性−2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート。
【0054】
(2官能メタクリレート類の例)
1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#300ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールビス(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)エーテル、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジメタクリレートモノベンゾエート、ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、PO変性ビスフェノールAジメタクリレート、水素化ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジメタクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、EO変性ビスフェノールFジメタクリレート、PO変性ビスフェノールFジメタクリレート、EO変性テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジメタクリレート。
【0055】
(三官能メタクリレート類の例)
グリセリンPO変性トリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリメタクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε−カプロラクトン変性トリメタクリレート、1,3,5−トリメタクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレートトリプロピオネート。
【0056】
(4官能以上のメタクリレート類の例)
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、オリゴエステルテトラメタクリレート、トリス(メタクリロイルオキシ)ホスフェート。
【0057】
《アリレート類の化合物例》
アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、イソシアヌル酸トリアリレート。
【0058】
《酸アミド類の化合物例》
アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン。
【0059】
《スチレン類の化合物例》
スチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシカルボニルスチレン、p−t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン。
【0060】
《他のビニル化合物の化合物例》
酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等。
【0061】
上記の各光硬化性モノマーまたはオリゴマーにおいて、分子量としては、300以上、30,000以下であることが好ましい。
【0062】
また、上記列挙した化合物の他に、下記の水溶性光硬化性モノマー、オリゴマーも好ましく用いることができる。
【0063】
本発明で用いることのできる水溶性光硬化性モノマー、オリゴマーは、光硬化性を与えるために、ラジカル重合性のエチレン系不飽和基やエポキシ基等の基を有している。本発明に用いることができる水溶性光硬化性モノマー及びオリゴマーの具体例としては、以下のものを挙げることができるが、重量平均分子量が1,000以上、50,000以下である水溶性光硬化性モノマー及びオリゴマーであればそれらに限定されるものではない。
【0064】
(1)重量平均分子量が1,000以上、50,000以下の(メタ)アクリレート基を有するポリウレタンオリゴマーの内、重量平均分子量が1,000以上、50,000のもので、例えば、共栄化学社製UA−R1、新中村化学工業製UAー7200、同UA−W2Aを挙げることができる。
【0065】
(2)重量平均分子量が1,000以上、50,000以下の(メタ)アクリレート基を有するポリエステルオリゴマーで、例えば、東亜合成化学製TO−1321、同TO−1343を挙げることができる。
【0066】
更に、本発明に係る光硬化性モノマーまたはオリゴマーでは、実質的にインク中でエマルジョン状態で存在しているものが好ましい態様の1つであり、上記の対象となる各重合性化合物に加えて、以下のモノマー例及び商品例を挙げることができる。
【0067】
3官能以上のモノマー;ペンタエリスルトールテトラアクリレート(商品名:東亞合成社製 M−450)、ポリエステルアクリレート(商品名:東亞合成社製 M−81000)、2官能モノマー;ネオペンチルグリコールジアクリレート(商品名:新中村化学社製 NKエステル NPG)、ウレタンアクリレート(商品名:東亞合成社製 M−1210)、ポリエステルアクリレート(商品名:東亞合成社製 M−6200)、単官能モノマー;2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート(商品名:東亞合成社製 M−120)、N−ビニルピロリドン等
また、本発明に係る光硬化性モノマーまたはオリゴマーとして、実質的にインク中に溶解して存在しているものも必要に応じて用いることができ、上記の対象となる各重合性化合物に加えて、以下のモノマー例及び商品例を挙げることができる。
【0068】
3官能以上のモノマー;エトキシ化グリセリントリアクリレート(商品名:新中村化学社製 NKエステル A−GLY−20E)、2官能モノマー;ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(商品名:新中村化学社製 NKエステル A−400)、単官能モノマー;メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート(商品名:新中村化学社製 NKエステル M−90G)
本発明のインクにおいては、本発明に係る光硬化性モノマーまたはオリゴマーの全質量に対し、3つ以上の光官能基を有する光硬化性モノマーまたはオリゴマーを20質量%以上含有していることが特徴であり、好ましくは30〜100質量%であり、更に好ましくは40〜100質量%である。
【0069】
また、本発明のインクにおいては、単官能の光硬化性モノマーまたはオリゴマーの含有量が0〜0.1質量%であることが好ましい。
【0070】
本発明のインクでは、含有される粒子のD50の粒径をXnm、下式(1)で表される粒径分布をYとしたとき、下式(2)及び(3)で表される関係を同時に満たすことが1つの特徴である。
【0071】
式(1)
Y=(D90−D10)/D50
式(2)
10nm<X(D50)<300nm
式(3)
10X-0.7<Y<40X-0.7
本発明において、粒径X及び粒径分布Yに係る粒子とは、インク中に存在する全ての粒子を意味し、例えば、顔料粒子、光重合性化合物粒子等が包含される。
【0072】
上記各式において、D90、D50、D10は、それぞれ分布関数dG=F(D)×dD(Gは粒子数、Dは粒径)の積分が、全粒子数の0.9(90個数%)、0.5(50個数%)及び0.1(10個数%)に等しい粒径を表す。
【0073】
上記関係式を、更に図を用いて説明する。
図1は、粒子の粒径(D)が横座標にプロットされ、与えられた寸法の各粒子の粒子数関数(G)が縦座標にプロットされている座標系において、インクの粒径の分布関数の曲線を実線として示す。さらに、同じ座標系において、10%、50%および90%粒子数関数の点および粒径の関連する点D10、D50およびD90がクロスにより表されている分布関数の積分を破線曲線を示す。
【0074】
また、本発明でいう粒径とは、体積粒径を意味し、例えば、マルバーン社製ゼータサイザー1000HSを用いて求めることができる。
【0075】
本発明のインクにおいて、粒径Xと粒径分布値Yの関係を、上記で規定した条件範囲内とすることにより、画像表面は平滑化されて、かつ耐擦過性、写像性、光沢感に優れた画像が得られるため好ましい。本発明において、粒径X及び粒径分布値Yとの関係を上記で規定した条件とする方法として、特に制限はないが、例えば、顔料粒子の分散条件や分散装置、分散剤の種類や添加量、あるいは分散後にフィルター操作や遠心分離処理により粗大粒子等を取り除く方法、あるいは光重合性化合物の製造条件等を適宜調整することにより達成することができる。
【0076】
本発明のインクでは、上記光重合性化合物を活性光線により重合させるためのラジカル光硬化開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。
【0077】
この様な光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル系;2,2−ジエトキシアセトフエノン、4′−フエノキシ−2,2−ジクロロアセトフエノンなどのアセトフエノン系;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフエノン、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフエノンなどのプロピオフエノン系;1−ヒドロキシシクロヘキシルフエニルケトン、ベンジルジメチルケトン、ベンゾフエノン等;2−エチルアントラキノン、2−クロルアントラキノンなどのアントラキノン系;2−クロルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系;ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウムなどのチタノセン系;特開平3−209477号記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;特開昭59−107344号記載の有機ハロゲン化合物;等の光重合開始剤が挙げられる。これら光重合開始剤は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。
【0078】
また、本発明のインクでは、インクの硬化収縮を抑える目的で、インク中に上記重合性モノマーに加えて3級アミン化合物を含有させることが好ましい。対象となる3級アミン化合物としては、アンモニアの水素原子の3つ全てが、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はアラルキル基で置換された化合物であればなんでもよく、公知のあらゆるものを用いることができる。その具体的例としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N,N−ジメチルフェネチルアミンなどが挙げられるが、この限りでない。
【0079】
更に、本発明においては、インクの硬化収縮を抑える目的で、光重合性3級アミンモノマーを用いることが好ましい。光重合性3級アミンモノマーは上述の重合性モノマーに3級アミノ基がついたものであり、例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピぺリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチレンビスアクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−1−メトキシメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(1,3−ジオキソラン−2−イル)(メタ)アクリルアミド等のアミンモノマーが挙げられるが、この限りでない。
【0080】
次いで、本発明に係る顔料について説明する。
本発明で用いる色剤は、顔料であることが特徴の1つである。
【0081】
本発明で用いる顔料としては、従来公知の有色有機あるいは有色無機顔料を用いることができる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
マゼンタまたはレッド用の顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0083】
オレンジまたはイエロー用の顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー180等が挙げられる。
【0084】
グリーンまたはシアン用の顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0085】
また、ブラック用の顔料として、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。これらの顔料には、必要に応じて顔料分散剤を用いてもよく、用いることのできる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩を挙げることができる。
【0086】
また、本発明のインクでは、自己分散顔料も用いることもできる。本発明でいう自己分散顔料とは、分散剤なしで分散が可能な顔料を指し、特に好ましくは、表面に極性基を有している顔料粒子である。
【0087】
本発明でいう表面に極性基を有する顔料粒子とは、顔料粒子表面に直接極性基で修飾させた顔料、あるいは有機顔料母核を有する有機物で直接に又はジョイントを介して極性基が結合しているもの(以下、顔料誘導体という)をいう。
【0088】
極性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、硼酸基、水酸基が挙げられるが、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基であり、更に好ましくは、スルホン酸基である。
【0089】
本発明において、表面に極性基を有する顔料粒子を得る方法としては、例えば、WO97/48769号公報、特開平10−110129号公報、特開平11−246807号公報、特開平11−57458号公報、同11−189739号公報、特開平11−323232号公報、特開2000−265094公報等に記載の顔料粒子表面を適当な酸化剤でさせることにより、顔料表面の少なくとも一部に、スルホン酸基もしくはその塩といった極性基を導入する方法が挙げられる。具体的には、カーボンブラックを濃硝酸で酸化したり、カラー顔料の場合は、スルフォランやN−メチル−2−ピロリドン中で、スルファミン酸、スルフォン化ピリジン塩、アミド硫酸などで酸化することにより調製することができる。これらの反応で、酸化が進みすぎ、水溶性となってしまった物は除去、精製することにより、顔料分散体を得ることができる。また、酸化によりスルフォン酸基を表面に導入した場合は、酸性基を必要に応じて、塩基性化合物を用いて中和してもよい。
【0090】
そのほかの方法としては、特開平11−49974号公報、特開2000−273383公報、同2000−303014公報等に記載の顔料誘導体をミリングなどの処理で顔料粒子表面に吸着させる方法、特願2000−377068、同2001−1495、同2001−234966に記載の顔料を顔料誘導体と共に溶媒で溶解した後、貧溶媒中で晶析させる方法等を挙げることができ、いずれの方法でも容易に、表面に極性基を有する顔料粒子を得ることができる。
【0091】
本発明においては、極性基は、フリーでも塩の状態でも良いし、あるいはカウンター塩を有していても良い。カウンター塩としては、例えば、無機塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、アンモニウム)、有機塩(トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ピリジニウム、トリエタノールアンモニウム等)が挙げられ、好ましくは1価の価数を有するカウンター塩である。
【0092】
顔料の分散方法としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散機を用いることができる。また、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい。
【0093】
本発明においては、インクに含有されている顔料粒子のゼータ電位の絶対値が20mV以上であることが好ましく、この条件とすることにより、分散安定性が良好で、形成した画像の平滑性に優れたインクを得ることができる。
【0094】
本発明のインクでは、顔料粒子のゼータ電位の絶対値が20mV以上であることを特徴とし、より好ましくは50m〜100mVであり、さらに好ましくは60〜100mVである。
【0095】
本発明において、インク中での顔料粒子のゼータ電位は、例えば、ELS−800(大塚電子(株)製)等を用いて測定できるが、好ましくは個々の顔料粒子についてのゼータ電位測定が可能な顕微鏡電気泳動法を用いることであり、例えば、マイクロテック社のZEECOM ZC−2000を挙げることができ、この装置を用いて、顔料粒子500個以上についてのゼータ電位を測定し、その算術平均値より求めることができる。
【0096】
本発明のインクとして好ましい形態である水系インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。本発明で用いることのできる水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが、特に好ましい。
【0097】
水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
【0098】
本発明のインクに好ましく使用される界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0099】
また、本発明でにおいては、高分子界面活性剤も用いることができ、以下の水溶性樹脂が、吐出安定性の観点から好ましい。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
【0100】
本発明のインクにおいては、ラテックスをインク中に加えてもよい。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル共重合体およびアクリル変性フッ素授脂等のラテックスが挙げられる。ラテックスは、乳化剤を用いてポリマー粒子を分散させたものであっても、また乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては界面活性剤が多く用いられるが、スルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(例えば、可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を用いることも好ましい。
【0101】
また本発明のインクでは、ソープフリーラテックスを用いることも好ましい。ソープフリーラテックスとは、乳化剤を使用していないラテックス、およびスルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(例えば、可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を乳化剤として用いたラテックスのことを指す。
【0102】
近年ラテックスのポリマー粒子として、粒子全体が均一であるポリマー粒子を分散したラテックス以外に、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー粒子を分散したラテックスも存在するが、このタイプのラテックスも好ましく用いることができる。
【0103】
本発明のインクにおいて、ラテックス中のポリマー粒子の平均粒径は10nm以上、300nm以下であり、10nm以上、100nm以下であることがより好ましい。ラテックスの平均粒径が300nmを越えると、画像の光沢感の劣化が起こり、10nm未満であると耐水性、耐擦過性が不十分となる。ラテックス中のポリマー粒子の平均粒子径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。
【0104】
また、本発明のインクでは、水性ポリマーを用いることができる。水性ポリマーの好ましい例としては天然高分子が挙げられ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、若しくはアルブミンなどのたんぱく質類、アラビアゴム、若しくはトラガントゴムなどの天然ゴム類、サボニンなどのグルコシド類、アルギン酸及びアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、若しくはアルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、若しくはエチルヒドロキシルセルロースなどのセルロース誘導体が挙げられる。
【0105】
更に、水性ポリマーの好ましい例として合成高分子が挙げられ、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、及び酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。
【0106】
ポリマーの添加量は、溶解された顔料に対して10質量%以上1,000質量%以下が好ましい。更には、50質量%以上200質量%以下がより好ましい。10質量%未満では顔料粒子の成長及び凝集を抑制する効果が少なくなり、1000質量%を越えると粘度上昇、溶解不良等の問題が発生し易くなる。
【0107】
本発明のインクには、上述した各構成要素に加えて、必要に応じて、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等を挙げることができる。
【0108】
次いで、本発明で用いることのできるインクジェット記録媒体について説明する。
【0109】
本発明に用いられる記録媒体は、アルミニウム、鉄、銅の如き金属、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチック、ガラスの如きセラミックス、木材、紙、印刷紙、繊維などである。
【0110】
本発明の好ましい記録媒体としては、インクが記録媒体に吸収しない非吸収性記録媒体である。
【0111】
本発明においては、記録媒体の基材がインク非吸収性であることが好ましい。ここで「インク非吸収性」とは、紙等の繊維状のものでインクを吸収させたり、フィルム上にインク吸収層として、インクを吸収して膨潤する樹脂を用いたり、フィラーや樹脂粒子を用いて層内に空隙を設けたりしたインク吸収層を持たないことを言う。具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ−p−フェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどのフィルム、ガラス板、アルミニウム、鉄などの金属板が好ましい。又、これらの共重合体やブレンド物、更には架橋したものを用いることもできる。中でも延伸したポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロンが透明性、寸法安定性、剛性、環境負荷、コストの面で好ましい。フィルムの厚みは2〜100μm、好ましくは6〜45μm、更に好ましくは10〜30μmである。
【0112】
次いで、本発明のインクジェット記録方法について説明する。
本発明の記録方法においては、本発明のインクをインクジェット記録方式により記録媒体上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化させる。
【0113】
本発明の記録方法において、インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が、0.1〜20μmであることが好ましい。
【0114】
インクの吐出条件としては、通常用いられているインクジェット記録方式の吐出条件を適用することができ、その条件に特に制限はない。
【0115】
本発明で用いることのできる活性光線の光源としては、波長180〜500nmの紫外線又は可視光線を発生する光源が有効である。例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光が挙げられる。
【0116】
本発明において、紫外線による照射を行う場合、照射量は10〜400mJ/cm2で行うことが好ましい。
【0117】
本発明に係るインクは、水を含む水系インクであるため、上記活性光線照射前あるいは活性光線照射後に、乾燥工程を設けることが好ましい。
【0118】
乾燥方法に関しては、特に制限はなく、公知の乾燥手段を適宜選択して用いることができ、例えば、温度湿度を制御した温風を吹き付ける方法、ヒートプレート上を搬送する方法、内部にヒーターを有する加熱ロール間を通過させる方法等を挙げることができる。
【0119】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0120】
実施例1
《インクの調製》
〔エマルジョン型光重合性化合物を含有する顔料インクの調製〕
(インク1の調製)
〈顔料分散液1の調製〉
C.I.ピグメントブルー15:3の166g、高分子分散剤(スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/n−ブチルアクリレート/スチレンスルホン酸=64/16/15/5)の32g、ジエチレングリコールの180g、イオン交換水の1000gとを混合した後、0.3mmのジルコニアビーズを体積率60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散した。次いで、イオン交換水で、顔料濃度が5質量%になるまで希釈した後、限外ろ過で不純物を除いた。次いで、イオン交換処理を行い、遠心分離で粒径を揃えて、顔料分散液1を調製した。
【0121】
〈光重合化合物分散液1の調製〉
下記の組成からなる光重合性モノマーA(*)の100g、ダロキュアー1173(チバスペシャリティー社製)の3gとを、200gの酢酸エチルに溶解した後、水を1000mlとドデシル硫酸ナトリウムを5g加えて、超音波分散を行った。次いで、得られた光重合化合物分散液をエバポレーターを用いて酢酸エチルを蒸発除去した後、遠心分離と限外ろ過で精製及び粒径分布を調整して、光重合化合物分散液1を調製した。
【0122】
*光重合性モノマーA=単官能モノマー(2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート 商品名:東亞合成社製 M−120):2官能モノマー(ネオペンチルグリコールジアクリレート 商品名:新中村化学社製 NKエステル NPG):3官能以上のモノマー(ペンタエリスルトールテトラアクリレート 商品名:東亞合成社製 M−450)=50:35:15(質量比)
〈インクの調製〉
上記調製した顔料分散液1を固形分量で30g相当、上記調製した光重合化合物分散液1を30g、エチレングリコールを100g、更に粘度調整剤としてグリセリン、表面張力調整剤としてドデシル硫酸ナトリウム、pH調整剤としてアンモニアを適宜添加し、残りを水で1リットルに仕上げて、シアンインクであるインク1を調製した。
【0123】
(インク2〜10の調製)
上記インク1の調製において、光重合化合物分散液の各モノマーの組成、顔料分散液の調製時に行った遠心分離による粒径制御条件、及び各インク調製に用いた粘度調整剤であるグリセリンの添加量を適宜調整して、表1に記載の構成及び粒径特性値を有するインク2〜10を調製した。
【0124】
(インク11の調製:水溶性光重合性モノマーを含有する顔料インク)
下記の組成からなる光重合性モノマーB(*)の30gと、上記顔料分散液1の固形分として30g相当分、イルガキュアー2959(チバスペシャリティー社製)の2g、エチレングリコールの100gと、更に粘度調整剤としてグリセリン、表面張力調整剤としてドデシル硫酸ナトリウム、pH調整剤としてアンモニアを適宜添加し、残りを水で1リットルに仕上げて、シアンインクであるインク11を調製した。
【0125】
*光重合性モノマーB=単官能モノマー(メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート 商品名:新中村化学社製 NKエステル M−90G):2官能モノマー(ポリエチレングリコール#400ジアクリレート 商品名:新中村化学社製 NKエステル A−400):3官能以上のモノマー(エトキシ化グリセリントリアクリレート 商品名:新中村化学社製 NKエステル A−GLY−20E)=10:20:70(質量比)
なお、各インクの25℃における粘度は、山一電気社製のVISCO MATE MODEL DD−1を使用し、また、各インクの平均粒径差及び粒径分布は、マルバーン社製ゼータサイザー1000HSを用いて、また、インク中の顔料粒子のゼータ電位は、大塚電子社製のELS−800を用いて測定した。
【0126】
上記調製したインク1〜11の主な組成及び粒子特性を表1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
《インクジェット画像の形成》
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録装置に、上記調製した各濃淡インクセット及び濃シアンインク1を表1記載の組み合わせで装填し、記録媒体であるポリエチレンテレフタレートフィルム上へ、シアンウェッジ画像を印字した。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなる。ピエゾヘッドは、2pl〜15plのマルチサイズドットを720dpi×720dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。)の解像度で吐出できるよう駆動して、連続吐出した。インク液滴が着弾した後、50℃の温風で乾燥した。次いで、照射光源として水冷Arレーザー光を用い、照射エネルギー100〜120mJ/cm2で照射して硬化を行って、シアン画像1〜11を作成した。
【0129】
また、上記と同様のシアンウェッジ画像をデジタルミニラボQD−21 PLUS(コニカ製)を用い、コニカカラーQAペーパータイプA7上に出力し、規定の現像処理を行って比較用のカラー銀塩写真画像を作成した。
【0130】
《インク及びインクジェット画像の評価》
上記調製したインクと、上記作成した各シアンウェッジ画像の濃度1.0の画像について、下記の各評価を行った。
【0131】
(出射安定性の評価)
上記インクジェット画像の形成条件により、23℃、20%RHの環境下で、A4大のページに1cm×10cmのウェッジチャートを間隔を空けて10個有する画像を連続9枚プリントし、5分間印字を停止した後、10枚目のプリントを行った。10枚目のプリント時のノズルの出射状態と出力した画像を目視観察し、下記の基準に則り吐出安定性の評価を行った。
【0132】
◎:全ノズル共に、出射状態に変化が見られない
○:1、2個数%のノズルで斜め出射が見られるが、インク欠がない
△:インク欠が3〜10個数%のノズルで発生
×:インク欠が10個数%以上のノズルで発生
(耐擦過性の評価)
耐擦過性については、上記で作成した各シアンウェッジ画像の濃度1.0の画像部を、事務用消しゴム(MONO トンボ鉛筆社製)でその表面を5回の往復擦過を行い、20人の一般評価者による残存濃度の目視評価を行い、以下の基準に則り判定した。
【0133】
◎:ほぼ原画像の濃度が残存していると評価した人が16人以上
○:ほぼ原画像の濃度が残存していると評価した人が12〜15人
△:ほぼ原画像の濃度が残存していると評価した人が8〜11人
×:ほぼ原画像の濃度が残存していると評価した人が7人以下
(写像性の評価)
各シアンウェッジ画像の濃度1.0の画像部を、写像性測定器ICM−1DP(スガ試験機械社製)で反射60度、光学くし2mmでC値(%)を測定し、下記の基準に則り写像性(光沢性)の評価を行った。
【0134】
◎:C値%が61以上
○:C値%が60〜51
△:C値%が50〜41
×:C値%が40以下
(光沢感の評価)
上記作成した各ウェッジ画像について、比較用のカラー銀塩写真のシアンウェッジ画像に対する光沢感を目視観察し、下記の基準に従って光沢感の判定を行った。
【0135】
◎:カラー銀塩写真画像と同等以上の光沢を有している
○:ほぼカラー銀塩写真画像に近似の光沢を有している
△:カラー銀塩写真画像の光沢には及ばないが、光沢感あり
×:カラー銀塩写真画像に対し光沢感に乏しい
以上により得られた結果を、表2に示す。
【0136】
【表2】
【0137】
表2より明らかな様に、3つ以上の光官能基を有する光硬化性モノマーまたはオリゴマーを20質量%以上含有し、本発明で規定する粒子分布特性を有し、かつ顔料のゼータ電位の絶対値が20mV以上である本発明のインクは、比較例に対し、出射安定性が良好で、更に形成した画像の耐擦過性、写像性及び光沢感に優れていることが分かる。
【0138】
【発明の効果】
本発明により、インク出射性が良好で、形成した画像の耐擦過性、写像性、光沢感に優れた活性光線硬化型のインクジェットインク及びそれを用いたインクジェット記録方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るD10、D50、D90を表す粒径の分布関数曲線。
【符号の説明】
1 分散液の粒径分布関数
2 粒径の分布関数の積分曲線
3 D90の表示
4 D50の表示
5 D10の表示
6 D90−D10
Claims (6)
- 水、顔料及び光硬化性モノマーまたはオリゴマーを含有するインクジェットインクにおいて、含有される粒子のD50の粒径をXnm、下式(1)で表される粒径分布をYとしたとき、下式(2)及び(3)で表される関係を同時に満たし、該光硬化性モノマーまたはオリゴマーが、3つ以上の光官能基を有する光硬化性モノマーまたはオリゴマーを20質量%以上含有し、かつ顔料のゼータ電位の絶対値が20mV以上であることを特徴とするインクジェットインク。
式(1)
Y=(D90−D10)/D50
〔式中、D90、D50、D10は、それぞれ分布関数dG=F(D)×dD(Gは粒子数、Dは粒径)の積分が、全粒子数の0.9(90個数%)、0.5(50個数%)及び0.1(10個数%)に等しい粒径を表す。〕
式(2)
10nm<X(D50)<300nm
式(3)
10X−0.7<Y<40X−0.7 - 前記光硬化性モノマーまたはオリゴマーの単官能モノマーの含有量が、0質量%以上、0.1質量以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェットインク。
- 前記3つ以上の光官能基を有する光硬化性モノマーまたはオリゴマーの分子量が、300以上、30,000以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットインク。
- 25℃における粘度が、8〜50mPa・sであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインクを用いて、インクジェット記録媒体上に画像を形成した後、該画像に活性光線を照射することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 画像記録密度が、700dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)以上であることを特徴とする請求項5記載のインクジェット記録方法。
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