JP4407152B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像形成装置に関し、特に、カバー体と本体との上下方向のガタ付きを小さく抑えることができると共に、カバー体に手を掛けて持ち上げた場合にカバー体の不意の開口を防止することができ、更に、安定した記録品質を提供することのできる画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
記録紙に画像を印刷する印刷部を有する本体と、その本体の上方に、原稿から画像を読み取る画像読取部を有するカバー体とが設けられた画像形成装置がある。この種の画像形成装置は、本体とカバー体とをヒンジで軸支し、そのヒンジを支点にしてカバー体を上方へ回動させることによりカバー体が本体との間を開口する開口位置へと移動する一方、ヒンジを支点にしてカバー体を下方へ回動させることによりカバー体が本体との間を閉鎖する閉鎖位置へと移動する回動機構を備えている。
【0003】
図17は、かかる本体510とカバー体520との重なり部分を拡大して示した図である。図17に示すように、カバー体520が閉鎖位置にある状態では、カバー体520のレバー521は、引きバネ530により本体510のフック511側(反矢印X方向)へ付勢されており、カバー体520のレバー521の先端522と、本体510のフック511の先端512とが僅かな隙間で上下に対向して配置されている。よって、カバー体520と本体510との上下のガタ付きは、その隙間の範囲に止められている。このカバー体520の開口位置への移動は、カバー体520のレバー521を引きバネ530の付勢力に抗して矢印X方向へスライドさせ、レバー521の先端522とフック511の先端512との上下方向の重なりを外した上で、カバー体520を本体510に対して上方へ回動させることにより行われる。
【0004】
本来、この画像形成装置の持ち運びは、本体510の両側に設けられた取っ手に手を掛けて行われるべきであるが、カバー体520が本体510から横方向へ突出しているが故に、使用者は取っ手でなく、カバー体520に手を掛けて画像形成装置を持ち運ぼうとする。
【0005】
また、一般に、画像形成装置は、記録位置(記録ヘッドによって記録の実行される位置)よりも、記録媒体の搬送方向上流側に設けられた搬送ローラ対と、記録位置(記録ヘッドによって記録の実行される位置)よりも搬送方向下流側に設けられた排出ローラ対とを駆動させて、記録媒体を上流側から下流側へと搬送する搬送手段を備えている。装置内に導入された記録媒体は、搬送ローラ対と排出ローラ対とによって搬送される。具体的には、装置内に導入された記録媒体は、まず、搬送方向上流側にある搬送ローラ対によって挟持搬送される。そして、次に、搬送ローラ対と排出ローラ対とによって挟持搬送される。その後、排出ローラ対のみによって搬送され、装置外部へ排出される。
【0006】
かかる画像形成装置では、通常、搬送ローラのニップ力の方が、排出ローラのニップ力よりも大きく設定され、記録媒体は、搬送ローラ対の回転に応じて搬送される。排出ローラ対は、記録媒体の弛み防止のために、搬送ローラ対よりも若干早い回転周速度で回転するようになっている。このような画像記録装置においては、搬送ローラ対による搬送から排出ローラ対による搬送へと搬送状態が切り替わると、記録媒体の搬送精度を低下させやすい。
【0007】
このため、排出ローラ対のみによる搬送においても、搬送ローラ対による搬送と同等の搬送精度を保持し得るように、かかる画像形成装置の1つである記録装置において、排出ローラ対のみで記録媒体を挟持搬送する場合には、排出ローラ対を駆動する排出ローラ駆動用モータの駆動パルスを減少させると共にパルス印加時間を減少させ、排出ローラ対が、搬送ローラ対と同一速度および同一回転量で回転するように駆動設定を変更するものがある。(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
更に、別の記録装置においては、記録用紙(シート)の後端が、搬送ローラを通過する前までは、記録手段が所定の記録幅(改行量)の記録を行う毎に、その記録幅にほぼ等しい長さの搬送を行うため、搬送モータをLステップ駆動する。一方、記録媒体(シート)の後端が、搬送ローラを通過したと判断した場合には、Lステップに対し補正を行ったステップ数での搬送を行うものもある。補正により、記録用紙(シート)は、搬送ローラ通過後、Lステップよりも少ないステップ数で搬送される(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−38853号公報
【特許文献2】
特開平8−282027号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の画像形成装置では、上記したような持ち運びの際に、カバー体520のレバー521に手が掛けられると、レバー521が反本体側の矢印X方向へスライドして、レバー521の先端522とフック511の先端512との上下の重なりが外れ、その結果、画像形成装置を持ち上げた途端にカバー体520が開口してしまう。前述した通り、カバー体520と本体510とは片側がヒンジで軸支されているので、画像形成装置は、反ヒンジ側の片側のみが開口された状態で持ち上げられることとなり、ヒンジに過度な荷重がかかってカバー体520と本体510とが分離切断されたり、その分離切断された本体510が使用者の側へ落下して使用者に怪我を負わせる危険性がある等の問題点がある。
【0011】
また、画像形成装置を持ち上げた状態で誤ってレバー521に手が掛けられてカバー体520が開口してしまうと、使用者はカバー体520だけを持つような体勢になり、カバー体520が開口した衝撃で画像形成装置を落下させたり、ヒンジを中心に回転した本体510が使用者にぶつかって怪我を負わせる危険性もある。
【0012】
更に、ローラによって記録媒体を挟持搬送する画像形成装置では、排出ローラ対(排紙ローラ)を搬送ローラ対よりも若干早い回転周速度で回転させることにより記録媒体の弛みを防止しているが、記録媒体の後端が搬送ローラ対を通過する際に、(付与されていた張力から解放された)記録媒体に先走り(モータの駆動よりも記録媒体が進んでしまう現象)が発生してしまうという問題点があった。
【0013】
上記した特開平5−38853号公報に記載の記録装置や、特開平8−282027号公報に記載の記録装置では、排出ローラ対(排紙ローラ)のみで記録媒体をする場合において、記録媒体の送り過ぎを回避できるが、先走りの解消に関しては不十分である。
【0014】
加えて、近年においては記録媒体についても種々の種類が提供されているが、その種類によって搬送状態が異なる。しかし、排出ローラ対(排紙ローラ)のみによって記録媒体の搬送が行われる場合や、搬送ローラ対による搬送状態から排出ローラ対による搬送状態に搬送状態が切り替わる場合においては、かかる記録紙の種類による影響が何ら考慮されていないという問題点があった。
【0015】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、カバー体と本体との上下方向のガタ付きを小さく抑えることができると共に、カバー体に手を掛けて持ち上げた場合にカバー体の不意の開口を防止することができ、更に、安定した記録品質を提供することのできる画像形成装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載の画像形成装置は、本体と、その本体の上方を閉鎖するカバー体と、そのカバー体と前記本体とを回動可能に軸支する軸支部とを備え、前記カバー体は、その軸支部を支点にして上方へ回動することにより前記本体との間を開口する開口位置へ移動する一方、前記軸支部を支点にして下方へ回動することにより前記本体との間を閉鎖する閉鎖位置へ移動する回動機構を備えており、前記本体に設けられた第1係合部材と、前記カバー体にスライド可能に設けられると共に、その第1係合部材と係合して前記カバー体を前記閉鎖位置に保持する第2係合部材と、前記カバー体が閉鎖位置にある場合に、その第2係合部材を前記本体側へ付勢してその第2係合部材を前記第1係合部材に対向させる付勢部材とを有し、その付勢部材により前記第2係合部材が前記本体側へ付勢されている場合、前記第1係合部材と第2係合部材とは、互いに0乃至僅かの隙間を有して接触する接触状態と互いに係合する係合状態との少なくとも2の状態に遷移するものであり、前記係合状態は前記接触状態より前記第2係合部材が反本体側へスライドされた場合に生じ得るように構成されていることを特徴としている。
【0017】
この請求項1記載の画像形成装置によれば、カバー体が閉鎖位置にある状態では、カバー体の第2係合部材は付勢部材によって本体側へ付勢されているので、第1係合部材と第2係合部材とは、互いに0乃至僅かの隙間を有して接触する接触状態となっており、カバー体と本体との上下方向のガタ付きが小さく抑えられている。この状態から使用者が画像形成装置を持ち運ぼうとして、カバー体の第2係合部材に手を掛けて上方へ持ち上げると、第2係合部材は、付勢部材の付勢力に抗して反本体側へスライドする。しかし、かかるスライドにより、第1係合部材と第2係合部材とは、接触状態から互いに係合する係合状態へと遷移するので、カバー体が開口することはない。
【0018】
請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記カバー体を上方へ持ち上げながら前記第2係合部材を前記付勢部材に抗して反本体側へ移動させた場合には、前記第2係合部材は前記第1係合部材と係合してその移動が阻止され、前記カバー体を前記閉鎖位置に保持するものであることを特徴としている。
【0019】
請求項3記載の画像形成装置は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記カバー体を上方へ持ち上げることなく前記第2係合部材を前記付勢部材に抗して反本体側へ移動させた場合には、前記第2係合部材は前記第1係合部材との係合位置から外れた位置まで移動して、その位置から前記カバー体を上方へ持ち上げることによりそのカバー体を前記開口位置へ移動可能にするものであることを特徴としている。
【0020】
請求項4記載の画像形成装置は、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記第1係合部材または第2係合部材の一方は係合部としての突起部を備えており、前記第1係合部材または第2係合部材の他方は、その突起部と係合する係合部としての凹部又は穴部と、その凹部又は穴部に対して前記突起部を有する一方の部材の反対方向に配設され前記突起部と0乃至僅かの隙間を有して接触する平面部とを備えていることを特徴としている。
【0021】
この請求項4記載の画像形成装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置と同様に作用する上、カバー体が閉鎖位置にある状態では、第1係合部材または第2係合部材の一方に形成された突起部は、第1係合部材または第2係合部材の他方に形成された平面部と0乃至僅かの隙間を有して接触するので、カバー体と本体との上下方向のガタ付きが小さく抑えられる。また、第2係合部材が上方へ持ち上げられつつ付勢部材の付勢力に抗して反本体側へスライドすると、突起部が凹部又は穴部と係合して、カバー体と本体とが係合状態となる。
【0022】
請求項5記載の画像形成装置は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記突起部および前記凹部又は穴部は、それぞれ2以上設けられており、1の凹部又は穴部と他の凹部又は穴部との間にはその凹部又は穴部を補強する補強部材が形成されていることを特徴としている。
【0023】
請求項6記載の画像形成装置は、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記カバー体の前記第2係合部材が設けられた部分は、前記本体から横側外方へ突出して形成されていることを特徴としている。
【0024】
請求項7記載の画像形成装置は、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記第1係合部材は、前記本体の横側外方へ非突出に形成されていることを特徴としている。
【0025】
請求項8記載の画像形成装置は、請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記カバー体は原稿の画像を読み取る画像読取部を有し、前記本体は記録媒体への印刷を行う印刷部を有していることを特徴としている。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、画像形成装置としての多機能周辺装置1の外観斜視図である。本実施例の多機能周辺装置1は、ファクシミリ機能に加え、電話機能、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能を1台の装置に備えたものである。
【0053】
図1に示すように、多機能周辺装置1は、インクジェットプリンタ部1a(本発明でいう印刷部)が本体3に組み込まれ、イメージスキャナ部1b(本発明でいう画像読取部)がカバー体5に組み込まれた構造になっている。多機能周辺装置1の背面側には、本体3とカバー体5とを回動自在に軸支するヒンジ部7が設けられ、そのヒンジ部7を支点にしてカバー体5を上方へ回動させると、図2に示すように、カバー体5が本体3との間を開口する開口位置へと移動する一方、ヒンジ部7を支点にしてカバー体5を下方へ回動させると、図1に示したように、カバー体5が本体3との間を閉鎖する閉鎖位置へと移動する回動機構を有している。また、多機能周辺装置1の正面側には、操作パネル9が設けられ、その操作パネル9の中央には液晶表示装置(以下「LCD」と略す)200が設けられている。
【0054】
インクジェットプリンタ部1aは、多機能周辺装置1の背面側にある給紙トレイ11から記録紙を取り込んで、その記録紙に画像を印刷し、その記録紙を多機能周辺装置1の正面側にある排紙口13から排出するように構成されている。排紙口13の下方には、引き出し式の排紙トレイ15が格納されており、必要に応じて排紙トレイ15を引き出して、排紙口13から排出される記録紙を受けることができるように構成されている。
【0055】
イメージスキャナ部1bは、フラットベッド型のものであり、プラテンガラス(図示略)に沿って移動するライン型イメージセンサ(図示略)で、プラテンガラス上に載置された原稿から画像を読み取るように構成されている。また、イメージスキャナ部1bの左端側には、複数枚の原稿から画像を順に読み取るためのADF機構17も設けられている。ADF機構17は、上述のイメージセンサを移動させずに、原稿供給トレイ19から1枚ずつ原稿を取り込んでイメージセンサの上方を通過させ、そこで原稿から画像を読み取って原稿排出トレイ21に原稿を排出するものである。
【0056】
本体3の正面側(反ヒンジ部7側)であってカバー体5との係合部分には、橋架部材27が配設されている。この橋架部材27は、カバー体5にスライド自在に取着された第2係合部材としてのロックレバー51と係合して、カバー体5を図1に示す閉鎖位置に保持するものである。
【0057】
図3は、橋架部材27とロックレバー51とを部品レベルで示した斜視図である。図3に示すように、本体3に配設される橋架部材27は、平板状に形成された一対の側板28を有し、その側板28の中央部には本体3の中心方向へ曲面状に窪んだ曲面凹部29が形成されている。この曲面凹部29の中央上方部には2つ穴部31を有して反本体側へ突出した第1係合部材としてのフック体30が形成されている。フック体30は、曲面凹部29の中央上方部に設けられているので、フック体30の最先端であっても、側面視において橋架部材27の奥方(即ち、本体3の中心方向)へ引っ込んだ状態で配設されている。よって、カバー体5が開口位置にある状態においても、フック体30を他所に引っかけて折損させる等の破損を防止できるようにされている。これは、ロックレバー51は、仮に破損したとしても交換が容易であるのに対して、フック体30が破損すると、本体3のカバーのような大きな部品を交換しなければならなくなるが、フック体30を上記のように構成することによりかかる不具合を解消することができる。
【0058】
フック体30は、カバー体5に取着されたロックレバー51と係合して、カバー体5を図1に示す閉鎖位置に保持するものであるが、このフック体30とロックレバー51との係合は、フック体30に形成された穴部31に、ロックレバー51の突起部52が係合して行われる。この係合状態において、多機能周辺装置1が使用者によってカバー体5に手を掛けて持ち上げられると、穴部31と突起部52との係合部分に大きな荷重がかかる。そこで、本実施例では、比較的小さな穴部31を2つ形成し、その2つの穴部31の間および両側に補強用のリブ32,33を形成して(補強部材としてはリブ32が該当する)、フック体30の強度を向上させている。ロックレバー51に形成される突起部52も、穴部31の数に応じて2つ設けられ、2つの穴部31と2つの突起部52とが係合して係合状態が形成される。このように穴部31を1つでなく2つ形成して、1の穴部31の穴面積を小さくすることにより、穴部31の周囲の強度を大きくし、更に穴部31と穴部31との間および穴部31の両側の強度を補強用のリブ32,33で一層向上させている。即ち、穴部を1つで構成すると、その1つの穴部の穴面積がどうしても大きくなり、その結果、穴部の周囲の強度が低下するので、カバー体5に手を掛けて多機能周辺装置1を持ち上げた場合には、フック体30が本体3の荷重に持ちこたえられず折損などする恐れがある。本実施例では、穴部31および突起部52を複数形成することにより、この恐れを解消している。なお、ロックレバー51の突起部52についても、突起部52の周囲にリブを形成し、且つ突起部52の周囲の厚さを大きくすることによって、その強度を十分に大きくしている。また、当然のことながら、穴部31および突起部52は2つに限られるものではなく、3以上で構成しても良い。
【0059】
図4は、多機能周辺装置1の部分的な断面を示した側面図であり、フック体30とロックレバー51との配設関係が図示されている。また、図5から図7は、かかるフック体30とロックレバー51との部分を拡大して示した側断面図であり、カバー体5が本体3との間を閉鎖する閉鎖位置にある場合の位置関係を示している。図4に示すように、カバー体5は本体3から横側外方へ突出して形成されており、故に、使用者は、カバー体5に手を掛けて多機能周辺装置1を持ち運ぼうとする。
【0060】
図5は、ロックレバー51が未操作の状態(接触状態)を図示している。ロックレバー51が未操作の場合には、そのロックレバー51は、ロックレバー51に設けられた係止爪53とカバー体5に設けられた係止爪54とに係止される引きバネ55によって、本体3側(反矢印A方向)へ付勢された状態で保持されている。前述した通り、ロックレバー51はスライド可能に構成されており、その本体3側への移動量(スライド量)は、ロックレバー51に立設されたストッパー壁56がカバー体5に形成された停止突起57と当接するまで可能とされている。よって、ロックレバー51が未操作の状態では、ロックレバー51は引きバネ55によって本体3側(反矢印A方向)へ付勢され、ストッパー壁56と停止突起57とが当接する位置に保持(配置)されている。
【0061】
この図5に示す状態では、ロックレバー51の突起部52の上方には、フック体30の平面部34が対向配置されている。この平面部34は、フック体30において、穴部31より本体3側(反ロックレバー51側)に形成されている。かかる状態からカバー体5を持ち上げると、突起部52と平面部34とが当接してカバー体5の上方への移動を規制する。平面部34と突起部52との隙間は、0乃至製造及び組み付けばらつきの範囲内での僅かなものにされているので、本体3に対するカバー体5の上下方向のガタ付きを小さく抑えることができる。
【0062】
図6は、カバー体5を開口位置へ移動させる場合の中間操作状態を示した図である。カバー体5を開口位置へ移動させる場合には、図5の接触状態から、ロックレバー51を引きバネ55の付勢力に抗して矢印A方向へ移動させる。かかるロックレバー51の矢印A方向への移動は、図6に示すように、突起部52とフック体30との上下方向の対向関係が解消されるまで行う。そして、図6に示す状態からカバー体5を上方へ持ち上げ、ヒンジ部7を軸に回動させることにより、カバー体5を開口位置へ移動することができる。
【0063】
図7は、カバー体5が上方へ持ち上げられつつロックレバー51が反本体3側(矢印A方向)へ操作された場合の状態(係合状態)を図示してる。かかる状態は、カバー体5のロックレバー51に手を掛けて多機能周辺装置1を持ち運ぼうとした場合に発生する。カバー体5のロックレバー51に手を掛けて多機能周辺装置1を持ち上げると、図5の接触状態からカバー体5が上方へ持ち上げられつつロックレバー51が引きバネ55の付勢力に抗して矢印A方向へ移動する。すると、ロックレバー51の突起部52がフック体30の平面部34から移動して穴部31内に入り込み、その結果、ロックレバー51とフック体30とが係合する係合状態となる。この係合状態により、ロックレバー51の矢印A方向への更なる移動が規制され、カバー体5が閉鎖位置に保持される。よって、本実施例の多機能周辺装置1によれば、カバー体5のロックレバー51に手を掛けて持ち上げても、カバー体5を開口させること無く、多機能周辺装置1を持ち上げることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施例の多機能周辺装置1によれば、カバー体5が閉鎖位置にある場合には、そのカバー体5と本体3との上下方向のガタ付きを小さく抑えることができると共に、カバー体5のロックレバー51に手を掛けて多機能周辺装置1を持ち上げても、ロックレバー51とフック体30とを係合させて、カバー体5の開口を防止することができる。
【0065】
なお、上記実施例では、カバー体5のロックレバー51に突起部52が形成され、本体3のフック体30に平面部34及び穴部31が形成されたが、図8に示すように、ロックレバー51に平面部59及び穴部58を形成し、フック体30に突起部35を形成するようにしても良い。この場合、平面部59と穴部58との位置関係は、ロックレバー51に設けられる平面部59が、穴部58よりロックレバー51側(反フック体30側)に形成される。また、突起部52,35と係合する穴部31,58に代えて、凹部を形成しても良い。
【0066】
図9は、多機能周辺装置1を横断面から見た時の、インクジェットプリンタ部1aを示した図である。多機能周辺装置1は、このインクジェットプリンタ部1aにより、コピー機能またはファクシミリ機能によって装置内部に読み込んだデータを、記録紙に印刷する。このインクジェットプリンタ部1aは、搬送ローラ101と、ピンチローラ102と、排紙ローラ103と、拍車104,105と、これらのローラ101,103を駆動する搬送モータ110と、記録紙の後端を検出するための後端センサ106と、インクジェットヘッド109とを備えている。図9において矢印Zは、装置内部に導入された記録紙の搬送方向を示している。
【0067】
このインクジェットプリンタ部1aにおいて、搬送ローラ101は、インクジェットヘッド109よりも用紙搬送方向上流側に設けられている。搬送ローラ101は、その搬送ローラ101に対向して設けられたピンチローラ102とにより記録紙を挟み込むと共にローラの回転により挟持した記録紙を送り出してその搬送を実行する。搬送ローラ101を通過した記録紙は、インクジェットヘッド109の直下へ導入される。
【0068】
搬送ローラ101の下流側であって、インクジェットヘッド109の配設位置よりも下流側には、排紙ローラ103が備えられている。排紙ローラ103もまた、排紙ローラ103に対向して設けられた拍車104とにより記録紙を挟持しつつその搬送を実行するローラである。拍車104は、表面が凹凸となるように形成されたローラであって、排紙ローラ103の上方に設けられ、印刷された記録紙の印字面と接触する。印刷直後の印字面は、インクが未乾燥であるので、接触面積の大きなローラが当接すると、にじみやよれ、転写等を発生させ、印字品質を低下させ易い。よって、印刷された記録紙の印字面に接触するローラを拍車にして、印字面に対する接触面積を低減し、印字品質の低下を防止している。
【0069】
これら搬送ローラ101と排紙ローラ103とは、記録紙搬送駆動源である搬送モータ110(図10参照)により駆動される。これにより、搬送ローラ101と排紙ローラ103とは、記録紙の搬送方向に回転され、該ローラ101,103と、そのそれぞれと対向するローラ102及び拍車104により、挟持した記録紙を送り出し挟持して搬送する。
【0070】
搬送ローラ101とピンチローラ102とによる記録紙の挟持力(ニップ力)は、排紙ローラ103と拍車104とによる記録紙の挟持力(ニップ力)よりも大きく設定されている。このため、記録紙が搬送ローラ101とピンチローラ102とに挟持される状態にある場合、即ち、記録紙の後端が搬送ローラ101とピンチローラ102とのニップ点を通過するまでは、記録紙は、搬送ローラ101の回転周速度によって搬送される。つまり、搬送ローラ101の回転周速度が記録紙の搬送速度となる。
【0071】
一方、記録紙の後端が搬送ローラ101とピンチローラ102とのニップ点を通過した後は、記録紙は、排紙ローラ103の回転周速度によって搬送される。かかる場合には、排紙ローラ103の回転周速度が、記録紙の搬送速度となる。
【0072】
このため、本実施例においては、搬送ローラ101のみによる搬送と、搬送ローラ101と排紙ローラ103との協働による搬送とを、搬送ローラ101により実行される搬送(または、搬送ローラ101による搬送)とし、排紙ローラ103のみによる搬送を、排紙ローラ103により実行される搬送(または、排紙ローラ103による搬送)として説明する。
【0073】
本実施例では、搬送モータ110にパルス電力を印加して搬送ローラ101及び排紙ローラ103を回転させるものであり、排紙ローラ103による1パルス当たりの記録紙の搬送量は、搬送ローラ101による1パルス当たりの記録紙の搬送量より大きくなるように設定されている。よって、記録紙が、搬送ローラ101と排紙ローラ103との両ローラにより搬送される場合には、排紙ローラ103は記録紙に対して滑ることととなり、記録紙に対して張力を付与する。
【0074】
尚、ここで、上流側とは、記録紙の搬送経路において、記録紙の装置内部への導入口側であり、下流側とは、記録紙の装置内部からの排出口側である。
【0075】
インクジェットヘッド109は、搬送ローラ101と排紙ローラ103との間であって、搬送される記録紙の印字面に対向する位置に配設されている。インクジェットヘッド109の記録紙側の面には、複数のノズルが穿設されたインク吐出面が設けられている。インクジェットヘッド109へは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラーインクが、各インクが充填されるインクカートリッジ(図示せず)から供給される。インクジェットヘッド109へ供給されたインクは、インク吐出面から吐出される。
【0076】
インクジェットヘッド109は、キャリッジモータ(CRモータ)111(図10参照)により駆動されるキャリッジ(図示せず)に搭載されている。キャリッジは、キャリッジモータ111の駆動により、記録紙の搬送方向に対して直交する方向に移動するように構成されており、これにより、インクジェットヘッド109は、記録紙の搬送方向に対して横方向(主走査方向)に移動しながら、読み込まれたデータを記録紙に印刷する。
【0077】
インク吐出面は、記録紙の搬送方向に約1インチの長さを有しており、該方向に複数(N個)のノズルが穿設されている。また、搬送方向と直交する方向にも複数(M個)のノズルが穿節され、合計でN×M個のノズルを備えている。インクジェットヘッド109が、記録紙の搬送方向に対して直交する方向に移動しながら(1回の走査により)印刷を実行しえる記録幅(1バンド)は、搬送方向に対し最大Nドット分(N個のノズルに対応する分)である。
【0078】
このインクジェットヘッド109による印刷に連動して、上記した搬送ローラ101と排紙ローラ103とによる記録紙の搬送が実行される。搬送のタイミングは、1バンドの印刷動作が終了したタイミングで実行され、所定の搬送幅分だけ記録紙の搬送が行われる。
【0079】
また、インクジェットヘッド109の対向面であって、搬送される記録紙の裏面側(印字面と反対側)の位置には、プラテン108が設けられている。搬送される記録紙は、プラテン108とインクジェットヘッド109との間隙に導入される。このプラテン108は、搬送ローラ101から排紙ローラ103までの間の記録紙のガイドである。
【0080】
プラテン108は、インクジェットヘッド109よりも下流側の位置に凹部108aを有している。印刷された記録紙が長時間インクに濡れた状態にあると、記録紙にカールが発生する。かかるカールは、プラテン108に対して凸状に反るように発生するので、記録紙の印字面がインクジェットヘッド109に接触し易くなり、場合によっては、記録紙が汚染される。しかし、本実施例では、凹部108aをプラテン108に設けることによって、発生したカールをインクジェットヘッド109の吐出面にから離れる方向に逃がすことができる。このため、記録紙にカールが発生しても、記録紙は、インクジェットヘッド109に接触することはない。
【0081】
搬送ローラ101よりも上流側には、後端センサ106が備えられている。後端センサ106は、記録紙の後端を検出するためのセンサであり、光学的変化の読取り機能を有するセンサ部106bと、搬送される記録紙に当接されるレバー106aとを有している。レバー106aは、軸を支点として可動可能に軸着された略棒状のアームであり、通常時のレバー先端位置が、記録用紙の搬送経路よりも下側(鉛直方向の高さにおいて搬送経路よりも低い位置)となるように配設されている。
【0082】
記録紙が搬送経路上に導入されると、レバー106aの先端部は、記録紙にすくい上げられ、その位置が下流側に移動する。レバー106aの先端部の移動位置は、レバー106aのリーチによって規定される所定位置(後端検出位置)である。尚、後端検出位置は、搬送ローラ101に対し、所定距離を隔てた上流側となるようになっており、かかる定められた位置にレバー106aの先端部が当接するように、レバー106aのリーチと取着位置とは調節されている。
【0083】
記録紙は、順次、下流側に搬送されるので、記録紙の後端がレバー106aとの接点(後端検出位置)を通り過ぎると、記録紙により持ち上げられていたレバー106aの先端部は、元の位置に復帰する。レバー106aの先端部が移動すると、支点を中心として反対側に位置するレバー106aの後端部が連動して移動する。このレバー106aの後端部の移動は、センサ部106bにより検出される。これにより、後端センサ106は、後端検出位置に記録紙があるか否かを検出している。そして、後端検出位置に記録紙がある場合をオン、無い場合をオフとして信号を出力する。
【0084】
この後端センサ106により出力される信号がオンからオフへと変化すると、記録紙の後端が後端検出位置を通過したことを示している。後端検出位置から、搬送ローラ101とピンチローラ102とのニップ点までは、装置によって変動しない既知の距離である。故に、後端センサ106により、記録紙の後端が、後端検出位置を通過したことが検出されると、上記した後端検出位置からニップ点までの距離が、記録紙の後端がニップ点に到達するまでの搬送距離として認識される。
【0085】
図10は、上記のように構成された多機能周辺装置1の電気的構成を示したブロック図である。多機能周辺装置1は、CPU121、ROM122、RAM123、EEPROM124、リアルタイムクロック125、通信制御回路126、インターフェース部127を備えた主制御部Cを備えており、この主制御部Cにより、多機能周辺装置1で実行される各処理は制御される。CPU121は、多機能周辺装置(画像形成装置)1の各部を制御して、ファクシミリ動作や電話動作などのデータ通信や、印刷動作、コピー動作を実行するものである。
【0086】
ROM122は、このCPU121で実行される制御プログラムや各種固定値等を格納した書換不能なメモリである。この制御プログラムに従って、CPU121は、各処理を実行する。尚、この多機能周辺装置1で実行される印刷動作を制御する印刷処理のプログラムは、制御プログラムの一部として、このROM122に記憶されている。印刷処理では、解像度のみならず、記録紙の後端位置に応じて記録紙の搬送速度が変更されるようになっている。搬送速度の目標値は、記録紙の後端位置に応じて異なる値(480pps,3800pps,10000pps)が用意されており、かかる値は固定値として、予めROM121に記憶されている。印刷処理の詳細については、図13のフローチャートを用いて後述する。
【0087】
RAM123は、各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。RAM123の所定のエリアには、復号化されたファクシミリデータが一時的に記憶される。記憶されたファクシミリデータは、インクジェットプリンタ部1aによって記録紙に印刷された後に、RAM123から消去される。ファクシミリデータが画像データである場合、一般に、そのデータ量は大容量であるが、ファクシミリデータが印刷されることを条件にそのファクシミリデータを消去しているので、RAM123を有効に使用することができる。
【0088】
EEPROM124は、書換可能な不揮発性のメモリであり、このEEPROM124へ記憶されたデータは電源オフ後も保持される。このEEPROM124は、使用者によって(または出荷時に)設定或いは登録される各種のデータや設定値を不揮発に記憶しておくための設定値メモリ124aを備えている。
【0089】
この設定値メモリ124aには、インクジェットプリンタ部1aで実行される印刷動作に必要な各値、例えば、2値化処理の閾値や、キャリッジの原点、記録紙の材質による補正値などが、(出荷時に設定され)初期値として記憶されている。かかる初期値は、使用者の入力操作により変更し得、使用条件や印刷仕上がりに対する使用者の好みなどによって、印刷状態を調整できるようになっている。
【0090】
尚、このEEPROM124へのデータの書込は、操作パネル9のキー操作により実行され、その操作手順などは、操作パネル9に設けられたLCD200に表示される。
【0091】
リアルタイムクロック(以下単に「RTC」と略す)125は、年月日や曜日、時間、分、秒の計時を行うICである。このRTC125には、多機能周辺装置1の電源をオフにした場合のバックアップ用の電圧を供給するバッテリー回路125aが接続されている。RTC125は、このバッテリー回路125aにより、多機能周辺装置1の電源をオフした後でも計時を継続することができる。
【0092】
通信制御回路126は、多機能周辺装置1が電話動作やファクシミリ動作においてデータ通信を実行するための回路であり、回線制御を行うためのネットワーク・コントロール・ユニット(以下単に「NCU」と称す)や、音声LSI、デジタルデータとアナログデータとの変換機であるモデム(変復調装置)、バッファ、符号化部、復号化部などを備えている。
【0093】
多機能周辺装置1は、この通信制御回路126を介して、電話回線201と接続されている。電話回線201上には、図示しない交換機が備えられており、この交換機を介して、多機能周辺装置1は、相手側装置とデータの送受信を実行する。
【0094】
インターフェース127は、異なる装置間でのデータ通信における接点の規定であり、各装置を接続するための電気的規格である。主制御部Cは、このインターフェイス127を介してインクジェットプリンタ部1aと接続され、主制御部Cからの制御信号はインクジェットプリンタ部1aへ入力される。
【0095】
この主制御部Cと接続されるインクジェットプリンタ部1aは、インクジェットヘッド109、ヘッドドライバ109a、搬送モータ110、搬送モータドライバ110a、キャリッジモータ111、キャリッジモータドライバ111a、後端センサ106、キャリッジホームセンサ115を備えている。
【0096】
ヘッドドライバ109aは、インクジェットヘッド109を駆動するための回路である。このヘッドドライバ109aは、主制御部Cから送信される制御信号に基づいて制御され、記録モードにあった波形の駆動パルスをインクジェットヘッド109に印加する。
【0097】
搬送モータ110は、パルス電力に対応して回転するステップモータであり、印加されるパルス数に比例して回転角が変化するようになっている。搬送モータドライバ110aは、搬送モータ110にパルス電力を印加して駆動させるための回路であり、主制御部Cから送信される制御信号により制御される。
【0098】
キャリッジモータ111は、上記したキャリッジを動作させるためのモータであり、キャリッジモータドライバ111aにより駆動される。キャリッジホームセンサ115は、キャリッジが所定のホームポジションにあることを検知するためのセンサである。キャリッジホームセンサ115の検出信号は、インターフェース127を介して主制御部Cに入力される。これにより、CPU121は、キャリッジがホームポジションにあるか否かを認識する。
【0099】
後端センサ106は、上記したように記録紙の後端を検出するためのセンサであり、光学的変化の読取り機能を有するセンサ部106bを有している。このセンサ部106bは、フォトインタラプタで形成されており、発光ダイオードとフォトトランジスタとを備えている。発光ダイオードからフォトトランジスタへの入光経路上には、遮光部材として後端センサ106のレバー106aの後端部が配設されている。このレバー106aの後端部の位置は、上記したように、レバー106aの先端部が後端検出位置にあるか否か(即ち、後端検出位置の記録紙の有無)によって、変化する。このため、後端検出位置での記録紙の有無は、遮光状態(入光量)の変化となり、フォトトランジスタで検出される。
【0100】
入光量の変化は検出信号として、インターフェース127を介して主制御部Cに入力される。これにより、CPU121は、後端検出位置での記録紙の有無を認識する。
【0101】
また、主制御部Cは、インターフェース127を介してスキャナ202と接続されている。スキャナ202は、CCDラインセンサとCCDラインセンサを駆動させるCCDモータとを備えた画像読取装置である。このスキャナ202は、操作パネル9からの入力に応じて動作され、画像の読取りを実行する。読取った画像データは、インクジェットプリンタ部1aにより記録紙に印刷されたり、通信制御回路を通して外部ファクシミリへ送信されたりする。
【0102】
図11は、上記のように構成された多機能周辺装置1での印刷動作における記録紙の後端位置と搬送速度との関係について説明する図である。印刷動作時には記録紙の搬送が実行されるが、印刷の後半には、記録紙の後端は搬送ローラ101とピンチローラ102とから抜け出し(ニップ点を通過)、排紙ローラ103のみによって記録紙は搬送される。記録紙の後端が、搬送ローラ101とピンチローラ102とから抜け出す瞬間には、搬送ローラ101とピンチローラ102等とにより、記録紙がはじき飛ばされてしまい、印刷に乱れが発生する。
【0103】
そこで、本実施例では、図11に示すような速度変更を実行して、上記した不具合を解消している。図11の横軸は、記録紙の位置(搬送量)を示しており、開始点a1は原点であり、記録紙の先端が搬送ローラ101とピンチローラ102とによって挟持された際の搬送経路上の記録紙の後端位置である。つまり開始点a1は、記録紙の先端が搬送ローラ101とピンチローラ102とのニップ点にあることを示している。
【0104】
また、点a5は、記録紙の後端が搬送ローラ101とピンチローラ102とのニップ点にある(記録紙後端が、原点a1から該ニップ点まで移動した)ことを示しており、点a2は、搬送ローラ101のニップ点から上流側に2mm(−2mm)隔てた位置に記録紙の後端があることを示し、また、点a3は、搬送ローラ101のニップ点から下流側に2mm(+2mm)隔てた位置に記録紙の後端があることを示している。更に、終了点a4は、記録紙の後端が排紙ローラ103から抜け出す位置(排紙ローラ103と拍車104とのニップ点)にあること、即ち、記録紙1枚の搬送終了を示している。
【0105】
図11の縦軸は、記録紙の後端が搬送系路上の各位置にあると判断された場合に、設定される搬送モータ110の回転速度の目標値を示しており、回転速度が1秒間当りのパルス数(パルス/秒、pps)で表されている。
【0106】
これによれば、搬送ローラ101により記録紙の搬送が実行される(上記したように、搬送ローラ101と排紙ローラ103との協働による搬送を含む)間は、搬送モータ110の回転速度の目標値は10000ppsとされることが示されている。次に、記録紙の後端が、搬送ローラ101のニップ点に差し掛かる(ニップ点より上流側−2mmの位置、図11に示す点a2の位置に到達する)と判断されると、搬送モータ110の回転速度の目標値は、480ppsとされることが示されている。このため、記録紙の後端が搬送ローラ101から抜け出す瞬間には、低速の搬送速度で記録紙が搬送されることとなり、記録紙の後端がニップ点を通過しても、記録紙の先走りが発生せず、高品質の印字品質(記録品質)を保持することができる。
【0107】
また、図11には、記録紙の後端位置が、搬送ローラ101のニップ点から+2mmの位置(図11に示す点a3の位置)を超えたと判断されると、搬送モータ110の回転速度の目標値は、3800ppsとされることが示されている。記録紙の後端は、ニップ点の通過前に、必ず、ニップ点より上流側−2mmの位置に到達するので、搬送モータ110の回転速度の目標値は、480ppsに設定された後に、3800ppsに設定される。
【0108】
多機能周辺装置1においては、高速での記録(印刷)が望まれている。故に、ニップ点の通過時を除いて、全体の搬送速度は向上させる必要がある。ここで、記録紙の後端が搬送ローラ101のニップ点を超えると、排紙ローラ103によって搬送が実行されるが、上記したように、排紙ローラ103と拍車104とのニップ力は、搬送ローラ101とピンチローラ102とのニップ力よりも小さい。このため、排紙ローラ103により搬送が実行される場合に、搬送ローラ101による搬送実行時と同様に高速で記録紙の搬送を実行すると、スリップが生じ易くなってしまう。
【0109】
このため、本実施例においては、排紙ローラ103により記録紙の搬送が実行される場合の搬送モータ110速度の目標値を、ニップ点通過時の480ppsよりも大きくして搬送効率を高めると共に、搬送ローラ101により行われる記録紙の搬送速度10000ppsより低速の3800ppsとし、スリップの発生を防止しているのである。
【0110】
尚、この搬送モータ110の回転速度の目標値は、必ずしも上記した値に限られるものではなく、点a5近傍においては、記録紙の先走りが発生しない速度であり、また、記録紙の後端が搬送ローラ101のニップ点(ニップ点+2mm)を通過した以降の搬送速度は、記録紙のスリップを発生させない範囲の速度として設定されるものである。
【0111】
また、記録紙の先走りを防止するためには、搬送ローラ101のニップ点を記録紙の後端が通過する(外れる)瞬間の搬送ローラ110の回転速度を低速にすれば良いが、搬送時の誤差を考慮して、ニップ点の前後2mm(±2mm)の範囲を記録紙の後端が通過する場合において、(搬送モータ110の回転速度の目標値を480ppsに設定することにより)回転速度を低下させるように設定されている。搬送モータの回転速度を低速とする搬送領域を、ニップ点の前後どの程度の距離とするかは、設定値としてEEPROM124の設定値メモリ124aに記憶されており、かかる値に基づいて減速範囲が決定されている。かかる値は、任意に設定でき、変更された場合には、変更後の値に応じて、速度変更は実行される。
【0112】
また、該値は、後端センサ106の検出精度と搬送精度の要求とを満たすように設定されていればよい。例えば、検出精度と搬送精度とが共に高い場合には、ニップ点前後2mmよりも小さい値とでき、逆に、検出精度も搬送精度も共に低ければニップ点前後2mmよりも大きな値とされる。
【0113】
更に、搬送ローラ101から記録紙の後端が外れる場合に発生する先走りは、厚紙である場合に大きく、一方、スリップは、光沢紙の場合に発生し易い。このため、記録紙の種類によって、搬送速度を切り替えるようにすると良い。普通紙の場合は、これらの先走りやスリップが目立たないので、速度変更を不実行としても良い。
【0114】
このように、1の記録紙の搬送において、その搬送速度の目標値(搬送モータ110の回転速度)は、10000ppsを目標値とする搬送速度から480ppsを目標値とする搬送速度に変更され、更に、480ppsから3800ppsを目標値とする搬送速度に変更される。ここで、本実施例の多機能周辺装置1においては、搬送速度にかかわらず、1回の搬送動作における搬送距離(所定の搬送幅(記録解像度、走査方式によって異なる))を一定としている。このため、インクジェットヘッド109の1回の主走査において印刷する記録幅を、搬送初期においても、記録紙の後端がニップ点を通過する場合においても、記録紙の後端がニップ点を通過した後においても一定にすることができる。
【0115】
従来、ニップ点を通過する際、或いはニップ点通過以降の記録品質の低下を防止するために、かかる場合の記録幅を、ニップ点通過前の記録幅よりも狭くすることが提案されている。記録幅の変更する場合には、変更された記録幅に応じて、記録時に使用するノズル数についても変更しなくてはならず、記録品質を向上させることにより、印刷処理の複雑化や煩雑化を招き、多機能周辺装置1の制御負荷を増大させていた。しかし、本実施例の多機能周辺装置1では、記録幅の変更を不要としているので、簡便な印刷処理により、効率的に、また、高い記録品質の記録物を提供できる。
【0116】
図12は、搬送モータ110の回転速度とその回転速度への到達時間との関係を示した図である。つまり、図12は、搬送ローラ101による搬送または排紙ローラ103による搬送において、その搬送速度に到達させる際の加速度を示しており、横軸は時間(sec)を、縦軸は回転速度(pps)を表している。
【0117】
搬送ローラ101及び排紙ローラ103の駆動は、記録ヘッド109による1バンドの記録動作と交互に行われるため、記録中は必ず停止されることになる。従って、搬送ローラ101及び排紙ローラ103の駆動を再開する時は常にこのような加速度で駆動される。
【0118】
図12中、実線b1によって、搬送ローラ101で記録紙の搬送を実行する際に、その搬送速度に到達させる加速度が示されており、実線b2によって、排紙ローラ103で記録紙の搬送を実行する際に、その搬送速度に到達させる加速度が示されている。尚、図12は、速度と時間との関係を示した図であるので、実線の傾きが加速度を示すこととなる。
【0119】
図12(a)は、記録紙が光沢紙やコート紙、OHPシートなど、滑り(スリップ)の生じやすい紙が記録紙として使用される場合の搬送速度の加速度を示した図である。図12(a)には、搬送ローラ101による搬送において、その搬送速度の目標値に到達するまで、搬送速度は、実線b1の傾きβで加速されることが示されている。また、図12(a)には、排紙ローラ103による搬送において、その搬送速度の目標値に到達するまで、搬送速度は、実線b2の傾きαで加速されることが示されている。
【0120】
実線b2の傾きαは、実線b1の傾きβよりも小さくなっており、搬送ローラ101による搬送時の搬送速度に到達させる加速度よりも、排紙ローラ103による搬送時の搬送速度に到達させる加速度のほうが小さく設定されていることが示されている。
【0121】
記録紙の搬送において、搬送ローラ101により実行される搬送では、基本的に、迅速に搬送速度(搬送モータ110の回転速度)が所定の速度に達すること、即ち加速度が大きいことが望まれる。一方、排紙ローラ103によって記録紙の搬送を実行する際には、速度の立ち上がり(加速度)が急なほど、スリップを発生し易い。このため、排紙ローラ103による搬送において、その搬送速度へ(ニップ点通過時の低速度から)到達させる加速度は、小さく設定されている。つまり、搬送モータ110の加速度を、一様に同じ加速度とせず、搬送状態に応じて異なる値としているのである。
【0122】
図12(b)は、記録紙が普通紙など、滑りの生じ難い記録紙を使用する場合の搬送速度の加速度を示した図である。図12(b)には、実線b1,b2がそれぞれの搬送速度の目標値に到達するまでの傾きが同じ(β)であることが示されている。つまり、搬送ローラ101による搬送であっても排紙ローラ103による搬送であっても、その搬送速度へ到達させる加速度は、同じであることが示されている。滑りの生じ難い記録紙では、排紙ローラ103による搬送において、大きな加速度で加速を行っても問題はない。故に、排紙ローラ103による搬送において、その搬送速度へ(ニップ点通過時の低速度から)到達させる加速度は、搬送ローラ101による搬送で用いられる加速度と同じに設定されているのである。
【0123】
本実施例の多機能周辺装置1では、記録紙の種類を指定する非図示の記録紙設定スイッチが設けられている。この記録紙設定スイッチにより、記録紙が光沢紙またはコート紙であることが指定されていると、図12(a)に示される加速度に従って搬送速度の制御が実行される。一方、記録紙設定スイッチにより、記録紙が普通紙であることが指定されていると、図12(b)に示される加速度に従って搬送速度の制御が実行される。
【0124】
次に、図13のフローチャートを参照して、上記のように構成された多機能周辺装置1で実行される印刷処理について説明する。印刷処理は、スキャナ202で読取ったデータや受信したファクシミリデータ等のデータをインクジェットプリンタ部1aによって印刷させるための処理である。この印刷処理は、搬送経路上の記録紙の後端位置によって、搬送速度を変化させるように構成されている。
【0125】
印刷処理では、まず、印字開始位置まで記録紙を給送する(S1)。S1の処理では搬送ローラ101による記録紙の給送により、記録紙の印字領域の先端部がインクジェットヘッド109の直下(印字位置)にくるようにセットされる。記録紙が印字位置にセットされると、インクジェットヘッド109により1バンド分の記録(印刷)を実行し(S2)、続いて、後端センサ106がオフされたか否かを確認する(S3)。ここで、後端センサ106がオフされていると(S3:Yes)、記録紙の後端は、後端検出位置を通過しているので、次の記録幅用紙搬送開始から搬送終了時までの間に記録紙後端が搬送ローラ101のニップ点より−2mmの位置を通過するか否かを確認する(S4)。ここで、記録幅用紙搬送とは、必要とされる解像度に応じた記録幅の搬送を行うことである。これにより、次の1バンドを印刷する印字領域が印刷位置にセットされる。
【0126】
後端センサ106がオフされたタイミングで、搬送モータ110のステップ数(パルス数)をカウントすれば、後端センサ106がオフされてから、どれほどの距離を記録紙が搬送されたかをCPU121は、認識することができる。また、記録後の搬送量(用紙搬送による搬送量)も既知の値であり、搬送モータ101のステップ数に換算することができる。更に、後端検出位置からニップ点(ニップ点−2mm)までの距離も、定まった距離であり既知の値である。故に、後端センサ106がオフされてからの搬送距離と、後端検出位置からニップ点までの距離とに基づいて、次回の用紙搬送における記録紙の後端位置(記録紙の後端がニップ点を通過するか否か)が認識される。
【0127】
このS4の処理で確認した結果、次回の記録幅用紙搬送開始から終了までの間に、記録紙後端が搬送ローラ101のニップ点より−2mm上流側の位置を通過する場合には(S4:Yes)、記録紙の搬送速度(搬送モータ110の回転速度)の目標値を480ppsに設定する(S5)。そして、設定された搬送速度で記録幅用紙搬送を実行して(S6)、搬送終了後に1バンド分の記録を実行する(S7)。これにより、搬送ローラ101から記録紙の後端が抜け出す瞬間に生ずる記録紙の先走りを防止することができる。
【0128】
その後、記録紙の後端が搬送ローラ101のニップ点より2mm以上通過したか否かを確認する(S8)。その結果、記録紙の後端が、搬送ローラ101のニップ点より2mm以上通過していれば(S8:Yes)、記録紙の後端は、搬送ローラ101のニップ点から抜けだしているので、記録紙の搬送速度(搬送モータ110の回転速度)の目標値を3800ppsに設定する(S9)。ここで、記録紙の搬送速度は、3800ppsに増大させることとなるが、この加速は、記録紙の種類に応じて、図12に示した加速度で実行される。
【0129】
そして、設定された搬送速度で記録幅用紙搬送を実行し(S10)、搬送終了後に1バンド分の記録を実行する(S11)。そして、1頁分の記録が終了したか否かを確認し(S12)、ここで、1頁分の記録が終了していれば(S12:Yes)、排紙ローラ103を高速で回転させて記録紙を排出した後(S13)、この印刷処理を終了する。
【0130】
一方、S3の処理で確認した結果、後端センサ106がオフされていなければ(S3:No)、記録紙の後端は、後端検出位置を通過していない(後端検出位置より上流側にある)ので、印刷開始時に設定されている通常の搬送速度で記録幅用紙搬送を実行した後(S14)、その処理をS2の処理に移行する。
【0131】
また、S4の処理で確認した結果、次回の記録幅用紙搬送開始から終了までにおいて、記録紙後端が搬送ローラ101のニップ点から±2mm以内の位置になければ(S4:No)、記録紙の後端は、ニップ点に到達しない上流位置に存在するので、印刷開始時に設定されている通常の搬送速度で記録幅用紙搬送を実行し(S15)、搬送終了後に1バンド分の記録を実行する(S16)。そして、その処理をS4の処理に移行する。
【0132】
更にS8の処理で確認した結果、記録紙の後端が、搬送ローラ101のニップ点より2mm以上通過していなければ(S8:No)、その処理をS6の処理に移行する。また、S12の処理で確認した結果、1頁分の記録が終了していなければ(S12:No)、その処理をS10の処理に移行し、1頁分の記録が終了するまで、搬送速度の目標値3800ppsでの印刷処理を実行する。
【0133】
このように、本実施例の多機能周辺装置1によれば、記録紙の後端が、搬送ローラ101のニップから解放される場合の搬送を、低速で実行することができるので、記録紙の後端がニップから解放される際に発生する先走りを解消し、印刷物の記録品質を向上させることができる。また、搬送速度は変更するが、搬送量は変更しないので、印刷動作の制御を単純に行うことができ、CPU121の制御負荷を軽減することができる。
【0134】
次に、図14のフローチャートを参照して、第2実施例について説明する。第1実施例の多機能周辺装置1で実行される印刷処理は、1バンド分の記録と記録紙の搬送とが交互に実行され、次の記録紙の搬送時に記録紙の後端が搬送ローラ101のニップ点(ニップ点−2mm)を通過する場合に、その搬送開始から終了までの間、搬送速度を低速(480pps)とした。これに代えて、第2実施例においては、記録紙が搬送ローラ101のニップ点を通過する区間だけを低速で搬送するように構成されている。
【0135】
尚、前記した第1実施例の多機能周辺装置1と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0136】
図14は、第2実施例の多機能周辺装置1の印刷処理のフローチャートである。この第2実施例の印刷処理では、まず、印字開始位置まで記録紙を給送し(S21)、記録紙の搬送を停止した後、インクジェットヘッド109により1バンド分の記録(印刷)を実行する(S22)。そして、記録紙の搬送を再開し1ステップ記録紙を搬送したか否かを確認する(S23)。ここで、1ステップとは、搬送モータ110の送りの最小単位である。1ステップの搬送が未実行であれば(S23:No)、1ステップの搬送が実行されるまで、S25以降の処理を待機する。一方、1ステップの搬送が実行されていれば(S23:Yes)、後端センサ106がオフされたか否かを確認し(S24)、ここで、後端センサ106がオフされていると(S24:Yes)、記録幅用紙搬送が完了したか否かを確認する(S25)。確認の結果、記録幅用紙搬送が完了していれば(S25:Yes)、記録紙の搬送を停止して1バンド分の記録(印刷)を実行し(S26)、続いて、A1,A2のそれぞれを初期値に設定する(S27)。ここで、A1,A2は、ニップ点±2mmの位置に記録紙の後端が到達するまでに必要な搬送モータ110のステップ数、つまり、A1は、後端検出位置からニップ点の上流側−2mmの位置までのステップ数、A2は、後端検出位置からニップ点の下流側+2mmの位置までのステップ数である。
【0137】
そして、記録紙の搬送を再開して、1ステップ記録紙が搬送されたか否かを確認し(S28)、1ステップの搬送が未実行であれば(S28:No)、1ステップの搬送が実行されるまで、S29以降の処理を待機する。一方、1ステップの搬送が実行されていれば(S28:Yes)、A1=A1−1,A2=A2−1とする(S29)。つまり、A1とA2のそれぞれからそれぞれ搬送したステップ数「1」を減算し、減算した値を新たなA1,A2として設定するのである。
【0138】
その後、A2≦0であるか否かを確認して(S30)、その結果、A2≦0であれば(S30:Yes)、搬送速度の目標値を3800ppsとし(S31)、次いで、記録用紙幅搬送が完了したか否かを確認する(S32)。その結果、記録用紙幅搬送が完了していれば(S32:Yes)、記録紙の搬送を停止し、インクジェットヘッド109により1バンド分の記録(印刷)を実行する(S33)。そして、1頁分の記録が終了したか否かを確認し(S34)、ここで、1頁分の記録が終了していれば(S34:Yes)、記録紙の搬送を再開し、排紙ローラ103を高速で回転させて記録紙を排出した後(S35)、この印刷処理を終了する。
【0139】
一方、S24の処理で確認した結果、後端センサ106がオフされていなければ(S24:No)、記録用紙幅搬送が完了したか否かを確認し(S36)、記録用紙幅搬送が完了していなければ(S36:No)、その処理をS23の処理に移行し、記録用紙幅搬送が完了していれば(S36:Yes)、その処理をS22の処理に移行する。
【0140】
また、S30の処理で確認した結果、A2≦0でなければ(S30:No)、A1≦0であるか否かを確認し(S37)、その結果、A1≦0であれば(S37:Yes)、搬送速度の目標値を480ppsとした後、その処理をS32の処理に移行し、一方、A1≦0でなければ(S37:No)、その処理をS32の処理に移行する。
【0141】
更に、S32の処理で確認した結果、記録用紙幅搬送が完了していなければ(S32:No)、その処理をS28の処理に移行する。加えて、S34の処理で確認した結果、1頁分の記録が終了していなければ(S34:No)、その処理をS28の処理に移行する。
【0142】
このように、第2実施例の多機能周辺装置1により印刷処理を実行すれば、記録紙の後端が搬送ローラ101を抜け出すポイントで、搬送速度を低速にすることができる。よって、搬送速度が低速となる時間を短時間として、印刷処理を効率的に実行することができる。
【0143】
次に図15と図16とのフローチャートを参照して、第3実施例について説明する。インクジェットヘッド109や搬送ローラ101等のローラ類は、製造時の公差によって、その寸法形状にばらつきがでる。よって、個々の多機能周辺装置1において、印刷実行時の搬送量にばらつきがあり、印字品質を低下させる一因となっている。また、記録紙の種類(材質、厚みなど)によっても、印字品質は影響を受ける。
【0144】
前記した第1、第2実施例の多機能周辺装置1では、かかる多機能周辺装置1のばらつきについては、考慮せずに印刷処理を実行するように構成されたが、第3実施例の多機能周辺装置1では、各装置毎に記録紙搬送に関する補正値を設定値メモリ124に記憶しており、かかる補正値に基づいて、搬送量の補正を実行するように構成されている。また、排紙ローラ103のみで記録紙を搬送する際には、先走りによる印刷の乱れや白筋などの発生が生じるため、第1、第2実施例では、かかる場合の搬送速度を低速にするように構成したが、第3実施例では、更に記録紙の種類によっても搬送条件(搬送量)を補正するように構成している。尚、この搬送量の補正は、搬送モータ110の駆動量(印加パルス数)を調節することにより実行する。
【0145】
このため、第3実施例の設定値メモリ124aには、搬送ローラの補正値T1、排紙ローラの補正値T2が、設定値としてそれぞれ記憶されている。このT1,T2とは、出荷時の検査により各部材の形状を測定することや、搬送量の理論値とのずれなどにより決定される。また、設定値メモリ124aには、記録紙の種類に応じた補正値Tが(設定値として)記憶されている。
【0146】
具体的には、補正値T1は、1インチの搬送に必要な理論上の搬送パルス数と、実際の搬送ローラ101によって1インチ搬送した場合とのズレのパルス数である。補正値T2は、1インチの搬送に必要な理論上の搬送パルス数と、実際の排紙ローラ103によって1インチ搬送した場合とのズレのパルス数である。この補正値T1,T2は、±3パルス程度の範囲である。
【0147】
また、補正値Tは、記録紙の種類毎に用意された値であり、普通紙の補正値T=「b」、光沢紙の補正値T=「a」、コート紙の補正値T=「c」として、それぞれ設定されている。補正値Tの各値(「a」,「b」,「c」)は、それぞれの種類の記録紙を1インチを搬送した場合の搬送パルス数と、理論上の1インチの搬送パルス数とのズレのパルス数である。
【0148】
尚、前記した第1実施例の多機能周辺装置1と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0149】
図15は、かかる第3実施例の多機能周辺装置1で実行される初期設定処理のフローチャートである。この初期設定処理は、設定値メモリ124aに設定値として補正値T,T1,T2を書き込むための処理である。この初期設定処理は、出荷時に実行されるが、装置の設置状況によっては、出荷時に記憶された(予め設定された)設定値では、うまく補正がされないことがある。かかる場合には、この初期設定処理により設定値を変更して、対応することができるようになっている。
【0150】
この初期設定処理では、まず、設定値(補正値T,T1,T2)の変更有りか否かを確認する(S75)。設定値の変更があることは、多機能周辺装置1のオペレータにより設定値変更のための所定の入力操作が行われることによって認識される。設定値の変更がなければ(S75:No)、この初期設定処理を終了する。一方、変更があれば(S75:Yes)、変更された設定値により、設定値メモリ124aに記憶されている設定値(補正値T,T1,T2)の内の対応する設定値を書き換える(S76)。そして、この初期設定処理を終了する。
【0151】
第3実施例の多機能周辺装置1では、設定値メモリ124aに記憶されている設定値に基づいて印刷処理が実行されるで、設定値が変更された場合には、変更された設定値に基づいた印刷処理が実行されることとなる。
【0152】
図16は、第3実施例の多機能周辺装置1で実行される印刷処理のフローチャートである。印刷処理は、上記したように、記録紙の種類に応じて搬送条件を補正するための処理であり、また、記録紙の後端位置に基づいて補正値が調節されるようになっている。
【0153】
この印刷処理では、まず、記録紙がコート紙であるか否かを確認し(S41)、記録紙がコート紙でなければ(S41:No)、記録紙が光沢紙であるか否かを確認し(S42)、その結果、記録紙が光沢紙であれば(S42:Yes)、補正値T=「a」とする(S43)。また、S42で確認した結果、記録紙が光沢紙でなければ(S42:No)、記録紙は普通紙であるので、補正値T=「b」とする(S44)。一方、記録紙がコート紙であれば(S41:Yes)、補正値T=「c」とする(S45)。
【0154】
S43〜S45の処理によって、記録紙の種類が認識された後は、印刷開始位置まで記録紙を給送し(S46)、搬送ローラ101の補正値T1と記録紙の種類に応じた補正値Tとに基づいて1インチを搬送するための必要搬送パルス数Lを求める(S47)。上記したように、所定距離を搬送するための理論上の搬送パルス数L1を搬送モータ110に印加しても、装置を構成するローラの公差や記録紙の種類の影響により、想定された所定距離は搬送されない。このため、S47の処理において、実際に搬送するために必要な必要搬送パルス数Lを求めるのである。
【0155】
このS47の処理では、まず、搬送ローラ101の補正値T1と記録紙の種類に基づく補正値Tとを合計した補正値L2を算出する。補正値T1は、理論上の1インチの搬送パルス数L0とのズレのパルス数であり、搬送ローラ101の特性によって発生するパルス数である。また、補正値Tは、記録紙の種類によって発生する、理論上の1インチの搬送パルス数L0からのズレのパルス数である。このため、補正値L2は、搬送ローラ101により1インチの搬送が実行される場合における総補正値となる。次に、この補正値L2を搬送パルス数L0で除した値(L2/L0)に所定の搬送距離(1搬送単位)だけ記録紙を搬送するための理論上の搬送パルス数L1を乗じ((L2/L0)×L1)、1搬送単位当たりの補正パルス数に換算する。この換算値に更に1搬送単位を搬送するための理論上の搬送パルス数L1を加算し((L2/L0)×L1+L1)、必要搬送パルス数Lを算出する(L=(1+(L2/L0))×L1)。
【0156】
その後、1バンド分の記録を実行した後(S48)、記録紙の搬送を再開して、1ステップ記録紙を搬送したかを確認し(S49)、ここで、1ステップ記録紙を搬送したことが確認されなければ(S49:No)、S50以降の処理を待機する。一方、1ステップ記録紙を搬送したことが確認されると(S49:Yes)、後端センサ106のオフからPステップ(パルス数)搬送されたか否かを確認する(S50)。このPステップは、後端検出位置からニップ点に到達するステップ数(パルス数)である。
【0157】
ここで、後端センサ106オフからPステップ搬送がなされていれば(S50:Yes)、この時点で記録紙の後端はニップ点を抜けているので、記録紙の1搬送単位の搬送中に、搬送ローラ101による搬送から排紙ローラ103による搬送へと切り替わったことを示している。このため、この1搬送単位の搬送には、搬送ローラ101と排紙ローラ103との両者の補正値に基づいた補正を行う必要がある。そこで、理論上の1搬送単位当たりの搬送パルス数L1に対し、搬送ローラ101と排紙ローラ103と記録紙の種類とに基づいた補正を行い実際に1搬送単位搬送するために必要な必要搬送パルス数Lを算出する(S51)。
【0158】
具体的には、まず、今回の1搬送単位の搬送において、その搬送開始からニップ点(Pステップ)に到達するまでの搬送パルス数L3を搬送パルス数L0で除した値に搬送ローラ101の補正値T1と記録紙の種類に基づく補正値Tとの和(補正値L2)を乗じる(L3/L0×(T1+T))。これにより、理論上の1インチの搬送パルス数L0からのズレのパルス数(T1+T、L2)を、搬送パルス数L3当たりに換算した搬送パルス数が求められる。そして、求められた搬送パルス数に、搬送パルス数L1から搬送パルス数L3を減算した値を搬送パルス数L0で除した値に排紙ローラ103の補正値T2と記録紙の種類に基づく補正値Tとの和を乗じた値を加算する(L3/L0×(T1+T)+(L1−L3)/L0×(T2+T))。加算される値(L1−L3)/L0×(T2+T))は、理論上の1インチの搬送パルス数L0からのズレのパルス数(T2+T、L2)を、1搬送単位の内の残りの搬送パルス数(L1−L3)当たりに換算した搬送パルス数となる。
【0159】
そして、算出されたかかる値(補正の搬送パルス数)に搬送パルス数L1を加算して、必要搬送パルス数Lを算出する(L=L3/L0×(T1+T)+(L1−L3)/L0×(T2+T)+L1)。
【0160】
つまり、このS51の処理において、必要搬送パルス数Lは、搬送ローラ101の補正値T1と排紙ローラ103の補正値T2とを、それぞれの搬送距離に応じて重み付け(比例配分)した値に基づいて求められることとなる。
【0161】
その後、1ステップ記録紙を搬送したか否かを確認し(S52)、1ステップ記録紙を搬送したことが確認されなければ(S52:No)、S53以降の処理を待機する。一方、1ステップ記録紙を搬送したことが確認されると(S52:Yes)、必要搬送パルス数Lだけ搬送されたか否かを確認する(S53)。そして、必要搬送パルス数Lの搬送が終了していなければ(S53:No)、その処理をS52の処理に移行して、必要搬送パルス数L分の搬送を完了させる。一方、必要搬送パルス数Lの搬送が終了していれば(S53:Yes)、記録紙の搬送を停止し、1バンド分の記録を実行する(S54)。
【0162】
このS54の処理を終了すると、記録紙の搬送状態は、排紙ローラ103のみによる搬送状態に移行する。故に、理論上の1搬送単位当たりの搬送パルス数L1に対し、排紙ローラ103と記録紙の種類とにより補正を行い、実際に1搬送単位搬送するために必要な必要搬送パルス数Lを新たに算出する(S55)。
【0163】
このS55の処理では、まず、排紙ローラ103の補正値T2と記録紙の種類に基づく補正値Tとを合計した補正値L2を算出する。補正値T2は、理論上の1インチの搬送パルス数L0とのズレのパルス数であり、排紙ローラ103の特性によって発生するパルス数である。また、補正値Tは、記録紙の種類によって発生する、理論上の1インチの搬送パルス数L0からのズレのパルス数である。このため、補正値L2は、排紙ローラ103により1インチの搬送が実行される場合における総補正値となる。次に、この補正値L2を搬送パルス数L0で除した値(L2/L0)に1搬送単位搬送するための理論上の搬送パルス数L1を乗じ((L2/L0)×L1)、1搬送単位当たりの補正パルス数に換算する。この換算値に更に1搬送単位を搬送するための理論上の搬送パルス数L1を加算し((L2/L0)×L1+L1)、必要搬送パルス数Lを算出する(L=(1+(L2/L0))×L1)。
【0164】
その後、1ステップ記録紙を搬送したか否かを確認し(S56)、1ステップ記録紙を搬送したことが確認されなければ(S56:No)、S57以降の処理を待機する。一方、1ステップ記録紙を搬送したことが確認されると(S56:Yes)、必要搬送パルス数Lだけ搬送されたか否かを確認する(S57)。そして、必要搬送パルス数Lの搬送が終了していなければ(S57:No)、その処理をS56の処理に移行して、必要搬送パルス数L分の搬送を完了させる。一方、必要搬送パルス数Lの搬送が終了していれば(S57:Yes)、記録紙の搬送を停止し、1バンド分の記録を実行する(S58)。
【0165】
そして、1頁分の記録は終了したか否かを確認し(S59)、終了していなければ(S59:No)、記録紙の搬送を再開すると共にその処理をS56の処理に移行し、1頁分の記録が終了するまで記録を行うべくS56〜S59の処理を繰り返す。一方、1頁分の記録が終了していれば(S59:Yes)、記録紙を排出し(S60)、全頁の記録が終了したか否かを確認する(S61)。ここで、全頁の記録が終了していれば(S61:Yes)、この印刷処理を終了し、一方、全頁の記録が終了していなければ(S61:No)、その処理をS46の処理に移行して、全頁の記録が終了するまで、繰り返して、印刷処理を実行する。
【0166】
更に、S50の処理で確認した結果、後端センサ106のオフからPステップ搬送されていなけければ(S50:No)、必要搬送パルス数Lだけ搬送されたか否かを確認する(S62)。ここで、必要搬送パルス数Lだけ搬送されていなければ(S62:No)、S49の処理に移行する。また、S62の処理で確認した結果、必要搬送パルス数Lだけ搬送されていれば(S62:Yes)、記録紙の搬送を停止すると共にその処理をS48の処理に移行して、1バンド分の記録を実行する。
【0167】
尚、この第3実施例の印刷処理において、算出される各補正値は、四捨五入により整数で取り扱われる。また、この第3実施例の印刷処理において、その搬送速度は、第1実施例に示した搬送速度の変更と同様に、S46の処理からS49の処理までは、10000ppsの搬送速度が設定され、記録紙の後端がニップ点を通過するS50前後の領域の搬送においては、480ppsを目標とする搬送速度が設定される。更に、S53以降では、搬送速度は、3800ppsを目標値とする速度に設定される。これにより、記録紙後端がニップ点を通過する場合の搬送速度を低速にすることができ、記録紙の後端が搬送ローラ101のニップから解放される際に発生する先走りを防止できるようになっている。
【0168】
このように、第3実施例の多機能周辺装置1は、それぞれ固有の補正値により、また記録紙の種類によって、印刷時の記録紙の搬送を制御(搬送条件を設定)することができる。このため、高い印字品質の印刷物を使用者に提供することができる。
【0169】
【0170】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0171】
例えば、上記各実施例では、搬送モータ110としてパルスモータを使用したが、これに代えて、エンコーダとDCモータとを使用して、搬送速度を制御するように構成しても良い。
【0172】
【発明の効果】
請求項1記載の画像形成装置によれば、カバー体が閉鎖位置にある状態では、カバー体の第2係合部材は付勢部材によって本体側へ付勢されている。よって、第1係合部材と第2係合部材とは、互いに0乃至僅かの隙間を有して接触する接触状態となっており、カバー体と本体との上下方向のガタ付きを小さく抑えることができる。また、かかる状態から使用者が画像形成装置を持ち運ぼうとして、カバー体の第2係合部材に手を掛けて上方へ持ち上げると、第2係合部材は、付勢部材の付勢力に抗して反本体側へスライドする。しかし、かかるスライドにより、第1係合部材と第2係合部材とは、接触状態から互いに係合する係合状態へと遷移するので、カバー体は閉鎖位置に止まり開口することはない。従って、カバー体が閉鎖位置にある場合には、そのカバー体と本体との上下方向のガタ付きを小さく抑えることができると共に、カバー体の第2係合部材に手を掛けて持ち上げた場合には、カバー体を本体に係合させて、カバー体の開口を防止することができるという効果がある。
【0173】
請求項2記載の画像形成装置によれば、請求項1記載の画像形成装置の奏する効果に加え、カバー体を上方へ持ち上げながら第2係合部材を付勢部材に抗して反本体側へ移動させた場合には、第2係合部材は第1係合部材と係合してその移動が阻止され、カバー体を閉鎖位置に保持するので、カバー体の開口を防止することができるという効果がある。
【0174】
請求項3記載の画像形成装置によれば、請求項1又は2に記載の画像形成装置の奏する効果に加え、カバー体を上方へ持ち上げることなく第2係合部材を付勢部材に抗して反本体側へ移動させた場合には、第2係合部材は第1係合部材との係合位置から外れた位置まで移動する。その位置からカバー体を上方へ持ち上げることにより、カバー体は開口位置へ移動するので、カバー体の開口を確実且つ安全に行うことができるという効果がある。
【0175】
請求項4記載の画像形成装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、カバー体が閉鎖位置にある状態では、第1係合部材または第2係合部材の一方に形成された突起部は、第1係合部材または第2係合部材の他方に形成された平面部と0乃至僅かの隙間を有して接触して、カバー体と本体との上下方向のガタ付きを小さく抑えることができるという効果がある。また、第2係合部材が上方へ持ち上げられつつ付勢部材の付勢力に抗して反本体側へスライドすると、突起部が凹部又は穴部と係合するので、カバー体と本体とが係合状態となってカバー体の開口を防止することができるという効果がある。
【0176】
請求項5記載の画像形成装置によれば、請求項4に記載の画像形成装置の奏する効果に加え、突起部および凹部又は穴部は、それぞれ2以上設けられており、1の凹部又は穴部と他の凹部又は穴部との間にはその凹部又は穴部を補強する補強部材が形成されているので、カバー体の第2係合部材に手を掛けて画像形成装置を持ち上げ運搬する場合、突起部と凹部又は穴部との係合により本体を支えてカバー体と本体との係合状態を維持しつつ、その運搬をすることができるという効果がある。
【0177】
請求項6記載の画像形成装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、カバー体の第2係合部材が設けられた部分は、本体から横側外方へ突出して形成されているので、その突出部分に手を掛けて画像形成装置を運搬され易いが、かかる場合には、カバー体を本体に係合させて、カバー体の開口を防止することができるので、例えば本体とカバー体との分離切断などの装置破損と、その装置破損に伴う使用者への怪我の発生の心配を解消することができるという効果がある。
【0178】
請求項7記載の画像形成装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、第1係合部材は、本体の横側外方へ非突出に形成されているので、カバー体が開口位置にある場合に、第1係合部材を他のものにぶつけて折損させる等の危険を小さなものとすることができるという効果がある。
【0179】
請求項8記載の画像形成装置によれば、請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、原稿の画像を読み取る画像読取部を有したカバー体と、記録媒体への印刷を行う印刷部を有した本体とを備えた画像形成装置に適用することができるという効果がある。
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【図面の簡単な説明】
【図1】 画像形成装置としての多機能周辺装置の外観斜視図であり、カバー体が閉鎖位置にある状態を示している。
【図2】 画像形成装置としての多機能周辺装置の外観斜視図であり、カバー体が開口位置にある状態を示している。
【図3】 橋架部材とロックレバーとを部品レベルで示した斜視図である。
【図4】 多機能周辺装置の部分的な断面を示した側面図であり、フック体とロックレバーとの配設関係が図示されている。
【図5】 カバー体が本体との間を閉鎖する閉鎖位置にある場合のフック体とロックレバーとの部分を拡大して示した側断面図であり、特に、ロックレバーが未操作の状態(接触状態)を示した図である。
【図6】 カバー体が本体との間を閉鎖する閉鎖位置にある場合のフック体とロックレバーとの部分を拡大して示した側断面図であり、特に、カバー体を開口位置へ移動させる場合の中間操作状態を示した図である。
【図7】 カバー体が本体との間を閉鎖する閉鎖位置にある場合のフック体とロックレバーとの部分を拡大して示した側断面図であり、特に、カバー体が上方へ持ち上げられつつロックレバーが反本体側へ操作された場合の状態(係合状態)を示した図である。
【図8】 変形例として、カバー体が本体との間を閉鎖する閉鎖位置にある場合のフック体とロックレバーとの部分を拡大して示した側断面図であり、特に、ロックレバーが未操作の状態(接触状態)を示した図である。
【図9】 本実施例の多機能周辺装置を横断面から見た時の、インクジェットプリンタ部を示した図である。
【図10】 多機能周辺装置の電気的構成を示したブロック図である。
【図11】 多機能周辺装置の印刷動作における記録紙の後端位置と搬送速度との関係について説明する図である。
【図12】 搬送モータの回転速度(搬送速度)とその回転速度への到達時間との関係を示した図である。
【図13】 多機能周辺装置で実行される印刷処理のフローチャートである。
【図14】 第2実施例の多機能周辺装置で実行される印刷処理のフローチャートである。
【図15】 第3実施例の多機能周辺装置で実行される初期設定処理のフローチャートである。
【図16】 第3実施例の多機能周辺装置で実行される印刷処理のフローチャートである。
【図17】 従来技術において、カバー体が本体との間を閉鎖する閉鎖位置にある場合のフックとレバーとの部分を拡大して示した側断面図である。
【符号の説明】
1 多機能周辺装置装置(画像形成装置)
1a インクジェットプリンタ部1a(印刷部)
1b イメージスキャナ部(画像読取部)
3 本体
5 カバー体
7 ヒンジ部(軸支部)
30 フック体(第1係合部材)
31,58 穴部
32 リブ(補強部材)
33 リブ
34,59 平面部
35,52 突起部
51 ロックレバー(第2係合部材)
55 引きバネ(付勢部材)
109 インクジェットヘッ
101 搬送ロー
102 ピンチロー
103 排紙ロー
104 拍
106 後端セン
110 搬送モー
記録紙(記録媒体)

Claims (8)

  1. 本体と、その本体の上方を閉鎖するカバー体と、そのカバー体と前記本体とを回動可能に軸支する軸支部とを備え、前記カバー体は、その軸支部を支点にして上方へ回動することにより前記本体との間を開口する開口位置へ移動する一方、前記軸支部を支点にして下方へ回動することにより前記本体との間を閉鎖する閉鎖位置へ移動する回動機構を備えた画像形成装置において、
    前記本体に設けられた第1係合部材と、
    前記カバー体にスライド可能に設けられると共に、その第1係合部材と係合して前記カバー体を前記閉鎖位置に保持する第2係合部材と、
    前記カバー体が閉鎖位置にある場合に、その第2係合部材を前記本体側へ付勢してその第2係合部材を前記第1係合部材に対向させる付勢部材とを有し、
    その付勢部材により前記第2係合部材が前記本体側へ付勢されている場合、前記第1係合部材と第2係合部材とは、互いに0乃至僅かの隙間を有して接触する接触状態と互いに係合する係合状態との少なくとも2の状態に遷移するものであり、前記係合状態は前記接触状態より前記第2係合部材が反本体側へスライドされた場合に生じ得るように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記カバー体を上方へ持ち上げながら前記第2係合部材を前記付勢部材に抗して反本体側へ移動させた場合には、前記第2係合部材は前記第1係合部材と係合してその移動が阻止され、前記カバー体を前記閉鎖位置に保持するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記カバー体を上方へ持ち上げることなく前記第2係合部材を前記付勢部材に抗して反本体側へ移動させた場合には、前記第2係合部材は前記第1係合部材との係合位置から外れた位置まで移動して、その位置から前記カバー体を上方へ持ち上げることによりそのカバー体を前記開口位置へ移動可能にするものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記第1係合部材または第2係合部材の一方は係合部としての突起部を備えており、
    前記第1係合部材または第2係合部材の他方は、その突起部と係合する係合部としての凹部又は穴部と、その凹部又は穴部に対して前記突起部を有する一方の部材の反対方向に配設され前記突起部と0乃至僅かの隙間を有して接触する平面部とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記突起部および前記凹部又は穴部は、それぞれ2以上設けられており、1の凹部又は穴部と他の凹部又は穴部との間にはその凹部又は穴部を補強する補強部材が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記カバー体の前記第2係合部材が設けられた部分は、前記本体から横側外方へ突出して形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 前記第1係合部材は、前記本体の横側外方へ非突出に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 前記カバー体は原稿の画像を読み取る画像読取部を有し、前記本体は記録媒体への印刷を行う印刷部を有していることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置。
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