JP5726594B2 - インク組成物、インクセットおよび画像形成方法 - Google Patents

インク組成物、インクセットおよび画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、インク組成物、インクセット及びこれを用いた画像形成方法に関する。
近年、資源保護、環境保全、作業安定性向上等のニーズの高まりによって塗料ならびにインクの水性化が進行しつつある。水系インクで得られる印刷画像の定着性を向上させる手段として、例えば、紫外線硬化性の水系インクが知られている。
特許文献1には、疎水性ビニル系単量体と、ノニオン性基を有するビニル系単量体とを反応させた化合物、及び色剤を含む着色樹脂エマルジョンが開示されている。
特許文献2には、N置換(メタ)アクリルアミドと、エチレン性不飽和単量体とを必須構成単位として含有する高分子と、開始剤とを含むインク受容層活性エネルギー線硬化型組成物が開示されている。
特開2002−356602号公報 特開2006−192634号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2においては、形成された画像にテープを貼付し、剥離した際に粘着テープへの色移りをする現象を低減させること(耐テープ密着性)に関しては、何ら検討されておらず、まだ改良の余地がある。
又、特許文献1および特許文献2においては、インクを吐出し放置した後、再び吐出を行う際の吐出性を良好にすること(吐出回復性)に関しては、何ら検討されていない。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、画像形成をする際の吐出回復性及び、得られる画像の耐テープ密着性に優れたインク組成物、インクセット及び画像形成方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
項1.(成分a)下記式(1)で表される繰り返し単位及び後述の式(2)で表される繰り返し単位を含む重合体、(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー、(成分b2)多官能重合性モノマー、(成分c)重合開始剤、(成分d)水、及び(成分e)着色剤を含有するインク組成物。

(式(1)中、mは2〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
項2.前記式(1)において、m=3である、項1に記載のインク組成物。
項3.前記式(1)において、m=5である、項1に記載のインク組成物。
項4.前記(成分a)重合体中に、前記式(1)で表される繰り返し単位を50質量%以上含む、項1〜項3のいずれか1項に記載のインク組成物。

(式(2)中、Rは、アルキル基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。)
.インク組成物中の重合性モノマーの合計含有量に対する前記(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマーの含有量が、25質量%〜99.5質量%である、項1〜項のいずれか1項に記載のインク組成物。
.前記(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマーが下記(M−1)で表される重合性モノマーである、項1〜項のいずれか1項に記載のインク組成物。

(M−1)中、Qヒドロキシアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、並びに、飽和もしくは不飽和の複素環構造を有する化合物およびポリオール類から1つの水素原子または水酸基が除去された残基からなる群より選ばれた基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
.前記(成分b2)多官能重合性モノマーが、(メタ)アクリルアミド構造を有する多官能重合性モノマーである、項1〜項のいずれか1項に記載のインク組成物。
.前記(成分b2)多官能重合性モノマーが、下記式(M−2)で表される重合性モノマーである、項に記載のインク組成物。

(M−2)中、Qオキシアルキレン基を含むポリオール類の残基から選ばれたn価の連結基を表し、R2mは水素原子またはメチル基を表す。また、nは2以上の整数を表す。)
.前記重合開始剤が、光重合開始剤である、項1〜項のいずれか1項に記載のインク組成物。
10.前記重合開始剤が、芳香族ケトン類である、項1〜項のいずれか1項に記載のインク組成物。
11.前記(成分a)重合体の含有量が、インク組成物の全量に対し、0.5質量%〜30質量%である、項1〜項10のいずれか1項に記載のインク組成物。
12.インクジェット記録用である、項1〜項11のいずれか1項に記載のインク組成物。
13.項1〜項12のいずれか1項に記載のインク組成物と、
(成分f)該インク組成物と接触して凝集体を形成しうる凝集剤を含有する処理液とを含むインクセット。
14.前記処理液が、更に前記(成分a)重合体を含有する、項13に記載のインクセット。
15.(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー、(成分b2)多官能重合性モノマー、(成分c)重合開始剤、(成分d)水、及び(成分e)着色剤を含むインク組成物と、(成分f)該インク組成物と接触して凝集体を形成しうる凝集剤を含有する処理液とを含み、前記処理液(成分a)下記式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体を含有する、インクセット。

(式(1)中、mは2〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
16.項1〜項12のいずれか1項に記載されたインク組成物を、記録媒体上に付与するインク付与工程と、
前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、を含む画像形成方法。
17.項13〜項15のいずれか1項に記載のインクセットに含まれる処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、該インクセットに含まれるインク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を有する画像形成方法。
本発明によれば、画像を形成する際の吐出回復性と、耐テープ密着性に優れたインク組成物を提供することができる。
本発明では、(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー、(成分b2)多官能重合性モノマー、(成分c)重合開始剤、(成分d)水、及び(成分e)着色剤を含有するインク組成物と共に(成分a)下記式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体を用いることで、画像を形成する際の吐出回復性と、耐テープ密着性に優れたインク組成物を得ることに成功した。以下詳細に説明をする。

(式(1)中、mは2〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
本発明の第一の態様は、(成分a)前記式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体、
(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー、
(成分b2)多官能重合性モノマー、
(成分c)重合開始剤、
(成分d)水、
及び(成分e)着色剤を含有するインク組成物である。
本発明の第二の態様は、(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー、
(成分b2)多官能重合性モノマー、
(成分c)重合開始剤、
(成分d)水、及び
(成分e)着色剤
を含むインク組成物と、
(成分f)該インク組成物と接触して凝集体を形成しうる凝集剤を含有する処理液とを含み、
前記処理液に(成分a)前記式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体を含有する、インクセットである。
≪第一の態様≫
以下第一の態様について説明をする。
≪インク組成物≫
本発明の第一の態様におけるインク組成物は、(成分a)前記式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体、(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー、(成分b2)多官能重合性モノマー、(成分c)重合開始剤、(成分d)水、及び(成分e)着色剤を含有するインク組成物である。
本発明のインク組成物は、必要に応じて、水溶性有機溶剤及びその他の成分をさらに含んで構成される。以下、各成分について詳細に説明をする。
((成分a)式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体)
本発明のインク組成物は、(成分a)下記式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体(以下、単に「(成分a)」ともいう。)を必須の成分として含む。(成分a)中に複数存在する式(1)で表される繰り返し単位は、互いに同一であっても、異なっていても良い。

(式(1)中、mは2〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
前記式(1)におけるRは水素原子又はメチル基を表し、水素原子が好ましい。
前記式(1)におけるmは2〜15の整数を表し、2〜5が好ましく、m=3又は5が更に好ましく、m=3が特に好ましい。(成分A)中に複数存在する式(1)で表される繰り返し単位が、互いに異なる場合、m=3である繰り返し単位と、m=5である繰り返し単位とを含むことが好ましい。
本発明における(成分a)は、前記式(1)で表される繰り返し単位を(成分a)重合体中に、50質量%以上含むことが好ましく、75〜100質量%含むことが更に好ましく、80〜100質量%含むことが特に好ましい。
本発明における(成分a)は、更に下記式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。

(式(2)中、Rは、アルキル基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。)
前記式(2)中、Rはアルキル基を表し、該アルキル基としては、炭素数1〜5が好ましく、炭素数1〜3が更に好ましく、炭素数1(メチル基)が特に好ましい。前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル基等が挙げられる。
前記式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、水素原子が好ましい。
本発明における(成分a)は、前記式(2)で表される繰り返し単位を(成分a)重合体中に、1質量%〜80質量%含むことが好ましく、1質量%〜50質量%含むことが更に好ましく、1質量%〜10質量%含むことが特に好ましい。
本発明の(成分a)は、分子量(分子量分布を有するものに関しては、重量平均分子量)500〜800,000であることが好ましく、より好ましくは800〜100,000であり、更に好ましくは1,000〜25,000である。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。
本発明における(成分a)の具体例としては、ポリビニルピロリドン(PVP K12(アクロス社 製)、PVP K15、PVP K30(いずれもアイエスピージャパン(株)製))、ビニルピロリドン/ビニルアセテート共重合体(Luvitec VA64W、Luviskol VA37E(いずれもBASF・ジャパン社製)、PVP/VA W635(アイエスピージャパン(株)製))、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合体(Luvitec VPC K65W(BASF・ジャパン社製)等を挙げることができ、ポリビニルピロリドン(PVP K15、K30(いずれもアイエスピージャパン(株)製))、ビニルピロリドン/ビニルアセテート共重合体(PVP/VA W635(アイエスピージャパン(株)製)、Luviskol VA37E(BASF・ジャパン社製))、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合体(Luvitec VPC K65W(BASF・ジャパン社製))が好ましい。
本発明の第一の態様におけるインク組成物中の、(成分a)の含有量は、0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることが更に好ましく、3〜20質量%であることが特に好ましい。本発明の(成分a)は1種単独又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
((成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー)
本発明のインク組成物は、(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー(以下、単に「(成分b1)」ともいう。)の少なくとも1種を含有する。前記(成分b1)は、水不溶性の化合物であっても、水溶性の化合物であってもよいが、水溶性の(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマーであることが好ましい。尚、ここでいう水溶性とは、前記(成分b1)が、25℃において蒸留水に少なくとも2質量%溶解することを意味する。前記(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマーは、5質量%溶解することが好ましく、10質量%溶解することがより好ましく、20質量%溶解することがさらに好ましく、任意の割合で水と均一に混合することが特に好ましい。
本発明において、(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマーは、(メタ)アクリルアミド構造を有し、重合性基を1つ有する重合性モノマーであれば限定はない。
ここで、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミド又はメタアクリルアミドのいずれか一方を意味する。
本発明において、(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマーとしては、好ましくは、式(M−1)で表される重合性モノマーが挙げられる。

(一般式(M−1)中、Qは親水性を有する基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
一般式(M−1)のQで表される親水性を有する基としては、ヒドロキシアルキル基(炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい)、ジメチルアミノアルキル基(炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい)、下記化合物(1)〜(4)から1つの水素原子または水酸基が除去された残基が挙げられる。
(1)飽和もしくは不飽和の複素環構造を有する化合物
(2)ポリオール類
(3)ポリオールの縮合体
(4)ポリアミン類
前記(1)〜(4)の化合物から1つの水素原子または水酸基が除去された残基は、(M−1)のQと連結可能な基であれば特に制限はないが、(M−1)におけるQが前述の水溶性を満たすような基から選択されることが好ましく、具体的には以下の化合物群Zから1の水素原子または水酸基が除去された残基をあげることができる。
−化合物群Z−
エチレングリコール、エジレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3−メチル,1,5−ペンタンジオール、2−メチル,2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,4−ブタンジオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、チオジグリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びこれらの縮合体、糖類などのポリオール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンジアミンなどのポリアミン類。
前記(1)〜(4)の化合物から1つの水素原子または水酸基が除去された残基としては、(1)飽和もしくは不飽和の複素環構造を有する化合物又は(2)ポリオール類から水素原子または水酸基が除去された残基が好ましく、具体的には、モルホリン、エチレングリコール、プロピレングリコールから1つの水素原子または水酸基が除去された残基であることが特に好ましい。
(M−1)のQで表される親水性を有する基としては、好ましくはヒドロキシアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、または、飽和もしくは不飽和の複素環構造を有する化合物およびポリオール類から1つの水素原子または水酸基が除去された残基であり、最も好ましくはモルホリン、エチレングリコール、プロピレングリコールから1つの水素原子または水酸基が除去された残基である。
本発明の(成分b1)の具体例としては、例えばヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等が挙げられ、特に好ましくはヒドロキシエチルアクリルアミドである。
本発明におけるインク組成物中の、重合性モノマーの合計含有量に対する(成分b1)の含有量は、10〜99.5質量%であることが好ましく、15〜99.5質量%であることが更に好ましく、25〜95質量%であることが特に好ましい。尚、前記重合性モノマーとは、(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマーと、後述の(成分b2)多官能重合性モノマーと、(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー以外の単官能重合性モノマー(後述)との合計含有量のことを指す。
本発明のインク組成物中の(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマーの含有量は、インク組成物全量に対して1〜30質量%が好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、5〜25質量%であることが特に好ましい。
―(成分b2)多官能重合性モノマー―
本発明のインク組成物は、(成分b2)多官能重合性モノマー(以下、単に「(成分b2)」ともいう。)を必須の成分として含む。前記(成分b2)は、水不溶性の化合物であっても、水溶性の化合物であってもよいが、水溶性の(成分b2)多官能重合性モノマーであることが好ましい。尚、ここでいう水溶性とは、(成分b2)多官能重合性モノマーが、25℃において蒸留水に少なくとも2質量%溶解することを意味するが、5質量%溶解することが好ましく、10質量%溶解することがより好ましく、20質量%溶解することがさらに好ましく、任意の割合で水と均一に混合することが特に好ましい。
前記(成分b2)多官能重合性モノマーとしては、分子内に重合性基を2つ以上有するモノマーであれば、限定はないが、例えば、
ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパン(プロピレンオキサイド変性)トリアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、変性グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキシド)付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキシド)付加物ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、プロポシル変性のネオペンチルグリコールジアクリレート等のアクリルレート化合物;
ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリレート化合物等が挙げられる。その他、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物も挙げられる。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマーを用いることができる。
また、多官能ビニルエーテルも挙げられる。多官能ビニルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;
トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。又、後述する(メタ)アクリルアミド構造を有する多官能重合性モノマーも挙げられる。
(成分b2)は、(メタ)アクリルアミド構造を有する多官能重合性モノマーを含んでいることが、耐テープ密着性の観点で好ましい。(メタ)アクリルアミド構造を有する多官能重合性モノマーとしては、分子内に(メタ)アクリルアミド構造を有し、重合性基を2つ以上有するモノマーであれば限定はないが、好ましくは、下記(M−2)で表される多官能重合性モノマーが挙げられる。

(一般式(M−2)中、Qはn価の連結基を表し、R2mは水素原子またはメチル基を表す。また、nは2以上の整数を表す。)
式(M−2)の化合物は不飽和単量体が、アミド結合により連結基Qに結合したものである。R2mは、水素原子、またはメチル基をあらわし、好ましくは水素原子である。連結基Qの価数nとしては、n=2以上の整数であり、n=2以上6以下がより好ましく、n=2以上4以下がさらに好ましい。
また、連結基Qは(メタ)アクリルアミド構造と連結可能な基であれば特に制限はないが、式(M−2)で表される重合性モノマーが前述の水溶性を満たすような連結基から選択されることが好ましく、具体的には以下の化合物群Xから2以上の水素原子またはヒドロキシル基が除去された残基をあげることができる。
−化合物群X−
エチレングリコール、エジレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3−メチル、1,5−ペンタンジオール、2−メチル,2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,4−ブタンジオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、チオジグリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びこれらの縮合体、糖類などのポリオール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンジアミンなどのポリアミン類。
さらに、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン基等の炭素数4以下の置換又は無置換のアルキレン鎖、更にはピリジン環、イミダゾール環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環などの飽和もしくは不飽和のヘテロ環を有する官能基などを例示することができる。
連結基Qとしては、これらの中でも、オキシアルキレン基(好ましくは、オキシエチレン基)を含むポリオール類の残基であることが好ましく、オキシアルキレン基(好ましくは、オキシエチレン基)を3以上含むポリオール類の残基であることが特に好ましい。
前記多官能モノマーの具体例としては、例えば以下に示す水溶性の重合性モノマーをあげることができる。

(B−1)
本発明のインク組成物中の(成分b2)多官能重合性モノマーの含有量は、インク組成物全量に対して0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることが特に好ましい。
―(成分b1)以外の単官能重合性モノマー―
本発明における重合性モノマーは、(成分b1)以外の単官能重合性モノマーを含んでいてもよい。前記(成分b1)以外の単官能重合性モノマーとは、(メタ)アクリルアミド構造を含まない単官能重合性モノマーであれば、特に限定はなく、例えば、マレイミド基、ビニルスルホンアミド基、およびN−ビニルアミド基を有する単官能重合性モノマー等が挙げられる。
(成分b1)以外の単官能重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、トリデシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、サイクリックトリメチロールプロパンフォルマールアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、ノニルフェノールEO(エチレンオキシド)付加物アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラクトン変性アクリレート等のアクリレート化合物;
メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート等のメタクリレート化合物;
アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物等が挙げられる。
本発明のインク組成物に含まれていてもよい(成分b1)以外の単官能重合性モノマーの含有量は、インク組成物全量に対して0.5〜30質量%が好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、1〜25質量%であることが特に好ましい。
((成分c)重合開始剤)
本発明のインク組成物は、(成分c)重合開始剤を必須の成分として含有する。
本発明における重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく挙げられる。光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を、重合性モノマーの種類、インク組成物の使用目的に応じて、適宜選択して使用することができる。
本発明のインク組成物に使用する光重合開始剤は、外部エネルギー(光)を吸収して重合開始種であるラジカルを生成する化合物である。光には、活性エネルギー線、すなわち、γ線、β線、電子線、X線、紫外線、可視光線、赤外線等が例示できる。
光重合開始剤としては、公知の化合物が使用できるが、本発明で使用し得る好ましい光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキシド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びにアルキルアミン化合物等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、上記化合物を単独もしくは組み合わせて使用してもよい。本発明における光重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキシド化合物、及び、チオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」,J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。また、特開2008−105379号公報、特開2009−114290号公報に記載の重合開始剤も好ましい。
これらのなかでも、本発明において、光重合開始剤として芳香族ケトン又はアシルホスフィンオキサイド化合物を使用することが好ましく、芳香族ケトンを使用することが特に好ましい。本発明で用いられる重合開始剤の具体例としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1 (Irgacure 369、BASF・ジャパン社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure 907、BASF・ジャパン社製)、p−フェニルベンゾフェノン(和光純薬工業社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure 819:BASF・ジャパン社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(Darocure TPO:BASF・ジャパン社製、Lucirin TPO:BASF社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2―ヒドロキシー2−メチル−1−プロパンー1−オン(Irgaure 2959、BASF・ジャパン社製)などが好ましく、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンが特に好ましい。
本発明における重合開始剤としては、水不溶性の開始剤を水分散させたもの、水溶性の開始剤のいずれであっても使用可能であるが、水溶性の重合開始剤であることが好ましい。尚、重合開始剤における水溶性とは、25℃において蒸留水に少なくとも0.3質量%溶解することを意味する。前記水溶性の重合開始剤は、25℃において蒸留水に1質量%溶解することが好ましく、3質量%溶解することがより好ましい。
重合開始剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
インク組成物における重合開始剤の好ましい含有量としては0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜20質量%の範囲であることがより好ましく、1〜15質量%の範囲であることがさらに好ましい。
((成分d)水)
本発明におけるインク組成物は水を必須の成分として含む。
本発明における水としては、イオン交換水、蒸留水などのイオン性不純物を含まない水を用いることが好ましい。また、インク組成物における水の含有率は、目的に応じて適宜選択されるが、通常、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。
((成分e)着色剤)
本発明におけるインク組成物は、着色剤の少なくとも1種を含む。本発明における着色剤としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である着色剤であることが好ましい。具体的には例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、更に、耐光性の観点から顔料であることがより好ましい。
本発明のインク組成物が含んでいても良い顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機および無機顔料を用いることができる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
また前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
本発明に用いることができる顔料として具体的には、例えば、下記に示す特開2007−100071号公報の段落番号[0142]〜[0145]に記載の顔料などが挙げられる。
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7、米国特許4311775記載のシロキサン架橋アルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
また着色剤として染料を用いる場合には、染料を水不溶性の担体に保持したものを用いることができる。染料としては公知の染料を特に制限なく用いることができ、例えば、特開2001−115066号公報、特開2001−335714号公報、特開2002−249677号公報等に記載の染料を本発明においても好適に用いることができる。また、担体としては、水に不溶または水に難溶であれば特に制限なく、無機材料、有機材料およびこれらの複合材料を用いることができる。具体的には、特開2001−181549号公報、特開2007−169418号公報等に記載の担体を本発明においても好適に用いることができる。
染料を保持した担体(着色剤)はそのまま、あるいは必要に応じて分散剤を併用して用いることができる。分散剤としては後述する分散剤を好適に用いることができる。
上記の顔料は、1種単独で使用してもよく、また、上記した各群内もしくは各群間より複数種を選択して組み合わせて使用してもよい。
着色剤(特に顔料)のインク組成物中における含有量としては、インク組成物の全質量に対して、1〜25質量%となる量が好ましく、3〜20質量%となる量がより好ましい。
〜分散剤〜
前記着色剤が顔料である場合、分散剤によって水系溶媒に分散された着色粒子を構成していることが好ましい。前記分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性ポリマー分散剤でも水不溶性ポリマー分散剤の何れでもよい。
−水不溶性ポリマー分散剤−
本発明における水不溶性ポリマー分散剤(以下、単に「分散剤」ということがある)としては、水不溶性のポリマーであって、顔料を分散可能であれば特に制限は無く、従来公知の水不溶性ポリマー分散剤を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤は、例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位の両方を含んで構成することができる。
前記疎水性の構成単位を構成するモノマーとしては、スチレン系モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また前記親水性構成単位を構成するモノマーとしては、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はない。前記親水性基としては、ノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。尚、ノニオン性基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、アルキレンオキシド重合体(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)に由来する基、糖アルコールに由来する基等が挙げられる。
本発明における親水性構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基を共に含む形態であることもまた好ましい。
本発明における水不溶性ポリマー分散剤として、具体的には、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ここで「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
本発明において水不溶性ポリマー分散剤としては、顔料の分散安定性の観点から、カルボキシル基を含むビニルポリマーであることが好ましく、疎水性の構成単位として少なくとも芳香族基含有モノマーに由来する構成単位を有し、親水性の構成単位としてカルボキシル基を含む構成単位を有するビニルポリマーであることがより好ましい。
また前記水不溶性ポリマー分散剤の重量平均分子量としては、顔料の分散安定性の観点から、3,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
本発明における着色粒子における分散剤の含有量は、顔料の分散性、インク着色性、分散安定性の観点から、顔料に対し、分散剤が10〜100質量%であることが好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。
前記着色粒子中の分散剤の含有量が、上記範囲であることにより、顔料が適量の分散剤で被覆され、粒径が小さく経時安定に優れた着色粒子を得やすい傾向となり好ましい。
本発明における前記着色粒子は、前記水不溶性ポリマー分散剤に加えて、その他の分散剤を含んでいてもよい。例えば、従来公知の水溶性低分子分散剤や、水溶性ポリマー等を用いることができる。前記水不溶性ポリマー分散剤以外の分散剤の含有量は、前記分散剤の含有量の範囲内で用いることができる。
本発明における着色剤は、前記顔料および前記水不溶性ポリマー分散剤を含んで構成されていることが好ましく、顔料の表面の少なくとも一部が水不溶性ポリマー分散剤で被覆されて構成されていることが好ましい。かかる着色剤は、例えば、顔料、分散剤、必要に応じて溶媒(好ましくは有機溶剤)等を含む混合物を、分散機により分散することで着色粒子分散物として得ることができる。
(水溶性有機溶剤)
本発明におけるインク組成物は、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含むことができる。
水溶性有機溶剤の例としては、例えば、糖アルコール類;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において水溶性有機溶剤は、1種単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
また水溶性有機溶剤のインク組成物中における含有量としては、1質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
(樹脂粒子)
本発明におけるインク組成物は、樹脂粒子の少なくとも1種を含有することができる。
本発明で用いることができる樹脂粒子としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等あるいはそのラテックスを用いることができる。アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
また樹脂粒子はラテックスの形態で用いることもできる。
樹脂粒子の重量平均分子量は1万以上、20万以下が好ましく、より好ましくは10万以上、20万以下である。
また樹脂粒子の体積平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、20〜100nmの範囲が更に好ましく、20〜50nmの範囲が特に好ましい。
樹脂粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
樹脂粒子の添加量はインクに対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がさらに好ましい。
また、樹脂微子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
(その他の成分)
本発明のインク組成物は、必要に応じて、前記成分以外のその他の成分を添加することができる。
その他の成分としては、例えば、特開2008−019408号公報に記載の増感剤、共増感剤(強増感剤)、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物等が挙げられる。
(インク組成物の物性)
本発明におけるインク組成物の表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
また、本発明におけるインク組成物の25℃での粘度は、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上13mPa・s未満であり、更に好ましくは2.5mPa・s以上10mPa・s未満である。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
≪インクセット≫
本発明のインクセットは、既述のインク組成物の少なくとも1種と、前記インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤(成分f)を含有する処理液の少なくとも1種と、を含む。
<処理液>
本発明における処理液は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む。
((成分f)凝集剤)
本発明における凝集剤は、記録媒体上においてインク組成物と接触することにより、インク組成物を凝集(固定化)可能なものであり、固定化剤として機能する。例えば、処理液を記録媒体(好ましくは、塗工紙)に付与することにより記録媒体上に凝集剤が存在している状態で、インク組成物がさらに着滴して凝集剤に接触することにより、インク組成物中の成分が凝集し、インク組成物中の成分を記録媒体上に固定化することができる。
前記インク組成物中の成分を固定化させる成分としては、酸性化合物、多価金属塩、カチオン性ポリマー等を挙げることができ、処理液が酸性化合物、多価金属塩、およびカチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これらは1種単独でも、2種以上を併用することもできる。
−酸性化合物−
酸性化合物としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、およびこれらの化合物の誘導体が好適に挙げられ、これらの塩を含んでいてもよい。
これらの中でも、水溶性の高い酸性化合物が好ましい。また、インク組成物と反応してインク全体を固定化させる観点から、3価以下の酸性化合物が好ましく、2価以上3価以下の酸性化合物が特に好ましい。
酸性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記処理液が酸性化合物を含む場合、処理液のpH(25℃)は、0.1〜6.8であることが好ましく、0.5〜6.0であることがより好ましく、0.8〜5.0であることがさらに好ましい。
前記酸性化合物の含有量は、前記処理液の全質量に対し、40質量%以下であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。酸性化合物の含有量を15〜40質量%とすることでインク組成物中の成分をより効率的に固定化することができる。
さらに酸性化合物の含有量は、前記処理液の全質量に対し、15質量%〜35質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
酸性化合物の記録媒体への付与量としては、インク組成物を凝集させるに足る量であれば特に制限はないが、インク組成物を固定化し易いとの観点から、0.5g/m〜4.0g/mであることが好ましく、0.9g/m〜3.75g/mであることがより好ましい。
−多価金属塩−
本発明における多価金属塩は、アルカリ土類金属、亜鉛族金属等の2価以上の金属を含む化合物であり、Ca2+、Cu2+、Al3+等の金属イオンの酢酸塩、酸化物等を挙げることができる。
処理液に含まれる多価金属塩は、凝集反応の観点で、価数が2価以上であることが好ましく、3価以上の多価金属イオンからなる多価金属塩であることが更に好ましい。
本発明における処理液に用いることのできる多価金属塩は、以下に示す多価金属イオンと陰イオンとの塩、ポリ水酸化アルミニウムおよびポリ塩化アルミニウムのいずれか1種以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Zn2+、Ba2+、Al3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、Fe2+、La3+、Nd3+、Y3+、およびZr4+などが挙げられる。これら多価金属イオンを処理液中に含有させるためには、前記多価金属の塩を用いればよい。
塩とは、上記のような多価金属イオンと、これらのイオンに結合する陰イオンとから構成される金属塩のことであるが、溶媒に可溶なものであることが好ましい。ここで、前記溶媒とは、多価金属塩とともに処理液を構成する媒質であり、例えば、水や後述する有機溶剤が挙げられる。
前記多価金属イオンと塩を形成するための好ましい陰イオンとしては、例えば、Cl、NO 、I、Br、ClO 、CHCOO、SO 2−などが挙げられる。
多価金属イオンと陰イオンとは、それぞれ単独種または複数種を用いて多価金属イオンと陰イオンとの塩を形成することができる。
上記以外の多価金属塩としては、例えば、ポリ水酸化アルミニウムおよびポリ塩化アルミニウムなどが挙げられる。
本発明においては、反応性や着色性、さらには取り扱いの容易さなどの点から、多価金属イオンと陰イオンとの塩を用いることが好ましく、多価金属イオンとしては、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Al3+およびY3+から選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらには、Ca2+が好ましい。
また、陰イオンとしては、溶解性などの観点から、NO が特に好ましい。
前記多価金属塩は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記多価金属塩の含有量は、前記処理液の全質量に対し、15質量%以上である。多価金属塩の含有量が15質量%以上とすることでより効果的にインク組成物中の成分を固定化することができる。
多価金属塩の含有量は、前記処理液の全質量に対し、15質量%〜35質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
多価金属塩の記録媒体への付与量としては、インク組成物を凝集させるに足る量であれば特に制限はないが、0.5g/m〜4.0g/mであることが好ましく、0.9g/m〜3.75g/mであることがより好ましい。
−カチオン性ポリマー−
カチオン性ポリマーとしては、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、及びポリグアニドから選ばれる少なくとも1種のカチオン性ポリマーである。
カチオン性ポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記カチオン性ポリマーの中でも、凝集速度の観点で有利な、ポリグアニド(好ましくは、ポリ(ヘキサメチレングアニジン)アセテート、ポリモノグアニド、ポリメリックビグアニド)、ポリエチレンイミン、ポリ(ビニルピリジン)が好ましい。
前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量としては、処理液の粘度の観点では分子量が小さい方が好ましい。処理液をインクジェット方式で記録媒体に付与する場合には、500〜500,000の範囲が好ましく、700〜200,000の範囲がより好ましく、更に好ましくは1,000〜100,000の範囲である。重量平均分子量は、500以上であると凝集速度の観点で有利であり、500,000以下であると吐出信頼性の点で有利である。但し、処理液をインクジェット以外の方法で記録媒体に付与する場合には、この限りではない。
前記処理液がカチオン性ポリマーを含む場合、処理液のpH(25℃)は、1.0〜10.0であることが好ましく、2.0〜9.0であることがより好ましく、3.0〜7.0であることがさらに好ましい。
カチオン性ポリマーの含有量は、前記処理液の全質量に対して、1質量%〜35質量%であることが好ましく、5質量%〜25質量%であることがより好ましい。
カチオン性ポリマーの塗工紙への付与量としては、インク組成物を安定化させるに足る量であれば特に制限はないが、インク組成物を固定化し易いとの観点から、0.5g/m〜4.0g/mであることが好ましく、0.9g/m〜3.75g/mであることがより好ましい。
≪第二の態様≫
以下、本発明の第二の態様について説明をする。本発明の第二の態様は、(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー、(成分b2)多官能重合性モノマー、(成分c)重合開始剤、(成分d)水、及び(成分e)着色剤を含むインク組成物と、(成分f)該インク組成物と接触して凝集体を形成しうる凝集剤を含有する処理液とを含み、前記処理液に(成分a)下記式(1)で表される高分子化合物を含有する、インクセットである。

(式(1)中、mは2〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
第二の態様における(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー、(成分b2)多官能重合性モノマー、(成分c)重合開始剤、(成分d)水、及び(成分e)着色剤は、好ましい範囲も含めて、第一の態様に記載したものと同様である。
第二の態様に含まれる(成分a)前記式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体は、更に前述の式(2)で表される繰り返し単位を有していてもよく、インク組成物に対する含有量を除き、好ましい範囲も含めて、前述の(成分a)と同様である。
第二の態様における、処理液に対する前記(成分a)の含有量は、0.5〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることが更に好ましく、1〜15質量%であることが特に好ましい。
第二の態様における処理液に含まれる凝集剤は、好ましい範囲も含めて、第一の態様に記載した凝集剤と同様である。
本発明者らは、本発明のインク組成物は、上記第一の態様又は第二の態様を構成することにより、本発明の効果が得られることを見出した。このメカニズムは明らかではないが、本発明者は以下のように推察する。
本発明の(成分a)は、一般式(1)で表される構造を有するため、(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマーと水素結合等の強固な結合を形成する箇所が多くなっていると推察される。そのため、(成分a)と(成分b1)との架橋密度が高くなっていると考えられる。この結果、耐テープ密着性等が向上すると推察される。但し、上記のメカニズムは推察であり、本発明はこれらに限定されない。
≪画像形成方法≫
本発明の画像形成方法は、前記インク組成物を、記録媒体上に付与するインク付与工程と、前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、を含む画像形成方法を含んで構成される。より好ましくは、前記インクセットに含まれる処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、前記インクセットに含まれるインク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を少なくとも含み、必要に応じてその他の工程をさらに含んで構成される。
<処理液付与工程>
処理液付与工程では、前記インクセットに含まれる処理液が記録媒体上に付与される。処理液の記録媒体への付与は、公知の液体付与方法を特に制限なく用いることができ、スプレー塗布、塗布ローラー等による塗布、インクジェット方式による付与、浸漬などの任意の方法を選択することができる。
具体的には、例えば、ホリゾンタルサイズプレス法、ロールコーター法、カレンダーサイズプレス法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるナイフコーター法;ゲートロールコーター法などのトランスファーロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、リバースロールコーター法、スクイズロールコーター法などに代表されるロールコーター法;ビルブレードコーター法、ショートデュエルコーター法;ツーストリームコーター法などに代表されるブレードコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;キャストコーター法;グラビアコーター法;カーテンコーター法;ダイコーター法;ブラシコーター法;転写法などが挙げられる。
また、特開平10−230201号公報に記載の塗布装置のように、液量制限部材を備えた塗布装置を用いることで塗布量を制御して塗布する方法であってもよい。
処理液を付与する領域は、記録媒体全体に付与する全面付与であっても、インク付与工程でインクジェット記録が行なわれる領域に部分的に付与する部分付与であってもよい。本発明においては、処理液の付与量を均一に調整し、細線や微細な画像部分等を均質に記録し、画像ムラ等の濃度ムラを抑える観点から、塗布ローラー等を用いた塗布によって塗工紙全体に付与する全面付与が好ましい。
処理液の付与量を前記範囲に制御して塗布する方法としては、例えば、アニロックスローラーを用いた方法が挙げられる。アニロックスローラーとは、セラミックが溶射されたローラー表面をレーザーで加工しピラミッド型や斜線、亀甲型などの形状を付したローラーである。このローラー表面に付けられた凹みの部分に処理液が入り込み、紙面と接触すると転写されて、アニロックスローラーの凹みで制御された塗布量にて塗布される。
<インク付与工程>
本発明におけるインク付与工程では、前記インクセットに含まれるインク組成物が記録媒体上に付与される。インク組成物の付与方法としては、所望の画像様にインク組成物を付与可能な方法であれば、特に制限はなく公知のインク付与方法を用いることができる。例えば、インクジェット方式、謄写方式、捺転方式等の手段により、記録媒体上にインク組成物を付与する方法を挙げることができる。中でも、記録装置のコンパクト化と高速記録性の観点から、インク組成物をインクジェット方式によって付与する工程であることが好ましい。
<インクジェット方式>
インクジェット方式による画像形成では、エネルギーを供与することにより、記録媒体上にインク組成物を吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット方式には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式等のいずれであってもよい。
また、インクジェット方式で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。さらに前記インクジェット方式により記録を行う際に使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
尚、前記インクジェット方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
またインクジェット方式として、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行うシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行うことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
本発明において、前記処理液付与工程とインク付与工程の実施順は特に制限はないが、画像品質の観点から、処理液付与工程後にインク付与工程が行われる態様であることが好ましい。すなわちインク付与工程は、処理液が付与された記録媒体上にインク組成物を付与する工程であることが好ましい。
<活性エネルギー線照射工程>
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程を含むことが好ましい。活性エネルギー線を照射することでインク組成物に含まれる重合性モノマーが重合して、着色剤を含む硬化膜を形成する。
記録媒体上に付与されたインク組成物は、活性エネルギー線を照射することで硬化する。これは、本発明におけるインク組成物に含まれる開始剤が活性エネルギー線の照射により分解して、ラジカル、酸、塩基などの開始種を発生し、その開始種により重合性モノマーの重合反応が開始・促進されてインク組成物が硬化するためである。
ここで、使用される活性エネルギー線は、α線、γ線、β線、電子線、X線、紫外線、可視光、赤外線などが使用される。活性エネルギー線の波長としては、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることがさらに好ましい。
活性エネルギー線の出力としては、5000mJ/cm以下であることが好ましく、10〜4000mJ/cmであることがより好ましく、20〜3000mJ/cmであることがさらに好ましい。
活性エネルギー線源としては、水銀ランプやガスレーザー、固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。現在、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。本発明で好ましい光源はメタルハライドランプである。
また、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)は、小型、高寿命、高効率、低コストであり、活性エネルギー線源として期待されている。紫外線源を要する場合は、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。本発明で好ましい光源は、350〜420nmにピーク波長を有する紫外LEDである。
<インク乾燥工程>
本発明の画像形成方法においては、必要に応じて、記録媒体上に付与されたインク組成物中のインク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶剤等)を乾燥除去するインク乾燥工程を備えていてもよい。インク乾燥工程は、インク溶媒の少なくとも一部を除去できれば特に制限はなく、通常用いられる方法を適用することができる。
例えば、インク乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行える。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
またインク乾燥工程は、インク付与工程の後に行われればよく、活性エネルギー線照射工程の前でも、後であってもよい。本発明においては、硬化感度と耐ブロッキング性の観点から、活性エネルギー線照射工程の前に行われることが好ましい。
<記録媒体>
本発明の画像形成方法に用いる記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。
記録媒体としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙(株)製の「OKプリンス上質」、日本製紙(株)製の「しらおい」、及び日本製紙(株)製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、日本製紙(株)製の「シルバーダイヤ」等の上質コート紙、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」、「OKトップコートN+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」、「特菱アート両面N」等のアート紙(A1)、富士フイルム(株)社製の「画彩写真仕上げPro」等のインクジェット専用紙が挙げられる。
上記の中でも、好ましくは、水の吸収係数Kaが0.05〜0.5でmL/m・ms1/2の記録媒体であり、より好ましくは0.1〜0.4mL/m・ms1/2の記録媒体であり、更に好ましくは0.2〜0.3mL/m・ms1/2の記録媒体である。
水の吸収係数Kaは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No51:2000(発行:紙パルプ技術協会)に記載されているものと同義であり、具体的には、吸収係数Kaは、自動走査吸液計KM500Win(熊谷理機(株)製)を用いて接触時間100msと接触時間900msにおける水の転移量の差から算出されるものである。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。特に、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましい。より具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。但し、実施例1、2、4〜8、11〜17及び19は、参考例である。なお、特に断りのない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
(ポリマー分散剤1溶液の調製)
反応容器に、スチレン6部、ステアリルメタクリレート11部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成(株)製)4部、ブレンマーPP−500(日油(株)製)5部、メタクリル酸5部、2−メルカプトエタノール0.05部、及びメチルエチルケトン24部を加え、混合溶液を調液した。
一方、滴下ロートに、スチレン14部、ステアリルメタクリレート24部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成(株)製)9部、ブレンマーPP−500(日油(株)製)9部、メタクリル酸10部、2−メルカプトエタノール0.13部、メチルエチルケトン56部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部を加え、混合溶液を調液した。
そして、窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を1時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過後これに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部をメチルエチルケトン12部に溶解した溶液を3時間かけて滴下し、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、ポリマー分散剤1溶液を得た。
得られたポリマー分散剤1溶液の一部について、溶媒を除去することによって単離し、得られた固形分をテトラヒドロフランにて0.1質量%に希釈し、高速GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)HLC−8220GPC(東ソー(株)製)にて、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー(株)製)を3本直列につなぎ、重量平均分子量を測定した。その結果、重量平均分子量は、ポリスチレン換算で25,000であった。また、JIS規格(JIS K0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ酸価は99mgKOH/gであった。
(顔料分散液Mの調製)
上記で得られたポリマー分散剤1溶液を固形分換算で5.0g、マゼンタ顔料Pigment Red122(大日精化(株)製)10.0g、メチルエチルケトン40.0g、1mol/L(リットル;以下同様)の水酸化ナトリウム8.0g 及びイオン交換水82.0gを、0.1mmジルコニアビーズ300gと共にベッセルに供給し、レディーミル分散機(アイメックス社製)を用いて1000rpmで6時間分散した。得られた分散液をエバポレーターでメチルエチルケトンが充分に留去できるまで減圧濃縮し、さらに顔料濃度が10%になるまで濃縮して、水分散性顔料が分散した顔料分散液Mを調製した。
得られた顔料分散液Mの体積平均粒子径(二次粒子)を、Micorotrac粒度分布測定装置(商品名Version 10.1.2−211BH、日機装(株)製)を用
いて動的光散乱法により測定したところ、84nmであった。
(顔料分散液Yの調製)
顔料分散液Mの調製において、顔料として用いたPigment Red122の代わりに、Irgalite Yellow GS(ピグメント・イエロー74、BASF・ジャパン社製)を用いた以外は顔料分散液Mの調製と同様にして樹脂被覆イエロー顔料の顔料分散液Yを得た。
得られた顔料分散液Yの体積平均粒子径(二次粒子)を、顔料分散液Mと同様にして測定したところ、75nmであった。
(顔料分散液Kの調製)
顔料分散液Mの調製において、顔料として用いたPigment Red122の代わりに、顔料分散体カーボンブラック(三菱化学(株)製MA−100)を用いた以外は顔料分散液Mの調製と同様にして樹脂被覆ブラック顔料の顔料分散液Kを得た。
得られた顔料分散液Kの体積平均粒子径(二次粒子)を、顔料分散液Mと同様にして測定したところ、80nmであった。
(顔料分散液Cの調製)
顔料分散液Cとして、CABO−JET250C(PB15:4)(CABOT(株)製、シアン顔料の分散液)を用意した。顔料分散液Cの体積平均粒子径(二次粒子)を、顔料分散液Mと同様にして測定したところ、110nmであった。
(重合性モノマー(B−1)の合成)
攪拌機を備えた1Lの三口フラスコに4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン40.0g(182mmol)、炭酸水素ナトリウム37.8g(450mmol)、水100g、テトラヒドロフラン300gを加えて、氷浴下、アクリル酸クロリド35.2g(389mmol)を20分かけて滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌した後、得られた反応混合物から減圧下でテトラヒドロフランを留去した。次に水層を酢酸エチル200mlで4回抽出し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより下記構造の重合性モノマー(B−1)の固体を35.0g(107mmol、収率59%)得た。

(B−1)
(重合性モノマー(B−2)の合成)
下記構造の重合性モノマー(B−2)は前記(B−1)の合成に準じて合成することができる。

(B−2)
(自己分散性ポリマー粒子の調製)
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。その後、フラスコ内温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルアクリレート180.0g、メチルメタクリレート162.0g、アクリル酸18.0g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、これに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g及びイソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した。その後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続け、フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸(=50/45/5[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の上記ポリマー分散剤1と同様に測定した重量平均分子量(Mw)は、64,000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出)であり、酸価は38.9mgKOH/gであった。
次に、得られた樹脂溶液668.3gを秤量し、これにイソプロパノール388.3g及び1mol/L NaOH水溶液145.7mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に、蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化した後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0質量%の自己分散性ポリマー粒子の水分散物を得た。
(インク組成物の作製)
下記表1に示す成分を混合し、メンブレンフィルタ(孔径5μm)でろ過して、インク組成物1〜15、インク組成物21〜23を調製した。
(※表中、「−」は含有されていないことを表す。
※※表中、数値は含有量「質量%」を表す。)
上記表1中の(成分c)重合開始剤は、IRGACURE2959(BASF・ジャパン(株)製)である。表1中の界面活性剤は、オルフィンE1010(日信化学工業(株)製)である。
表1中の(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー(A−1)は、ヒドロキシエチルアクリルアミド(下記構造)、モノマー(A−2)は、イソプロピルアクリルアミド(興人(株)社製)を表す。

(A−1)
表1中の(成分b2)多官能重合性モノマー(B−1)及び(B−2)は、前記合成により得られた化合物であり、下記の構造式で表される重合性モノマーである。

(B−1)

(B−2)
表1中の(成分a)重合体(a−1)は、ポリビニルピロリドン(PVP K15、アイエスピー ジャパン(株)製、下記構造)、(a−2)は、ポリビニルピロリドン(PVP K30 アイエスピー ジャパン(株)製、下記構造)、(a−3)は、ビニルピロリドン/ビニルアセテート共重合体(PVP/VA W635 アイエスピー ジャパン(株)製、下記構造)、(a−4)はビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合体(Luvitec VPC55 K65W BASF・ジャパン社製、下記構造)であり、(a−5)は、Luviskol VA37E(BASF・ジャパン社製)である。

n=100(重量%)
(a−1)

n=100(重量%)
(a−2)

n:m=60:40(重量%)
(a−3)

n:m=50:50(重量%)
(a−4)

n:m=30:70(重量%)
(a−5)
<処理液の作製>
下記の(処理液1の組成)に示す成分を混合して、処理液1を調製した。pHメーター(東亜DKK(株)製WM−50EG)にて、処理液1のpH(25℃)を測定したところ、1.02であった。
(処理液1の組成)
・マロン酸((成分f)、和光純薬工業(株)製) ・・・25%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製) ・・・20%
・エマルゲンP109(花王(株)製、ノニオン性界面活性剤) ・・・1%
・イオン交換水 ・・・合計で100%となる残量
(処理液2の組成)
・マロン酸((成分f)、和光純薬工業(株)製) ・・・25%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製) ・・・20%
・エマルゲンP109(花王(株)製、ノニオン性界面活性剤) ・・・1%
ポリビニルピロリドン(PVP K15、アイエスピー ジャパン(株)製
(成分a)) ・・・10%
イオン交換水 ・・・合計で100%となる残量
[画像形成]
画像の形成は、下記の方法で行った。
上記で得られた処理液を、各々特菱アート両面N(三菱製紙(株)製)上に、ワイヤーバーコーターを用いて、約5μmの膜厚になるように塗布し乾燥させた。
処理液を付与した特菱アート両面Nを500mm/秒で稼動するステージ上に固定した。その後、上記で得られたインク組成物を、リコー社製GELJET GX5000のカートリッジに詰め替え、走査で解像度1200×600dpi(dot per inch)、打滴量3.5pL、ライン方式でシアン色、マゼンタ色、イエロー色、及びブラック色のベタ画像を印画した。
印画直後、60℃、3秒間乾燥させ、更に高圧水銀ランプを用いて400mJ/cmの照射量で紫外線を照射して画像部を硬化させ、印画サンプルを作製した。
−耐テープ密着性−
上記画像形成の方法で得られた、印画サンプルに粘着テープ(商標名:セロテープ(登録商標)、ニチバン社製)を、それぞれ印画サンプルにテープが全面に貼り付くように貼った後、直ちに剥がした。剥がしたテープへの色移りおよびテープ剥離部の紙面を観察し、下記評価基準に従って耐テープ密着性を評価した。
〜評価基準〜
5…粘着テープに、色移りが認められず、紙面の画像剥離もなかった。
4…粘着テープに、色移りがわずかに認められたが、紙面の画像剥離は視認できなかった。
3…粘着テープに、色移りがわずかに認められ、紙面の画像剥離もわずかに視認できた。
2…粘着テープに、色移りが少なからず認められ、紙面の画像剥離も容易に視認できた。
1…全面的に粘着テープに色移りし、紙面の画像剥離が起こった。
※ 3〜5が実用に問題がない範囲である。
―吐出回復性―
(株)リコー製GELJET GX5000プリンターヘッドを用意し、96本のノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)を、ステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に合わせ、プリンターヘッドをインクジェット装置に固定した。前記プリンターヘッドに繋がる貯留タンクにインク組成物を充填した。
記録媒体として富士フイルム(株)製「画彩写真仕上げPro」を用意し、ヘッドのノズル配列方向(走査方向)に対して直交方向(主走査方向)に移動するステージに貼り付けた。
ステージを211mm/secで搬送方向(副走査方向)に移動させ、インク滴量3.4pL、吐出周波数10kHz、ノズル配列方向×搬送方向=75×1200dpiにて、1ノズル当り2000発打滴し、96本のラインを搬送方向に対して平行に印画した。このとき、すべてのノズルが吐出されていることを確認した。
インク吐出後、ヘッドをそのままの状態で一定時間(5〜45分まで5分間隔)放置し、新しい記録媒体をステージに貼付し、再び同じ条件で打滴してラインを印画した。2000発打滴で96本のノズルすべてが吐出可能である放置時間の長さにより、以下の評価基準に従って吐出回復性を評価した。放置時間が長いほど吐出回復性が良好である。
〜評価基準〜
5:45分以上
4:30以上45分未満
3:20分以上30分未満
2:10分以上20分未満
1:10分未満
3〜5が実用に問題がない範囲である。
(※表中、「−」は含有されていないことを表す。)
表2に示すように、本発明のインク組成物は、耐テープ密着性を抑制し、吐出回復性に優れた画像が得られた。

Claims (17)

  1. (成分a)下記式(1)で表される繰り返し単位及び下記式(2)で表される繰り返し単位を含む重合体、
    (成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー、
    (成分b2)多官能重合性モノマー、
    (成分c)重合開始剤、
    (成分d)水、及び
    (成分e)着色剤
    を含有するインク組成物。


    (式(1)中、mは2〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)


    (式(2)中、R は、アルキル基を表す。R は水素原子又はメチル基を表す。)
  2. 前記式(1)において、m=3である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記式(1)において、m=5である、請求項1に記載のインク組成物。
  4. 前記(成分a)重合体中に、前記式(1)で表される繰り返し単位を50質量%以上含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. インク組成物中の重合性モノマーの合計含有量に対する前記(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマーの含有量が、25質量%〜99.5質量%である、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 前記(成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマーが、下記(M−1)で表される重合性モノマーである、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のインク組成物。


    (M−1)中、Qヒドロキシアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、並びに、飽和もしくは不飽和の複素環構造を有する化合物およびポリオール類から1つの水素原子または水酸基が除去された残基からなる群より選ばれた基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
  7. 前記(成分b2)多官能重合性モノマーが、(メタ)アクリルアミド構造を有する多官能重合性モノマーである、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のインク組成物。
  8. 前記(成分b2)多官能重合性モノマーが、下記式(M−2)で表される重合性モノマーである、請求項に記載のインク組成物。


    (M−2)中、Qオキシアルキレン基を含むポリオール類の残基から選ばれたn価の連結基を表し、R2mは水素原子またはメチル基を表す。また、nは2以上の整数を表す。)
  9. 前記重合開始剤が、光重合開始剤である、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のインク組成物。
  10. 前記重合開始剤が、芳香族ケトン類である、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のインク組成物。
  11. 前記(成分a)重合体の含有量が、インク組成物の全量に対し、0.5質量%〜30質量%である、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインク組成物。
  12. インクジェット記録用である、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のインク組成物。
  13. 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のインク組成物と、
    (成分f)該インク組成物と接触して凝集体を形成しうる凝集剤を含有する処理液とを含むインクセット。
  14. 前記処理液が、更に前記(成分a)重合体を含有する、請求項13に記載のインクセット。
  15. (成分b1)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性モノマー、
    (成分b2)多官能重合性モノマー、
    (成分c)重合開始剤、
    (成分d)水、及び
    (成分e)着色剤
    を含むインク組成物と、
    (成分f)該インク組成物と接触して凝集体を形成しうる凝集剤を含有する処理液とを含み、
    前記処理液(成分a)下記式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体を含有する、インクセット。


    (式(1)中、mは2〜15の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
  16. 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載されたインク組成物を、記録媒体上に付与するインク付与工程と、
    前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、を含む画像形成方法。
  17. 請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載のインクセットに含まれる処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、
    該インクセットに含まれるインク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を有する画像形成方法。
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