JP4410911B2 - 屋根瓦の瓦止め方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、強風や振動等により瓦の飛散、落下、ずれ等を防止する屋根瓦の瓦止め方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、瓦屋根に施工する屋根瓦は特定の屋根瓦を野地板等の下地材に釘打ちして固定し、他の屋根瓦は単に重ね合わせた状態で配置している。
また、中古住宅の場合には、野地板が腐食して釘が効かなくなっていることが多いので、その場合には、屋根瓦を漆喰、セメント、シリコン等によるコーキング材で止めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した特定の枚数のうちの1つの屋根瓦を釘等で野地板に固定する屋根瓦の固定方法においては、各屋根瓦の下部を強風で煽られると簡単に飛んでしまうことが多いという問題があった。
また、コーキング材を用いて屋根瓦を固定する方法においては、瓦屋根の施工に工事費及び期間共にかかる上に、屋根瓦の見え掛かり部分を直接接合しているので、外から望見でき非常に見苦しいという問題があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、簡単な施工で屋根瓦の重ね合わせ部分を接合し、強風や振動によっても吹き飛んだりずれたりしない屋根瓦の瓦止め方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る屋根瓦の瓦止め方法は、一部重ね合わせた状態で並べて配置された屋根瓦の前記重ね合わせ部分の中央部分に、外側に連通する空間を内側に有する合成樹脂繊維体の内部に接着剤を含めた瓦止め部材を配置し、隣合う前記屋根瓦を該瓦止め部材によって連結する屋根瓦の瓦止め方法であって、前記合成樹脂繊維体は自由状態では一辺が1〜数cmの直方体であり、前記接着剤はウレタン系又はゴム系の接着剤であって、前記重ね合わせ部分に配置された前記瓦止め部材は上下方向に圧縮され、内部の前記接着剤が流れ出してそのまま硬化し、しかも該瓦止め部材は前記接着剤が硬化後も弾性状態を有する。
【0005】
本発明に係る屋根瓦の瓦止め方法において、合成樹脂繊維体の材料には合成樹脂の他にゴム材を含み、合成樹脂繊維体としては、例えば、外側に連通し更に内部に相互に連通する多数の気泡(気孔)を有してスポンジ状や蜂の巣状になったものを使用するのが好ましいが、外側に連通する空間が内部に形成され、その中に接着剤を含ませることができるものであれば、他のものであっても適用可能である。
接着剤としては、硬化した場合には、完全に固定となって弾力性が全くないものよりも、荷重が掛かれば変形する弾性力(柔軟性、軟弾性)を有するものがよく、例えば、ゴム系の接着剤等を使用するのが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1(A)、(B)は本発明の一実施の形態に使用する瓦止め部材を示す図面であって(A)はその斜視図、(B)は(A)における矢視A−A断面図を示す。図2は本発明の一実施の形態に係る屋根瓦の瓦止め方法の説明図、図3は図2における矢視B−B断面図である。
【0007】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る瓦止め部材10は、多数の気孔を有する合成樹脂繊維体11と、その内部に含ませた接着剤12とを有している。以下、これらについて詳しく説明する。
合成樹脂繊維体11は、自由状態で平面視して正方形(又は長方形)で高さが水平の一辺より短い(例えば、2〜3cm)直方体からなっている。この実施の形態では、合成樹脂の材料としてはウレタンを使用したが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン、ゴム、その他のゴム又は合成樹脂材を使用することができる。合成樹脂繊維体を構成する繊維の太さは直径が0.1〜1.5mm(より好ましくは、0.4〜0.8mm)程度を使用するのがよく、外側に連通する内部の空間は直径が1〜8mm(より好ましくは、4〜6mm)程度の気泡が繋がっている状態でよい。全体の大きさ(容積)に対する気泡の体積率は70〜98%程度であるが、この範囲を超える場合であっても本発明は適用される。そして、この合成樹脂繊維体11は弾性力を有し、仮に外部から圧縮荷重があっても荷重を除くと元の状態に戻る性質を有している。
【0008】
この合成樹脂繊維体11を液状又は半液状の接着剤の中に入れて、内部の空間部に接着剤を侵入させるか、あるいは合成樹脂繊維体11の内部に接着剤を注入する。接着剤としてはウレタン系又はゴム系の接着剤でもよいが、瓦の表面及び裏面と接合性がよく、しかも硬化後も弾性力を有するのが好ましい。この理由は、接着剤12が完全に硬化すると、その部分に荷重がかかった場合等において、瓦に集中荷重がかかり、割れやすくなるからである。従って、上下の瓦は接合するが、接合時に上に載っている瓦を持ち上げない程度の柔らかい合成樹脂繊維体及び接着剤を使用するのが好ましい。
なお、接着剤としては、屋根瓦等の無機物に接合性がよく、しかも夏の高温時にあっても溶融せず、硬化時に弾性力を有し、雨水に溶けない種類の接着剤であれば、他の接着剤であってもよい。
【0009】
次に、図2、図3を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る屋根瓦の瓦止め方法について説明すると、予め施工されている屋根瓦の場合には、現在配置されている上側の屋根瓦13を少し持ち上げて、一部重ね合わせた状態で並べて配置された上側の屋根瓦13と下側の屋根瓦13の重ね合わせ部分14に、瓦止め部材10を配置し、そのまま上側の屋根瓦13を下ろす。この場合、上側の屋根瓦13が元に位置に収まり、瓦止め部材10は上下方向に圧縮された状態で配置されていることが重要である。
この場合には、圧縮された接着剤12の反発力は小さく、装着された屋根瓦13を持ち上げることがないようにしておく。
【0010】
これによって、瓦止め部材10が上下に圧縮されて内部の接着剤12が表面に流れだしそのまま固化し、隣合う屋根瓦13を連結接合する。接着剤12が硬化すると、合成樹脂繊維体11は接着剤12の補強剤の役目をする。なお、硬化後瓦止め部材10は弾性状態を有する。従って、繊維強化型プラスチックと同様の構成となり、ある程度の厚みを有する瓦止め部材10の強度が増加する。
なお、屋根瓦13の上側部分には釘孔15が設けられているので、適当箇所は野地板に釘を用いて固定されている。
このような構造にすると、屋根瓦13の下部の隙間から強風16が吹き込んだり、あるいは強風17によって屋根瓦13が吸い上げられようとしても、屋根瓦13の下部は瓦止め部材10によって固定されているので、屋根瓦13が吹き上がることがない。
【0011】
この実施の形態では予め施工された屋根瓦13に対して本発明の一実施の形態に係る屋根瓦の瓦止め方法を適用したが、新築時に屋根瓦を一枚毎施工する際に瓦止め部材10を配置することもできる。
なお、本発明において、瓦止め部材10で連結する屋根瓦13の枚数は任意であり、屋根全体の全部であってもよいし、その一部であってもよく、いずれであっても簡単に工事を行うことができる。
【0012】
【発明の効果】
請求項1記載の瓦止め方法においては、屋根瓦の重ね合わせ部分に、合成樹脂繊維体の内部に接着剤を含めた瓦止め部材を配置し、隣合う前記屋根瓦を連結しているので、簡単な施工で複数の屋根瓦の固定ができ、強風や振動によっても吹き飛んだりずれたりしない。
特に、合成樹脂繊維体は自由状態では所定形状を有しているので、製造及びその取扱いが容易である。更には、接着剤は硬化後も弾性を有するものを使用しているので、仮に屋根瓦の上に荷重が掛かった場合でも、自然な状態で変形し屋根瓦が割れにくいという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)は本発明の一実施の形態に使用する瓦止め部材を示す図面であって(A)はその斜視図、(B)は(A)における矢視A−A断面図を示す。
【図2】本発明の一実施の形態に係る屋根瓦の瓦止め方法の説明図である。
【図3】図2における矢視B−B断面図である。
【符号の説明】
10:瓦止め部材、11:合成樹脂繊維体、12:接着剤、13:屋根瓦、14:重ね合わせ部分、15:釘孔、16:強風、17:強風
Claims (1)
- 一部重ね合わせた状態で並べて配置された屋根瓦の前記重ね合わせ部分の中央部分に、外側に連通する空間を内側に有する合成樹脂繊維体の内部に接着剤を含めた瓦止め部材を配置し、隣合う前記屋根瓦を該瓦止め部材によって連結する屋根瓦の瓦止め方法であって、前記合成樹脂繊維体は自由状態では一辺が1〜数cmの直方体であり、前記接着剤はウレタン系又はゴム系の接着剤であって、前記重ね合わせ部分に配置された前記瓦止め部材は上下方向に圧縮され、内部の前記接着剤が流れ出してそのまま硬化し、しかも該瓦止め部材は前記接着剤が硬化後も弾性状態を有することを特徴とする屋根瓦の瓦止め方法。
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