JP4406979B2 - 揺動装置及び体感シミュレーション装置 - Google Patents

揺動装置及び体感シミュレーション装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被揺動体を揺動及び上下動させる揺動装置及びその揺動装置が搭載された体感シミュレーション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
体感シミュレーション装置は、その使用者が実際の状況を疑似体験することができる装置であり、例えば飛行機や自動車の操縦を疑似体験することができる装置がある。このような体感シミュレーション装置には、一般に視覚装置、音響装置、動作装置等が備えられている。
【0003】
このような体感シミュレーション装置に用いられる動作装置としては、例えば飛行機や自動車の座席やその座席を含むボディを揺動、即ち縦揺れ(ピッチング)や横揺れ(ローリング)及び上下動(ヒービング)させて3次元的に動作させる揺動装置がある。
従来の揺動装置は、上記ピッチング、ローリング及びヒービングを実現するために、例えば6軸の駆動手段が備えられており、これらの駆動手段をそれぞれ制御することにより、使用者は疑似体験することができるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の揺動装置では、6軸という多数の駆動手段を備えてそれぞれ制御しなければならないので、その構造は大型であり、また構成や制御プログラム等が複雑となり、コストや手間が増大するという欠点がある。これに対し、パンタグラフ機構を採用した揺動装置が開発されている。ところが、この揺動装置によれば、構成や制御プログラム等は簡易となるが、パンタグラフ機構を採用しているため、小型化には限界があるという問題が残る。
【0005】
そこで本発明は上記課題を解消し、簡易な構成で複雑な動作をさせることができる小型の揺動装置及びその揺動装置が搭載された体感シミュレーション装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明にあっては、被揺動体を横揺れ、縦揺れ及び上下動させる第1乃至第3駆動手段と、第1乃至第3駆動手段を制御する制御手段とを備え、第1乃至第3駆動手段の各々は、モータと、このモータの回転軸に直交するように配置され、かつモータの回転軸に一端が固定された第1アームと、モータの回転軸に直交するように配置され、かつ第1アームの他端に一端が回転可能なように取り付けられた第2アームとを備え、第1駆動手段の第2アームの他端が、被揺動体の前部中央部に回転可能に取り付けられ、第2駆動手段の第2アームの他端が、被揺動体の後部両側部の一方に回転可能に取り付けられ、第3駆動手段の第2アームの他端が、被揺動体の後部両側部の他方に回転可能に取り付けられ、制御手段は、被揺動体を横揺れさせるときに、第1駆動手段を停止させて、第2駆動手段と第3駆動手段の位相を180°ずらしてモータをサーボ駆動制御し、被揺動体を縦揺れさせるときに、第2及び第3駆動手段の位相を合わせて、この位相が合わせられた第2及び第3駆動手段と第1駆動手段との位相を180°ずらしてモータをサーボ駆動制御し、被揺動体を上下動させるときに、第1乃至第3駆動手段の位相を合わせてモータをサーボ駆動制御する揺動装置で達成される。
【0007】
さらに、上記目的は、本発明にあっては、使用者に個別に立体映像を表示する視覚装置と、使用者を所定位置に固定すると共に、その使用者が立体映像を見ることができるように、視覚装置が取り付けられている固定装置と、固定装置を横揺れ、縦揺れ及び上下動させる第1乃至第3駆動手段と、第1乃至第3駆動手段を制御する制御手段とを有する揺動装置とで構成され、第1乃至第3駆動手段の各々は、モータと、このモータの回転軸に直交するように配置され、かつモータの回転軸に一端が固定された第1アームと、モータの回転軸に直交するように配置され、かつ第1アームの他端に一端が回転可能なように取り付けられた第2アームとを備え、第1駆動手段の第2アームの他端が、固定装置の前部中央部に回転可能に取り付けられ、第2駆動手段の第2アームの他端が、固定装置の後部両側部の一方に回転可能に取り付けられ、第3駆動手段の第2アームの他端が、固定装置の後部両側部の他方に回転可能に取り付けられ、制御手段は、固定装置を横揺れさせるときに、第1駆動手段を停止させて、第2駆動手段と第3駆動手段の位相を180°ずらしてモータをサーボ駆動制御し、固定装置を縦揺れさせるときに、第2及び第3駆動手段の位相を合わせて、この位相が合わせられた第2及び第3駆動手段と第1駆動手段との位相を180°ずらしてモータをサーボ駆動制御し、固定装置を上下動させるときに、第1乃至第3駆動手段の位相を合わせてモータをサーボ駆動制御する体感シミュレーション装置で達成される。
【0008】
上述の構成によれば、第1駆動手段の第2アームの他端が、被揺動体(固定装置)の前部中央部に回転可能に取り付けられ、第2駆動手段の第2アームの他端が、被揺動体(固定装置)の後部両側部の一方に回転可能に取り付けられ、第3駆動手段の第2アームの他端が、被揺動体(固定装置)の後部両側部の他方に回転可能に取り付けられる。制御手段は、被揺動体(固定装置)を横揺れさせるときに、第1駆動手段を停止させて、第2駆動手段と第3駆動手段の位相を180°ずらしてモータをサーボ駆動制御し、被揺動体(固定装置)を縦揺れさせるときに、第2及び第3駆動手段の位相を合わせて、この位相が合わせられた第2及び第3駆動手段と第1駆動手段との位相を180°ずらしてモータをサーボ駆動制御し、被揺動体(固定装置)を上下動させるときに、第1乃至第3駆動手段の位相を合わせてモータをサーボ駆動制御する。
それらの駆動力をクランクとして構成した各第1アームと各第2アームを介して被揺動体(固定装置)にそれぞれ伝達するようにしている。従って、自由度が少なくても剛性が高まるので、モーションの再現性が高いピッチング、ローリング及びヒービングが可能となる。また、広い動作スペースが不要となるので、揺動装置の構造を小型化し、構成や制御プログラム等を簡易なものとすることができ、コストや手間を低減させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0010】
図1は、本発明の揺動装置の実施形態が搭載された体感シミュレーション装置の外形例を示す概略平面図、図2は、その概略正面図、図3は、その概略上面図、図4は、その概略システムを示す構成図である。
この体感シミュレーション装置1000は、座席1240、揺動装置1400、視覚装置1600、制御装置1800等で構成されており、制御装置1800が視覚装置1600に立体映像を映し出させると同時に、揺動装置1400を立体映像の動きに応じて動作させて座席1240を揺動させることにより、座席1240に搭乗している使用者に、立体映像の動きに応じた3次元的な動作のシミュレーションを体感させるように構成されている。
【0011】
座席1240は、繊維強化プラスチック材料あるいは金属材料等により成形された構成となっており、両側部にアームレスト1210が配設され、下部にフットレスト1220が配設され、上部にロックアーム1260、ヘッドレスト1280が配設されている。
座席1240は、使用者が比較的リラックスした状態で座ることができるように構成されている。そして、座席1240の背もたれ部1241の略中央に設けられているくり抜き部1241a内には、補助シート1242が収納されている。この補助シート1242は、腰掛け部1242aの下部に設けられている背もたれ部1241とのつなぎ目1242bが、90°回転可能に軸支持されている。
【0012】
これにより、使用者の背が高い場合は、補助シート1242の腰掛け部1242aをくり抜き部1241a内に収納した状態にし、使用者の背が低い場合は、補助シート1242の腰掛け部1242aをくり抜き部1241aから引出した状態にすることにより、使用者の背丈にかかわらず容易に対応することができる。
アームレスト1210は、座席1240や補助シート1242に対する乗降の際に使用者が手で掴んで体を支えるための把持手段である。フットレスト1220は、座席1240や補助シート1242に座った状態の使用者が両足を乗せて体を支えるための載置手段である。
【0013】
ロックアーム1260は、座席1240や補助シート1242に座った状態の使用者を押さえ付けるための固定手段である。
ロックアーム1260は、表面がクッション材で覆われた金属製の棒材で、水平方向から見て略L字状であって、鉛直方向から見て略U字状に形成されており、ロックアーム1260の両開放端(連結端)1261は、座席1240の背もたれ部1241の上部に懸けわたされている連結棒1203に図示矢印a方向に回動可能に連結されている。
【0014】
このような構成において、ロックアーム1260が上方に撥ね上げられた状態で使用者が座席1240や補助シート1242に座り、ロックアーム1260の操作端1262を例えば使用者が片手又は両手で持って引き下ろすことにより、ロックアーム1260の操作端1262のU字内に使用者の頭部が挿入されると共に、ロックアーム1260の操作端1262のL字及びU字部分で使用者の胴部(肩から腹にわたる部位)が押さえ込まれるので、使用者を座席1240や補助シート1242に座った状態で固定することができる。尚、ロックアーム1260は、管理者が手動あるいは自動で上下させるように構成することも可能である。
【0015】
ヘッドレスト1280は、使用者が座席1240や補助シート1242に座ってロックアーム1260で固定されたときに、使用者の頭部を支持するための支持手段である。
ヘッドレスト1280は、座席1240の背もたれ部1241の上部であってロックアーム1260の連結端1261間に、ロックアーム1260の回転に伴って回転可能となるように一体的に連結されている。
そして、ヘッドレスト1280の両側には、使用者の両耳に対応してそれぞれ音像、即ち空間内で方位と距離を持って認識される音声を出すことができる一対のスピーカ1231がそれぞれ取り付けられている。
【0016】
揺動装置1400は、3組の駆動手段を備えており、各駆動手段に備えられているモータ1431をサーボ制御するのみで、座席1240を揺動、即ち縦揺れ(ピッチング)Pや横揺れ(ローリング)R及び上下動(ヒービング)Hさせて3次元的に動作させる機構部分である。この揺動装置1400は、装置の転倒を防止するためのステップ1201上に載置され、動作中の異物の巻き込みを防止するためのジャバラ1202で覆われている。
【0017】
視覚装置1600は、立体映像を映し出すゴーグルが内蔵されたフェイスマスク1601を備えている。このフェイスマスク1601は、ロックアーム1260の操作端1262の途中に、操作端1262と共に図示矢印b方向に移動可能に取り付けられている。即ち、視覚装置1600は、使用者が座席1240や補助シート1242に座ってロックアーム1260で固定されたときに、操作端1262を操作してフェイスマスク1601が顔面を覆うように調整し、覗き込んで内部で映し出される立体映像を見ることができるように配設されている。
【0018】
制御装置1800は、制御装置1800を起動・停止させるスタート/ストップスイッチ1810、CPU1820、ハードディスク(HD)やデジタルバーサタイスディスク(DVD)等のメモリー部1830、3台のモータ1432をそれぞれサーボ制御する安全制御回路1841を備えたモータ制御回路1840等で構成されている。
メモリー部1830には、視覚装置1600に立体的な映像を映し出させるための映像ファイル1831、スピーカ1231から音像を流させるための音声ファイル1832及び揺動装置1400を3次元的に揺動させるためのモーションファイル1833が記憶されている。
【0019】
即ち、映像ファイル1831は、人の両眼の間隔より多少狭い間隔(例えば65mm)に並列配置された2台の撮影装置を1/60秒(1フィールド分)毎に交互に切り替えて撮影した実写のデータで構成されている。
音声ファイル1832は、2つのマイクロホンにより採取された音声信号に、モーションファイル1833のデータを基にして時間差を付加すると共に、強弱のレベル差を付加した音像のデータで構成されている。
モーションファイル1833は、直交3軸方向と各軸周りの方向の計6軸方向の動きを例えばジャイロセンサで測定したデータを3台のモータ1432の回転方向、回転量、回転速度等に変換したデータで構成されている。
【0020】
そして、映像・音声ファイル1831、1832は、例えばMPEG2(Motion Picture Experts Group2)圧縮されて記憶され、モーションファイル1833は、例えばMIDI(Musical Instrument Digital Interface) FORMATで記憶されている。
【0021】
次に、本発明の実施形態の揺動装置1400について、さらに詳細に説明する。
図5は、揺動装置1400の全体構成を斜め後方から見た斜視図、図6は、揺動装置1400の駆動手段の配置を示す平面図である。
この揺動装置1400は、ベース(被揺動体)1410、モーションテーブル(被揺動体)1420、テーブル支持部(被揺動体)1440、3組の駆動手段1430等で構成されている。
【0022】
ベース1410及びモーションテーブル1420は、長方形状又は正方形状の枠体で構成されている。テーブル支持部1440は、一端でモーションテーブル1420を支持するビーム1441と、このビーム1441の他端を支持するビーム支持体1442を備えている。駆動手段1430は、モータ1431と、このモータ1431の回転軸1431aに直交するように配置され、かつモータ1431の回転軸1431aに一端が固定された第1アーム1432と、モータ1431の回転軸1431aに直交するように配置され、かつ第1アーム1432の他端に一端が第1アーム1432の回転方向と同一方向に回転可能なように取り付けられた第2アーム1433を備えている。
【0023】
べース1410上の前部(図5及び図6に示すF側)中央には、1組の駆動手段(以下、前部駆動手段という)1430が配設され、べース1410上の後部(図5及び図6に示すB側)両側には、2組の駆動手段(以下、後部駆動手段という)1430が配設されている。そして、前部駆動手段1430及び後部駆動手段1430は、各モータ1431の回転軸1431aがべース1410の中心線CLと平行になるように配設されている。
【0024】
また、べース1410上の後部B中央には、テーブル支持部1440のビーム1441がべース1410の中心線CLに沿って前部F方向を向くようにして、ビーム支持体1442が配設されている。そして、ビーム1441の一端は、前部駆動手段1430の第2アーム1433の他端に、第1アーム1432の回転方向と同一方向に回転可能なように連結され、ビーム1441の他端は、ビーム支持体1442に、ビーム1441の軸と水平に直交する軸を中心に回転可能なように連結されている。
【0025】
モーションテーブル1420下部の前部F側の中心部は、テーブル支持部1440のビーム1441の一端に自在継手(ユニバーサルジョイント)1443を介して連結されている。また、モーションテーブル1420下部の後部B側の両端部は、後部駆動手段1430の第2アーム1433の他端に、第1アーム1432の回転方向と同一方向に回転可能なように連結されている。
そして、モーションテーブル1420上には、座席1240の正面側が前部駆動手段1430側を向き、座席1240の背面側が後部駆動手段1430側を向くようにして着脱可能に固定される。
【0026】
以上の構成の揺動装置1400によれば、図7に示すように、前部駆動手段1430を停止させておき、位相を180°ずらして2つの後部駆動手段1430をサーボ駆動させることにより、モーションテーブル1420をテーブル支持部1440との連結部を回転中心としてベース1410に対して図示矢印R方向にローリングさせることができる。
また、図8に示すように、位相を180°ずらして前部駆動手段1430と2つの後部駆動手段1430をサーボ駆動させることにより、モーションテーブル1420をその中心を回転中心としてベース1410に対して図示矢印P方向にピッチングさせることができる。
【0027】
さらに、図9に示すように、位相を合わせて前部駆動手段1430及び2つの後部駆動手段1430をサーボ駆動させることにより、モーションテーブル1420をベース1410に対して図示矢印H方向にヒービングさせることができる。
またさらに、図10に示すように、前部駆動手段1430を停止させておき、位相を合わせて、あるいは位相を180°ずらして2つの後部駆動手段1430をサーボ駆動させることにより、モーションテーブル1420をテーブル支持部1440との連結部を回転中心としてベース1410に対して図示矢印P1方向にピッチング、あるいはローリングを含むピッチングをさせることができる。
【0028】
また、図11に示すように、2つの後部駆動手段1430を停止させておき、前部駆動手段1430をサーボ駆動させることにより、モーションテーブル1420をテーブル支持部1440のビーム1441とビーム支持体1442との連結部を回転中心としてベース1410に対して図示矢印P2方向にピッチングさせることができる。
以上のように、前部駆動手段1430と2つの後部駆動手段1430の各モータ1431を適宜にサーボ駆動することにより、モーションテーブル1420上に固定されている座席1240を3次元的に自由に動作させることができる。そして、その動作のための駆動力は、クランクとして構成された第1アーム1432と第2アーム1433により伝達されるので、ボールスクリュウ等を用いた場合のバックラッシ等が無くなり、剛性が高くなってレスポンスが良好になる。さらに、グリスアップ等のメンテナンスがフリーとなり、長寿命となる。
【0029】
次に、上述した体感シミュレーション装置1000の使用例及び動作例について説明する。
体感シミュレーション装置1000が停止しているときは、揺動装置1400のモーションテーブル1420は略水平に保持された状態になっていると共に、ロックアーム1260は上方に撥ね上げられた状態になっている。この状態で使用者は、アームレスト1210を掴んで座席1240に着席する。
【0030】
ここで、体感シミュレーション装置1000が載置されている床から座席1240までの高さは、揺動装置1400の高さのみであり、比較的低いので、使用者は容易に体感シミュレーション装置1000に乗り込むことができる。そのとき使用者の背が低い場合は、補助シート1242を引出すことにより、即座に対応することができる。
【0031】
使用者は、座席1240あるいは補助シート1242に着席したら、ロックアーム1260の操作端1262を例えば片手又は両手で持って引き下ろし、ロックアーム1260の操作端1262のU字内に頭部を挿入する。
そして、使用者は、視覚装置1600の内部で映し出される映像をベストポジションで覗き込むことができるようにするために、操作端1262を操作してフェイスマスク1601が顔面を覆うように調整し、その後にロックアーム1260の操作端1262のL字及びU字部分で肩から腹にわたる部位を押さえ込む。
【0032】
次に、管理者あるいは使用者が、制御装置1800に備えられているスタート/ストップスイッチ1810を押して制御装置1800のCPU1820を起動する。すると、CPU1820は、メモリー部1830に記憶されている映像・音声ファイル1831、1832の内容に基づいて、視覚装置1600に立体的な映像を映し出させると共に、スピーカ1231から音像を流させる。そして、これらと同期したモーションファイル1833の内容に基づいて、モータ制御回路1840を制御して揺動装置1400を3次元的に動作させる。
【0033】
即ち、映像ファイル1831のデータは、視覚装置1600において2台の撮影装置で撮影された1/60秒(1フィールド分)毎の各データに分割される。そして、各データに対応した拡大された2つの虚像とされて使用者の両眼の各網膜にそれぞれ投影される。
従って、使用者は、実際には視差を有する異なる2つの拡大された虚像を左右の眼でそれぞれ見ることになるが、使用者の認識としては立体映像となっている。これにより、使用者は、拡大された迫力のある鮮明な立体映像を見ることができる。
【0034】
また、音声ファイル1832のデータは、スピーカ1231から音像として流される。これにより、使用者は、音声を空間内で方位と距離を持って認識することになるので、臨場感あふれる音声を聞くことができる。
一方、モーションファイル1833のデータは、3台のモータ1431の回転方向、回転量、回転速度等のデータ及びファン1230の回転量、回転速度等のデータに変換されているので、各データに基づいて揺動装置1400の駆動手段1430及びファン1230が適宜制御される。これにより、座席1240は縦揺れ(ピッチング)や横揺れ(ローリング)及び上下動(ヒービング)することになる。
【0035】
このように、3台のモータ1431の回転方向、回転量、回転速度等をモーションファイル1833のデータに基づいて適宜に変化させて2種類の揺動動作及び上下動作を組み合わせることにより、座席1240を複雑な3次元動作させることができる。
以上の制御により、体感シミュレーション装置1000に搭乗している使用者は、視覚装置1600で写し出される立体映像に同時に対応した音像をスピーカ1231を介して聞くことができると共に、立体映像に同時に対応した3次元動作を揺動装置1400を介して座席1240上で味わうことができ、実際の状況に即した疑似体験を迫力満点に味わうことができることになる。
【0036】
このように、本実施形態の揺動装置1400は、3組の駆動手段1430のみにより、座席1240を揺動、即ち縦揺れ(ピッチング)や横揺れ(ローリング)及び上下動(ヒービング)させて複雑な3次元動作させることができるので、揺動装置1400の構成をコンパクトにすることができると共に、揺動装置1400の制御プログラム等を簡易なものとすることができる。従って、従来の揺動装置のように広い設置スペースや大掛かりな設備が不要となり、また、設置場所の移動も迅速かつ容易に行うことが可能となり、さらに、種々のコストを大幅に低減させることが可能となる。
尚、上述した実施形態では、揺動装置1400を体感シミュレーション装置1000に搭載した場合を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば遊戯場等に設置されている遊戯施設に適用することも可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第1駆動手段の第2アームの他端が、被揺動体(固定装置)の前部中央部に回転可能に取り付けられ、第2駆動手段の第2アームの他端が、被揺動体(固定装置)の後部両側部の一方に回転可能に取り付けられ、第3駆動手段の第2アームの他端が、被揺動体(固定装置)の後部両側部の他方に回転可能に取り付けられる。制御手段は、被揺動体(固定装置)を横揺れさせるときに、第1駆動手段を停止させて、第2駆動手段と第3駆動手段の位相を180°ずらしてモータをサーボ駆動制御し、被揺動体(固定装置)を縦揺れさせるときに、第2及び第3駆動手段の位相を合わせて、この位相が合わせられた第2及び第3駆動手段と第1駆動手段との位相を180°ずらしてモータをサーボ駆動制御し、被揺動体(固定装置)を上下動させるときに、第1乃至第3駆動手段の位相を合わせてモータをサーボ駆動制御する。
それらの駆動力をクランクとして構成した各第1アームと各第2アームを介して被揺動体(固定装置)にそれぞれ伝達するようにしている。従って、自由度が少なくても剛性が高まるので、モーションの再現性が高いピッチング、ローリング及びヒービングが可能となる。また、広い動作スペースが不要となるので、揺動装置の構造を小型化し、構成や制御プログラム等を簡易なものとすることができ、コストや手間を低減させることができる。この結果、小型であって、簡易な構成で複雑な動作をさせることができる揺動装置及びその揺動装置が搭載された体感シミュレーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の揺動装置の実施形態が搭載された体感シミュレーション装置の外形例を示す概略平面図。
【図2】図1の体感シミュレーション装置の概略正面図。
【図3】図1の体感シミュレーション装置の概略上面図。
【図4】図1の体感シミュレーション装置の概略システムを示す構成図。
【図5】図1の体感シミュレーション装置の揺動装置の詳細を示す斜視図。
【図6】図5の揺動装置の駆動手段の配置を示す平面図。
【図7】図5の揺動装置の動作例を示す第1の側面図。
【図8】図5の揺動装置の動作例を示す第2の側面図。
【図9】図5の揺動装置の動作例を示す第3の側面図。
【図10】図5の揺動装置の動作例を示す第4の側面図。
【図11】図5の揺動装置の動作例を示す第5の側面図。
【符号の説明】
1000・・・体感シミュレーション装置、1240・・・座席、1260・・・ロックアーム、1400・・・揺動装置、1410・・・ベース、1420・・・モーションテーブル、1430・・・駆動手段、1431・・・モータ、1432・・・第1アーム、1433・・・第2アーム、1440・・・テーブル支持部、1441・・・ビーム、1442・・・ビーム支持体、1443・・・自在継手(ユニバーサルジョイント)、1600・・・視覚装置、1800・・・制御装置

Claims (8)

  1. 被揺動体を横揺れ、縦揺れ及び上下動させる第1乃至第3駆動手段と、
    前記第1乃至第3駆動手段を制御する制御手段とを備え、
    前記第1乃至第3駆動手段の各々は、
    モータと、このモータの回転軸に直交するように配置され、かつ前記モータの回転軸に一端が固定された第1アームと、前記モータの回転軸に直交するように配置され、かつ前記第1アームの他端に一端が回転可能なように取り付けられた第2アームとを備え、
    前記第1駆動手段の第2アームの他端が、前記被揺動体の前部中央部に回転可能に取り付けられ、前記第2駆動手段の第2アームの他端が、前記被揺動体の後部両側部の一方に回転可能に取り付けられ、前記第3駆動手段の第2アームの他端が、前記被揺動体の後部両側部の他方に回転可能に取り付けられ、
    前記制御手段は、
    前記被揺動体を横揺れさせるときに、前記第1駆動手段を停止させて、第2駆動手段と第3駆動手段の位相を180°ずらして前記モータをサーボ駆動制御し、
    前記被揺動体を縦揺れさせるときに、前記第2及び第3駆動手段の位相を合わせて、この位相が合わせられた前記第2及び第3駆動手段と前記第1駆動手段との位相を180°ずらして前記モータをサーボ駆動制御し、
    前記被揺動体を上下動させるときに、前記第1乃至第3駆動手段の位相を合わせて前記モータをサーボ駆動制御する揺動装置。
  2. 前記第1乃至第3駆動手段のモータの回転軸及び前記第1アーム及び第2アームの各端部の回転軸が、前記被揺動体の前部から後部に延びる軸線と平行となるように配設されている請求項1に記載の揺動装置。
  3. 前記被揺動体は、
    ベースと、
    このベースの上方で揺動及び上下動するテーブルと、
    このテーブルの下方の略中央に沿って配置され、一端が前記テーブルの前部中央部に自在継手を介して取り付けられ、他端が前記ベースの後部中央部に回転可能に取り付けられたテーブル支持部とを備え、
    前記第1駆動手段の第2アームの他端が、前記テーブル支持部の前部に回転可能なように取り付けられ、前記第2及び第3駆動手段の第2アームの他端が、前記テーブルの後部両側部に回転可能なようにそれぞれ取り付けられている請求項1に記載の揺動装置。
  4. 前記テーブル支持部の他端の回転軸が、前記被揺動体の前部から後部に延びる軸線と直交するように配設されている請求項3に記載の揺動装置。
  5. 使用者に個別に立体映像を表示する視覚装置と、
    前記使用者を所定位置に固定すると共に、その使用者が前記立体映像を見ることができるように、前記視覚装置が取り付けられている固定装置と、
    前記固定装置を横揺れ、縦揺れ及び上下動させる第1乃至第3駆動手段と、前記第1乃至第3駆動手段を制御する制御手段とを有する揺動装置とで構成され、
    前記第1乃至第3駆動手段の各々は、
    モータと、このモータの回転軸に直交するように配置され、かつ前記モータの回転軸に一端が固定された第1アームと、前記モータの回転軸に直交するように配置され、かつ前記第1アームの他端に一端が回転可能なように取り付けられた第2アームとを備え、
    前記第1駆動手段の第2アームの他端が、前記固定装置の前部中央部に回転可能に取り付けられ、前記第2駆動手段の第2アームの他端が、前記固定装置の後部両側部の一方に回転可能に取り付けられ、前記第3駆動手段の第2アームの他端が、前記固定装置の後部両側部の他方に回転可能に取り付けられ、
    前記制御手段は、
    前記固定装置を横揺れさせるときに、前記第1駆動手段を停止させて、第2駆動手段と第3駆動手段の位相を180°ずらして前記モータをサーボ駆動制御し、
    前記固定装置を縦揺れさせるときに、前記第2及び第3駆動手段の位相を合わせて、この位相が合わせられた前記第2及び第3駆動手段と前記第1駆動手段との位相を180°ずらして前記モータをサーボ駆動制御し、
    前記固定装置を上下動させるときに、前記第1乃至第3駆動手段の位相を合わせて前記モータをサーボ駆動制御する体感シミュレーション装置。
  6. 前記第1乃至第3駆動手段のモータの回転軸及び前記第1アーム及び第2アームの各端部の回転軸が、前記固定装置の前部から後部に延びる軸線と平行となるように配設されている請求項5に記載の体感シミュレーション装置。
  7. 前記固定装置は、
    ベースと、
    このベースの上方で揺動及び上下動するテーブルと、
    このテーブルの下方の略中央に沿って配置され、一端が前記テーブルの前部中央部に自在継手を介して取り付けられ、他端が前記ベースの後部中央部に回転可能に取り付けられたテーブル支持部とを備え、
    前記第1駆動手段の第2アームの他端が、前記テーブル支持部の前部に回転可能なように取り付けられ、前記第2及び第3駆動手段の第2アームの他端が、前記テーブルの後部両側部に回転可能なようにそれぞれ取り付けられている請求項5に記載の体感シミュレーション装置。
  8. 前記テーブル支持部の他端の回転軸が、前記固定装置の前部から後部に延びる軸線と直交するように配設されている請求項7に記載の体感シミュレーション装置。
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