JP4407858B2 - モジュール構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子を搭載するセラミックス回路基板とヒートシンクとを接合したモジュール構造体に関するものであり、特に大電力用モジュールや電気自動車等の移動機器に用いられるモジュールとして使用される構造体に関し、詳細には、前記ヒートシンクがアルミニウム−炭化珪素複合体からなるモジュール構造体の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体素子を搭載するための回路基板としてセラミックス基板や樹脂基板等の種々の絶縁性基板が用いられているが、回路基板の小型化、半導体素子の高集積化が進むに従い、これらの回路基板における絶縁材料の放熱特性の向上が望まれている。そして、高放熱性が要求される回路基板やパッケージ用基体等としては、セラミックス基板が主に用いられている。セラミックス回路基板に用いられている材料としては、アルミナ(Al23)、窒化アルミニウム(AlN),窒化珪素(Si34)等が知られている。
【0003】
セラミックス基板を回路基板やパケージ用基体等として用いる場合、半導体素子からの発熱を回路基板裏面等に設けられるヒートシンクと呼ばれる放熱部品を介して外部に発散させることで、半導体素子の温度上昇を防止し、動作特性を確保している。
【0004】
前記のヒートシンクの材料としては、一般に銅(Cu)が用いられている。しかし、銅製ヒートシンクを用いる場合、セラミックス基板とヒートシンクの熱膨張差に起因して、加熱接合時や実使用条件下で受ける熱サイクル等により、セラミックス回路基板或いはセラミックス回路基板とヒートシンクを接合している半田にクラックや割れ等が生じることがある。
【0005】
そのため、セラミックス回路基板を信頼性が要求される分野に用いる場合には、セラミックス回路基板と熱膨張差の小さいMo、W等の高融点金属をヒートシンクとして用いていた。しかし、MoやW製のヒートシンクを用いた放熱部品は、MoやWが重金属であるために重量が重く、放熱部品の軽量化が望まれる用途には好ましくないし、高価であるという問題がある。
【0006】
一方、近年の回路基板の小型化、半導体素子の高集積化が進むに従い、これらの回路基板における絶縁材料の放熱特性の一層の向上が望まれている。このため、セラミックス回路基板に用いられている材料として、アルミナに比べ熱伝導率が10倍程度高い、窒化アルミニウムが検討され、実用化されている。しかし、窒化アルミニウム基板においても、従来のアルミナ基板同様に、使用中の熱応力によりセラミックス回路基板や接合部の半田にクラックが発生するという問題がある。
【0007】
更に、セラミックス回路基板の材料として、信頼性の面から強度、破壊靭性等の機械的特性に優れる窒化珪素が検討され始めた。従来、窒化珪素の熱伝導率はアルミナ程度と低かったが、最近、原料粉末の特性向上及び焼結技術の改善により、アルミナの5〜10倍程度の熱伝導率を有する窒化珪素セラミックスが得られている。
【0008】
しかし、窒化珪素基板を用いることにより、使用中の熱応力によるセラミックス回路基板のクラックは大幅に改善できるものの、セラミックス回路基板と半導体素子との接合部やセラミックス基板とヒートシンクとの接合部の半田にクラックが発生するという問題は残っている。
【0009】
このため、ヒートシンク材料として、熱伝導特性に優れ、且つ線熱膨張係数(以下、熱膨張係数と云う)がセラミックス回路基板に近いヒートシンク材料の開発が望まれており、銅やアルミニウム合金を無機質繊維または粒子で強化したMMC(Metal Matrix Composite)と略称される金属−セラミックス複合体が注目されている。
【0010】
近年、前記複合体として、アルミニウム合金−炭化珪素の複合体が主に研究されている。アルミニウム合金−炭化珪素の複合体は、熱膨張係数が8×10-6/Kと小さく、ヒートシンクとセラミックス回路基板間の半田クラックの抑制には有効である。しかし、アルミニウム合金−炭化珪素の複合体の熱伝導率は200W/mK程度で、従来の銅製ヒートシンク(400W/mK)の1/2であり放熱特性の点で劣り、加えて高価であるため、実用上の問題が残っている。
【0011】
一方、半導体素子とセラミックス回路基板を接合している半田部にも、使用中の熱応力によりクラックが発生する問題がある。このクラックは、半導体素子と回路金属の熱膨張差により発生する応力が発生原因と考えられている。近年、回路金属として、低弾性率でかつ降伏応力の低いアルミニウム合金を用いることで、半田部に発生する応力を、アルミニウム合金が降伏して緩和することによりクラックの発生を抑制することが検討されている。しかし、この様なアルミニウム回路基板でも、長期の信頼性の面では、まだ問題が残っている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のセラミックス回路基板とヒートシンクとの接合構造を有するモジュール構造体において、MoやW等の重金属材料をヒートシンクに用いた場合、モジュール構造体の重量が重くなると共に、放熱性に関しても必ずしも十分でないという問題がある。一方、比較的軽量で放熱性に優れるCuやAl等をヒートシンクとして用いる場合、セラミックス回路基板との熱膨張差が大きく、信頼性の高い構造を得るためには、接合構造自体が非常に複雑になってしまい、製造コストの増加や放熱部品としての熱抵抗の増加等を招くといった問題があった。更に、低熱膨張率のアルミニウム−炭化珪素複合体をヒートシンクとして用いても、放熱特性及び信頼性の面で問題が残る。以上の事情から、従来のセラミックス回路基板とヒートシンクの接合構造を有するモジュール構造体においては、重量の低減や接合構造の簡略化を図り、且つ信頼性や放熱性の向上を図ることが課題とされている。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、セラミックス基板に発生するクラックを防止し、使用環境下で発生する熱応力による半田部のクラックを抑制した高信頼性、且つ放熱特性に優れた放熱部品を安価に提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは,上記目的を達成するため鋭意研究した結果、ヒートシンク材料としてアルミニウム−炭化珪素複合体を用い、該複合体の機械的特性及び熱膨張特性を調整することにより、放熱特性と信頼性を向上できることを見出し,本発明を完成するに至ったのである。
【0015】
すなわち、本発明は、アルミニウム−炭化珪素複合体にセラミックス回路基板を接合してなるモジュール構造体であって、アルミニウム−炭化珪素複合体の降伏耐力が該アルミニウム−炭化珪素複合体中のアルミニウムの降伏耐力に対して1.5〜4倍であることを特徴とするモジュール構造体である。
【0016】
また、本発明は、アルミニウム−炭化珪素複合体にセラミックス回路基板を接合してなるモジュール構造体構造体であって、アルミニウム−炭化珪素複合体のヤング率が120〜200GPaであることを特徴とするモジュール構造体である。
【0017】
更に、本発明は、前記モジュール構造体において、アルミニウム−炭化珪素複合体の室温から125℃の熱膨張係数が15×10-6/K以下であることを特徴とするものである。
【0018】
加えて、本発明は、前記モジュール構造体において、アルミニウム−炭化珪素複合体中の炭化珪素含有量が10〜40体積%であることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のモジュール構造体は、セラミックス回路基板とヒートシンクとが一体に接合された構造を有し、しかも前記ヒートシンクとしてアルミニウム−炭化珪素複合体を用いているので、セラミックス回路基板上に搭載される半導体素子、セラミックス回路基板を構成するセラミックス基板、更にヒートシンクがいずれも熱膨張係数が同程度に小さく、製造工程や実使用条件下で被る熱的な変動を受けても、接合部が剥がれたり、セラミックス基板が破壊したりせず、かなり信頼性が高いという特徴を有している。
【0020】
しかし、大電力用モジュールや電気自動車等の移動機器に用いられるモジュールとして使用される構造体として前記モジュール構造体を適用しようとすると、放熱フィンや放熱ブロック等の他の放熱部品に前記モジュール構造体を締め付け固定する際、製造工程、或いは実使用条件下で被る熱的な変動を受けて、モジュール構造体の接合部が剥がれたり、セラミックス基板が破壊したり、モジュール構造体が変形して他の放熱部品との締め付け状態が緩んだりという現象を呈することがあり、長期的な信頼性の面で問題がある。
【0021】
本発明者は、ヒートシンクに用いられているアルミニウム−炭化珪素複合体に関していろいろ実験的検討を重ね、アルミニウム−炭化珪素複合体のヤング率、降伏応力が重要な働きを有していること、ことに後者については、アルミニウム−炭化珪素複合体の降伏耐力と該アルミニウム−炭化珪素複合体中のアルミニウムの降伏耐力とが特定比率の時に、前記課題が解決できることを見出し、本発明に至ったものである。
【0022】
本発明において、アルミニウム−炭化珪素複合体のヤング率が120〜200GPaである。アルミニウム−炭化珪素複合体のヤング率が前記特定範囲に限定される理由については、不明な点が多いが、本発明者は、あまりにも小さなヤング率の場合には、他の放熱部品への締め付け力が小さくなり、モジュール構造体と他の放熱部品との熱的接触状態が不良となり、モジュール構造体の放熱特性が低下してしまうため、また、実使用時で受ける機械的衝撃力や熱応力の変動に起因して、他の放熱部品とモジュール構造体との接触位置が変位し易くなり長期の信頼性が保てなくなるため、一方、あまりにも大きなヤング率の場合には、モジュール構造体と他の放熱部品との熱的接触状態を良くするためには非常に大きな締め付け力を必要とし、時にはセラミックス基板が破壊してしまうために、前記特定範囲に限定されていると推察している。
【0023】
また、本発明において、アルミニウム−炭化珪素複合体の降伏耐力と該アルミニウム−炭化珪素複合体中のアルミニウムの降伏耐力とが特定比率に限定され、本発明者の実験的結果に基づけば、アルミニウム−炭化珪素複合体の降伏耐力が該アルミニウム−炭化珪素複合体中のアルミニウムの降伏耐力に対して1.5〜4倍であるとき、好ましくは2〜3倍であるときに、本発明の目的を達成することができる。前記比率が1.5倍以下の場合は、モジュール構造体を他の放熱部品に締め付け固定するときや、熱変動を受けてモジュール構造体が変形し、長期的に高信頼性を保つことが出来なくなるし、前記比率が4倍を超える場合は、ヒートシンク部の変形によりモジュール構造体と他の放熱部品との接合部において応力を緩和させることができなくなり、結果的に、長期の信頼性を確保できなくなる。
【0024】
本発明において、アルミニウム−炭化珪素複合体の室温から125℃の熱膨張係数については、15×10-6/K以下であることが好ましい。前述したとおりに、セラミックス回路基板の回路上に搭載される半導体素子と、セラミックス基板と、ヒートシンクとはいずれも同じ程度に小さな熱膨張係数を有することが、熱変動を受けたときに大きな応力を発生し難いことから望ましいが、半導体素子が一般にシリコン(熱膨張係数;2.6×10-6/K)で構成されていること、又、大電流用途向けのセラミックス基板としては、一般に、窒化アルミニウムや窒化珪素が選択され、これらの熱膨張係数も概ね6〜8×10-6/Kであることから前記上限が選択される。また、熱膨張係数の好ましい下限値については、技術上これを定める理由はない。尚、その用途から、熱膨張係数は、室温から125℃までについて考慮すれば良い。
【0025】
本発明の実施態様として、アルミニウム−炭化珪素複合体中の炭化珪素含有量は10〜40体積%であることが好ましく、20〜30体積%であることが一層好ましい。10体積%未満では、得られるアルミニウム−炭化珪素複合体の熱膨張係数が大きくなるし、また降伏耐力の比率が低下してしまう。一方、40体積%を超えるときは、前記降伏耐力の比率が大きくなりがちであり、又、アルミニウム−炭化珪素複合体のコストも高くなり実用的でなくなる。
【0026】
以下、本発明のモジュール構造体を製造する方法を例示して、更に本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明に用いるアルミニウム−炭化珪素複合体を得る方法としては、溶融したアルミニウム中に炭化珪素の粉末や繊維を添加する方法、炭化珪素の粉や繊維より多孔質の成形体を得た後に前記成形体の空隙部分に溶融したアルミニウムを溶浸或いは含浸させる方法、アルミニウムの粉や塊と炭化珪素の粉や繊維とを所望の割合で配合し型の中に配置した状態で加熱する方法等の従来公知の方法がいずれも適用できる。このうち、高圧鍛造法は、炭化珪素の粉や繊維より多孔質の成形体を得た後に前記成形体の空隙部分に溶融したアルミニウムを溶浸或いは含浸させる方法で、前記含浸操作において10〜100MPaの高圧を負荷させるので、得られるアルミニウム−炭化珪素複合体中での炭化珪素とアルミニウム合金との密着性が優れ、熱伝導率の高い複合体となることから、好ましい方法である。
【0028】
本発明に用いる炭化珪素としては、熱伝導率の高いこと、溶融アルミニウム金属に含まれたときに低温でも流動性に富むことの理由から、高純度で緑色の炭化珪素からなる粉末、特に平均粒子径が30〜200μm程度の粉末が好ましい。
【0029】
本発明に用いられるアルミニウムは、アルミニウムを主成分とする金属であり、得られるアルミニウム−炭化珪素複合体が所望の特性を満足するものであればどの様なものであっても構わないが、本発明者の実験的検討に基づけば、珪素(Si)を20質量%以下含有するアルミニウム合金が好ましい。Siの含有量が20質量%を超える場合には、得られるアルミニウム−炭化珪素複合体中のアルミニウム合金の降伏耐力が大きくなりすぎ、所望の特性を有するモジュール構造体が得難くなる。
【0030】
又、前記アルミニウム合金は、不純物として鉄(Fe)や銅(Cu)を1質量%以下含有することができる。1質量%を超える前記不純物の存在は、熱伝導率の低下をもたらし、また、前者の場合には強度低下が生じ、後者の場合は降伏耐力が増加しすぎるからである。更に、前記アルミニウム合金には、炭化珪素とアルミニウム合金との密着性を高める目的で、また、熱伝導率を高める目的で、得られるアルミニウム−炭化珪素複合体中の酸素含有量が1質量%以下に低減してマグネシウム(Mg)を3質量%以下含有することが好ましい。
【0031】
モジュール構造体を得ることを前提とするときには、例えばSiを6質量%とMgを0.5質量%含有するアルミニウム合金を溶融し、更に炭化珪素粉を10〜40体積%含有するように配合したものを、黒鉛、セラミックス或いは鉄等金属からなる、アルミニウムと反応しがたい材質からなる型内に注ぎ、冷却、固化させる方法で、厚さ2〜10mmの平板を形成するのが一般的である。このとき、型と平板との離型を促進する目的で、黒鉛、窒化硼素、アルミナ等の微粉からなる離型剤を用いることが好ましい。
【0032】
得られた平板は、そのまま、或いは必要に応じて、機械加工、研磨を受け、更に必要ならばめっき等によりNi等の金属層を所望部分に設けられ、所望形状を有する、ヒートシンクと呼ばれる放熱部品となる。
【0033】
一方、本発明に用いるセラミックス回路基板としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素等からなるセラミックス基板の一主面に回路を設けた構造を有するものであれば、どの様なものでも構わない。しかし、セラミックス基板としては、当該セラミックス回路基板に搭載される半導体素子が熱膨張係数が小さいSiからなることから、また、得られるモジュール構造体の熱放散性が高くできることから、窒化アルミニウムや窒化珪素が好ましい。尚、一般的には、電気絶縁性、放熱性、強度等の機械的性質を考慮して0.3〜2mmの板厚が選択される。
【0034】
また、セラミックス回路基板の回路に関しては、電気抵抗が小さく、熱伝導率が大きく、しかも高信頼性のモジュール構造体が得られることから、Cu、Al、或いはそれらの合金が好ましい。更に、セラミックス基板の裏面(ヒートシンクに対する主面)の回路については設けていてもなくても構わない。尚、前記回路とセラミックス基板、或いは熱放散用金属板とセラミックス基板の接合は、銅系、銀系のろう材を用いてろう接されるのが一般的であるが、セラミックス基板が窒化物セラミックスからなる場合には、Ti、Zr等のいわゆる活性金属を含むろう材を用いることが強い接合力が得られることから好ましい。
【0035】
次に、前記ヒートシンク上に、前記セラミックス回路基板を接合し、一体化してモジュール構造体とする。接合に際しては、一般市販のろう材を用いれば良いが、裏面に回路が設けられている場合には半田を用いて接合することも出来る。
【0036】
【実施例】
以下、実施例と比較例をあげて、更に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
〔実施例1〜3、比較例1、2〕Siを6質量%含有するアルミニウム合金5kgを電気炉で温度700℃に加熱した後、攪拌しながら平均粒子径が70μmの炭化珪素粉末を20体積%添加した。更に、Mgを1質量%添加して、炭化珪素粉末を含有するアルミニウム合金を作製した。得られた溶融合金100gを、250℃に予熱して離型剤を塗布した80mm×120mmの外寸の金型に投入し、即座に圧力50MPaでプレス成形、冷却して複合体1を作製した。また、複合体2は、複合体1に対して、アルミニウム合金として、Mgを1質量%含有するものを用い、炭化珪素粉末の含有量を30体積%とした以外は、同様の手法で作製した。得られた複合体の諸特性を評価した結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004407858
【0039】
厚さ0.6mmで70mm×40mmの寸法を有する窒化珪素焼結体(熱伝導率:70W/mK、三点曲げ強さ:650MPa、破壊靭性値:7MPam1/2)及び窒化アルミニウム焼結体(熱伝導率:130W/mK、三点曲げ強さ:400MPa、破壊靭性値:3MPam1/2)の両面に接合用ろう材として活性金属含有ろう材(Ag−Cu−Ti:80−15−5(質量比))を50μmの厚さでスクリーン印刷し、表2に示す材質及び厚みの金属板を載置し、10-3Pa台の真空雰囲気下、温度850℃で30分間加熱し接合後、冷却して複合体を得た。この複合体について、回路金属側を研磨し、パターニング用レジストを印刷し、硬化後、エッチングしてパターンを形成した。更に、回路間に残留する接合材を除去するため、酸性フッ化アンモニウム水溶液に浸触させた後、水洗してパターン形成した回路基板を作製した。得られた回路基板は、表2に示すヒートシンク材(80mm×120mm×3mm)と回路基板の組み合わせではんだ付けにより接合した後、共晶はんだによりシリコンチップを搭載し、モジュール構造体を作製した。作製したモジュール構造体は、−40℃から125℃のヒートサイクルを3000回掛けた後、その状態を観察した。その結果を表3に示す。
【0040】
比較例1は、ヒートシンクとして銅(金属1という)をセラミック基板として窒化アルミニウム基板を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法でモジュール構造体を作製した。また、比較例2は、ヒートシンクとして金属1を、セラミックス基板として窒化珪素基板を用いた以外は、実施例1と同様な方法でモジュール構造体を作製した。その評価結果を表3に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0004407858
【0042】
【表3】
Figure 0004407858
【0043】
〔実施例4〜6〕実施例4、5は、表4に示す組み合わせのセラミックス回路基板及びヒートシンクを用い、ヒートシンクに接合用ろう材としてAl−Si系合金ペーストを塗布し、乾燥した後、セラミックス回路基板を配置し、荷重を掛けつつ、真空中、温度600℃で1時間加熱接合した。実施例6は、裏面の回路を用いずにセラミックスとヒートシンクとを直接接合した。得られた構造体は、共晶半田によりシリコンチップを搭載し、モジュール構造体を作製した。得られたモジュール構造体は、−40℃から125℃のヒートサイクルを3000回掛けた後、その状態を評価した結果、いずれの個所にもクラック、割れは観察されなかった。
【0044】
【表4】
Figure 0004407858
【0045】
【発明の効果】
本発明のモジュール構造体は、ヒートシンクのヤング率や降伏耐力の比が特定の値を有し、その結果、優れた放熱特性とともに極めた高い信頼性を有しているので、電鉄、自動車、電気自動車等の移動機器に好適に用いることができ、産業上極めて有用である。

Claims (3)

  1. アルミニウム−炭化珪素複合体中の炭化珪素含有量が10〜40体積%であるアルミニウム−炭化珪素複合体にセラミックス回路基板を接合してなるモジュール構造体であって、アルミニウム−炭化珪素複合体の降伏耐力が該アルミニウム−炭化珪素複合体中のアルミニウムの降伏耐力に対して1.5〜4倍であり、該アルミニウムが珪素を6〜20質量%含有することを特徴とするモジュール構造体。
  2. アルミニウム−炭化珪素複合体にセラミックス回路基板を接合してなるモジュール構造体であって、アルミニウム−炭化珪素複合体のヤング率が120〜200GPaであることを特徴とするモジュール構造体。
  3. アルミニウム−炭化珪素複合体の室温から125℃の熱膨張係数が15×10−6/K以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のモジュール構造体。
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