JPS6236895Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は建物屋根躯体外側に断熱材を配した
屋根構造に関する。

従来技術 従来、鉄筋コンクリート造りの建物屋根等を躯
体外側から断熱するためには、躯体コンクリート
面に防水材を塗着したり、防水シートを敷設して
防水層を形成し、この防水層上に合成樹脂発泡板
等の断熱材を敷き並べ、さらにその上に押えモル
タル等を打設して施工していた。しかしこの構造
は工数が多くかかり、工期が長くなる欠点があつ
た。近年、これら欠点を改善するため合成樹脂発
泡板等の断熱材にモルタルを積層した複合パネル
を防水層上に敷き並べ施工する試みが提案されて
いる。しかし、複合パネルは単に防水層上に敷並
べるだけであり、上層に積層したモルタル層の重
さで設置安定を図つてはいるが、比較的軽量であ
り風圧や雨水の浮力により外れたり、損傷したり
し易く、未解決の問題点があつた。

考案の目的 この考案は上記事情に鑑みなされたものであ
り、合成樹脂発泡板とモルタル層とが接合一体化
してなつた断熱材となるべき複合板を屋根防水層
上に敷並べてなつた屋根構造で、その目的は複合
板の敷設施工性がよく、設置安全性が優れ、風圧
や雨水の浮力に耐える屋根構造を提案するにあ
る。

考案の構成 以下図示する実施例により説明する。

第１図、第２図において、下層の合成樹脂発泡
板１と上層のモルタル２とが接合一体化してなつ
た複合板Ａが、鉄筋コンクリート造りの屋根躯体
Ｂの防水層Ｃ上に端面をつき合せ、モルタル２を
上にして敷並べてある。この複合板Ａのコーナー
部３端面の発泡板１部分所定位置に所定寸法の端
面に開口した直方体形の穴４が穿設してある。敷
並べた４枚の複合板Ａのコーナー部３が接した位
置において、４つの穴４にまたがつて四角形のビ
ス受片５を差込み、４枚の複合板Ａの上面コーナ
ー部３上に円形の押え座板６を配し、押え座板６
の中央透孔から、４つの複合板Ａのコーナー部先
端間に差込んだビス７の先端部をビス受片５の中
央ねじ孔に螺込み、ビス受片５と押え座板６とを
緊結してその間のモルタル２層と発泡板１層とを
把持して４枚の複合板Ａを連結している。

このようにして、防水層Ｃ上に敷並べた複数の
複合板Ａは一体に連結されている。なお、穴４の
寸法は差込むビス受片５の寸法に略等しく、左右
方向に対して上下方向の寸法が小であり、ビス受
片５の形によつては断面円形の場合もある。

この考案で用いる複合板は合成樹脂発泡板とモ
ルタルとは強固に接合したものが好ましい。この
ような複合板は発泡板の面に予め多数の小凹部を
設けたり、ザラザラ面となし、この面にモルタル
を流し込んでモルタルを強固に発泡板に碇止し接
合したり、あるいは発泡板にモルタル板を接着剤
を用い強固に接着し、剥離を防止したものであ
る。また、モルタルには繊維補強材や合成樹脂ラ
テツクスを混入して機械特性（引張強度、曲げ強
度、破断撓み、衝撃強度、乾燥収縮等）、防水性
能等の向上を図り、複合板のひび割れ、あるいは
下地不陸などの伴なう曲げ応力や衝撃に耐えられ
るものが好ましい。

例えば、第３図のごとく発泡板１の表面にくぼ
み８を設け、そのくぼみ底周縁に下方に向い拡大
するスカート状の空〓９を形成し、この発泡板１
の表面にモルタル２を流し込み、くぼみ８、空〓
９内までモルタル２を充填させるならば、複合板
Ａの接合強度は一層向上しより好適である。また
モルタルに引張強度、弾性係数が高い耐アルカリ
性ガラス繊維、石綿、スチール繊維、炭素繊維あ
るいはこれらの編織物をセメントに対し１〜５重
量％、スチレンブタジエン系、エチレン酢酸ビニ
ル系、塩化ビニリデン系、アクリル酸エステル系
等の合成樹脂ラテツクスをセメントに対し固形分
換算５〜20％混入するとモルタル強度が向上して
より好適である。

穴４を穿設する複合板Ａの端面位置は特に限定
されるものではない。第４図、ａ，ｂ，ｃに示す
ごとく、発泡板１の上縁のモルタル２との界面位
置、発泡板１の中央位置、あるいは発泡板１の下
縁位置などがある。しかし、ｃ図のごとく下縁位
置の場合はビス受片あるいはビス先端が防水層に
当つて防水性を損なう恐れがあるので好ましくな
い。押え座板６は複合板Ａの上面に配するが、複
合板Ａの上面を平坦に仕上げるためには、第５図
のごとく、複合板Ａ上に押え座板６が収まる凹陥
部１０を設けこの中に押え座板６を収めてもよ
い。

この考案の複合板を構成する合成樹脂発泡板は
ポリスチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエチレ
ン系、ポリウレタン系等がある。複合板の厚みは
通常28〜80mmの範囲である。複合板としての曲げ
強度および反りを防止するためにはモルタル厚み
は少なくとも８mmを必要とする。防水層としては
アスフアルト防水、シート防水、塗膜防水などで
あつて特に限定されるものではない。ビス受片お
よび押え座板は金属、合成樹脂、あるいは木材等
を素材とする。ビスとしては釘あるいはタツプビ
ス等を用いる場合もある。

作用および考案の効果 この考案は以上の構成からなる。この屋根構造
は屋根防水層上に敷並べた発泡板とモルタルとが
接合してなつた複合板がコーナー部にまたがり端
面に差込んで配したビス受片と押え座板とをビス
類で緊結して、連結一体化してある。従つて、下
地の防水層に手を加える必要がなく、単にビス受
片と押え座板とを緊結するのみで施工できるので
施工性がよい。敷並べた複合板は一体となり、軽
量の複合板であつても、また下地躯体に係止しな
くても、風圧や雨水の浮力に耐えることができ、
設置安定性が高い。また、下層の防水層に手を加
えず、合成樹脂発泡板が接するのみであるので、
防水性能を損なう恐れもない。

以上の通りこの屋根構造は、施工性がよく、複
合板の設置安定性が優れ、建物屋根を簡易に外断
熱構造となし得る効果をもたらす。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すものであつて、
第１図、第２図は敷並べた複合板コーナー部の縦
断面図および平面図、第３図は発泡板にくぼみを
設けた複合板の縦断面図、第４図ａ，ｂ，ｃは穴
位置の態様例を示す縦断面図、第５図は複合板上
面の凹陥部に押え座板を収めた事例の縦断面図で
ある。 １……合成樹脂発泡板、２……モルタル、３…
…コーナー部、４……穴、５……ビス受片、６…
…押え座板、７……ビス、８……くぼみ、９……
空〓、１０……凹陥部、Ａ……複合板、Ｂ……屋
根躯体、Ｃ……防水層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下層の合成樹脂発泡板と上層のモルタルとが接
   合一体化してなつた複合板を屋根防水層上に敷並
   べ、複数の複合板のコーナー部が接する位置にお
   いて該複数の複合板コーナー部にまたがる端面内
   に差込んで配したビス受片と複合板上面に配した
   押え座板とをビス類で緊結し、敷並べた複合板を
   連結一体化してなることを特徴とする屋根構造。