JP4411503B2 - ロボット装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はロボット装置及びその制御方法に関し、例えばペットロボットに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ユーザからの指令や周囲の環境に応じて行動を行う4足歩行型のペットロボットが本願出願人から提案及び開発されている。かかるペットロボットは、一般家庭において飼育される犬や猫に似た形状を有し、ユーザからの指令や周囲の環境に応じて自律的に行動するものである。なお以下においては、外部の命令から脱することを基本として、必要に応じて当該命令に従うときもありながら、自己の規範に従って行動することを自律と定義して使用するものとする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところでかかるペットロボットにおいて、例えばユーザからの「叩く」や「撫でる」といった働きかけに対して「怒り」や「喜び」などの感情を表現し得るようにすることができれば、ユーザとペットロボットのコミュニケーションを円滑にさせることができ、その分ペットロボットに対するユーザの愛着心及び好奇心を向上させて、そのエンターテインメント性をより一層向上させ得るものと考えられる。
【0004】
そして従来ではこのような考えのもとに、ペットロボットは、身体の所定位置に配設されたCCD(Charge Coupled Device)カメラ、マイクロホン及びタッチセンサ等の出力に基づいて周囲及び自己内部の状況や、ユーザからの指令及び働きかけの有無などを認識し、認識結果に基づいて行動するようになされている。
【0005】
ところがかかるペットロボットは、上述のように自律的に行動するものであるが故に、ユーザからの働きかけ等に対して必ずしも反応したり決まった反応を起こすものではない。このためかかるペットロボットにおいては、例えばもともと動きのない姿勢にある場合(例えば寝ていたり、又は単に座っているだけの場合)や、意識的に動きを発現しない動作モード時に、ユーザがペットロボットが壊れてしまったとの誤解を与えるおそれがあった。
【0006】
従来のペットロボットでは、上述のような自律的な行動を発現するためのプログラムが記憶されたソフトウェアがペットロボット本体内のハードウェア上に実装されていたため、ユーザは自律性のある動作モード時に本来発現するはずの行動が発現しない場合は、「仮想ペットの感情値などによって行動が抑制されている」のか、或いは「ハードウェア等の故障により、発現不可能な状態にある」のかを外部からは判別することは非常に困難であった。
【0007】
従ってかかるペットロボットにおいて、自律性のある動作モード時に正常に行動発現しているのか否かをユーザが容易に認識することができれば、ユーザに不要の誤解や心配を与えるのを防止して、エンターテインメント性をより一層向上させ得るものと考えられる。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、エンターテインメント性を向上させ得るロボット装置及びその制御方法を提案しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、ロボット装置において、少なくとも1以上の外部センサと、少なくとも1以上の内部センサと、故障の有無判断のためのクリニックモードを実行するとき、本装置に対する外部からの特定の働きかけに応じて、当該特定の働きかけに予め一意に対応付けられた特定の行動を発現させるためのクリニックモード用プログラムを記憶する記憶手段と、特定の行動を発現する行動発現手段と、本装置を自律的に行動させるための自律モードを実行したとき、外部センサ及び内部センサの出力に基づいて本装置の外部及び内部の状況を認識し、当該認識結果と、自律モードを実行するための自律モード用プログラムとに基づいて、本装置を自律的に行動させるように制御し、クリニックモードを実行したとき、1の外部センサの出力に基づいて本装置に外部から与えられた特定の働きかけを検出すると、記憶手段から読み出したクリニックモード用プログラムに基づいて、特定の働きかけの検出に応じて特定の行動を発現させるように行動発現手段を制御する制御手段とを設けるようにした。
【0010】
この結果、このロボット装置では、当該ロボット装置に外部から与えられた特定の働きかけに対する特定の行動の発現の有無に基づいて、ユーザが装置本体内のハードウェアやソフトウェアに故障が生じているか否かを容易に判断することができ、かくして装置本体内のハードウェアやソフトウェアに実際に故障が生じていない場合であっても、ユーザにロボット装置が壊れてしまったとの誤解が生ずるのを未然に回避することができる。
【0011】
また本発明においては、ロボット装置の制御方法において、そのロボット装置を自律的に行動させるための自律モードを実行したとき、ロボット装置に設けられた少なくとも1以上の外部センサ及び少なくとも1以上の内部センサの出力に基づいて当該ロボット装置の外部及び内部の状況を認識し、当該認識結果と、自律モードを実行するための自律モード用プログラムとに基づいて、ロボット装置を自律的に行動させるように制御し、故障の有無判断のためのクリニックモードを実行したとき、1の外部センサの出力に基づいてロボット装置に外部から与えられた特定の働きかけを検出すると、ロボット装置に対する外部からの特定の働きかけに応じて、当該特定の働きかけに予め一意に対応付けられた特定の行動を発現させるためのクリニックモード用プログラムに基づいて、その特定の働きかけの検出に応じて特定の行動を発現させるように行動発現手段を制御するようにした。
【0012】
この結果、このロボット装置の制御方法では、当該ロボット装置に外部から与えられた特定の働きかけに対する特定の行動の発現の有無に基づいて、ユーザが装置本体内のハードウェアやソフトウェアに故障が生じているか否かを容易に判断することができ、かくして装置本体内のハードウェアやソフトウェアに実際に故障が生じていない場合であっても、ユーザにロボット装置が壊れてしまったとの誤解が生ずるのを未然に回避することができる。
【0013】
さらに本発明においては、プログラムが記憶された記憶手段は、ロボット装置の本体内に設けるようにした。この結果このロボット装置及びその方法では、当該ロボット装置に不具合が生じた場合に、故障が生じた部分が装置本体内のハードウェアやソフトウェアであるか、又は外部から装填された記憶媒体であるかをユーザが容易に判断することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0015】
(1)本実施の形態によるペットロボットの構成
図1において、1は全体として本実施の形態によるペットロボットを示し、胴体部ユニット2の前後左右にそれぞれ脚部ユニット3A〜3Dが連結されると共に、胴体部ユニット2の前端部及び後端部にそれぞれ頭部ユニット4及び尻尾部ユニット5が連結されることにより構成されている。
【0016】
この場合胴体部ユニット2には、図2に示すように、このペットロボット1全体の動作を制御するコントローラ10と、このペットロボット1の動力源としてのバッテリ11と、バッテリセンサ12、熱センサ13及び加速度センサ14等からなる内部センサ部15と、背中に配設されたタッチセンサ(以下、これを背中タッチセンサと呼ぶ)16とが収納されている。
【0017】
また頭部ユニット4には、このペットロボット1の「耳」に相当するマイクロホン17、「目」に相当するCCD(Charge Coupled Device)カメラ18及び上部に配設されたタッチセンサ(以下、これを頭部タッチセンサと呼ぶ)19、外見上の「目」としての機能を有する複数のLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)からなるLED部20と、「口」に相当するスピーカ21と、「顎」に相当するタッチセンサ(以下、これを顎タッチセンサと呼ぶ)22となどがそれぞれ所定位置に配設されている。
【0018】
この場合、胴体部ユニット2の背中タッチセンサ16と、頭部ユニット4のマイクロホン17、CCDカメラ18、頭部タッチセンサ19及び顎タッチセンサ22とから外部センサ部23を構成するようになされている。
【0019】
さらに尻尾部ユニット5には、駆動自在に尻尾5Aが配設されると共に、当該尻尾5Aには、そのときのペットロボット1の心理状態を表示するための青色又はオレンジ色に発光可能なLED(以下、これを心理状態表示用LEDと呼ぶ)5ALが配設されている。
【0020】
さらに各脚部ユニット3A〜3Dの関節部分や、各脚部ユニット3A〜3D及び胴体部ユニット2の各連結部分、頭部ユニット4及び胴体部ユニット2の連結部分、並びに尻尾部ユニット5及び胴体部ユニット2の連結部分などには、それぞれ対応する自由度数分のアクチュエータ241〜24nが配設されている。
【0021】
そして外部センサ部23のマイクロホン17は、ユーザから図示しないサウンドコマンダを介して音階として与えられる「歩け」、「伏せ」又は「ボールを追いかけろ」などの指令音を集音し、得られた音声信号S1Aをコントローラ10に送出する。またCCDカメラ18は、周囲の状況を撮像し、得られた画像信号S1Bをコントローラ10に送出する。
【0022】
さらに背中タッチセンサ16、頭部タッチセンサ19及び顎タッチセンサ22は、それぞれ図1において明らかなように、胴体部ユニット2の背中部、頭部ユニット4の上部及び顎部に設けられており、ユーザからの「撫でる」や「叩く」といった物理的な働きかけにより受けた圧力を検出し、検出結果を圧力検出信号S1C、S1D、S1Eとしてそれぞれコントローラ10に送出する。
【0023】
また内部センサ部15のバッテリセンサ12には、バッテリ11のエネルギー残量を検出し、検出結果をバッテリ残量検出信号S2Aとしてコントローラ10に送出する。また温度センサ13は、ペットロボット1内部の温度を検出し、検出結果を温度検出信号S2Bとしてコントローラ10に送出する。さらに加速度センサ14は、3軸方向(X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)の加速度を検出し、検出結果を加速度検出信号S2Cとしてコントローラ10に送出する。
【0024】
コントローラ10は、外部センサ部22から与えられる音声信号S1A、画像信号S1B及び圧力検出信号S1C、S1D、S1E(以下、これらをまとめて外部情報信号S1と呼ぶ)と、内部センサ部15から与えられるバッテリ残量信号S2A、温度検出信号S2B及び加速度検出信号S2C等(以下、これらをまとめて内部情報信号S2と呼ぶ)とに基づいて、外部及び内部の状態や、ユーザからの指令及び働きかけの有無などを判断する。
【0025】
そしてコントローラ10は、この判断結果と、胴体部ユニット2内に着脱自在に装填されている外部メモリ25に予め格納されている制御プログラムとに基づいて続く行動を決定し、当該決定結果に基づいて必要なアクチュエータ241〜24nを駆動させることにより、頭部ユニット4を上下左右に振らせたり、尻尾部ユニット5の尻尾5Aを動かせたり、各脚部ユニット3A〜3Dを駆動して歩行させるなどの行動や動作を行わせる。
【0026】
またこの際コントローラ10は、必要に応じて音声信号S3を生成してこれをスピーカ20に与えることにより、当該音声信号S3に基づく音声を外部に出力させ、外見上の「目」としてのLED部20にLED駆動信号S5を出力することによりこれをかかる判断結果に応じた所定の発光パターンで発光させ、及び又は尻尾部ユニット5の心理状態表示用LED5ALにLED駆動信号S6を送出することによりこれをそのときの心理状態に応じた発光パターンで発光させる。
【0027】
このようにしてこのペットロボット1においては、外部メモリ25が装填されている場合には、当該外部メモリ25から読み出した制御プログラムに基づいて自律性のある動作モード(以下、これを自律モードと呼ぶ)を実行することにより、外部及び内部の状態や、ユーザからの指令及びユーザからの働きかけの有無などに応じて自律的に行動することができるようになされている。
【0028】
なおペットロボット1の外見上の「目」としての機能を有するLED部20の具体的な構成を図3に示す。この図3からも明らかなように、LED部20は、感情を表現するための感情表現用LEDとして、それぞれ赤色光を発光する一対の第1の赤色LED20R11、20R12及び一対の第2の赤色LED20R21、20R22と、それぞれ青緑色光を発光する一対の青緑色LED20BG1、20GB2とを有している。
【0029】
この場合各第1の赤色LED20R11、20R12は、それぞれ発光部が所定長さの直線形状を有しており、矢印aで示す頭部ユニット4の前方向に行くに従って先窄みの位置関係となるように頭部ユニット4の前後方向のほぼ中段部に配設されている。
【0030】
また各第2の赤色LED20R21、20R22は、それぞれ発光部が所定長さの直線形状を有しており、頭部ユニット4の前方向に行くに従って先広がりの位置関係となるように、かつ各第1の赤色LED20R11、20R12と合わせてほぼ放射状の位置関係となるように頭部ユニット4の中段部に配設されている。
【0031】
これによりこのペットロボット1においては、各第1の赤色LED20R11、20R12を同時に点灯することによって、あたかも目をつり上げて怒っているかのような「怒り」の表情や、嫌悪感を感じているかのような「嫌悪」の表情などを表現することができ、各第2の赤色LED20R21、20R22を同時に点灯することによって、あたかも悲しんでいるかのような「悲しみ」の表情などを表現することができ、さらには各第1及び第2の赤色LED20R11、20R12、20R21、20R22を全て同時に点灯することによって、恐怖を感じているかのような「恐怖」の表情や、驚いているかのような「驚き」の表情などを表現することができるようになされている。
【0032】
これに対して各青緑色LED20BG1、20BG2は、それぞれ発光部が所定長さの弓なり形状を有しており、それぞれ頭部ユニット4における対応する第1の赤色LED20R11、20R12の直前位置に、弓なりの内側を前方(矢印a)に向けた状態で配設されている。
【0033】
これによりこのペットロボット1では、各青緑色LED20BG1、20BG2を同時に点灯することによって、あたかも笑っているかのような「喜び」の表情を表現することができるようになされている。
【0034】
そしてかかるペットロボット1では、頭部ユニット4の前端近傍から頭部タッチセンサ19の直前までの筐体の上部部分に、これら第1及び第2の赤色LED20R11、20R12、20R21、20R22並びに青緑色LED20BG1 、20BG2 を覆い隠すように、例えば合成樹脂材からなる黒色の半透明カバー26(図1)が配設されている。
【0035】
これによりこのペットロボット1においては、第1、第2の赤色LED20R11、20R12、20R21、20R22や青緑色LED20BG1、20BG2が点灯していない状態のときにはこれらが外側から見えず、これに対して第1、第2の赤色LED20R11、20R12、20R21、20R22や青緑色LED20BG1、20BG2が点灯している状態のときにはこれを外側から確実に見えるようにすることができ、かくして3種類の形状の「目」が存在することに起因する違和感を有効に防止することができるようになされている。
【0036】
かかる構成に加えてこのペットロボット1の場合、LED部20には、後述するように当該ペットロボット1のシステムが特別な状態にあるときに点滅駆動されるシステム情報表示用の緑色LED20Gが設けられている。
【0037】
この場合この緑色LED20Gは、発光部が所定長さの直線形状を有する緑色に発光可能なLEDであり、頭部ユニット4における第1の赤色LED20R11、20R12の僅か上側で、かつ半透明カバー26によって覆い隠される位置に配設されている。
【0038】
これによりこのペットロボット1では、半透明カバー26越しに見えるこの緑色LED20Gの点滅状態に基づいて、ユーザが当該ペットロボット1のシステム状態を容易に認識することができるようになされている。
【0039】
(2)クリニックモードにおけるコントローラの処理
この実施の形態の場合、ペットロボット1において、外部メモリ26が装填されていないときには、コントローラ10内の内部メモリ10Aから読み出した制御プログラムに基づいて故障の有無判断のための動作モード(以下、これをクリニックモードと呼ぶ)を実行することにより、外部センサ部22から与えられる外部情報信号S1に基づく周囲の状況やユーザからの指令及び働きかけの有無などに応じて予め対応付けられた特定の行動を発現するようになされている。
【0040】
かかるクリニックモード時では、コントローラ10は、外部センサ部23のうち頭部タッチセンサ19、背中タッチセンサ16、顎タッチセンサ22及びCCDカメラ18の各センサ(以下、これを入力系センサ類と呼ぶ)のうちいずれか1の入力系センサ類からセンサ入力が与えられると、当該センサ入力に対応して、頭部ユニット4のLED部20、尻尾部ユニット5の心理状態表示用LED5AL、各脚部ユニット3A〜3D及び頭部ユニット4のスピーカ21の各出力系(以下、これを出力系デバイスと呼ぶ)のうちの少なくとも1以上の出力系デバイスから出力(発光、動作、放音)させるようになされている。
【0041】
例えばクリニックモード時に、ペットロボット1がCCDカメラ18の撮像範囲内に「ボール」をとらえて撮像した場合、コントローラ10は、当該撮像結果を受けると、各脚部ユニット3A〜3Dに対応するアクチュエータ21を駆動して座り姿勢を5秒間維持しながら、尻尾部ユニット5の心理状態表示用LED5ALを青色に点灯させると同時に、頭部ユニット4のスピーカ21を介して所定のサウンド(鳴き声)を放音する。
【0042】
またクリニックモード時に、ペットロボット1では、胴体部ユニット2の背中タッチセンサ16がユーザによって押圧されたことをコントローラ10が確認すると、頭部ユニット4のスピーカ21を介して所定のサウンド(返事のような鳴き声)を放音しながら、各脚部ユニット3A〜3Dに対応するアクチュエータ24を駆動して5歩だけ進む。
【0043】
さらにクリニックモード時に、ペットロボット1が頭部ユニット4の頭部タッチセンサ19がユーザによって押圧されたことをコントローラ10が確認すると、頭部ユニット4のLED部20のうち第1及び第2の赤色LED20R11、20R12、20R21、20R22並びに青緑色LED20BG1 、20BG2 が当該押圧の度合いに応じて適宜選択的に発光すると共に、頭部ユニット4のスピーカ21を介して当該押圧の度合いに応じた強度及びリズムでなるサウンドを放音する。
【0044】
具体的にはユーザが頭部タッチセンサ19を撫でた(Click)ときには、コントローラ10は、頭部ユニット4のスピーカ21を介して所定のサウンド(鳴き声)を放音する。
【0045】
またユーザが頭部タッチセンサ19を強く押した(Hit)ときには、コントローラ10は、頭部ユニット4のスピーカ21を介して所定のサウンド(怒り声)を放音すると共に、頭部ユニット4のLED部20のうち各第1の赤色LED20R11、20R12を同時に点灯することによって、あたかも目をつり上げて怒っているかのような「怒り」の表情を表現する。
【0046】
さらにユーザが頭部タッチセンサ19を軽く押した(Pat)ときには、コントローラ10は、頭部ユニット4のスピーカ21を介して所定のサウンド(笑い声)を放音すると共に、頭部ユニット4のLED部20のうち各青緑色LED20BG1、20BG2を同時に点灯することによって、あたかも笑っているかのような「喜び」の表情を表現する。
【0047】
さらにユーザが頭部タッチセンサ19を3秒以上押し続けた(Long Pat)ときには、コントローラ10は、頭部ユニット4のスピーカ21を介して所定のサウンド(歓声)を放音すると共に、頭部ユニット4のLED部20のうち第1の赤色LED20R12、青緑色LED20BG1、第2の赤色LED20R21、第2の赤色LED20R22、青緑色LED20BG2及び第1の赤色LED20R11の順番で時計回りに1つずつ順次点滅させることによって、あたかも電光ルーレットをユーザに呈示するかのような「大喜び」の表情を表現する。
【0048】
さらにクリニックモード時に、ペットロボット1が頭部ユニット4の顎タッチセンサ22がユーザによって押圧されたことをコントローラ10が確認すると、当該押圧の度合いにかかわらず頭部ユニット4のスピーカ21を介して所定のサウンド(甘えるような鳴き声)を放音する。
【0049】
なおこのクリニックモード時に、入力系センサ類16、18、19、22のうちいずれも所定時間の間ユーザから何も入力動作が与えられなかったときには、コントローラ10は、各脚部ユニット3A〜3Dに対応するアクチュエータ24を駆動することによって、5種類の伏せ姿勢で表現される「伏せ芸」、5種類の座り姿勢で表現される「座り芸」及び5種類の立ち姿勢で表現される「立ち芸」の順番で5秒ごとに各「芸」を順次繰り返して発現するようにして、あたかも退屈しているかのような「退屈芸」を表現する。
【0050】
このようにペットロボット1では、クリニックモード時において、入力系センサ類16、18、19、22のうちいずれか1の入力系センサ類16、18、19、22からセンサ入力が与えられると、コントローラ10は、内部メモリ10Aから読み出した制御プログラムに基づいて、複数の出力系デバイスのうち当該センサ入力に対応して予め設定されている少なくとも1以上の出力系デバイス3A〜3D、5AL、20、21を特定して当該各出力系デバイス3A〜3D、5AL、20、21から出力(発光、動作、放音)させることにより、周囲の状況やユーザからの指令及び働きかけの有無などに応じて予め対応付けられた特定の行動を発現させ得るようになされている。
【0051】
(3)コントローラ10の処理
次にこのペットロボット1におけるコントローラ10の具体的な処理について説明する。
【0052】
コントローラ10の処理内容を機能的に分類すると、図4に示すように、外部及び内部の状態を認識する状態認識機構部30と、状態認識機構部30の認識結果に基づいて感情及び本能の状態を決定する感情・本能モデル部31と、状態認識機構部30の認識結果及び感情・本能モデル部31の出力に基づいて続く行動や動作を決定する行動決定機構部32と、行動決定機構部32により決定された行動や動作を行うためのペットロボット1の一連の動作計画を立てる姿勢遷移機構部33と、姿勢遷移機構部33により立てられた動作計画に基づいてアクチュエータ241〜24nを制御するデバイス制御部34とに分けることができる。
【0053】
以下、これら状態認識機構部30、感情・本能モデル部31、行動決定機構部32、姿勢遷移機構部33及びデバイス制御機構部34について詳細に説明する。
【0054】
(3−1)状態認識機構部30の構成
状態認識機構部30は、外部センサ部23(図2)から与えられる外部情報信号S1と、内部センサ部15から与えられる内部情報信号S2とに基づいて特定の情報を認識し、認識結果を状態認識情報S10として感情・本能モデル部31及び行動決定機構部32に通知する。
【0055】
実際上、状態認識機構部30は、外部センサ部23のマイクロホン17(図2)から与えられる集音信号S1Aを常時監視し、当該集音信号S1Aのスペクトラムとして「歩け」、「伏せ」、「ボールを追いかけろ」などの指令に応じてサウンドコマンダから出力される指令音と同じ音階のスペクトラムを検出したときにその指令が与えられたと認識し、認識結果を感情・本能モデル部31及び行動決定機構部32に通知する。
【0056】
また状態認識機構部30は、CCDカメラ18(図2)から与えられる画像信号S1Bを常時監視し、当該画像信号S1Bに基づく画像内に例えば「赤い丸いもの」や「地面に対して垂直かつ所定高さ以上の平面」を検出したときには「ボールがある」、「壁がある」と認識し、認識結果を感情・本能モデル部31及び行動決定機構部32に通知する。
【0057】
さらに状態認識機構部30は、頭部タッチセンサ19(図2)から与えられる圧力検出信号S1Dを常時監視し、当該圧力検出信号S1Cに基づいて所定の閾値以上のかつ短時間(例えば2秒未満)の圧力を検出したときには「叩かれた(叱られた)」と認識し、所定の閾値未満のかつ長時間(例えば2秒以上)の圧力を検出したときには「撫でられた(誉められた)」と認識し、認識結果を感情・本能モデル部31及び行動決定機構部32に通知する。
【0058】
一方、状態認識機構部30は、内部センサ部15の加速度センサ14(図2)から与えられる加速度検出信号S2Cを常時監視し、当該加速度検出信号S2Cに基づいて例えば予め設定された所定レベル以上の加速度を検出したときには「大きな衝撃を受けた」と認識する一方、これよりもさらに大きい重力加速度程度の加速度を検出したときには「(机等から)落ちた」と認識し、これら認識結果を感情・本能モデル部31及び行動決定機構部32に通知する。
【0059】
また状態認識機構部30は、温度センサ13(図2)から与えられる温度検出信号S2Bを常時監視し、当該温度検出信号S2Bに基づいて所定以上の温度を検出したときには「内部温度が上昇した」と認識し、認識結果を感情・本能モデル部31及び行動決定機構部32に通知する。
【0060】
(3−2)感情・本能モデル部31の処理
感情・本能モデル部31は、図5に示すように、「喜び」、「悲しみ」、「驚き」、「恐怖」、「嫌悪」及び「怒り」の6つの情動にそれぞれ対応させて設けられた感情モデルとしての情動ユニット40A〜40Fからなる基本情動群40と、「食欲」、「愛情欲」、「探索欲」及び「運動欲」の4つの欲求にそれぞれ対応させて設けられた欲求モデルとしての欲求ユニット41A〜41Dからなる基本欲求群41と、各情動ユニット40A〜40F及び各欲求ユニット41A〜41Dにそれぞれ対応して設けられた強度増減関数42A〜42Jとを有している。
【0061】
そして各情動ユニット40A〜40Fは、対応する情動の度合いを例えば0〜100レベルまでの強度によってそれぞれ表し、当該強度を対応する強度増減関数42A〜42Fから与えられる強度情報S11A〜S11Fに基づいて時々刻々と変化させる。
【0062】
また各欲求ユニット41A〜41Dは、情動ユニット40A〜40Fと同様に、対応する欲求の度合いを0〜100レベルまでの強度によってそれぞれ表し、当該強度を対応する強度増減関数42G〜42Jから与えられる強度情報S12G〜S12Jに基づいて時々刻々と変化させる。
【0063】
そして感情・本能モデル部31は、これら情動ユニット40A〜40Fの強度を組み合わせることより感情の状態を決定すると共に、これら欲求ユニット41A〜41Dの強度を組み合わせることにより本能の状態を決定し、当該決定した感情及び本能の状態を感情・本能状態情報S12として行動決定機構部32に出力する。
【0064】
なお強度増減関数42A〜42Jは、状態認識機構部30から与えられる状態認識情報S10と、後述の行動決定機構部32から与えられるペットロボット1自身の現在又は過去の行動の内容を表す行動情報S13とに基づき、予め設定されているパラメータに応じて上述のように各情動ユニット40A〜40F及び各欲求ユニット41A〜41Dの強度を増減させるための強度情報S11A〜S11Jを生成して出力するような関数である。
【0065】
かくしてペットロボット1においては、これら強度増減関数42A〜42Jのパラメータを各行動及び動作モデル(Baby1、Child 1、Child2、Young 1〜Young 3、Adult 1〜Adult 4)ごとに異なる値に設定することによって、ペットロボット1に「いらいら」や「おとなしい」のような性格をもたせることができるようになされている。
【0066】
(3−3)行動決定機構部32の処理
行動決定機構部32は、複数の行動モデルを外部メモリ25内に有している。そして行動決定機構部32は、状態認識機構部30から与えられる状態認識情報10と、感情・本能モデル部31の各情動ユニット40A〜40F及び各欲求ユニット41A〜41Dの強度と、対応する行動モデルとに基づいて次の行動や動作を決定し、決定結果を行動決定情報S14として姿勢遷移機構部33及び成長制御機構部35に出力する。
【0067】
この場合、行動決定機構部32は、次の行動や動作を決定する手法として、図6に示すような1つのノード(状態)NDA0から同じ又は他のどのノードNDA0〜NDAnに遷移するかを各ノードNDA0〜NDAn間を接続するアークARA0〜ARAnに対してそれぞれ設定された遷移確率P0〜Pnに基づいて確率的に決定する確率オートマトンと呼ばれるアルゴリズムを用いる。
【0068】
より具体的には、外部メモリ25には行動モデルとして、各ノードNDA0〜NDAnごとの図7に示すような状態遷移表50が格納されており、行動決定機構部32がこれに状態遷移表50に基づいて次の行動や動作を決定するようになされている。
【0069】
ここで状態遷移表50においては、そのノードNDA0〜NDAnにおいて遷移条件とする入力イベント(認識結果)が「入力イベント」の行に優先順に列記され、その遷移条件についてのさらなる条件が「データ名」及び「データ範囲」の行における対応する列に記述されている。
【0070】
従って図7の状態遷移表50で定義されたノードND100では、「ボールを検出した(BALL)」という認識結果が与えられた場合に、当該認識結果と共に与えられるそのボールの「大きさ(SIZE)」が「0から1000の範囲(0,1000)」であることや、「障害物を検出(OBSTACLE)」という認識結果が与えられた場合に、当該認識結果と共に与えられるその障害物までの「距離(DISTANCE)」が「0から100の範囲(0,100)」であることが他のノードに遷移するための条件となっている。
【0071】
またこのノードND100では、認識結果の入力がない場合においても、行動決定機構部が周期的に参照する感情・本能モデル部31の各情動ユニット40A〜40F及び各欲求ユニット41A〜41Dの強度のうち、「喜び(JOY)」、「驚き(SUPRISE)」又は「悲しみ(SUDNESS)」のいずれかの情動ユニット40A〜40Fの強度が「50から100の範囲(50,100)」であるときには他のノードに遷移することができる。
【0072】
また状態遷移表50では、「他のノードへの遷移確率」の欄における「遷移先ノード」の列にそのノードNDA0〜NDAnから遷移できるノード名が列記されると共に、「入力イベント名」、「データ値」及び「データの範囲」の各行に記述された全ての条件が揃ったときに遷移できる他の各ノードNDA0〜NDAnへの遷移確率が「他のノードへの遷移確率」の欄における「出力行動」の行に記述される。なお「他のノードへの遷移確率」の欄における各行の遷移確率の和は100〔%〕となっている。
【0073】
従ってこの例のノードNODE100では、例えば「ボールを検出(BALL)」し、そのボールの「大きさ(SIZE)」が「0から1000の範囲(0,1000)」であるという認識結果が与えられた場合には、「30〔%〕」の確率で「ノードNODE120(node 120)」に遷移でき、そのとき「ACTION 1」の行動や動作が出力されることとなる。
【0074】
そして各行動モデルは、それぞれこのような状態遷移表50として記述されたノードNDA0〜NDAnがいくつも繋がるようにして構成されている。
【0075】
かくして行動決定機構部32は、状態認識機構部30から状態認識情報S10が与えられたときや、最後に行動を発現してから一定時間が経過したときなどに、メモリ10Aに格納されている対応する行動モデルのうちの対応するノードNDA0〜NDAnの状態遷移表50を利用して次の行動や動作(「出力行動」の行に記述された行動や動作)を確率的に決定し、決定結果を行動指令情報S14として姿勢遷移機構部33及び成長制御機構部35に出力するようになされている。
【0076】
(3−4)姿勢遷移機構部33の処理
姿勢遷移機構部33は、行動決定機構部32から行動決定情報S14が与えられると、当該行動決定情報S14に基づく行動や動作を行うためのペットロボット1の一連の動作計画を立て、当該動作計画に基づく動作指令情報S15を制御機構部34に出力する。
【0077】
この場合姿勢遷移機構部33は、動作計画を立てる手法として、図8に示すようなペットロボット1がとり得る姿勢をそれぞれノードNDB0〜NDB2とし、遷移可能なノードNDB0〜NDB2間を動作を表す有向アークARB0〜ARB2で結び、かつ1つのノードNDB0〜NDB2間で完結する動作を自己動作アークARC0〜ARC2として表現する有向グラフを用いる。
【0078】
このためメモリ10Aには、このような有向グラフの元となる、当該ペットロボット1が発現できる全ての動作の始点姿勢及び終了姿勢をデータベース化したファイル(以下、これをネットワーク定義ファイルと呼ぶ)のデータが格納されており、姿勢遷移機構部33は、このネットワーク定義ファイルに基づいて、図9〜図12に示すような全身用、頭部用、脚部用及び尻尾部用の各有向グラフ60〜63をそれぞれ生成する。
【0079】
なおこの図9〜図12からも明らかなように、このペットロボット1においては、姿勢が大きく「立つ(oStanding)」、「すわる(oSitting)」、「伏せる(oSleeping)」及びバッテリ11(図2)を充電するための図示しない充電台上の姿勢である「ステーション(oStation)」の4つに分類されている。そしてこれら各4つの各姿勢について、各「成長段階」に共通する基本姿勢(二重丸印)と、「幼年期」用、「少年期」用、「青年期」用及び「成人期」用の1又は複数の通常姿勢(丸印)とを有している。
【0080】
例えば図9〜図12において破線で囲んだ部分は「幼年期」用の通常姿勢を表わすものであるが、このうち図9からも明らかなように、「幼年期」における「伏せる」の通常姿勢として、「oSleeping b(baby)」、「oSleeping b2」〜「oSleeping b5」があり、「すわる」の通常姿勢として、「oSitting b」、「oSitting b2」がある。
【0081】
そして姿勢遷移機構部33は、行動決定機構部32から「立て」、「歩け」、「お手をしろ」、「頭を揺すれ」、「尻尾を動かせ」などの行動指令が行動指令情報S14として与えられると、対応する有向グラフ60〜63を用いて、有向アークの向きに従いながら現在のノードから指定された姿勢が対応付けられたノード又は指定された動作が対応付けられた有向アーク若しくは自己動作アークに至る経路を探索し、当該探索した経路上の各有向アークにそれぞれ対応付けられた動作を順次行わせるような動作指令を動作指令情報S15として制御機構部34に次々と出力する。
【0082】
例えばペットロボット1の現在のノードが全身用の有向グラフ60における「oSitting b」であり、行動決定機構部32から「oSleeping b4」のノードにおいて発現する動作(自己動作アークa1 に対応付けられた動作)の行動指令が姿勢遷移機構部33に与えれた場合、姿勢遷移機構部33は、全身用の有向グラフ60上で「oSitting b」のノードから「oSleeping b4」のノードに至る経路を探索し、「oSitting b」のノードから「oSleeping b5」のノードに姿勢を遷移させるための動作指令と、「oSleeping b5」のノードから「oSleeping b3」のノードに姿勢を遷移させるための動作指令と、「oSleeping b3」のノードから「oSleeping b4」のノードに姿勢を遷移させるための動作指令とを動作指令情報S15として制御機構部34に次々と出力し、最後に「oSleeping b4」のノードから指定された動作が対応付けられた自己動作アークa1 を介して「oSleeping b4」のノードに戻るための動作指令を動作指令情報S15として制御機構部34に出力する。
【0083】
この際、ペットロボット1の「成長段階」及び「性格」等に応じて動き(「荒々しい」動き、「おとなしい」動きなど)を変えるために、遷移可能な2つのノード間が複数の有向アークによって結ばれていることがあるが、このような場合には、姿勢遷移機構部33は、後述の成長制御機構部35の制御に基づいてそのときのペットロボット1の「成長段階」及び「性格」に応じた有向アークを経路として選択する。
【0084】
またこれと同様に、各「成長段階」及び「性格」等に応じて動きを変えるために、あるノードから当該ノードに戻る自己動作アークが複数設けられていることがあるが、このような場合にも姿勢遷移機構部33は、上述と同様にしてそのときのペットロボット1の「成長段階」及び「性格」に応じた有向アークを経路として選択する。
【0085】
なお上述のような姿勢遷移では、途中の姿勢に停留する時間がほどんど「0」であり、従って当該姿勢遷移の途中で他の「成長段階」で使用するノードを経由しても良い。このため姿勢遷移機構部33は、現在のノードから目標とするノード又は有向アーク若しくは自己動作アークに至る経路を探索する際、現在の「成長段階」に関わりなく最短の経路を探索する。
【0086】
また姿勢遷移機構部33は、頭部、脚部又は尻尾部に対する行動指令が与えられた場合には、全身用の有向グラフ60に基づいてペットロボット1の姿勢を当該行動命令に応じたいずれかの基本姿勢(二重丸印)に戻し、この後対応する頭部、脚部又は尻尾部の有向グラフ61〜63を用いて頭部、脚部又は尻尾部の姿勢を遷移させるように動作指令情報S15を出力する。
【0087】
(3−5)制御機構部34の処理
制御機構部34は、姿勢遷移機構部33から与えられる動作指令情報S15に基づいて制御信号S16を生成し、当該制御信号S16に基づいて各アクチュエータ241〜24nを駆動制御することにより、ペットロボット1に指定された行動や動作を行わせる。
【0088】
(4)本実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、このペットロボット1では、胴体部ユニット2内に外部メモリ25を装填してない状態で電源投入するとクリニックモードで起動する。このときペットロボット1の周囲の状況やユーザからの指令及び働きかけの有無などのセンサ入力に応じて予め一意に対応付けられた特定の行動を発現する。
【0089】
従って、このペットロボット1では、クリニックモード時における入力に対する当該ペットロボットの出力行動に基づいてユーザが容易にそのペットロボットのハードウェアやソフトウェアに故障が生じているか否かを判断することができる。かくしてペットロボット1内のハードウェアやソフトウェアに実際に故障が生じていない場合であっても、ユーザがペットロボット1が壊れてしまったとの誤解が生ずるのを未然に回避することができる。
【0090】
またペットロボット1では、クリニックモードに応じた制御プログラムを、外部メモリ25ではなく、コントローラ10内の内部メモリ10Aに記憶しておくようにしたことにより、ペットロボット1に不具合が生じた場合に、故障が生じた部分がペットロボット1内のハードウェアやソフトウェアであるか、又は外部メモリ25であるかをユーザが容易に判断することができる。
【0091】
以上の構成によれば、このペットロボット1において、胴体部ユニット2内に外部メモリ25を装填してない状態で電源投入するとクリニックモードで起動し、ペットロボット1の周囲の状況やユーザからの指令及び働きかけの有無などのセンサ入力に応じて予め一意に対応付けられた特定の行動を発現するようにしたことにより、クリニックモード時における入力に対するペットロボット1の出力行動に基づいてユーザが容易にそのペットロボット1のハードウェアやソフトウェアに故障が生じているか否かを判断することができる。かくするにつきペットロボット1内のハードウェアやソフトウェアに実際に故障が生じていない場合であっても、ユーザがペットロボット1が壊れてしまったとの誤解が生ずるのを未然に回避することができ、かくしてエンターテインメント性を向上させ得るペットロボット1を実現できる。
【0092】
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、本発明を図1のように構成された4脚歩行型のペットロボット1に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、外部センサ及び又は内部センサの出力に基づいて外部及び又は内部の状況を認識し、認識結果に基づいて行動する自律型のロボット装置に広く適用することができる。
【0093】
また上述の実施の形態においては、外部から与えられた働きかけを検出する検出手段として、入力系センサ類、すなわち外部センサ部23のうちの頭部タッチセンサ19、背中タッチセンサ16、顎タッチセンサ22及びCCDカメラ18を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、外部センサ部23のうちの上述の入力系センサ類以外の他のマイクロホン16など、この他種々の検出手段を広く適用することができる。
【0094】
さらに上述の実施の形態においては、所定のプログラムを記憶する記憶手段として、上述したクリニックモードに応じた制御プログラムが記憶されたコントローラ10内の内部メモリ10Aを適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、ロボット装置の本体内部に設けられた記憶手段であれば、この他種々の構成のものに広く適用することができる。
【0095】
さらに上述の実施の形態においては、クリニックモードに応じた制御プログラムに基づいて、入力系センサ類16、18、19、22のセンサ入力に応じて予め一意に対応付けられた特定の行動を発現する行動発現手段として、頭部ユニット4のLED部20、尻尾部ユニット5の心理状態表示用LED5AL、各脚部ユニット3A〜3D及び頭部ユニット4のスピーカ21の各出力系(以下、これを出力系デバイスと呼ぶ)のうちの少なくとも1以上の出力系デバイスを適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成からなる行動発現手段に広く適用することができる。
【0096】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、ロボット装置において、少なくとも1以上の外部センサと、少なくとも1以上の内部センサと、故障の有無判断のためのクリニックモードを実行するとき、本装置に対する外部からの特定の働きかけに応じて、当該特定の働きかけに予め一意に対応付けられた特定の行動を発現させるためのクリニックモード用プログラムを記憶する記憶手段と、特定の行動を発現する行動発現手段と、本装置を自律的に行動させるための自律モードを実行したとき、外部センサ及び内部センサの出力に基づいて本装置の外部及び内部の状況を認識し、当該認識結果と、自律モードを実行するための自律モード用プログラムとに基づいて、本装置を自律的に行動させるように制御し、クリニックモードを実行したとき、1の外部センサの出力に基づいて本装置に対する外部からの特定の働きかけを検出すると、記憶手段から読み出したクリニックモード用プログラムに基づいて、特定の働きかけの検出に応じて特定の行動を発現させるように行動発現手段を制御する制御手段とを設けるようにしたことにより、ロボット装置に外部から与えられた特定の働きかけに対する特定の行動の発現の有無に基づいて、ユーザが装置本体内のハードウェアやソフトウェアに故障が生じているか否かを容易に判断することができ、その結果、装置本体内のハードウェアやソフトウェアに実際に故障が生じていない場合であっても、ユーザにロボット装置が壊れてしまったとの誤解が生ずるのを未然に回避することができ、かくしてエンターテインメント性を向上させ得るロボット装置を実現できる。
【0097】
また本発明によれば、ロボット装置の制御方法において、そのロボット装置を自律的に行動させるための自律モードを実行したとき、ロボット装置に設けられた少なくとも1以上の外部センサ及び少なくとも1以上の内部センサの出力に基づいて当該ロボット装置の外部及び内部の状況を認識し、当該認識結果と、自律モードを実行するための自律モード用プログラムとに基づいて、ロボット装置を自律的に行動させるように制御し、故障の有無判断のためのクリニックモードを実行したとき、1の外部センサの出力に基づいてロボット装置に対する外部からの特定の働きかけを検出すると、ロボット装置に対する外部からの特定の働きかけに応じて、当該特定の働きかけに予め一意に対応付けられた特定の行動を発現させるためのクリニックモード用プログラムに基づいて、その特定の働きかけの検出に応じて特定の行動を発現させるように行動発現手段を制御するようにしたことにより、ロボット装置に外部から与えられた特定の働きかけに対する特定の行動の発現の有無に基づいて、ユーザが装置本体内のハードウェアやソフトウェアに故障が生じているか否かを容易に判断することができ、その結果、装置本体内のハードウェアやソフトウェアに実際に故障が生じていない場合であっても、ユーザにロボット装置が壊れてしまったとの誤解が生ずるのを未然に回避することができ、かくしてエンターテインメント性を向上させ得るロボット装置の制御方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したペットロボットの外観構成を示す斜視図である。
【図2】ペットロボットの回路構成を示すブロック図である。
【図3】LED部の構成を示す一部断面図である。
【図4】コントローラの処理の説明に供するブロック図である。
【図5】感情・本能モデル部におけるデータ処理の説明に供する概念図である。
【図6】確率オートマトンを示す概念図である。
【図7】状態遷移表を示す概念図である。
【図8】有向グラフの説明に供する概念図である。
【図9】全身用の有向グラフを示す概念図である。
【図10】頭部用の有向グラフを示す概念図である。
【図11】脚部用の有向グラフを示す概念図である。
【図12】尻尾部用の有向グラフを示す概念図である。
【符号の説明】
1……ペットロボット、2……胴体部ユニット、3A〜3D……脚部ユニット、4……頭部ユニット、5……尻尾部ユニット、5AL……心理状態表示用LED、10……コントローラ、10A……メモリ、15……内部センサ、16……背中タッチセンサ、17……マイクロホン、18……CCDカメラ、19……頭部タッチセンサ、20……LED部、21……スピーカ、22……顎タッチセンサ、23……外部センサ、241〜24n……アクチュエータ、25……外部メモリ、30……状態認識機構部、31……感情・本能モデル部、32……行動決定機構部、33……姿勢遷移機構部、34……制御機構部。
Claims (6)
- 少なくとも1以上の外部センサと、
少なくとも1以上の内部センサと、
故障の有無判断のためのクリニックモードを実行するとき、本装置に対する外部からの特定の働きかけに応じて、当該特定の働きかけに予め一意に対応付けられた特定の行動を発現させるためのクリニックモード用プログラムを記憶する記憶手段と、
上記特定の行動を発現する行動発現手段と、
上記本装置を自律的に行動させるための自律モードを実行したとき、上記外部センサ及び上記内部センサの出力に基づいて上記本装置の外部及び内部の状況を認識し、当該認識結果と、上記自律モードを実行するための自律モード用プログラムとに基づいて、上記本装置を自律的に行動させるように制御し、上記クリニックモードを実行したとき、1の上記外部センサの出力に基づいて、上記本装置に外部から与えられた上記特定の働きかけを検出すると、上記記憶手段から読み出した上記クリニックモード用プログラムに基づいて、上記特定の働きかけの検出に応じて上記特定の行動を発現させるように上記行動発現手段を制御する制御手段と
を具えるロボット装置。 - 上記記憶手段は、上記本装置の本体内に設けられた
請求項1に記載のロボット装置。 - 電源投入用の操作手段
を具え、
上記制御手段は、上記本装置に、予め上記自律モード用プログラムが格納された外部記憶手段が装填されている状態で上記操作手段が操作されて電源投入すると、上記自律モードを実行し、上記本装置に、上記外部記憶手段が装填されてはいない状態で上記操作手段が操作されて電源投入すると、上記クリニックモードを実行する
請求項2に記載のロボット装置。 - ロボット装置を自律的に行動させるための自律モードを実行したとき、上記ロボット装置に設けられた少なくとも1以上の外部センサ及び少なくとも1以上の内部センサの出力に基づいて当該ロボット装置の外部及び内部の状況を認識し、当該認識結果と、上記自律モードを実行するための自律モード用プログラムとに基づいて、上記ロボット装置を自律的に行動させるように制御し、故障の有無判断のためのクリニックモードを実行したとき、1の上記外部センサの出力に基づいて上記ロボット装置に外部から与えられた特定の働きかけを検出すると、上記ロボット装置に対する外部からの上記特定の働きかけに応じて、当該特定の働きかけに予め一意に対応付けられた上記特定の行動を発現させるためのクリニックモード用プログラムに基づいて、上記特定の働きかけの検出に応じて上記特定の行動を発現させるように行動発現手段を制御する制御ステップ
を具えるロボット装置の制御方法。 - 上記制御ステップでは、上記クリニックモードを実行すると、上記ロボット装置の本体内に設けられた記憶手段に予め記憶されている上記クリニックモード用プログラムに基づいて上記行動発現手段を制御する
請求項4に記載のロボット装置の制御方法。 - 上記制御ステップでは、上記ロボット装置に、予め上記自律モード用プログラムが格納された外部記憶手段が装填されている状態で電源投入用の操作手段が操作されて電源投入すると、上記自律モードを実行し、上記ロボット装置に、上記外部記憶手段が装填されてはいない状態で上記操作手段が操作されて電源投入すると、上記クリニックモードを実行する
請求項5に記載のロボット装置の制御方法。
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