JP4405662B2 - 脂肪族ポリエステルの製造方法およびセルロースの再資源化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪族ポリエステルの製造方法およびセルロースの再資源化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セルロースは、年間に109〜1011トンが生産され、構造材料、充填剤、食品添加物、更には、接着剤等の広範囲の用途で大量に利用されている。しかし、それに伴い、廃セルロースの量もまた、年々増加している。
【0003】
ところで、セルロースを分解して再利用する技術として、例えば、セルロースからメタン、エタン等の炭化水素を取出す方法(特開平5−213778)、微生物によってセルロースからアルコールを生産する方法(特開平11−299479)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者はセルロースの再資源化という観点から、上述の技術について検討を加えた結果、廃セルロース量の今後の増加に対処する為には、より効率的にセルロースを再資源化し得る新規な技術開発が必要であるとの認識を持つに至った。
【0005】
そしてこのような認識に鑑み、精力的な研究開発を重ねた結果、セルロースからグルコースを経て得られるところのカプロン酸を用いて、脂肪族ポリエステルを合成できることを見出し、本発明を為すに至ったものである。そしてこのことは、セルロースを出発物質として高品質なプラスチックを得るという、セルロースの効率的な再資源化の確立に道を開くものである。
【0006】
そこで本発明は、セルロースを原料として得られる脂肪族ポリエステルの製造方法を提供すること、およびセルロースの効率的な再資源化方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成することのできる本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法の一実施態様は、下記式(I)
【0008】
【化5】
【0009】
(式中、nは10〜6000の整数を示す。)
で表される脂肪族ポリエステルの製造方法であって、
(i)セルロースを加水分解してグルコースを得る工程、
(ii)該グルコースを酸化してグルコノラクトンを得る工程、
(iii)該グルコノラクトンを還元してカプロン酸を得る工程、
(iv)該カプロン酸を塩素化して6−クロロカプロン酸を得る工程、
(v)該6−クロロカプロン酸を環化して下記式(II)で表わされるε−カプロラクトンを得る工程、および
【0010】
【化6】
【0011】
(vi)該ε−カプロラクトンを開還重合せしめて該脂肪族ポリエステルを得る工程を有することを特徴とする。
【0012】
上記の目的を達成することのできる本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法の他の実施態様は、下記式(I)
【0013】
【化7】
【0014】
(式中、nは10〜6000の整数を示す。)
で表わされる脂肪族ポリエステルの製造方法であって、
(i)セルロースを加水分解してグルコースを得る工程、
(ii)該グルコースを酸化してグルコン酸を得る工程、
(iii)該グルコン酸を還元してカプロン酸を得る工程、
(iv)該カプロン酸を塩素化して6−クロロカプロン酸を得る工程、
(v)該6−クロロカプロン酸を環化して下記式(II)で表わされるε−カプロラクトンを得る工程、および
【0015】
【化8】
【0016】
(vi)該ε−カプロラクトンを開環重合せしめて該脂肪族ポリエステルを得る工程を有することを特徴とする。
【0027】
尚、ε−カプロラクトンは分子内環状エステル構造を有する化合物であり、工業的には、シクロヘキサノンを酸化して得る方法が良く知られている。また、ε−カプロラクトンは容易に開環重合して脂肪族ポリエステルを与え、このような脂肪族ポリエステルは、プラスチック成形品、フィルム、ホットメルト接着剤等として、産業上の多くの分野で利用できる。しかしながら、セルロースを原料として得られるところのε−カプロラクトンから脂肪族ポリエステルを得た例は、本願発明者以外は未だ見出していない。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
即ち、本発明にかかる脂肪族ポリエステルの製造方法は、
(i)セルロースを加水分解してグルコースを得る工程、
(ii)該グルコースを酸化してグルコノラクトン又はグルコン酸を得る工程、
(iii)該グルコノラクトン又は該グルコン酸を還元してカプロン酸を得る工程、
(iv)該カプロン酸を塩素化して6−クロロカプロン酸を得る工程、
(v)該6−クロロカプロン酸を環化してε−カプロラクトンを得る工程、および
(vi)該ε−カプロラクトンを開環重合せしめて脂肪族ポリエステルを得る工程
の各工程を経ることにより行われる。
【0029】
そしてまた、セルロースからグルコースを得る際の、原料としてのセルロースとしては、市販のセルロースを使用できることは勿論のこと、古紙類、廃材等の木材類を適宜処理して得られた廃セルロースも使用することができる。従って、本発明にかかるセルロースから脂肪族ポリエステルの合成方法の確立によって、例えば、廃セルロースの再資源化への新たな道筋を開くことができる。
【0030】
以下、上記の工程(i)〜(vi)の各工程について説明する。
【0031】
〔工程(i) セルロース→グルコース〕
セルロースからグルコースへの変換方法としては、例えば、セルラーゼなどの酵素による分解方法、硫酸や塩酸などの酸による分解方法、あるいは、超臨界水による分解方法等が挙げられる。このうち、セルラーゼなどの酵素による分解方法、すなわち酵素による加水分解が、操作面が簡便である点で好ましい。
【0032】
〔工程(ii) グルコース→グルコノラクトン又はグルコン酸〕
グルコースからグルコノラクトンへの変換方法としては、グルコースを臭素酸化する方法やグルコース酸化酵素であるノタチンを用いる方法等が挙げられる。このうち、臭素酸化が収率の観点から好ましい。
【0033】
グルコースからグルコン酸への変換方法としては、臭素を飽和させた硫酸中でグルコースを酸化、加水分解して得る方法、グルコース溶液の電解酸化による方法、あるいはペニシリウム属の細菌を用いたグルコン酸発酵による方法等が挙げられる。このうち、臭素を飽和させた濃硫酸中でグルコースを酸化、加水分解して得る方法、すなわち臭素と濃硫酸を用いた酸化反応が収率の観点から好ましい。
【0034】
なお本明細書中、濃硫酸とは、27Nの硫酸を意味する。
【0035】
〔工程(iii) グルコノラクトン又はグルコン酸→カプロン酸〕
グルコノラクトン又はグルコン酸からカプロン酸への変換は、これらをヨウ化水素酸と赤リンで還元する方法が挙げられる。この際、グルコノラクトン又はグルコン酸の水酸基のみが還元されることが望ましい。
【0036】
還元に用いる赤リンの量は、グルコノラクトン又はグルコン酸に対して1.8〜2.4当量が好ましい。還元に用いるヨウ化水素酸は、濃度50〜60質量%が好ましく、グルコノラクトン又はグルコン酸の質量に対して40〜60質量倍を用いるのが好ましい。グルコノラクトン又はグルコン酸と赤リンをヨウ化水素酸中で約20時間程度還流を行えば、還元反応が完了する。
【0037】
〔工程(iv) カプロン酸→6−クロロカプロン酸〕
カプロン酸から6−クロロカプロン酸への変換方法としては、カプロン酸を濃硫酸中で塩素と反応させて塩素化する方法が挙げられる。
【0038】
〔工程(v) 6−クロロカプロン酸→ε−カプロラクトン〕
6−クロロカプロン酸からε−カプロラクトンへの変換方法としては、6−クロロカプロン酸を水酸化ナトリウム水溶液中で煮沸して環化する方法が挙げられる。
【0039】
〔工程(vi) ε−カプロラクトン→脂肪族ポリエステル〕
ε−カプロラクトンから脂肪族ポリエステルへの変換方法としては、重合触媒と重合開始剤を用いた開環重合が挙げられる。
【0040】
(重合触媒)
本発明では、ε−カプロラクトンの開環重合に際し、重合触媒としては、公知の開環重合触媒を用いることができる。例えば、二塩化スズ、四塩化スズ、テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリ−iso−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−iso−ブトキシアルミニウム、塩化アルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、ジ−iso−プロピル亜鉛、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、塩化亜鉛、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、テトラエトキシジルコニウム、テトラメトキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−iso−ブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジルコニウム等を用いることができる。
【0041】
重合触媒の使用量は、ε−カプロラクトンと重合開始剤の合計量に対し、0.01〜10質量%、好ましくは、0.05〜5質量%である。
【0042】
(重合開始剤)
本発明では、ε―カプロラクトンの開環重合に際し、重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができる。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、各種ブタノール、フェノール等のモノオール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール等のジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール等のポリオールを用いることができる。また、これらは、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0043】
本発明で使用する重合開始剤とε−カプロラクトンとのモル比は、目的とする脂肪族ポリエステルの重合比に応じて適宜選択することができる。重合開始剤とε―カプロラクトンとのモル比は、1:1〜1:5000モル比、好ましくは、1:1〜1:2000モル比である。
【0044】
ε−カプロラクトンの開環重合は、ε−カプロラクトンに重合触媒と重合開始剤を添加して不活性ガスの存在下、あるいは、減圧下で重合反応させる。好ましくは、簡便さから窒素雰囲気下の常圧で行うのがよい。
【0045】
ε−カプロラクトンの開環重合の反応温度及び時間は、任意に選択できる。反応温度は、好ましくは、50〜200℃、より好ましくは100〜180℃の範囲である。反応速度の観点から50℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、また、酸化反応による脂肪族ポリエステルの着色や生成する脂肪族ポリエステルの分解反応等を抑えるという観点から、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましいのである。反応時間も任意に選択できるが、生成する脂肪族ポリエステルの品質に影響を与えない範囲で行うことができる。
【0046】
ε−カプロラクトンの開環重合は、溶液中で行うことができる。溶媒は、ε−カプロラクトン、重合触媒、重合開始剤と反応しない不活性溶媒であり、好ましくは、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素を用いることができる。これらの溶媒は、実質的には、無水のものが望ましい。
【0047】
ε−カプロラクトンの開環重合によって得られる脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は、ポリスチレン換算で好ましくは1000〜1000000、より好ましくは30000〜500000である。この範囲にあると、プラスチック成形体としての強度面が十分であり、また脂肪族ポリエステルが着色しにくいという点で有利である。
【0048】
この様にして得られる本発明にかかる脂肪族ポリエステルは、これまで種々の分野で用いられているプラスチック材料を代替するプラスチック材料として用いることができる。そして重量平均分子量や含まれる官能基等を変化させることによって、産業上の多くの分野に適用することができる。例えば、グリコールを重合開始剤とした重量平均分子量1000〜5000の脂肪族ポリエステルは、水酸基を有することを活かして、例えば、ポリウレタンの原料や、塗料等の材料として非常に有用である。更に、重量平均分子量が50000を超える脂肪族ポリエステルは、実用的な機械的強度を持ち、プラスチック成形品、フィルム、ホットメルト接着剤等に用いることができる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
セルロース(日本製紙製、KCフロックW−100)500質量部を酵素溶液15050質量部に投入し、45℃で8時間攪拌した。酵素溶液は、セルラーゼ(明治製菓製、メイセラーゼTP60)50質量部を酢酸/酢酸ナトリウム水溶液(pH4.5)15000質量部に溶解したものを用いた。反応後、メタノール1000重両部を加えた後、水溶性残さを濾別し、更にイオン交換樹脂カラム(オルガノ社製、アンバライトIR−120B)を通過させ、溶媒留去した。反応混合物を分離精製して、グルコース300質量部を得た。
【0051】
12質量%炭酸バリウム水溶液8000質量部に二酸化炭素を飽和した後、ここへ臭素330質量部とグルコース300質量部を加え、25℃で30分間攪拌して、下記化学式(III)で表わされるグルコノラクトン250質量部を得た。
【0052】
【化13】
【0053】
赤リン87質量部とグルコノラクトン250質量部をヨウ化水素酸(55質量%)10500質量部に加え、20時間加熱還流を行った。反応混合物を濾過し、その濾液をエーテル抽出した後、5質量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。エーテルを留去後、減圧蒸留してカプロン酸147質量部を得た。
【0054】
塩素を飽和した27N硫酸1000質量部にカプロン酸147質量部を加え、25℃、6時間反応させて、6−クロロカプロン酸95質量部を得た。
【0055】
6−クロロカプロン酸95質量部を、これと当量の水酸化ナトリウム水溶液と煮沸して、ε−カプロラクトン69質量部を得た。
【0056】
ε−カプロラクトン69質量部を窒素雰囲気下、155℃まで加熱し、ここへ、トリ−iso−プロポキシアルミウム0.21質量部、ジエチレングリコール0.41質量部を添加し、開環重合して脂肪族ポリエステルを得た。重合時間は10時間であり、得られた脂肪族ポリエステルの質量平均分子量は30万であった。
FT−NMR DPX400(Bruker製)を用いて1H−NMR及び13C−NMRを測定した。
1H−NMR(400MHz、CDCl3)δ/ppm
1.36〜1.42(2H、m)、1.61〜1.69(4H、m)、2.31(2H、t)、4.06(2H、t)
13C−NMR(100MHz、CDCl3)δ/ppm
24.59、25.54、28.36、34.12、64.16、173.56以上の測定結果から、目的の脂肪族ポリエステルが合成されたことを確認した。
【0057】
(実施例2)
実施例1と同様にして得たグルコース300質量部を臭素で飽和させた27Nの硫酸2500質量部中で酸化、加水分解して下記化学式(IV)で表わされるグルコン酸290質量部を得た。
【0058】
【化14】
【0059】
赤リン100質量部とグルコン酸290質量部をヨウ化水素酸(55質量%)16300質量部に加え、20時間加熱還流を行った。実施例1と同様の後処理を行い、カプロン酸155質量部を得た。
【0060】
塩素を飽和した27N硫酸1000質量部にカプロン酸155質量部を加え、25℃、6時間反応させて、6−クロロカプロン酸100質量部を得た。
【0061】
6−クロロカプロン酸100質量部を、これと当量の水酸化ナトリウム水溶液と煮沸して、ε−カプロラクトン73質量部を得た。
【0062】
ε−カプロラクトン73質量部を窒素雰囲気下、160℃まで加熱し、ここへ、ジ−iso−プロピル亜鉛0.22質量部、1,4−ブタンジオール0.44質量部を添加し、開環重合して脂肪族ポリエステルを得た。重合時間は10時間であり、得られた脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は25万であった。
【0063】
また、1H−NMRを測定したところ、実施例1と同様のスペクトルが得られ、目的の脂肪族ポリエステルが合成されたことを確認した。
【0064】
(実施例3)
PPC用再生紙(キヤノン販売会社、EN−500、A4)の使用済みのもの(片面に複写機でコピー)を5mm角に裁断し、その500質量部を酵素溶液15050質量部に投入し、45℃で10時間攪拌した。酵素溶液は、セルラーゼ(明治製菓製、メイセラーゼTP60)50質量部を酢酸/酢酸ナトリウム水溶液(pH4.5)15000質量部に溶解したものを用いた。反応後、メタノール1000質量部を加えた後、水溶性残さを濾別し、更にイオン交換樹脂カラム(オルガノ社製、アンバライトIR−120B)を通過させ、溶媒留去した。反応混合物を分離精製して、グルコース280質量部を得た。
【0065】
12質量%炭酸バリウム水溶液7500質量部に二酸化炭素を飽和した後、ここへグルコース280質量部と臭素300質量部を加え、25℃で30分間攪拌して、グルコノラクトン230質量部を得た。
【0066】
赤リン80質量部とグルコノラクトン230質量部をヨウ化水素酸(55質量%)13000質量部に加え、20時間加熱還流を行った後、実施例1と同様の後処理を行い、カプロン酸135質量部を得た。
【0067】
塩素を飽和した27N硫酸1000質量部にカプロン酸135質量部を加え、25℃、6時間反応させて、6−クロロカプロン酸87質量部を得た。
【0068】
6−クロロカプロン酸87質量部を、これと当量の水酸化ナトリウム水溶液と煮沸して、ε−カプロラクトン63質量部を得た。
【0069】
ε−カプロラクトン63質量部を窒素雰囲気下、150℃まで加熱し、ここへ、テトラ−n−ブトキシチタン0.19質量部、1,8−オクタンジオール0.38質量部を添加し、開環重合して脂肪族ポリエステルを得た。重合時間は10時間であり、得られた脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は28万であった。
【0070】
また、1H−NMRを測定したところ、実施例1と同様のスペクトルが得られ、目的の脂肪族ポリエステルが合成されたことを確認した。
【0071】
(実施例4)
実施例3と同様にして得たグルコース280質量部を臭素で飽和させた27Nの硫酸2300質量部中で酸化、加水分解してグルコン酸270質量部を得た。
【0072】
赤リン95質量部とグルコン酸270質量部をヨウ化水素酸(55質量%)12200質量部に加え、20時間加熱還流を行った。実施例1と同様の後処理を行い、カプロン酸144質量部を得た。
【0073】
塩素を飽和した27N硫酸1000質量部にカプロン酸144質量部を加え、25℃、6時間反応させて、6−クロロカプロン酸93質量部を得た。
【0074】
6−クロロカプロン酸93質量部を、これと当量の水酸化ナトリウム水溶液と煮沸して、ε−カプロラクトン68質量部を得た。
【0075】
ε−カプロラクトン68質量部を窒素雰囲気下、155℃まで加熱し、ここへ、テトラ−t−ブトキシジルコニウム0.20質量部、メタノール0.40質量部を添加し、開環重合して脂肪族ポリエステルを得た。重合時間は9時間であり、得られた脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は21万であった。
【0076】
また、1H−NMRを測定したところ、実施例1と同様のスペクトルが得られ、目的の脂肪族ポリエステルが合成されたことを確認した。
【0077】
(物性評価)
実施例1から4で合成した脂肪族ポリエステルを用いて、各種物性評価を行った。その結果を表1に示す。また、参考例1として、セルグリーン(ダイセル化学工業社製、ポリカプロラクトン系プラスチック、P−H7)を用いて比較検討を行った。
【0078】
【表1】
【0079】
以上の結果から、実施例1〜4で合成した各々の脂肪族ポリエステルは、参考例1に用いた、強度及び伸度に優れたダイセル化学工業社製の脂肪族ポリエステル(P−H7)と同等もしくはそれ以上の物性を有しており、従来公知のプラスチック成形品の代替品として十分に利用が可能であることが分かる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、セルロースからグルコースを経て得られるε−カプロラクトンを開環重合する事によって脂肪族ポリエステルを製造することができ、その機械的強度等の物性も充分であり、プラスチック成形品として利用が可能である。また、セルロースの効率的な再資源化方法が提供された。
Claims (10)
- セルロースからグルコースを得る工程が、酵素による加水分解であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- グルコースからグルコノラクトンを得る工程が、臭素酸化であることを特徴とする請求項1に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- グルコースからグルコン酸を得る工程が、臭素と濃硫酸を用いた酸化反応であることを特徴とする請求項2に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- グルコノラクトンからカプロン酸を得る工程が、ヨウ化水素酸とリンを用いた還元反応であることを特徴とする請求項1に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- グルコン酸からカプロン酸を得る工程が、ヨウ化水素酸とリンを用いた還元反応であることを特徴とする請求項2に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- カプロン酸から6−クロロカプロン酸を得る工程が、塩素と濃硫酸を用いた塩素化反応であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 6−クロロカプロン酸からε−カプロラクトンを得る工程が、水酸化ナトリウム水溶液を用いた環化反応であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- ε−カプロラクトンから脂肪族ポリエステルを得る工程が、重合触媒と重合開始剤を用いた開環重合であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
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