JP4408014B2 - ワイヤ放電加工装置およびワイヤ放電加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、加工液の制御によりワイヤ電極と被加工物の短絡の解除を行うワイヤ放電加工装置およびワイヤ放電加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤ放電加工においては、通常ワイヤ電極の冷却および加工屑の排出などのために被加工物とワイヤ電極の間隙に加工液を噴射しながら、ワイヤ電極と被加工物の間に加工電圧を印加して、その際に発生する放電エネルギーにより被加工物の切断などの加工を実行する。従って、ワイヤ電極と被加工物の距離は放電が発生する程度の間隙が保たれていなければならない。
【0003】
しかしながら、ワイヤ放電加工機では、放電状態の悪化等により短絡が発生した場合、加工電圧を印加しても放電は発生せず、加工が進行しなくなる。そこで、従来では、加工中にワイヤ電極と被加工物が短絡し加工が進行しなくなった場合、ワイヤ電極をこの加工経路と逆に辿らせて短絡の解除を行った後に元に復帰させる後退制御によりワイヤ電極と被加工物の短絡状態の解除を行っている。
【0004】
さらに特許文献1では、短絡時に後退制御することに加え、ワイヤ電極の後退制御中に電気加工条件を変更制御することにより、後退制御後すぐに短絡することを防止するようにしている。
【0005】
また特許文献2でも、短絡時に後退制御することに加え、ワイヤ電極と被加工物との間隙に高圧噴射ノズルを用いて加工液を噴射するようにして、ワイヤ電極と被加工物をより確実に引き離すようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−277949号公報(第3,4項)
【特許文献2】
特開平1−121124号公報(第5項)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のワイヤ放電加工装置は上記のように構成されているので、通常加工時に放電状態の悪化等により頻繁に見られる短絡は解消することができる。しかし、この特許文献1の手法では、段差を有する被加工物の場合には、つぎのような問題が発生する。
【0008】
すなわち、図10(a)に示すように(図面左側が加工溝83、右側が被加工物82)、ワイヤ電極80は加工溝83を通って排出される加工液に押されて加工方向(図面内の矢印方向)の逆方向に弧状となっているため、例えば被加工物82の板厚が階段状に急減する場合には、一方のノズル81aの近傍のワイヤ電極80が板厚急減部を通過して被加工物82の外部に出た際には、図10(b)に示すように、この部分のワイヤ電極の周辺には加工溝83が存在しないので、加工液により加工進行方向と逆方向へ押される力が消滅する。これにより、ワイヤ電極80は加工進行方向に引っ張られるか、さらにはワイヤ電極80の背面に加工液が入り込み、これまでと逆の加工進行方向へワイヤを押す力が発生することになり、ワイヤ電極80は結果的に加工進行方向に押し出される。この変化が急激に生じるのでワイヤと被加工物の間で短絡が発生してしまう。
【0009】
このように、加工液流により生じる短絡は、ワイヤ電極の位置が移動させられて生じるため、通常加工時に放電状態の悪化等により頻繁に見られる短絡に比べて大規模であり、特許文献1のような加工電源や電極位置の微小な調整では解消できない。このために、特許文献1のような手法では、段差のある被加工物の場合には、短絡解消を効率よく行うことができず、短絡発生時に加工が進行しなくなるという問題があった。
【0010】
特許文献2のワイヤ放電加工装置では、短絡を解消するべく高圧噴射ノズルにより加工液の噴射およびワイヤ電極の後退制御が行われる。しかし、このワイヤ放電加工装置では、別に高圧噴射ノズルを備える必要があり、構成が複雑になり、装置がコスト高になるという問題があった。
【0011】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、加工液流により生じる短絡を容易に解消し、加工速度の低下を抑制することができるワイヤ放電加工装置およびワイヤ放電加工方法を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかるワイヤ放電加工装置は、加工液中で走行するワイヤと被加工物との間に発生させた放電により加工するワイヤ放電加工装置において、前記ワイヤと被加工物とが短絡していることを検出する短絡検出装置と、前記加工液の圧力または流量を調節する加工液調整装置と、前記短絡検出装置により短絡の発生を検出した場合に、前記ワイヤを加工経路の逆方向に移動させるとともに、前記短絡検出装置による短絡の発生の検出後、あらかじめ定められた所定の距離ワイヤを後退しても短絡が解消しない場合に、この時点で前記加工液調整装置に加工液の圧力または流量を弱める方向へ制御する指令を発生する制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、短絡の発生が検出された場合には、加工液の噴出を弱める方向へ制御するとともに、ワイヤを加工経路の逆方向に移動させるので、加工液流により生じる短絡が容易に解消されるため、加工速度の低下を最小限に抑制して加工を続行できるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるワイヤ放電加工装置およびワイヤ放電加工方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1〜図3に従ってこの発明の実施の形態1について説明する。図1は本発明のワイヤ放電加工装置の構成を示す図である。ワイヤ放電加工装置は加工処理部70と制御部50からなる。
【0016】
加工処理部70において、ワイヤ電極1は上下ワイヤガイド27a、27bを介して、それぞれワイヤボビン4、加工済みワイヤ電極回収箱8と接続されている。テンションローラー7はワイヤ電極1に張力を与えるために設けられている。テーブル3は被加工物2を載置するものであり、X軸モータ10およびY軸モータ11の駆動によってX軸、Y軸2次元平面を自在に移動する。上部加工液ノズル5a、下部加工液ノズル5bはワイヤ電極1と被加工物2間に形成される加工間隙に加工液を供給する。給電子6はワイヤ電極1に対して給電を行う。
【0017】
制御部50において、加工電源9は給電子6に給電することにより、ワイヤ電極1と被加工物2間に加工電圧を供給する。電圧検出装置12はワイヤ電極1と被加工物2の間の電圧を検出し、検出した電圧をNC装置13に入力する。加工液調整装置14は、上部加工液ノズル5a、下部加工液ノズル5bから噴射される加工液の圧力または流量を調節する。NC装置13はX軸モータ10、Y軸モータ11の駆動制御および加工電源の制御、および加工液調整装置14の制御などを実行する。磁気ディスク15には加工のためのNCプログラムが記憶されている。
【0018】
このようなワイヤ放電加工装置は、上下ワイヤガイド27a、27b間をワイヤ電極1が所要の速度で送られ、かつ上部加工液ノズル5a、下部加工液ノズル5bによってワイヤ電極1と被加工物2間に形成される加工間隙に加工液が供給された状態で、ワイヤ電極1と被加工物2間に放電を発生させながら、テーブル3によって被加工物2を所定の軌跡に沿うように移動させることで、ワイヤ電極1によって被加工物2に溝28を形成する切断加工作業が実行される。
【0019】
図2はこの発明の実施の形態1にかかるNC装置13の詳細構成を示す図である。図2に示すように、NC装置13は、電圧検出装置12から得られる電圧を評価して、ワイヤ電極1と被加工物2とが短絡していることを検出する短絡検出装置20と、X軸モータ10、Y軸モータ11を制御するモータ制御装置19と、加工電源9を制御する加工電源制御装置18と、磁気ディスク等によって与えられるNCプログラムを解釈してNCプログラムを実行するNCプログラム実行装置22と、ワイヤ放電加工装置の各部の状態を表示するCRT16と、NC装置13の操作を行うためのスイッチ盤17を備えている。
【0020】
NC装置13は、さらに後退制御装置21と、加工液制御装置23とを備えている。後退制御装置21は、短絡検出装置20によって加工中に短絡が検出された場合に、ワイヤ電極1が加工経路を後退して短絡が解除されるようモータ制御装置19を制御してテーブル3を移動させる。また、後退制御装置21は、短絡検出装置20によって短絡の解除が検出されると、加工を再開するようモータ制御装置19を制御してテーブル3を移動させる。加工液制御装置23は、加工液調整装置14に対する指令を与えて加工液の圧力または流量を制御する。具体的に、加工液制御装置23は、短絡検出装置20によって加工中に短絡が検出された場合に、加工液の圧力または流量を弱めるための指令を加工液調整装置14に与えることによって、加工液を弱める方向に制御する。
【0021】
実施の形態1の動作について図3に示すフローチャートに従って説明する。操作者は被加工物2をテーブル3に設置し、NCプログラムをセットした後、加工を開始する(ステップS100)。
【0022】
つぎのステップ110では、加工が終了したか否かが判定され、さらに、短絡検出装置20によって加工中に短絡が検出されたか否かが判定される(ステップS120)。短絡が検出されない場合は、そのまま加工が続行され(ステップS130)、短絡が検出された場合、モータ制御装置19は、NCプログラム実行装置22からの移動指令の実行を一時中断する。
【0023】
短絡検出装置20によって短絡が検出された場合、まず、加工液制御装置23は、加工液調整装置14に対し加工液の圧力または流量を弱める方向へ制御する指令を発生する。これにより加工液調整装置14は、上部加工液ノズル5a、下部加工液ノズル5bから噴射される加工液の圧力または流量を弱める(ステップS140)。これと共に、後退制御装置21は、ワイヤ電極1を加工経路を逆に辿るよう移動させる後退指令をモータ制御装置19に出力する(ステップS150)。この後退指令を受けたモータ制御装置19によるテーブル移動制御により、ワイヤ電極1が後退される。この後退制御装置21による後退制御は、短絡検出装置20が短絡を検出している間中実行される(ステップS160)。このような、加工液の圧力または流量を弱める制御を伴う後退制御によって、ワイヤ電極1と被加工物2は相対的に離れ、再び放電が発生する。
【0024】
放電が再び発生して、短絡検出装置20によって短絡の解消が検出されると、後退制御装置21は、ワイヤ電極1を加工経路を元の方向に辿るよう移動させる復帰指令をモータ制御装置19に出力する(ステップS170)。復帰動作では、短絡検出装置20が短絡を検出しない限り後退動作を開始した位置まで加工経路を再び前進する。そして、その後しかる後に加工を再開する(ステップS180)。なお、復帰動作中に短絡検出装置20が短絡を再度検出した場合には、再び後退動作に移るようにする。
【0025】
前述したように、加工液流により生じる短絡は、ワイヤ電極1の位置が移動させられて生じるため、通常加工時に放電状態の悪化等により頻繁に見られる短絡に比べて大規模であり、加工電源や電極位置の微小な調整では簡単に解消できなく、これ以上加工が進行しなくなる可能性がある。
【0026】
実施の形態1の手法では、加工液の圧力または流量を弱める方向へ制御するようにしているので、加工液流により短絡状態となった場合であってかつ被加工物の板厚が階段状に急減する場合であっても、ワイヤ電極背面への加工液の入り込みが減少し、加工進行方向と逆方向へワイヤを押す力が発生しにくくなる。したがって、実施の形態1によれば、このような場合でも、簡単な制御によって加工液流により生じる短絡が容易に解消されるため、加工速度の低下を最小限に抑制して加工を継続できるようになる。
【0027】
実施の形態2.
図4及び図5を用いてこの発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2においては、短絡を回避するために加工液の圧力または流量を弱めた後の所定の時点からの経過時間が予め設定した所定時間を経過すると、加工液を元の圧力または流量に復帰させるように制御する。
【0028】
図4はこの発明の実施の形態2にかかるNC装置13の詳細構成を示す図であり、図4の各構成要素のうち図2に示す実施の形態1のNC装置と同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。計時装置25は、短絡が検出されて加工液制御装置30によって加工液の圧力または流量を弱める方向に制御した後、ワイヤ電極1が後退後に元の位置に復帰した時点から、あるいは前記後退動作開始時点から、あるいは前記復帰動作開始時点からの経過時間を計測し、この経過時間が予め設定した所定時間を越えると、加工液制御装置30に検出信号を出力する。また、加工液制御装置30は、短絡検出装置20によって加工中に短絡が検出された場合に、加工液の圧力または流量を弱めるための指令を加工液調整装置14に与えることによって、加工液を弱める方向に制御するとともに、計時装置25から検出信号が入力された時点で加工液の圧力または流量を元に復帰させるための指令を加工液調整装置14に出力するとともに、計時装置25の計時値をクリアする。
【0029】
実施の形態2の動作について図5に示すフローチャートに従って説明する。図5のフローチャートにおいて、ステップS100〜S170の手順は先の図3と同様であり、重複する説明は省略する。短絡検出装置20によって短絡の解消が検出されると、後退制御装置21は、ワイヤ電極1を加工経路を元の方向に辿るよう移動させる復帰指令をモータ制御装置19に出力する(ステップS170)。復帰動作では、短絡検出装置20が短絡を検出しない限り後退動作を開始した位置まで加工経路を再び前進する。復帰動作中に短絡検出装置20が短絡を再度検出した場合には、再び後退動作に移るようにする。このような復帰動作によってワイヤ電極1が元の位置まで復帰すると(ステップS175)、加工を再開するとともに(ステップS180)、この時点で計時装置25に計時動作を開始させる(ステップS190)。その後、計時装置25による計時時間が予め設定した所定時間に一致するまでは、先のステップS140で実行された、弱められた圧力または流量で加工液が供給された状態で加工が行われる(ステップS210)。
【0030】
そして、計時装置25の計時結果があらかじめ定めた一定値に達すると(ステップS200)、加工液制御装置30は、加工液調整装置14に対し、加工液の圧力または流量を短絡発生前の通常の状態に復帰させるための指令を出力する。これにより、加工液調整装置14は、加工液の圧力または流量を通常の元の状態に戻す(ステップS220)。また、加工液制御装置30は、計時装置25の値をクリアする(ステップS230)。
【0031】
なお、この場合は、計時装置25による計測開始時点をワイヤ電極1の復帰終了時としたが、後退制御開始時としてもよいし、復帰動作開始時としてもよい。
【0032】
短絡を回避するために加工液を弱めた後、板厚変化部分を通り過ぎ、加工が安定状態に戻っても、加工液を弱めたままだとワイヤ電極の断線や、加工速度の低下につながる。そこで、この実施の形態2によれば、短絡発生により加工液を弱めた後、一定時間を経過させることで安定状態への復帰を判別し、この安定状態への復帰後に加工液を短絡発生前の圧力または流量に戻すようにしており、これによりワイヤ電極の断線の防止および加工速度の低下を防ぐことができる。
【0033】
実施の形態3.
図6及び図7を用いてこの発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3においては、短絡を回避するために加工液の圧力または流量を弱めた後の所定の時点からのワイヤ電極1の移動距離(ワイヤ電極1のテーブルに対する相対移動距離)が予め設定した所定値を経過すると、加工液を元の圧力または流量に復帰させるように制御する。
【0034】
図6はこの発明の実施の形態3にかかるNC装置13の詳細構成を示す図であり、図6の各構成要素のうち図2または図4に示す実施の形態1または実施の形態2のNC装置と同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。測距装置26は、短絡が検出されて加工液制御装置31によって加工液の圧力または流量を弱める方向に制御した後、ワイヤ電極1が後退後に元の位置に復帰した時点から、あるいは前記後退動作開始時点から、あるいは前記復帰動作開始時点からのワイヤ電極1の加工経路上の移動距離(方向に関係のない総移動距離)を計測し、この計測距離が予め設定した所定値を越えると、加工液制御装置31に検出信号を出力する。また、加工液制御装置31は、短絡検出装置20によって加工中に短絡が検出された場合に、加工液の圧力または流量を弱めるための指令を加工液調整装置14に与えることによって、加工液を弱める方向に制御するとともに、測距装置26から検出信号が入力された時点で加工液の圧力または流量を元に復帰させるための指令を加工液調整装置14に出力するとともに、測距装置26の計測値をクリアする。
【0035】
実施の形態3の動作について 図7に示すフローチャートに従って説明する。図7のフローチャートにおいて、ステップS100〜S170の手順は先の図3と同様であり、重複する説明は省略する。短絡検出装置20によって短絡の解消が検出されると、後退制御装置21は、ワイヤ電極1を加工経路を元の方向に辿るよう移動させる復帰指令をモータ制御装置19に出力する(ステップS170)。復帰動作では、短絡検出装置20が短絡を検出しない限り後退動作を開始した位置まで加工経路を再び前進する。復帰動作中に短絡検出装置20が短絡を再度検出した場合には、再び後退動作に移るようにする。このような復帰動作によってワイヤ電極1が元の位置まで復帰すると(ステップS175)、加工を再開するとともに(ステップS180)、この時点で測距装置26にワイヤ電極の移動距離を計測する測距動作を開始させる(ステップS191)。その後、測距装置26による計測距離が予め設定した所定値に一致するまでは、先のステップS140で実行された、弱められた圧力または流量で加工液が供給された状態で加工が行われる(ステップS210)。
【0036】
そして、測距装置26の計測値があらかじめ定めた一定値に達すると(ステップS201)、加工液制御装置31は、加工液調整装置14に対し、加工液の圧力または流量を短絡発生前の通常の状態に復帰させるための指令を出力する。これにより、加工液調整装置14は、加工液の圧力または流量を通常の元の状態に戻す(ステップS220)。また、加工液制御装置31は、測距装置26の値をクリアする(ステップS240)。
【0037】
なお、この場合は、測距装置26による計測開始時点をワイヤ電極1の復帰終了時としたが、後退制御開始時としてもよいし、復帰動作開始時としてもよい。
【0038】
このようにこの実施の形態3によれば、短絡発生により加工液を弱めた後、一定距離を経過させることで安定状態への復帰を判別し、この安定状態への復帰後に加工液を短絡発生前の圧力または流量に戻すようにしており、これにより実施の形態2と同様、ワイヤ電極の断線の防止および加工速度の低下を防ぐことができる。
【0039】
実施の形態4.
図8及び図9を用いてこの発明の実施の形態4について説明する。この実施の形態4においては、後退制御によってあらかじめ定められた距離だけ後退しても短絡が解消されないときにのみ、加工液の圧力または流量を弱める制御を実行する。
【0040】
図8はこの発明の実施の形態4にかかるNC装置13の詳細構成を示す図であり、図8の各構成要素のうち図2に示す実施の形態1のNC装置と同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。測距装置27は、短絡が検出されてワイヤ電極1を後退する際の移動距離を計測し、この計測した後退移動距離が予め設定した所定距離に一致すると、加工液制御装置32に検出信号を出力する。加工液制御装置32は、短絡検出装置20による短絡の検出後、測距装置27から検出信号が入力されると、加工液の圧力または流量を弱めるための指令を加工液調整装置14に与えることによって、加工液を弱める方向に制御する。
【0041】
実施の形態4の動作について図9に示すフローチャートに従って説明する。実施の形態1と同様、被加工物2がテーブル3に設置され、NCプログラムがセットされて、加工が開始される(ステップS100)。つぎに、加工が終了したか否かが判定され(ステップS110)、さらに、短絡検出装置20によって加工中に短絡が検出されたか否かが判定される(ステップS120)。短絡が検出されない場合は、そのまま加工が続行され(ステップS130)、短絡が検出された場合、モータ制御装置19は、NCプログラム実行装置22からの移動指令の実行を一時中断する。
【0042】
短絡検出装置20によって短絡が検出された場合、まず、測距装置27による後退移動距離の測定動作が開始されるとともに(ステップS300)、後退制御装置21は、ワイヤ電極1を加工経路を逆に辿るよう移動させる後退指令をモータ制御装置19に出力する(ステップS310)。この後退指令を受けたモータ制御装置19によるテーブル移動制御により、ワイヤ電極1が後退される。この際の後退距離は測距装置27によって測定されている。
【0043】
この後退動作後、短絡検出装置20によって短絡の有無が検出される(ステップS320)。そして、後退動作のみによって短絡が解消された場合は、その後、復帰動作を行って加工を再開させる(ステップS370、S380)。
【0044】
一方、後退動作の際に、短絡が解消することなく、測距装置27から、後退距離が所定の距離を越えたことを示す検出信号が入力された場合(ステップS330)、加工液制御装置32は、加工液調整装置14に対し加工液の圧力または流量を弱める方向へ制御する指令を発生する。これにより加工液調整装置14は、上部加工液ノズル5a、下部加工液ノズル5bから噴射される加工液の圧力または流量を弱める(ステップS340)。そして、後退動作は、短絡検出装置20によって短絡の解消が検出された時点で停止される(ステップS350、S360)。
【0045】
放電が再び発生して、短絡検出装置20によって短絡の解消が検出されると、後退制御装置21は、ワイヤ電極1を加工経路を元の方向に辿るよう移動させる復帰指令をモータ制御装置19に出力する(ステップS370)。復帰動作では、短絡検出装置20が短絡を検出しない限り後退動作を開始した位置まで加工経路を再び前進する。そして、その後しかる後に加工を再開する(ステップS380)。なお、復帰動作中に短絡検出装置20が短絡を再度検出した場合には、再び後退動作に移るようにする。
【0046】
この実施の形態4によれば、短絡発生後予め定められた距離後退しても短絡が解消されないときのみ、加工液の噴出を弱める制御を行うようにしており、大規模な短絡である加工液起因の短絡の場合のみ加工液を制御する。したがって、加工液制御が頻繁に実行されることが回避され、加工速度の低下を最小限に抑制することが可能となる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば短絡の発生が検出された場合には、加工液の噴出を弱める方向へ制御するとともに、ワイヤを加工経路の逆方向に移動させるので、加工液流により生じる短絡が容易に解消され、これにより加工速度の低下を最小限に抑制して加工を続行できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明にかかるワイヤ放電加工装置の構成を示す図である。
【図2】 この発明の実施の形態1にかかるNC装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】 実施の形態1の動作を説明するフローチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態2にかかるNC装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図5】 実施の形態2の動作を説明するフローチャートである。
【図6】 この発明の実施の形態3にかかるNC装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図7】 実施の形態3の動作を説明するフローチャートである。
【図8】 この発明の実施の形態4にかかるNC装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図9】 実施の形態4の動作を説明するフローチャートである。
【図10】 ワイヤ電極と被加工物が接触し短絡する様子を示す図である。
【符号の説明】
1 ワイヤ電極、2 被加工物、3 テーブル、4 ワイヤボビン、5a 上部加工液ノズル、5b 下部加工液ノズル、6 給電子、7 テンションローラー、8 加工済みワイヤ電極回収箱、9 加工電源、10 X軸モータ、11 Y軸モータ、12 電圧検出装置、13 NC装置、14 加工液調整装置、15 磁気ディスク、16 CRT、17 スイッチ盤、18 加工電源制御装置、19 モータ制御装置、20 短絡検出装置、21 後退制御装置、22 NCプログラム実行装置、23,30,31,32 加工液制御装置、25 計時装置、26,27 測距装置。
Claims (1)
- 加工液中で走行するワイヤと被加工物との間に発生させた放電により加工するワイヤ放電加工装置において、
前記ワイヤと被加工物とが短絡していることを検出する短絡検出装置と、
前記加工液の圧力または流量を調節する加工液調整装置と、
前記短絡検出装置により短絡の発生を検出した場合に、前記ワイヤを加工経路の逆方向に移動させるとともに、前記短絡検出装置による短絡の発生の検出後、あらかじめ定められた所定の距離ワイヤを後退しても短絡が解消しない場合に、この時点で前記加工液調整装置に加工液の圧力または流量を弱める方向へ制御する指令を発生する制御装置と、
を備えたことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
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