以下、本発明の実施の形態を添付図面と対応して詳細に説明する。はじめに、本発明の概念が最も好適に適用された例として、第1の実施の系形態(図1参照)、及び第2の実施の形態(図3参照)を説明し、その後、第1の実施の形態の変形例(図5〜図10等)、及び第2の実施の形態の変形例(図11〜18等)を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線受信機の構成を例示するブロック図である。図1に示される無線受信機は、2つのアンテナのそれぞれに対応する無線受信部で生じる位相差及び振幅比を補正するものである。
この無線受信機は、アンテナANT0,ANT1、多重化機能及び加算機能をもつ方向性結合器(DC)10,11、無線受信部12,13、無線周波帯域への変換機能をもつ無線送信部14、周期Tのキャリブレーション信号を生成するキャリブレーション信号生成部15、遅延器16、相関検出部17、ウエイト生成部18、復調部19及び複素乗算器20から構成されている。
アンテナANT0,ANT1で受信された主信号は、DC10,11を介して、無線受信部12、13でベースバンド信号にそれぞれ変換される。このベースバンド信号は、複素乗算を介して復調部19で復調され、主信号が得られる。
キャリブレーション信号生成部15は、アンテナANT0,ANT1で受信された無線周波信号とは異なる周期T(たとえば、受信信号がCDMA信号の場合、そこで使用されている拡散符号の周期をT’としたとき、T≠T’である)のキャリブレーション信号を生成する。
無線送信部14は、キャリブレーション信号を無線周波帯域の信号に変換する。DC10,11は、この無線周波帯域の信号を各アンテナANT0,ANT1で受信された主信号とそれぞれ多重化する。
無線受信部12,13は、無線周波帯域で多重化された信号をベースバンド信号に変換する。このベースバンド信号は、受信信号とキャリブレーション信号とが多重化されている信号であり、無線受信部12、13の出力における位相差及び振幅比に関するばらつきを有している。
遅延器16は、無線受信部13からのベースバンド信号を、キャリブレーション信号の周期Tの自然数倍nの時間nTだけ遅延し、相関検出部17は、遅延器16で遅延されたベースバンド信号と、無線受信部12からのベースバンド信号との相関をとる。
このとき、無線受信部12、13から出力された二つのベースバンド信号の位相及び振幅が同じであればキャリブレーション信号の相関は1となる。また、CDMA信号では1チップ以上の遅延差のある信号は無相関であり、雑音も時間差があるため無相関となる。このため、アンテナからの受信信号は無相関となる。
ウエイト生成部18は、相関検出部17からの相関値をウエイトに変換する。複素乗算器20は、ウエイト生成部18からのウエイトを無線受信部13からのベースバンド信号と乗算する。この乗算により、無線受信部12,13における位相変動及び振幅変動が補正される。
つぎに、本実施の形態に係る無線受信機によるキャリブレーションについて、式を用いて説明する。
キャリブレーション信号生成部15で生成されるキャリブレーション信号
:Cal=rejωt=rejωt+nT
アンテナでの受信信号(CDMA信号) :Rx
アンテナANT0側の無線受信部遅延 :τ0
アンテナANT1側の無線受信部遅延 :τ1
アンテナANT0側の無線受信部位相回転:θ0
アンテナANT1側の無線受信部位相回転:θ1
とすると、アンテナANT0のベースバンド信号は次式で表される。
同様に、アンテナANT1のベースバンド信号出力は次式で表される。
アンテナANT1のベースバンド信号に遅延nTを付加した信号RxDelay
1(t)は次式で表される。
このRx0(t)とRxDelay1(t)の相関は次式で表される。
上記において、たとえばRxDelay
1(t)
*はRxDelay
1(t)の複素共役を示している。ここで、求める相関値は位相が一致した点(τ=0)であり、かつ、キャリブレーション信号が周期Tの周期性信号であるので
また、式(7)のR(0)は、式(1)及び式(5)を参照して、次のように表される。
式(9)において第2項及び第3項は、受信信号(CDMA信号)とキャリブレーション信号とは無相関であるのでゼロに近似できる。また、第4項は、1チップ以上の時間差のある受信信号(CDMA信号)間の相関であるので、ゼロに近似できる。
したがって、式(9)のR(0)は、次のように表される。
ここで、r0ej(ω(−τ0)+θ0)を基準とすると(r0ej(ω(−τ0)+θ0)=1とすると)、
となり、アンテナANT0とアンテナANT1の位相差及び振幅比が検出される。
キャリブレーション信号の周波数ω(たとえば、数キロヘルツ)とキャリア周波数(たとえば、数ギガヘルツ)の比は大きいため、ωτ1は無視できるので、
となり、アンテナANT0とアンテナANT1の位相差及び振幅比が得られる。
相関検出部17の出力R(0)に基づいて、ウエイト生成部18は、無線受信部12,13で生じるアンテナ間の位相差及び/又は振幅比を補正するためのウエイトを生成する。このウエイトは、複素乗算器20で無線受信部13の出力と乗算される。これにより、無線受信部12,13で生じるアンテナ端での位相差及び/又は振幅比が補正される。
図2は、本実施の形態に係る無線受信機の動作を例示するタイミングチャートである。この図では、ANT0(A)は、アンテナANT0に接続されるDC10で多重化されたキャリブレーション信号を示しており、ANT1(B)は、アンテナANT1に接続されるDC11で多重化されたキャリブレーション信号を示している。周期Tのキャリブレーション信号は、無線受信部12,13でベースバンド信号に変換される。
つぎに、アンテナANT1側のベースバンド信号に対して、キャリブレーション信号周期Tと同じ時間の遅延が与えられる。このときの信号は、ANT1(遅延)(C)に示されている。図の相関値(D)から分かるように、周期T毎に、アンテナANT0の信号とアンテナANT1(遅延)の信号の相関値を得ることができ、これにより、アンテナANT0,ANT1端での位相差及び振幅比の検出及び補正を行うことができる。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る無線送信機の構成を例示するブロック図である。図3に示される無線送信機は、2つのアンテナのそれぞれに対応する無線送信部で生じる位相差及び振幅比を補正するものである。
無線送信機は、アンテナANT0,ANT1、信号分岐機能をもつ方向性結合器(DC)30,31、無線送信部32,33、加算器34,35、複素乗算器36、合成器37、ベースバンドへの変換機能をもつ無線受信部38、遅延量τの遅延器39、43、相関検出部40、ウエイト生成部41、周期Tのキャリブレーション信号を生成するキャリブレーション信号生成部42及び変調部44から構成されている。
キャリブレーション信号生成部42は、送信信号の周期(たとえば、CDMA信号の場合、そこで使用されている拡散コードの周期)とは異なる周期を有するキャリブレーション信号を生成する。遅延器43は、この生成されたキャリブレーション信号をアンテナ系統に応じて選択的に遅延する。具体的には、遅延器43は、アンテナANT1に対応するベースバンド信号と加算されるキャリブレーション信号を時間τだけ遅延する。
加算器34,35は、キャリブレーション信号生成部42で生成されたキャリブレーション信号及び遅延器43で遅延されたキャリブレーション信号を、変調部44からの出力及び複素乗算器36からの出力とそれぞれ加算し、対応する無線送信部32,33にそれぞれ出力する。無線送信部32,33は、加算器34,35からのベースバンド信号を無線周波帯域の信号にそれぞれ変換する。この無線周波帯域の信号は、対応するDC30,31を介して、対応するアンテナANT0,ANT1からそれぞれ送信される。
つぎに、DC30,31は、無線送信部32,33からの無線周波信号を合成器37にそれぞれ分岐する。合成器37は、アンテナANT0,ANT1に対応する無線周波信号を合成する。無線受信部38は、合成器37で合成された無線周波信号をベースバンド信号に変換する。このベースバンド信号は、相関検出部40に入力されると共に、遅延器39に入力される。
遅延器39は、無線受信部38からのベースバンド信号を遅延する。この遅延時間は、遅延器43で遅延された時間と同じ遅延時間τである。相関検出部40は、無線受信部38からのベースバンド信号と、遅延器39で遅延されたベースバンド信号との相関をとる。
この相関検出では、無線送信部32,33から出力された二つの無線周波信号の位相及び振幅が同じ場合には、キャリブレーション信号の相関は1となる。また、CDMA信号では1チップ以上の遅延差のある信号は無相関である。このため、変調部44から出力されたベースバンド信号は無相関となる。
ウエイト生成部41は、相関検出部40からの相関出力をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器36に出力する。複素乗算器36は、ウエイト生成部41からのウエイトと変調部44からのベースバンド信号を乗算する。この乗算により、無線送信部32,33における位相変動及び振幅変動が補正される。
つぎに、本実施の形態に係る無線送信機によるキャリブレーションについて、式を用いて説明する。なお、キャリブレーション信号をバースト的なトーン信号とした場合について説明する。
変調部44から出力された送信ベースバンド信号:Tx
アンテナANT0側の無線送信部遅延 :τ
0
アンテナANT1側の無線送信部遅延 :τ
1
アンテナANT0側の無線送信部位相回転 :θ
0
アンテナANT1側の無線送信部位相回転 :θ
1
とする。
アンテナANT0側の送信ベースバンド信号Tx0及びアンテナANT1側の送信ベースバンド信号Tx1は、次式で表される。
また、各アンテナに接続されているDC30,31の出力を合成器37で合成した後、無線受信部38でベースバンドに変換されたベースバンド信号は、次式で表される。
式(17)において、さらに、遅延τを付加したベースバンド信号RxDelayは、次式で表される。
となる。但し、
τ=2πn/ω ・・・(19)
とすると、式(18)のRxDelayは、次式で表される。
このRxとRxDelayの相関は、次式で表される。
ここで、求める相関値は位相が一致した点(τ=0)であり、また周期性信号なので
となる。式(17)及び式(20)から、式(22)は、次式で表される。
式(23)において、送信信号(CDMA信号)とキャリブレーション信号とは無相関であるか、又は、1チップ以上の時間差のある送信信号(CDMA信号)間の相関であるので、第1項、第3項及び第4項はゼロに近似できる。また、第2項は、次のように表される。
式(24)において、送信信号(CDMA信号)とキャリブレーション信号とは無相関であるか、又は1チップ以上の時間差のある送信信号(CDMA信号)間の相関であるので、第1項以外はゼロに近似できるので、式(24)は、次式で表される。
また、受信部のキャリブレーションと同様に、キャリブレーション信号の周波数ω(たとえば、数キロヘルツ)とキャリア周波数(たとえば、数ギガヘルツ)の比は大きいため、τ
0とτ
1の項を無視すると
ここで、Tx0を基準とすると(r0ejθ=1とすると)、
となり、アンテナANT0とアンテナANT1の相関値が検出される。
相関検出部40の出力R(0)に基づいて、ウエイト生成部41は、無線送信部32,33で生じるアンテナ間の位相差及び/又は振幅比を補正するためのウエイトを生成する。このウエイトは、複素乗算器36で変調部44からのベースバンド信号と乗算される。これにより、無線送信部32,33で生じる位相差及び/又は振幅比が補正される。
図4は、本実施の形態に係る無線送信機の動作を例示するタイミングチャートである。
この図では、ANT0(A)は、変調部44からのベースバンド信号(主信号)にキャリブレーション信号が加算された信号を示している。また、ANT1(B)は、変調部44から出力されたベースバンド信号(主信号)に遅延器43で遅延されたキャリブレーション信号が加算された信号を示している。つぎに、ANT0(A)の信号とANT1(B)の信号は、周波数変換された後、対応するDC30,31を介して、さらに合成器37で合成され、無線受信部38でベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ANT0+ANT1(C)に示されている。また、このベースバンド信号が遅延器39で遅延された信号は、ANT0+ANT1(遅延)(D)に示されている。
ここで、ANT0+ANT1(C)とANT0+ANT1(遅延)(D)の信号は、ANT0+ANT1(C)のCal1(T=−1)と、ANT0+ANT1(遅延)(D)のCal0(T=−1)とで同じタイミングを有している。したがって、期間Tにわたり、ANT0+ANT1(C)とANT0+ANT1(遅延)(D)の信号の相関値Rを検出することができる。これにより、アンテナANT0,ANT1端での位相差及び振幅比の検出及び補正を行うことができる。
[実施例]
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る無線受信機の構成を例示するブロック図である。図5に示される無線受信機は、図1に示された第1の実施の形態に係る無線受信機の変形例(その1)を示している。
本実施の形態では、キャリブレーション信号としてM系列のPN信号とし、かつM系列のサイクル アンド アッド(Cycle and Add)特性を利用している。M系列のPN信号を遅延させる手段として生成多項式を用いている。このように、M系列のPN信号をキャリブレーション信号として用い、遅延させる手段として生成多項式を用いた場合、遅延に係る回路規模を小さくすることが可能となる。
本実施の形態に係る無線受信機は、アンテナANT0,ANT1、多重化機能及び加算機能をもつ方向性結合器(DC)50,51、無線受信部52,53、複素乗算器54、遅延部55、無線周波帯域への変換機能をもつ無線送信部56、周期TのM系列のPN信号であるキャリブレーション信号を生成するキャリブレーション信号生成部57、相関検出部58、ウエイト生成部59及び復調部60から構成されている。
なお、遅延部55は、入力信号を遅延時間mΔだけ遅延する遅延器551、乗算器552、及び入力信号を遅延時間nΔだけ遅延する遅延器553から構成されている。
アンテナANT0,ANT1で受信された主信号は、DC50,51を介して、無線受信部52、53でベースバンド信号に変換される。この変換されたベースバンド信号は、複素乗算を介して復調部60で復調され、主信号が得られる。
キャリブレーション信号生成部57は、受信された無線周波信号とは異なる周期Tを有するM系列のPN信号をキャリブレーション信号として生成する。無線送信部56は、このキャリブレーション信号を無線周波帯域の信号に変換する。この無線周波帯域の信号は、DC50,51で各アンテナANT0,ANT1で受信された主信号と多重化される。
無線受信部52,53は、無線周波帯域で多重化された信号をベースバンド信号に変換する。このベースバンド信号は、受信信号とキャリブレーション信号とが多重化されている信号であり、無線受信部52、53の出力における位相差及び振幅比のばらつきを有している。
遅延部55の乗算器552は、無線受信部53からのベースバンド信号が遅延器551で時間mΔだけ遅延された信号と、無線受信部53からのベースバンド信号とを乗算し、この乗算結果を遅延器553に送出する。遅延器553は、この乗算結果を時間nΔだけ遅延して相関検出部58に送出する。
相関検出部58は、無線受信部52からのベースバンド信号と、遅延部55からの遅延されたベースバンド信号との相関をとる。このとき、無線受信部52,53から出力された二つのベースバンド信号の位相及び振幅が同じであれば、キャリブレーション信号の相関は1となる。
ウエイト生成部59は、相関検出部58からの相関値をウエイトに変換する。複素乗算器54は、ウエイト生成部59からのウエイトを無線受信部53からのベースバンド信号と乗算する。この乗算により、無線受信部52,53における位相変動及び振幅変動が補正される。
つぎに、本実施の形態に係る無線受信機によるキャリブレーションについて、式を用いて説明する。
サイクル アンド アッド特性 :c(t)c(t−mΔ)=c(t+nΔ) ・・・(29)
アンテナでの受信信号(CDMA信号) :Rx
アンテナANT0側の無線受信部遅延 :τ
0
アンテナANT1側の無線受信部遅延 :τ
1
アンテナANT0側の無線受信部位相回転:θ
0
アンテナANT1側の無線受信部位相回転:θ
1
とすると、アンテナANT0のベースバンド信号は、
また、アンテナANT1のベースバンド信号は、
次に、Rx1(t)に対して、遅延部55による遅延を与える。この遅延は、キャリブレーション信号のサイクル アンド アッド特性を使用している。まず、乗算器552の出力は、次式で表される。
つぎに、式(32)で表された乗算器552の出力が遅延器553で遅延された信号をRx
1Delayとすると、Rx
1Delayは次式で表される。
つぎに、相関検出部58において、式(30)で表されたRx
0と式(33)で表されたRx
1Delayの相関値をとる。前記と同様に、相関値の位相が一致した点(τ=0)の相関値は、
式(34)において、受信信号(CDMA信号)とキャリブレーション信号とは無相関であるか、又は、1チップ以上の時間差のある受信信号(CDMA信号)間の相関であるので、上式の第2〜8項はゼロに近似できるので、式(34)は、次式のように変形される。
となる。ここで、r
0e
jθ0を基準とすると(r
0e
jθ0=1とすると)、式(13)と同様に、アンテナANT0とアンテナANT1の位相差及び振幅比が検出される。
相関検出部58の出力R(0)に基づいて、ウエイト生成部59は、無線受信部52,53で生じるアンテナ間の位相差及び/又は振幅比を補正するためのウエイトを生成する。このウエイトは、複素乗算器54で無線受信部53からの出力と乗算される。これにより、アンテナ端で生じる無線受信部52,53の位相差及び/又は振幅比が補正される。
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る無線受信機の構成を例示するブロック図である。図6に示される無線受信機は、図1に示された第1の実施の形態に係る無線受信機の更なる変形例(その2)を示している。
本実施の形態では、キャリブレーション信号として、OFDM信号を利用している。このOFDM信号は、サブキャリアの周波数関係が既知である。そのため、位相差を求めることが可能である。遅延量が1周期未満に設定されている場合、遅延量に応じた位相差を補正することで遅延量の低減を図ることが可能である。
図1の構成と異なる点は、キャリブレーション信号としてOFDM信号が使用される点、及び遅延器75での遅延量に関連するオフセット量がウエイト生成部77に印加される点である。このオフセット量は、OFDM信号の遅延によって、遅延時間に相当する量を補正するものであり、たとえば、周期Tに対して、T/2遅延した場合は、オフセット量は180度であり、T/3遅延した場合は、オフセット量は120度となる。
本実施の形態に係る無線受信機は、アンテナANT0,ANT1、多重化機能及び加算機能をもつ方向性結合器(DC)70,71、無線受信部72,73、複素乗算器74、遅延器75、相関検出部76、ウエイト生成部77、無線周波帯域への変換機能をもつ無線送信部78、周期TのOFDM信号であるキャリブレーション信号を生成するキャリブレーション信号生成部79、及び復調部80から構成されている。
アンテナANT0,ANT1で受信された主信号は、無線受信部72,73で、ベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、複素乗算を介して復調部80で復調され、主信号が得られる。
キャリブレーション信号生成部79は、受信された無線周波数の信号とは異なる周期Tを有するOFDM信号をキャリブレーション信号として生成する。無線送信部78は、このキャリブレーション信号を無線周波帯域の信号に変換する。この無線周波帯域の信号は、DC70,71で各アンテナANT0,ANT1からの受信された主信号とそれぞれ多重化される。
無線受信部72,73は、無線周波帯域で多重化された信号をベースバンド信号に変換する。このベースバンド信号は、受信信号とキャリブレーション信号とが多重化されている信号であり、無線受信部72,73の出力における位相及び振幅のばらつきを有している。
遅延器75は、無線受信部73からのベースバンド信号を、キャリブレーション信号の周期Tの自然数倍nの時間nTだけ遅延し、相関検出部76は、遅延器75で遅延されたベースバンド信号と無線受信部72からのベースバンド信号との相関をとる。
ウエイト生成部77は、オフセット量を考慮して相関検出部76からの相関値をウエイトに変換する。複素乗算器74は、ウエイト生成部77からのウエイトを無線受信部73からのベースバンド信号と乗算する。この乗算により、無線受信部72,73における位相変動及び振幅変動が補正される。
つぎに、本実施の形態に係る無線受信機によるキャリブレーションについて、式を用いて説明する。ここでは、キャリブレーション信号としてトーン信号を使用した場合を説明する
キャリブレーション信号生成部79で生成されるキャリブレーション信号
:Cal=rejωt=rejωt+nT
アンテナでの受信信号(CDMA信号) :Rx
アンテナANT0側の無線受信部遅延 :τ0
アンテナANT1側の無線受信部遅延 :τ1
アンテナANT0側の無線受信部位相回転:θ0
アンテナANT1側の無線受信部位相回転:θ1
とすると、アンテナANT0のベースバンド信号は次式で表される。
同様に、アンテナANT1のベースバンド信号は次式で表される。
アンテナANT1のベースバンド信号に遅延T(nTのnを1とした場合)を付加した信号RxDelay
1(t)は次式で表される。
なお、T=2π/ω ・・・(40)
また、Rx
0(t)とRxDelay
1(t)の相関は次式で表される。
ここで、求める相関値は位相が一致した点(τ=0)であり、かつ、キャリブレーション信号が周期Tの周期性信号であるので
また、式(42)のR(0)は、式(37)及び式(39)を参照して、次のように表される。
式(44)において、第2項及び第3項は、受信信号(CDMA信号)とキャリブレーション信号とは無相関であるのでゼロに近似できる。また、第4項は、1チップ以上の時間差のある受信信号(CDMA信号)間の相関であるので、ゼロに近似できる。
したがって、式(44)のR(0)は、次のように表される。
ここで、r0ej(ωτ0+θ0)を基準とすると(r0ej(ωτ0+θ0)=1とすると)、
となり、アンテナANT0とアンテナANT1の位相差及び振幅比が検出される。
キャリブレーション信号の周波数ω(例えば、数キロヘルツ)とキャリア周波数(例えば、数ギガヘルツ)の比は大きいため、ωτ1は無視できるので、
となる。ここで、T及びωは既知のため、アンテナANT0とアンテナANT1の位相差及び振幅比が得られる。
相関検出部76の出力R(0)に基づいて、ウエイト生成部77は、無線受信部72,73で生じるアンテナ端の位相差及び/又は振幅比を補正するためのウエイトを生成する。このとき、ウエイト生成部77では、既知のOFDM信号のT及びωを用いて、オフセット量ωTを使用してウエイトを生成する。このウエイトは、複素乗算器74で無線受信部73からの出力と乗算される。これにより、無線受信部72,73で生じるアンテナ端の位相差及び/又は振幅比が補正される。
図7は、本発明の第5の実施の形態に係る無線受信機の構成を例示するブロック図である。図7に示される無線受信機は、図1に示された第1の実施の形態に係る無線受信機の変形例(その3)を示している。
この無線受信機は、アンテナANT0〜ANT3、多重化機能及び加算機能をもつ方向性結合器(DC)90〜93、無線受信部94〜97、複素乗算器98〜100、遅延器101〜103、無線周波帯域への変換機能をもつ無線送信部104、周期Tのキャリブレーション信号を生成するキャリブレーション信号生成部108、相関検出部105〜107、ウエイト生成部109〜111及び復調部112から構成されている。
本実施の形態に係る無線受信機は、4つのアンテナ素子のそれぞれに対応する4つの系統からなる構成において基準とするアンテナと他のアンテナとの間の位相差及び振幅比を補正するものである。
この4つの系統について、アンテナANT0に対応する系統は、DC90及び無線受信部94を含んでいる。アンテナANT1に対応する系統は、DC91、無線受信部95、遅延器101、相関検出部105及びウエイト生成部109及び複素乗算器98を含んでいる。アンテナANT2に対応する系統は、DC92、無線受信部96、遅延器102、相関検出部106及びウエイト生成部110及び複素乗算器99を含んでいる。アンテナANT3に対応する系統は、DC93、無線受信部97、遅延器103、相関検出部107及びウエイト生成部111及び複素乗算器100を含んでいる。
アンテナANT0〜ANT3で受信されたそれぞれの主信号は、同じ系統の無線受信部94〜97でベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、複素乗算を介して復調部112で復調され、主信号が出力される。
キャリブレーション信号生成部108は、受信された無線周波数の信号とは異なる周期Tの信号をキャリブレーション信号として生成する。このキャリブレーション信号は、無線送信部104で無線周波帯域の信号に変換された後、DC90〜93で、各アンテナANT0〜ANT3で受信された主信号とそれぞれ多重化される。無線受信部94〜97は、対応する無線周波数帯域で多重化された信号をベースバンド信号にそれぞれ変換する。このベースバンド信号は、受信信号とキャリブレーション信号とが多重化されている信号であり、無線受信部94〜97の出力における位相及び振幅のばらつきを有している。
無線受信部94〜97からのベースバンド信号は、系統毎に2つに分岐される。具体的には、アンテナANT0に対応するベースバンド信号は、一方が復調部112に入力し、他方が別の系統の相関検出部105〜107に入力される。また、アンテナANT1に対応するベースバンド信号は、一方が同じ系統の複素乗算器98に入力し、他方が同じ系統の遅延器101に入力する。同様に、アンテナANT2に対応するベースバンド信号は、一方が同じ系統の複素乗算器99に入力し、他方が同じ系統の遅延器102に入力する。アンテナANT3に対応するベースバンド信号は、一方が同じ系統の複素乗算器100に入力し、他方が同じ系統の遅延器103に入力する。
相関検出部105〜107は、アンテナANT0に接続される無線受信部94からのベースバンド信号と、同じ系統の遅延器からの遅延されたベースバンド信号との相関をとる。具体的には、相関検出部105は、無線受信部94からのベースバンド信号と、遅延器101で遅延されたベースバンド信号との相関をとる。相関検出部106は、無線受信部94からのベースバンド信号と、遅延器102で遅延されたベースバンド信号との相関をとる。相関検出部107は、無線受信部94からのベースバンド信号と、遅延器103で遅延されたベースバンド信号との相関をとる。
本実施の形態に係る無線受信機では、基準となるアンテナANT0の系統に対応するベースバンド信号と、自身のアンテナ系統に対応する遅延されたベースバンド信号との相関が検出される。
ウエイト生成部109〜111は、同じ系統の相関検出部105〜107で検出された相関値をウエイトにそれぞれ変換し、このウエイトを同じ系統の複素乗算器98〜100にそれぞれ送出する。複素乗算器は98〜100は、同じ系統の無線受信部からのベースバンド信号と、同じ系統のウエイト生成部からのウエイトをそれぞれ乗算し、この乗算結果を復調部112にそれぞれ送出する。
具体的には、複素乗算器98は、無線受信部95からのベースバンド信号とウエイト生成部109からのウエイトを乗算し、この乗算結果を復調部112に送出する。また、複素乗算器99は、無線受信部96からのベースバンド信号とウエイト生成部110からのウエイトを乗算し、この乗算結果を復調部112に送出する。さらに、複素乗算器100は、無線受信部97からのベースバンド信号とウエイト生成部111からのウエイトを乗算し、この乗算結果を復調部112に送出する。これらの乗算により、無線受信部94〜97における位相変動及び振幅変動が補正される。
つぎに、本実施の形態に係る無線受信機によるキャリブレーションについて、式を用いて説明する。ここでは、キャリブレーション信号をトーン信号とした場合について説明する。
キャリブレーション信号生成部108で生成されるキャリブレーション信号
:Cal=rejωt=rejωt+nT
アンテナでの受信信号(CDMA信号) :Rx
アンテナANT0側の無線受信部遅延 :τ0
アンテナANT1側の無線受信部遅延 :τ1
アンテナANT0側の無線受信部遅延 :τ2
アンテナANT1側の無線受信部遅延 :τ3
アンテナANT0側の無線受信部位相回転:θ0
アンテナANT1側の無線受信部位相回転:θ1
アンテナANT0側の無線受信部位相回転:θ2
アンテナANT1側の無線受信部位相回転:θ3
とする。
図1と同様に、各アンテナ間の相関を求める。アンテナANT0とアンテナANT1の相関は、次式で表される。
アンテナANT0とアンテナANT2の相関は、次式で表される。
アンテナANT0とアンテナANT3の相関は、次式で表される。
アンテナANT0とアンテナANT1の相関値からアンテナANT1のウエイトを求めると
同様に、アンテナANT2のウエイトは、次式で表される。
同様にアンテナANT3のウエイトは、次式で表される。
アンテナANT1のキャリブレーション後の信号OUT
1は、次に示すように1(アンテナANT0のベースバンド信号と同じ)となる。
アンテナANT2のキャリブレーション後の信号OUT
2は、次に示すように1(アンテナANT0のベースバンド信号と同じ)となる。
アンテナANT3のキャリブレーション後の信号OUT
3は、次に示すように1(アンテナANT0のベースバンド信号と同じ)となる。
図8は、本実施の形態に係る無線受信機の動作を例示するタイミングチャートである。
この図では、ANT0(A)、ANT1(B)、ANT2(C)、ANT3(D)は、アンテナANT0〜ANT3に接続されるDC90〜93で多重化されたキャリブレーション信号を示している。
また、ANT1(遅延)(E)、ANT2(遅延)(G)、ANT3(遅延)(I)は、遅延器101,102,103の出力を示している。また、(F)は、ANT0(A)−ANT1(遅延)(E)の相関値、(H)は、ANT0(A)−ANT2(遅延)(G)の相関値、及び(J)は、ANT0(C)−ANT3(遅延)(I)の相関値を示している。
このように、本実施の形態では、アンテナ素子数によらず、所定のアンテナANT0と他のアンテナANT1,ANT2,ANT3とそれぞれとの相関を検出することで、キャリブレーションを行うことができる。
図9は、本発明の第6の実施の形態に係る無線受信機の構成を例示するブロック図である。図9に示される無線受信機は、図1に示された第1の実施の形態に係る無線受信機の変形例(その4)を示している。
この無線受信機は、アンテナANT0〜ANT3、多重化機能及び加算機能をもつ方向性結合器(DC)120〜123、無線受信部124〜127、複素乗算器128〜130、遅延器133〜135、無線周波帯域への変換機能をもつ無線送信部131、周期Tのキャリブレーション信号を生成するキャリブレーション信号生成部132、相関検出部136〜138、ウエイト生成部139〜141、及び復調部142から構成されている。
本実施の形態に係る無線受信機は、4つのアンテナ素子のそれぞれに対応する4つの系統からなる構成において複数のアンテナ間の受信位相差及び振幅比を補正するものである。
この4つの系統について、アンテナANT0に対応する系統は、DC120及び無線受信部124を含んでいる。アンテナANT1に対応する系統は、DC121、無線受信部125、遅延器133、相関検出部136及びウエイト生成部139及び複素乗算器128を含んでいる。アンテナANT2に対応する系統は、DC122、無線受信部126、遅延器134、相関検出部137及びウエイト生成部140及び複素乗算器129を含んでいる。アンテナANT3に対応する系統は、DC123、無線受信部127、遅延器135、相関検出部138、ウエイト生成部141及び複素乗算器130を含んでいる。
アンテナANT0〜ANT3で受信された主信号は、無線受信部124〜127でベースバンド信号にそれぞれ変換される。このベースバンド信号は、複素乗算を介して復調部142で復調され、主信号が得られる。
キャリブレーション信号生成部132は、受信された無線周波信号とは異なる周期Tを有する信号をキャリブレーション信号として生成する。このキャリブレーション信号は、無線送信部131で無線周波帯域の信号に変換された後、DC120〜123で、各アンテナANT0〜ANT3からの受信された主信号と多重化される。無線受信部124〜127は、対応する無線周波数帯域で多重化された信号をベースバンド信号にそれぞれ変換する。このベースバンド信号は、受信信号とキャリブレーション信号とが多重化されている信号であり、無線受信部124〜127の出力における位相及び振幅のばらつきを有している。
無線受信部124〜127からのベースバンド信号は、系統毎に分岐される。具体的には、アンテナANT0に対応するベースバンド信号は、一方が復調部142に入力し、他方がアンテナANT1の系統の相関検出部136に入力される。また、アンテナANT1に対応するベースバンド信号は、一方が同じ系統にある遅延器133及び複素乗算器128に入力し、他方がアンテナANT2の系統にある相関検出部137に入力する。
また、アンテナANT2に対応するベースバンド信号は、一方が同じ系統にある遅延器134及び複素乗算器129に入力し、他方がアンテナANT3の系統にある相関検出部138に入力する。さらに、アンテナANT3に対応するベースバンド信号は、同じ系統にある遅延器135及び複素乗算器130に入力される。
相関検出部136〜138は、アンテナに関して隣の系統に対応するベースバンド信号と、自身の系統にある遅延器で遅延されたベースバンド信号との相関を検出する。具体的には、相関検出部136は、無線受信部124からのベースバンド信号と、遅延器133で遅延されたベースバンド信号との相関をとる。相関検出部137は、無線受信部125からのベースバンド信号と、遅延器134で遅延されたベースバンド信号との相関をとる。相関検出部138は、無線受信部126からのベースバンド信号と、遅延器135で遅延されたベースバンド信号との相関をとる。
ウエイト生成部139〜141は、隣の系統で生成されたウエイトに基づいて、同じ系統で検出された相関値をウエイトに変換する。具体的には、ウエイト生成部139は、相関検出部136からの相関値をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器128に送出すると共に、隣の系統にあるウエイト生成部140に送出する。
また、ウエイト生成部140は、ウエイト生成部139からのウエイトに基づいて、相関検出部137からの相関値をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器129に送出すると共に、隣の系統にあるウエイト生成部141に送出する。ウエイト生成部141は、ウエイト生成部140からのウエイトに基づいて、相関検出部138からの相関値をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器130に送出する。
本実施の形態では、隣の系統からのベースバンド信号を用いて相関検出を行い、該隣の系統からのウエイトに基づいて自身の系統のウエイトを生成する。
複素乗算器128〜130は、同じ系統にある無線受信部からのベースバンド信号と、同じ系統にあるウエイト生成部からのウエイトを乗算し、この乗算結果を復調部112に送出する。
具体的には、複素乗算器128は、無線受信部125からのベースバンド信号とウエイト生成部139からのウエイトを乗算し、この乗算結果を復調部142に送出する。また、複素乗算器129は、無線受信部126からのベースバンド信号とウエイト生成部140からのウエイトを乗算し、この乗算結果を復調部142に送出する。さらに、複素乗算器130は、無線受信部127からのベースバンド信号とウエイト生成部141からのウエイトを乗算し、この乗算結果を復調部142に送出する。これらの乗算により、無線受信部124〜127における位相変動及び振幅変動が補正される。
つぎに、本実施の形態に係る無線受信機によるキャリブレーションについて、式を用いて説明する。ここでは、キャリブレーション信号をトーン信号とした場合について説明する。
キャリブレーション信号生成部132で生成されるキャリブレーション信号
:Cal=rejωt=rejωt+nT
アンテナでの受信信号(CDMA信号) :Rx
アンテナANT0側の無線受信部遅延 :τ0
アンテナANT1側の無線受信部遅延 :τ1
アンテナANT0側の無線受信部遅延 :τ2
アンテナANT1側の無線受信部遅延 :τ3
アンテナANT0側の無線受信部位相回転:θ0
アンテナANT1側の無線受信部位相回転:θ1
アンテナANT0側の無線受信部位相回転:θ2
アンテナANT1側の無線受信部位相回転:θ3
とする。図1の場合と同様に、各アンテナ間の相関を求める。
アンテナANT0とアンテナANT1の相関は、次式で表される。
アンテナANT1とアンテナANT2の相関は、次式で表される。
アンテナANT2とアンテナANT3の相関は、次式で表される。
式(55)で表されたアンテナANT0とアンテナANT1の相関値からアンテナANT1のウエイトを求めると、次式で表される。
アンテナANT2のウエイトは、式(56)で表されたアンテナANT1とアンテナANT2の相関値とアンテナANT1のウエイトから求めると、次式で表される。
同様に、アンテナANT3のウエイトは、次式で表される。
複素乗算器128において、式(58)で表されたウエイトを、アンテナANT1のベースバンド信号に乗算することにより補正が行われる。アンテナANT1のキャリブレーション後の信号OUT
1は、次に示すように1(アンテナANT0のベースバンド信号と同じ)となる。
アンテナANT2のキャリブレーション後の信号OUT
2は、次に示すように1となる。
アンテナANT3のキャリブレーション後の信号OUT
3は、次に示すように1となる。
図10は、本実施の形態に係る無線受信機の動作を例示するタイミングチャートである。
この図10では、ANT0(A)、ANT1(B)、ANT2(C)及びANT3(D)は、アンテナANT0、ANT1、ANT2、ANT3に接続されるDC120,121,122及び123のそれぞれで多重化されたキャリブレーション信号を示している。
また、ANT1(遅延)(E)、ANT2(遅延)(G)及びANT3(遅延)(I)は、遅延器133,134及び135のそれぞれの出力を示している。また、(F)は、ANT0(A)とANT1(遅延)(E)との相関値、(H)は、ANT1(B)とANT2(遅延)(G)との相関値、及び(J)は、ANT2(C)とANT3(遅延)(I)との相関値を示している。
このように、本実施の形態では、アンテナ素子数によらず、アンテナ間の位相差と振幅比を検出することで、キャリブレーションを行うことができる。
図11は、本発明の第7の実施の形態に係る無線送信機の構成を例示するブロック図である。図11に示される無線送信機は、図3に示された第2の実施の形態に係る無線送信機の変形例(その1)を示している。
本実施の形態では、無線送信部に対するキャリブレーション信号として、M系列のPN信号を利用している。M系列のPN信号は、位相差0で相関が最大になり、位相差が1タイミング以上でほぼ無相関となる信号である。
無線送信機は、アンテナANT0,ANT1、信号分岐機能をもつ方向性結合器(DC)150,151、無線送信部152,153、加算器154,155、複素乗算器156、合成器159、ベースバンドへの変換機能をもつ無線受信部160、遅延量τの遅延器158,161、相関検出部162、ウエイト生成部163、周期TのM系列のPN信号であるキャリブレーション信号を生成するキャリブレーション信号生成部157、及び変調部164から構成されている。
キャリブレーション信号生成部157は、送信信号の周期とは異なる周期を有するキャリブレーション信号を生成する。遅延器158は、この生成されたキャリブレーション信号をアンテナ系統に応じて選択的に遅延する。本実施の形態では、遅延器158は、アンテナANT1に対応するベースバンド信号と加算されるキャリブレーション信号を遅延する。
加算器154,155は、キャリブレーション信号生成部157で生成されたキャリブレーション信号及び遅延器158で遅延された生成キャリブレーション信号を、変調部164又は複素乗算器156からの出力とそれぞれ加算し、この加算結果を対応する無線送信部152,153にそれぞれ出力する。
無線送信部152,153は、対応する加算器154,155からの加算結果であるベースバンド信号を無線周波帯域の信号にそれぞれ変換する。この無線周波帯域の信号は、対応するDC150,151を介して、アンテナANT0,ANT1からそれぞれ送信される。
つぎに、DC150,151は、無線送信部152,153からの無線周波帯域の信号を合成器159に分岐する。合成器159は、アンテナANT0,ANT1に対応する無線周波帯域の信号を合成する。無線受信部160は、合成器159からの無線周波帯域の信号をベースバンド信号に変換する。このベースバンド信号は、相関検出部162に入力されると共に、遅延器161に入力される。
遅延器161は、無線受信部160からのベースバンド信号を遅延する。この遅延量は、遅延器158でキャリブレーション信号が遅延された時間と同じ遅延時間τである。相関検出部162は、無線受信部160からのベースバンド信号と、遅延器161で遅延されたベースバンド信号との相関をとる。
この相関検出では、無線送信部152,153から出力された二つの無線周波帯域の信号の位相及び振幅が同じ場合には、キャリブレーション信号の相関は1となる。また、CDMA信号では1チップ以上の遅延差のある信号は無相関である。このため、変調部164から出力されたベースバンド信号は無相関となる。
ウエイト生成部163は、相関検出部162からの相関出力をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器156に出力する。複素乗算器156は、ウエイト生成部163からのウエイトと変調部164からのベースバンド信号を乗算する。この乗算により、無線送信部152,153における位相変動及び振幅変動が補正される。
つぎに、本実施の形態に係る無線送信機によるキャリブレーションについて、式を用いて説明する。
変調部164から出力された送信ベースバンド信号:Tx
アンテナANT0側の無線送信部遅延 :τ
0
アンテナANT1側の無線送信部遅延 :τ
1
アンテナANT0側の無線送信部位相回転:θ
0
アンテナANT1側の無線送信部位相回転:θ
1
とする。
アンテナANT0側の送信ベースバンド信号Tx0及びアンテナANT1側の送信ベースバンド信号Tx1は、次式で表される。
これらの信号は合成器159で合成され、その後、無線受信部160でベースバンド信号Rxに周波数変換される。このベースバンド信号Rxは、次式で表される。
また、遅延器161でτだけ遅延されたベースバンド信号RxDelayは、次式で表される。
このRxとRxDelayの相関は、次式で表される。
ここで、求める相関値R(0)は位相が一致した点(τ=0)であり、また周期性の信号であるので、
また、この相関値R(0)は、式(67)に、式(64)と式(65)とを代入することにより、次式で表される。
ここで、式(68)において、送信信号(CDMA信号)とキャリブレーション信号とは無相関であるか、又は、1チップ以上の時間差のある送信信号(CDMA信号)間の相関であるので、第5項以外はゼロに近似できる。また、第5項は、次のように表される。
ここでTx0を基準とすると、
相関検出部162の出力R(0)に基づいて、ウエイト生成部163は、無線送信部152,153で生じるアンテナ間の位相差及び/又は振幅比を補正するためのウエイトを生成する。このウエイトは、複素乗算器156で変調部164からのベースバンド信号と乗算される。これにより、無線送信部152,153で生じる位相差及び/又は振幅比が補正される。
図12は、本実施の形態に係る無線送信機の動作を例示するタイミングチャートである。
この図では、ANT0(A)は、変調部164から出力されたベースバンド信号(主信号)にキャリブレーション信号が加算された信号を示している。また、ANT1(B)は、変調部164から出力されたベースバンド信号(主信号)に遅延器158で遅延されたキャリブレーション信号が加算された信号を示している。
つぎに、ANT0(A)の信号とANT1(B)の信号は、対応するDC150,151を介して、さらに合成器159で合成され、無線受信部160でベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ANT0+ANT1(C)に示されている。このベースバンド信号が遅延器161で遅延された信号がANT0+ANT1(遅延)(D)に示されている。
このANT0+ANT1(C)とANT0+ANT1(遅延)(D)の信号は、ANT1=PNとANT0=PNでタイミングが同じである。したがって、期間Tにわたり、ANT0+ANT1(C)とANT0+ANT1(遅延)(D)の信号の相関を検出した場合、ANT0+ANT1(遅延)(D)のANT0=PNの信号と、ANT0+ANT1(C)のANT1=PNの信号の相関値Rを検出することができる。これにより、アンテナANT0,ANT1端での位相差及び振幅比の補正を行うことができる。
図13は、本発明の第8の実施の形態に係る無線送信機の構成を例示するブロック図である。図13に示される無線送信機は、図3に示された第2の実施の形態に係る無線送信機の更なる変形例(その2)を示している。
本実施の形態では、送信無線部のキャリブレーション信号として、キャリアホッピング信号を利用している。このキャリアホッピング信号を使用することで、キャリブレーション信号の周波数はタイミングにより異なり、周波数の異なるキャリブレーション信号は無相関となるため、周波数が一致するキャリブレーション信号についてのみ相関をとることができる。
無線送信機は、アンテナANT0,ANT1、信号分岐機能をもつ方向性結合器(DC)170,171、無線送信部172,173、加算器174,175、複素乗算器176、合成器178、ベースバンドへの変換機能をもつ無線受信部179、遅延量τの遅延器180,184、相関検出部181、ウエイト生成部182、周期TのM系列のPN信号であるキャリブレーション信号を生成するキャリブレーション信号生成部183、及び変調部185から構成されている。
キャリブレーション信号生成部183は、送信信号の周期とは異なる周期を有するキャリブレーション信号を生成する。遅延器184は、この生成されたキャリブレーション信号をアンテナ系統に応じて選択的に遅延する。本実施の形態では、遅延器184は、アンテナANT1に対応するベースバンド信号と加算されるキャリブレーション信号のみを遅延する。
加算器174,175は、キャリブレーション信号生成部183で生成されたキャリブレーション信号及び遅延器184で遅延されたキャリブレーション信号を、変調部185又は複素乗算器176からの出力とそれぞれ加算し、この加算結果をそれぞれ対応する無線送信部172,173に出力する。
無線送信部172,173は、加算器174,175からの加算結果であるベースバンド信号を無線周波帯域の信号にそれぞれ変換する。この無線周波帯域の信号は、対応するDC170,171を介して、アンテナANT0,ANT1からそれぞれ送信される。
つぎに、DC170,171は、無線送信部172,173からの無線周波帯域の信号を合成器178にそれぞれ分岐する。合成器178は、アンテナANT0,ANT1に対応する無線周波帯域の信号を合成する。無線受信部179は、合成器178で合成された無線周波帯域の信号をベースバンド信号に変換する。このベースバンド信号は、相関検出部181に入力されると共に、遅延器180に入力される。
遅延器180は、無線受信部179からのベースバンド信号を遅延する。この遅延量は、キャリブレーション信号が遅延器184で遅延された時間と同じ遅延時間τである。相関検出部181は、無線受信部179からのベースバンド信号と、遅延器180で遅延されたベースバンド信号との相関をとる。
この相関検出では、無線送信部172,173から出力される二つの無線周波帯域の信号の位相及び振幅が同じ場合には、キャリブレーション信号の相関は1となる。また、CDMA信号では1チップ以上の遅延差のある信号は無相関である。このため、変調部185から出力されるベースバンド信号は無相関となる。
ウエイト生成部182は、相関検出部181からの相関出力をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器176に出力する。複素乗算器176は、ウエイト生成部182からのウエイトと変調部185からのベースバンド信号を乗算する。この乗算により、無線送信部172,173における位相変動及び振幅変動が補正される。
つぎに、本実施の形態に係る無線送信機によるキャリブレーションについて、式を用いて説明する。
変調部185から出力された送信ベースバンド信号:Tx
アンテナANT0側の無線送信部遅延 :τ
0
アンテナANT1側の無線送信部遅延 :τ
1
アンテナANT0側の無線送信部位相回転:θ
0
アンテナANT1側の無線送信部位相回転:θ
1
とする。
アンテナANT0側の送信ベースバンド信号Tx0及びアンテナANT1側の送信ベースバンド信号Tx1は、次式で表される。
これらの信号は、合成器178で合成され、その後、無線受信部179でベースバンド信号Rxに周波数変換される。このベースバンド信号Rxは、次式で表される。
遅延器180でτ=T/4だけ遅延されたベースバンド信号RxDelayは、次式で表される。
このRxとRxDelayの相関は、次式で表される。
ここで、求める相関値は位相が一致した点(τ=0)であり、また周期性信号なので、
ここで、τ0とτ1の差は前述と同様に無視できるものとして、この相関値R(0)は、式(79)に、式(76)と式(77)とを代入することにより、次式で表される。
第1項と第3項は、周波数が異なるのでゼロに近似できるので、式(80)の相関値R(0)は、
また、式(81)をさらに展開すれば、次式で表される。
ここで、式(82)において、キャリブレーション信号と送信信号とは無相関であるので、第2項、第3項、第6項及び第7項はゼロに近似できる。また、第4項及び第8項は、1チップ以上の時間差のある送信信号(CDMA信号)間の相関であるのでゼロに近似できる。
ここでTx0を基準とすると、
相関検出部181の出力R(0)に基づいて、ウエイト生成部182は、無線送信部172,173で生じるアンテナ間の位相差及び/又は振幅比を補正するためのウエイトを生成する。このウエイトは、複素乗算器176で変調部185からのベースバンド信号と乗算される。これにより、無線送信部172,173で生じるアンテナ間の位相差及び/又は振幅比が補正される。
図14は、本実施の形態に係る無線送信機の動作を例示するタイミングチャートである。
この図では、ANT0(A)は、変調部185からのベースバンド信号(主信号)にキャリブレーション信号が加算された信号を示している。また、ANT1(B)は、変調部185からのベースバンド信号(主信号)に遅延器184で遅延されたキャリブレーション信号が加算された信号を示している。
つぎに、ANT0(A)の信号とANT1(B)の信号は、DC170,171を介して、さらに合成器178で合成され、無線受信部179でベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ANT0+ANT1(C)に示されている。このベースバンド信号が遅延器180で遅延された信号がANT0+ANT1(遅延)(D)に示されている。
このANT0+ANT1(C)とANT0+ANT1(遅延)(D)の信号は、「ANT1−ANT0(遅延)の相関値(E)」のRで示される期間において、ANT1=F0とANT0=F0等のように周波数が同じである。したがって、Rで示される期間にわたり、ANT0+ANT1(C)とANT0+ANT1(遅延)(D)との相関値を検出することができる。これにより、アンテナANT0,ANT1端での位相差及び振幅比の検出及び補正を行うことができる。
図15は、本発明の第9の実施の形態に係る無線送信機の構成を例示するブロック図である。図15に示される無線送信機は、図3に示された第2の実施の形態に係る無線送信機の更なる変形例(その3)を示している。
無線送信機は、アンテナANT0〜ANT3、信号分岐機能をもつ方向性結合器(DC)230〜233、無線送信部234〜237、加算器238〜241、複素乗算器242〜244、合成器250、ベースバンドへの変換機能をもつ無線受信部251、遅延量τ1の遅延器247,252、遅延量τ2の遅延器248,253、遅延量τ3の遅延器249,254、相関検出部255〜257、ウエイト生成部258〜260、周期Tのキャリブレーション信号を生成するキャリブレーション信号生成部246、及び変調部245から構成されている。
本実施の形態に係る無線送信機は、4つのアンテナ素子のそれぞれに対応する4つの系統からなる構成において、所定のアンテナと他のアンテナの間の受信位相差及び振幅比を補正するものである。
この4つの系統について、アンテナANT0に対応する系統は、DC230、無線送信部234及び加算器238等を含んでいる。アンテナANT1に対応する系統は、DC231、無線送信部235、加算器239、遅延器247及び複素乗算器242を含んでいる。アンテナANT2に対応する系統は、DC232、無線送信部236、加算器240、遅延器248及び複素乗算器243を含んでいる。アンテナANT3に対応する系統は、DC233、無線送信部237、加算器241、遅延器249及び複素乗算器244を含んでいる。
キャリブレーション信号生成部246は、送信信号の周期とは異なる周期を有するキャリブレーション信号を生成する。遅延器247〜249は、この生成されたキャリブレーション信号をアンテナ系統に応じて選択的に遅延する。
本実施の形態では、遅延器247は、アンテナANT1に対応するベースバンド信号と加算されるキャリブレーション信号を時間τ1だけ遅延する。遅延器248は、アンテナANT2に対応するベースバンド信号と加算されるキャリブレーション信号を時間τ2だけ遅延する。遅延器249は、アンテナANT3に対応するベースバンド信号と加算されるキャリブレーション信号を時間τ3だけ遅延する。
加算器238〜241は、キャリブレーション信号生成部246で生成されたキャリブレーション信号及び遅延器247〜249で遅延されたキャリブレーション信号を、変調部245又は複素乗算器242〜244からの出力とそれぞれ加算し、この加算結果を対応する無線送信部234〜237にそれぞれ出力する。
具体的には、加算器238は、キャリブレーション信号と変調部245からのベースバンド信号を加算し、この加算結果を無線送信部234に送出する。また、加算器239は、時間τ1だけ遅延されたキャリブレーション信号と複素乗算器242からの出力を加算し、この加算結果を無線送信部235に送出する。また、加算器240は、時間τ2だけ遅延されたキャリブレーション信号と複素乗算器243からの出力を加算し、この加算結果を無線送信部236に送出する。さらに、加算器241は、時間τ3だけ遅延されたキャリブレーション信号と複素乗算器244からの出力とを加算し、この加算結果を無線送信部237に送出する。
無線送信部234〜237は、同じ系統にある加算器238〜241からの加算結果であるベースバンド信号を無線周波帯域の信号にそれぞれ変換する。この無線周波帯域の信号は、同じ系統のDC230〜233を介して、対応するアンテナANT0〜ANT3からそれぞれ送信される。
DC230〜233は、同じ系統の無線送信部234〜237からの無線周波帯域の信号を合成器250にそれぞれ分岐する。合成器250は、アンテナANT0〜ANT3に対応する無線周波帯域の信号を合成する。無線受信部251は、合成器250で合成された無線周波帯域の信号をベースバンド信号に変換する。このベースバンド信号は、3つに分岐される。
具体的には、分岐された第一のベースバンド信号は、相関検出部255に入力されると共に、遅延器252に入力される。この遅延器252は、キャリブレーション信号が遅延器247で遅延された時間と同じ遅延時間τ1だけベースバンド信号を遅延して相関検出部255に送出する。
また、分岐された第二のベースバンド信号は、相関検出部256に入力されると共に、遅延器253に入力される。この遅延器253は、キャリブレーション信号が遅延器248で遅延された時間と同じ遅延時間τ2だけベースバンド信号を遅延して相関検出部256に送出する。さらに、分岐された第三のベースバンド信号は、相関検出部257に入力されると共に、遅延器254に入力される。この遅延器254は、キャリブレーション信号が遅延器249で遅延された時間と同じ遅延時間τ3だけベースバンド信号を遅延して相関検出部257に送出する。
相関検出部255〜257は、無線受信部251からのベースバンド信号と、対応する遅延器252〜254からの遅延されたベースバンド信号との相関をとる。ウエイト生成部258〜260は、対応する相関検出部255〜257からの相関値をウエイトにそれぞれ変換し、対応する複素乗算器242〜244にそれぞれ出力する。
本実施の形態では、ウエイト生成部258は、相関検出部255からの相関値をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器242に送出する。また、ウエイト生成部259は、相関検出部256からの相関値をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器243に送出する。さらに、ウエイト生成部260は、相関検出部257からの相関値をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器244に送出する。
複素乗算器242は、変調部245からのベースバンド信号と、対応するウエイト生成部258〜260からのウエイトとを乗算し、この乗算結果を同じ系統の加算器239〜241にそれぞれ送出する。これらの乗算により、無線送信部234〜237における位相変動及び振幅変動が補正される。
つぎに、本実施の形態に係る無線送信装置によるキャリブレーションについて、式を用いて説明する。
変調部245から出力された送信ベースバンド信号:Tx
アンテナANT0側の無線送信部遅延 :τ
0
アンテナANT1側の無線送信部遅延 :τ
1
アンテナANT2側の無線送信部遅延 :τ
2
アンテナANT3側の無線送信部遅延 :τ
3
アンテナANT0側の無線送信部位相回転:θ
0
アンテナANT1側の無線送信部位相回転:θ
1
アンテナANT2側の無線送信部位相回転:θ
2
アンテナANT3側の無線送信部位相回転:θ
3
とする。
アンテナANT0側の送信ベースバンド信号Tx0、アンテナANT1側の送信ベースバンド信号Tx1、アンテナANT2側の送信ベースバンド信号Tx2及びアンテナANT3側の送信ベースバンド信号Tx3は、次式で表される。
これらの信号は、合成器250で合成され、その後、無線受信部251でベースバンド信号Rxに周波数変換される。このベースバンド信号Rxは、次式で表される。
遅延器252でτ(τ1=τ)だけ遅延されたベースバンド信号RxDelay
1は、次式で表される。
遅延器253で3τ(τ2=3τ)だけ遅延されたベースバンド信号RxDelay
2は、次式で表される。
遅延器254で5τ(τ3=5τ)だけ遅延されたベースバンド信号RxDelay
3は、次式で表される。
ここで、求める相関値は位相が一致した点(τ=0)であり、また周期性の信号であるので、
前述と同様に、RxとRxDelay1の相関は次式で表される。
同様に、RxとRxDelay
2の相関は次式で表される。
同様に、RxとRxDelay
3の相関は、次式で表される。
したがって、アンテナANT1のウエイトは、次式で表される。
また、アンテナANT2のウエイトは、次式で表される。
また、アンテナANT3のウエイトは、次式で表される。
図16は、本実施の形態に係る無線送信機の動作を例示するタイミングチャートである。
この図において、ANT0(A)は、変調部245からのベースバンド信号(主信号)にキャリブレーション信号が直接加算された信号を示している。ANT1(B)は、変調部245からのベースバンド信号に遅延器247で遅延されたキャリブレーション信号が加算された信号を示している。また、ANT2(C)は、変調部245からのベースバンド信号に遅延器248で遅延されたキャリブレーション信号が加算された信号を示している。さらに、ANT3(D)は、変調部245から出力されたベースバンド信号に遅延器249で遅延されたキャリブレーション信号が加算された信号を示している。
また、ANT0(A)、ANT1(B)、ANT2(C)及びANT3(D)は、DC230〜233をそれぞれ介して合成器250で合成され、無線受信部251でベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号がANT0+ANT1+ANT2+ANT3(E)に示されている。
また、このベースバンド信号(E)が遅延器252で遅延された信号がANT0+ANT1+ANT2+ANT3(遅延τ1)(F)に示されている。また、このベースバンド信号(E)が遅延器253で遅延された信号がANT0+ANT1+ANT2+ANT3(遅延τ2)(G)に示されている。さらに、このベースバンド信号(E)が遅延器254で遅延された信号がANT0+ANT1+ANT2+ANT3(遅延τ3)(H)に示されている。
さらに、(I)、(J)及び(K)は、相関検出部255、256及び257でそれぞれ検出された相関値を示している。(I)は、アンテナANT0とアンテナANT1に対応する相関値を示しており、(J)は、アンテナANT0とアンテナANT2に対応する相関値を示しており、及び(K)は、アンテナANT0とアンテナANT3に対応する相関値が示されている。
このように、本実施の形態では、アンテナ素子数によらず、所定のアンテナANT0と他のアンテナANT1,ANT2,ANT3のそれぞれとの相関を検出することで、キャリブレーションを行うことができる。
図17は、本発明の第10の実施の形態に係る無線送信機の構成を例示するブロック図である。図17に示される無線送信機は、図3に示された第2の実施の形態に係る無線送信機の更なる変形例(その4)を示している。
無線送信機は、アンテナANT0〜ANT3、信号分岐機能をもつ方向性結合器(DC)190〜193、無線送信部194〜197、加算器198〜201、複素乗算器202〜204、合成器206、ベースバンドへの変換機能をもつ無線受信部207、遅延量τ1の遅延器208、遅延量τ2−τ1の遅延器209、遅延量τ3−τ2の遅延器210、相関検出部211〜213、ウエイト生成部214〜216、キャリブレーション信号を生成するキャリブレーション信号生成部217、遅延量τ1の遅延器218、遅延量τ2の遅延器219、遅延量τ3の遅延器220、及び変調部205から構成されている。
本実施の形態に係る無線送信機は、図15に示した無線送信機と同様に、4つのアンテナ素子のそれぞれに対応する4つの系統からなる構成において複数のアンテナ間の受信位相差及び振幅比を補正するものである。
この4つの系統について、アンテナANT0に対応する系統は、DC190、無線送信部194及び加算器198等を含んでいる。アンテナANT1に対応する系統は、DC191、無線送信部195、加算器199、遅延器218及び複素乗算器202を含んでいる。アンテナANT2に対応する系統は、DC192、無線送信部196、加算器200、遅延器219及び複素乗算器203を含んでいる。アンテナANT3に対応する系統は、DC193、無線送信部197、加算器201、遅延器220及び複素乗算器204を含んでいる。
キャリブレーション信号生成部217は、送信信号の周期とは異なる周期を有するキャリブレーション信号を生成する。遅延器218〜220は、この生成されたキャリブレーション信号をアンテナ系統に応じて選択的に遅延する。
本実施の形態では、遅延器218は、アンテナANT1に対応するベースバンド信号と加算されるキャリブレーション信号を時間τ1だけ遅延する。遅延器219は、アンテナANT2に対応するベースバンド信号と加算されるキャリブレーション信号を時間τ2だけ遅延する。遅延器220は、アンテナANT3に対応するベースバンド信号と加算されるキャリブレーション信号を時間τ3だけ遅延する。
加算器198〜201は、キャリブレーション信号生成部217で生成されたキャリブレーション信号又は遅延器218〜220で遅延されたキャリブレーション信号を、変調部205又は同じ系統の複素乗算器からの出力とそれぞれ加算し、同じ系統の無線送信部に出力する。
具体的には、加算器198は、キャリブレーション信号と変調部205からのベースバンド信号を加算して、この加算結果を無線送信部194に送出する。加算器199は、遅延器218で遅延されたキャリブレーション信号と複素乗算器202からの出力を加算して、この加算結果を無線送信部195に送出する。加算器200は、遅延器219で遅延されたキャリブレーション信号と複素乗算器203からの出力を加算して、この加算結果を無線送信部196に送出する。加算器201は、遅延器220で遅延されたキャリブレーション信号と複素乗算器204からの出力を加算して、この加算結果を無線送信部197に送出する。
無線送信部194〜197は、同じ系統の加算器198〜201からの加算結果であるベースバンド信号を無線周波帯域の信号にそれぞれ変換する。この無線周波帯域の信号は、同じ系統のDC190〜193を介して、対応するアンテナANT0〜ANT3からそれぞれ送信される。
DC190〜193は、同じ系統の無線送信部194〜197からの無線周波帯域の信号を合成器206にそれぞれ分岐する。合成器206は、アンテナANT0〜ANT3に対応する無線周波帯域の信号を合成する。無線受信部207は、合成器206で合成された無線周波信号をベースバンド信号に変換する。このベースバンド信号は、3つに分岐される。
具体的には、分岐された第一のベースバンド信号は、相関検出部211に入力されると共に、遅延器208に入力される。この遅延器208は、キャリブレーション信号が遅延器218で遅延された時間と同じ遅延時間τ1だけベースバンド信号を遅延し、相関検出部211に送出する。また、分岐された第二のベースバンド信号は、相関検出部212に入力されると共に、遅延器209に入力される。この遅延器209は、キャリブレーション信号が遅延器219で遅延された時間と遅延器218で遅延された時間との時間差τ2−τ1だけベースバンド信号を遅延し、相関検出部212に送出する。さらに、分岐された第三のベースバンド信号は、相関検出部213に入力されると共に、遅延器210に入力される。この遅延器210は、キャリブレーション信号が遅延器220で遅延された時間と遅延器219での遅延された時間の時間差τ3−τ2だけベースバンド信号を遅延し、相関検出部213に送出する。
相関検出部211〜213は、無線受信部207からのベースバンド信号と、対応する遅延器208〜210からの遅延されたベースバンド信号との相関をとる。ウエイト生成部214〜216は、隣のウエイト生成部で生成されたウエイトに基づいて、対応する相関検出部からの相関値をウエイトにそれぞれ変換する。このウエイトは、対応する複素乗算器に出力されると共に、隣のウエイト生成部にも出力される。
具体的には、ウエイト生成部214は、相関検出部211からの相関出力をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器202に送出すると共に、ウエイト生成部215にも送出する。また、ウエイト生成部215は、ウエイト生成部214からのウエイトに基づいて相関検出部212からの相関出力をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器203に送出すると共に、ウエイト生成部216にも送出する。さらに、ウエイト生成部216は、ウエイト生成部215からのウエイトに基づいて相関検出部213からの相関出力をウエイトに変換し、このウエイトを複素乗算器204に送出する。
複素乗算器202〜204は、変調部205からのベースバンド信号と、対応するウエイト生成部214〜216からのウエイトをそれぞれ乗算し、この乗算結果を同じ系統の加算器199〜201にそれぞれ送出する。この乗算処理により、位相差及び振幅比の補正が行われる。これらの乗算により、無線送信部194〜197における位相変動及び振幅変動が補正される。
つぎに、本実施の形態に係る無線送信装置によるキャリブレーションについて、式を用いて説明する。
変調部205から出力された送信ベースバンド信号:Tx
アンテナANT0側の無線送信部遅延 :τ
0
アンテナANT1側の無線送信部遅延 :τ
1
アンテナANT2側の無線送信部遅延 :τ
2
アンテナANT3側の無線送信部遅延 :τ
3
アンテナANT0側の無線送信部位相回転:θ
0
アンテナANT1側の無線送信部位相回転:θ
1
アンテナANT2側の無線送信部位相回転:θ
2
アンテナANT3側の無線送信部位相回転:θ
3
とする。
アンテナANT0側の送信ベースバンド信号Tx0、アンテナANT1側の送信ベースバンド信号Tx1、アンテナANT2側の送信ベースバンド信号Tx2及びアンテナANT3側の送信ベースバンド信号Tx3は、次式で表される。
これらの信号は、合成器206で合成され、その後、無線受信部207でベースバンド信号Rxに周波数変換される。このベースバンド信号Rxは、次式で表される。
遅延器208でτ(τ
1=τ)だけ遅延されたベースバンド信号RxDelay
1は、次式で表される。
遅延器209で2τ(τ
2−τ
1=2τ)だけ遅延されたベースバンド信号RxDelay
2は、次式で表される。
遅延器210で4τ(τ
3−τ
2=4τ)だけ遅延されたベースバンド信号RxDelay
3は、次式で表される。
ここで、求める相関値は位相が一致した点(τ=0)であり、また周期性の信号であるので、
前述と同様に、RxとRxDelay1の相関は次式で表される。
同様に、RxとRxDelay
2の相関は次式で表される。
同様に、RxとRxDelay
3の相関は次式で表される。
したがって、アンテナANT1のウエイトは、次式で表される。
また、アンテナANT2のウエイトは、次式で表される。
また、アンテナANT3のウエイトは、次式で表される。
図18は、本実施の形態に係る無線送信機の動作を例示するタイミングチャートである。
この図において、ANT0(A)は、変調部205から出力されたベースバンド信号(主信号)に、キャリブレーション信号が直接加算された信号を示している。ANT1(B)は、変調部205から出力されたベースバンド信号(主信号)に、遅延器218で遅延されたキャリブレーション信号が加算された信号を示している。ANT2(C)は、変調部205から出力されたベースバンド信号(主信号)に、遅延器219で遅延されたキャリブレーション信号が加算された信号を示している。さらに、ANT3(D)は、変調部205から出力されたベースバンド信号(主信号)に、遅延器220で遅延されたキャリブレーション信号が加算された信号を示している。
また、ANT0(A)、ANT1(B)、ANT2(C)、ANT3(D)の信号は、同じ系統のDC190〜193を経由し、さらに合成器206で合成され、無線受信部207でベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ANT0+ANT1+ANT2+ANT3+ANT4(E)に示されている。
このベースバンド信号に対して、遅延器208で遅延された信号がANT0+ANT1+ANT2+ANT3+ANT4(遅延τ1)(F)に示されている。また、遅延器209で遅延された信号がANT0+ANT1+ANT2+ANT3+ANT4(遅延τ2−τ1)(G)に示されている。さらに、遅延器210で遅延された信号がANT0+ANT1+ANT2+ANT3(遅延τ3−τ2)(H)に示されている。
ベースバンド信号(I)、(J)及び(K)に示されるように、(E)のC1と(F)のC0は、周期Tで同じタイミングを有している。また、(E)のC2と(G)のC1は、周期Tで同じタイミングを有している。さらに、(E)のC3と(H)のC2は、周期Tで同じタイミングを有している。これにより、アンテナANT0とアンテナANT1に対応する相関値、アンテナANT1とアンテナANT2に対応する相関値、及びアンテナANT2とアンテナANT3に対応する相関値を得ることができる。
このように、本実施の形態では、アンテナ素子数によらず、複数のアンテナ間の相関を検出することで、キャリブレーションを行うことができる。
以上、本発明のキャリブレーションの概念が適用された無線受信機及び無線送信機について幾つかの実施の形態が説明された。このキャリブレーションの概念を図19及び図20を用いて要約する。
図19は、本発明のキャリブレーション方法の概念を説明するフローチャートである。この図は、第1の実施の形態に係る無線受信機(図1参照)の動作の概念を要約するものである。本方法は、拡散符号により拡散された無線周波数の信号を受ける複数のアンテナと、該複数のアンテナのそれぞれに設けられた無線受信部と、該複数の受信部の出力を復調する復調部とを有する無線受信機に適用される。
はじめに、キャリブレーション信号生成ステップS101では、受信信号に含まれている拡散符号の周期とは異なる周期のキャリブレーション信号が生成される。次いで、無線周波数変換ステップS102では、ステップS101で生成されたキャリブレーョン信号が無線周波信号に変換される。次いで、加算ステップS103では、複数のアンテナで受信された無線周波信号がステップS102で無線周波信号に変換されたキャリブレーション信号とそれぞれ加算される。次いで、遅延ステップS104では、1つの無線受信部で復調されたベースバンド信号が遅延される。次いで、相関検出ステップS105では、ステップS104で遅延されたベースバンド信号と他の無線受信部で復調されたベースバンド信号の出力との相関が検出される。最後に、補正ステップS106では、ステップS105で検出された相関出力に基づいて、無線受信部で生じる位相差及び振幅比が補正される。
図20は、本発明のキャリブレーション方法の概念を説明するフローチャートである。この図は、第二の実施の形態に係る無線送信機(図3参照)の動作の概念を要約するものである。本方法は、複数のアンテナと、該複数のアンテナのそれぞれに設けられた無線送信部と、該複数の無線送信部に、変調された主信号を出力する変調部とを有する無線送信機に適用される。
はじめに、キャリブレーション信号生成ステップS201では、自己相関が位相差0においてピークを持ち、それ以外の位相差では無相関となるキャリブレーション信号が生成される。次いで、第1の遅延ステップS202では、ステップS201で生成されたキャリブレーション信号が遅延される。次いで、加算ステップS203では、ステップS201で生成されたキャリブレーション信号と、ステップS202で遅延されたキャリブレーション信号が、変調されたベースバンド信号とそれぞれ加算される。次いで、信号分岐ステップS204では、ステップS203での加算結果が無線周波信号にそれぞれ変換され、該無線周波信号が分岐される。
つぎに、合成ステップS205では、ステップS204で分岐された出力が合成される。次いで、ベースバンド変換ステップS206では、ステップS205での合成結果がベースバンド信号に変換される。次いで、第2の遅延ステップS207では、ステップS206で変換されたベースバンド信号が遅延される。次いで、相関検出ステップS208では、ステップS205で変換されたベースバンド信号と、ステップS207で遅延されたベースバンド信号との相関が検出される。最後に、補正ステップS209では、ステップS208で検出された相関出力に基づいて、無線送信部で生じる位相差及び振幅比が補正される。
なお、上述した実施の形態では、受信信号とは異なる周期を有する信号として、幾つかのキャリブレーション信号の例を示した。本発明は、これらに限定されず、たとえば、時間と共に周波数が変化するチャープ信号等も利用することもできる。
図21は、本発明の他の形態に係る無線受信機の構成を例示するブロック図である。この図は、図1の第1の実施の形態に係る無線受信機の構成に対応しており、本図のチャープ信号生成部272が図1のキャリブレーション信号生成部15と置き換えられている点が異なる。
図22は、本発明の他の形態に係る無線送信機の構成を例示するブロック図である。この図は、図3の第2の実施の形態に係る無線受信機の構成に対応しており、本図のチャープ信号生成部293が図3のキャリブレーション信号生成部42と置き換えられている点が異なる。
上述した実施の形態を通して、本発明のキャリブレーション技術に関する概念を付記として以下に示す。
(付記1)
拡散符号により拡散された無線周波信号を受信する複数のアンテナと、該複数のアンテナのそれぞれに接続された無線受信手段とを有する無線受信装置のキャリブレーション方法であって、
前記拡散符号の周期とは異なる周期のキャリブレーション信号を生成するステップと、
前記複数のアンテナ毎に、該アンテナで受信された無線周波信号に該キャリブレーション信号を加算して、無線受信手段に供給するステップと、
第1の無線受信手段から出力されるベースバンド信号と、第2の無線受信手段から出力され、所定量だけ遅延されたベースバンド信号との相関を検出するステップと、
検出された相関値に基づいて、無線受信手段で生じるアンテナ間の位相差及び/又は振幅比を補正するステップと、
を備えるキャリブレーション方法。
(付記2)
前記第2の無線受信手段は、前記複数の無線受信手段のうちのいずれかである、
付記1記載のキャリブレーション方法。
(付記3)
複数のアンテナと、該複数のアンテナのそれぞれに接続された無線送信手段とを有する無線送信装置のキャリブレーション方法であって、
自己相関が位相差ゼロでピークを有し、それ以外の位相差では無相関となるキャリブレーション信号を生成するステップと、
生成されたキャリブレーション信号を、送信されるベースバンド信号に加算して、無線送信手段にそれぞれ供給するステップと、
前記複数のアンテナの送信信号を合成して、ベースバンド信号に変換するステップと、
変換されたベースバンド信号について所定量の遅延を加えた信号と、加えない信号との相関を検出するステップと、
検出された相関値に基づいて、無線送信手段で生じるアンテナ間の位相差及び/又は振幅比を補正するステップと、
を備えるキャリブレーション方法。
(付記4)
拡散符号により拡散された無線周波信号を受信する複数のアンテナと、該複数のアンテナのそれぞれに接続された無線受信手段とを有する無線受信装置であって、
前記拡散符号の周期とは異なる周期のキャリブレーション信号を生成する生成手段と、
生成されたキャリブレーョン信号を無線周波信号に変換する変換手段と、
前記複数のアンテナ毎に、当該アンテナで受信された無線周波信号に、無線周波信号に変換されたキャリブレーョン信号を加算する加算手段と、
第1の無線受信手段からのベースバンド信号を遅延する遅延手段と、
該遅延手段の出力と第2の無線受信手段からのベースバンド信号との相関を検出する検出手段と、
該検出手段の出力に基づいて、無線受信手段で生じるアンテナ間の位相差及び/又は振幅比を補正する補正手段と、
を備える無線受信装置。
(付記5)
前記第2の無線受信手段は、前記複数の無線受信手段のうちのいずれかである、
付記4記載の無線受信装置。
(付記6)
前記キャリブレーション信号は、M系列のスペクトラム拡散信号である、
付記4記載の無線受信装置。
(付記7)
前記キャリブレーション信号は、マルチキャリア信号である、
付記4記載の無線受信装置。
(付記8)
前記キャリブレーション信号は、チャープ信号である、
付記4記載の無線受信装置。
(付記9)
該検出手段は、複数のアンテナ間の位相差と振幅比を検出する、
付記4乃至8のいずれか記載の無線受信装置。
(付記10)
該検出手段は、所定のアンテナと他のアンテナ間の位相差と振幅比を検出する、
付記4乃至8のいずれか記載の無線受信装置。
(付記11)
複数のアンテナと、該複数のアンテナのそれぞれに接続された無線送信手段とを有する無線送信装置であって、
自己相関が位相差ゼロでピークを有し、それ以外の位相差では無相関となるキャリブレーション信号を生成する生成手段と、
該生成手段の出力に所定量の遅延を加える第1の遅延手段と、
前記キャリブレーション信号を、送信されるベースバンド信号に加算して第1の無線送信手段に供給する第1の加算手段と、
該第1の遅延手段の出力を、送信されるベースバンド信号に加算して第2の無線送信手段に供給する第2の加算手段と、
前記複数のアンテナの送信信号を分岐する分岐手段と、
該分岐手段の出力を合成する合成手段と、
該合成手段の出力をベースバンド信号に変換する変換手段と、
該変換手段からのベースバンド信号に前記所定量の遅延を加える第2の遅延手段と、
該第2の遅延手段の出力と該第2の遅延手段を介さないベースバンド信号との相関を検出する検出手段と、
該検出手段の出力に基づいて、無線送信手段で生じるアンテナ間の位相差及び振幅比を補正する補正手段と、
を備える無線送信装置。
(付記12)
前記キャリブレーション信号は、M系列のスペクトラム拡散信号である、
付記11記載の無線送信装置。
(付記13)
前記キャリブレーション信号は、周波数ホッピング信号である、
付記11記載の無線送信装置。
(付記14)
前記キャリブレーション信号は、チャープ信号である、
付記11記載の無線送信装置。
(付記15)
該検出手段は、アンテナ間の位相差と振幅比を検出する、
付記11乃至14のいずれか記載の無線送信装置。
(付記16)
該検出手段は、所定のアンテナと他のアンテナ間の位相差と振幅比を検出する、
付記11乃至14のいずれか記載の無線送信装置。