JP4408660B2 - エンジンの大気圧推定装置 - Google Patents

エンジンの大気圧推定装置 Download PDF

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Description

本発明は、エンジンの大気圧推定装置に係り、特に、自動車等の車両で使用される過給エンジンにおいて吸気管圧力から大気圧を算出するに好適なエンジンの大気圧推定装置に関する。
自動車等の車両は、山岳路などの登降坂路を走行する機会が多い。標高差による大気圧変化(空気密度変化)は、エンジンの吸気管圧力や吸入空気量の変化となって現れ、空燃比変動の要因となるが、近年の電子制御化されたエンジン制御では、空燃比フィードバック制御などで空燃比を適切に制御できるので、山岳路においても安定した運転性やアイドル安定性を維持できる。
しかしながら、山岳路の登坂を高車速で一度に登りきるような運転が行われると、短時間に急激な大気圧変化を伴うので、燃料フィードバック制御の追従遅れや空燃比の学習不足が問題となりやすいものである。特に、ガソリンタンク内で発生した蒸発ガスを吸気系にパージした場合などは、高地による空気密度低下により一時的に過濃な空燃比となってアイドル安定性や運転性が悪化する。また、大気圧変化に伴う負圧変化に対し適切なパージが行われないとガソリン臭も問題になる。
これらの問題を対処するために、最近の自動車等の車両では、高地補償等を行うための大気圧検出用圧力センサ(以下、「大気圧センサ」と称する)を用い、適時エンジンの使用環境下の大気圧を測定し、大気圧変化に適応させた高地補償が行われている。
一方、大気圧センサは高価であるため、大気圧センサを用いないで大気圧を測定する装置が提案されている。例えば、特開昭60−98329号公報に記載されているように、エンジンの吸入空気量算出等のために絞り弁下流に設けられている圧力センサによって検出される吸気管圧力のうち、絞り弁全開時の吸気管圧力の計測値を概ね大気圧とすることで、大気圧センサを使わないで大気圧を測定する方法が知られている。
また、例えば、特公平5−38894号公報に記載されているように、エンジン回転数が所定回転数以下かつ絞り弁全開時の吸気管圧力から大気圧を検出する方法が知られている。具体的には、検出した大気圧と吸入管圧力の比率から吸入空気量の大気圧補正分を算出する方法である。
特開昭60−98329号公報 特公平5−38894号公報
しかしながら、特開昭60−98329号公報に記載された方法は、自然吸気エンジンならば良好な大気圧を算出することが可能であるが、過給器付きエンジンでは大気圧を算出できないという問題があった。
また、特公平5−38894号公報に記載された方法では、大気圧補正分(換言すると大気圧)の演算や更新はエンジンが所定回転数以下のときに限定されるため、ターボ式過給エンジンでは、山岳路の登坂を行うと中高回転域を多用することとなり、大気圧が更新されず、大気圧を算出できないという問題があった。
本発明の目的は、過給器付きエンジンにおいて、大気圧センサ無しでも大気圧を検出できるエンジンの大気圧推定装置を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、絞り弁開度が所定開度以上を所定時間継続後に、予め設定した標準大気圧下での吸気管圧力絶対圧の目標吸気管圧力と圧力センサにより検出された吸気管圧力との圧力比率を算出する圧力比率算出手段と、前記圧力比率算出手段によって算出された圧力比率と前記標準大気圧との積を基に大気圧予測値を算出する大気圧予測値算出手段と、備え、過給器付きエンジンに用いられるようにしたものである。
かかる構成により、エンジン回転数の制限や過給器のばらつきの影響を受けることなく、大気圧センサ無しでも大気圧を検出し得るものとなる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記所定開度以上の絞り弁開度は、全開近傍である。
(3)上記(1)において、好ましくは、所定の走行距離を走行した後に、前記大気圧予測値算出手段により大気圧予測値を算出するようにしたものである。
(4)上記(1)において、好ましくは、前記目標吸気管圧力を吸入空気温度に応じて補正する温度補正手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、過給器により吸気温度が大きく変動しても、吸入吸気温度の影響を受けることなく大気圧予測値を得ることができる。
(5)上記(1)において、好ましくは、前記大気圧予測値が所定範囲にあって、前記絞り弁開度が所定開度以上のときに、前記目標吸気管圧力と吸気管圧力の圧力偏差を算出し、圧力偏差が所定範囲外のときに圧力偏差を学習値として記憶する圧力係数算出手段を備え、この学習値に応じて前記目標吸気管圧力を補正するようにしたものである。
かかる構成により、過給器の過給圧ばらつきに対する影響を受けることなく高精度の大気圧予測値を得ることができる。
)上記()において、好ましくは、前記圧力係数算出手段は、過給圧を調整可能な過給圧調整装置の出力値またはエンジン回転数の少なくとも一方に応じて複数の圧力偏差の学習値を備えるようにしたものである。
かかる構成により、回転数や過給圧制御状態に対し細やかに補正でき、さらに大気圧予測値の精度を高めることができる。
)上記(1)において、好ましくは、検出した走行距離が所定距離以下のときは、大気圧予測値の更新を禁止するとともに、大気圧予測値の更新が終了した後は、走行距離をリセットするようにしたものである。
かかる構成により、更新頻度が高そうなタイトなワインディング道路であっても、適切なタイミングで大気圧予測値を得ることができる。
本発明によれば、過給器付きエンジンにおいても、大気圧センサを使用せずに大気圧を検出することができるものとなる。
以下、図1〜図9を用いて、本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置の構成について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態によるエンジンの大気圧推定装置を適用したエンジンの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置を適用したエンジンの構成を示すシステム構成図である。
エンジン本体1は、各気筒の燃焼室2にピストン3を有している。ピストン3は、コネクティングロッド4によってクランク軸に連結されている。エンジンの状態を検出するセンサとして、エンジンの冷却水の温度を検出する水温センサ22と、ノッキングを検出するノックセンサ23と、クランク角度を検出するクランク角センサ24と、カム角度を検出するカム角センサ26が設置されている。排気系と吸気系の間を連結して、ターボ式過給器18が設置されている。また、ターボ式過給器18のタービン側にはウエストゲートバルブ40が連結し、吸気管圧力を制御するための過給圧制御用バルブ41も装着されている。また、図示していないが、減速開始直後の圧力開放を行うためのエアーバイパスバルブも併設されている。
エンジンの吸気系には、吸入空気量を検出するエアクリーナ一体のエアフローセンサ8と、ターボのタービン駆動により高温高圧となった吸入空気を冷却するためのインタークーラー5と、吸気管内圧力を検出する圧力センサ9と、吸入空気量を制御するスロットル弁10と、スロットル弁10の開度を検出するスロットル開度センサ21と、スロットル弁10をバイパスして吸入空気量を調節するISCバルブ14と、吸入空気の温度を検出する吸気温度センサ16と、燃料を噴射する燃料噴射弁12とが接続されている。
吸入空気は、燃料噴射弁12から噴射された燃料と混合され、混合気として吸気弁11を通過して燃焼室2に吸入され、点火コイル19で発生された高電圧によって点火プラグ13から火花スパークが発生し、燃焼される。燃焼された混合気は、排気ガスとなってエンジンの排気弁15が開いた時に燃焼室2から排出される。
エンジンの排気系には、三元触媒コンバータ17と、O2センサ(または空燃比センサ)25が接続されている。排気弁15から出た排気ガスは、これらを通過して浄化され大気へ排出される。また、自車の速度を検出する車速センサ29も搭載されている。これらのセンサ信号は、電子制御装置(ECU)30に入力する。
燃料は、図示していない燃料タンクから燃料ポンプで圧送され燃圧レギュレータにて所定の圧力に保持され燃料噴射弁12から供給される。形成された混合気は、吸気ポートにより燃焼室2内に入り、点火プラグ13によって点火されて燃焼する。燃焼後の排気ガスは、空燃比センサ25を介し、三元触媒コンバータ17上流部の排気ガス酸素濃度に応じた信号を出力し、ECU30は空燃比センサ25によって検出した排気ガス中の酸素濃度に基づいて、目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する。
次に、図2を用いて、本実施形態によるエンジンの大気圧推定装置の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置の構成を示すシステム構成図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
ECU30は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、入出力ポート34と、入力回路35と、点火出力回路36と、燃料噴射弁駆動回路37と、ISCバルブ駆動回路38と、過給圧制御用バルブ駆動回路39とを備えている。
ROM32には、エンジンや変速機の制御プログラムと制御に必要なデータ等が書き込まれている。RAM33は、入力信号の値や演算結果等を記憶するワークメモリ等として使用される。車速センサ29によって検出された車速信号VSP,スロットル開度センサ21によって検出されたスロットル開度信号TH,水温センサ22によって検出された冷却水温度信号TW,吸気温度センサ16によって検出された吸気温度信号TA,ノックセンサ23によって検出されたノック信号,クランク角センサ24によって検出されたエンジン回転数信号NE,圧力センサ9によって検出された吸気管圧力信号PM,エアフローセンサ8によって検出された吸入空気量信号,O2センサ25によって検出された酸素濃度信号,カム角センサ26によって検出されたカム角信号は、入力回路35を介してA/D変換された後、入出力ポート34を介して、CPU31に取り込まれる。また、入出力ポート34は、点火プラグ13に点火信号を出力する点火出力回路36,燃料噴射弁12に燃料噴射信号を出力する燃料噴射弁駆動回路37,ISCバルブ14を駆動するISCバルブ駆動回路38,過給圧制御用バルブ41を駆動する過給圧制御用バルブ駆動回路39に信号を出力する。
CPU31は、ROM32に記憶されたプログラムやデータに基づいて各センサからの入力信号を入出力ポート34より読み込む。さらに、演算処理の結果、出力指令信号を、入出力ポート34を介して点火出力回路36,燃料噴射弁駆動回路37,ISCバルブ駆動回路38,過給圧制御用バルブ駆動回路39等へ与える。また、センサや駆動回路,出力回路の故障を判定し、異常と判定された場合には、警告灯を点灯させる制御も行う。
次に、図3を用いて、本実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における大気圧推定手段100の構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における大気圧推定手段の構成を示すブロック構成図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
大気圧推定手段100は、運転状態判定手段110と、走行距離L算出手段120と、目標吸気管圧力PT算出手段130と、圧力学習係数KPM算出手段140と、温度補償係数KTA算出手段150と、圧力比率PR算出手段160と、大気圧予測値Palt算出手段170から構成されている。大気圧推定手段100は、図2のCPU31によって実現される。
運転状態判定手段110は、車速VSP,冷却水温度TW,スロットルセンサ開度TH,燃料噴射パルス幅TI,吸気管圧力PM,エンジン回転数NE,吸気温度TAを入力情報として運転状態を判定する。ここでは、例えば、スロットル開度が全開付近に設定された閾値以上であるか、走行中か、減速中か、停車中か、エンジン暖機状態などの情報を判別する。
走行距離L算出手段120は、運転状態判定手段110によって走行中と判定された時、車速信号VSPのパルス信号から走行距離Lを求める。
目標吸気管圧力PT算出手段130は、次のようにして、目標吸気管圧力PTを算出する。目標吸気管圧力PTとは、スロットル全開時における絶対圧のデータであり、下式(1)により算出する。

PT=(PT0±KPM)×KTA……(1)

ここで、PT0は目標吸気管圧力PTの基準値であり、KPMは圧力学習係数であり、KTAは温度補償係数である。
目標吸気管圧力PTの基準値PT0は、スロットル全開時におけるエンジン回転数の絶対圧データとして予め設定されている。この設定条件は、基準エンジン(部品ばらつきの中心公差品で組み立てられたエンジン)を用いて、標準大気圧(101.3KPa、外気温度15℃)、所定吸気温度(例えば80℃)、標高0mで設定する。そして、目標吸気管圧力PT算出手段130は、式(1)に示したように、基準値PT0に対し、圧力学習係数KPMを加算または減算する。
圧力学習係数KPMは、圧力学習係数KPM算出手段140によって、エンジン毎に異なる過給圧ばらつきを学習して算出される。温度補償係数KTA算出手段150は、吸気温度TAに応じた温度補償係数KTAを算出する。温度補償係数KTA算出手段150は、(表1)に示す吸気温TAとエンジン回転数NEのテーブルを備えている。
Figure 0004408660

このテーブルでは、吸気温TAが80℃でエンジン回転数NEが4000rpmの時の補償係数KTAを1.0とし、その他の吸気温TAとエンジン回転数NEに対する補償係数KTAをテーブル形式にて保持している。なお、テーブルに示されていない吸気温TAとエンジン回転数NEに対する補償係数KTAは補間計算により算出される。目標吸気管圧力PT算出手段130は、式(1)に示したように、さらに、(表1)に示した温度補償係数KTAによる補正を行うことで、吸気管圧力PMと同じ吸気温度に修正して、目標吸気管圧力PTを算出する。
次に、圧力比率PR算出手段160は、運転状態判定手段110により、大気圧予測値Paltの演算条件が成立したと判定された場合、検出した吸気管圧力PMと目標吸気管圧力PTとを比較し、その圧力比率PRを下式(2)より、

PR=PM÷PT……(2)

として算出する。
ここで、図4を用いて、本実施形態によるエンジンの大気圧推定装置におけるエンジン回転数一定時におけるスロットル急開時の吸気管圧力の変化について説明する。
図4は、本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置におけるエンジン回転数一定時におけるスロットル急開時の吸気管圧力の変化の説明図である。図4の横軸は、時間を示している。図4(A)の縦軸はスロットル開度THを示している。図4(B)の縦軸は吸気管圧力PMを示している。
図4(A)に示すように、スロットル全閉から全開に変化させた直後は、図4(B)に示すように、過給器の応答遅れや空気応答遅れ、吸気管圧力検出遅れがあり、吸気管圧力PMが変動している。また、スロットル開度により吸気管圧力PMも変化するので、スロットル開度が低いと過給圧も低くなり、大気圧予測値Paltを誤判定する可能性がある。そこで、スロットル開度THが、全開付近の所定開度以上の状態を所定時間継続後を、大気圧予測値Paltの演算条件が成立したと判定して、大気圧予測値Paltの更新を行うようにしている。
大気圧予測値Palt算出手段170は、図5に示す圧力比率PRと大気圧予測値Paltの関係から、大気圧予測値Paltを算出する。
ここで、図5を用いて、本実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における圧力比率PRと大気圧予測値Paltの関係について説明する。
図5は、本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における圧力比率PRと大気圧予測値Paltの関係の説明図である。図5の横軸は圧力比率PRを示し、縦軸は大気圧予測値Paltを示している。
図示するように、圧力比率PRと大気圧予測値Paltとは直線的な関係を有している。
また、大気圧予測値Palt算出手段170は、下式(3)から大気圧予測値Paltを算出することもできる。

Palt=101.3×PR ……(3)

ここで、数値「101.3」は、圧力比率PR=1.0に設定したときの大気圧であり、101.3KPa(760mmHg)の標高0mを意味している。この圧力比率PRは、標高が上がるにつれて小さくなり、0.7から1.0で制限する。
ここで、図6を用いて、本実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における吸気温度TAと吸気管圧力PMと標高とエンジン回転数NEの関係について説明する。
図6は、本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における吸気温度TAと吸気管圧力PMと標高とエンジン回転数NEの説明図である。図6の横軸はエンジン回転数NEを示し、縦軸は吸気管内圧力PMを示している。
図6において、P1…大気圧101.3KPa、吸気温度80℃での吸気管圧力、P1’…大気圧101.3KPa、吸気温度40℃での吸気管圧力、P2…大気圧80KPa、吸気温度80℃での吸気管圧力、P2’…大気圧80KPa、吸気温度40℃での吸気管圧力とする。なおP1は、大気圧予想値Paltを圧力比率PRで算出する場合のPT0に相当する。
実際の吸気温度TAは車両の運転状態や運転状態により変化するので、検出した吸気温度による補正をしない場合の圧力比率PRは、P2’/P1<P2/P1となり、その差が大気圧予測値Paltの誤差となる。
また、吸気管圧力PMは、吸気温度と空気密度によって変化する。圧力と温度の関係はボイルの法則に基づくので、吸気管圧力PMと目標吸気管圧力PTを同一温度にして、圧力比率PRを算出すれば、その差は空気密度だけとなる。したがって、この空気密度差を大気圧変化によるものとすれば大気圧を予測することができ、図5に示した関係となる。
なお、式(3)に示した関係が、例えば図6の(A)と(B)のように回転数に応じて吸気管圧力PMの絶対値が大きく異なる場合には、圧力比率PRと大気圧予測値Paltの関係を回転数に応じて設定することで、どの回転数領域でもPaltを正確に求めることができる。そして、大気圧予測値の更新頻度を適性にするため、車両の走行距離を運転状態判定手段の1条件とし、所定の走行距離以上を走行後に大気圧予測値の更新を許可する。これは下式(4)で示した標高と大気圧の関係からも判るように、標高と大気圧は比例関係にあり、標高差1000mで約85.9mmHg(約11.4KPa)変化する。

Pz(mmHg)=(1−0.000022557×Z)5.2561×P0……(4)

ここで、平地(標高0m)の大気圧P0、標高Z(m)、大気圧Pz(mmHg)である。
一般的な道路事情を鑑みれば、標高差1000mを登坂するには、数km以上を走行する必要があるので、短距離または短時間であれば大気圧が大きく変化することは無いと考えられる。ただ、時間で規定すると登坂時の車両速度によって移動距離が変動するために大気圧予測値の更新タイミングが安定しない。そこで、大気圧予測値の更新は、前回の更新終了地点から所定距離(例えば500m)以上を走行した後とする。
次に、図7を用いて、本実施形態によるエンジンの大気圧推定装置の圧力学習係数KPM算出手段140における過給器のばらつきを学習するための領域について説明する。
図7は、本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置の圧力学習係数KPM算出手段140における過給器のばらつきを学習するための領域の説明図である。図7の横軸はエンジン回転数NEを示している。図7の左側の縦軸は吸気管内圧力PMを示し、右側の縦軸は過給圧制御用バルブ出力を示している。
図7に示すように、学習値KPMの格納領域は、回転数に応じて、または過給圧制御用バルブ出力に応じて、または回転数と過給圧制御用バルブ出力に応じて、A1,A2,A3,A4の複数領域に分割する。また、過給圧制御用バルブ出力に応じて学習する場合は、過給圧制御用バルブ出力に応じて設定した目標吸気管圧力PTの基準値PT0に基づいて学習する。
圧力学習係数KPMを学習する条件は、大気圧予測値Paltが目標吸気管圧力PTの基準値PT0の設定時の大気圧に対し±2KPaの範囲内であり、かつ大気圧予測値を更新する所定の運転条件が成立したときに実行する。そして吸気管内圧力PMがPT0±2KPaの範囲外にあれば、目標吸気管圧力PTの基準値PT0との偏差を学習値として記憶する。
このように複数の学習領域に分けて、それぞれに個別の学習値を記憶させることで、過給圧ばらつきに対しても適正な補正を行うことができ、より正確な大気圧予測値Paltを算出することが可能となる。
次に、図8を用いて、本実施形態によるエンジンの大気圧推定装置において、車両が登坂時に大気圧予想値Paltを更新する場合のタイミングについて説明する。
図8は、本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置において、車両が登坂時に大気圧予想値Paltを更新する場合のタイミング図である。図8の横軸は時間を示している。図8(A)は、車両の登坂状態を示している。図8(B)は、スロットル開度THを示している。なお、スロットル開度THは、図示するように変位するものとし、閾値はスロットル開度全開付近相当とする。図8(C)は、走行距離Lを示している。走行距離Lは、車両が走行中に更新され、その閾値は所定距離L1とする。図8(D)は、大気圧予測値を示し、実線のように更新される。なお、図8(D)の一点鎖線は実大気圧を示しており、図示の一点破線のように下がるものとする。そして、図中のA点を大気圧予測値の更新条件が全て成立時点、B点を更新条件が成立から不成立となった時点、C点を減速開始時点、D点が非減速走行となった時点とする。
まず、図の左端の時点では、図8(C)に示すように、走行距離Lが所定距離L1未満なので、大気圧予測値Paltは更新されないため、図8(D)に示すように、実大気圧との差が広がる。
その後、図8(C)に示すように、走行距離Lが所定距離L1以上となるA点とB点の区間では、図8(D)に示すように、前述の大気圧推定制御に基づいて大気圧予測値を更新する。図8(B)に示すように、B点でスロットル開度が閾値未満となり、大気圧予測値Paltの更新が停止されるとともに、図8(C)に示すように、走行距離Lはリセットされる。
B点からC点の区間では、走行中であるが、スロットル開状態なので、図8(C)に示すように、走行距離Lが随時更新される。しかし、コーナ手前などではスロットル開度を全閉にするなどの減速操作が行われて車速が低下したり、渋滞で停車したりするので、図8(C)に示すように、所定速度以下と判断されたC点で走行距離Lの更新を停止する。その後、スロットルが開弁し走行状態と判断されたD時点で、図8(C)に示すように、再び走行距離Lを更新する。
このように登坂や降坂などの山岳路走行は、A点からD点の繰り返しが行われるが、その繰り返し状況は道路状況や交通状況など様々な変動要因がある。しかし、走行距離Lで大気圧予測値の更新可否を判断することにより、変動要因の影響を受けずに安定して更新できる。
次に、図9を用いて、本実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における大気圧予測処理の内容について説明する。
図9は、本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における大気圧予測処理の内容を示すフローチャートである。なお、ここでは、図3の圧力比率PMにより大気圧予測値Paltを算出するようにしている。
テップs200は、ECU30のCPU31において、10ms毎に処理されるルーチンである。
ステップs201において、大気圧推定手段100の運転状態判定手段110は、入力信号情報などから運転状態を判別する。そして、ステップs202において、運転状態判定手段110は、走行状態か、停車状態かを判定する。停車状態の場合は、大気圧予測値Paltの算出処理を終了する。
走行時と判定された場合、ステップs203において、走行距離L算出手段120は、走行距離Lを算出し、ステップs204において、走行距離が所定距離L1に達したかを判定する。所定距離L1未満の場合は大気圧予測値Paltの算出処理を終了する。
所定距離L1以上の場合、ステップs205において、大気圧予測値Palt算出手段170は、スロットル全開かなどの所定運転状態が成立しているかを判定する。所定の運転状態が不成立ならば大気圧予測値Paltの算出処理を終了する。
所定の運転状態が成立していれば、ステップs206において、大気圧予測値Palt算出手段170は、所定の運転条件を成立している時間が、所定時間継続しているかを判断する。所定時間未満の場合は大気圧予測値Paltの算出処理を終了する。
そして、所定時間継続されていれば、大気圧予測値Palt算出手段170は、大気圧予測値Paltの更新を可能とする。
ステップs207において、温度補償係数KTA算出手段150は、吸気温度補償係数KTAを算出する。そして、ステップs208において、圧力学習係数KPM算出手段140は、過給圧ばらつきの学習値KPMを算出する。そしてステップs209において、目標吸気管圧力PT算出手段130は、目標吸気管圧力の基準値PT0を吸気温度補償係数KTAおよび過給圧ばらつきの学習値KPMにより補正して、目標吸気管圧力PTを算出する。
ステップs210において、圧力比率PR算出手段160は、吸気管圧力PMとステップs209で算出した目標吸気管圧力PTから圧力比率PRを算出する。
次に、ステップs211において、大気圧予測値Palt算出手段170は、圧力比率PRと図5または式(3)から大気圧予測値Paltを算出し、ステップs212において大気圧予測値Paltを更新する。
次に、ステップs213において、大気圧予測値Palt算出手段170は、ステップs205で判定した運転状態が成立から不成立に変化したかを判定する。成立から不成立にとなった時は、大気圧予測値Paltの更新が停止されると共にステップs214で走行距離Lを0(m)にクリアする。そして、ステップs215において、大気圧予測値Paltの処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジン回転数の制限や過給器のばらつきの影響を受けることなく、大気圧センサ無しでも大気圧を検出できる。
本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置を適用したエンジンの構成を示すシステム構成図である。 、本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置の構成を示すシステム構成図である。 本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における大気圧推定手段の構成を示すブロック構成図である。 本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置におけるエンジン回転数一定時におけるスロットル急開時の吸気管圧力の変化の説明図である。 本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における圧力比率PRと大気圧予測値Paltの関係の説明図である。 本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における吸気温度TAと吸気管圧力PMと標高とエンジン回転数NEの説明図である。 本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置の圧力学習係数KPM算出手段140における過給器のばらつきを学習するための領域の説明図である。 本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置において、車両が登坂時に大気圧予想値Paltを更新する場合のタイミング図である。 本発明の一実施形態によるエンジンの大気圧推定装置における大気圧予測処理の内容を示すフローチャートである。
符号の説明
1…エンジン
9…圧力センサ
10…スロットル弁
18…ターボチャージャー
30…ECU
100…大気圧推定手段
110…運転状態判定手段
120…走行距離L算出手段
130…目標吸気管圧力PT算出手段
140…圧力学習係数KPM算出手段
150…温度補償係数KTA算出手段
160…圧力比率PR算出手段
170…大気圧予測値Palt算出手段

Claims (7)

  1. 絞り弁開度が所定開度以上を所定時間継続後に、予め設定した標準大気圧下での吸気管圧力絶対圧の目標吸気管圧力と圧力センサにより検出された吸気管圧力との圧力比率を算出する圧力比率算出手段と、
    前記圧力比率算出手段によって算出された圧力比率と前記標準大気圧との積を基に大気圧予測値を算出する大気圧予測値算出手段と、
    を備え、
    過給器付きエンジンに用いられることを特徴とするエンジンの大気圧推定装置。
  2. 請求項1記載のエンジンの大気圧推定装置において、
    前記所定開度以上の絞り弁開度は、全開近傍であることを特徴とするエンジンの大気圧推定装置。
  3. 請求項1記載のエンジンの大気圧推定装置において、
    所定の走行距離を走行した後に、前記大気圧予測値算出手段により大気圧予測値を算出することを特徴とするエンジンの大気圧推定装置。
  4. 請求項1記載のエンジンの大気圧推定装置において、
    前記目標吸気管圧力を吸入空気温度に応じて補正する温度補正手段を備えることを特徴とするエンジンの大気圧推定装置。
  5. 請求項1記載のエンジンの大気圧推定装置において、
    前記大気圧予測値が所定範囲にあって、前記絞り弁開度が所定開度以上のときに、前記目標吸気管圧力と吸気管圧力の圧力偏差を算出し、圧力偏差が所定範囲外のときに圧力偏差を学習値として記憶する圧力係数算出手段を備え、
    この学習値に応じて前記目標吸気管圧力を補正することを特徴とするエンジンの大気圧推定装置。
  6. 請求項5記載のエンジンの大気圧推定装置において、
    前記圧力係数算出手段は、過給圧を調整可能な過給圧調整装置の出力値またはエンジン回転数の少なくとも一方に応じて複数の圧力偏差の学習値を備えることを特徴とするエンジンの大気圧推定装置。
  7. 請求項1記載のエンジンの大気圧推定装置において、
    検出した走行距離が所定距離以下のときは、大気圧予測値の更新を禁止するとともに、大気圧予測値の更新が終了した後は、走行距離をリセットすることを特徴とするエンジンの大気圧推定装置。
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