JP4406323B2 - 硬化性オルガノポリシロキサン組成物 - Google Patents
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Description
そこで、1液型として用いても、2液型(またはそれ以上)として用いても、上記問題点が解消された硬化性オルガノポリシロキサン組成物の開発が望まれている。
即ち、本発明は、
(A)下記平均組成式(1):
RaR1 bSiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rはアルケニル基を表し、R1は脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を表し、aは0.0001〜0.2の数であり、bは1.7〜2.2の数であり、但しa+bは1.9〜2.4を満たす数である)
で表され、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子に関して、分子鎖末端に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも1個有し、分子鎖非末端に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、かつ、下記式(2):
0<α/β<0.25 (2)
(式中、αは分子鎖非末端の珪素原子に結合した水素原子の数を表し、βは(B)成分中の全珪素原子数を表す)
を満たすオルガノハイドロジェンポリシロキサン: (A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個に対して、(B)成分中の珪素原子に結合した水素原子が0.1〜5個となる量、および
(C)白金系触媒: 有効量、
を含有してなる硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
本発明の組成物の(A)成分は、組成物の主剤(ベースポリマー)となる成分である。(A)成分は、上記平均組成式(1)で表され、1分子中に珪素原子に結合したアルケニル基(以下、「珪素原子結合アルケニル基」という)を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンである。前記アルケニル基は、1分子中に、少なくとも2個有することが好ましく、2〜50個有することがより好ましく、2〜20個有することが特に好ましい。これらのアルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖非末端(即ち、分子鎖両末端以外)の珪素原子に結合していても、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。
本成分のオルガノポリシロキサンの分子構造は、特に限定されず、直鎖状;分子鎖の一部に、RSiO3/2単位、R1SiO3/2単位、SiO2単位(式中、RおよびR1で表される基は、上記で定義したとおりである)等を含む分岐状;環状;三次元網状(樹脂状)等のいずれでもよいが、通常、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。
得られる硬化物は、強度、流動性、作業性により優れたものとなる。
(式中、R3は、独立に、置換または非置換の1価炭化水素基を表し、但しR3の少なくとも1個はアルケニル基であり、eは20〜2,000の整数である)
で表されるものが挙げられる。この式(1a)中、R3で表される置換または非置換の1価炭化水素基は、前記R(アルケニル基)およびR1(脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基)で定義したものと同じであり、その炭素原子数、具体例等も同じである。また、eは、好ましくは40〜1,200、より好ましくは50〜600の整数である。
本成分のオルガノポリシロキサンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の組成物の(B)成分は、上記(A)成分と反応して、架橋剤として作用するものである。(B)成分は、1分子に関して、分子鎖末端に珪素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基であり、以下、「珪素原子結合水素原子」という)を少なくとも1個有し、分子鎖非末端(即ち、分子鎖途中)に珪素原子結合水素原子を少なくとも2個有し、かつ、下記式(2):
0<α/β<0.25 (2)
(式中、αは分子鎖非末端の珪素原子結合水素原子の数を表し、βは(B)成分1分子中の全珪素原子数を表す)
を満たすオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。上記α/βの範囲は、0.01<α/β<0.25であることが好ましく、0.05≦α/β≦0.20であることがより好ましく、0.10≦α/β≦0.20であることが特に好ましい。α/β≧0.25である場合には、低温での硬化性が低下したり、硬化物表面に皺が発生したりすることがある。
上記要件を満たすオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(3):
R2 cHdSiO(4−c−d)/2 (3)
(式中、R2は脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を表し、cは0.7〜2.2の数であり、dは0.001〜0.5の数であり、但しc+dは0.8〜2.5を満たす数である)
で表されるものが好ましい。
上記式(3)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、特に限定されず、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状(樹脂状)等のいずれであってもよい。中でも、1分子中の珪素原子数および粘度が上述した範囲を満たすもので、特には直鎖状のものが好ましい。
本成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の組成物の(C)成分は、前記(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基と前記(B)成分中の珪素原子結合水素原子との付加反応を促進させるための成分である。(C)成分は、白金系触媒であり、具体的には白金および/または白金系化合物である。
本成分の白金系触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の組成物には、上記(A)〜(C)成分以外にも、本発明の作用・効果を妨げない範囲で任意成分を配合することができる。
任意成分としては、例えば、反応抑制剤;無機質充填剤;耐熱性付与剤;難燃性付与剤;チクソ性付与剤;顔料;染料;珪素原子結合水素原子および珪素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサン(即ち、(A)成分および(B)成分以外のオルガノポリシロキサン)等が挙げられる。
これらの任意成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の組成物は、上記各成分を常法に準じて混合することにより調製することができる。この際、本発明の組成物を1液型として用いても、2液型またはそれ以上のパートに分割して用いてもよいが、好ましくは1液型として用いられる。2液型として用いる場合には、例えば、(A)成分の一部および(C)成分からなるパートと、(A)成分の残部および(B)成分からなるパートとに分割することが可能である。なお、任意成分はどちらのパートに配合してもよい。また、本発明の組成物は、常温(25℃)または用途に応じた温度条件下で硬化させることができる。
粘度が1,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100部(1分子中の珪素原子結合アルケニル基:2個)、下記式(4):
で表される、粘度が13mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメ
チルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体1.3部(即ち、(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基1個に対する(B)成分中の珪素原子結合水素原子の個数(以下、「珪素原子結合水素原子数(/アルケニル)」という):0.4個)、白金原子として1質量%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液0.05部、および1-エチニルシクロヘキサノール0.05部を均一に混合することにより、組成物1を調製した。この組成物1を100℃で60分加熱することにより硬化したところ、針入度が60のシリコーンゲル硬化物が得られた。
粘度が5,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100部(1分子中の珪素原子結合アルケニル基:2個)、下記式(5):
で表される、粘度が30mPa・sの分子鎖片末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基・片末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体4.0部(即ち、珪素原子結合水素原子数(/アルケニル):0.5個)、白金原子として1質量%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液0.05部、3-メチル 1-ブチン 3-オール 0.08部を均一に混合することにより、組成物2を調製した。この組成物2を80℃で60分加熱することにより硬化したところ、硬度(アスカーC型)7のシリコーンゴム硬化物が得られた。
下記式(6):
で表される、粘度が48mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体2.5部(即ち、珪素原子結合水素原子数(/アルケニル):1.1個)、白金原子として1質量%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液0.05部、1-エチニルシクロヘキサノール0.05部を均一に混合することにより、組成物3を調製した。この組成物を100℃で60分加熱することにより硬化したところ、針入度35のシリコーンゲル硬化物が得られた。
実施例1において、上記式(4)で表される分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体に代えて、下記式(8):
で表される分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体1.1部を使用した以外は同様にして、組成物C1を調製した。この組成物C1を100℃で60分加熱したが、硬化物は得られなかった。なお、珪素原子結合水素原子数(/アルケニル)は0.4個であった。
比較例1において、1-エチニルシクロヘキサノールの配合量を0.05部から0.01部とした以外は同様にして、組成物C2を調製した。この組成物を100℃で60分加熱することにより硬化したところ、針入度30のシリコーンゲル硬化物が得られた。なお、珪素原子結合水素原子数(/アルケニル)は0.4個であった。
実施例1において、上記式(4)で表される分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体に代えて、下記式(9):
で表される分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体3.8部を使用した以外は同様にして、組成物C3を調製した。この組成物C3を100℃で60分加熱することにより硬化したところ、針入度90のシリコーンゲル硬化物が得られた。なお、珪素原子結合水素原子数(/アルケニル)は0.9個であった。
実施例1において、上記式(4)で表される分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体に代えて、下記式(10):
で表される分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体1.0部を使用した以外は同様にして、組成物C4を調製した。この組成物C4を100℃で60分加熱することにより硬化したところ、針入度50のシリコーンゲル硬化物が得られた。なお、珪素原子結合水素原子数(/アルケニル)は0.5個であった。
実施例2において、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンに代えて、上記式(10)で表される分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体1.8部を使用した以外は同様にして、組成物C5を調製した。この組成物C5を80℃で60分加熱することにより硬化したところ、硬度(アスカーC型)8のシリコーンゴム硬化物が得られた。なお、珪素原子結合水素原子数(/アルケニル)は1.6個であった。
上記実施例で得られた8種類の組成物1〜3およびC1〜C5を用いて、硬化物の表面状態(ガラスシャーレ)、硬化物の表面状態(アルミシャーレ)、および保存性について、以下の評価方法に従って評価を行った。得られた結果は表1に示す。
「硬化物の表面状態(ガラスシャーレ)」は、各組成物を、直径30mm、深さ15mmのガラスシャーレ内に充填して、硬化させることにより形成された厚膜状硬化物の表面を目視により観察した。
「硬化物の表面状態(アルミシャーレ)」は、各組成物を、直径60mmのアルミシャーレ内に2gの組成物を滴下して、硬化させることにより形成された薄膜状硬化物の表面を目視により観察した。
「保存性」は、各組成物を、40℃の雰囲気下に2週間放置した後の状態を観察したものである。2週間放置後の組成物が、液状であるものを良と評価し「○」で表し、液状ではないものを不良と評価し「×」で表す。
実施例1〜3は、本発明の要件を満たすものであって、組成物は低温で硬化可能であり、硬化物の表面には皺が発生せず、保存性にも優れたものであった。
一方、比較例1および2は、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが分子鎖末端に珪素原子結合水素原子を有さず、α/βの値が本発明の要件を満たさないものであって、比較例1で得られた組成物は低温では硬化しないものであり、比較例2で得られた組成物は保存性に劣るものであった。比較例3は、(B)成分中のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが分子鎖非末端に珪素原子結合水素原子を1個しか有さず、本発明の要件を満たさないものであって、組成物は保存性に劣るものであった。比較例4および5は、共にα/βの値が本発明の要件を満たさないものであって、組成物を硬化して得られる硬化物の表面に皺が認められた。
以上により、本発明の要件を満たして初めて、得られる組成物は、低温であっても短時間で硬化することができ、保存性もよく、さらに該組成物を硬化して得られる硬化物は表面に皺等を生じることがないものとなることが明らかである。
Claims (6)
- (A)主鎖がジオルガノポリシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖され、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有する直鎖状のジオルガノポリシロキサン、
(B)1分子に関して、分子鎖末端に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも1個有し、分子鎖非末端に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、かつ、下記式(2):
0<α/β<0.25 (2)
(式中、αは分子鎖非末端の珪素原子に結合した水素原子の数を表し、βは(B)成分中の全珪素原子数を表す)
を満たすオルガノハイドロジェンポリシロキサン: (A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個に対して、(B)成分中の珪素原子に結合した水素原子が0.1〜5個となる量、および
(C)白金系触媒: 有効量、
を含有してなる、電子部品保護用硬化性オルガノポリシロキサン組成物(但し、(a)下記平均組成式:
R a R 1 b SiO (4−a−b)/2
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R 1 は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換または置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、但しa+bは1.9〜2.4である)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(b)一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 少なくとも15質量部、かつ前記(a)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたり本成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.3〜2.5個となる量、および
(c)白金系触媒: 有効量、
を含有してなるシリコーンゲル組成物を除く。)。 - 前記電子部品がIC、ハイブリッドIC又はパワーモジュールである請求項1に記載の組成物。
- 前記(A)成分のジオルガノポリシロキサンの分子鎖の片末端または両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記(B)成分が、下記平均組成式(3):
R2 cHdSiO(4−c−d)/2 (3)
(式中、R2は脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を表し、cは0.7〜2.2の数であり、dは0.001〜0.5の数であり、但しc+dは0.8〜2.5を満たす数である)
で表される請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。 - 1液型である請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
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