JP4407064B2 - 研磨装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨装置に係り、特には被研磨材の研磨量を精度良く測定するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属、セラミック、半導体材料などの被研磨材の表面を研磨する研磨装置として、従来、たとえば、図3に示す構成のものが知られている。
【0003】
この研磨装置は、被研磨材wの上下両面を同時に研磨できるようにしたものであって、被研磨材wを押圧する上ホイール1と、被研磨材wを支持する下ホイール2とを有し、両者1,2が回転軸心を一致させて配置されている。そして、上下のホイール1,2間には、被研磨材wを保持した状態で遊星回転されるキャリア3が上下のホイール1,2の周方向に沿って複数配置されている。
【0004】
上ホイール1は、固定支持部材6に取り付けたエアシリンダ7によって上下動されるもので、この上ホイール1にはその上部中央にエアシリンダ7の下端部に固定された押圧ヘッド8を受け止める半球面状の受圧凹部1aが、また、この受圧凹部1aの底部から回転軸心方向に沿って貫通孔1bがそれぞれ形成されている。
【0005】
そして、エアシリンダ7の押圧ヘッド8に上下のホイール1,2の相対的な変位を検出するための変位検出手段としての電気マイクロメータ10が取り付けられている。この電気マイクロメータ10は、たとえば直線型のポテンショメータで構成されており、変位検出ロッドとしてのプローブ10aが上ホイール1の貫通孔1bに挿通されて下方に突出している。
【0006】
一方、下ホイール2は、モータ11で回転駆動されるもので、その回転軸心方向に沿って貫通孔2aが形成され、また、この貫通孔2aの上部内壁は拡径されて後述のドライブシャフト12の上部を収納する拡径部2bが形成されている。そして、下ホイール2の貫通孔2aには、前記キャリア3を回転させるドライブシャフト12がベアリング13を介して下ホイール2と同心状に挿入配置されている。
【0007】
このドライブシャフト12は、下ホイール2とは別個にモータ13で回転駆動されるもので、前述の拡径部2bに位置する部分には径方向外方に張り出したフランジ部12aが設けられ、このフランジ部12の上部には、各々のキャリア3の外周部に形成されたギア状の凹凸部(図示せず)に係合するピン部12cが上方に突出した状態で周方向に沿って多数配列して設けられている。さらに、フランジ部12aよりも上方の頂部には電気マイクロメータ10のプローブ10aが当接する平坦面を有する基準テーブル12bが形成されている。そして、上記のフランジ部12aと各ピン部12cとがキャリア3に対して太陽歯車の役目を果たしている。
【0008】
上記構成の研磨装置において、被研磨材wを研磨する際には、下ホイール2の上に被研磨材wを保持したキャリア3を配置して、キャリア3の外周の凹凸部をドライブシャフト12のピン部12cに係合させてから、エアシリンダ7を作動して押圧ヘッド8で上ホイール1を押圧することで、上下のホイール1,2間で被研磨材wを挟圧する。
【0009】
この状態で、上下のホイール1,2と被研磨材wとの間に砥粒液を介在させつつ、下ホイール2とドライブシャフト12とをそれぞれのモータ11,14で回転駆動する。すると、被研磨材wを保持するキャリア3の外周の凹凸部がドライブシャフト12のピン部12cに係合してキャリア3がホイール1,2の周方向に回転される。したがって、被研磨材wはキャリア3とともに遊星運動を行いつつ、被研磨材wの上下面が共に上下のホイール1,2との間の相対的な速度差によって研磨される。
【0010】
ここで、被研磨材wの上下面が研磨されると、これに伴い、上ホイール1が変位して上下のホイール1,2間の距離が次第に短くなる。すると、ドライブシャフト12の基準テーブル12bに当接しているプローブ10aの伸縮量が変化するので、電気マイクロメータ10からはその変化に応じた検出信号が出力される。そして、図外のコントローラは、この電気マイクロメータ10からの検出出力に基づいて被研磨材wの厚さが予め設定した目標値に一致したか否かを判断し、被研磨材wの厚さが目標値に一致した時点で各モータ11,14を停止することにより、被研磨材wが所定の厚み寸法に仕上げられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の研磨装置においては、電気マイクロメータ10のプローブ10aをドライブシャフト12の頂部にある基準テーブル12bに当接させた状態でプローブ10aの伸縮量の変化から上下のホイール1,2の距離の変化を検出する構成になっているために、次の(1),(2)に指摘するような課題が残されている。
【0012】
(1) 電気マイクロメータ10はあくまで接触式の変位検出手段であって、図4に示すように、回転駆動されるドライブシャフト12の基準テーブル12bの上面に当接している。このため、ドライブシャフト12の回転に伴うベアリング13等の振れが直接プローブ10aに伝わってプローブ10a自体も振動する。また、プローブ10aの軸心とドライブシャフト12の軸心とを精度良く一致させることが難しくて位置ずれが起こり易い。さらに、プローブ10aの軸心に対して基準テーブル12bの上面が直交せずに傾斜して配置されることがある。そして、これらに起因して上下のホイール1,2間の距離の変化を正確に検出することが難しくなり、検出誤差を生じる要因となっている。
【0013】
(2) また、下ホイール2とドライブシャフト12とは別体であり、しかも、プローブ10aは基準テーブル12bに接触しているだけなので、プローブ10aの伸縮量は必ずしも上下のホイール1,2間の距離の変化に1対1に対応していない。すなわち、ドライブシャフト12がその軸方向に沿って若干のがた付きがあると、プローブ10aの伸縮量の変化が上下のホイール1,2間の距離の変化に正確に追従せず、これが検出誤差を招くことになる。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、上下のホイール間の相対的な距離の変化を高精度に検出することができ、これによって、被研磨材を確実に所望の厚み寸法になるまで研磨することができる研磨装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、被研磨材を押圧する上ホイールと、被研磨材を支持する下ホイールとを有し、上下のホイールの内の少なくとも下ホイールと前記被研磨材との間の相対的な速度差によって被研磨材を研磨する研磨装置において、次のようにしている。
【0016】
すなわち、請求項1記載に係る本発明の研磨装置は、前記上ホイールと下ホイールとの相対的な変位を検出する非接触式の変位検出手段を有し、この変位検出手段は、前記下ホイールに形成された貫通孔の軸心に、励磁コイルと検出コイルとを有するプローブを挿入配置し、前記下ホイールの貫通孔の内周面の前記プローブの各コイルと略対向する位置にリング状のヨークを固定してなる差動トランスを備えているとともに、前記プローブの上部は、前記上ホイールにこれと一体的に上下動するように接合されて構成されていることを特徴としている。
【0017】
この構成において、プローブは、その外方のヨークやその他の部材とは非接触の状態を保ちつつ上ホイールに対してこれと一体的に上下動するので、プローブの変位は上下のホイール間の距離の変化に正確に追従する。また、非接触で電磁的に変位量を検出するので、従来の振動等の誤差要因を取り除くことができる。したがって、上下のホイール間の相対的な距離の変化を直接かつ高精度に検出することができ、これによって、被研磨材を確実に所望の厚み寸法になるまで研磨することが可能となる。
【0018】
請求項2記載に係る本発明の研磨装置は、請求項1記載の構成において、前記プローブからの検出出力と予め設定された研磨量の基準値とを比較し、その比較結果に基づいて研磨条件を制御する制御手段を備えることを特徴としている。
【0019】
これにより、被研磨材の肉厚の大小に応じて研磨条件を変更することが可能となり、加工能率を高くすることができ、かつ厚み寸法を高精度に制御することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態に係る研磨装置の要部を示す断面図、図2は変位検出手段部分の拡大図であり、図3に示した従来技術と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。
【0022】
この実施の形態の研磨装置は、被研磨材wの上下両面を同時に研磨できるようにしたものであって、被研磨材wを押圧する上ホイール1と、被研磨材wを支持する下ホイール2とを有し、両者1,2が回転軸心を一致させて配置されている。そして、上下のホイール1,2間には、被研磨材wを保持した状態で遊星回転されるキャリア3が上下のホイール1,2の周方向に沿って複数配置されている。
【0023】
上ホイール1は、固定支持部材6に取り付けたエアシリンダ7によって上下動されるもので、この上ホイール1にはその上部中央にエアシリンダ7の下端部に固定された押圧ヘッド8を受け止める半球面状の受圧凹部1aが、また、この受圧凹部1aの底部から回転軸心方向に沿って貫通孔1bが形成されている。さらに、押圧ヘッド8には、後述の変位検出手段17を構成するプローブ18の上端部が固定され、下部は上ホイール1の貫通孔1bに挿通されてそれよりも下方に突出している。
【0024】
一方、下ホイール2は、モータ11で回転駆動されるもので、その回転軸心方向に沿って貫通孔2aが形成され、また、この貫通孔2aの上部内壁は拡径されて後述のドライブヘッド15を収納する拡径部2bが形成されている。そして、下ホイール2の貫通孔2aには、前記キャリア3を回転させるドライブシャフト12がベアリング13を介して下ホイール2と同心状に挿入配置されている。
【0025】
このドライブシャフト12は、下ホイール2とは別個にモータ14で回転駆動されるもので、その上部には樹脂等の非磁性体でできたドライブヘッド15が固定されている。このドライブヘッド15は、下ホイール2の拡径部2b内に位置していて、その中央に平断面円形の凹部15aが形成されるとともに、その上部開口端の外方に張り出したフランジ部15bには、各キャリア3の外周部に形成されたギア状の凹凸部(図示せず)に係合するピン部15cが上方に突出した状態で周方向に沿って多数配列して設けられている。したがって、このドライブヘッド15がキャリア3に対して太陽歯車の役目を果たしている。
【0026】
さらに、この実施の形態では、上ホイール1と下ホイール2との相対的な変位を検出する非接触式の変位検出手段17が設けられている。この変位検出手段17は、図2に示すように、棒状のプローブ18とリング状のヨーク19とを備えた差動トランスからなる。
【0027】
前記プローブ18は、図2に示すように、支持筒20を有し、この支持筒20の上端が前述のごとく押圧ヘッド8に固定されており、これによって、プローブ18は上ホイール1に対してこれと一体的に上下動するように接合されている。一方、支持筒20の下端は上ホイール1の貫通孔1bを通ってドライブヘッド15の凹部15a内に突入しており、その突入部分には、円筒状をした電気的な絶縁材21が固定され、この絶縁材21の周囲に励磁コイル(1次コイル)23と検出コイル(2次コイル)24とが上下に所定の間隔を存して巻回されている。一方、ヨーク19は、下ホイール2の拡径部2bの内周面であって、かつプローブ18の各コイル23,24とドライブヘッド15を挟んで略対向する位置に固定されている。
【0028】
そして、上記のプローブ18の各コイル23,24とヨーク19とによって差動トランスが構成されている。この差動トランスを動作させるために、プローブ18の励磁コイル23には交流電源25が接続される一方、検出コイル24にはプローブ18の変位に伴う電圧の変化を検出する電圧計26が接続され、さらに、この電圧計26には被研磨材wの研磨条件を制御する制御手段としてのコントローラ27が接続されている。
【0029】
次に、上記構成を有する研磨装置を用いて被研磨材wを研磨する場合の動作について説明する。
【0030】
下ホイール2の上に被研磨材wを保持した複数のキャリア3を配置してその外周の凹凸部をドライブヘッド15のピン部15cに係合させてから、エアシリンダ7を下降させて押圧ヘッド8で上ホイール1を押圧することで、上下のホイール1,2間で被研磨材wを挟圧する。
【0031】
この状態で、上下のホイール1,2と被研磨材wとの間に砥粒液を介在させつつ、下ホイール2とドライブシャフト12とをそれぞれのモータ11,14で回転駆動する。すると、被研磨材wを保持するキャリア3の図示しない凹凸部がドライブヘッド15のピン部15cに係合してキャリア3がホイール1,2の周方向に回転される。したがって、被研磨材wはキャリア3とともに遊星運動を行いつつ、被研磨材wの上下面が共に上下のホイール1,2との間の相対的な速度差によって研磨される。
【0032】
ここで、被研磨材wの上下面が研磨されると、これに伴い、上ホイール1が変位して上下のホイール1,2間の距離が次第に短くなる。すると、プローブ18は、その外方のドライブヘッド15やヨーク19などの部材とは非接触の状態を保ちつつ上ホイール1と一体的に下降するので、プローブ18の変位は上下のホイール1,2間の距離の変化に正確に追従する。したがって、従来の振動や軸ずれ等の誤差要因を取り除くことができる。
【0033】
そして、プローブ18が変位すると、励磁コイル23とヨーク19との間で生じている磁界の検出コイル24を貫く磁束密度が同時に変化し、その変化量に応じて検出コイル24に生じる起電力が変化する。したがって、上下のホイール1,2間の相対的な距離の変化を直接かつ高精度に検出することができる。そして、この検出コイル24に生じる起電力が電圧計26で検出されて、この検出した電圧値がコントローラ27に取り込まれる。
【0034】
コントローラ27は、電圧計26の検出出力に基づいて予め設定した研磨厚さの目標値に対応した基準値との比較を行い、その比較結果に基づいて研磨条件を制御する。すなわち、コントローラ27は、たとえば、被研磨材wの厚さが目標値に近付くにつれてエアシリンダ7による上ホイール1の押圧力を調整したり、各モータ11,14の回転速度を制御したりする。そして、被研磨材wの厚さが最終的に目標値に到達した時点で研磨動作を停止する。これにより、被研磨材wは所定の厚み寸法に精度良く仕上げられる。
【0035】
なお、上下のホイール1,2とキャリア3の回転速度および回転方向についても特別な制約はなく、被研磨材wを研磨できれば、その条件を任意に設定することができる。
【0036】
また、上記の実施の形態では、ドライブヘッド15にピン部15cを設けているが、ピン部15cの代わりにドライブヘッド15の外周に歯部を設けて太陽歯車として構成し、これに合わせて、キャリア3には外周にドライブヘッド15の歯部とかみ合う歯部を設けた遊星歯車として構成することもできる。
【0037】
さらに、この実施の形態の研磨装置は、上下面を同時に研磨する構成であるが、本発明はこれに限らず、たとえば、ドライブシャフト12やドライブヘッド15を省略して、上ホイール1に被研磨材wを固定し、下ホイール2を回転駆動することで、被研磨材wの下面のみを研磨する構成のものにも適用することができる。さらには、上下のホイール1,2は固定した状態で、ドライブシャフト12でキャリア3のみを回転して被研磨材wを研磨する構成のものであってもよい。
【0038】
要するに、上ホイール1で被研磨材wを押圧した状態で、少なくとも下ホイール2と被研磨材wとの間の相対的な速度差によって被研磨材wを研磨する構成の研磨装置であれば、本発明を広く適用することが可能である。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果を奏する。
【0040】
(1) 請求項1記載の発明における研磨装置は、プローブがその外方のヨークやその他の部材と非接触の状態を保ちつつ上ホイールに対してこれと一体的に上下動するので、プローブの変位は上下のホイール間の距離の変化に正確に追従することになる。また、非接触で電磁的に変位量を検出するので、従来の振動や塵等の誤差要因を取り除くことができる。したがって、上下のホイール間の相対的な距離の変化を直接かつ高精度に検出することができる。このため、被研磨材を所望の厚み寸法になるまで精度良く研磨することが可能となる。
【0041】
(2) 請求項2記載の発明における研磨装置は、請求項1記載の発明の効果に加えて、被研磨材の肉厚の大小に応じて研磨条件を変更することが可能となり、被研磨材を所望の厚み寸法になるまで精度良く研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る研磨装置の要部を示す断面図である。
【図2】図1の装置の変位検出手段の部分を拡大して示す断面図である。
【図3】従来の研磨装置の要部を示す断面図である。
【図4】従来の研磨装置における誤差要因の説明図である。
【符号の説明】
1 上ホイール
2 下ホイール
2a 貫通孔
2b 拡径部
3 キャリア
15 ドライブヘッド
17 変位検出手段
18 プローブ
19 ヨーク
20 支持筒
21 絶縁材
23 励磁コイル
24 検出コイル
27 コントローラ(制御手段)
Claims (2)
- 被研磨材を押圧する上ホイールと、被研磨材を支持する下ホイールとを有し、上下のホイールの内の少なくとも下ホイールと前記被研磨材との間の相対的な速度差によって被研磨材を研磨する研磨装置において、前記上ホイールと下ホイールとの相対的な変位を検出する非接触式の変位検出手段を有し、この変位検出手段は、前記下ホイールの回転軸心方向に沿って形成された貫通孔の軸心に、励磁コイルと検出コイルとを有するプローブを挿入配置し、前記下ホイールの貫通孔の内周面の前記プローブの各コイルと略対向する位置にリング状のヨークを固定してなる差動トランスを備えるとともに、前記プローブの上部は、前記上ホイールにこれと一体的に上下動するように接合されて構成されていることを特徴とする研磨装置。
- 前記プローブからの検出出力と予め設定された研磨量の基準値とを比較し、その比較結果に基づいて研磨条件を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
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