JP4405688B2 - 複合薬剤用の粉末吸入器 - Google Patents

Description

【０００１】
［背景技術］
本発明は、吸入によって粉末状薬剤調製物を投薬するための装置に関する。この装置は、とくに、粉末容器から投与量を投薬する計量手段が装備された噴射剤ガスを使用しない多剤投与装置である。この装置は、複合薬剤として吸入されることができる異なる薬剤粉末用の２つまたはそれ以上の粉末容器からなる。本発明の装置は、たとえば、喘息の治療に有用である。
【０００２】
吸入器から吸入によって粉末状薬剤調製物を投与することは公知である。薬剤を保持する流量容器と単位投与量を測定し投与する計量部材とからなる多剤投与型粉末吸入器もまた、たとえば、英国特許第ＧＢ２１６５１５９号、欧州特許第ＥＰ７９４７８号および欧州特許第ＥＰ１６６２９４号の特許公報により公知である。これらの装置において、一連の投与凹所が円筒形計量部材の表面にノッチを入れられ、上記部材は、正確に同一形状のチャンバに配置される。計量部材が回転すると、投与孔が今度は、まず、充填するために粉末容器の直線上にある位置に動き、その後、吸入チャネルの直線上にある位置に動き、そのときに、単位投与量が投与凹所から吸入チャネル内に重力によって落ちる。その後、投与量の薬剤が吸入チャネルから吸入される。これらの装置は、複数の投与量を続けて吸入チャネルへ投薬することによって、薬剤の過剰投与を可能にし、それによって、多剤の投与が一回の吸入により引き出される、という欠点を有する。
【０００３】
投与凹所が重力によって吸入チャネル内に空にされないが、その代わり、国際公開第ＷＯ９２／００７７１号、国際公開第ＷＯ９２／０９３２２号公報に開示されているように、薬剤の投与量は、投与凹所から直接吸入される投薬システムを使用することによって、上述の問題を解決する試みがなされてきた。計量部材が回転するときに、投与凹所は、まず、充填のためにフローコンテナの直線上にある位置に動き、ついで、吸入チャネルに動き、これは、投与凹所が吸入されている空気の流れの影響下で空になるように形状づけられ、その後、完全に３６０度回転し、フローコンテナの直線上にある位置に戻る。
【０００４】
呼吸器疾患の治療において、薬剤の組み合わせ、たとえば、気管支拡張薬と抗炎症薬との組み合わせを患者に投与することが有益であることが多い。上述の装置は、２つ以上の薬剤を一時にデリバリすることができない。場合によっては、２種類または数種類の薬剤を吸入可能な粉末混合物に混合して、１回の投与で同時に投与することは可能であるけれども、薬剤物質の不適合性、保管中の相互作用、または、異なるエアゾール特性のため、そのような薬剤混合物の使用が妨げられることが多い。したがって、複合薬剤を吸入するために、患者は２つの粉末吸入器から異なる薬剤粉末を吸入しなければならない。複数容器粉末吸入器は、既に米国特許第５,５２４,６１３号に記載されている。しかし、この装置は複雑であり、吸入過程を補助するために圧縮空気を必要とする。
【０００５】
したがって、１回の吸入によって複合薬剤をデリバリすることができる簡単で低コストの多剤投与量粉末吸入器が必要である。
【０００６】
［発明の開示］
本発明は、複合薬剤、たとえば気管支拡張薬および消炎剤を、一回の吸入で同時に供給することができる多剤投与粉末吸入器に関する。活性成分の混合のための粉末容器を有するというよりむしろ、吸入器は、２つの粉末容器からなり、そこから混合投与が必要な投与量が、計量され、エアチャネルにもっていかれ、同時に吸入される。好ましくは、２つの容器は、異なる活性成分を収容する。活性成分は、別個の容器にあり、別個の投与凹所によってエアチャネルへもっていかれ、吸入のあいだ、エアチャネル内または患者の呼吸器官内よりも速くないように混合される。なお、吸入される空気流は、２つの別個のエアゾール化通路を介して、各薬剤粉末のための１つへ導かれる。したがって、各薬剤粉末のエアゾール化特性における違いは考慮され得るものであり、各エアゾール化通路は、各薬剤粉末の特性にしたがって構成され得る。
【０００７】
本発明の吸入器は、たとえ減少した吸入量の患者によって使用される場合でも、圧縮空気を用いることなく、２つ以上のデリバリ凹部から同時に薬剤を送り出して脱凝集させることができる。
【０００８】
［発明の詳細な説明］
本発明は、複数の薬剤投与を受け取るための第１および第２の薬剤容器１、２と、空気がマウスピース１１を介して引かれて通るエアチャネル１２と、一方の位置で前記第１および第２の薬剤容器１、２から計量された投与量の粉末状薬剤を受け取り、他方の位置で前記第１および第２の薬剤容器１、２から計量された投与量の粉末状薬剤をエアチャネルに持ち込むための第１および第２の投与凹所７ａ、７ｂが設けられた回転可能な計量ドラムの形態を呈する計量部材６とからなり、吸入時に粉末状薬剤が前記第１および第２の投与凹所７ａ、７ｂから同時にエアゾール化される、吸入によって粉末状薬剤を投与する装置に関する。好ましい実施の形態では、前記エアチャネルは、２つの別個のエアゾール化通路からなる。
【０００９】
第１および第２の薬剤容器は、活性成分が保管中に混合されることがないように分離されている。容器は、粉末状態で、複合薬剤として患者に提供されるべき異なる活性成分を含むことが好ましい。そのような複合薬剤は、吸入によって投与されることができるいずれの２つの薬剤の組み合わせであってもよい。喘息の治療において、典型的な組み合わせは、気管支拡張薬と抗炎症薬との組み合わせである。抗炎症薬は、ステロイド系抗炎症薬であることが好ましい。適切な組み合わせとして、たとえば、ホルモテロールとブデソニド、サルメテロールとベクロメタゾン、および、サルメテロールとプロピオン酸フルチカゾンが挙げられる。一般的に、容器は、たとえば、２００回分の投与量用の薬剤の供給を有する。
【００１０】
計量部材が回転可能なドラムの形態、たとえば、シリンダである場合、計量ドラムの周縁表面内にノッチを入れられた二組の投与凹所が装備される。計量ドラムの第１の位置において、粉末が充填されるように、第１の投与凹所は第１の薬剤容器に整列配置され、同時に、第２の投与凹所は第２の薬剤容器に整列配置される。計量部材が第２の位置に回転されると、第１および第２の投与凹所は、エアチャネルに動く。第１および第２の投与凹所は、各薬剤粉末の特性にしたがって異なる寸法および／または形状で構成されてもよい。
【００１１】
エアチャネルは、吸入の開始時に空気が充填された投与凹所に直接導かれ、ついで、流入する空気によって徹底的に洗い流され、粉末は第１および第２の投与凹所から同時にエアゾール化されるように、設計されることが好ましい。粉末が投与凹所から直接エアゾール化されるため、複数の投与量を吸入することによる過剰投与の可能性は回避される。
【００１２】
好ましい実施の形態では、吸入された空気ストリームは、それぞれが各薬剤粉末用である２つの別個のエアゾール化チャネルを介して運ばれる。各エアゾール化チャネルの断面形状および寸法が、各薬剤粉末のエアゾール化および脱凝集特性にしたがって、たとえば、各薬剤粉末用に異なる気流抵抗を生成するように設計することができる。２つの別個のエアゾール化チャネルが使用されるときには、２つの活性成分が、マウスピースにおいてよりは早くなく、または、別個のエアゾール化チャネルがマウスピース中を通って導かれる場合は、患者の口の中よりは早くない。
【００１３】
本発明の装置は、図１〜５ｄを参照して、例として下記にさらに説明される。
【００１４】
図１において、回転可能な計量ドラムを具備する本発明の装置の第１の実施態様の構造は、分解図にて示される。粉末状薬剤が充填されている第１および第２の薬剤容器１、２は、方形断面および円錐形の端部分を有する。ふた３が薬剤容器の上部縁を閉じる。フラップ５とともにカバー４は、その機能は下記に説明されるが、薬剤容器１、２およびふた３を覆うように適合される。二組の５つの投与凹所７ａ、７ｂを有する手動で回転可能な計量ドラム６が、中空円筒形本体８に装着され、これは、薬剤容器１、２とともに成形されている。
【００１５】
装置の背部壁９、およびエアゾール化チャネルを備えたマウスピース１１を受け取る突起物１０も、薬剤容器とともに成形される。計量部材６は、連続した投与凹所に加えて、フラップ５に係合する歯１３を有する。装置は、カバーを押し下げることによって作動され、それによって、歯１３に係合したフラップ５が、回転が投与凹所同士の間の周縁距離に対応して段階を追って達成されるだけであるように、計量部材を回転させる。計量部材の戻り止め駆動装置は、投与凹所を、一方では薬剤容器の出口に、他方ではマウスピースのエアチャネルに自動的に整列配置する。さらに、円筒形本体は、拡張した戻り止めノーズ（図示せず）を有し、これは、ラチェット回転に類似した回転が一方向に可能なだけであるように、計量ドラムのノッチ１４内に係合する。
【００１６】
図２において、装置の第１の実施態様の第１の薬剤容器を通る縦方向断面図が示される。円筒形本体８は、開口１５を有し、投与凹所が開口１５に整列配置されるときに、その開口を通って粉末が薬剤容器から投与凹所に落ちることができる。吸入時に粉末を投与凹所からエアチャネルへ投与するために、別の開口１６がエアチャネル１２の高さに設けられる。図２に示された位置において、上部投与凹所は、第１の薬剤容器から投与量の第１の薬剤粉末を充填されているところであり、一方、先に充填された投与凹所はエアチャネルへ向けられており、吸入される準備ができている。マウスピース１１は、これを通って薬剤粉末が吸入されることができ、吸入装置の一方の側に形成され、エアゾチャネル１２を有し、投与凹所から呼吸空気の流れ内に投与量の薬剤を分配する。マウスピースが取り付けられる領域に、空気取入口１７が設けられる。取り入れられた空気は、円筒形本体の開口１６とマウスピースの仕切り壁１９との間のスロットへ導かれる。スロットは、ノズルとして成形されることが好ましく、整列配置された空気ストリームを投与凹所へ強く供給し、粉末を投与凹所からエアゾール化チャネル内へ残留物を残さずに吹き入れる。
【００１７】
図３ａ、ｂ、ｃおよびｄは、第１および第２の投与凹所の両方を覆う、広いエアチャネル１２を有するマウスピースの１つの実施態様である。この実施態様において、活性成分が、投与凹所からエアゾール化されるとすぐに、互いに混合される。
【００１８】
図４ａ、ｂ、ｃおよびｄは、マウスピース内で主要空気チャネル１２と結合した２つの別個のエアゾール化チャネル２０、２１を具備するマウスピースの他の実施態様である。この実施態様において、活性成分はマウスピースの主要空気チャネル内においてよりは早くなく互いに混合される。
【００１９】
図５ａ、ｂ、ｃおよびｄは、マウスピース中を通って導かれる２つの別個のエアゾール化チャネル２０、２１を具備するマウスピースのさらに別の実施態様を示す。この実施態様において、活性成分は患者の口または呼吸器管においてよりは早くなく互いに混合される。
【００２０】
特許請求の範囲に規定される本発明の主題から逸脱することなく、開示された実施態様に他の修正例および変形例を作ることが可能である。たとえば、３つ以上の薬剤容器および対応する連続した投与凹所を使用することが可能である。さらに、吸入器にカウンタを装着して投与部材の回転数を数えることができる。本発明の装置にそのような修正例を作ることは、当業者には日常的なことであるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の装置の第１の実施態様の分解斜視図である。
【図２】 第１の薬剤容器を通る図１の装置の縦方向断面図である。
【図３ａ】 マウスピースの第１の実施態様の正面図である。
【図３ｂ】 マウスピースの第１の実施態様の側部から見た断面図である。
【図３ｃ】 マウスピースの第１の実施態様の背面図である。
【図３ｄ】 マウスピースの第１の実施態様の上部から見た断面図である。
【図４ａ】 マウスピースの第２の実施態様の正面図である。
【図４ｂ】 マウスピースの第２の実施態様の側部から見た断面図である。
【図４ｃ】 マウスピースの第２の実施態様の背面図である。
【図４ｄ】 マウスピースの第２の実施態様の上部から見た断面図である。
【図５ａ】 マウスピースの第３の実施態様の正面図である。
【図５ｂ】 マウスピースの第３の実施態様の側部から見た断面図である。
【図５ｃ】 マウスピースの第３の実施態様の背面図である。
【図５ｄ】 マウスピースの第３の実施態様の上部から見た断面図である。

Claims (3)

1. 複数の薬剤投与を受け取るための第１および第２の薬剤容器（１、２）と、
   空気がマウスピース（１１）を介して引かれて通るエアチャネル（１２）と、
   一方の位置で前記第１および第２の薬剤容器（１、２）から計量された投与量の粉末状薬剤を受け取り、他方の位置で前記第１および第２の薬剤容器（１、２）から計量された投与量の粉末状薬剤をエアチャネルに持ち込むための第１および第２の投与凹所（７ａ、７ｂ）が設けられた回転可能な計量ドラムの形態を呈する計量部材（６）とからなり、
   吸入時に粉末状薬剤が前記第１および第２の投与凹所（７ａ、７ｂ）から同時にエアゾール化される、吸入によって粉末状薬剤を投与する装置。
2. 前記エアチャネルが、２つの別個のエアゾール化通路（２０、２１）からなる請求項１記載の装置。
3. 前記２つの別個のエアゾール化通路（２０、２１）が、前記マウスピースの内部全体にわたって通じる請求項２記載の装置。

Images