JP5557566B2 - 紫外線硬化型水性インク組成物、インクセット、およびインクジェット画像形成方法 - Google Patents

紫外線硬化型水性インク組成物、インクセット、およびインクジェット画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、紫外線硬化型水性インク組成物、インクセット、およびインクジェット画像形成方法に関する。
近年、資源保護、環境保全、作業安定性の向上等のニーズの高まりによって、塗料ならびにインク(以下、「インキ」ともいう)の水性化が進行しつつある。
水性インクで得られる印刷画像の定着性を向上させる手段としては、例えば、紫外線硬化性の水性インクが古くから知られている。この紫外線硬化型水性インクに適用可能な水溶性光開始剤として、α−ヒドロキシケトン類、アシルホスフィンオキシド類、ベンジルケタール類が知られている。
一方で、油溶性の光開始剤を水系媒体に分散した水分散型の光開始剤が知られており、水性媒体と、分散剤と、アシルホスフィンオキシド型光開始剤からなる水系光開始剤分散物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。そのような光開始剤分散物はIrgacure819DWとしてチバ・ジャパン(株)から市販されている。
また、エマルジョン状態のオリゴマー粒子にモノマーと光開始剤とを内包した光重合型の水性インクが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特表2003−512484号公報 国際公開2001/57145号パンフレット
しかしながら近年、より高速かつ高画質な印刷に対するニーズが高まっており、より少ない露光量での印刷画像の十分な定着、すなわち水性インクに適用可能な光開始剤の高感度化と、水性インクの良好な吐出性が強く求められている。
本発明者らが検討した結果、公知の水溶性光開始剤を適用したインクは硬化感度が不足し十分な定着性が得られないことが分かった。
また、特許文献1に記載の光開始剤分散物や特許文献2に記載のオリゴマー含有インクをインクジェットインクに適用した系においては、感度の問題に加えてインクの吐出性が不十分であるという問題も見られた。
このように、公知の光開始剤を用いた水性インクでは、良好な硬化感度すなわち定着性と、吐出性とを両立することは困難であった。
本発明は、良好な定着性とインクジェット法に適用した場合に良好な吐出性を示す紫外線硬化型水性インク組成物を提供することを課題とする。また、それを用いたインクジェット記録用インク及びインクセット、並びに該紫外線硬化型水性インク組成物を用いるインクジェット画像形成方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> a)水系媒体と、b)エチレン性不飽和結合を有する化合物と、c)水溶性高分子化合物および光開始剤を含むイオン性組成物と、を含み、前記光開始剤が前記水系媒体中でアニオン性の極性を示しうる置換基を有し、且つ、前記水溶性高分子化合物が前記水系媒体中でカチオン性の極性を示しうる置換基を有し、前記イオン性組成物が水溶性である紫外線硬化型水性インク組成物。
> 着色剤を更に含む<1>に記載の紫外線硬化型水性インク組成物。
> 前記着色剤が顔料である<>に記載の紫外線硬化型水性インク組成物。
> インクジェット記録用インクである<1>〜<>のいずれか1つに記載の紫外線硬化型水性インク組成物。
> <1>〜<>のいずれか1つに記載の紫外線硬化型水性インク組成物の少なくとも1種を含むインクセット。
> <1>〜<>のいずれか1つに記載の紫外線硬化型水性インク組成物または<>に記載のインクセットに含まれる紫外線硬化型水性インク組成物を、被記録媒体上に、インクジェット法で付与する工程と、前記被記録媒体上に付与された紫外線硬化型水性インク組成物に紫外線を照射して画像を定着する工程と、を含むインクジェット画像形成方法。
本発明によれば、良好な定着性とインクジェット法に適用した場合に良好な吐出性を示す紫外線硬化型水性インク組成物を提供することができる。また、それを用いたインクジェット記録用インク及びインクセット、並びに該紫外線硬化型水性インク組成物を用いるインクジェット画像形成方法を提供することができる。
<紫外線硬化型水性インク組成物>
本発明の紫外線硬化型水性インク組成物は、a)水系媒体と、b)エチレン性不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種と、c)水溶性高分子化合物および光開始剤を含むイオン性組成物の少なくとも1種と、を少なくとも含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。本発明の紫外線硬化型水性インク組成物においては、前記イオン性組成物は水溶性である。
かかる構成であることにより、本発明の紫外線硬化型水性インク組成物は、紫外線の照射によって高い感度で硬化し、良好な定着性を達成することができる。また、かかる構成の紫外線硬化型水性インク組成物は、例えばインクジェット記録法に適用した場合、吐出性にも優れている。
本発明の紫外線硬化型水性インク組成物(以下、「水性インク組成物」、「インク組成物」ともいう)は、単色の画像形成のみならず、多色画像の形成(例えば、フルカラー画像の形成)に用いることができる。多色画像(例えば、フルカラー画像)を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。また、イエロー、マゼンタ、シアン色調インク以外のレッド、グリーン、ブルー、白色インクや、いわゆる印刷分野における特色インク(例えば無色)等を用いることができる。
[イオン性組成物]
本発明におけるイオン性組成物は、水溶性高分子化合物の少なくとも1種と光開始剤の少なくとも1種とを含む。
本発明におけるイオン性組成物は、水溶性であることを特徴とする。ここで「水溶性」とは、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が1.0g以上であることをいう。前記イオン性組成物の前記溶解量は、好ましくは1.5g以上、更に好ましくは2g以上である。
本発明におけるイオン性組成物は、水溶性であることにより、前記水系媒体への溶解性が良好である。
(水溶性高分子化合物)
本発明における水溶性高分子化合物としては、特に制限なく、後述する光開始剤とともに形成する前記イオン性組成物が水溶性となるものであればよい。
なお、水溶性高分子化合物とは、高分子化合物を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が1.0g以上である高分子化合物をいい、その溶解量が好ましくは5.0g以上、更に好ましくは10.0g以上である。前記溶解量は、水溶性高分子化合物が有することがある塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
本発明の水溶性高分子化合物は特に制限なく、公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、天然の水溶性高分子化合物としては、アラビアガム、トラガンガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子化合物、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子化合物、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子化合物、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子化合物などが挙げられる。
また、天然物を原料として化学修飾した水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子化合物、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子化合物、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子化合物などが挙げられる。
また、合成系の水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子化合物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物等が挙げられる。
前記水溶性高分子化合物が有する置換基は、水系媒体中で、カチオン性、アニオン性、又はノニオン性の極性を示しうる。
カチオン性の極性を示しうる置換基としては、特に制限はないが、例えば、3級アミノ基、2級アミノ基等が挙げられ、中でも3級アミノ基が好ましい。
アニオン性の極性を示しうる置換基としては、特に制限はないが、例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、中でもカルボキシル基が好ましい。
ノニオン性の極性を示しうる置換基としては、特に制限はないが、例えば、ヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシ基(好ましくは、ポリエチレンオキシ基)等が挙げられ、中でもヒドロキシル基が好ましい。
前記水溶性高分子化合物は、前記イオン性組成物の水系媒体への溶解性の観点から、水系媒体中でカチオン性またはアニオン性の極性を示しうる置換基の少なくとも1種を有することが好ましい。
なお、本発明において、置換基について「カチオン性またはアニオン性の極性を示す」とは、水系媒体中で、解離してカチオン性基またはアニオン性基を形成する場合も含み、カチオン性基またはアニオン性基は形成しないが電荷分布が不均等でカチオン性基またはアニオン性基と同様の反応性を示す場合も含む。本発明において、カチオン性またはアニオン性の極性を示しうる置換基には、水系媒体中で、解離してイオン性基を形成しうる置換基と、イオン性基は形成しないが電荷の分布が不均等な基を形成しうる置換基とが含まれる。
前記置換基の含量としては、前記水溶性高分子化合物全体に対して、1.0mmol/g以上が好ましい。前記置換基の含量が1.0mmol/g以上であることで、前記イオン性組成物の水系媒体への溶解性がより良好になる。前記置換基の含量としては、前記イオン性組成物の水系媒体への溶解性をさらに良化する観点から、2.0mmol/g以上であることがより好ましい。
前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量としては、前記イオン性組成物の水系媒体への溶解性が向上する観点から、通常1000から50000が好ましく、1000から20000がより好ましく、1000から10000が更に好ましい。
(光開始剤)
本発明における光開始剤(以下、「開始剤」ともいう)は、紫外線の照射により、エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合を開始することが可能な化合物であれば、特に制限はなく、従来公知の化合物を用いることができる。
本発明における光開始剤としては、本発明の構成にしたときに得られる効果(定着性と吐出性の良化)がより顕著であることから、水不溶性光開始剤を好適に用いることができる。ここで、水不溶性光開始剤とは、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が1.0g未満である光開始剤をいう。
本発明によれば、光開始剤が水不溶性光開始剤であっても、前記水溶性高分子化合物とともにイオン性組成物とすることで、水性インクに適用することができ、良好な硬化感度を発現できる。
本発明における光開始剤としては、アセトフェノン類、α−アミノケトン類、ベンゾフェノン類、アルキルフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジアルキルケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類、金属錯体、p−ジアルキルアミノ安息香酸、アゾ化合物、パーオキシド化合物等を挙げることができ、感度、重合効率の観点から、アセトフェノン類、α−アミノケトン類、ベンジル類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジアルキルケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類が好ましく、α−アミノケトン類、アシルホスフィンオキシド類が特に好ましい。
前記α−アミノケトン類に包含される化合物の具体例としては、2−メチル−1−フェニル−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。また、チバ・ジャパン社製のIrgacureシリーズ、例えばIrgacure907、Irgacure369、Irgacure379等の如き市販品としても入手可能であり、これらもα−アミノケトン類に包含される化合物であり、本発明に好適に使用しうる。
前記アシルホスフィンオキシド類に包含される化合物の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
前記アルキルフェノン類に包含される化合物の具体例としては、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン1−1オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1等が挙げられる。これらは、チバ・ジャパン社製のIrgacureシリーズ、例えばIrgacure651、Irgacure184、Irgacure1173、Irgacure2959、Irgacure127等の如き市販品としても入手可能であり、本発明に好適に使用しうる。
さらに前記光開始剤の例としては、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤などを挙げることができる。これらの光開始剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、増感剤と併用してもよい。
前記光開始剤が有する置換基は、水系媒体中で、カチオン性、アニオン性、又はノニオン性の極性を示しうる。
カチオン性の極性を示しうる置換基としては、特に制限はないが、例えば、3級アミノ基、2級アミノ基等が挙げられ、中でも3級アミノ基が好ましい。
アニオン性の極性を示しうる置換基としては、特に制限はないが、例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、中でもカルボキシル基が好ましい。
ノニオン性の極性を示しうる置換基としては、特に制限はないが、例えば、ヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシ基(好ましくは、ポリエチレンオキシ基)等が挙げられ、中でもヒドロキシル基が好ましい。
前記光開始剤は、前記イオン性組成物の水系媒体への溶解性がより良化する観点から、水系媒体中でカチオン性またはアニオン性の極性を示しうる置換基の少なくとも1種を有することが好ましい。
前記置換基の含量としては、前記光開始剤1分子中、少なくとも1個あればよく、前記イオン性組成物の水系媒体への溶解性がより良好になる観点からは、2個以上あることが好ましい。
カチオン性の極性を示しうる置換基を有する光開始剤としては、例えば、Irgacure907(チバ・ジャパン社製)、Irgacure369(チバ・ジャパン社製)などのα−アミノケトン類が挙げられる。
アニオン性の極性を示しうる置換基を有する光開始剤としては、例えば、4−ベンゾイル安息香酸やチオキサントン−1−カルボン酸などが挙げられる。
また、前記光開始剤は、80℃まで熱分解を起こさないものであることが好ましい。熱分解温度が80℃以上であることでインク組成物の保存安定性が向上する。
(イオン性組成物の製造)
本発明におけるイオン性組成物の製造方法としては、具体的には、下記の第1〜第3の工程を含む方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
第1の工程は、少なくとも1種の水溶性高分子化合物、少なくとも1種の光開始剤、及び少なくとも1種の有機溶剤を混合し、有機溶剤に水溶性高分子化合物と光開始剤を溶解させる。
第2の工程は、更に、水、又は水と少なくとも1種の有機溶剤とを加え、均一な溶液を得る。第2の工程で有機溶剤を加える場合、該有機溶剤は、第1の工程で用いる有機溶剤と同じでもよく、異なっていてもよい。
第3の工程は、第2の工程で得られた溶液から、必要に応じて、有機溶剤の一部あるいは全部、及び/又は水の一部あるいは全部を除去し、前記イオン性組成物を粉体または水系溶液として調製する。有機溶剤及び水の除去は、通常用いられる方法で行うことができる。例えば、常圧または減圧条件下、10〜100℃の温度で有機溶剤の除去を行うことができ、常圧条件で40〜100℃、あるいは減圧条件で10〜50℃で行うことが好ましい。
上記第1の工程で用いる有機溶剤としては、水溶性高分子化合物および光開始剤を溶解させることが出来るものならば特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルおよびこれらの酢酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
これらの中でも、ケトン類、アルコール類、酢酸エステル類が好ましく、アルコール類、ケトン類がより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記第2の工程で用いる有機溶剤としては、特に制限はなく、上記第1の工程で用いることができる有機溶剤を使用でき、好ましいものも同様である。
前記イオン性組成物における前記水溶性高分子化合物の含有量としては、前記光開始剤100質量部に対し、10〜1000質量部が好ましく、20〜900質量部がより好ましく、50〜800質量部が更に好ましい。前記水溶性高分子化合物の含有量が、10質量部以上であることで、前記イオン性組成物の水系媒体への溶解性がより良好となる。また1000質量部以下であることで、前記イオン性組成物中の前記光開始剤の割合が低下することを抑制し、前記イオン性組成物をインク組成物に含有させた場合に配合設計上の余裕を確保しやすくなり、硬化感度が向上する。
前記イオン性組成物は、水系媒体への溶解性の観点から、
i)前記光開始剤が水系媒体中でカチオン性の極性を示しうる置換基を有し、且つ、前記水溶性高分子化合物が水系媒体中でアニオン性の極性を示しうる置換基を有する、
または、
ii)前記光開始剤が水系媒体中でアニオン性の極性を示しうる置換基を有し、且つ、前記水溶性高分子化合物が水系媒体中でカチオン性の極性を示しうる置換基を有する、
のいずれかであることが好ましい。
前記イオン性組成物は、水系媒体への溶解性の観点から、前記光開始剤が3級アミノ基を有し、且つ、前記水溶性高分子化合物がカルボキシル基を有することが好ましく、または、前記光開始剤がカルボキシル基を有し、且つ、前記水溶性高分子化合物が3級アミノ基を有することが好ましい。
本発明の水性インク組成物における前記イオン性組成物の含有量は特に制限はないが、硬化感度と吐出性の観点から、前記光開始剤の含有量として、水性インク組成物全量に対して、質量基準で0.1〜7%であることが好ましく、特には0.3〜5%の範囲であることが好ましい。
また、前記光開始剤の含有量は、硬化感度と吐出性の観点から、エチレン性不飽和結合を有する化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜35質量部、より好ましくは0.1〜25質量部、さらに好ましくは0.5〜15質量部の範囲で含有される。
なお、ここで前記光開始剤の含有量とは、水性インク組成物に含まれる光開始剤の総含有量を意味し、2種以上の光開始剤を含む場合にはそれらの合計量のことである。
[水系媒体]
本発明の水性インク組成物は、水系媒体を含む。前記水系媒体は主たる溶媒として水を含み、必要に応じて有機溶剤の少なくとも1種を含んで構成されることが好ましい。本発明において水としては、イオン交換水、蒸留水などのイオン性不純物を含まない水を用いることが好ましい。
本発明の水性インク組成物における水の含有率は、目的に応じて適宜選択されるが、通常、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。
(有機溶剤)
本発明の水性インク組成物は水を溶媒として含むが、有機溶剤の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。有機溶剤を含むことにより、水性インク組成物に不揮発性を与え、粘度を低下させ、且つ、被記録媒体への濡れ性を向上することができる。
前記有機溶剤は乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤などの目的で用いることができる。乾燥防止剤は、インク噴射口におけるインクの乾燥によって発生し得るノズルの目詰まりを効果的に防止することができる。また乾燥防止剤は、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒であることが好ましい。
乾燥防止剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体等が挙げられる。中でも、乾燥防止剤としては、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。また、上記の乾燥防止剤は単独で用いても、2種以上併用しても良い。
浸透促進剤は、インク組成物を記録媒体(印刷用紙)により良く浸透させる目的で、好適に使用される。
浸透促進剤の具体的な例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を好適に用いることができる。また、浸透促進剤は、印画の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲内で、使用されることが好ましい。
また、水溶性有機溶媒は、上記以外にも、粘度の調整に用いることができる。粘度の調整に用いることができる水溶性有機溶媒の具体的な例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。
本発明において前記有機溶剤としては、インクジェット記録適性においても高い実績を有するグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールあるいはこれらの混合物から選択するのが好ましい。
本発明において前記有機溶剤は、通常は水性インク組成物全体に対して、質量基準で0.5〜5%含有されることが好ましい。
[エチレン性不飽和結合を有する化合物]
本発明の水性インク組成物は、エチレン性不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種を含有する。
前記エチレン性不飽和結合を有する化合物は、水不溶性の化合物であっても水溶性の化合物であってもよいが、水溶性のエチレン性不飽和結合を有する化合物(以下、「特定重合性化合物」ともいう)であることが好ましい。ここで「水溶性」とは、25℃において蒸留水に2質量%以上溶解することを意味する。即ち、本発明で用いられる特定重合性化合物は、25℃において蒸留水に2質量%以上溶解する化合物である。前記特定重合性化合物は、5℃において蒸留水に15質量%以上溶解することが好ましく、任意の割合で水と均一に混合するものが特に好ましい。
前記特定重合性化合物は、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する水溶性化合物であれば、どのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。特定重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。またインクの吐出安定性の観点から、水に対する溶解性が良く、且つ、水性インク組成物中に析出しにくい化合物を用いることが好ましい。
特定重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、およびマレイン酸等の不飽和カルボン酸、ならびに、そのエステル誘導体、アミド誘導体およびその塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン、ビニルエーテル、アリルエーテル等が挙げられる。中でも、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびに、そのエステル誘導体、アミド誘導体およびその塩から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アクリル酸のモノエステルおよびメタクリル酸のモノエステル(以下、「モノアクリレート」ということがある)、アクリル酸とポリオール化合物とのエステルおよびメタクリル酸とポリオール化合物とのエステル(以下、「多官能アクリレートモノマー」または「多官能アクリレートオリゴマー」ということがある)、アクリルアミドおよびメタクリルアミドならびにその誘導体から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明で用いられる特定重合性化合物は、水溶性付与の観点から、ポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖、イオン性基(例えばカルボキシル基、スルホ基など)、および水酸基の少なくとも1種を有することが好ましい。
前記特定重合性化合物が、ポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖を有する場合、エチレンオキシ単位、およびプロピレンオキシ単位のユニットの数は1〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜5の範囲である。ユニットの数が10以下であることで硬化した時の皮膜の硬度や被記録媒体に対する密着性等が向上する。
特定重合性化合物のうち、モノアクリレート、多官能アクリレートモノマーおよび多官能アクリレートオリゴマーの特に好ましい具体例としては、例えば、以下に示す構造の化合物が挙げられるが、本発明で使用する特定重合性化合物はこれらに限定されるものではない。


また上記例示化合物以外に、メタクリル酸のカリウム塩、3-スルホプロピルアクリレートのカリウム塩などのイオン性基を有する化合物も好ましく用いられる。
本発明において特定重合性化合物は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また本発明においては、感度、滲み、被記録媒体との密着性をより改善するために、特定重合性化合物として、モノアクリレートの少なくとも1種と、分子量400以上、好ましくは500以上の多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーを併用することが好ましい。特に、PETフィルムやPPフィルムといった柔軟な被記録媒体への記録に使用するインク組成物においては、上記化合物群の中から選ばれるモノアクリレートと、多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーとの併用は、膜に可撓性を持たせて密着性を高めつつ、膜強度を高められるため好ましい。
さらに、単官能、2官能、および3官能以上の多官能モノマーの少なくとも3種の特定重合性化合物を併用する態様が、安全性を維持しつつ、更に、感度、滲み、被記録媒体との密着性をより改善することができるという観点から好ましい。
本発明の水性インク組成物におけるエチレン性不飽和結合を有する化合物の含有率としては、水性インク組成物全量に対して、質量基準で1〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがより好ましい。
[着色剤]
本発明の水性インク組成物は、着色剤を実質的に含まない水性インク組成物であってもよいが、着色剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明における着色剤としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である着色剤であることが好ましい。具体的には例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、更に、耐光性の観点から顔料であることがより好ましい。
本発明における顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機及び無機顔料を用いることができる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
また前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
本発明に用いることができる顔料として具体的には、例えば、特開2007−100071号公報の段落番号[0142]〜[0145]に記載の顔料などが挙げられる。
中でも、着色性と色相の観点から、イエロー色調インクに含まれる顔料としてはC.I.ピグメントイエロー74(PY74)が好ましく、マゼンタ色調インクに含まれる顔料としてはC.I.ピグメントレッド122(PR122)が好ましく、シアン色調インクに含まれる顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3(PB15:3)が好ましい。またブラック色調インクに含まれる顔料としてはカーボンブラックが好ましい。
また本発明において着色成分として染料を用いる場合には、染料を水不溶性の担体に保持したものを着色剤として用いることができる。染料としては公知の染料を特に制限なく用いることができ、例えば、特開2001−115066号公報、特開2001−335714号公報、特開2002−249677号公報等に記載の染料を本発明においても好適に用いることができる。また、担体としては、水に不溶または水に難溶であれば特に制限なく、無機材料、有機材料及びこれらの複合材料を用いることができる。具体的には、特開2001−181549号公報、特開2007−169418号公報等に記載の担体を本発明においても好適に用いることができる。
染料を保持した担体(着色剤)はそのまま、あるいは必要に応じて分散剤を併用して用いることができる。分散剤としては上述した分散剤を好適に用いることができる。
本発明の水性インク組成物に着色剤として、例えば、顔料を使用する場合には、水性インク組成物中における純顔料分(表面処理剤や、分散剤を含まない)の濃度は、概ね、水性インク組成物全量に対して質量基準で0.3〜10%の範囲であることが好ましい。顔料の着色力は顔料粒子の分散状態にも依存するが、約0.3〜1%の範囲であると、淡色のインクとして利用される範囲となる。また、それ以上であると、一般のカラー着色用に用いられる濃度を与える。
(分散剤)
本発明における着色剤が顔料である場合、分散剤によって水系溶媒に分散されていることが好ましい。分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性の分散剤でも非水溶性の分散剤の何れでもよい。
前記低分子の界面活性剤型分散剤(以下、「低分子分散剤」ということがある)は、インクを低粘度に保ちつつ、有機顔料を水溶媒に安定に分散させる目的で添加することができる。ここでいう低分子分散剤は、分子量2000以下の低分子分散剤である。また、低分子分散剤の分子量は、100〜2000が好ましく、200〜2000がより好ましい。
前記低分子分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。前記親水性基および疎水性基は、それぞれ独立に1分子に1以上含まれていればよく、また、複数種類の親水性基、疎水性基をそれぞれ有していてもよい。また、親水性基と疎水性基を連結するための連結基も適宜有することができる。
親水性基としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはこれらを組み合わせたベタイン型等を挙げることができる。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであれば特に制限はないが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基またはカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基またはカルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
カチオン性基は、プラスの電荷を有するものであれば特に制限はないが、有機のカチオン性基であることが好ましく、窒素またはリンを含むカチオン性基であることがより好ましく、窒素を含むカチオン性基であることが更に好ましい。中でも、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることが特に好ましい。
ノニオン性基は、マイナスまたはプラスの電荷を有しないものであれば特に制限はない。例えば、ポリアルキレンオキシド、ポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
本発明においては、顔料の分散安定性と凝集性の観点から、親水性基がアニオン性基であることが好ましい。
また、低分子分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の処理液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、そのpKaは3以上であることが好ましい。本発明における低分子分散剤のpKaはテトラヒドロフラン−水=3:2(V/V)溶液に低分子分散剤1mmol/Lに溶解した液を酸あるいはアルカリ水溶液で滴定し、滴定曲線より実験的に求めた値のことである。
理論上、低分子分散剤のpKaが3以上であれば、pH3程度の処理液と接したときに、アニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。この観点から、低分子分散剤が、アニオン性基としてカルボン酸基を有していることが好ましい。
一方、疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等のいずれの構造を有するものであってもよいが、特に、炭化水素系であることが好ましい。また、これらの疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。また疎水性基は、1本鎖状構造、又は2本以上の鎖状構造でもよく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
前記疎水性基としては、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基がさらに好ましい。
本発明におけるポリマー分散剤のうち水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物を用いることができ、天然の親水性高分子化合物、天然物を原料として化学修飾した親水性高分子化合物、および合成系の水溶性高分子化合物のいずれであってもよい。
天然の親水性高分子化合物としては、例えば、アラビアガム、トラガンガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子などが挙げられる。
また、天然物を原料として化学修飾した親水性高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子などが挙げられる。
さらに合成系の水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、顔料の分散安定性と凝集性の観点から、カルボキシル基を含む高分子化合物が好ましく、例えば、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂等のようなカルボキシル基を含む高分子化合物が特に好ましい。
ポリマー分散剤のうち非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
本発明におけるポリマー分散剤の重量平均分子量としては、3,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
尚、重量平均分子量は、例えば、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定できる。
また、顔料と分散剤との混合質量比(顔料:分散剤)としては、1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:2の範囲がより好ましく、更に好ましくは1:0.125〜1:1.5である。
本発明において着色剤の体積平均粒径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。体積平均粒径が200nm以下であることで色再現性が良好になり、インクジェット方式の場合には打滴特性が良好になる。また、体積平均粒径が10nm以上であることで、耐光性が良好になる。
また、着色剤の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ着色剤を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、着色剤の体積平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明において、上記着色剤は1種単独で、また2種以上を組合わせて使用してもよい。
また本発明の水性インク組成物は、前記着色剤を含有させることなく透明な形態(以下、「水性クリアインク組成物」ということがある)として構成することができる。かかる形態であることで、画像印刷への適性を被記録媒体に付与するためのアンダーコート、あるいは、通常のインクで形成した画像の表面保護、更には装飾や光沢付与を目的としたオーバーコート等の用途に使用できる。水性クリアインク組成物には、これらの用途に応じて、着色を目的としない無色の顔料や微粒子等を分散して含有させることもできる。これらを添加することによって、アンダーコート、オーバーコートいずれにおいても、印刷物の画質、堅牢性、施工性(ハンドリング性)等の諸特性を向上させることができる
本発明の水性インク組成物を水性クリアインク組成物として構成する場合、前記特定重合性化合物の含有量は、水性インク組成物全量に対して質量基準で10〜70%であることが好ましい。また前記光開始剤を、特定重合性化合物100質量部に対して1〜10質量部含有し、同時に、水性インク組成物100部に対して前記光開始剤が0.5質量部以上含有されているように調製することが好ましい。
[表面張力調整剤]
本発明の水性インク組成物は、表面張力調整剤の少なくとも1種含むことが好ましい。表面張力調整剤を含むことで、画像形成方法に応じた適切な表面張力に調整することができる。例えば、水性インク組成物をインクジェット記録方式に用いる場合、水性インク組成物の表面張力を、特に普通紙上で高品位、高濃度の画像が形成できるよう、硬化と浸透のバランスの観点において最適化することができる。
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオン、アニオン、ベタイン界面活性剤が挙げられる。表面張力の調整剤の添加量は、後述するとおり35mN/m(dyne/cm)以上50mN/m以下の範囲に調整できる量が好ましい。
本発明における界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。更には、高分子化合物(例えば、高分子分散剤)を界面活性剤としても使用することもできる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテ硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、t−オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸ナトリウム塩等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、具体的には、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
水性インク組成物に添加する界面活性剤の量は、特に限定されるものではないが、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。
[樹脂粒子]
本発明の水性インク組成物は、印刷物の定着性、耐擦性を高める目的で樹脂粒子をさらに含有してもよい。本発明に用いられることができる樹脂粒子としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等あるいはそのラテックスを用いることができる。アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
また樹脂粒子はラテックスの形態で用いることもできる。
樹脂粒子の重量平均分子量は1万以上、20万以下が好ましく、より好ましくは10万以上、20万以下である。
また樹脂粒子の平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、20〜100nmの範囲が更に好ましく、20〜50nmの範囲が特に好ましい。
樹脂粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
樹脂粒子の添加量はインクに対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.1〜15質量%がさらに好ましい。
また、樹脂微子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
[その他の添加剤]
本発明の紫外線硬化型水性インク組成物中に上記の化合物以外に任意の添加剤を含有してもよい。このような添加剤の例として、pH調整剤、レベリング剤、粘度調整剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、防腐剤、防かび剤等が含まれる。使用する場合には通常は水性インク組成物全体に対して、質量基準で0.1〜5%含有させる。
本発明の水性インク組成物を、例えば、インクジェット記録方式に適用する場合、粘度としては、5mPa・s以上15mPa・s以下の範囲であることが好ましい。微細な高密度高駆動周波数ノズルを備えるインクジェット記録方式の場合には、その上限は、10mPa・sとなることが好ましい。
水性インク組成物の粘度は、例えば、20℃でブルックフィールド粘度計を用いて測定することができる。
また、表面張力については、普通紙に印画することも鑑みて、35mN/m(dyne/cm)以上50mN/m以下の範囲であることが好ましい。通常の水性インクジェットインクでは、表面張力を30mN/m程度の低い値に調整し、短時間の内に浸透させることによってブリード現象を抑制するが、この場合画像濃度の低下を伴う。これに対し、本発明の水性インク組成物では、硬化により水性インク組成物の流動性を抑制可能なため、表面張力を高くしてインク滴をできるだけ被記録媒体表層に滞留させれば、ブリード、画像濃度ともに満足することが出来る。
画像濃度を確保するためには更に、紫外線照射時に、被記録媒体に対してインク滴がある程度濡れている必要があるため、表面張力の上限は50mN/m程度であることがより好ましい。
尚、水性インク組成物の表面張力は、例えば、25℃でプレート法を用いて測定することができる。
<インクセット>
本発明のインクセットは、前記紫外線硬化型水性インク組成物の少なくとも1種を含むが、必要に応じて、前記紫外線硬化型水性インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液の少なくとも1種とを含んで構成されることが好ましい。
[処理液]
本発明における処理液は、本発明の水性インク組成物と接触することで凝集体を形成可能なように構成されたものである。具体的には、処理液は、インク組成物中の着色剤などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成可能な凝集成分を少なくとも含むことが好ましく、必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。水性インク組成物と共に処理液を用いることで、例えば、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
(凝集成分)
処理液は、水性インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集成分の少なくとも1種を含有することができる。記録媒体に付与された前記水性インク組成物と処理液中の凝集成分とが接触することにより、水性インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
処理液の例としては、水性インク組成物のpHを変化させることにより凝集物を生じさせることができる液体が挙げられる。このとき、処理液のpH(25℃±1℃)は、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜6であることが好ましく、1.2〜5であることがより好ましく、1.5〜4であることが更に好ましい。この場合、吐出工程で用いる前記インク組成物のpH(25±1℃)は、7.5〜9.5(より好ましくは8.0〜9.0)であることが好ましい。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25℃)が1.5〜3である場合が好ましい。
前記凝集成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
処理液は、凝集成分として、酸性化合物の少なくとも1種を用いて構成することができる。酸性化合物としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボキシル基を有する化合物、あるいはその塩(例えば多価金属塩)を使用することができる。中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシル基を有する化合物がより好ましく、カルボキシル基を有する化合物であることが更に好ましい。
カルボキシル基を有する化合物としては、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等の中から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、1種単独で用いるほか2種以上併用してもよい。
酸性化合物の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、処理液の全質量に対して、5〜95質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、更に好ましくは15〜50質量%であり、特に好ましくは18〜30%である。
また処理液としては、凝集成分として多価金属塩の少なくとも1種を含む処理液を挙げることもできる。これにより高速凝集性を向上させることができる。多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)の塩、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタンの塩)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)の塩、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩を挙げることができる。金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
多価金属塩の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜7質量%であり、更に好ましくは2〜6質量%の範囲である。
さらにまた処理液は、凝集成分として、カチオン性有機化合物の少なくとも1種を用いて構成することができる。カチオン性有機化合物としては、例えば、アミン塩(例えば、ラウリルアミン、ロジンアミンなどの塩酸塩もしくは酢酸塩等)、アンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなど)、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、ポリグアニド、又はポリアリルアミン及びその誘導体などのカチオン性ポリマーを挙げることができる。
カチオン性有機化合物の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは2〜30質量%である。
上記のうち、凝集成分としては、凝集性及び画像の耐擦過性の点で、2価以上のカルボン酸、又は2価以上のカチオン性有機化合物が好ましい。
(その他成分)
本発明における処理液は、凝集成分に加え、一般には水溶性有機溶剤を含むことができ、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の各種添加剤を用いて構成することができる。水溶性有機溶剤の詳細については、既述の水性インク組成物におけるものと同様である。
前記その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられ、既述の水性インク組成物に含まれるその他の添加剤の具体的な例に挙げたものが適用できる。
処理液の粘度としては、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。
なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定されるものである。
また、処理液の表面張力としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20〜60mN/mであることが好ましく、20〜45mN/mであることがより好ましく、25〜40mN/mであることがさらに好ましい。
なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
<インクジェット画像形成方法>
本発明のインクジェット画像形成方法は、前記紫外線硬化型水性インク組成物を、被記録媒体上に、インクジェット法で付与する工程と、前記被記録媒体上に付与された水性インク組成物に紫外線を照射して画像を定着する工程とを含み、必要に応じてその他の工程を含んで構成される。
かかる構成であることにより、定着性に優れた画像を形成することができる。
[インクジェット法]
インクジェット法による水性インク組成物の付与は、具体的には、エネルギーを供与することにより、所望の被記録媒体、すなわち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報等に記載のインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に水性インク組成物を吐出することにより行なえる。なお、本発明に好ましいインクジェット方式として、特開2003−306623号公報の段落番号[0093]〜[0105]に記載の方法が適用できる。
インクジェット方式は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
またインクジェット方式で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式のいずれであってもよい。さらに前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
インクジェット法としては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行うシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
本発明のインクジェット画像形成方法は、被記録媒体上に付与された紫外線硬化型水性インク組成物に紫外線を照射して画像を定着する工程を含む。紫外線を照射することで水性インク組成物の重合性化合物が重合して、着色剤を含む硬化膜を形成する。
[紫外線照射ランプ]
紫外線を照射する手段としては、通常用いられる手段を用いることができ、特に紫外線照射ランプが好適に使用される。
紫外線照射ランプは、水銀の蒸気圧が点灯中で1〜10Paであるような、いわゆる、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、蛍光体が塗布された水銀灯等が好ましい。これらの水銀ランプにおける紫外線領域の発光スペクトルは、450nm以下、特には184nm〜450nmの範囲であり、黒色或いは、着色された水性インク組成物中の重合性化合物を効率的に反応させるのに適している。また、電源をプリンタに搭載する上でも、小型の電源を使用できるので、適している。水銀ランプには、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンフラッシュランプ、ディープUVランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、UVレーザー等が実用されており、発光波長領域としては上記範囲を含むので、電源サイズ、入力強度、ランプ形状等が許されれば、基本的には適用可能である。光源は、用いる光開始剤の感度にも合わせて選択することができる。
必要な紫外線強度は、硬化に有効な波長領域において500〜5000mW/cmであることが好ましい。照射強度が弱いと高い品位、堅牢性を有する画像の形成が達成されない。また、照射強度が強すぎると、被記録媒体がダメージを受けたり、色材の退色を生じたりすることがある。
[処理液付与工程]
本発明のインクジェット画像形成方法は、高速画像形成の観点から、インク組成物を付与する工程と紫外線を照射する工程に加えて、処理液付与工程を備えることが好ましい。
処理液付与工程は、インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液を記録媒体に付与し、処理液をインク組成物と接触させて着色剤を含む凝集体を形成し、これにより画像を形成する。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
処理液付与工程は、インク組成物を用いたインク付与工程の前又は後のいずれに設けてもよい。
本発明においては、処理液付与工程で処理液を付与した後にインク付与工程を設けた態様が好ましい。すなわち、記録媒体上に、インク組成物を付与する前に、予めインク組成物中の着色剤を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与して画像化する態様が好ましい。これにより、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
処理液の付与量としては、インク組成物を凝集可能であれば特に制限はないが、好ましくは、凝集成分(例えば、2価以上のカルボン酸又はカチオン性有機化合物)の付与量が0.1g/m以上となる量とすることができる。中でも、凝集成分の付与量が0.1〜1.0g/mとなる量が好ましく、より好ましくは0.2〜0.8g/mである。凝集成分の付与量は、0.1g/m以上であると凝集反応が良好に進行し、1.0g/m以下であると光沢度が高くなり過ぎず好ましい。
また、本発明においては、処理液付与工程後にインク付与工程を設け、処理液を記録媒体上に付与した後、インク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥する加熱乾燥工程を更に設けることが好ましい。インク付与工程前に予め処理液を加熱乾燥させることにより、滲み防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
加熱乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[イオン性組成物B−01の調製]
攪拌機、冷却管を備えた200mlの三口フラスコにポリアクリル酸(カルボキシル基含有水溶性高分子化合物;和光純薬(株)製、重量平均分子量5000)4g、Irgacure907(水不溶性光開始剤;チバ・ジャパン(株)製)1g、及びメタノール40gを混合し、加熱して溶解した。更に水10gを添加し、還流下に1時間攪拌した。その後、大気圧下にて反応容器内の温度を60℃に4時間保ちメタノールの一部を除去した。更に、反応容器内を減圧して残存メタノールを除去し、イオン性組成物B−01の水溶液を得た。
[イオン性組成物B−02の調製]
攪拌機、冷却管を備えた200mlの三口フラスコにポリエチレンイミン50%水溶液(アミノ基含有水溶性高分子化合物;アルドリッチ(株)製、重量平均分子量1200)8g、4−ベンゾイル安息香酸(水不溶性光開始剤;アルドリッチ(株)製)1g、及びメタノール40gを混合し、加熱して溶解した。更に水10gを添加し、還流下に1時間攪拌した。その後、大気圧下にて反応容器内の温度を60℃に4時間保ちメタノールの一部を除去した。更に、反応容器内を減圧して残存メタノールを除去し、イオン性組成物B−02の水溶液を得た。
<紫外線硬化型水性インク組成物の調製>
《シアンインクD−1の調製》
(シアン顔料分散液の調液)
反応容器に、スチレン6部、ステアリルメタクリレート11部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成(株)製)4部、ブレンマーPP−500(日本油脂(株)製)5部、メタクリル酸5部、2−メルカプトエタノール0.05部、メチルエチルケトン24部の混合溶液を調液した。
別に、スチレン14部、ステアリルメタクリレート24部、スチレンマクロマーAS−6 9部、ブレンマーPP−500 9部、メタクリル酸10部、2−メルカプトエタノール0.13部、メチルエチルケトン56部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部からなる混合溶液を調液し、滴下ロートに入れた。
次いで、窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を1時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部をメチルエチルケトン12質量部に溶解した溶液を3時間かけて滴下し、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、水不溶性ポリマー分散剤P−1のメチルエチルケトン溶液を得た。
得られた水不溶性ポリマー分散剤溶液の一部について、溶媒を除去することによって単離し、得られた固形分をテトラヒドロフランにて0.1質量%に希釈し、GPCにて重量平均分子量を測定した。その結果、単離された固形分は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が25,000であった。
上記で得られた水不溶性ポリマー分散剤P−1のメチルエチルケトン溶液を固形分換算で5.0g、シアン顔料ピグメントブルー15:3(大日精化(株)製)10.0g、メチルエチルケトン40.0g、1mol/L水酸化ナトリウム8.0g、イオン交換水82.0g、0.1mmジルコニアビーズ300gをベッセルに供給し、レディーミル分散機(アイメックス(株)製)で1000rpm6時間分散した。得られた分散液をエバポレーターでメチルエチルケトンが十分除去され、顔料濃度が15%になるまで減圧濃縮し、水不溶性ポリマー分散剤で表面が被覆された顔料よりなる着色剤として、シアン顔料分散液C−1を得た。得られたシアン顔料分散液C−1の平均粒径は77nmであった。
(インク組成物の調製)
上記で得られたイオン性組成物B−01の水溶液を水酸化ナトリウムを用いてpH8.0に調整し、エチレン性不飽和結合を有する化合物としてNKエステルA−400(新中村化学(株)製)、着色剤として上記で得られたシアン顔料分散液C−1を用いて、下記のインク組成になるように各成分を混合した後、5μmフィルターで粗大粒子を除去し、紫外線硬化型水性インク組成物であるシアンインクD−1を調製した。
「シアンインクD−1のインク組成」
・シアン顔料分散液C−1 … 26.6%
・NKエステルA−400(新中村化学(株)製) … 20%
・イオン性組成物B−01(光開始剤の固形分換算) … 2%
・オルフィンE1010(日信化学(株)製) … 1%
・イオン交換水 … 合計が100%となるように添加
《シアンインクD−2の調製》
上記シアンインクD−1の調製において、イオン性組成物B−01の代わりにイオン性組成物B−02を用いた以外はシアンインクD−1と同様の方法で、紫外線硬化型水性インク組成物であるシアンインクD−2を調製した。
《シアンインクDH−1及びDH−2の調製》
特表2003−512484号公報の段落番号[0144]〜[0147]記載の開始剤分散物の製造例1に従って、Irgacure819の水分散物BH−01を調製した。また、WO01/057145号パンフレットの第一実施形態に記載の方法に従い、エチレン性不飽和結合を有する化合物としてNKエステル A−9530(新中村化学(株)製)を、開始剤としてIrgacure1700(チバ・ジャパン(株)製)を用いて、開始剤分散物BH−02を調製した。
上記シアンインクD−1の調製において、イオン性組成物B−01の代わりに、開始剤分散物BH−01、BH−02をそれぞれ用いた以外はシアンインクD−1と同様の方法で、紫外線硬化型水性インク組成物であるシアンインクDH−1及びDH−2をそれぞれ調製した。
<処理液の調製>
下記組成となるように各成分を混合することで、処理液を調製した。
「処理液の組成」
・マロン酸(和光純薬(株)製) … 15.0%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬(株)製) … 20.0%
・N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム(界面活性剤) … 1.0%
・イオン交換水 … 64.0%
上記処理液の物性値を測定したところ、粘度2.6mPa・s、表面張力37.3mN/m、pH1.6であった。
なお、表面張力の測定は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で行ない、粘度の測定は、VISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で行なった。また、pHは、25℃にて測定した。
[評価]
上記の如く調製した各シアンインク(以下、単に「インク」ということがある)について、以下のようにしてインクの吐出性(再吐出性)試験、画像の定着性(耐擦過性、耐ブロッキング性)試験を行った。結果を表1に示す。
(再吐出性)
上記で得られた処理液を、特菱両面アートN(三菱製紙(株)製)上に、ワイヤーバーコーターを用いて、約5μmの膜厚になるように塗布し乾燥させた。
上記で得られたインクを、リコー社製GELJETG717のカートリッジに詰め替え、処理液を付与した特菱両面アートN上に、リコー社製GELJETG717プリンターヘッドを用いて、解像度1200×600dpi、インク打滴量12pLになるように打滴した。下記の項目及び基準に従って再吐出性を評価した。
〜評価項目〜
(i)ライン方式でシアン色のベタ画像を印画したとき、画像ムラが見られないものを良好であるとした。
(ii)1分間連続吐出後、30分間アンキャップで放置した後に、再吐出した際の吐出率が90%以上(不吐出率が10%未満)を良好であるとした。
(iii)60分間連続吐出後の吐出率が90%以上(不吐出率が10%未満)を良好であるとした。
〜評価基準〜
◎ …(i)〜(iii)の全てが満たされていた。
○ …(i)、(ii)の2項目が満たされていた。
△ …(i)のみが満たされていた。
× …(i)〜(iii)の全てが満たされていなかった。
(耐擦過性)
上記で得られた処理液を、特菱両面アートN(三菱製紙(株)製)上に、ワイヤーバーコーターを用いて、約5μmの膜厚になるように塗布し乾燥させた。
処理液を付与した特菱アート両面Nを500mm/秒で稼動するステージ上に固定した。その後、走査方向に対して斜めに配置して固定してあるリコー社製GELJET GX5000プリンターヘッドで解像度1200×600dpi、打滴量3.5pL、ライン方式でシアン色のベタ画像を印画した。
印画直後、60℃、3秒間乾燥させ、更に高圧水銀ランプを用いて800mJ/cmの照射量で紫外線を照射して画像部を硬化させ、印画サンプルを作製した。
未印画の特菱アート両面N(三菱製紙製)を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印画の特菱アートと評価サンプルが接触する面積は150mm)、上記印画サンプルを3往復擦った(荷重260kg/mに相当)。擦った後の印画面を目視により観察し、下記の評価基準に従って耐擦過性を評価した。
〜評価基準〜
○ … 印画面に画像(色材)のはがれが視認できなかった。
△ … 印画面に画像(色材)のはがれがごくわずかに認められた。
× … 印画面に画像(色材)のはがれが視認でき、実用上問題になるレベルであった。
(耐ブロッキング性)
上記の耐擦過性の評価方法における印画サンプルの作製と同様にして、印画サンプルを作製した。
印画サンプルを3.5cm×4cmに切り出し、10cm×10cmのアクリル板の上に載せた。印画サンプルの上に同じサイズに切り出した未印画の特菱アート両面N(三菱製紙製)を10枚載せ、その上に10cm×10cmのアクリル板を載せた。温度50℃、湿度60%の条件下で12時間放置し、その後、アクリル板の上に1kgの分銅を載せて24時間放置した(加重700kg/mに相当)。前記分銅をはずし、温度25℃、湿度50%の条件下で2時間保管した後、印画サンプルから未印画の特菱アートを剥がした。剥がすときに感じる抵抗と、未印画の特菱アートの目視観察により、下記の評価基準に従って耐ブロッキング性を評価した。
〜評価基準〜
○ … 抵抗なく剥がれた。
△ … 剥がすときに抵抗があったが、印画サンプルからの色移りはなかった。
× … 剥がすときに抵抗があり、印画サンプルからの色移りが確認でき、実用上問題となるレベルであった。
表1から分かるように、本発明の水性インク組成物は吐出性(再吐出性)が良好であるのに加え、硬化感度が高く定着性(耐擦過性、耐ブロッキング性)も良好であることが分かる。
一方、従来公知の光開始剤分散物を用いた水性インク組成物は、吐出性および定着性が本発明の水性インク組成物と比較して劣っていることが分かる。
以上より、本発明によれば、従来にない良好な吐出性と定着性を有する水性インク組成物を提供することができることが分かる。

Claims (6)

  1. a)水系媒体と、
    b)エチレン性不飽和結合を有する化合物と、
    c)水溶性高分子化合物および光開始剤を含むイオン性組成物と、を含み、
    前記光開始剤が前記水系媒体中でアニオン性の極性を示しうる置換基を有し、且つ、前記水溶性高分子化合物が前記水系媒体中でカチオン性の極性を示しうる置換基を有し、
    前記イオン性組成物が水溶性である紫外線硬化型水性インク組成物。
  2. 着色剤を更に含む請求項1に記載の紫外線硬化型水性インク組成物。
  3. 前記着色剤が顔料である請求項2に記載の紫外線硬化型水性インク組成物。
  4. インクジェット記録用インクである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型水性インク組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型水性インク組成物の少なくとも1種を含むインクセット。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型水性インク組成物または請求項5に記載のインクセットに含まれる紫外線硬化型水性インク組成物を、被記録媒体上に、インクジェット法で付与する工程と、
    前記被記録媒体上に付与された紫外線硬化型水性インク組成物に紫外線を照射して画像を定着する工程と、
    を含むインクジェット画像形成方法。
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