JP4407169B2 - 封止方法及び封止構造 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、EL(Electro Luminescence)素子を封止する封止方法及び封止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
EL素子には、例えば第一電極、絶縁膜、無機EL層、絶縁膜、第二電極の順に積層した無機EL素子と、第一電極、有機EL層、第二電極の順に積層した有機EL素子とがある。特に有機EL素子は、表示装置の画素、露光装置の光源、液晶ディスプレイのバックライト、その他の光源と開発用途が広がっている。
【0003】
有機EL素子は外気中の水分、酸素等によって劣化しやすいため、封止構造によって封止されている。例えば、特許文献1には、基板上に形成された有機EL素子を被覆した樹脂封止膜と、この樹脂封止膜を被覆した無機物封止膜とからなる封止構造について記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−223264号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この封止構造では、有機EL素子を劣化させる水分、酸素等の劣化因子が積層方向に直交する方向に外部から浸透してしまい、有機EL素子までに到達する恐れがあり、十分に保護できなかった。さらに、封止構造の樹脂封止膜及び無機物封止膜は有機EL素子の外縁を跨って基板上にも形成されているが、基板と封止構造との間の界面を通じて、つまり積層方向に沿って劣化因子が浸透して有機EL素子までに到達する恐れがある。そこで、劣化因子がその界面を通じて有機EL素子までに到達する時間を遅らせるために、樹脂封止膜及び無機物封止膜を基板面方向に形成する範囲を拡張して、樹脂封止膜及び無機物封止膜の端面から有機EL素子の端部までの距離を長くすることが考えられるが、そのようにすると樹脂封止膜及び無機物封止膜が形成されている範囲の割合が増え、有機EL素子が形成されている範囲の割合が減る。樹脂封止膜及び無機物封止膜が形成されている範囲は発光しない領域であり、その範囲は基本的には表示面として機能せず特に携帯電話等の小型パネルには不適である。樹脂封止膜及び無機物封止膜が形成されている範囲を狭くすれば、上述したように封止性が芳しくなく、有機EL素子の発光寿命を短くしていた。
そこで、本発明は、上記のような問題点を解決しようとしてなされたものであり、封止性能を下げずに非発光領域の割合を削減することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1に示すように、基板(例えば、透明基板2)上に少なくとも第一電極(例えば、アノード5)、EL層(例えば、EL層6)、第二電極(例えば、カソード7)の順に積層したEL素子(例えば、有機EL素子3)を封止する封止方法において、
樹脂層(例えば、第一の樹脂層8a)と、該樹脂層に接して該樹脂層上に積層した無機物層(例えば、第二の無機物バリア層8b)とを少なくとも含む多層膜(例えば、バリア多層膜8)で前記EL素子全体を被覆し、前記多層膜を前記EL素子の外縁を跨って前記基板上に形成する工程と、
前記多層膜の外縁に向けてエアロゾル化した無機物を吹き付けることによって前記多層膜の外縁にシールのための無機物(例えば、無機物シール膜9)を堆積させる工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、例えば図7に示すように、少なくとも第一電極、EL層、第二電極の順に積層した複数のEL素子であって基板上に配列された複数のEL素子(例えば、有機EL型表示部103)を封止する封止方法において、樹脂層(例えば、第一の樹脂層108a)と、該樹脂層に接して該樹脂層上に積層した無機物層(例えば、第二の無機物バリア層108b)とを少なくとも含む多層膜(例えば、バリア多層膜108)で前記複数のEL素子をまとめて被覆し、前記多層膜を前記複数のEL素子全体の外周を跨って前記基板上に形成する工程と、
前記多層膜の外縁に向けてエアロゾル化した無機物を吹き付けることによって前記多層膜の外縁にシールのための無機物(例えば、無機物シール膜109)を堆積させる工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項7に記載の発明は、基板上に少なくとも第一電極、EL層、第二電極の順に積層したEL素子を封止する封止構造において、
請求項1に記載の封止方法によって封止されることを特徴とする。
【0009】
少なくとも第一電極、EL層、第二電極の順に積層した複数のEL素子であって基板上に配列された複数のEL素子を封止する封止構造において、
請求項2に記載の封止方法によって封止されることを特徴とする。
【0011】
以上のように、多層膜の外縁に向けてエアロゾル化した無機物を吹き付けることによって、多層膜の外縁に無機物が堆積してなる無機物シール膜が形成される。エアロゾル化した無機物の微粒子を吹き付けて堆積させることによって、無機物微粒子が緻密に且つ強固に結着し、無機物シール膜が基板によりよく密着する。無機物シール膜と基板との界面から外気が侵入することが防止され、EL素子の劣化が抑えられる。そのため、多層膜がEL素子の外縁又は複数のEL素子全体の外周を跨って基板上に形成されている範囲を狭くすることができ、発光しない領域を狭くすることができる。
【0012】
樹脂層は比較的平坦に形成することができ、無機物層がその樹脂層に接して樹脂層上に積層しているので、無機物層が薄くともピンホール等の欠陥のないものとなる。そのため、本発明に係る封止構造は高い封止性を有する。
また、多層膜に無機物層が含まれているため、積層方向に水分、酸素等が浸透しにくく、EL素子を水分、酸素等から保護することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の封止方法において、セラミック微粒子とキャリアガスとを攪拌することによって、前記エアロゾル化した無機物を生成することを特徴とする。
従って、沸点が高く蒸発させにくいセラミックであってもエアロゾル化することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の封止方法において、金属材料をキャリアガス中で蒸発させることによって、前記エアロゾル化した無機物を生成することを特徴とする。
従って、金属材料をエアロゾル化することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の封止方法において、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー若しくはメタクリレートオリゴマー又はこれらの組み合わせをフラッシュ蒸着により堆積して光重合させることによって前記樹脂層を形成することを特徴とする。
以上のように樹脂層が熱により硬化したものではなく、光により硬化したものであるため、EL素子に熱的ダメージを与えずに樹脂層を形成することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の封止方法において、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム若しくは導電性金属酸化物又はこれらの混合物を気相成長法により前記樹脂層上に堆積することによって前記無機物層を形成することを特徴とする。
従って、無機物層を形成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を実施するための好適な形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
〔第一の実施の形態〕
図1(a)は、本発明を適用した封止構造付発光素子1を示した平面図であり、図1(b)は、I-I断面における断面図である。
図1に示すように、封止構造付発光素子1は、光を透過する性質(以下、透光性という。)を有するとともに絶縁性を有する透明基板2と、透明基板2の表面上に形成された有機エレクトロルミネッセンス素子3(以下、有機EL素子と略称する。)と、有機EL素子3を封止する封止構造4と、を具備する。
【0019】
透明基板2は、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、その他のガラス、PMMA(ポリメタクリ酸メチル)、ポリカーボネート、その他の樹脂等の透明な材料で板状又はシート状に形成されている。
【0020】
有機EL素子3は、アノードである第一電極5と、有機化合物を含有したエレクトロルミネッセンス層6(以下、EL層と略称する。)と、カソードである第二電極7と、を具備し、透明基板2から順に第一電極5、EL層6、第二電極7が積層した積層構造となっている。
【0021】
第一電極5は、透光性を有するとともに導電性を有し、比較的仕事関数の高い透明電極である。第一電極5は、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ若しくはカドミウム−錫酸化物(CTO)又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム)かなる。
【0022】
第一電極5には端子5aが一体形成されており、この端子5aの突端が封止構造4の外側に延出している。図示は省略するが端子5aは絶縁膜によって被覆されている。
【0023】
第一電極5上には、EL層6が形成されている。このEL層6は、第一電極5から、導電性高分子であるPEDOT(ポリチオフェン)及びドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)からなる正孔輸送層6a、ポリフルオレン系発光材料からなる発光層6bの順に積層した二層構造である。
なお、EL層6は、正孔輸送層6a及び発光層6bからなる二層構造の他に、例えば、第一電極5から順に正孔輸送層、発光層、電子輸送層となる三層構造であっても良いし、発光層からなる一層構造であっても良いし、これらの層構造において適切な層間に電子又は正孔の注入層が介在した積層構造であっても良い。つまり、EL層6は、正孔及び電子を輸送し、正孔と電子の再結合により励起子を生成して発光するための広義の発光層である。EL層6は、電子的に中立な有機化合物であることが望ましく、これにより正孔と電子がEL層6でバランス良く注入され、輸送される。EL層6に電子輸送性の物質が発光層に適宜混合されていても良いし、正孔輸送性の物質が発光層に適宜混合されても良いし、電子輸送性の物質及び正孔輸送性の物質が発光層に適宜混合されていても良い。
【0024】
EL層6上には第二電極7が形成されている。第二電極7は、少なくとも仕事関数の低い材料を含み、具体的にはマグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム若しくは希土類からなる単体金属又はこれらの単体を少なくとも一種を含む合金で形成されている。更に、第二電極7が積層構造となっていても良く、例えば、上述のような低仕事関数材料で形成された膜上にアルミニウム、クロム等高仕事関数で且つ低抵抗率の材料で被膜した積層構造でも良い。
【0025】
第二電極7には端子7aが接続されており、この端子7aが封止構造4の外側に延出している。図示は省略するが端子7aは絶縁膜によって被覆されている。
【0026】
以上のような積層構造となる有機EL素子3では、第一電極5と第二電極7との間に電界(電圧)が生じると、正孔が第一電極5からEL層6へ注入され、電子が第二電極7からEL層6に注入される。そして、EL層6(主に発光層6b)にて正孔及び電子が再結合することによって励起子が生成され、励起子がEL層6内の蛍光体を励起して発光する。この封止構造付発光素子1はボトムエミッション型の発光素子であり、EL層6で発した光は透明基板2から外部に出射する。
【0027】
封止構造4は、第一電極5、EL層6及び第二電極7が積層した積層部全体を、つまり端子5a,7aの突端を除いて有機EL素子3全体を被覆したバリア多層膜8と、バリア多層膜8の外縁に沿って成膜された無機物シール膜9と、を具備する。
【0028】
バリア多層膜8は、第二電極7側から順に第一の樹脂層8a、第一の無機物バリア層8b、第二の樹脂層8c、第二の無機物バリア層8dが積層した多層構造となっている。
【0029】
第一の樹脂層8aは第二電極7上に形成され、第一の樹脂層8aの一部が平面視して第二電極7の外縁から外側へ延出して透明基板2上にも形成されている。第一の無機物バリア層8bは第一の樹脂層8a上に形成され、第一の無機物バリア層8bの一部が平面視して第一の樹脂層8aの外縁から外側へ延出して透明基板2上にも形成されている。第二の樹脂層8cは第一の無機物バリア層8b上に形成され、第二の樹脂層8cの一部が平面視して第一の無機物バリア層8bの外縁から外側へ延出して透明基板2上にも形成されている。第二の無機物バリア層8dは第二の樹脂層8c上に形成され、第二の無機物バリア層8dの一部が平面視して第二の樹脂層8cの外縁から外側へ延出して透明基板2上にも形成されている。
【0030】
第一の樹脂層8a及び第二の樹脂層8cはアクリル樹脂(メタクリル樹脂を含む意である。)からなるが、第一の樹脂層8aが第二の樹脂層8cと同じ成分であっても良いし異なる成分であっても良い。第一の樹脂層8a及び第二の樹脂層8cは、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー若しくはメタクリレートオリゴマー又はこれらの組み合わせを蒸着等により堆積してから光重合させることによって形成したものである。
【0031】
第一の無機物バリア層8b及び第二の無機物バリア層8dは酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(SiN、Si34)、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム(Al23)、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム若しくはITOのような導電性金属酸化物又はこれらの混合物からなり、酸素ガス等の気体や水分を遮蔽する性質を有する。第一の無機物バリア層8bが第二の無機物バリア層8dと同じ成分であっても良いし、異なる成分であっても良い。第一の無機物バリア層8b及び第二の無機物バリア層8dはスパッタリング法、PVD法、CVD法等の気相成長法で成膜したものである。
【0032】
第一の樹脂層8aが第二電極7上に形成されていることで、第一の無機物バリア層8bを平坦な面に形成することができ、ピンホール等の欠陥のない薄い第一の無機物バリア層8bを形成することができる。つまり、第二電極7の表面は比較的粗い面となっているから、その第二電極7上に第一の無機物バリア層8bを薄く成膜すると第一の無機物バリア層8bに欠陥が生じる恐れがあるが、本実施形態では第一の樹脂層8aの表面は第二電極7の表面よりも粗くないから、第一の無機物バリア層8bが比較的薄くても第一の無機物バリア層8bに欠陥がない。同様に、第二の樹脂層8cが形成されていることによって、欠陥のない薄い第二の無機物バリア層8dを形成することができる。
【0033】
なお、本実施形態ではバリア多層膜8は第二電極7から順に樹脂層、無機物バリア層が交互に積層された多層構造であるが、これらの層の間に他の層が介在していても良いし、第二電極7から順に樹脂層、無機物バリア層からなる二層構造であっても良い。つまり、バリア多層膜8には樹脂層と無機物バリア層が少なくとも一層ずつ含まれており、無機物バリア層が樹脂層に接するように樹脂層上に積層しており、更に無機物バリア層及び樹脂層が平面視してそれぞれの下層の外縁から延出するように形成されている必要がある。
【0034】
バリア多層膜8上であってその外周部には(つまり、第二の無機物バリア層8d上であってその外周部には)、無機物シール膜9が環状に形成されている。この無機物シール膜9は、バリア多層膜8上に成膜されているとともにバリア多層膜8の外縁を跨って透明基板2にも成膜されている。
【0035】
無機物シール膜9は、Al、Au、Ag、Cu、Pd、Ni等の金属単体若しくはこれら金属の合金又はセラミックからなり、エアロゾル化した無機物を吹き付けて堆積させることによって形成されたものである。セラミックとしては、Al23、NiO、TiO2、CuO、ZnO、ZrO2、SnO2、MgO等の酸化物、WC、ダイヤモンド、SiC、B4C等の炭化物、AlN、Si34等の窒化物が挙げられる。なお、無機物シール膜9を金属又は合金で形成する場合には、金属を加熱・蒸発させて、蒸発した金属がキャリアガスと衝突することによって微粒子となり、金属がエアロゾル化する。一方、無機物シール膜9をセラミックで形成する場合には、化学的に又は機械的に微粒子化されたセラミックをキャリアガスと混合した状態で攪拌することにより、セラミックがエアロゾル化する。
【0036】
封止構造付発光素子1の製造方法及び封止構造4による封止方法について説明する。
まず、スパッタリング法、PVD法又はCVD法によって透明基板2の表面上にITO等の透明導電層を形成し、その透明導電層にマスクを施した状態でエッチングをすることによって、透明基板2上に第一電極5、端子5a及び端子7aを形成するが、端子5aは第一電極5と一体に形成し、端子7aは第一電極5及び端子5aから離れるように形成する。次に、液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、平版印刷法、凹版印刷法、凸版印刷法等の湿式塗布法又は蒸着法等の気層成長法によって正孔輸送層6a、発光層6bを第一電極5上に順次形成する。次に、スパッタリング法、PVD法又はCVD法によって導電膜を成膜し、その導電膜にマスクを施した状態でエッチングすることによって、EL層6上に第二電極7を形成して第二電極7と端子7aとを接続する。次に、端子5a及び端子7aを絶縁膜で被膜する。以上のようにして有機EL素子3を形成する(図2(a))。
【0037】
次に、有機EL素子3が形成された透明基板2を真空チャンバにセッティングし、図2(b)に示すように透明基板2上方に環状のメタルマスク10をセッティングする。ここでメタルマスク10の中央部には第二電極7よりも大きな開口部10aが形成されているが、この開口部10a内に有機EL素子3全体が位置するようにメタルマスク10を透明基板2上方にセッティングする。
【0038】
そして、真空チャンバ内の高温蒸発源(坩堝)に粉末状の試料(アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー若しくはメタクリレートオリゴマー又はこれらの組み合わせ)を落下させることで試料を瞬時に蒸発させ、図2(c)に示すように試料の膜11で有機EL素子3全体を被覆する(フラッシュ蒸着法)。ここで、メタルマスク10に開口部10aが形成されているので、有機EL素子3には試料が堆積するが、有機EL素子3の周囲の基板2上には試料が堆積せず、メタルマスク10に堆積する。そして、堆積した試料の膜11に紫外線等の光を照射することによって試料が重合し、アクリル樹脂からなる第一の樹脂層8aが形成される(図3(a))。このように、第一の樹脂層8aが熱により硬化したものではなく、光により硬化したものであるため、第一の樹脂層8aの形成の時に有機EL素子3に熱的ダメージを与えない。
【0039】
次に、スパッタリング装置又は蒸着装置の成膜室に透明基板2をセッティングし、メタルマスクの開口部内に第一の樹脂層8aが配されるようにメタルマスクを透明基板2上方にセッティングする。この状態でスパッタリング法又蒸着法を行うことによって、第一の樹脂層8a上に第一の無機物バリア層8bを成膜するとともに、第一の樹脂層8aの外縁を跨って透明基板2上にも第一の無機物バリア層8bを成膜する(図3(b))。ここで、第一の無機物バリア層8bがSiO2又はAl23の場合にはスパッタリング法により第一の無機物バリア層8bを成膜し、第一の無機物バリア層8bがSiNの場合にはプラズマCVD法により第一の無機物バリア層8bを成膜する。
【0040】
次に、第一の樹脂層8aの場合と同様にフラッシュ蒸着及び光照射を順次行うことによって、第二の樹脂層8cを第一の無機物バリア層8b上に成膜するとともに、第一の無機物バリア層8bの外縁を跨って透明基板2上にも第二の樹脂層8cを成膜する。次に、第一の無機物バリア層8bの場合と同様にスパッタリング又は蒸着を行うことによって、第二の無機物バリア層8dを第二の樹脂層8c上に成膜するとともに、第二の樹脂層8cの外縁を跨って透明基板2上にも第二の無機物バリア層8dを成膜する(図3(c))。
【0041】
次に、無機物シール膜9を形成する。ここで、金属又は合金からなる無機物シール膜9を形成する場合には図4に示された装置を用い、セラミックからなる無機物シール膜9を形成する場合には図5に示された装置を用いる。以下、無機物シール膜9を金属又は合金から形成する場合と、無機物シール膜9をセラミックから形成する場合について説明する。
【0042】
(1)金属又は合金の場合
まず、図4に示された装置について詳説する。
この装置は、蒸発室21と、成膜室22と、蒸発室21に配置された誘導加熱器付坩堝23と、蒸発室21と成膜室22を連結する搬送管24と、成膜室22内において搬送管24の先端に取り付けられたノズル25と、ノズル25の先に対向配置された透明基板2を支持するためのヒータ付ホルダ26と、ヒータ付ホルダ26にセットされた透明基板2の移動を行う移動機構(図示略)と、搬送管24が挿入された余分粒子排気管27と、余分粒子排気管27を介して蒸発室21から排気された不活性キャリアガス(ヘリウムガスが最も望ましく、その他にアルゴンガス、窒素ガスでも良い。)及び成膜室22から排気されたキャリアガスを蒸発室21に循環させるとともに循環の過程でキャリアガスを純化するキャリアガス純化・循環システム28と、成膜室22から空気を排気するための排気ポンプ29と、蒸発室21から余分粒子排気管27を介して排気された不活性キャリアガスをキャリアガス純化・循環システム28に送るポンプ30Aと、成膜室22から排気されたキャリアガスをキャリアガス純化・循環システム28に送るポンプ30Bと、から構成されている。
【0043】
無機物シール膜9の形成方法について説明する。有機EL素子3及びバリア多層膜8が形成された透明基板2をヒータ付ホルダ26にセッティングするとともに、誘導加熱器付坩堝23に金属材料(Al、Au、Ag、Cu、Pd、Ni等の金属単体若しくはこれらのうちの二種以上の混合物)をセッティングする。そして、排気ポンプ29で空気を排気し、キャリアガス純化・循環システム28で0.1〜0.5MPaに加圧したキャリアガスを蒸発室21に供給することでキャリアガスを循環させる。キャリアガス純化・循環システム28でキャリアガスを純化しつつ循環させている時に、誘導加熱器付坩堝23によって金属材料を加熱して蒸発させる。蒸発した金属材料はキャリアガス分子と衝突して冷却され、エアロゾル化した微粒子となって、搬送管24に吸い込まれる。ここで、搬送管24を580K程度に加熱するのが望ましい。なお、搬送管24に吸い込まれない金属微粒子はキャリアガスと共に余分粒子排気管27に吸い込まれるので、蒸発室21に金属微粒子が滞留して凝集粒子が形成されることが防止される。
【0044】
搬送管24に吸い込まれた金属微粒子は、ノズル25から100m/s以上の速度で吹き出て、ヒータ付ホルダ26にセットされた透明基板2に衝突する。この時、エアロゾル化した金属微粒子を含むキャリアガスをノズル25から透明基板2に吹き付けつつ、第二の無機物バリア層8dの外縁にノズル25の先端を沿わせるように透明基板2を移動機構で移動させる(図6)。これにより、ノズル25から吹き出たキャリアガスが第二の無機物バリア層8dの外縁に向けて吹き付けられ、第二の無機物バリア層8dの外縁及びその周辺に金属微粒子が堆積する。これにより、無機物シール膜9が第二の無機物バリア層8dの外縁に沿って環状に形成される。
【0045】
(2)セラミックの場合
図5に示された装置について説明する。
この装置は、成膜室31と、成膜室31内に配置されたノズル32と、ノズル32の先に対向配置された透明基板2を支持するホルダ33と、ホルダ33にセットされた透明基板2の移動を行う移動機構34と、不活性キャリアガス(ヘリウムガスが最も望ましく、その他にアルゴンガス、窒素ガスでも良い。)を貯蔵した供給ボンベ35と、供給ボンベ35からキャリアガスが供給されるとともに振動するエアロゾル化室36と、供給ボンベ35及びエアロゾル化室36からキャリアガスが供給されるとともに微粒子を分級する分級装置37と、分級装置37からノズル32まで連繁した搬送管38と、成膜室31から空気を排気するための真空ポンプ39と、から構成されている。
【0046】
無機物シール膜9の形成方法について説明する。有機EL素子3及びバリア多層膜8が形成された透明基板2をホルダ33にセッティングするとともに、機械的粉砕又は化学的手法によって平均粒径0.05〜2μm程度に微粒子化したセラミック(Al23、NiO、TiO2、CuO、ZnO、ZrO2、SnO2、MgO、WC、ダイヤモンド、SiC、B4C、AlN、Si34のうちの少なくとも一つ)をエアロゾル化室36に投入する。そして、真空ポンプ39で成膜室31を50〜1kPa程度に減圧する。そして、供給ボンベ35からエアロゾル化室36にキャリアガスを供給すると、エアロゾル化室36と成膜室31の圧力差によってキャリアガスがエアロゾル化室36から分級装置37を通って成膜室31に流れる。この時、エアロゾル化室36の振動によりキャリアガスとセラミック微粒子が攪拌されて、セラミック微粒子がエアロゾル化する。分級装置37に流れたセラミック微粒子のうち粒径の比較的大きいものは分級装置37で分級され、比較的小さい粒径のセラミック微粒子は搬送管38に流れこむ。
【0047】
搬送管38に流れたセラミック微粒子は、ノズル32より吹き出て、ホルダ33にセットされた透明基板2に衝突する。この時、エアロゾル化したセラミック微粒子を含むキャリアガスをノズル32から透明基板2に吹き付けつつ、第二の無機物バリア層8dの外縁にノズル32の先端を沿わせるように透明基板2を移動機構で移動させる(図6)。これにより、ノズル32から吹き出たキャリアガスが第二の無機物バリア層8dの外縁に向けて吹き付けられ、第二の無機物バリア層8dの外縁及びその周辺にセラミック微粒子が堆積する。これにより、無機物シール膜9が第二の無機物バリア層8dの外縁に沿って環状に形成される。
【0048】
以上のように、本実施形態では、エアロゾル化した無機物を吹き付けることによって無機物シール膜9を形成しているから、形成された無機物シール膜9は微粒子同士が緻密に且つ強固に結着してなるものであり、特に透明基板2と無機物シール膜9との密着性が高い。このような無機物シール膜9がバリア多層膜8の外縁に形成されているので、バリア多層膜8にある層間の界面や、バリア多層膜8と透明基板2との界面を通じて、水分、酸素等が浸透することを防ぐことができる。そのため、有機EL素子3の劣化を抑えることができる。更に、無機物シール膜9を形成することによって封止性が向上しているから、バリア多層膜8が透明基板2上に形成されている範囲を狭くすることができる。つまり、透明基板2のうち有機EL素子3が形成されている範囲の割合を増やすことができ、バリア多層膜8が形成されている範囲の割合を減らすことができる。従って、発光領域の占める領域を増やすことができる。
【0049】
また、バリア多層膜8に無機物バリア層8b,8dが含まれているため、バリア多層膜8の積層方向に水分、酸素等が浸透することが防止され、有機EL素子3を水分、酸素等から保護することができる。
【0050】
また、バリア多層膜8が樹脂層8a、無機物バリア層8b、樹脂層8c、無機物バリア層8dの四層構造になっているが、仮に一つの樹脂層と一つの無機物バリア層とのみからなる二層構造のバリア多層膜の場合と比較したら、積層方向への封止性が同じ場合には四層構造のバリア多層膜8の方が二層構造のバリア多層膜よりも薄くすることができる。
【0051】
〔第二の実施の形態〕
図7(a)は、本発明を適用した封止構造付表示パネル101を示した平面図であり、図7(b)は、VII-VII断面における断面図である。
図7に示すように、封止構造付表示パネル101は、透光性及び絶縁性を有した透明基板102と、透明基板2の表面中央部に形成された有機EL型表示部103と、有機EL型表示部103を封止する封止構造104と、を具備する。
【0052】
透明基板102は第一実施形態の透明基板2と同じである。
【0053】
有機EL型表示部103は、複数の有機EL素子が画素として二次元アレイ状に配列されたものであり、ドットマトリクス表示を行うようになっている。有機EL型表示部103はパッシブ駆動方式(単純マトリクス駆動方式)で表示を行うものであっても良いし、アクティブ駆動方式で表示を行うものであっても良い。
【0054】
有機EL型表示部103がパッシブ駆動方式である場合、有機EL型表示部103は次のように構成されている。即ち、複数の帯状のストライプ電極が平行になって透明基板102上に配列されており、これらストライプ電極全てを被覆するようにEL層が形成されている。EL層は、ストライプ電極がアノードの場合、ストライプ電極から順に正孔輸送層及び発光層からなる二層構造であっても良いし、正孔輸送層、発光層、電子輸送層となる三層構造であっても良いし、発光層からなる一層構造であっても良いし、これらの層構造において適切な層間に電子又は正孔の注入層が介在した積層構造であっても良い。また、ストライプ電極がカソードの場合、EL層は、ストライプ電極から順に電子輸送層を兼ねた発光層及び正孔輸送層からなる二層構造であっても良いし、電子輸送層、発光層、正孔輸送層となる三層構造であっても良いし、発光層からなる一層構造であっても良いし、これらの層構造において適切な層間に電子又は正孔の注入層が介在した積層構造であっても良い。EL層上には複数の帯状の対向ストライプ電極が平面視してストライプ電極に直交するように形成されている。これら電極同士の交差部がマトリクス状に配列されており、この交差部においてストライプ電極、EL層、対向ストライプ電極の順に積層した積層構造が有機EL素子を成している。また、これら電極には端子110が接続されており、端子110の突端は封止構造104の外側に延出しており、端子110は突端を除いて絶縁膜111によって被覆されている。ストライプ電極がアノードの場合には、ストライプ電極、EL層、対向ストライプ電極はそれぞれ第一実施形態の第一電極5、EL層6、第二電極7と同じ材料を用いることができる。一方、ストライプ電極がカソードの場合には、ストライプ電極、EL層、対向ストライプ電極はそれぞれ第一実施形態の第二電極7、EL層6、第一電極5と同じ材料を用いることができる。なお、EL層が共通層となっているが、ストライプ電極と対向ストライプ電極との交差部ごとに分離、独立していても良い。
【0055】
有機EL型表示部103がアクティブ駆動方式である場合、有機EL型表示部103は次のように構成されている。即ち、複数の画素電極が二次元アレイ状となって透明基板102上に配列されており、画素電極上にEL層が形成されているが、EL層は共通した層として形成されているのではなく画素電極ごとに独立して形成されている。画素電極がアノードの場合には、EL層は、画素電極から順に正孔輸送層及び発光層からなる二層構造であっても良いし、正孔輸送層、発光層、電子輸送層となる三層構造であっても良いし、発光層からなる一層構造であっても良いし、これらの層構造において適切な層間に電子又は正孔の注入層が介在した積層構造であっても良い。また、画素電極がカソードの場合、EL層は、画素電極から順に電子輸送層を兼ねた発光層及び正孔輸送層からなる二層構造であっても良いし、電子輸送層、発光層、正孔輸送層となる三層構造であっても良いし、発光層からなる一層構造であっても良いし、これらの層構造において適切な層間に電子又は正孔の注入層が介在した積層構造であっても良い。これらEL層全てを被覆するように対向電極が形成されている。二次元アレイ状に配列された画素電極それぞれにおいて画素電極、EL層、対向電極の順に積層した積層構造が有機EL素子を成している。画素電極がアノードの場合には、画素電極、EL層、対向電極はそれぞれ第一実施形態の第一電極5、EL層6、第二電極7と同じ材料を用いることができる。一方、画素電極がカソードの場合には、画素電極、EL層、対向電極はそれぞれ第一実施形態の第二電極7、EL層6、第一電極5と同じ材料を用いることができる。また、有機EL素子を駆動するためのアクティブ素子としての電界効果トランジスタ(TFT)が一つの画素につき(一つの有機EL素子につき)一又は複数形成されているが、これら電界効果トランジスタは画素電極間に形成されているか又は画素電極と透明基板102との間に形成されている。また、各画素の電界効果トランジスタに電圧を印加するために、複数の走査線とこれら走査線に平面視して直交する信号線とが互いに絶縁されて配列されている。走査線、信号線には端子110が接続されており、端子110の突端は封止構造104の外側に延出しており、端子110は突端を除いて絶縁膜111によって被覆されている。なお、カソードが全画素にかけて連続した共通層とした対向電極となっているが、画素電極として画素ごとに独立させ、アノードを共通電極としても良い。
【0056】
封止構造104は、有機EL型表示部103を、つまりマトリクス状に配列された複数の有機EL素子全てをまとめて被覆したバリア多層膜108と、バリア多層膜108の外縁に沿って成膜された無機物シール膜109と、を具備する。
【0057】
バリア多層膜108は、有機EL型表示部103側から順に第一の樹脂層108a、第一の無機物バリア層108b、第二の樹脂層108c、第二の無機物バリア層108dが積層した多層構造となっている。
【0058】
第一の樹脂層108aは有機EL型表示部103上に形成され、第一の樹脂層108aの一部が平面視して有機EL型表示部103の外縁から外側へ延出して透明基板102上にも形成されている。第一の無機物バリア層108bは第一の樹脂層108a上に形成され、第一の無機物バリア層108bの一部が平面視して第一の樹脂層108aの外縁から外側へ延出して透明基板102上にも形成されている。第二の樹脂層108cは第一の無機物バリア層108b上に形成され、第二の樹脂層108cの一部が平面視して第一の無機物バリア層108bの外縁から外側へ延出して透明基板102上にも形成されている。第二の無機物バリア層108dは第二の樹脂層108c上に形成され、第二の無機物バリア層108dの一部が平面視して第二の樹脂層108cの外縁から外側へ延出して透明基板102上にも形成されている。
【0059】
第一の樹脂層108a、第一の無機物バリア層108b、第二の樹脂層108c、第二の無機物バリア層108dはそれぞれ第一実施形態の第一の樹脂層8a、第一の無機物バリア層8b、第二の樹脂層8c、第二の無機物バリア層8dと同じ材料を用いることができる。
【0060】
バリア多層膜108上であってその外周部には、無機物シール膜109が環状に形成されている。この無機物シール膜109はバリア多層膜108の外縁を跨って透明基板102にも成膜されている。無機物シール膜109は第一実施形態の無機物シール膜9と同じ材料を用いることができる。
【0061】
封止構造付表示パネル101の製造方法及び封止構造104による封止方法について説明する。
まず、端子110,110,…を形成し、有機EL型表示部103の電極、EL層等をパターニングすることによって有機EL素子が二次元アレイ状に配列されてなる有機EL型表示部103を透明基板102上に形成し、端子110,110,…を絶縁膜111で被覆する(図8(a))。ここで、有機EL型表示部103がアクティブ駆動方式の場合、まず複数の電界効果トランジスタ、走査線、信号線をパターニングしてから、電極、EL層をパターニングする。
【0062】
次に、第一実施形態のバリア多層膜8を形成する場合と同様に、バリア多層膜108を形成する。ここで、バリア多層膜108の第一の樹脂層108a、第一の無機物バリア層8b、第二の樹脂層108c、第二の無機物バリア層108dを成膜するに際して、それぞれの下層の外縁を跨って透明基板102上にも形成する(図8(b))。
【0063】
次に、第一実施形態の無機物シール膜9を形成する場合と同様に、図4又は図5に示された装置を用いて、無機物シール膜109を形成する。つまり、エアロゾル化した無機物をノズル25又はノズル32から吹き出しつつ、第二の無機物バリア層108dの外縁にノズル25,32の先端を沿わせるように透明基板2を移動させ、エアロゾル化した無機物を第二の無機物バリア層108dの外縁に沿って吹き付ける。これにより、無機物の微粒子が第二の無機物バリア層8dの外縁及びその周辺に堆積し、無機物シール膜109を形成する。
【0064】
以上のように、本実施形態では、無機物シール膜109がバリア多層膜108の外縁に形成されているので、バリア多層膜108が透明基板102上に形成されている非発光範囲を狭くしても、バリア多層膜108と透明基板102との界面を通じて、水分、酸素等が浸透することを防ぐことができる。
【0065】
〔変形例〕
本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
【0066】
例えば、図4に示された装置でエアロゾル化した金属微粒子を吹き付けている際に、透明基板2をヒータ付ホルダ26で最大約200℃に加熱しても良い。透明基板2を200℃程度に加熱しても、有機EL素子3が熱損傷することもない上、無機物シール膜9と透明基板2との密着性、無機物シール膜9と無機物バリア層8dとの密着性が更に向上する。
【0067】
また、これらバリア多層膜8,108に含まれる各層が透明であれば、発光素子1及び表示パネル101がトップエミッション型となり、光は第二の無機物バリア層8d,108dから外部に出射する。この場合において、封止構造付発光素子1の第二電極7を透明な構造に形成し、封止構造付表示パネル101の対向ストライプ電極又は対向電極が透明な構造に形成する。
【0068】
また、バリア多層膜8,108の樹脂層8a,8c,108a,108cがアクリル樹脂からなるものであるが、これらが光重合により硬化したエポキシ樹脂からなるものでも良い。
【0069】
第一実施形態における有機EL素子3に代えて無機EL素子を封止構造4で封止しても良いし、第二実施形態における有機EL表示部103に代えて、無機EL素子がマトリクス状に配列されてなる無機EL表示部を封止構造104で封止しても良い。無機EL素子の場合、第一基板2から順に第一電極、絶縁膜、無機発光層(EL発光層)、透明絶縁膜、第二電極となる層構造となるが、このような層構造に限定する必要はない。無機EL素子の場合、第一電極か第二電極のうち少なくとも一方が透明電極である。
【0070】
【発明の効果】
請求項1、2、7、8又は9の何れかに記載の発明によれば、多層膜が有機EL素子の外縁又は複数の有機EL素子全体の外周を跨って基板上に形成されている範囲を狭くしても、無機物シール膜と基板との界面から外気が侵入することが防止され、有機EL素子の劣化が抑えられる。
【0071】
請求項3に記載の発明によれば、沸点が高く蒸発させにくいセラミックであってもエアロゾル化することができる。
【0072】
請求項4に記載の発明によれば、金属材料をエアロゾル化することができる。
【0073】
請求項5に記載の発明によれば、有機EL素子に熱的ダメージを与えずに樹脂層を形成することができる。
【0074】
請求項6に記載の発明によれば、無機物層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した封止構造付発光素子を示した図面である。
【図2】図1に示された封止構造付発光素子の製造方法を順に示した図面である。
【図3】図2の続きの工程を示した図面である。
【図4】無機物シール膜を形成する際に用いる装置を示した図面である。
【図5】無機物シール膜を形成する際に用いる装置であって図4の装置とは異なる装置を示した図面である。
【図6】図4、図5の装置を用いて無機物シール膜を形成する方法を示した図面である。
【図7】本発明を適用した封止構造付表示パネルを示した図面である。
【図8】図7に示された封止構造付表示パネルの製造方法を順に示した図面である。
【符号の説明】
1 … 封止構造付発光素子
2、102 … 透明基板
3 … 有機EL素子
4、104 … 封止構造
5 … アノード
6 … EL層
7 … カソード
8、108 … バリア多層膜
8a、8c、108a、108c … 樹脂層
8b、8d、108b、108d … 無機物バリア層
9,109 … 無機物シール膜
101 … 封止構造付表示パネル
103 … 有機EL表示部

Claims (8)

  1. 基板上に少なくとも第一電極、EL層、第二電極の順に積層したEL素子を封止する封止方法において、
    樹脂層と、該樹脂層に接して該樹脂層上に積層した無機物層とを少なくとも含む多層膜で前記EL素子全体を被覆し、前記多層膜を前記EL素子の外縁を跨って前記基板上に形成する工程と、
    前記多層膜の外縁に向けてエアロゾル化した無機物を吹き付けることによって前記多層膜の外縁にシールのための無機物を堆積させる工程と、を含むことを特徴とする封止方法。
  2. 少なくとも第一電極、EL層、第二電極の順に積層した複数のEL素子であって基板上に配列された複数のEL素子を封止する封止方法において、
    樹脂層と、該樹脂層に接して該樹脂層上に積層した無機物層とを少なくとも含む多層膜で前記複数のEL素子をまとめて被覆し、前記多層膜を前記複数のEL素子全体の外周を跨って前記基板上に形成する工程と、
    前記多層膜の外縁に向けてエアロゾル化した無機物を吹き付けることによって前記多層膜の外縁にシールのための無機物を堆積させる工程と、を含むことを特徴とする封止方法。
  3. セラミック微粒子とキャリアガスとを攪拌することによって、前記エアロゾル化した無機物を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の封止方法。
  4. 金属材料をキャリアガス中で蒸発させることによって、前記エアロゾル化した無機物を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の封止方法。
  5. アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー若しくはメタクリレートオリゴマー又はこれらの組み合わせをフラッシュ蒸着により堆積して光重合させることによって前記樹脂層を形成することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の封止方法。
  6. 酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム若しくは導電性金属酸化物又はこれらの混合物を気相成長法により前記樹脂層上に堆積することによって前記無機物層を形成することを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の封止方法。
  7. 基板上に少なくとも第一電極、EL層、第二電極の順に積層したEL素子を封止する封止構造において、
    請求項1に記載の封止方法によって封止されることを特徴とする封止構造。
  8. 少なくとも第一電極、EL層、第二電極の順に積層した複数のEL素子であって基板上に配列された複数のEL素子を封止する封止構造において、
    請求項2に記載の封止方法によって封止されることを特徴とする封止構造。
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