JP4409154B2 - 表示装置 - Google Patents

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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄板状の表示装置、特に界面導電現象を利用する薄型の表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電気泳動(electrophoresis)や電気浸透(electoroosmosis)のような界面動電現象(interfacial electrokinetic phenomena)をディスプレイに応用することが提案されている。電気泳動ディスプレイ(Electrophoretic Display)としては、特公昭50−15115号公報で、絶縁性の分散液中に分散させた微粒子の位置を電界制御し、光学的反射特性を変化させて表示装置とする基本的なコンセプトが最初に提案されている。また、特開昭64−86116号公報では、電気泳動粒子を含む分散液を、メッシュ状あるいは多孔質状の有孔性スペーサの多数の透孔内に封入する技術を従来技術として紹介し、分散液をマイクロカプセルに包含する手法を提案している。
【0003】
これとは別に、電気浸透をディスプレイに応用したもの(Electroosmotic Display)が特公昭61−34648号公報に開示されている。これには、電気浸透により多孔質体への液体含浸率を制御して、表示素子としてのコントラストを得る方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特公昭50−15115号公報に開示されている表示装置は、分散液中の微粒子の凝集や沈降に伴う特性劣化という寿命に関する本質的な課題を有する。特開昭64−86116号公報に開示されている表示装置では、微粒子の凝集や沈降の課題は改良されるかもしれないけれども、寿命・駆動電圧等には解決すべき課題を残している。特公昭61−34648号公報に開示されている電気浸透方式は、液体の蒸発、コントラスト不足、デバイス構造の複雑さ、均一性等の点で解決すべき課題を有し、未だ実用化には至っていない。
【0005】
本発明の目的は、前述の電気泳動ディスプレイや電気浸透ディスプレイの課題を解決し、よりシンプルな構造で安定した動作が可能な界面動電現象利用の表示装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透光性を有する透光性液体と、
前記透光性液体に分散される微粒子と、
透光性を有する透光層と着色された着色層とが厚み方向に積層されて形成され、かつ前記厚み方向に貫通する孔が複数形成される薄板状の多孔質体と、
前記厚み方向に前記透光層に隣接して設けられ、透光性を有する材料で形成される第1の基板と、
前記厚み方向に前記着色層に隣接して設けられる第2の基板と、
前記第1の基板に設けられる透明電極と、
前記第2の基板に設けられ、前記透明電極との間で電圧の印加が可能な対向電極とを含み、
前記微粒子が分散され、かつ前記多孔質体の各孔に充填される前記透光性液体は、前記第1および第2の基板によって孔の内部に密閉され、
前記微粒子は、前記透明電極と対向電極との間に電圧を印加することによって、前記厚み方向に移動することを特徴とする表示装置である。
【0007】
本発明に従えば、表示装置は、多孔質体と、透光性液体と、微粒子と、第1の基板と、第2の基板と、透明電極と、対向電極とを含む。多孔質体は、薄板状で、透光性を有する透光層と着色された着色層とが厚み方向に積層されて形成され、さらにその厚み方向に貫通する複数の孔が分散して形成される。各孔には、透光性を有する透光性液体と、その透光性液体とは光学的性質が異なる微粒子が充填され微粒子、透明電極と対向電極との間における電圧の印加で厚み方向に位置を変えることが可能である。第1の基板と第2の基板とは、微粒子を含む透光性液体が充填されている各孔を密閉するように、該多孔質体を該厚み方向の両側から挟み込む。透光層に隣接して設けられる第1の基板は、透光性を有する材料で形成され、透明電極が設けられる。また、着色層に隣接して設けられる第2の基板は、透明電極との間で電圧の印加が可能な対向電極が設けられる。したがって、表示装置は、透光層側または着色層側に微粒子を位置させるように電圧制御することによって、微粒子とその微粒子の周囲の層との組合せが変化し、着色層の色の表示および微粒子による反射光・屈折光による色の表示という視覚的な変化をもたらして表示を行うことができる。微粒子を含む透光性液体は、第1の基板と第2の基板とによって多孔質体みこむというシンプルな構造で密閉される各孔に分けて充填されているので、小さな空間に閉じこめられて、蒸発などによって失われることがなく、酸化や吸湿なども防いで、安定した表示動作を行わせることができる。また、多孔質体の孔に充填される透光性液体に分散している微粒子は、固体であり、固体と液体との界面で電気化学的相互作用が発生して表面が帯電する。微粒子の周囲の透光性液体には、電気二重層が形成され、電界の印加によって電気二重層内部に滑り面が生じ、電気泳動によって微粒子が移動する。微粒子が存在する部分と存在しない部分とは光学的性質が異なるので、電界による微粒子の移動で表示を行うことができる。透光性液体と微粒子とを多孔質体内部に密閉した構造とするので、非常に簡単な構造で微粒子と液体とを小さな空間に閉じこめることができ、微粒子の凝集という問題を回避することができる。
【0008】
また本発明で、前記透光性液体には、複数の微粒子が分散されることを特徴とする。
【0009】
本発明に従えば、多孔質体の各孔に充填される透光性液体には、複数の微粒子が分散されるので、微粒子同士での反射や屈折で、散乱反射光強度や吸収量を増大させ、多孔質体の厚み方向での光学的性質の違いをより明確に反映させて、良好なコントラスト画像を表現することができる。
【0010】
また本発明で、前記微粒子は、少なくとも1個の気泡を内添する透光性材料で構成されることを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、透光性材料中に少なくとも1個の気泡を内添するので、透光性材料と気泡との界面での屈折率差により、気泡を内添する微粒子が位置する付近の多孔質体の光学的性質が透光性を有すれば入射した光を乱反射・乱屈折させるので明るくなり、透光性を有しなければ暗くなって、表示を行うことができる。気泡は固体の透明材料中に内添されているので、気泡を安定して維持することができる。
【0012】
また本発明で、前記気泡を内添する微粒子における透光性材料の屈折率は、前記透光性液体の屈折率と同等であり、該屈折率は1.3以上であることを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、気泡を内添する微粒子における透光性材料の屈折率を透光性液体の屈折率と同等とするので、これらの界面での光の反射や屈折を少なくすることができる。これらの屈折率を1.3以上とするので、気泡との界面での全反射を生じる入射角の範囲が広くなり、表示のコントラストを向上させることができる。
【0014】
また本発明で、前記微粒子は、白色微粒子であり、
前記白色微粒子が前記透光層まで移動するように、前記透明電極と前記対向電極との間に印加される電圧を制御すると、前記第1の基板から入射する光に基づいて、白色が表現されることを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、第1の基板から孔内に入射する光は、白色微粒子の表面で乱反射される。透光層に白色微粒子が位置していない場合には乱反射は生じないので、電圧印加で白色表示するか否かを制御し、良好なコントラストを表現することができる。
【0016】
また本発明は、透光性を有する透光性液体と、
透光性を有する透光層と着色された着色層とが厚み方向に積層されて形成され、かつ前記厚み方向に貫通する孔が複数形成される薄板状の多孔質体と、
前記厚み方向に前記透光層に隣接して設けられ、透光性を有する材料で形成される第1の基板と、
前記厚み方向に前記着色層に隣接して設けられる第2の基板と、
前記第1の基板に設けられる透明電極と、
前記第2の基板に設けられ、前記透明電極との間で電圧の印加が可能な対向電極とを含み、
前記多孔質体の各孔に気泡を含んで充填される前記透光性液体は、前記第1および第2の基板によって孔の内部に密閉され、
前記気泡は、前記透明電極と対向電極との間に電圧を印加することによって、前記厚み方向に移動することを特徴とする表示装置である
【0017】
本発明に従えば、表示装置は、多孔質体と、透光性液体と、第1の基板と、第2の基板と、透明電極と、対向電極とを含む。多孔質体は、薄板状で、透光性を有する透光層と着色された着色層とが厚み方向に積層されて形成され、さらにその厚み方向に貫通する複数の孔が分散して形成される。各孔には、透光性を有する透光性液体が気泡を含んで充填され、気泡は、透明電極と対向電極との間における電圧の印加で厚み方向に位置を変えることが可能である。第1の基板と第2の基板とは、気泡を含む透光性液体が充填されている各孔を密閉するように、該多孔質体を該厚み方向の両側から挟み込む。透光層に隣接して設けられる第1の基板は、透光性を有する材料で形成され、透明電極が設けられる。また、着色層に隣接して設けられる第2の基板は、透明電極との間で電圧の印加が可能な対向電極が設けられる。したがって、表示装置は、多孔質体の孔内の透光性液体に電気浸透流を発生させるように電圧制御することによって、気泡の位置を透光層側または着色層側に移動させることができる。透光性液体と気泡との界面で光が乱反射や乱屈折するので、気泡が位置する付近の多孔質体が透光層であれば明るくなり、着色層であればその着色層の色の表示を行うことができる。気泡を含む透光性液体を多孔質体の孔の内部に密閉した構造とするので、非常に簡単な構造で気泡と透光性液体とを小さな空間に閉じこめることができ、液体の蒸発という問題を回避して長寿命化を図ることができる。
【0018】
また本発明は、前記多孔質体の各孔には、複数の気泡が含まれていることを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、多孔質体の各孔に充填される透光性液体には、複数の気泡が含まれるので、気泡同士での反射や屈折で、散乱反射光強度や吸収量を増大させ、多孔質体の厚み方向での光学的性質の違いをより明確に反映させて、良好なコントラスト画像を表現することができる。
【0020】
また本発明で、前記透光性液体の屈折率は、前記透光層の屈折率と同等であり、該屈折率は1.3以上であることを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、透光性液体の屈折率を透光層の屈折率と同等とするので、これらの界面での光の反射や屈折を少なくすることができる。これらの屈折率を1.3以上とするので、気泡との界面での全反射を生じる入射角の範囲が広くなり、表示のコントラストを向上させることができる。
【0024】
また本発明で、前記多孔質体に形成される各孔は、円筒形状に形成されることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、孔を形成しない状態の透光層と着色層とを接合した後で、イオンビームを照射して多数の微細孔をあけ、さらに化学的エッチングを行う手法などを用いて、円筒形状を有する貫通微細孔を均一に形成することができる。
【0026】
また本発明で、前記円筒形状の平均径は、100μm以下であることを特徴とする。
【0027】
本発明に従えば、多孔質体に形成される孔の円筒形状は、平均径で100μm以下となるので、人間の視覚で1画素と認識される領域に多数の孔を含ませることができ、多孔質形状に起因する画像の粒状感を防止することができる。
【0030】
また本発明で、前記円筒形状の平均径は、前記多孔質体の厚みよりも小さいことを特徴とする。
【0031】
本発明に従えば、多孔質体に形成する孔の平均粒径を多孔質体の厚みよりも小さくするので、孔に充填する液体中の微粒子や気泡の大きさも多孔質体の厚みよりも小さくなり、微粒子や気泡の位置を電圧で制御して、多孔質体の厚み方向での光学的性質の違いを表示に反映させることができる。
【0032】
また本発明で、前記多孔質体の着色層は、周期的に繰返す少なくとも3色のカラー着色パターンを有することを特徴とする。
【0033】
本発明に従えば、たとえば、赤R、緑G、および青Bの3色による微細な表示で、カラー表示を行うことができる。
また本発明で、第1の基板には、前記多孔質体とは反対側にカラーフィルタが設けられることを特徴とする。
本発明に従えば、カラーフィルタを備えるので、多孔質体での光散乱をカラーフィルタの個々の色の位置に合わせて制御し、全体としてカラー画像の表示を行うことができる。
【0034】
また本発明で、前記多孔質体ならびに前記第1および第2の基板は、有機化合物を含み、
前記透明電極および前記対向電極は導電性ポリマーを含み、
全体として可撓性を有することを特徴とする。
【0035】
本発明に従えば、多孔質体、第1および第2の基板、透明電極および対向電極を含む表示装置は、全体として可撓性を有するので、フレキシブルで、紙の書類のように取扱うことができる。
【0036】
また本発明で、前記微粒子が前記着色層まで移動するように、前記透明電極と前記対向電極との間に印加される電圧を制御すると、前記第1の基板から入射する光に基づいて、着色層の色が表現され、
前記微粒子が前記透光層まで移動するように、前記透明電極と前記対向電極との間に印加される電圧を制御すると、前記第1の基板から入射する光に基づいて、白色が表現されることを特徴とする。
本発明に従えば、気泡の位置を制御することによって、着色表示および良好なコントラストの表現が可能となる。
【0037】
また本発明で、前記気泡が前記着色層まで移動するように、前記透明電極と前記対向電極との間に印加される電圧を制御すると、前記第1の基板から入射する光に基づいて、着色層の色が表現され、
前記気泡が前記透光層まで移動するように、前記透明電極と前記対向電極との間に印加される電圧を制御すると、前記第1の基板から入射する光に基づいて、白色が表現されることを特徴とする。
本発明に従えば、気泡の位置を制御することによって、着色表示および良好なコントラストの表現が可能となる。
【0038】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の第1形態である表示装置1の一部についての厚み方向の断面構造を模式的に示す。本実施形態の表示装置1は、一組の基材である下基板2と上基板3との間に、多孔質体である二層多孔質膜4が挟まれた構造となっている。第2の基板である下基板2および第1の基板である上基板3の表面には、対向電極である下部電極5と透明電極である上部電極6がそれぞれ形成されており、液晶表示装置のようなマトリクス構造で、画像を形成する画素毎に表示を制御することができる構成となっている。表示装置1の上部が画像表示面となるため、上基板3はガラスや有機化合物などによる透光性の材料であり形成され、上部電極6もITO(Indium Tin Oxide )に代表されるような透明電極である。
【0039】
二層多孔質膜4には、微細な孔7が両表面間を貫通するように多数形成されている。孔7は、マトリクス構造で画像を表示する各画素の領域内に、複数存在するような密度で形成される。各孔7内には、透光性液体8および微粒子9が封入され、上下基板2,3に挟まれることで密閉構造となっている。
【0040】
二層多孔質膜4は、上層透明多孔質膜4aと下層黒色多孔質膜4bとから構成され、その厚み方向に貫通する複数個の孔7は互いに独立している。これらの多孔質膜の主材料は、ガラスなどの無機材料、もしくはポリカーボネート・ポリプロピレン・ポリアミド・ポリエチレンなどの有機材料が用いられる。
【0041】
多孔質膜の主材料をガラスとする場合の一例として、シラスポーラスガラス(SPG)と呼ばれる多孔質ガラスを用いることができる。これは、シラス石灰やホウ酸を添加して、1350℃前後の温度でSPGの基礎ガラス(アルミノホウケイ酸カルシウムガラス)を合成・成形した後、加熱することによりガラスの微細組織に相分離という現象を生じさせ、塩酸などで処理することでCaO・Bを溶解することにより、Al・SiO系ガラスを骨格とするガラス多孔体としたものである。平均孔径は、1nmから10μmまでであれば容易に製造可能である。
【0042】
多孔質膜の主材料を有機材料とする場合の一例として、電子線照射法による高分子多孔質膜がある。これは、高分子膜に電子線(イオンビーム・荷電粒子)を照射することによって、ポリマー鎖が切断された軌跡を形成し、溶剤による化学的エッチング処理を行うことにより、この軌跡を広げて微細孔を形成したものである。この方法による孔質膜には、非常に径の均一な円筒型貫通微細孔を形成することができることが特徴である。例えば、Nucleporeという商品名で知られるポリカーボネート多孔質膜膜は、精密濾過の用途で普及しており、公知の製法の一般的な多孔質膜であり、15nmから12μmまでの平均孔径を有するものが市販されている。
【0043】
上層透明多孔質膜4aと下層黒色多孔質膜4bとからなる二層構造の二層多孔質膜4は、例えば透明なポリカーボネートフィルムとカーボンブラックで着色された黒色ポリカーボネートフィルムとを接合した後、前述のようなイオンビーム照射と化学的エッチングとを行う手法で、円筒型貫通微細孔を均一に形成して作製することができる。この下層黒色多孔質膜4bは、カーボンブラック以外の有機顔料もしくは無機顔料または染料で着色することもできる。複数の孔7を含む領域は画素10を表示するように機能し、微粒子9の位置に応じて白色表示部10aと黒色表示部10bとして表示を行わせることができる。
【0044】
ここで透光性液体8中での微粒子9の駆動原理となる電気泳動現象に関して説明する。固体と液体の界面では、電気化学的相互作用が発生し、固体表面が帯電し、界面近傍の液体に電気2重層が形成される。固体の帯電原理として代表的なものに固体表面に存在する解離基の解離がある。たとえば、固体表面にアルキル基(R)などに結合しているカルボキシル基(−COOH)が存在する場合、下式のように解離する。このR−COO−が固体表面に残るため、固体は負に帯電する。
R−COOH→R−COO−+H+
【0045】
この他にも、固体が酸化物の場合のように、水中のH+イオンもしくはOH−イオンの吸着による帯電とみなせるものもある。このようにして固体表面が帯電すると、液体中の反対符号のイオンが静電気的に引きつけられ、電気二重層が形成される。このような場に電界をかけると、電気二重層内部に滑り面が生じ、固体と液体との間に相対的な移動が発生する。液体が静止し固体が移動するのが電気泳動で、固体が静止し液体が移動するのが電気浸透である。
【0046】
この電気二重層の厚さは、デバイ・ヒュッケルの長さと呼ばれ、近似式で計算され、液体中のイオン濃度の平方根に比例する関数となっている。たとえば、NaClのような1価塩が25℃の水中に1mol/mの濃度で溶けた電解質溶液では、電気二重層の厚さは約10nmとなる。電気泳動を発生させるためには、有効な電界を作用させることが必要で、高抵抗の液体が使用される。
【0047】
前述の電気泳動のメカニズムから、透光性液体8の材料は、多孔質膜4の材料に対して電気二重層を発生する特性を有していなければならない。また、光制御を行う表示装置1に用いるため、透光性の高い材料でなければならない。これらの条件を満足する透光性液体8としては、純水や電解水のような水系の液体の他に、ベンゼン・キシレン・シクロヘキサン・モノシラン・シロキサン・ナフタレン系などの非水系液体材料が知られている。また微粒子9の分散性を良くするために、必要に応じて界面活性剤などを添加する。
【0048】
微粒子9を白色微粒子とする場合は、酸化チタンが最も代表的な材料であるが、そのほかの有機顔料・無機顔料も使用可能である。また、微粒子9の分散性向上・白色度改善・比重の調整などの目的で、必要に応じて微粒子9の表面処理・表面コーティングを行う。たとえば、酸化チタンを用いる場合、前述のような材料を使用する透光性液体8より比重が重いため、微粒子9が重力方向に移動して沈降してしまう。電界をオフにする時の画像保持特性を向上させるためには、微粒子9の比重と透光性液体8の比重とを同程度にすればよく、そのためには比重の小さい軽量な樹脂でコーティングを行うようにすればよい。
【0049】
微粒子9を少なくとも1個の気泡を内添する透光性材料で構成する場合、この透光性材料は有機材料でも無機材料でも使用可能であり、既存のマイクロカプセル化技術で作製することができる。気泡を内添する場合、液体と比べて比重が軽くなるため、前述のような電界をオフにする時の画像保持特性を向上させるために、微粒子の比重と液体の比重を同程度にするという目的を満足するためには、ガラスのような比重の大きい重い透光性無機材料を使用する方がやや有利である。このような気泡内添ガラスの例としては、住友スリーエム社からスコッチライトという商品名で市販されているものがある。スコッチライトの平均粒径は30〜70μmである。このような有機・無機のマイクロカプセルの透光性材料と気泡との体積比を制御すれば比重の制御が可能であり、透光性液体8の比重と同程度にすることができる。また、微粒子9の分散性向上・白色度改善・比重の調整などの目的で、必要に応じて微粒子9の表面処理・表面コーティングを行うようにする。
【0050】
二層多孔質膜4を挟む上基板3および下基板2には、有機化合物から成る樹脂基板を用い、透明な上部電極6と下部電極5とに導電性ポリマーを用いると、表示装置1の全体として可撓性を有するようにすることができる。上基板3は透光性が必要であるため、PMMA、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリイミドなどの樹脂材料を使用することができる。上部電極6と下部電極5とに関しては、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ペンタセン、アントラセン、などの導電性ポリマーを含む材料で構成することができる。
【0051】
二層多孔質膜4の孔7内に微粒子9を含む透光性液体8を充填させるためには、たとえば下基板2と二層多孔質膜4とを接合して孔7の一方を封止した後、孔7内に微粒子8を分散させた透光性液体8を真空含浸させ、さらに上基板3で孔7の他方を封止すればよい。孔径に近いような比較的大きい微粒子9は、透光性液体8を充填する前に、孔7内に挿入しておけばよい。
【0052】
図2は、本実施形態の表示装置1で二層多孔質膜4の1つの孔7を拡大して示す。以下、図2を用いて、透光性液体8および微粒子9の駆動原理を説明する。微粒子9がガラスを材料として、透光性液体8が純水の場合、ガラスを材料とする微粒子9の表面がマイナスに帯電した状態となる。この状態で上部電極6にマイナスの電圧、下部電極5にプラスの電圧を印加すると、透光性液体8中に発生する上下方向の電界によりマイナスイオンリッチな微粒子9群が下向きの推力を受けて移動する。これが電気泳動現象であり微粒子9の位置を電界制御することができる。図2に示したものとは逆の電圧をかけると、同様の原理で微粒子9は上向きに移動することができる。結局、上部電極6と下部電極5との間に印加する電圧の極性を制御することにより、電界の方向を制御し、電気泳動の方向を制御し、微粒子9を上下に駆動することができるのである。
【0053】
図3および図4は、本実施形態の表示装置1での画像表示のための制御方法を示す。図3は白色を表示している状態、図4は黒色を表示している状態を、それぞれ示す。図3では、微粒子9がガラスで透光性液体8が電解水の場合のように、微粒子9がマイナスに帯電する場合について示す。
【0054】
図3に示すように、上部電極6側にプラス電圧を印加すると、マイナスに帯電した微粒子9が上に移動する。この状態で、透明な上基板3から入射する光は、透明な上部電極6を通過し、二層多孔質膜4の透明部である上層透明多孔質膜4aを通過し、微粒子9の表面に達する。微粒子9の表面に達した光は、微粒子9を構成するガラスの屈折率と透光性液体8である電解水の屈折率との違いと、微粒子9の表面が曲面であることとによって、その進行方向を変える。さらに微粒子9内部の気泡との界面に達した光は、ガラスと空気という大きな屈折率の違いと微粒子9表面が曲面であることとによって、進行方向を大きく変化させる。すなわち、入射光は微粒子9の表面および内部で乱反射され、再び上層透明多孔質膜4aの透明部を通過し透明な上部電極6と上基板3とを透過して反射光となる。透明部のみを通過する乱反射の結果、光損失の無い拡散反射光が得られ、白く見えることになる。
【0055】
図4に示すように、上部電極側6にマイナス電圧を印加すると、マイナスに帯電した微粒子9が下に移動する。この状態で透明な上基板3から入射する光は、透明な上部電極6を通過し、上層透明多孔質膜4aの透明部もしくは二層多孔質膜4の孔7に充填された透光性液体8の透明部を通過し、下層黒色多孔質膜4bの黒色部を通過し、光強度が減衰して微粒子9の表面に達する。微粒子9の表面に達した光は、前述のように微粒子9が曲面であることと屈折率の大きな変化とによって、大きくその進行方向を変える。すなわち、入射光は微粒子9の表面および内部で乱反射され、再び下層黒色多孔質膜4bの黒色部を通過して光強度が減衰する。下層黒色多孔質膜4bの黒色部において、入射光と乱反射光tpが吸収されて光強度が充分に減衰するため、上基板3を透過する反射光強度は殆ど0となる。下層黒色多孔質膜4bの黒色部における乱反射の結果、光は吸収され、反射光が無くなって黒く見えることになる。
【0056】
図5は、本発明の実施の第2形態でカラー表示を行う表示装置11の部分的な断面構造を模式的に示す。図1の実施形態に対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明を省略することがある。本実施形態でも、図1と同様に下基板2と上基板3との間に二層多孔質膜4が挟まれた構造となっている。下基板2と上基板3との表面には、下部電極5と上部電極6tpがそれぞれ形成されており、液晶表示装置のようなマトリクス構造での画像の画素表示を制御することができる構成となっている。上基板3のさらに上部には、フルカラーを表示するためのカラーフィルタ12が形成される。カラーフィルタ12は、少なくとも、3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)をそれぞれ表示するR表示部12a、G表示部12bおよびB表示部12cを含んでいる。
【0057】
図5に示す状態では、R表示部12aとB表示部12cとに対応する下部電極5にプラスの電圧が印加されているため、マイナスに帯電した微粒子9が下に移動する。微粒子9が下方に位置するときは、下層黒色多孔質膜4bで光が散乱・吸収されるため、R表示部12aによる赤色と、B表示部12cによる青色とは発色せず黒色となる。これに対し、微粒子9が上方にあるG表示部12bでは、上層透明多孔質膜4aの透明部にある微粒子9表面で光が散乱するため、緑色の発色が得られる。
【0058】
図6は、本発明の実施形態の第3形態でカラー表示を行う表示装置21の部分的な断面構造を模式的に示す。図1の実施形態に対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明を省略することがある。本実施形態でも、図1と同様に下基板2と上基板3との間に二層多孔質膜4が挟まれた構造となっている。下基板2と上基板3との表面には、下部電極5と上部電極6とがそれぞれ形成されており、液晶表示装置のようなマトリクス構造画像の画素を制御することができる構成となっている。ここで二層多孔質膜24は上層透明多孔質膜24aと下層着色多孔質膜24b構成されている。さらに下層着色多孔質膜24bは、フルカラーを表示するための3原色である赤(R)、緑(G)および青(B)の少なくとも3色の着色部として、R表示部24ba、G表示部24bbおよびB表示部24bcがそれぞれ形成されている。
【0059】
図6に示す状態では、緑表示用のG表示部24bbに対応する下部電極5にプラスの電圧が印加されているため、マイナスに帯電した微粒子9が下方に移動する。微粒子9が下方に位置するときは、G表示部24bbで光が散乱・吸収されるため、緑色の反射光となる。これに対し、微粒子9が上層透明多孔質膜24aにあるR表示部24baとB表示部24bcとでは、微粒子9の表面で光が散乱するため下層着色多孔質膜24bのR表示部24baおよびB表示部24bcに光が届かず、白色の反射光色が得られる。この構造では、下層着色多孔質膜24bが図5のカラーフィルタ12の役割を果たすため、カラーフィルタ不用の簡略な構成にすることができる。
【0060】
図7は本発明の実施の各形態でのマトリックス電極構造を模式的に示す。上基板3上の上部電極6には上部電極制御線6aが縦方向に等ピッチで配列されており、下基板2上の下部電極5には下部電極制御線5aが横方向に等ピッチで形成され、マトリクス電極構造を形成している。そして、下部電極制御線5aおよび上部電極制御線6aは、表示する画像情報に応じて電圧を制御するための下部電極制御LSI25および上部電極制御LS26にそれぞれ接続されている。さらに、下部電極制御LSI25および下部電極制御LSI26には、それらを制御する制御LSI27が接続されている。このようなマトリックス電極構造で画像表示を制御する手法は、液晶表示装置等で実用化されている手法と同様である。
【0061】
図7において、画像解像度を200dpiとすると、上部電極制御線線6aと下部電極制御線線5aとの配列ピッチは127μmとなる。前述のシラスポーラスガラス(SPG)やポリカーボネート多孔質膜の標準的なものを用いると、平均孔径が約10μm以下で1画素内に複数個の孔が存在することになり、良好な画像を形成することができる。
【0062】
図8は、本発明の実施の第1、第2または第3形態の表示装置1,11,21で用いることができる気泡内添微粒子29の1つを拡大して示す。図8によって、気泡表面における光の反射挙動を説明する。入射光は基板に垂直で、気泡内添微粒子29は球形とし、透光性樹脂材料による透孔部31内に気泡32を含んでいる。気泡32の屈折率n2<気泡内添微粒子29の透光性部31の屈折率n1=透光性液体8の屈折率n3とする。気泡界面への入射角をθ1、屈折角をθ2とすると、p偏光とs偏光とにおけるエネルギ反射率RpおよびRs、エネルギ透過率TpおよびTsは、フレネルの反射・屈折の法則より下式となる。
【0063】
【数1】
Figure 0004409154
【0064】
屈折角θ2は、下記スネルの法則より算出される。また屈折率n1の大きい媒質から屈折率n2が小さい媒質へ光が入射する場合、下式で計算される入射角θcより大きな角度で入射した光はすべて反射される全反射が生じる。この式はスネルの法則で屈折角θ2=90°としたもので、θcは一般に臨界角と呼ばれるものである。
【0065】
【数2】
Figure 0004409154
【0066】
気泡32の表面に入射する光は、屈折率n1の固体から屈折率n2の気体へ進み、n1>n2である故、上記全反射が生じ光が散乱される。上記の式に基づきp偏光とs偏光とについてエネルギ透過率とエネルギ反射率を計算した結果をそれぞれ図9と図10とに示す。n1=1.3で計算すると、n2=1とみなすことができるので、臨界角は約50度となり、p偏光および偏光はともに50度以上の入射角でエネルギ反射率が100%となっていることが図9および図10から判る。全反射が発生する入射角が大きい領域は、気泡32の周辺部に相当する。すなわち、気泡32の中心部近傍に向かって入射した光はほぼ透過するけれども、気泡32の周辺部に向かって入射した光はほぼ反射される特性を示すものである。
【0067】
二層多孔質膜4の屈折率n4と透光性液体8の屈折率n3と大きくが異なると、この界面において上記の反射や屈折が生じるため光学特性を劣化させ、画像コントラストが低下する。従って、二層多孔質膜4の屈折率n4と透光性液体8の屈折率n3とは、ほぼ等しくすることが必要である。なお、微粒子29を構成する透光性材料の屈折率、すなわち透光部31の屈折率n1と透光性液体8の屈折率n3との関係では、前述のようにほぼ等しくするよりも、差を大きくすることにより、微粒子29の表面と透光性液体8の界面に光が達したときに、屈折率差による乱反射・乱屈折の効果がさらに大きくなり、充分な光散乱を得ることができ、白色を表現することができる。
【0068】
次に気泡32の上面におけるエネルギ反射率の合計を計算する。気泡32を半径rの円と仮定すると、円の中心を座標原点とする円の方程式および座標xにおける入射角θinは下式で表される。
【0069】
【数3】
Figure 0004409154
【0070】
これらの式から、エネルギ反射率RpおよびRsは、屈折率n1、屈折率n2、気泡半径r、座標xで表すことができ、気泡32の上面におけるエネルギ反射率の合計RpAllおよびRsAllは下記積分により算出される。
【0071】
【数4】
Figure 0004409154
【0072】
n1=1.3で計算すると、RpAll=0.254、RsAll=0.283となる。実際の入射光は偏光が無いため、p偏光とs偏光との平均値0.268が気泡32の上面におけるエネルギ反射率の合計となる。
【0073】
同様の計算を気泡32の下面において行う。気泡32の表面に入射する光は、屈折率n2の気体から屈折率n1の固体へ進み、n1>n2である故、上記全反射は生じない。従ってエネルギ反射率の合計は非常に小さい値となる。n1=1.3で計算した結果は、RpAll=0.028、RsAll=0.066となる。p偏光とs偏光との平均値は0.047となり、これが気泡32の下面におけるエネルギ反射率の合計となる。
【0074】
結局1個の気泡32におけるエネルギ反射率の合計は、n1=1.3で計算すると下式の値となる。
0.268+(1−0.268)×0.047=0.302
【0075】
以上の計算は基板に垂直な入射光と仮定した計算であり、実際の光源は散乱光源であるが、気泡32が球形であることからエネルギ反射率の合計としては同様の結果となる。表示装置1,11,21としては、入射した光の30%が散乱反射光となり、気泡32が十分小さければ白く見えることを意味する。
【0076】
図1の表示装置1のように、二層多孔質膜4の下層を黒色とし、黒色表示させたときの反射率を測定した結果は3%となり、上記白色部反射率30%と比較して、コントラストは1:10となり良好な画質となる。固体の屈折率が大きいほど、臨界角は小さくなるため、気泡32の表面でのエネルギ反射率合計が大きくなることは上記説明から明らかである。よって、屈折率を1.3以上とすると、コントラスト1:10以上の良好な画質が得られるものである。
【0077】
気泡内添微粒子29の大きさと微粒子の視認性について官能評価すると、微粒子の大きさが200μm以上になると気泡内添微粒子29の周辺部が散乱反射で白く見え、気泡内添微粒子29の中心部が透過して下地の黒が見え、結果的に微粒子が視認されて粒状感を感じる結果となった。これに対し、微粒子の大きさを100μm以下とすると、上記気泡内添微粒子29の視認性・粒状感はほとんど無くなることが判った。従って良好な表示画像を得るための二層多孔質膜4,24の孔径は100μm以下となる。
【0078】
黒色を表現するためには、気泡32の上部で散乱反射された光が下層黒色多孔質膜4bに入射し吸収される必要がある。したがって気泡内添微粒子29は、下層黒色多孔質膜4bのできるだけ下の方に位置することが必要である。二層多孔質膜4などの多孔質体に形成される微細孔の平均的な穴径を、多孔質体の膜厚より小さくし、かつ微粒子の平均的な粒径を多孔質体の膜厚より小さくすることで、微粒子の位置を下層黒色多孔質膜4bの黒色部がある孔7の下部に沈めることができ、下層黒色多孔質膜4bの黒色部で充分な光吸収効果が得られ、黒色度が増し充分な画像コントラストを得ることができる。
【0079】
微粒子29中に気泡32が複数個存在する場合や二層多孔質膜4,24の1つの円筒状微細孔7に複数個の微粒子9を封入する場合は、上記反射・屈折の考え方より、1つの気泡32もしくは微粒子9を透過してしまった光を別の気泡32もしくは微粒子9が乱反射することができるため、トータルのエネルギ反射率を増大させることができる。すなわち多孔質膜の孔中に複数個の気泡を内添する微粒子を封入したり、微粒子自体を複数個封入することにより、散乱反射光強度が増大し、エネルギ反射率合計は1に近づき、画像コントラストはさらに良好となる。
【0080】
以上のように実施の第1、第2および第3形態の表示装置1,11,21は、透光性液体8と微粒子9,29とを二層多孔質膜4,24内部に密閉した非常に簡単な構造で、微粒子9,29と透光性液体8とを小さな空間に閉じこめることができるため、電気泳動の微粒子9,29の凝集という課題を回避し、長寿命化を図ることができる。
【0081】
また、微粒子9表面における散乱反射現象と、透光性部分と黒色部分とを有する二層多孔質膜4とを利用し、微粒子9の位置で白色と黒色を表現することにより良好なコントラスト画像を表現することができる。
【0082】
また、二層多孔質膜4,24に形成される微細な孔7の平均的な孔径を100μm以下とすることで、近接して表示画像を見た場合でも多孔質形状に起因する画像の粒状感を防止することができる。
【0083】
また、二層多孔質膜4に形成される微細な孔7の平均的な孔径を、二層多孔質膜4の膜厚より小さくし、かつ微粒子9,29の平均的な粒径を二層多孔質膜4の膜厚より小くすることで、微粒子9、29の位置が下層黒色多孔質膜4bの黒色部のときに充分な光吸収効果が得られ、黒色度が増し充分な画像コントラストを得ることができる。
【0084】
また、二層多孔質膜4,24に形成される1つの円筒状の微細な孔7に複数個の微粒子を封入したり、複数個の気泡32を内添する微粒子29を用いることで、さらに白色度が増し、充分な画像コントラストを得ることができる。
【0085】
また、二層多孔質膜4,24、および上基板3と下基板2とを構成する材料は有機化合物を含み、上基板3と下基板2に配置される上部電極6と下部電極5とは導電性ポリマーを含み、表示装置1,11,21全体として可撓性を有する構成とすることで、フレキシブルでペーパーライクな表示装置を実現することができる。
【0086】
また、二層多孔質膜4の透光性側に接する基板上にR・G・Bのカラーフィルタ12を配置し、二層多孔質膜4での光散乱を制御することで、R・G・Bの輝度を制御し、カラー表示可能な表示装置11とすることができる。
【0087】
さらに、二層多孔質膜24の下層着色多孔質膜24bである着色部側を、少なくとも3色の微細な周期的色領域構造とし、二層多孔質膜24での光散乱を制御することで、カラー表示可能な表示装置21とすることができる。
【0088】
図11は、本発明の実施の第4形態である表示装置41の一部についての厚み方向の断面構造を模式的に示す。本実施形態で、図1、図5または図6に示す実施形態に対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明を省略することがある。本実施形態の表示装置41も、下基板2と上基板3との間に二層多孔質膜4が挟まれた構造となっている。下基板2と上基板3との表面には、下部電極5と上部電極6とがそれぞれ形成されており、マトリクス構造で画像の表示を行う画素を制御することができる構成となっている。表示装置41は、上部が画像表示面となるため、上基板3はガラスや有機化合物などの透光性の材料であり、上部電極6もITOに代表されるような透明電極である。
【0089】
二層多孔質膜4の孔7には、電気浸透流を発生させるための透光性液体8および光学特性を制御するための気泡42が封入され、上下基板3,2に挟まれることで密閉構造となっている。二層多孔質膜4の構造や材料は、実施の第1形態と同様である。
【0090】
電気浸透を発生させるためには、有効な電界を作用させることが必要で、高抵抗の液体が使用される。実施の第1形態で説明しているような電気二重層厚さは数nm〜数十nmが一般的となるため、1μm程度の微小な孔7中の液体も容易に移動させることができる。
【0091】
このような電気浸透のメカニズムから、透光性液体8の材料は、二層多孔質膜4の材料に対して電気浸透流を発生することができる特性でなければならない。また、光制御を行う表示装置41に用いるため、透光性の高い材料でなければならない。これらの条件を満足する透光性液体8として、前述のように、純水や電解水のような水系の液体の他に、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、モノシラン、シロキサン、ナフタレン系などの非水系液体材料が知られている。これらの非水系液体材料では、官能基としてハロゲンやアルキル基を有するものが特に電気浸透性を発現するのに有効である。
【0092】
二層多孔質膜4を挟む上基板3と下基板2とに関し、有機化合物から成る樹脂基板を用い、透明な上部電極6と下部電極5とに導電性ポリマーを用いると、表示装置41全体として可撓性を有するようにすることができる。上基板3は透光性が必要であるため、PMMA(メタクリル樹脂)、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリイミドなどの樹脂材料が使用できる。上部電極6と下部電極5tpに関しては、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ペンタセン、アントラセン、などの導電性ポリマーを含む材料で構成することができる。
【0093】
図12は、図11の表示装置41の二層多孔質膜4に形成される1つの孔7を拡大して示す。図12に従って、本実施形態での透光性液体8および気泡42の駆動原理を説明する。二層多孔質膜4がガラス材料で形成され、透光性液体8が電解水の場合、図12のように孔7の内周のガラス表面がマイナスに帯電し、界面の透光性液体8はプラスイオン濃度が高い状態となる。このような電気二重層の形成は、気泡42の有無に拘わらず、ガラスと水との界面全域で均一である。この状態で上部電極6にマイナスの電圧、下部電極5にプラスの電圧を印加すると、液体全体に対して発生する上下方向の電界により界面のプラスイオンリッチな液体が上向きの推力を受けて移動する。このとき電界から直接推力を受けるのは界面に存在する液体であるが、粘性の影響で界面から遠い孔7の中心部の液体まで上向きの推力を受ける。もし孔7の両端が閉じていなければ、孔7の界面から中心部まで速度分布の無い上向きの流れが発生する。
【0094】
ある抵抗体を想定して、その抵抗体の体積抵抗率ρを一定とすると、断面積S、長さlの円筒形状の抵抗値Rは次式で表される。
R=ρ×l÷S
【0095】
図12の透光性液体8の部分は、体積抵抗率が一定の抵抗体とみなせるから、この基本特性を適用することができる。すると、気泡42の周辺部は断面積が小さいから高抵抗となり、気泡42の無い部分では断面積が大きいから低抵抗となる。この液体部分は直列抵抗の等価回路とみなせるから、気泡42の周辺部は高抵抗となる故、電圧の分圧が大きくなり、気泡42の無い部分は低抵抗となる故、電圧の分圧は小さくなる。結局、気泡42の周辺部は電界Eが大きくなり、気泡42の無い部分は電界Eが小さくなる。すると、気泡42の周辺の液体に発生する推力が相対的に大きくなる。このように気泡42の周辺の液体に発生する推力が大きいことと、孔7が閉じていることから、透光性液体8が気泡42の上に回り込み、相対的に気泡42が下に移動する。
【0096】
図12に示す方向とは逆の電圧をかけると、同様の原理で透光性液体8は下に、気泡42は上に移動することができる。結局、透明な上部電極6および下部電極5間に印加する電圧を制御することによって、電界の方向を制御し、電気浸透流の方向を制御し、気泡42を上下方向に移動させることができるのである。
【0097】
図13は、二層多孔質膜4をガラスで、透光性液体8を純水として実験し、孔7の軸方向電界強度と気泡42の移動速度との関係を測定した結果を示す。孔7の軸方向、すなわち二層多孔質膜4の厚み方向についての電界強度の増加に比例して、気泡42の移動速度が増加する特性が得られている。たとえば、厚さ100μmの二層多孔質膜4に5Vの電圧を印加する場合、50[V/mm]の電界強度となり、気泡42の移動については4.1[mm/s]の速度特性となることが判る。したがって膜厚100μmを移動する時間は0.1/4.1=0.024[sec]となる。この応答速度24msecは、液晶表示装置の応答速度と同等であり、表示装置として十分な特性である。
【0098】
図14および図15は、本実施形態の表示装置41での画像制御方法を示す。図14は白色を表示している状態を示し、図15は黒色を表示している状態を示す。二層多孔質膜4がガラスで、透光性液体8が電解水の場合のように、二層多孔質膜4がマイナスに帯電し、界面の透光性液体8がプラスになる材料の組合せの場合を想定する。
【0099】
図14に示すように、透明な上部電極6側にプラス電圧を印加すると、プラスに帯電した透光性液体8が下に移動する電気浸透現象が生じ、その結果、相対的に気泡42が上に移動する。この状態で透明な上基板3から入射した光は、透明な上部電極6を通過し、上層透明多孔質膜4aの透明部を通過し、気泡42の表面に達する。気泡42の表面に達した光は、気泡42の表面が曲面であることと屈折率の大きな変化とによって大きくその進行方向を変える。すなわち、入射光は気泡42の表面で乱反射され、再び上層透明多孔質膜4aの透明部を通過し、透明な上部電極6と上基板3とを透過して反射光となる。透明部のみを通過する乱反射の結果、光損失の無い拡散反射光が得られ、白く見えるようになる。
【0100】
図15に示すように、透明な上部電極6側にマイナス電圧を印加すると、プラスに帯電した透光性液体8が上に移動する電気浸透現象が生じ、その結果、相対的に気泡42が下に移動する。この状態で透明な上基板3から入射した光は、透明な上部電極6を通過し、上層透明多孔質膜4aの透明部もしくは二層多孔質膜4の孔7に充填された透光性液体8の透明部を通過し、下層黒色多孔質膜4bの黒色部を通過し、光強度を減衰させて気泡42の表面に達する。気泡42の表面に達した光は、気泡42の表面が曲面であることと屈折率の大きな変化とによって大きくその進行方向を変える。すなわち、入射光は気泡42の表面で乱反射され、再び下層黒色多孔質膜4bの黒色部を通過して光強度が減衰する。下層黒色多孔質膜4bの黒色部において、入射光と乱反射光が吸収されて光強度が充分減衰されるため、上基板3を透過する反射光強度は殆ど0となる。下層黒色多孔質膜4bの黒色部における乱反射の結果、光は吸収され反射光が無くなり、黒く見えるようになる。
【0101】
図16は、本発明の実施の第5形態でカラー表示を行う表示装置51の部分的な断面構造を模式的に示す。本実施形態は、図5に示す実施の第2形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、図5の微粒子9の代りに気泡42が電圧制御で位置を変え、カラー表示を行うことができる。
【0102】
図16は、本発明の実施の第6形態でカラー表示を行う表示装置61の部分的な断面構造を模式的に示す。本実施形態は、図6に示す実施の第3形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を付して重複する説明を省略する。本実施形態でも、図6の微粒子9の代りに気泡42が電圧制御で位置を変え、カラー表示を行うことができる。
【0103】
本発明の実施の第4、第5および第6形態の表示装置41,51,61でも、下部電極5および上部電極6には、図7に示すようなマトリックス電極構造を用いる。また、各孔7に透光性液体8と気泡42とを入れる方法としては、前述のような真空充填で透光性液体8を孔7の全体に充填しないでおき、大気などの気体を空いている空間に導入してから、孔7を完全に封止すればよい。
【0104】
図18は、本発明の実施の第4、第5および第6形態の表示装置41,51,61で孔7の1つを拡大して示す。気泡42の表面における光の反射挙動は、
気泡42の屈折率n2<透光性液体8の屈折率n1=多孔質材の屈折率n3とすれば、図8で気泡32の屈折率n2と微粒子29の透光部31の屈折率n1とについて説明した関係を、気泡42の屈折率n2と透光性液体8の屈折率n1との関係に、同様に適用することができる。また、図8では、二層多孔質膜4,24の屈折率n4と透光性液体8の屈折率n3とをほぼ等しくすべきと説明している事情と同様に、二層多孔質膜4,24の屈折率n3と透光性液体8の屈折率n1とをほぼ等しくしておくことが好ましい。
【0105】
二層多孔質膜4の下層を黒色とし、黒色表示させたときの反射率を測定した結果は3%となり、前述のようにして得られる白色部での反射率は30%であるので、コントラストは1:10となり良好な画質となる。透光性液体8の屈折率が大きいほど臨界角が小さくなるため、気泡42の表面でのエネルギ反射率の合計が大きくなることは、前述の説明から明らかである。よって、二層多孔質膜4および透光性液体8の屈折率を1.3以上とすると、コントラスト1:10以上の良好な画質が得られるものである。
【0106】
気泡42の大きさと気泡42の視認性について官能評価すると、気泡42の大きさが200μm以上になれば気泡42n周辺部が散乱反射で白く見え、気泡42の中心部が透過して下地の黒が見え、結果的に気泡42が視認されて粒状感を感じる結果となった。これに対し、気泡42の大きさを100μm以下とすると、前述のような気泡42の視認性や粒状感はほとんど無くなることが判明している。したがって良好な表示画像を得るための二層多孔質膜4,24の孔径は100μm以下となる。
【0107】
黒色を表現するためには、気泡42の上部で散乱反射された光が下層黒色多孔質膜4bに入射し吸収される必要がある。したがって気泡42は、下層黒色多孔質膜4bのできるだけ下の方に位置することが必要である。二層多孔質膜4に形成される微細な孔7の平均的な孔径を、二層多孔質膜4の膜厚より小さくすることで、気泡42の位置が下層黒色多孔質膜4bの黒色部にあるときに充分な光吸収効果が得られ、黒色度が増し充分な画像コントラストを得ることができる。
【0108】
二層多孔質膜4の孔7中に気泡42が複数個存在する場合で、特に気泡42が縦に2個の場合の光学特性について説明する。透光性液体8の屈折率が1.3の場合、上部の気泡42の上面でのエネルギ反射率合計は0.268であり、上部の気泡42の下面でのエネルギ反射率合計は(1−0.268)×0.047=0.034である。したがって上部の気泡42で全体のエネルギ反射率合計は、両者の合計で0.302となることは先に説明している。
【0109】
同様に下部の気泡42のエネルギ反射率を計算すると、下部の気泡42の上面でのエネルギ反射率合計は(1−0.302)×0.268=0.187であり、下部の気泡42の下面でのエネルギ反射率合計は(1−0.302−0.187)×0.047=0.024である。したがって下部の気泡42の全体のエネルギ反射率合計は、両者の合計であって、0.211となる。
【0110】
結局、気泡42が縦に2個並ぶ場合のエネルギ反射率合計は、0.302+0.211=0.513となる。二層多孔質膜4の孔7中に気泡42を複数個導入することにより、散乱反射光強度が増大し、画像コントラストが良くなる効果が得られるものである。二層多孔質膜4の孔7中の気泡42がさらに多い場合、同様の計算を繰り返すとエネルギ反射率合計は1に近づき、画像コントラストはさらに良好となる。
【0111】
以上のように実施の第4、第5および第6形態の表示装置41,51,61は、液体駆動に電気浸透現象を用いるため、凝集の問題がある電気泳動の微粒子を使用しないようにして、凝集の課題を解決することができる。また孔7を密閉構造とすることで、透光性液体8が蒸発しないようにする課題を解決し、長寿命化することができる。
【0112】
また、二層多孔質膜4内部の気泡42の界面における散乱反射を利用し、気泡42の位置に応じて白色と黒色とを表現することができ、良好なコントラスト画像を表現することができる。
【0113】
また、二層多孔質膜4、24に形成される微細な孔7の平均的な孔径を100μm以下とすることで、近接して表示画像を見た場合でも、多孔質形状に起因して画像に粒状感が生じるのを防止することができる。
【0114】
また、二層多孔質膜4,24に形成される微細な孔7の平均的な孔径を、二層多孔質膜4,24の膜厚より小さくすることで、気泡42の位置が下層黒色多孔質膜4bの黒色部にあるときに充分な光吸収効果が得られ、黒色度が増し充分な画像コントラストを得ることができる。
【0115】
また、1つの円筒状の微細な孔7に複数個の気泡42を封入することで、さらに白色度が増し、充分な画像コントラストを得ることができる。
【0116】
また、二層多孔質膜4,24、上基板3と下基板2とを構成する材料は有機化合物を含み、上基板3および下基板2にそれぞれ配置される上部電極6および下部5は導電性ポリマーを含み、表示装置41,51,61全体として可撓性を有する構成とすることで、フレキシブルでペーパーライクな表示装置を実現することができる。
【0117】
また、二層多孔質膜体4の透光性側に接する上基板3上にR・G・Bのカラーフィルタ12を配置し、二層多孔質膜4での光散乱を制御することで、R・G・Bの輝度を制御し、カラー表示を行う表示装置51とすることができる。
【0118】
さらに、二層多孔質膜24の下層着色多孔質膜24bである着色部側を、少なくとも3色の微細な周期的色領域構造とし、二層多孔質膜24での光散乱を行わせる位置を制御することで、カラー表示を行う表示装置61とすることができる。
【0119】
なお、実施の第1〜第6形態では、多孔質体として二層多孔質膜4,24を用い、厚み方向で2種類の異なる光学的性質を有する部分に分けるようにしているけれども、3種類以上に分けたり、透光性が連続的に変化するものを用いることもできる。また、透光性液体8で光学的性質が異なる部分は、微粒子9,29や気泡42で形成するばかりではなく、混ざり合わない液体同士の界面で形成することもできる。
【0120】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、多孔質体は、厚み方向に、透光性を有する透光層と着色された着色層とが厚み方向に積層されて形成されるので、透光性液体に分散される微粒子の位置が変化すると、微粒子とその微粒子の周囲の層との組合せが変化し、視覚的な変化をもたらして表示を行うことができる。微粒子を含む透光性液体は第1の基板と第2の基板とによって多孔質体みこむというシンプルな構造で密閉される各孔に分けて充填されているので、小さな空間に閉じこめられて、蒸発などによって失われることがなく、酸化や吸湿なども防いで、安定した表示動作を行わせ、長寿命化を図ることができる。
【0121】
また本発明によれば、透光性液体と微粒子とを多孔質体の孔の内部に密閉した構造とするので、微粒子と透光性液体とを小さな空間に閉じこめることができ、電気泳動を行う微粒子の凝集という問題を回避して長寿命化を図ることができる。
【0122】
また本発明によれば、微粒子の透光性材料中に気泡を内添するので、気泡が消えることはなく、透光性材料と気泡との界面での屈折率差に基づく表示を、安定して行うことができる。
【0123】
また本発明によれば、透明電極と対向電極との間に電圧を印加して、多孔質体の孔内の透光性液体に電気浸透流を発生させ、気泡の位置を制御し、透光性液体と気泡との界面で光を乱反射や乱屈折させ、気泡が位置する付近の多孔質体の光学的性質の違いを反映させて、表示を行うことができる。非常に簡単な構造で気泡と透光性液体とを小さな空間に閉じこめることができ、透光性液体の蒸発という問題を回避して長寿命化を図ることができる。
【0124】
また本発明によれば、多孔質体の着色に、孔内の透光性液体中の微粒子や気泡を位置させて、着色表示を行うことができる。
【0125】
また本発明によれば、白色微粒子の位置を電圧印加で制御し、良好なコントラストを表現することができる。
【0126】
また本発明によれば、気泡または気泡を内添する微粒子の位置を電圧印加で制御し、良好なコントラストを表現することができる。
【0127】
また本発明によれば、透光性液体の屈折率と多孔の透光層の屈折率とを同等として、および/または透光性液体の屈折率と気泡を内添する微粒子の透光性材料の屈折率を同等として界面での光の反射や屈折を少なくすることができ、屈折率を1.3以上とするので、界面での全反射を生じる入射角の範囲が広くなり、表示のコントラストを向上させることができる。
【0128】
また本発明によれば、透光層と着色層とを接合した後、多数の貫通孔を形成して多孔質体を製造することができる。
【0129】
また本発明によれば、イオンビーム照射や化学的エッチングで、円筒形状を有する貫通微細孔を均一に形成することができる。
【0130】
また本発明によれば、多孔質体には、人間の視覚で1画素と認識される領域に多数の孔を形成し、多孔質形状に起因する画像の粒状感を防止することができる。
【0131】
また本発明によれば、R・G・B3色などによる微細な表示で、カラーの画像表示を行うことができる。
【0132】
また本発明によれば、多孔質体の孔に充填する透光性液体中に含まれる微粒子や気泡の大きさも多孔質体の厚みよりも小さくして、微粒子や気泡の位置を電圧で制御するので、多孔質体の厚み方向での光学的性質の違いを表示に反映させることができる。
【0133】
また本発明によれば、多孔質体の各孔に充填される透光性液体に複数個の微粒子または気泡を含むので、多孔質体の厚み方向での光学的性質の違いをより明確に反映させて、良好なコントラスト画像を表現することができる。
【0134】
また本発明によれば、表示装置は、全体として可撓性を有するので、フレキシブルで、紙の書類のように取扱うことができる。
【0135】
また本発明によれば、多孔質体での光散乱をカラーフィルタの個々の色の位置に合わせて制御し、全体としてカラー画像の表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態である表示装置1の部分的な厚み方向の断面構成を示す模式図である。
【図2】図1の二層多孔質膜4に形成される孔7内で、透光性液体8および微粒子9の駆動原理を示す模式図である。
【図3】図1の表示装置1で白色画像を表示するための電圧印加方法を示す模式図である。
【図4】図1の表示装置1で黒色画像を表示するための電圧印加方法を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の第2形態である表示装置21でカラー表示を行う原理的な構成を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の第3形態である表示装置21でカラー表示を行う原理的な構成を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の各形態で、電圧印加のためのマトリクス電極構成を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の第1、第2または第3形態の表示装置1,11,21で用いることができる気泡内添微粒子29の1つを拡大して、気泡32の表面における光の反射挙動を示す模式図である。
【図9】図8の気泡32に対するp偏光の入射角度とエネルギ反射率Rpおよびエネルギ透過率Tpとの関係を示すグラフである。
【図10】図8の気泡32に対するs偏光の入射角度とエネルギ反射率Rsおよびエネルギ透過率Tsとの関係を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の第4形態である表示装置41の部分的な厚み方向の断面構成を示す模式図である。
【図12】図11の二層多孔質膜4に形成される孔7内で、透光性液体8および気泡42の駆動原理を示す模式図である。
【図13】図12で、電界強度と気泡移動速度との関係を示すグラフである。
【図14】図11の表示装置41で白色画像を表示するための電圧印加方法を示す模式図である。
【図15】図11の表示装置41で黒色画像を表示するための電圧印加方法を示す模式図である。
【図16】本発明の実施の第5形態である表示装置51でカラー表示を行う原理的な構成を示す模式図である。
【図17】本発明の実施の第6形態である表示装置61でカラー表示を行う原理的な構成を示す模式図である。
【図18】本発明の実施の第4、第5または第6形態の表示装置41,51,61で用いる気泡42の1つを拡大して、気泡42の表面における光の反射挙動を示す模式図である
【符号の説明】
1,11,21,41,51,61 表示装置
2 下基板
3 上基板
4,24 二層多孔質膜
4a,24a 上層透明多孔質膜
4b 下層黒色多孔質膜
5 下部電極
6 上部電極
7 孔
8 透光性液体
9 微粒子
12 カラーフィルタ
24b 下層着色多孔質膜
29 気泡内添微粒子
31 透光部
32,42 気泡

Claims (16)

  1. 透光性を有する透光性液体と、
    前記透光性液体に分散される微粒子と、
    透光性を有する透光層と着色された着色層とが厚み方向に積層されて形成され、かつ前記厚み方向に貫通する孔が複数形成される薄板状の多孔質体と、
    前記厚み方向に前記透光層に隣接して設けられ、透光性を有する材料で形成される第1の基板と、
    前記厚み方向に前記着色層に隣接して設けられる第2の基板と、
    前記第1の基板に設けられる透明電極と、
    前記第2の基板に設けられ、前記透明電極との間で電圧の印加が可能な対向電極とを含み、
    前記微粒子が分散され、かつ前記多孔質体の各孔に充填される前記透光性液体は、前記第1および第2の基板によって孔の内部に密閉され、
    前記微粒子は、前記透明電極と対向電極との間に電圧を印加することによって、前記厚み方向に移動することを特徴とする表示装置。
  2. 前記透光性液体には、複数の微粒子が分散されることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
  3. 前記微粒子は、少なくとも1個の気泡を内添する透光性材料で構成されることを特徴とする請求項1または2記載の表示装置。
  4. 前記気泡を内添する微粒子における透光性材料の屈折率は、前記透光性液体の屈折率と同等であり、該屈折率は1.3以上であることを特徴とする請求項記載の表示装置。
  5. 前記微粒子は、白色微粒子であり、
    前記白色微粒子が前記透光層まで移動するように、前記透明電極と前記対向電極との間に印加される電圧を制御すると、前記第1の基板から入射する光に基づいて、白色が表現されることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
  6. 透光性を有する透光性液体と、
    透光性を有する透光層と着色された着色層とが厚み方向に積層されて形成され、かつ前記厚み方向に貫通する孔が複数形成される薄板状の多孔質体と、
    前記厚み方向に前記透光層に隣接して設けられ、透光性を有する材料で形成される第1の基板と、
    前記厚み方向に前記着色層に隣接して設けられる第2の基板と、
    前記第1の基板に設けられる透明電極と、
    前記第2の基板に設けられ、前記透明電極との間で電圧の印加が可能な対向電極とを含み、
    前記多孔質体の各孔に気泡を含んで充填される前記透光性液体は、前記第1および第2の基板によって孔の内部に密閉され、
    前記気泡は、前記透明電極と対向電極との間に電圧を印加することによって、前記厚み方向に移動することを特徴とする表示装置。
  7. 前記多孔質体の各孔には、複数の気泡が含まれていることを特徴とする請求項記載の表示装置。
  8. 前記透光性液体の屈折率は、前記透光層の屈折率と同等であり、該屈折率は1.3以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の表示装置。
  9. 前記多孔質体に形成される各孔は、円筒形状に形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の表示装置。
  10. 前記円筒形状の平均径は、100μm以下であることを特徴とする請求項記載の表示装置。
  11. 前記円筒形状の平均径は、前記多孔質体の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項9記載の表示装置。
  12. 前記多孔質体の着色層は、周期的に繰返す少なくとも3色のカラー着色パターンを有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の表示装置。
  13. 前記第1の基板には、前記多孔質体とは反対側にカラーフィルタが設けられることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の表示装置。
  14. 前記多孔質体ならびに前記第1および第2の基板は、有機化合物を含み、
    前記透明電極および前記対向電極は導電性ポリマーを含み、
    全体として可撓性を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の表示装置。
  15. 前記微粒子が前記着色層まで移動するように、前記透明電極と前記対向電極との間に印加される電圧を制御すると、前記第1の基板から入射する光に基づいて、着色層の色が表現され、
    前記微粒子が前記透光層まで移動するように、前記透明電極と前記対向電極との間に印加される電圧を制御すると、前記第1の基板から入射する光に基づいて、白色が表現されることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
  16. 前記気泡が前記着色層まで移動するように、前記透明電極と前記対向電極との間に印加される電圧を制御すると、前記第1の基板から入射する光に基づいて、着色層の色が表現され、
    前記気泡が前記透光層まで移動するように、前記透明電極と前記対向電極との間に印加される電圧を制御すると、前記第1の基板から入射する光に基づいて、白色が表現されることを特徴とする請求項記載の表示装置。
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