JP4405320B2 - 赤外線加熱単結晶製造装置 - Google Patents
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Description
回転楕円面鏡は、水冷式の金属筐体内面に作製されており、通常、赤外線の反射率が大きく、耐酸化性の大きい金メッキが施されている。
浮遊溶融帯を形成し、それを保持するための制御は、主として赤外線ランプの出力調整および上軸と下軸の回転速度調整で行うが、効果が大きいのは赤外線ランプの出力調整である。浮遊溶融帯は、融液の表面張力によって原料棒と単結晶との間に保持されるため、加熱面積を小さく、融液量が可能な限り少なくなるように赤外線ランプの出力を調整し融液の脱落を防止する。
なお、FZ法の加熱方式には、赤外線加熱以外に高周波加熱、フィラメント抵抗加熱などもあるが、電気抵抗率および融点が高い物質に対しては赤外線加熱が最適であり、温度制御も容易である。
ルチル単結晶の製造方法には、ベルヌーイ法と呼ばれる、酸素−水素バーナー中に酸化チタン粉末を少量ずつ投入し、溶融した融液を種結晶上に堆積させながら単結晶を成長させる方法がある。
この欠点を解決するためにも赤外線加熱式のFZ法が用いられている。FZ法によれば、長さ方向にほぼ一定の直径を有する円柱状結晶が得られ、サブグレインも非常に少ない良質の単結晶が得られるが、成長速度がベルヌーイ法と比較して遅く、さらに単結晶の直径も小さいという欠点があるため、製造コストはベルヌーイ法より高くなるという問題があった。
単結晶の直径を大きくするためには、被加熱部の中心部まで溶融できるような強力な集光熱を供給しなければならないが、そのために高出力ハロゲンランプを採用することが必要である。
また一方で、回転楕円面鏡を2台から4台にすることでハロゲンランプ一個当たりの定格出力を低下させる試みも行われている。低出力ハロゲンランプを使うことで発光部が狭くなるためそれぞれの回転楕円面鏡の焦点は小さくできるが、4台の回転楕円面鏡の焦点をすべて被加熱部に集中させるのが難しく、2台の回転楕円面鏡と高出力ハロゲンランプを組み合わせ使用した場合と同様に加熱面積が拡大して浮遊溶融帯の形成・保持が難しい。
この赤外線加熱単結晶製造装置は、単結晶側の固液界面近傍に照射された赤外線の集光熱を遮光物で吸収することにより加熱面積が拡大しないように制御している。
また、高出力ハロゲンランプを使用する代わりに高輝度、低電力かつ長寿命のキセノンショートアークランプを使用することも可能である。キセノンショートアークランプは発光部が小さく、加熱面積を小さく絞り込むことができる。
本発明は、赤外線加熱単結晶製造装置における上記問題を解決するものであって、直径の大きな単結晶の成長を可能とすることで、単結晶の製造コストを低減し、工業生産用に適した赤外線加熱単結晶製造装置を提供することを目的とする。
しかし、従来の赤外線加熱単結晶製造装置が被加熱部を取り囲むように回転楕円面鏡を設置して赤外線ランプから放射される赤外線を直接被加熱部に集光していたのに対し、本発明では出射光の散乱を抑制するレンズを備えた光ファイバーの一方の端部を被加熱部の周囲に複数配置し、光ファイバーの他方の端部を光源ユニットの赤外線集光部に接続している。これにより、赤外線ランプから放射される赤外線は、回転楕円面鏡で集光されて光ファイバーに入り、出射光の散乱を抑制するレンズから出射され、赤外線の照射面積を拡大することはない。
また、光ファイバーには出射光の散乱を抑制するレンズを設けないと、赤外線が広く散乱してしまうため加熱面積が拡大する。出射光の散乱を抑制するレンズによって光ファイバー内を伝播してくる赤外線は、光ファイバーの断面積とほぼ同程度の照射面積を有する平行光として被加熱部を照射することが可能となる。
出射光の散乱を抑制するレンズを備えた光ファイバーの端部は、被加熱部の周囲複数箇所に配置しなければならない。浮遊溶融帯を形成、保持するには、被加熱部の外周表面が均一な温度となるように制御することが重要である。そのため上軸と下軸を回転させるが、出射光の散乱を抑制するレンズを備えた光ファイバーの端部が一箇所にしか配置されない場合は、上軸と下軸を回転させても被加熱部の加熱側とその反対側との温度差を縮めることが難しく、浮遊溶融帯の形成を困難にする。
従って、浮遊溶融帯を形成、保持するためには、光ファイバーを2本以上配置する必要があり、直径の大きい単結晶を成長させるには4本以上配置するのが好ましい。出射光の散乱を抑制するレンズを備えた光ファイバーの端部の数は、対象物質の融点や比熱および目標とする直径に応じて任意に変更する。
赤外線ランプに通電すると、発光部から放射された赤外線は回転楕円面鏡で集光され、集光した赤外線が光ファイバーを伝播し、出射光の散乱を抑制するレンズを通して平行光となって被加熱部を照射するため、加熱面積が小さく被加熱部のみを局所的に高温加熱できる。
従って、従来のような赤外線ランプの出力増加に伴う加熱面積拡大の影響を受けにくく、融液量の少ない安定した浮遊溶融帯が形成、保持でき、直径の大きな単結晶の製造が可能となる。
しかし、従来の赤外線加熱単結晶製造装置が被加熱部を取り囲むように回転楕円面鏡を設置して赤外線ランプから放射される赤外線を直接被加熱部に集光していたのに対し、この赤外線加熱単結晶製造装置では出射光の散乱を抑制するレンズを備えた光ファイバーの一方の端部を被加熱部の周囲に複数配置し、光ファイバーの他方の端部を光源ユニットに設けた複合放物面反射型集光器の赤外線集光部に接続している。光ファイバーの構成は前述の通りである。
光源ユニットは、水冷式の金属製筐体内面に作製された複合放物面反射型集光器と、それに向かい合うように取り付けられた赤外線ランプから構成されるものであり、複合放物面反射型集光器の焦点である赤外線集光部に光ファイバーの端部が接続される。
従って、従来のような赤外線ランプの出力増加に伴う加熱面積拡大の影響を受けにくく、融液量の少ない安定した浮遊溶融帯が形成、保持でき、直径の大きな単結晶の製造が可能となる。
この赤外線加熱単結晶製造装置は、原料棒Sを取り付ける上軸1と、単結晶Cを取り付ける下軸2と、出射光の散乱を抑制するレンズ12を設けた複数の光ファイバー4と、雰囲気制御するためのガスシールド3と、雰囲気制御とレンズ12からの赤外線を透過させるための石英管5と、光ファイバー4の出射光の散乱を抑制するレンズ12を設けた方の端部を被加熱部の周囲に支持する光ファイバー支持具6と、赤外線ランプ10と回転楕円面鏡9で構成され光ファイバー4の他方の端部が接続された光源ユニット20とを備えている。
また、光ファイバー4の端部は、被加熱部の周囲に被加熱部を中心として等間隔の角度をもって配置するのがよい。例えば、光ファイバー4が2本の場合は、被加熱部を中心として180°毎に配置し、光ファイバー4が4本の場合は、被加熱部を中心として90°毎に配置するのが最適である。
水冷式の金属筐体8の内部に作られた回転楕円面鏡9は、通常厚さ10μm程度の金メッキが施される。なお、温度上昇が抑制できるなら、水冷式の金属筐体8は空冷式に変更しても構わない。
使用する赤外線ランプ10は、融点が2000℃までの物質の単結晶を成長させる場合、ハロゲンランプまたはハロゲンランプとキセノンショートアークランプを組み合わせ使用し、2000℃を超える物質についてはキセノンショートアークランプまたはハロゲンランプとキセノンショートアークランプを組み合わせ使用するのが良い。
一方のキセノンショートアークランプは、ハロゲンランプと比較して発光部11が非常に小さいため焦点が小さく、極めて大きな集光熱を得ることが可能になる。ただし、放電ランプ特有の熱の揺らぎがあるため、温度が僅かに変動する。温度制御は、ハロゲンランプのようにフィラメントに印加する電圧を調整できないため、複数設けられたキセノンショートアークランプの一個から数個について点灯、消灯を行うことで制御する。
集光する方法は、回転楕円面鏡9のみの使用でなく、回転楕円面鏡9と平面反射鏡を組み合わせ使用することも可能である。
以上は赤外線加熱単結晶製造装置の実施の一形態を示すものであり、上記内容にとらわれず、制御性がよく、直径の大きな単結晶が効率よく製造できる機構を採用することができる。
上軸1に原料棒Sとして酸化チタン粉末の焼結体(直径18mm)、下軸2に単結晶Cとしてルチル単結晶の種を取り付け、上軸1の回転速度30rpm、下軸2の回転速度38rpm、上軸1の下降速度4.5〜9.0mm/h、下軸2の平均下降速度4.5mm/hで適度にハロゲンランプ出力のバランスをとりながら単結晶を成長させ、被加熱部に浮遊溶融帯Fを形成、保持できた状態で被加熱部表面の結晶成長方向の温度分布を調べた。
被加熱部を回転楕円面鏡を有する2組の水冷式の金属製筐体で覆い、それぞれの回転楕円面鏡に3.5kWのハロゲンランプを使用した従来の赤外線加熱単結晶製造装置を使用し、実施例1と同様に上軸に酸化チタン粉末の焼結体(直径18mm)、下軸にルチル単結晶の種を取り付け、上軸の回転速度30rpm、下軸の回転速度38rpm、上軸の下降速度4.5〜9.0mm/h、下軸の平均下降速度4.5mm/hで適度にハロゲンランプ出力のバランスをとりながら単結晶を成長させ、被加熱部に浮遊溶融帯Fを形成、保持できた状態で被加熱部表面の結晶成長方向の温度分布を調べた。
結果は図3に示すように、被加熱部中心を凸とした温度変化の小さな温度分布を示し、被加熱部中心から上下に約7mmに固液界面を有する浮遊溶融帯Fが形成、保持できた。上軸の下降速度は5.0mm/hまでの単結晶の成長が可能で、得られたルチル単結晶の直径は19mmであった。
この赤外線加熱単結晶製造装置では、光源ユニット40以外の部分は、原料棒Sを取り付ける上軸1、単結晶Cを取り付ける下軸2と、出射光の散乱を抑制するレンズ12を設けた複数の光ファイバー4と、雰囲気制御するためのガスシールド3と、雰囲気制御とレンズ12からの赤外線を透過させるための石英管5と、光ファイバー4の出射光の散乱を抑制するレンズ12を設けた方の端部を被加熱部の周囲に支持する光ファイバー支持具6とで構成されており、図1のものと同様であるので詳細な説明は省略する。
使用する赤外線ランプ10は、融点が2000℃までの物質の単結晶を成長させる場合、ハロゲンランプまたはハロゲンランプとキセノンショートアークランプを組み合わせ使用し、2000℃を超える物質についてはキセノンショートアークランプまたはハロゲンランプとキセノンショートアークランプを組み合わせて使用するのが良い。
2 下軸
3 ガスシールド
4 光ファイバー
5 石英管
6 光ファイバー支持具
7 光ファイバーコネクター
8 金属製筐体
9 回転楕円面鏡
10 赤外線ランプ
11 発光部
12 レンズ
13 赤外線集光部
20 光源ユニット
40 光源ユニット
41 光ファイバー細線
42 球面レンズ
43 赤外線集光部
48 金属製筐体
49 複合放物面反射型集光器
C 単結晶
F 浮遊溶融帯
L1、L2 赤外線
S 原料棒
Claims (1)
- 原料棒を取り付ける上軸と、単結晶を取り付ける下軸と、原料棒と単結晶とが接合する部分である被加熱部を集光した赤外線で加熱するための光源ユニットとを備え、被加熱部を加熱溶融することで浮遊溶融帯を形成し、単結晶を成長させる赤外線加熱単結晶製造装置であって、
光源ユニットを赤外線ランプと赤外線ランプから放射される赤外線を集光する複合放物面反射型集光器とで構成し、
出射光の散乱を抑制するレンズを備えた光ファイバーの一方の端部を被加熱部の周囲に複数配置し、
光ファイバーの他方の端部を光源ユニットに設けた複合放物面反射型集光器の赤外線集光部に接続したことを特徴とする赤外線加熱単結晶製造装置。
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