JP4406896B2 - 繰返しパターン形成方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマディスプレイパネル等に用いられる繰返しパターン形成方法および装置に関し、これらは主にプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)の各要素の製造に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
図2は従来の一般的なPDPの1つの画素EGに対応する部分の断面構造の一例を示す分解斜視図である。図2に例示したPDPは、3電極構造のAC駆動形式のPDPであり、表示面側のガラス基板11、横方向に互いに平行に隣接して延びた一対の表示電極X,Y、AC駆動のための誘電体層17とその保護膜18、背面側のガラス基板21、表示電極X,Yと直交するアドレス電極A、アドレス電極Aと平行なリブ(隔壁)r、及びカラー表示のための蛍光体層28などから構成されている。
【0003】
内部の放電空間30には、蛍光体層28に対する紫外線励起のための放電ガスが封入されている。このような放電空間30は、リブrによって表示電極X,Yの延長方向に単位発光領域EU毎に区画され、且つその間隙寸法が規定されている。リブrは、厚さ(高さ)が100〜130μm程度の低融点ガラス層からなる。
【0004】
PDPでは、図のように1つの画素EGに対応づけられた3つの各単位発光領域EU内において、一方の表示電極Yとアドレス電極Aとの交差部に表示又は非表示を選択するための選択放電セルが画定され、選択放電セルの近傍における各表示電極の間に主放電セル(画放電セル)が画定される。
【0005】
蛍光体層28は、面放電によるイオン衝撃を避けるために、表示電極X,Yと反対側のガラス基板21上の各リブrの間に設けられ、主放電セルの面放電で生じる紫外線によって励起されて発光する。蛍光体層28の表層面(放電空間と接する面)で発光した光は、誘電体層17及びガラス基板11などを透過して表示面から射出する。
【0006】
なお、PDPでは、3つの各単位発光領域EUに対応する各蛍光体層28の発光色は、順に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)とされている(図中のアルファベットR,G,Bは発光色を示す)。また、表示電極X,Yは、このような蛍光体層28に対して表示面側に配置されることから、表示の輝度を高めるためにネサ膜などからなる透明導電膜41とその導電性を補うための金属膜42とから構成されている。
【0007】
以上の構造を有したPDPは、各ガラス基板11,21について別個に所定の構成要素を設けた後、ガラス基板11,21を対向配置して間隙の周囲を封止し、内部の排気と放電ガスの充填を行う一連の工程によって製造される。
【0008】
その際、ガラス基板21側の製造において、蛍光体層28の形成には
(1)複数のノズルを備えたノズルヘッドを用いて所定のリブrの間に蛍光体ペーストを塗布して蛍光体層28を形成する方法(例えば、特開平10−27543号公報参照)、
(2)すべてのリブrの間に感光性蛍光体ペーストを予め充填し乾燥させた後、露光マスクを介して露光を行い非露光状態の感光性蛍光体ペーストを除去して蛍光体層28を形成する方法(例えば、特開平9−231908号公報参照)、
などが知られている。
【0009】
また、リブrの形成には、
(1)ガラス基板21の上にアドレス電極Aを形成した後にリブ材料層を所定厚さで形成し、リブ材料層を切削ディスクで所定の深さまでの切削してリブrを形成する方法(例えば、特開平1−220330号公報参照)、
(2)ガラス基板21の上にアドレス電極Aを形成した後にリブ材料層とドライフィルム層を重ねて形成し、フォトマスクを用いたフォトリソグラフィによりドライフィルム層をパターニングした後にサンドブラストしてリブrを形成する方法(例えば、特開平10−188791号公報参照)、
などが知られている。
【0010】
さらに、アドレス電極Aの形成には、
ガラス基板21の全面に電極材料を成膜し、感光性レジストを塗布した後、レーザ光で露光してレジストパターンを形成し、エッチング処理によってアドレス電極Aを形成する方法が知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで蛍光体層はパネルの輝度・色純度などを決める重要な要素であるため、蛍光体層はパネル全面において均一に形成される必要がある。リブやアドレス電極などの要素もまた同様である。しかしながら、PDPの大画面化に伴い、これらの要素をパネル全面にわたって一度に形成することが困難なため、パネルを複数の小領域に分割し、小領域毎に工程を分けて形成するようになってきている。
【0012】
例えば、蛍光体ペーストをノズルで吐出して塗布する場合には、図3に示すようにガラス基板21の上に形成されたリブrの間に赤色蛍光体ペースト用ノズルヘッド101のノズルN1 ,N2 ……Nk によりリブピッチの3倍のピッチで領域R1に塗布作業を行い、その後、隣接する領域R2,R3,Rnの塗布作業を同様に順次行って基板21のR1〜Rnの領域に赤色蛍光体ペーストを塗布する。次に、緑色蛍光体ペースト用および青色蛍光体ペースト用ノズルを用いて同様の塗布作業をそれぞれくり返し基板21の全体に赤色,緑色および青色蛍光体ペーストを塗布するようにしている。
【0013】
ところが、このようにして形成されたPDPの輝度を調べると、図4のように領域R1,R2……Rnの各領域内では認識できない程度になだらかに変化しているが、各領域の境界部分では不連続に大きく変化するため、その境界が画像表示時に縞模様になって表われるという問題点がある。これはリブや表示電極、アドレス電極などの要素のついても同様である。
【0014】
この発明はこのような事情を考慮してなされたもので、大型サイズのプラズマディスプレイパネルの製造時に形成される各要素のパターンのばらつきを、表示画面上で認識されない程度に抑制することが可能なパターン形成装置を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明の方法は、対象物のパターン形成領域に複数本の帯状の露光パターンをピッチPで平行に繰り返し形成する繰り返しパターン形成方法であって、前記パターン形成領域が帯状の露光パターンに直交する方向について複数の小領域に分割され、その小領域毎にレーザ照射するレーザ照射装置を使用し、前記各小領域において小領域毎のレーザ照射装置を用いてレーザ光による帯状の露光パターンを形成する際に、隣接する小領域間では相互に露光パターン形成領域を部分的に重ね合わせ、その重なり合う領域では小領域毎のレーザ照射装置のレーザ光をピッチが2Pとなるようにかつ互いにピッチPの距離をずらして照射し、両照射装置の形成する帯状の露光パターンが互いに補完し合ってピッチPの帯状の露光パターンを形成するようにしたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明によるパターンの形成方法と装置は、ノズルヘッドを用いたディスペンサ,露光マスク,印刷板,切削ディスク又は型押し板などによるパターン形成に適用できる。
この発明における対象物とは、主にプラズマディスプレイパネルの製造工程における加工対象物であり、例えば蛍光体層形成工程の対象となる複数のリブを備えた基板や、リブを有する基板上に感光性蛍光体ペーストを一様に塗布したもの、また、アドレス電極や表示電極などの形成工程の対象となる電極材料層を感光レジスト膜と共に積層した基板や、リブ形成工程の対象となるリブ材料層を積層した基板などがあげられる。
【0017】
また、帯状パターンとは、例えばノズルやマスクによって形成される蛍光体ペーストのようなペースト状物質の塗布パターンや、フォトマスクを用いて形成されるフォトリソグラフィ用の露光パターン又はレーザ光の照射により直接形成される露光パターンなどであり、幅が数μm〜数百μm,長さが数十cm〜数百cmの帯状のものである。
【0018】
プラズマディスプレイパネルに必要なこのようなパターンの形成ピッチは50〜500μm程度である。全パターン形成領域は帯状パターンの直交方向について複数の小領域に分割されるが、その分割数は2〜100程度である。
【0019】
また、隣接する小領域間で相互に重なり合うパターン形成領域の面積は小領域の面積の10%以下であればよい。
そして、その重なり合う領域では先の工程が通常のピッチの整数倍のピッチで帯状パターンを形成、つまり帯状パターンを間引くように形成し、後の工程が間引かれた帯状パターンを補充して正常なピッチになるようにする。
【0020】
重なり合う領域でのパターンの間引き方としては、1本おきに間引く、つまりピッチを2倍にする方法や、領域の端に行くに従って5本に1本、4本に1本、3本に1本、2本に1本、3本に2本、4本に3本、5本に4本間引く方法などがあげられる。
【0021】
このように隣接する小領域間において相互のパターン形成領域を部分的に重ね合わせることにより、小領域間の接続部におけるパターンの急激なばらつき(変化)が抑制される。従って、その急激なばらつきによって画面に表示される縞模様の問題が解消される。
【0022】
この発明のパターン形成方法に基づいて、例えば複数のリブを備える基板のリブ間に蛍光体ペーストの塗布パターンを形成する場合には、同一方向を向く複数のノズルを直線状に配列したノズル列を有するノズルヘッドを備え、ノズルから対象物にペースト状物質を吐出して複数のペースト状物質の塗布パターンを所定ピッチで平行に形成するパターン形成装置であって、ノズルヘッドはノズル列が中央ノズル列と、その両側にそれぞれ連なる第1および第2ノズル列とからなり、中央ノズル列のノズルはピッチがPとなるように配列され、第1および第2ノズル列のノズルはピッチがPのN倍(Nは2以上の整数)のピッチを含むように配列され、第1ノズル列によって塗布パターンが形成された領域に対し、さらに第2ノズル列で塗布パターンを形成することにより、塗布パターンが補充されてピッチPの塗布パターンを得ることができるパターン形成装置を用いることができる。
この場合、ノズルヘッドと対象物とを相対的に移動させる移動部と、ノズルヘッドにペースト状物質を供給する供給部とをさらに備えてもよい。
【0023】
また、この発明の方法を用いて蛍光体層の形成のためにマスクを用いて基板上に蛍光体ペーストの塗布パターンを形成したり感光性体ペースト層に光を照射する場合、また各種帯状電極のフォトリソグラフィによる形成のためにマスクを用いて感光膜上に光照射パターンを形成する場合には、複数の平行な帯状開口を有するマスクを備え、そのマスクの帯状開口を介して対象物に平行なパターンを所定ピッチで形成するパターン形成装置であって、マスクが複数の帯状開口を平行に有する中央マスク領域と、その両側に同一平面上でそれぞれ連なり複数の帯状開口を平行に有する第1および第2マスク領域とからなり、中央マスク領域の開口はピッチがPになるように設けられ、第1および第2マスク領域の開口は、ピッチがPのN倍(Nは2以上の整数)のピッチを含むように設けられ、第1マスク領域によってパターンが形成された対象物の領域に対し、さらに第2マスク領域でパターンを形成することにより、パターンが補充されてピッチPのパターンを得ることができるパターン形成装置を用いることができる。
【0024】
この場合、対象物が感光物質であり、マスクと対象物とを相対的に平行に移動させる移動部と、マスクを介して基板上に光を照射する光源部とをさらに備えてもよい。
また、マスクと対象物とを相対的に平行に移動させる移動部と、マスクを介して基板上にペースト状物質を供給する供給部とをさらに備えてもよい。
【0025】
さらにこの発明の方法を用いて基板上にリブを形成するために基板上に形成されたリブ形成材料層を切削加工するためには、複数の同径の切削ディスクを回転シャフトで平行に同軸に支持した切削ディスク列を有する回転切削具を備え、切削ディスクで対象物を切削して複数の切削パターンを平行に所定ピッチで形成するパターン形成装置であって、回転切削具は、切削ディスク列が中央ディスク列と、その両端にそれぞれ同軸に連なる第1および第2ディスク列とからなり、中央ディスク列のディスクはピッチがPとなるように配列され、第1および第2ディスク列のディスクはピッチがPのN倍(Nは2以上の整数)のピッチを含むように配列され、第1ディスク列によって切削パターンが形成された対象物の領域に対し、さらに第2ディスク列で切削パターンを形成することにより、切削パターンが補充されてピッチPの切削パターンを得ることができるパターン形成装置を用いることができる。
その場合、切削具と対象物とを相対的に平行移動させると共に、両者を互いに近接させる駆動部をさらに備えてもよい。
【0026】
この発明の方法を用いてフォトリソグラフィをレーザ光によって行う場合には、形成される帯状パターンがレーザ光による露光パターンであり、小領域毎にレーザ照射装置を備えてもよい。
【0027】
実施例
以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明を詳述する。これによってこの発明が限定されるものではない。
第1実施例
図1はこの発明の第1実施例の構成と動作を示す説明図であり、この実施例では図2に示すアドレス電極Aとリブrとを有する基板21に蛍光体層28を形成するため、蛍光体ペーストの塗布パターンをリブrの間の溝に形成する方法と装置について説明する。
【0028】
図1において、マニピュレータ1はシャフト2を矢印Z1,Z2方向に昇降させる昇降装置3a,3bと、シャフト2に支持されて矢印Y1,Y2方向に摺動する摺動装置4と、紙面に対して垂直に往復移動するテーブル5を備える。ノズルヘッド51は摺動装置4の把手6に固定され、蛍光体ペースト供給部52から可撓性チューブ53を介して赤色蛍光体ペーストの供給を受けるようになっている。テーブル5の上には1921本の高さ100μmのリブr(図1には図示せず)を、130μmのピッチで上面に平行に備えたガラス基板21が設置されている。図1では、リブrはその長手方向が紙面に垂直になるように配列されている。ノズルヘッド51は図5に示すようにピッチP(=130μm×3)で配列された200本のノズル(口径100μm)54を有するノズルヘッドの両端から1本おきに15本のノズルをそれぞれ除去した(間引いた)ものである。つまり領域A1,A3ではノズル54は2Pのピッチを有し、領域A2ではノズル54はPのピッチを有する。
【0029】
なお、蛍光体ペーストは所定発光色(例えばR)の蛍光体とビヒクルとを混合したものであり、蛍光体の含有量を10〜50重量%とし、ビヒクルには、セルロース系又はアクリル系の増粘剤樹脂とアルコール系又はエステル系などの有機溶剤を用いる。そして、発光色が赤色の蛍光体としては例えば(Y,Gd)BO3 :Eu3+を用い、発光色が緑色の蛍光体としては例えばZn2 SiO4 :Mnを用い、発光色が青色の蛍光体としては例えばBaMgAl14O23:Eu2+を用いることができる。
【0030】
このような構成において、まず第1工程では、図1の(a)に示すように基板21に対してノズルヘッド51を配置し、蛍光体ペースト供給部52から赤色蛍光体ペーストをノズルヘッド51に供給しながらテーブル5を紙面に垂直に(リブrの長手方向に)移動させ、リブr間に赤色蛍光体ペーストを吐出して塗布パターンを形成する。なお、ノズルヘッド51に供給される蛍光体ペーストは内部で分岐され各ノズル54から吐出される。そして、リブrの先端から後端まで蛍光体ペーストが塗布されると、蛍光体ペーストの供給とテーブル5の移動は停止されテーブル5は逆方向に移動し最初の位置に戻る。
【0031】
次に、第2工程では摺動装置4が作動してノズルヘッド51を矢印Y1の方向に移動させ図1の(b)に示す位置で停止する。この時、図1の(a)に示すノズルヘッド51の領域A3と、図1の(b)に示すノズルヘッド51の領域A1とは重なり合っている。マニピュレータ1は、再び、テーブル5を紙面と垂直方向に移動させノズルヘッド51に赤色蛍光体ペーストを供給しながらリブr間に赤色蛍光体ペーストを塗布して次の塗布パターンを形成する。図6はこの様子を示すもので、前の塗布工程で塗布されていないリブrの間に領域A1のノズル54により蛍光体ペーストが吐出され塗布パターンが形成される。
【0032】
そして、第2工程が終了すると、ノズルヘッド51は領域A1が図1の(c)に示す位置つまり第2工程におけるノズルヘッド51の領域A3に重なる位置までように矢印Y1方向に移動した後、第3工程を開始する。このような工程をくり返して基板21上への赤色蛍光体ペーストによる塗布パターンの形成が終了する。次に、図1と同等な装置を用いて、同様な方法で緑色および青色蛍光体ペーストによる塗布パターンを形成する。
【0033】
このようにして図2に示すようなPDPを作成し、パネル全面を白表示させると、図4に対応する輝度特性は図7のようになり、領域R1,R2……の各境界のTにおける輝度は、図8のようになって破線に示すように平均化され、目視では境界線(縞模様)として認識されないことが確認された。
【0034】
第2実施例
この実施例では、第1実施例のノズルヘッドに対応させた露光マスクを用いて蛍光体層パターンを形成する。
まず、その蛍光体層形成の全体的な手順を図9を用いて説明する。図2に示すようにアドレス電極Aとリブrとを設けたガラス基板21を用い、図9の(A)に示すようにリブrどうしの間の空隙を埋めるように、所定発光色(例えば赤色)の感光性蛍光体ペースト61をスクリーン印刷方法よって塗布する。感光性蛍光体ペースト61は、粒子状の蛍光体と感光材料との混合物である。例えば、赤色の蛍光体として、(Y,Gd)BO3 :Euを用い、緑色の蛍光体としてZn2 SiO4 :Mn又はBaAl12O19:Mnを用い、青色の蛍光体として3(Ba,Mg)O・8Al2 O3 :Euを用いる。
【0035】
加熱室などにガラス基板21を導入して感光性蛍光体ペースト61を乾燥させると、感光性蛍光体ペースト61の体積が減少して、乾燥状態の感光性蛍光体ペースト62は、アドレス電極A、ガラス基板21の上面、及びリブrの側面を覆う(図9(B))。
【0036】
次に、露光マスク70を用いて感光性蛍光体ペースト62に対する選択露光を行う〔図9(C)〕。露光の形態は、露光マスク70と隔壁29とを近接配置するコンタクトタイプでもよいし、ステッパ露光装置などを用いるプロジェクションタイプでもよい。
【0037】
選択露光の後、非露光状態の感光性蛍光体ペースト62を現像処理によって除去する〔図2(D)〕。以上の手順で1色の蛍光体層28が形成される。以降において、同様の作業を繰り返し、残りの2色の蛍光体層28を1色ずつ順に形成する。
【0038】
この発明の第2実施例の方法と装置は、図9(c)の露光工程に次のように適用される。
図10に示すように第1実施例で用いたマニピューレータ1の把手5に、露光マスク70と光源71とを備えた露光ヘッド80が装着され、テーブル5にはアドレス電極Aとリブrを有するガラス基板21(第1実施例と同等)が第1実施例と同様に設置される。
【0039】
露光マスク70は、図11に示すようにピッチP(=130μm×3)で平行に形成された200本の帯状の透光部70aを有する露光マスクにおいて両端から1本おきに15本の透光部70aをそれぞれ除去した(間引いた)ものである。つまり、透光部70aは領域A1,A3では2Pのピッチを有し、領域A2ではPのピッチを有する。
【0040】
このような構成において、まず第1工程では、図10の(a)に示すように基板21に対して露光ヘッド80を配置し、図9(c)のように光源71を点灯させて露光パターンを形成する。
【0041】
次に、第2工程では摺動装置4が作動して露光ヘッド80を矢印Y1の方向に図10(b)に示す位置まで移動させる。この時、図10の(a)に示す露光マスク70の領域A3と、図10の(b)に示す露光マスク70の領域A1とは重なり合っている。再び、光源71を点灯させ露光パターンを形成する。
【0042】
図12はこの様子を示すもので、先の工程において露光マスク70の領域A3によって露光されていない部分が、後の工程における領域A1によってが露光されピッチPの露光パターンが形成される。そして、第2工程が終了すると、露光ヘッド80は図10の(c)に示す位置つまり領域A1が第2工程における露光マスク70の領域A3と重なる位置まで矢印Y1方向に移動した後、次の第3工程を開始する。このような工程をくり返してガラス基板21の赤色蛍光体ペーストに対する露光パターンの形成が終了する。
【0043】
同様な方法で緑色および青色蛍光体ペーストに対する露光パターンを形成する。このようにして図2に示すようなPDPを作成し、パネル全面を白表示させると、第1実施例と同様に境界における輝度は平均化され、目視では境界線(縞模様)として認識されないことが確認された。
【0044】
第3実施例
この実施例ではダイシングソーを用いて図2に示すリブrを形成する。
図13はこの実施例に用いるダイシングソー90の斜視図であり、回転軸91には厚さ250μmの複数の円盤状ダイヤモンドディスク92が同軸に固定されている。なお、領域A2にはピッチP1(=360μm)で100枚、領域A1,A3にはピッチ2P1(=720μm)でそれぞれ10枚、ダイヤモンドディスク92が設けられている。
【0045】
ダイシングソー90を備える回転切削装置を図1に示すマニピュレータ1にノズルヘッド51の代わりに設置する。予めアドレス電極A(図2)の上に、リブ材料の低融点ガラス層(厚さ100μ)を形成したガラス基板(厚さ2mm)21を図1に示すテーブル5に載置し、回転切削装置を駆動しながら第1実施例と同様マニピュレータ1を操作し、図14に示すようにリブ材料層raをダイヤモンドディスク92によって深さ100μmまで切削する工程をくり返す。
【0046】
これにより、先の工程におけるダイシングソー90の領域A3による切削領域(図14(a))が後の工程において領域A1によって重ねて切削され(図14(b))、ガラス基板21の全面にリブrがピッチP1で形成される。この実施例で形成したリブrを有するガラス基板21を用いてPDPを完成させ、輝度のばらつきを調べたが認識される程のばらつきは見られなかった。
【0047】
第4実施例
この実施例ではレーザ直描装置を用いて露光パターンを形成し、アドレス電極A(図2)を形成する。つまり、全面にCr/Cr/Crの積層膜を成膜したガラス基板21に感光性レジストを塗布してレジスト膜を成膜した後、レーザ直描装置を用いてレジスト膜上に露光をパターン形成する。
【0048】
露光パターンによるレジスト膜の露光後、現像により所望のレジストパターンを得る。このレジストパターンをマスクにしてCrは塩酸系エッチング液、Cuは塩化第二鉄系エッチング液を用いてエッチングし、アドレス電極Aを得る。この場合に、レジスト上の露光パターンの形成に適用するこの発明の装置と方法を次に説明する。
【0049】
図15はレーザ直描装置100を示す斜視図である。レーザ発信機101から出たレーザビームLBは、ミラー102〜105を経由してビームセパレータ106に入光する。ビームセパレータ106で8本のビームに分割された後、各ビームはそれぞれシャッタ108でON/OFFされる。
【0050】
ビームスポット径50μmのビーム8本は同時にポリゴンミラー109と、レンズ110と、ミラー111と、レンズ112により基板21上に導かれ、ポリゴンミラー109の回転とシャッタ108のON/OFFにより基板21上に所望のパターンを露光する。
【0051】
図16はこの実施例の露光パターン形成装置であり、図15に示すレーザ直描装置100とミラー111とレンズ112からなる2台の光学系装置120a,120bを設け、矢印D方に移動可能なテーブル上に基板21を設置するようになっている。なお、2台の光学系装置を設けるのは露光パターンの形成速度を向上させるためである。このような構成において、光学系装置120aと120bとはそれぞれ8本のビームを基板21上にスキャンさせ同時に8本の平行な帯状の露光パターンを形成する。
【0052】
1回のスキャンが終了する毎にテーブル90は矢印D方向に次の8本の露光パターンに必要な距離だけ移動する。この動作がくり返されピッチPの平行な露光パターンが基板21上に順次形成される。この場合、光学系装置120aは露光パターンを領域S1において形成し、光学系装置120bは領域S2において形成する。そして、領域S1とS2とが相互に重なり合う領域つまりオーバーラップエリアWでは、光学系120aと120bはそれぞれシャッタ108によりピッチ2Pで露光パターンを形成し、両者の形成する露光パターンが互いに補完し合ってピッチPの露光パターンを形成するようにしている。
【0053】
このようにして基板21全体に形成される露光パターンはビーム毎に位置ずれ、露光照度むらが発生している。またポリゴンミラー回転系の回転精度、ステージの稼動精度によりビーム8本毎の露光照度むらが発生している。しかし、これらは発生周期が小さいために、PDP画面上ではむらとして認識されない。
【0054】
本来2台の光学系装置間では、個々の光学部品の位置ずれ、光学系装置全体の位置合わせ、レーザーパワーの経時変化などが発生する。そのためパターン形成領域の境界がPDP画面で目視で認識できない程度にまで精度を維持することはきわめて困難である。そこで、この実施例では基板21の中央でビームをオーバーラップさせ2つの光学系装置120a,120bのビームがおのおの他方の光学系装置のビームを補完するようにしている。
【0055】
オーバーラップエリアWの幅は少なくとも3mm以上あれば境界を目視では認識できなくできるが、10mm以上であることが望ましい。またオーバーラップエリアDでの2台の光学系装置のビーム本数比率は徐々に変化するようにするのが望ましい。一例として、オーバーラップエリアWにおいて光学系装置120aと120bの照射するビームの本数比率(a,b)が、(8,0),(7,1),(8,1),(6,2),(6,2),(5,3),(5,3),(4,4),(4,4),…………(4,4),(4,4),(3,5),(3,5),(2,6),(2,6),(1,7),(1,7),(0,8),となるようにしてもよい。
【0056】
上記の実施例ではレーザビームによる感光性レジスト膜の露光,現像により得られたパターンをマスクにしてエッチングなどにより所望の膜をパターニングしているが、レーザアブレーションなど直接レーザ光により所望の膜をパターニングする場合も同様である。
【0057】
【発明の効果】
この発明によれば、隣接する2つのパターン形成領域が部分的に重なり合い、相互の形成するパターンを補充し合うので、パターン形成領域の境界に生じる極端なパターンのばらつきを抑制することができる。従って、この発明のパターン形成方法や装置を蛍光体層の形成や各種電極の形成に用いることにより、表示むらのないPDPを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の構成と動作を示す説明図である。
【図2】一般的なPDPの要部構成を示す斜視図である。
【図3】従来の蛍光体ペースト塗布パターンの形成方法を示す説明図である。
【図4】従来のPDPの輝度特性を示す特性図である。
【図5】第1実施例のノズルヘッドの正面図である。
【図6】第1実施例の塗布パターン形成方法を示す説明図である。
【図7】第1実施例を用いたPDPの輝度特性を示す特性図である。
【図8】図7のT部拡大図である。
【図9】第2実施例の蛍光体層パターンの形成手順を示す図である。
【図10】第2実施例の構成と動作を示す説明図である。
【図11】第2実施例に用いるマスクの正面図である。
【図12】第2実施例の露光パターン形成方法を示す説明図である。
【図13】第3実施例に用いるダイシングソーの斜視図である。
【図14】第3実施例のリブ形成方法の説明図である。
【図15】第4実施例に用いるレーザ直描装置の斜視図である。
【図16】第4実施例の露光パターン形成方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 マニピュレータ
2 シャフト
3a 昇降装置
3b 昇降装置
4 摺動装置
5 テーブル
6 把手
21 ガラス基板
51 ノズルヘッド
52 蛍光体ペースト供給部
53 チューブ
Claims (2)
- 対象物のパターン形成領域に複数本の帯状の露光パターンをピッチPで平行に繰り返し形成する繰り返しパターン形成方法であって、
前記パターン形成領域が帯状の露光パターンに直交する方向について複数の小領域に分割され、その小領域毎にレーザ照射するレーザ照射装置を使用し、
前記各小領域において小領域毎のレーザ照射装置を用いてレーザ光による帯状の露光パターンを形成する際に、隣接する小領域間では相互に露光パターン形成領域を部分的に重ね合わせ、その重なり合う領域では小領域毎のレーザ照射装置のレーザ光をピッチが2Pとなるようにかつ互いにピッチPの距離をずらして照射し、両照射装置の形成する帯状の露光パターンが互いに補完し合ってピッチPの帯状の露光パターンを形成するようにしたことを特徴とする繰返しパターン形成方法。 - 対象物に複数の帯状の露光パターンをピッチPで平行に繰り返し形成するための装置であって、
複数の平行な帯状開口を有するマスクと、マスクと対象物とを帯状開口に直交する方向に相対的に移動させる移動部と、マスクを介して対象物に光を照射する光源部とを備え、
前記マスクが複数の帯状開口を平行に有する中央マスク領域と、その両側に同一平面上でそれぞれ連なり複数の帯状開口を有する第1および第2マスク領域とからなり、中央マスク領域の帯状開口はピッチがPになるように設けられ、第1および第2マスク領域の帯状開口はピッチがPの2倍の2Pになるように設けられ、
前記第2マスク領域によって帯状の露光パターンが形成された対象物の領域では、移動部により前記マスクを対象物に対して相対的に移動して前記第1マスク領域を対向させて、当該第1マスクの帯状開口を介して前記第2マスク領域によって露光パターンが形成されていない前記対象物の領域に帯状の露光パターンを形成し、当該第1および第2マスク領域による帯状の露光パターンが互いに補完し合ってピッチPの帯状の露光パターンを形成するようにしたことを特徴とする繰返しパターン形成装置。
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