以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るプリンタ装置(レーザビームプリンタ)のプリンタエンジンの構成を示す概略構成図である。このレーザビームプリンタは4ドラム式で、中間転写方式のフルカラープリンタで構成されている。
図1において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の画像形成部(画像形成ステーション10)10Y,10M,10C,10Kを有し、更に、中間転写体である中間転写ベルト80を含む転写装置および定着器40を有している。
各画像形成ステーション10Y,10M,10C,10Kは、画像形成ユニットとして構成され、それぞれ像担持体である感光体ドラム(ドラム状の電子写真感光体)70Y,70M,70C,70Kが、中間転写ベルト80の移動方向(矢印b方向)の上流側から下流方向に向かって配置されており、それぞれ矢印a方向に回転可能に設置されている。この感光体ドラム70Y,70M,70C,70Kの外周表面上には、それぞれ感光体ドラムの表面を一様に帯電する各一次帯電ローラ12Y,12M,12C,12Kが配置されている。この帯電ローラからみた各感光体ドラムの回転方向の下流側には、画像信号に対応して変調されたレーザ光を感光体ドラム表面に露光するレーザ露光器13Y,13M,13C,13Kがそれぞれ配置されている。更に、その下流側には、レーザ露光により形成された感光体ドラムの表面の各色の静電潜像を、対応する色のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを用いて現像する現像器14(14Y,14M,14C,14K)がそれぞれ配置されている。これら現像器14Y,14M,14C,14Kはそれぞれ内部に、各色のトナーを収容しており、内部のローラを回転させることにより前記各色のトナーをドラム側に供給する。この現像器14は、少なくともトナー収容容器とトナーを感光体ドラムに供給するためのローラ(現像ローラ(スリーブ)、例えば画像形成ステーション10Yでは現像ローラ14Ya)をユニット化して形成したものであり、それぞれプリンタ装置本体に対して着脱可能な構成となっている。
これら感光体ドラム70Y,70M,70C,70Kのそれぞれに対して、中間転写ベルト80を挟んだ位置(転写位置)に、感光体ドラムとともに一次転写部を形成する一次転写ローラ54Y,54M,54C,54Kが対向して設置されている。これら一次転写ローラ54Y,54M,54C,54Kのそれぞれには、一次転写電源としてそれぞれ一次転写電源48Y,48M,48C,48Kが接続され、それぞれ可変な一次転写電圧Vy,Vm,Vc,Vkが印加される。
中間転写ベルト80は、駆動ローラ51、テンションローラ52、二次転写対向ローラ53の3本のローラに張架されており、各画像形成ステーション10Y〜10Kを縦貫して、感光体ドラム70Y〜70Kに接触するように配置されている。中間転写ベルト80は、駆動ローラ51により図の矢印bの方向に回転駆動される。感光体ドラム70Y,70M,70C,70Kの表面で、一次転写ローラ54Y,54M,54C,54Kの下流側には、ドラム表面の転写残トナーを除去するためのドラムクリーナ16Y,16M,16C,16Kがそれぞれ設置されている。また中間転写ベルト80の駆動ローラ51には、中間転写ベルト80の表面に付着している転写残トナーを除去するためのベルトクリーナ33が配置されている。
以上の構成を備えるレーザビームプリンタにおける画像形成動作について、イエローの画像形成ステーション10Yを例にして説明する。
イエローステーション10Yの感光体ドラム70Yは、アルミニウムの円筒体表面に光導電層を形成して形成されており、矢印a方向へ回転する過程で一次帯電ローラ12Yにより、そのドラム70Yの表面が一様にマイナス帯電(帯電電位=−600V)され、ついでレーザ露光器13Yにより、Yの画像信号に応じて画像露光が行われて(露光後の表面電位=−200V)、感光体ドラム70Yの表面にイエロー画像に対応した静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器14Yによりマイナス帯電したイエロートナーを用いて現像され、その静電潜像がイエロートナー像として可視化される。
こうして得られたイエローのトナー像は、一次転写ローラ54Yに一次転写電源48Yから一次転写電圧を印加することによって、中間転写ベルト80上に一次転写される。転写後の感光体ドラム70Yの表面に付着している転写残トナーがドラムクリーナ16Yによって除去され、次の画像形成に供される。
以上の画像形成動作を、各画像形成ステーション10Y〜10Kにおいて所定のタイミングを持って行い、感光体ドラム70Y〜70K上のトナー像をそれぞれの一次転写部で中間転写ベルト80上に順次重ねて一次転写する。フルカラーモードの場合は、中間転写ベルト80に対してイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順でトナー像を順次重ねて転写し、単色や2〜3色モードの場合は、必要な色のトナー像が上記と同じ順で転写される。
その後、中間転写ベルト80上に形成された4色のトナー像は、中間転写ベルト80の矢印b方向の回転に伴い、二次転写ローラ55が中間転写ベルト80を挟んで接地された二次転写対向ローラ53と当接された二次転写部に移動される。そして二次転写ローラ55に二次転写電源49から二次転写電圧を印加すると、そこで給送ローラ20により所定のタイミングをもって供給された転写材P上に4色分のトナー像が一括して二次転写される。
こうして4色のトナー像が二次転写された転写材Pは定着器40に搬送され、そこで加圧及び加熱されて4色のトナーが溶融混色して転写材Pに定着される。このようにして、転写材Pにフルカラー画像が形成される。一方、二次転写を終了した中間転写ベルト80は、ベルトクリーナ33によって、その表面に残留した転写残トナーが除去される。
本実施の形態では、感光体ドラム70(70Y〜70K)に直径30.6mmの負帯電性のOPCドラムを用い、一次帯電ローラ12(12Y〜12K)にDC成分にAC成分を重畳した帯電電圧を印加して、環境を問わず、感光体ドラム70の表面を約−600Vに一様に帯電した。レーザ露光器13(13Y〜13K)は、波長760nmの近赤外レーザダイオードと、感光体ドラム70にレーザ光を走査するポリゴンミラーとを有し、感光体ドラム70の表面電位を露光して−200Vに低下させる。こうして−200Vに帯電された露光部を画像部とする静電潜像を形成する。
現像器14(14Y〜14K)は、非磁性トナー(非磁性1成分現像剤)を用いた現像方式の現像器で、非磁性トナーとしてワックスを含んだコア/シェル構造の粒径6μmの重合トナーを使用している。このトナーを塗布ローラによって現像スリーブの表面にコーティングして担持させ、現像スリーブの回転に伴って弾性ブレードでトナー層厚を規制して、感光体ドラム70と対向した現像部へ搬送する。そして現像スリーブに印加したDC成分にAC成分を重畳した現像電圧によって、現像スリーブ上のトナーを感光体ドラム70(70Y〜70K)上の静電潜像の露光部に付着させ、潜像を反転現像するものである。
一次転写ローラ54(54Y〜54K)は、直径8mmの芯金上にEPDMの導電ゴム層を長手方向310mmに亙って被覆して、直径16mmに形成したもので、それぞれの芯金が給電バネを介して一次転写電源48(48Y〜48K)に接続されている。一次転写ローラ54のローラ硬度はアスカーCで35°であり、その抵抗値は、24mm/秒の周速で回転駆動される直径30mmのアルミニウムシリンダーに、一次転写ローラを両端荷重500gで当接し、シリンダーと一次転写ローラの間に50Vを印加した条件で測定して、1×106Ωである。
二次転写ローラ55は、直径8mmの芯金上にウレタン系の導電ゴム層を長手方向310mmに亙って被覆して、直径17mmに形成したもので、ローラ硬度はアスカーCで30°、上記一次転写ローラと同じ方法で測定した抵抗値は1×107Ωである。この二次転写ローラ55も、芯金が給電バネを介して高圧電源49に接続されている。駆動ローラ51、テンションローラ52、二次転写対向ローラ53は、いずれも直径32mmのアルミニウム製導電ローラからなり、芯金部が給電バネを介して接地されている。
中間転写ベルト80は、カーボン分散により抵抗調整したポリイミド樹脂製の単層シームレスの無端ベルトであり、厚さ75μm、周長1115mm、周方向と直角の幅方向長さ310mmの寸法を有している。JIS−K6911に準拠し、電極とベルト表面との良好な接触性を得るために、導電性ゴムを電極として使用した上で、Advantest製R8340超高抵抗計を用いて、中間転写ベルト80の体積抵抗率ρv、表面抵抗率ρsを測定すると、100Vを10秒印加時にρv=5×108Ωcm、ρs>1×1013[Ω/□]の値が得られた。尚、ρsはベルト80の表裏いずれの面で測定しても同一の結果になる。
3本のローラ51,52,53に張架された中間転写ベルト80のテンションは6kgfである。駆動ローラ51、テンションローラ52間の距離は500mmであり、各画像形成ステーション10(10Y〜10K)の感光体ドラム70(70Y〜70K)と一次転写ローラ54(54Y〜54K)とで構成される一次転写部は、ローラ51,52間の中間転写ベルト80上に均等間隔で配置されている。各一次転写ローラ54は、両端に設けられたそれぞれ荷重500gfのバネにより持ち上げられ、これから一次転写ローラ54自体の自重150gを引いた力で中間転写ベルト80の裏面に当接されている。
本実施の形態に係るレーザビームプリンタ装置では、使用可能な転写材の最大サイズがA3である。またプロセススピードは117[mm/秒]である。尚、一次転写電圧Vy〜Vkを200V、二次転写電圧を2.3kVとすることにより、普通紙における良好な転写性を全色で得られる。
次に、本実施の形態に示すレーザビームプリンタ装置の特徴である、画像形成時の印刷枚数とトナー消費量の検知方法、及びそれらの情報に基づいた現像器の調整制御について説明する。
尚、本実施の形態に係る制御における検知、演算、記録、判断等の動作は、このレーザビームプリンタ装置に備えられたプリンタコントローラ101のCPU110(図2)によって実行される。また本発明の記憶媒体は、このプリンタコントローラ101のメモリ(RAM112やプログラムメモリ111等)が該当している。
図2は、この実施の形態に係るレーザビームプリンタ装置の概略構成を示すブロック図である。
図2において、100はホストコンピュータ(PC)で、このプリンタ装置に対して印刷データを送信して印刷を実行させる外部装置としての機能を備えている。101はプリンタコントローラで、このプリンタ装置全体の動作を制御している。102はプリンタエンジンで、この実施の形態では図1に示すような複数の感光ドラム70Y〜70Kを備えて、Y,M,C,Kの4色による画像形成を可能にしている。
プリンタコントローラ101は、CPU110と、このCPU110により実行されるプログラムなどを記憶しているプログラムメモリ111及びRAM112を備えている。このRAM112には、後述する各種データを一時的に記憶するための複数のワークエリアが設けられている。113はテーブルで、後述する図4,図5、図7及び図8に示すようなデータを有するテーブルに相当している。
図3は、本実施の形態1に係るレーザビームプリンタ装置による現像器の調整制御処理を説明するフローチヤ−トで、このフローチャートで示される制御処理を実行するプログラムはプログラムメモリ111に記憶されており、CPU110の制御の下に実行される。また、以下に示す制御は、各色の現像装置14(14Y〜14K)のそれぞれに対して実施される。
最初はステップS1で、このレーザビームプリンタ装置はプリント待機状態であり、ステップS2で、ホストPC100からの印刷データを受信してプリントの開始が指示されると、プリント動作が開始される。次にステップS3に進み、後述する印刷枚数k(現像器の使用量情報)とトナー消費量t[mg]の計算を開始する。
このステップS3における印刷枚数Kとトナー消費量t[mg]の計算方法について以下に説明する。
本実施の形態のプリンタ装置では、印刷枚数を、A4サイズ換算の印刷枚数と定義する。つまり、中間転写体である転写ベルト80上にA4サイズ(210mm×297mm=62370mm2)或いはそれ以下のサイズの画像を形成したときに1枚とカウントし、A4サイズよりも大きくてA3サイズ(420mm×297mm=124740mm2)か、或いはそれ以下のサイズの画像を形成したときに2枚とカウントする。但し、同一の用紙に両面印刷を行った際は、A4サイズ或いはそれ以下のサイズの画像を形成した場合は2枚、A4サイズよりも大きくてA3サイズか、或いはそれ以下のサイズの画像を形成したときに4枚とカウントする。尚、この印刷する画像サイズは、印刷に使用された用紙サイズに応じて、プリンタコントローラ101のCPU110により判断され、RAM112の「印刷枚数」に記憶される。
この実施の形態に係るプリンタ装置におけるトナー消費量t[mg]は、1枚の印刷(即ち、A4サイズ或いはそれ以下のサイズの画像を形成したときは1枚、A4サイズ以上でA3サイズか、それ以下のサイズの画像を形成したときは2枚)当たりのトナー消費量と定義する。プリント動作時、レーザ露光器13により、画像信号に応じた露光を実行する際、プリンタコントローラ101は、感光ドラム70に静電潜像を形成する画像信号に基づいて、レーザが点灯した総画素数をピクセルカウント値pとして計算しており、この値はRAM112の「ピクセルカウンタ」に記憶されている。
本実施の形態に係るプリンタ装置は、解像度が600[ドット/インチ]×600[ドット/インチ]であるため、最小印刷面積である1画素の面積は(25.4[mm]/600)2=1.79×10-3[mm2]である。一方、本実施の形態に係るプリンタ装置における単位面積当りのトナーの載り量は、0.0065[mg/m2]とされている。従って、1枚当たりのトナー消費量t[mg]は、1枚当りのピクセルカウント値pを用いて以下の(式1)で計算される。
t[mg]=p×1.79×10-3×0.0065[mg] ...(式1)
こうして計算されたトナー消費量は、RAM112の「トナー消費量」に記憶される。
次にステップS4に進み、ステップS3で導出した印刷枚数kとトナー消費量t[mg]を、プリンタコントローラ101のメモリ112に記憶されている前回プリント時までの累積値(RAM112の「累積印刷枚数」、「累積トナー消費量」)に対し積算する。この累積値としては、「累積印刷枚数」がK,1〜K枚目までの「累積トナー消費量」がT[mg]で表わされる。
次にステップS5に進み、ステップS4で求めた累積印刷枚数Kが100枚以上かどうかを判定し、そうであればステップ6へ進み、100枚以下の場合は再びステップS1のプリント待機状態に戻り、次のプリント以降、累積印刷枚数K及び累積トナー消費量Tの計算及び更新を継続する。
100枚以上印刷を行ってステップS6へと進んだ場合は、以下の(式2)の条件を満たすかどうかを判定し、満たす場合はステップS7へ進み、現像器の調整制御を行う。
T[mg]<405[mg] ...(式2)
ステップS6で、(式2)の条件を満たさなかった場合は、現像器の調整制御を行わずにステップS8へ進み、K=0,T=0に再設定した後にステップS1に戻り、次のプリント以降、累積印刷枚数Kと累積トナー消費量Tの計算及び更新を継続する。
次に、この(式2)の条件を決定した理由を以下に説明する。
本願発明者らが検討したところ、本実施の形態1に係るレーザビームプリンタ装置では、印刷枚数1枚当たりの平均のトナー消費量が、トナー消費量閾値r[mg](=4.05[mg])よりも少ない状態で100枚以上の印刷動作を継続すると、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下の発生確立が高くなることが明らかになった。よって本実施の形態1では、印刷枚数が100枚当たりのトナー消費量が405[mg](=r[mg]×100)よりも少ない場合に現像器の調整制御を実行するようにしている。
尚、1枚当たりの平均のトナー消費量がトナー消費量閾値r[mg]=4.05[mg]より少なくても、実際には、トナー消費量に応じて、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下の発生確立が高くなるまでの印刷枚数は異なる。即ち、1枚当たりの平均のトナー消費量が0.00[mg]に近い値(例えば0.01[mg]など)の場合には、画質低下の発生確立が高くなるまでの印刷枚数は100枚程度であるのに対し、1枚当りの平均トナー消費量が4.00[mg]の場合には、画質低下の発生確立が高くなるまでの印刷枚数は1000枚程度となる。従って、トナー消費量に応じて、現像器の調整制御の実施要否を判断するための印刷枚数を変更することもできる。
しかし、本実施の形態1では、画質低下の発生確立が高くなるまでの印刷枚数を、トナー消費量に依らず100枚に固定することで制御の簡略化を図っている。尚、この枚数を100枚とした理由は、1枚当たりの平均のトナー消費量が0.00[mg]に近い値である条件下では、約100枚毎に現像器の調整制御を行うことが必須であるからである。
尚、このような検討は、23℃、60%Rhの環境下で、現像器14として使用状態が新品に近いものを用いて行われた。
これに対して、使用環境や現像器14の使用状態に応じて、現像器の調整制御の実施仕様を変更する方法に関しては次の実施の形態2で述べる。
ステップS7で、現像器の調整制御が開始された場合の処理を以下に説明する。
まず画像形成ステーション10Yにおいて、主走査方向全域の幅(本実施の形態1では、最大通紙幅と同じく297mm)を有するイエローのベタ画像が感光体ドラム70Y上に現像器調整用トナー像として現像される。この現像器の調整用トナー像は、画像形成ステーション10Yの一次転写部において、中間転写ベルト80上に転写される。次に、この中間転写ベルト80上に転写されたイエローベタ画像は、画像形成ステーション10M、画像形成ステーション10C、画像形成ステーション10Kの各一次転写部をそれぞれ通過した後に、ベルトクリーナ33部へと搬送されて回収される。
次に画像形成ステーション10Mでは、イエローベタ画像が通過を完了するタイミングに合わせて一次転写部に到達するように、感光体ドラム70M上にマゼンタのベタ画像が形成され、このマゼンタのベタ画像がイエローのベタ画像に続いて中間転写ベルト80上に転写される。以上に続き、画像形成ステーション10C、画像形成ステーション10Kにおける現像器調整用トナー像の形成も同様に実施される。尚、この現像器の調整制御の実行中は、中間転写ベルト80上の現像器調整用トナー像による汚れを避けるため、二次転写ローラ55は中間転写ベルト80より離間される。
ここで、上記現像器の調整用トナー像の形成により、各色の現像器14において消費される現像器の調整制御時のトナー消費量Sは、以下の(式3)により決定される。
S[mg]=405[mg]−T[mg] ...(式3)
従って、各画像形成ステーションにおいて形成されるベタ画像の副走査方向の長さd[mm]は、以下の式で決定される。
d[mm]=S[mg]/0.0065〔mg/mm2〕/297〔mm〕 (式4)
上記(式4)を用いて現像器14の調整制御時のトナー消費量を計算した上で制御を実施することで、印刷枚数100枚における1枚当たりの平均の現像剤消費量を4.05[mg]に維持することが可能となる。こうしてベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下を防止することができるようになる。
また、現像器の調整制御の実施時に過剰なトナー消費も行わないため、ユーザがレーザビームプリンタ装置を使用する際のランニングコストの増加も抑制することができる。
尚、この現像器14の調整制御を実施した後もステップS8へと進み、K=0,T=0に再設定した後に、再度ステップS1へと戻り、次のプリント以降、累積印刷枚数Kと累積トナー消費量Tの計算及び更新を継続する。
以上説明したように本実施の形態1によれば、現像器14の調整制御において現像器14より調整用トナー像を排出する際、現像器14の調整制御時のトナー消費量S[mg]、累積トナー消費量T[mg]、累積印刷枚数K、トナー消費量閾値r[mg]とが、
S[mg]=r[mg]×K−T[mg] ...(式5)
なる関係を持つよう制御している。
これにより、ユーザが長期間に亙って印刷率(1ページ当りに画素が存在している画素率)の低い画像によるプリント動作を継続した場合にも、現像器14の調整制御において排出されるトナー量を適正に保ち、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下を効果的に防止することができる。更には、ユーザがプリンタ装置を使用する際のランニングコストの増加をも抑制することができる。
なお、現像器14の調整制御時のトナー消費量S[mg]は、必ずしも本実施の形態1のように決定する必要はなく、各プリンタ装置における現像器の特性に鑑みて、累積トナー消費量T[mg]と累積印刷枚数Kとを参照する他の方式により決定することも可能である。
例えば、累積トナー消費量T[mg]と累積印刷枚数Kとを用いて、(式5)とは異なる数式により現像器14の調整制御時のトナー消費量S[mg]を算出してもよい。
また或いは、累積トナー消費量T[mg]と累積印刷枚数Kとから、現像器調整制御時のトナー消費量S[mg]が一意に求まるテーブルを使用して決定しても良い。
[実施の形態2]
次に本発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2では、プリンタ装置の使用状況に応じて、現像器14に起因する画像不良を防止するのに必要十分な量のトナーを現像器14より排出するように制御する場合で説明する。尚、この実施の形態2に係る装置構成等は、前述の実施の形態1におけるものと同様であるため、その説明を省略する。
前述の実施の形態1で述べた現像器調整制御において、現像器14より排出される各色のトナー量は、トナー消費量閾値r[mg]を使用して(式5)により決定されるものであるが、r[mg]の値は、環境や現像器14を使用した通算プリント枚数等に応じて随時増減して設定することができる。つまり、プリンタ装置の使用状況に応じて、現像器14内より、現像器14に起因する画像不良を防止するのに必要十分な量のトナー排出を行う制御を実施することができる。
本実施の形態2に係る現像器の調整制御においては、トナー消費量閾値r[mg]が、プリンタ装置に備え付けの環境センサで取得された環境情報、或いはプリンタ装置における現像器14の使用情報を基に各色の現像器14毎において決定される。
図4は、本発明の実施の形態2に係る、環境(温度、湿度)、現像器14の使用状態(0%:初期〜100%:実施の形態1で述べた現像器の調整制御のステップ3と同様のカウント方法で通算20,000枚のプリント後)に応じて、トナー消費量閾値r[mg]を変更するために設けられたテーブルの一例を示す図である。
図4において、環境が高温、高湿側、また現像器14の使用状態が進行するにつれ、トナー消費量閾値r[mg]として、小さな値が設定される傾向があることが分かる。即ち、現像器14のトナーの平均トリボが低下し易い高温、高湿の環境下や、使用状態が進行した現像器14においては、ユーザが長期間に亙って印刷率の低い画像によるプリント動作を継続した場合にも、強帯電トナーが増加しにくくなる。このため、少ないトナー消費量閾値r[mg]を使用して現像器14の調整制御を行っても、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下を効果的に防止できる。
このように、図4に示すテーブルは、環境や現像器14の使用状態に応じて、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下を効果的に防止するために最低限必要なトナー消費量閾値r[mg]を事前に予測して作成されている。
以上説明したように本実施の形態2によれば、現像器14の調整制御において、トナー消費量の閾値r[mg]を、環境や現像器14を使用した通算プリント枚数等に応じて異なる値に設定している。これにより、プリンタ装置の使用状況に応じて、現像器14に起因する印刷画像の不良を防止するのに適正な量のトナー排出を行い、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下を効果的に防止することができる。更に、ユーザがプリンタ装置を使用する際のランニングコストの増加をも抑制することができる。
尚、現像器14の調整制御時のトナー消費量S[mg]は、必ずしも本実施の形態2の方式により決定する必要はなく、累積トナー消費量T[mg]、累積印刷枚数K、及び環境や現像器14を使用した通算プリント枚数等を参照し、他の方式により決定することも可能である。
また現像器14の特性変化が、累積トナー消費量T[mg]や累積印刷枚数Kよりも、環境や現像器14を使用した通算プリント枚数等へ大きく依存する場合には、制御の簡略化のため、現像器14の調整制御時のトナー消費量S[mg]を、環境や現像器14を使用した通算プリント枚数等のみを参照して決定することも可能である。
[実施の形態3]
次に本発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3では、各色の現像器の特性に応じて、現像器14より、現像器14に起因する画像不良を防止するのに必要十分な量のトナー排出を行う制御する場合で説明する。尚、この実施の形態3に係る装置の構成等は、前述の実施の形態1におけるものと同様であるため、その説明を省略する。
前述の実施の形態1で述べた現像器14の調整制御において、現像器14より排出される各色のトナー量は、トナー消費量閾値r[mg]を使用して(式5)により決定されるものであるが、この閾値r[mg]の値は、各色の現像器14Y〜14K毎に異なる値を設定することができる。つまり、各色の現像器14の特性に応じて、現像器14内より、現像器14に起因する画像不良を防止するのに必要十分な量のトナー排出を行う制御を実施することができる。
本実施の形態3に係る現像器の調整制御では、トナー消費量閾値r[mg]が、現像器14Y〜14K毎に指定される。
図5は、現像器14Y〜14Kのそれぞれに応じて、トナー消費量閾値r[mg]を設定するために設けられたテーブルの一例を示す図である。尚、このテーブルは、23℃、60%Rh環境、使用状態0%におけるものである。
図5において、C現像器14CとM現像器14Mに対し、K現像器14Kに対しては小さなトナー消費量閾値r[mg]が設定され、Y現像器14Yに対しては大きな値が設定される傾向があることが分かる。低抵抗のトナーを用いるK現像器14Kでは、ユーザが長期間に亙って印刷率の低い画像によるプリント動作を継続した場合にも強帯電トナーが増加しにくく、小さなトナー消費量閾値r[mg]を使用して現像器14の調整制御を行っても、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下を効果的に防止できる。
一方、高抵抗のトナーを用いるY現像器14Yでは、強帯電トナーが増加し易く、大きな値のトナー消費量閾値r[mg]を使用して現像器14の調整制御を行わなければ、これらを効果的に防止できないからである。
このように図5に示すテーブルは、各色の現像器14のトナーの特性に応じて、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下を効果的に防止するために最低限必要なトナー消費量閾値r[mg]を事前に予測して作られている。
以上説明したように本実施の形態3によれば、現像器14の調整制御において、トナー消費量閾値r[mg]を、各色の現像器14Y〜14K毎に異なる値に設定している。これにより、各色の現像器14のトナーの特性に応じて、現像器14に起因する画像不良を防止するのに適正な量のトナー排出を行い、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下を効果的に防止することができる。またユーザがプリンタ装置を使用する際のランニングコストの増加をも抑制することができる。
[実施の形態4]
次に本発明の実施の形態4について説明する。この実施の形態4では、現像器14を空回転させる現像器14の調整制御について説明する。尚、この実施の形態4に係る装置構成等は、前述の実施の形態1におけるものと同様であるため、その説明を省略する。
本実施の形態4に係るプリンタ装置の特徴である、画像形成時の印刷枚数とトナー消費量の検知方法、及びそれらの情報に基づいた現像器14の調整制御について説明する。尚、この実施の形態4の制御における検知、演算、記録、判断等の動作は、プリンタ装置に備えられたプリンタコントローラ101のCPU110によって実行される。
図6は、本発明の実施の形態4に係るレーザビームプリンタ装置における現像器の調整制御を示すフローチヤ−トである。以下に示す制御は、各色の現像装置14(14Y〜14K)毎において実施される。
ステップS11〜S14に関しては、図3を参照して前述の実施の形態1で説明したステップS1〜S4の処理と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS15では、ステップS14にて求めた印刷枚数Kが100枚以上の場合はステップ16へ進み、100枚以下の場合は、再びステップS11のプリント待機状態に戻り、次のプリント以降、累積印刷枚数Kと累積トナー消費量Tの計算及び更新を行う。
ステップS16では、以下の(式6)の条件を満たす場合はステップS17に進み、現像器14の調整制御を行う。
T[mg]>24300[mg] (式6)
この(式6)の条件を満たさなかった場合は、現像器14の調整制御を行わずにステップS18へ進み、K=0,T=0に再設定した後に、再度ステップS11に戻って次のプリント以降、累積印刷枚数Kと累積トナー消費量Tの計算及び更新を実行する。
次に、この(式6)の条件を決定した理由を以下に説明する。
本願発明者らが検討した結果、本実施の形態4に係るプリンタ装置では、印刷1枚当たりの平均のトナー消費量が、トナー消費量上限閾値r'[mg]=243[mg]よりも多い状態で100枚以上のプリント動作が継続されると、ベタ画像等の濃度上昇やカブリの発生確立が高くなることが明らかになった。
よって、本実施の形態4に係るプリンタ装置では、100枚当たりのトナー消費量が、24300[mg](=r'[mg]×100)よりも大きくなった時に現像器14の調整制御を作動させるようにしている。
尚、1枚当たりの平均トナー消費量がトナー消費量閾値r[mg]=243[mg]より多くても、実際には、トナー消費量に応じて、ベタ画像等の濃度上昇やカブリの発生確立が高くなるまでの印刷枚数は異なる。即ち、1枚当たりの平均のトナー消費量が、例えば405[mg]の場合には、ベタ画像等の濃度上昇やカブリの発生確立が高くなるまでの印刷枚数が100枚程度であるのに対し、243[mg]の場合には1000枚程度となる。従って、1枚当たりの平均トナー消費量に応じて、現像器14の調整制御の実施要否を判断するための印刷枚数を変更することもできる。
しかし、本実施の形態4においては、これをトナー消費量に依らず、印刷枚数を100枚に固定することにより、制御の簡略化を図っている。ここで100枚とした理由は、印刷1枚当たりの平均のトナー消費量が405[mg](全面ベタ画像を想定)という最悪条件下では100枚毎に現像器14の調整制御を行うことが必須であるからである。
尚、上記検討は、23℃、60%Rhの環境下で、現像器14として使用状態が新品に近いものを用いて行われた。環境や現像器14の使用状態に応じて、現像器14の調整制御の仕様を変更する方法に関しては実施の形態5で述べる。
こうしてステップS17で、現像器14の調整制御が開始されると、プリント動作は中断され、各画像形成ステーション10Y〜10Kにおいて、現像器14の現像スリーブの空回転が同時に開始される。この際、現像器14内の現像スリーブはプリント動作時と同様に回転するものの、現像電圧の印加は停止される。
ここで、上記現像器14の現像スリーブの空回転時間Uは、以下の(式7)により決定される。
U[s]=ua[s]+ub[s/mg]×(T[mg]−24300[mg])...(式7)
尚、ここでua,ubは、空回転時間の算出用係数であり、本実施の形態4に係るプリンタ装置においては、ua[s]=20[s],ub[s/mg]=0.0025[s/mg]と最適化されている。
上記(式7)を用いて現像器14の調整制御時の現像スリーブの空回転時間を計算した上で制御を実施することで、印刷枚数が100枚における現像器14内のトナーの攪拌状態を良好に保つことが可能となるため、ベタ画像等の濃度上昇やカブリを防止することができるようになる。
また、現像器14の調整制御の実施に際する過剰な時間の空回転も行わないため、プリンタ装置のスループットの低下も抑制することができる。
尚、本実施の形態4に係る現像器14の調整制御を実施した後も、ステップS18へと進み、K=0,T=0に再設定した後に、ステップS11へと戻り、次のプリント以降、累積印刷枚数Kと累積トナー消費量Tの計算を継続する。
以上説明したように本実施の形態4によれば、現像器14の調整制御において現像スリーブを空回転する際、現像スリーブの空回転時間U[s]、累積トナー消費量T[mg]、累積印刷枚数K、トナー消費量上限閾値r'[mg]、空回転時間算出用係数ua[s]、ub[s/mg]とが、
U[s]=ua[s]+ub[s/mg]×(T[mg]−r'[mg]×K) ...(式8)
なる関係を持つよう制御している。
これにより、ユーザが長期間に亙って印刷率の高い画像によるプリント動作を継続した場合にも、現像器14の調整制御における現像スリーブの空回転時間を適正に保ち、ベタ画像等の濃度上昇やカブリを効果的に防止することができる。更に、プリンタ装置のスループットの低下をも抑制することができる。
尚、現像スリーブの空回転時間U[s]は、必ずしも本実施の形態4に係る方式により決定する必要はなく、各プリンタ装置における現像器14の特性に鑑みて、累積トナー消費量T[mg]と累積印刷枚数Kとを参照する他の方式により決定することも可能である。例えば、累積トナー消費量T[mg]と累積印刷枚数Kとを用いて(式8)とは異なる数式により、現像スリーブの空回転時間U[s]を算出する場合や、累積トナー消費量T[mg]と累積印刷枚数Kから現像スリーブの空回転時間U[s]が一意に求まるテーブルを使用して決定する場合等が考えられる。
[実施の形態5]
次に本発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5では、プリンタ装置の使用状況に応じて、現像器14に起因する画像不良を防止するのに必要十分な時間の現像スリーブの空回転を行う制御について説明する。尚、この実施の形態5に係る装置構成等は、前述の実施の形態4におけるものと同様であるため、その説明を省略する。
実施の形態4で述べた現像器14の調整制御において、各色の現像器14の現像スリーブが空回転する時間は、トナー消費量上限閾値r'[mg]を使用して(式8)に基づいて決定されるものであるが、r'[mg]の値は、実施の形態2における場合と同様、環境や現像器14を使用した通算プリント枚数等に応じて随時増減して設定することができる。つまり、プリンタ装置の使用状況に応じて、現像器14に起因する画像不良を防止するのに必要十分な時間、現像スリーブの空回転を行う制御を実施することができる。
本実施の形態5に係る現像器14の調整制御においては、トナー消費量の上限閾値r'[mg]が、プリンタ装置に備え付けの環境センサで取得された環境情報、或いはプリンタ装置における現像器14の使用情報を基に、各色の現像器14毎において決定される。
図7は、本発明の実施の形態5に係る、環境(温度、湿度)、現像器14の使用状態(0%:初期〜100%:実施の形態1で述べた現像器調整制御のステップ3と同様のカウント方法で通算20,000枚のプリント後)に応じて、トナー消費量閾値r[mg]を変更するために設けられたテーブルの一例を示す図である。
図7において、環境が低温、低湿側、また現像器14の使用状態が初期に近い場合に、トナー消費量閾値r'[mg]として大きな値が設定される傾向があることが分かる。現像器14内のトナーの平均トリボが上昇し易い低温、低湿の環境下や、使用状態が初期に近い現像器14においては、ユーザが長期間に亙って印刷率の高い画像によるプリント動作を継続した場合にも、弱帯電トナーや逆極性のトナーが増加しにくく、大きなトナー消費量閾値r[mg]を使用して現像器の調整制御を行っても、ベタ画像等の濃度上昇やカブリを効果的に防止できるからである。
このように、図7に示すテーブルは、環境や現像器14の使用状態に応じて、ベタ画像等の濃度上昇やカブリを効果的に防止するために必要なトナー消費量上限閾値r'[mg]を事前に予測して作られたものである。
以上説明したように本実施の形態5によれば、現像器14の調整制御において、トナー消費量の上限閾値r'[mg]を、環境や現像器14を使用した通算プリント枚数等に応じて異なる値に設定している。これにより、プリンタ装置の使用状況に応じて、現像器14に起因する画像不良を防止するのに適正な時間現像スリーブの空回転を行い、ベタ画像等の濃度上昇やカブリを効果的に防止すると共に、プリンタ装置のスループットの低下をも抑制することができる。
なお、現像スリーブの空回転時間U[s]は、必ずしも本実施の形態5の方式により決定する必要はなく、累積トナー消費量T[mg]、累積印刷枚数K、及び環境や現像器14を使用した通算プリント枚数等を参照し、他の方式により決定することも可能である。
また現像器14の特性変化が、累積トナー消費量T[mg]や累積印刷枚数Kよりも、環境や現像器14を使用した通算プリント枚数等へ大きく依存する場合には、制御の簡略化のため、現像器の現像スリーブの空回転時間U[s]を、環境や現像器14を使用した通算プリント枚数等のみを参照して決定することも可能である。
[実施の形態6]
次に本発明の実施の形態6について説明する。この実施の形態6では、r'[mg]の値は、実施の形態3における場合と同様、各色の現像器14Y〜14K毎に異なる値を設定する制御について説明する。尚、この実施の形態6に係る装置構成等は、前述の実施の形態4におけるものと同様であるため、その説明を省略する。
実施の形態4で述べた現像器14の調整制御において、各色の現像器14の現像スリーブが空回転する時間は、トナー消費量上限閾値r'[mg]を使用して(式8)により決定されるものであるが、r'[mg]の値は、実施の形態3における場合と同様、各色の現像器14Y〜14K毎に異なる値を設定することができる。つまり、各色の現像器の特性に応じて、現像器14に起因する画像不良を防止するのに必要十分な時間の現像器14の空回転を行う制御を実施することができる。
本実施の形態6に係る現像器の調整制御においては、トナー消費量上限閾値r'[mg]が、現像器14Y〜14K毎に指定される。
図8は、現像器14Y〜14Kに応じて、トナー消費量上限閾値r'[mg]を変更するために設けられたテーブルの一例を示す図である。尚、このテーブルは、23℃、60%Rh環境、使用状態0%におけるものである。
図8において、Y現像器14Yには、トナー消費量上限閾値r'[mg]としてC現像器14CとM現像器14Mよりも大きな値が設定されており、K現像器14Kにおいては、C現像器14CとM現像器14Mよりも小さな値が設定されている。
これは高抵抗のトナーを用いるY現像器14Yでは、ユーザが長期間に亙って印刷率の高い画像によるプリント動作を継続した場合でも弱帯電トナーや逆極性トナーが増加しにくく、大きなトナー消費量閾値r[mg]を使用して現像器14の調整制御を行っても、ベタ画像等の濃度上昇やカブリを効果的に防止できる。一方、低抵抗のトナーを用いるK現像器14Kでは、弱帯電トナーが増加し易く、小さな値のトナー消費量閾値r[mg]を使用して現像器14の調整制御を行わなければこれらを効果的に防止できないからである。
このように図8に示すテーブルでは、各色の現像器14の特性に応じて、ベタ画像等の濃度上昇やカブリを効果的に防止するために必要なトナー消費量の上限閾値r'[mg]を事前に予測して作られるものである。
以上説明したように本実施の形態6によれば、現像器14の調整制御において、トナー消費量閾値r'[mg]を、各色の現像器14Y〜14K毎に異なる値に設定している。これにより、各色の現像器14のトナーの特性に応じて、現像器14に起因する画像不良を防止するのに適正な時間現像スリーブの空回転を行い、ベタ画像等の濃度上昇やカブリを効果的に防止すると共に、プリンタ装置のスループットの低下をも抑制することができる。
[実施の形態7]
次に本発明の実施の形態7について説明する。この実施の形態では、上記実施の形態3、6におけるトナー消費量閾値に関する情報を、画像形成装置に着脱可能に搭載される現像器14に設けられたメモリに記憶させておくことを特徴としている。メモリに記憶されている各色現像器のトナーの特性に応じたトナー消費量閾値に関する情報に基づいて、現像器14の調整制御、また、現像器14の現像スリーブの空回転時間を制御することが可能とする。
上記実施の形態3,6においても説明しているが改めて説明すると、トナーは色毎に使用される顔料などが違うことから、その特性にも違いが現われる。そのため、現像に使用されるキーパーツが同じであってもトナーの各色毎にその劣化具合、帯電具合が違いが生じ、画像品質にも影響する。
例えば、低抵抗のトナーを用いるK現像器14Kでは、ユーザが長期間に亙って印刷率の低い画像によるプリント動作を継続した場合にも強帯電トナーが増加しにくく、小さなトナー消費量閾値r[mg]を使用して現像器の調整制御を行っても、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下を効果的に防止できる。一方、高抵抗のトナーを用いるY現像器14Yでは、強帯電トナーが増加し易く、大きな値のトナー消費量閾値r[mg]を使用して現像器の調整制御を行わなければ、これらを効果的に防止できない。
また、高抵抗のトナーを用いるY現像器14Yでは、ユーザが長期間に亙って印刷率の高い画像によるプリント動作を継続した場合にも弱帯電トナーや逆極性トナーが増加しにくく、大きなトナー消費量閾値r[mg]を使用して現像器14の調整制御を行っても、ベタ画像等の濃度上昇やカブリを効果的に防止できる。一方、低抵抗のトナーを用いるK現像器14Kでは、弱帯電トナーが増加し易く、小さな値のトナー消費量閾値r[mg]を使用して現像器の14調整制御を行わなければこれらを効果的に防止できない。
図10は、印刷率が低い画像が続いた場合の、YトナーとKトナーの画像レベルの推移を表すグラフ図である。
上述したように、同じプリント枚数100枚で比較した場合に、定抵抗のKトナーより高抵抗のYトナーの方が影響を強く受けていることが分かる。つまり、各トナーで同じのトナー消費量閾値を用いたのでは、トナーを無駄に消費してしまうことになる。この場合は、Yトナーにあわせてトナー消費量閾値を設定して制御すると、Kトナーでは無駄にトナーを消費させてしまうことになる。Cトナー、MトナーについてもY,Kトナーとは違った特性を有しており、それぞれ異なる傾向の画像レベルの推移を示すことになる。
なお、印刷率が高い画像が継続された場合にも各色のトナー毎に異なる画像レベルの推移を示すことになる。
このような各色トナーの特性の違いに対応するために、各色トナーの特性に応じたトナー消費量閾値に関する情報を現像器14のメモリに設けることによって、各色の現像器14に対応した現像器14の調整制御、また、現像器14の現像スリーブの空回転を制御することが可能になる。
現像器14に設けられたメモリの構成について、図9を用いて説明する。なお、現像器14の調整用トナー像の形成の制御、また、現像器14の現像スリーブの空回転の制御に関しては、上記の実施の形態1〜6において説明しているため省略する。
図9は、プリンタコントローラ101とプリンタエンジンのプリンタエンジンコントローラ200と現像器14に設けられた記憶媒体(記憶部)としてのメモリ300との接続構成を示した図である。現像器14のメモリ300とプリンタエンジンコントローラ200は、メモリ300に設けられた接点(不図示)とプリンタ本体に設けられた接点(不図示)とが接触して接続されて、プリンタエンジンコントローラ200のデータ読取り/書込み部202によってデータ通信(読出し/書込み)を行なう。
本実施の形態では、現像器14がプリンタ本体に装着されて、メモリ300とプリンタ本体とが接続された後、メモリ300からトナー消費量の閾値に関する情報を読み出して、エンジンCPU201にデータが送信される。エンジンCPU201は、受信したデータをプリンタコントローラ101へ送信する。プリンタコントローラ101は実施の形態1に記載したように、現像器14の調整制御、また、現像器14の現像スリーブの空回転時間の制御のための処理を行なう。なお、この現像器14の調整制御、また、現像器14の現像スリーブの空回転の制御をプリンタコントローラ101ではなく、エンジンコントローラ200で行なってもよい。
なお、メモリ300には、トナー消費量閾値に関する情報を記憶する領域のほかに、印刷枚数情報、トナー消費量情報、その他(現像器に関する情報)を記憶する領域が設けられている。
なお、現像器14は、少なくとも現像剤を収容する容器と、現像剤を感光体ドラムに供給するための現像スリーブ(ローラ)を有するものである。
以上のように本実施の形態では、現像器14にメモリを設けて、各色現像器の特性(トナーの特性)に応じたトナー消費量の閾値をメモリに記憶しておき、現像器14の特性に応じた現像器14の調整制御を行うことによって、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下を効果的に防止することができる。また、ユーザがプリンタ装置を使用する際のランニングコストの増加をも抑制することができる。
また、各色現像器14の特性(トナーの特性)に応じたトナー消費量閾値をメモリに記憶しておき、現像器14の現像スリーブの空回転時間の制御を行うことによって、ベタ画像等の濃度上昇やカブリを効果的に防止すると共に、プリンタ装置のスループットの低下をも抑制することができる。
以上、実施の形態1〜7について説明した。
なお本発明は上記実施の形態1〜7に記載のプリンタ装置、現像装置の構成に限定されるものではなく、種々の形態のプリンタ装置における、接触現像系、非接触ジャンピング現像系、一成分現像系、ニ成分現像系等、磁性現像系、非磁性現像系等、あらゆる形態の現像装置について適用可能なものである。
また実施の形態2,5における環境情報は、プリンタ装置に備え付けの環境センサにより取得されるものであったが、他の手段を使ってこれを取得してもよい。例えば、中間転写ベルト80、1次転写ローラ54(54Y〜54K)、2次転写ローラ55等の電気抵抗が環境依存性を有する場合には、これらを検知する機構を設けることで、環境情報を取得できる。
一方、上記した現像器14(14Y〜14K)の使用情報は、プリンタ装置や現像器14自体に備え付けのメモリに記憶される場合の他、プリンタ装置を作動させるパソコン内のドライバーに記憶される場合等がある。
また実施の形態4〜6においては、現像器14の調整制御を実施するタイミングを固定値(例えば、印刷100枚毎)とし、現像器の現像スリーブの空回転時間を、累積トナー消費量、累積印刷枚数、環境、現像器を使用した通算プリント枚数等を参照して決定する制御法に関して述べた。しかし、これとは逆に、現像スリーブの空回転時間を固定値(例えば20[s])とし、現像器14の調整制御を実施するタイミングを、累積トナー消費量、累積印刷枚数、環境、現像器14を使用した通算プリント枚数等を参照して決定する制御法を採用することも可能である。これにより、一回の現像器14の調整制御において、現像スリーブを空回転する時間を短時間に留め、ユーザがプリント出力を得ようとする時に、現像器14の調整制御による待ち時間をユーザが不快感を感じない程度に抑えることができる。
また、上記実施の形態1〜7において、所定枚数(100枚)毎の累積のトナー消費量とトナー消費量閾値r'とを比較した結果で、トナー消費動作、又は、現像ローラの回転動作の実行の可否を判断しているが、これに限らず、1枚あたりのトナー消費量を算出して、その値とトナー消費量閾値rとを比較して判断しても良いことは言うまでもない。
また上記実施の形態1〜7における現像器調整動作は、記録紙に画像を形成する通常のプリント動作時以外のタイミングで実行される。例えば、プリント動作が開始される前のイニシャライズシーケンス(準備動作)中、または、プリント動作完了後の後処理中(ドラム上の電荷を除去する除電シーケンスなどの後回転処理の期間など)、または、複数のプリントジョブが連続して印刷されている場合には、プリントジョブの間に所定の期間を設けて実行される。
[他の実施の形態]
本発明の目的は前述したように、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM,CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれている。
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含む。
以上説明したように本実施の形態によれば、現像器の調整制御において現像器より現像器の調整用トナー像を排出する際、例えば、現像器の調整制御時のトナー消費量S[mg]、累積トナー消費量T[mg]、累積印刷枚数K、トナー消費量閾値r[mg]とが、S[mg]=r[mg]×K−T[mg]なる関係を持つよう制御することを特徴とする。
これにより、ユーザが長期間に亙って印刷率の低い画像によるプリント動作を継続した場合にも、現像器の調整制御において排出されるトナー量を適正に保ち、ベタ画像等の濃度低下や線画や文字の画質低下を効果的に防止できる。
また、ユーザがプリンタ装置を使用する際のランニングコストの増加をも抑制することができる。
また、現像器の調整制御において現像スリーブを空回転する際、例えば、現像スリーブの空回転時間U[s]、累積トナー消費量T[mg]、累積印刷枚数K、トナー消費量上限閾値r'[mg]、空回転時間算出用係数ua[s]、ub[s/mg]とが、U[s]=ua[s]+ub[s/mg]×(T[mg]−r'[mg]×K)なる関係を持つよう制御することを特徴とする。
これにより、ユーザが長期間に亙って印刷率の高い画像によるプリント動作を継続した場合にも、現像器の調整制御における現像スリーブの空回転時間を適正に保ち、ベタ画像等の濃度上昇やカブリを効果的に防止すると共に、プリンタ装置のスループットの低下をも抑制することができる。