JP4403848B2 - 車両用前照灯装置 - Google Patents

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本発明は、車両の前面に配設された前照灯について、その光軸を調整可能に構成した車両用前照灯装置に関する。
従来、ステアリングに入力された操舵角に応じて、車両の前面に配設した前照灯の光軸方向を、道路面と略平行な面内において変更し得るよう構成した車両用前照灯装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、一般に、車両を運転するドライバーは、前方に延びる道路を目視しながら運転操作を実施するため、前方の道路形状に曲率変化があるような場合には、上記操舵角をそのまま維持したときの車両の進行方向と、実際の道路の方向とが必ずしも一致しない場合がある。
そのため、上記の車両用前照灯装置では、カーブ手前の直線道路等、道路曲率が急激に変動する状況において、ドライバーが目視したいと感じるカーブの先へ、前照灯の光軸を向けることが難しい。
そこで、前方の道路形状の曲率変化に対応するため、GPS(Global Positioning System)等の位置検知手段による位置情報と、地図情報とを関連付けしたナビゲーションシステムと組み合わせてなり、該ナビゲーションシステムと協調して前照灯の光軸方向を制御するよう構成したナビ協調制御型の車両前照灯装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
このようなナビ協調制御型の車両前照灯装置は、前方の道路構造に関する情報を、事前に取得し得るため、道路曲率が変動する走行状況においても、前照灯の光軸を適切に道路方向に向けることが可能である。
しかしながら、上記従来のナビ協調制御型の車両用前照灯装置では、次のような問題がある。すなわち、ナビゲーションシステムが参照する電子地図情報の精度が十分でないと、前照灯の光軸を適切に制御することが難しくなる。
例えば、直線路からカーブへ侵入する際、車両用前照灯装置が認識する変曲点の位置に誤差があり、実際の道路の変曲点(直線路とコーナー路との接続点)との間にずれがあると、前照灯の光軸を調整するタイミングが早すぎたり、遅すぎたりするおそれがある。
さらに、車両の前方の道路構造に分岐路が含まれる場合には、いずれの分岐方向に進入するかについてのドライバーの意志を把握できなければ、前照灯の光軸方向を適正に調整することは困難である。
特開昭61−211146号公報(第2頁、第1図) 特許第3111153号公報(明細書中の段落番号「0011」〜「0016」、第3図)
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、電子地図情報の精度や、道路構造の如何に関わらず、車両前方の視界を良好に確保し得るナビ協調制御型の車両用前照灯装置を提供しようとするものである。
本発明は、車両の前面に配設した左右一組の前照灯の光軸を、道路面に対して略水平な面内において調整可能に構成した車両用前照灯装置において、
車両位置を検知する位置検知センサ及び、電子地図情報を格納した地図データベースを含み、上記車両位置に基づいて上記地図データベースを参照し、車両の進路をなす道路の構造を表す道路データを出力する道路データ出力手段と、
上記前照灯のうち一方の前照灯である主灯の光軸方向を調整する第1のスイブル手段と
上記前照灯のうち他方の前照灯である副灯の光軸方向を調整する第2のスイブル手段と、
上記各スイブル手段を、それぞれ独立して制御するよう構成した制御手段と
車両の速度を検出する車速検出手段と、
ステアリングの操舵角を検出する操舵角検出手段とを有してなり、
上記制御手段は、上記第2のスイブル手段とは独立して上記第1のスイブル手段を制御するよう構成してあり
かつ、上記車速検出手段から入力した車速と、上記道路データ出力手段から入力した上記道路データとに基づいて、所定時間後の予測車両位置を計算し、該予測車両位置を見込む方向を道路方向として算出すると共に、上記操舵角に基づいて車両の推定進路方向を算出し、上記第1のスイブル手段を制御して上記主灯の光軸方向を上記道路方向に一致するよう調整すると共に、上記第2のスイブル手段を制御して上記副灯の光軸の方向を上記推定進路方向に一致するよう調整する片眼のナビ協調制御を実施可能に構成してあることを特徴とする車両用前照灯装置にある(請求項1)。
本発明の車両用前照灯装置は、上記道路データに基づいて上記第1のスイブル手段を制御することにより、上記主灯の光軸方向のみを上記道路データに基づいて調整する上記片眼のナビ協調制御を実施し得るように構成してある。
そのため、上記主灯により、前方の道路方向、すなわち、運転者の視線方向に当たる道路方向を適切に照明することができる。そして、上記の片眼のナビ協調制御によれば、もしも仮に、上記道路データに基づいて上記主灯の光軸が適切でない方向に調整されたような場合であっても、上記道路データとは独立して制御する上記副灯により、車両前方における一定の照明状態を確保することができる。
ここで、上記片眼のナビ協調制御を実施中の上記第2のスイブル手段の制御方法としては、上記副灯の光軸を車両軸と略一致するように調整する制御方法や、車両の操舵輪の切れ角との相関が高いステアリングの操舵角に基づいて上記副灯の光軸を調整する制御方法等が考えられる。
本発明の上記位置検知センサとしては、人工衛星から発射される電波信号を利用して測位するGPSセンサや、ガスレートセンサなどのヨーレートセンサ、ジャイロ等に基づく慣性航法方式により位置検出する慣性航法センサや、さらに両者を組み合わせて精度高く位置検出するハイブリッドセンサ等が考えられる。
また、上記前照灯としては、車両のヘッドライトを利用しても良く、その他、車両のヘッドライトとは別に配設した補助灯を利用することもできる。
また、上記制御手段は、上記道路データに基づいて、上記左右一組の前照灯のうちの一方を主灯に設定すると共に他方を副灯に設定して、上記片眼のナビ協調制御を実施するように構成してある
上記制御手段が、上記左右一組の前照灯のうちの一方を主灯に設定すると共に他方を副灯に設定する。そして、上記道路データに基づいて、上記第1のスイブル手段により上記主灯を制御することで、上記主灯の光軸方向のみを上記道路データに基づいて調整する上記片眼のナビ協調制御を実施する。
そのため、上記主灯により、前方の道路方向、すなわち、運転者の視線方向に当たる道路方向を適切に照明することができる。そして、上記の片眼のナビ協調制御によれば、たとえ、上記道路データに基づいて上記主灯の光軸が適切でない方向に調整されたような場合であっても、上記道路データとは独立して制御する上記副灯により、車両前方における一定の照明状態を確保することができる。
ここで、上記片眼のナビ協調制御における上記第2のスイブル手段の制御方法としては、上記副灯の光軸を車両軸と略一致するように調整する制御方法や、車両の操舵輪の切れ角との相関が高いステアリングの操舵角に基づいて上記副灯の光軸を調整する制御方法等が考えられる。
また、上記制御手段は、上記推定進路方向を、上記操舵角及び上記車速検出手段から入力した車速に基づいて、所定時間後に予測される予測車両位置を見込む方向として算出するように構成してあることが好ましい(請求項2)。
また、上記制御手段は、上記道路方向と上記推定進路方向との角度偏差が、所定の角度の範囲にあるときに上記片眼のナビ協調制御を実施し、上記角度偏差が上記所定の角度の範囲を超えたときは、所定の時間をかけて、上記道路方向を上記推定進路方向に一致するよう調整する復帰制御を実施するように構成してあることが好ましい(請求項3)。
また、上記制御手段は、上記各スイブル手段を同様に制御することにより、上記主灯及び副灯の光軸を、上記道路データに基づいて算出した道路方向に一致するよう調整する両眼のナビ協調制御も実施可能であり、
該両眼のナビ協調制御と、上記片眼のナビ協調制御とを切り替えて実施するよう構成してあることが好ましい(請求項)。
この場合には、上記片眼のナビ協調制御と上記両眼のナビ協調制御とを切り換えて実施することで、車両の前方の領域を適切に照明することができる。
また、上記車両用前照灯装置は、上記地図データベースに格納した上記電子地図情報を加工して、該電子地図情報の位置精度を向上する更新手段を有してなり、
上記制御手段は、上記道路データ出力手段から出力される上記道路データが、上記更新手段により位置精度を向上した上記電子地図情報に基づくデータであるか否かによって、上記片眼のナビ協調制御と上記両眼のナビ協調制御とを切り換えて実施するように構成してあることが好ましい(請求項)。
この場合には、上記車両用前照灯装置は、上記車両位置に基づいて参照する上記電子地図情報の位置精度を、上記更新手段により向上してある場合には、信頼性の高い上記道路データに基づいて、上記両眼のナビ協調制御を実施する。
一方、上記車両位置に基づいて参照する上記電子地図情報について、上記更新手段による加工が未実施或いは十分でない場合には、上記前照灯のうち上記主灯の光軸方向のみを、上記道路データに基づいて制御する上記片眼のナビ協調制御を実施する。
そのため、上記車両用前照灯装置によれば、上記電子地図情報の位置精度が十分でないことに起因して上記主灯の光軸方向が誤って設定されても、上記副灯による照明によりドライバーの視界を確保することができる。
一方、上記電子地図情報の位置精度が向上してある場合には、精度の高い上記道路データに基づいて、両側の上記前照灯の光軸方向を適切に調整して、さらに良好に車両の進路方向を照明することができる。
なお、上記更新手段としては、自車両が実走行した際に採取し、その都度、保存した位置データに基づいて、上記電子地図情報が有する位置情報を更新してその上記位置精度を向上する方法や、外部のサーバー等との通信を可能とする通信手段等を介して、高精度な地図情報を取得し、該地図情報を用いて上記電子地図情報の上記位置精度を向上する方法等がある。
また、上記道路データは、道路の種別を表す種別情報を有してなり、上記制御手段は、上記道路データが表す道路の種別に応じて、上記片眼のナビ協調制御を実施するか上記両眼のナビ協調制御を実施するかを切り換えるように構成してあることが好ましい(請求項)。
この場合には、幹線道路や主要国道など、一般に、上記電子地図情報における位置精度が高いと期待できる道路では、精度の高い上記道路データに基づいて、上記両眼のナビ協調制御を実施することで車両の前方をさらに良好に照明することができる。
一方、一般道など、位置精度が十分に期待できない道路では、上記片眼のナビ協調制御を実施することで、上記主灯の光軸方向の適否によらず、上記副灯によりドライバーの視界を確保することができる。
また、上記車両用前照灯装置は、ステアリングの操舵角を検出する操舵角検出手段を有してなり、
上記制御手段は、上記片眼のナビ協調制御においては、上記操舵角に基づいて車両の推定進路の方向を演算すると共に、上記第2のスイブル手段を制御して、上記副灯の光軸の方向を、上記推定進路の方向に一致するよう調整するように構成してある
これにより、上記片眼のナビ協調制御を実施している間に、上記副灯を上記推定進路の方向に向けることにより、上記主灯の光軸方向が誤って設定された場合にも、上記副灯による照明により、車両の進行方向を照明することができる。
また、上記車両用前照灯装置は、ステアリングの操舵角を検出する操舵角検出手段を有してなり、
上記制御手段は、上記操舵角に基づいて、車両の推定進路の方向を演算するように構成してあり、上記道路データに基づいて調整した上記前照灯の光軸の方向と、上記推定進路の方向との角度偏差が、所定の角度の範囲にあるときに上記ナビ協調制御を実施し、上記角度偏差が上記所定の角度の範囲を超えたときは上記ナビ協調制御を実施しないように構成してあり、
上記制御手段は、上記角度偏差が上記所定の角度を超えた後の所定の時間をかけて、上記前照灯の光軸の方向を、上記推定進路の方向に一致するよう調整する復帰制御を実施するように構成してあることが好ましい
この場合には、上記道路データに基づいて調整した上記前照灯の光軸の方向と、上記推定進路の方向との比較により、上記前照灯の光軸方向が誤っている可能性があることを検知することができる。
そしてその後、上記所定の時間をかけて上記復帰制御を実施することにより、ドライバーに違和感を与えるおそれ少なく、上記前照灯の光軸の方向を上記推定進路の方向に略一致させることができる。
ここで、上記所定の時間としては、3秒以下に設定するのが好ましい。この場合には、ドライバーが感じる違和感を抑制できると共に、上記前照灯の光軸の方向を速やかに回復することができる。
また、上記主灯は、上記左右一組の前照灯のうち、車両の走行時に対向車線側に位置する前照灯であり、上記副灯は、上記左右一組の前照灯のうち、他方の前照灯であることが好ましい(請求項)。
この場合には、対向車線側の上記前照灯により、車両の前方に延びる道路の方向を適切に照明することができる。
また、上記主灯は、上記左右一組の前照灯のうち、上記道路方向が向かう側にある前照灯であり、上記副灯は、上記左右一組の前照灯のうち、他方の前照灯であることが好ましい(請求項)。
この場合には、上記左右一組の前照灯のうち上記道路方向が向かう側にある前照灯を、上記道路方向に向けることができる。
また、上記主灯は、上記左右一組の前照灯のうち、上記道路方向が変化する方向に当たる側の前照灯であり、上記副灯は、上記左右一組の前照灯のうち、他方の前照灯であることが好ましい(請求項)。
ここで、上記道路方向が変化する方向とは、前方道路の曲率が変化する方向をいう。例えば、直進路から右カーブへの進入時には右となり、右カーブから直進路への脱出時には左となる。また、例えば、S字カーブにおける、1つめの右カーブから2つめの左カーブへの進入時には、左となる。さらに、例えば、直進路から左カーブへの進入時には左となり、左カーブから直進路への脱出時には右となり、S字カーブにおける、1つめの左カーブから2つめの右カーブへの進入時には、右となる。さらには、上記変化する方向は、右カーブを走行中において、前方の道路形状がさらに小さな曲率の右カーブである場合には右となり、右カーブを走行中において、前方の道路形状が大きな曲率の右カーブである場合には左となる。
あるいは、上記道路形状を、右カーブ側をプラスとし、左カーブ側をマイナスとし、直進路を中立ゼロとした曲率により表現すると、上記変化する方向を、次のように数学的に表現することができる。すなわち、上記道路形状を表現する曲率を時間的に微分した微分値がプラスであるときには、上記変化方向は右となり、上記微分値がマイナスであるときには、上記変化方向が左となる。
そして、上記のごとく上記変化する方向側の上記前照灯を、上記主灯として設定し、その光軸方向を上記道路方向に基づいて制御する場合には、前方の道路形状が変化するような走行状況において、通常、運転者の視線が向かう側に位置した上記前照灯を上記主灯として設定し、該主灯を用いて上記道路方向、すなわち、運転者が見たい方向を適切に照明することができる。
例えば、コーナーへの進入時には、左右前照灯のうち、前方のコーナーの内側に向かう運転者の視線の方向の側にある前照灯を主灯とし、反対側の前照灯を副灯とすることができる。また、コーナーからの脱出時(コーナーから直線への遷移時)には、コーナーの内側に向かっていた運転者の視線の方向が外側に向かって戻るように変化するのに応じて、左右前照灯のうち、運転者の視線の方向が変化して向かう側にある前照灯を主灯とし、反対側の前照灯を副灯とすることができる。
また、車両の右側に配設した上記前照灯の光軸の方向の調整範囲は、車両軸と平行な中心軸から右側外方に拡がる所定の範囲に制限してあり、車両の左側に配設した上記前照灯の光軸の方向の調整範囲は、車両軸と平行な中心軸から左側外方に拡がる所定の範囲に制限してあることが好ましい(請求項10)。
この場合には、上記左右一組の前照灯による照明領域を、水平方向に拡大して、ドライバーの視界を広く確保することができる。
また、上記制御手段は、車両に搭載したナビゲーションシステムが経路案内を実施しているか否かを示すモード信号を入力すると共に、上記ナビゲーションシステムが経路案内を実施している最中に上記ナビ協調制御を実施し、経路案内を実施していないときには上記ナビ協調制御を実施せず、上記各スイブル手段を同様に制御して、上記主灯及び副灯の光軸の方向を上記推定進路方向に一致するよう調整するように構成してあることが好ましい(請求項11)。
この場合には、車両の前方に分岐路や交差点等が有る場合であっても、車両が進入する方向を、事前に、確実性高く把握することができる。
そのため、車両の進路をなす道路構造の如何によらず、上記前照灯の光軸を、車両が進入する道路方向に向けることができる。
また、上記道路データ出力手段が出力する上記道路データは、道路の種別を表す種別情報を有してなり、上記制御手段は、上記道路データが表す道路の種別に応じて、上記ナビ協調制御を実施するか否かを切り換えるように構成してあることが好ましい(請求項12)。
この場合には、一般道や、山道など、一般に、上記電子地図情報における位置精度を十分に期待できない道路では、上記ナビ協調制御を中止することで、上記車両用前照灯装置の誤動作を未然に回避することができる。
さらに、上記道路データとして分岐路や、交差点などを特定する情報を含めた場合には、例えば、分岐路や交差点など、運転者の意志により進行方向を選択し得る走行状況において上記ナビ協調制御を中止することで、上記車両用前照灯装置の誤動作を未然に回避できる。
また、上記車両用前照灯装置は、車両の速度を検出する車速検出手段を有してなり、
上記制御手段は、上記車速検出手段から入力した車速と、上記道路データ出力手段から入力した上記道路データとに基づいて、所定時間T秒後の予測車両位置を計算し、該予測車両位置を見込む方向を上記道路方向として設定するように構成してある
この場合には、上記道路データと上記車速との組み合わせにより上記予測車両位置を予測し、該予測車両位置を見込む方向に上記前照灯の光軸方向を向けることで、車速が低いほど近くに、車速が高いほど遠くに設定される傾向があるドライバーの注視領域を、適切に照明することができる。
(実施例1)
本例の車両用前照灯装置1について、図1〜図23を用いて説明する。
本例の車両用前照灯装置1は、図1に示すごとく、車両100の前面に配設した左右一組の前照灯110、120の光軸を水平方向に調整可能に構成してなる。
上記車両用前照灯装置1は、車両位置を検知する位置検知センサ21及び、電子地図情報を格納した地図データベース22を含み、車両位置に基づいて地図データベース22を参照し、車両100の進路をなす道路の構造を表す道路データを出力する道路データ出力手段20と、前照灯110、120のうち一方の前照灯である主灯(本例では、前照灯110。)の光軸方向を調整する第1のスイブル手段(本例では、スイブル装置11。)と、上記前照灯110、120のうち他方の前照灯である副灯(本例では、前照灯120。)の光軸方向を調整する第2のスイブル手段(本例では、スイブル装置12。)と、上記各スイブル装置11、12を、それぞれ独立して制御するよう構成した制御手段(本例では、配光制御ECU30)とを有してなる。
そして、この配光制御ECU30は、第2のスイブル装置12とは独立して第1のスイブル装置11を制御することにより、前照灯110の光軸方向のみを、道路データに基づいて算出した道路方向に一致するよう調整する片眼のナビ協調制御を実施するように構成してある。
以下に、この内容について詳しく説明する。
本例の車両用前照灯装置1は、上記のほか、図1に示すごとく、車両100の走行速度を検出する車速センサ50と、ステアリング41の操舵角を検出するステアリング舵角センサ40とを有してなり、これらのセンサの出力信号を配光制御ECU30に入力するように構成してある。
また、本例の車両用前照灯装置1では、上記道路データ出力手段20として、人工衛星が発信するGPS電波を受信するGPSアンテナ203と、経路案内等を実施するナビECU202と、地図表示用のディスプレイ201とを有してなるナビゲーションシステム200の一部の機能等を利用するように構成してある。
すなわち、本例の車両用前照灯装置1では、GPSアンテナ203、ジャイロセンサ204(図2参照。)及び車速センサ50の信号を入力して車両の絶対位置を演算するナビゲーションシステム200の測位機能を、上記位置検出センサ21として利用している。
また、車両用前照灯装置1では、ナビゲーションシステム200における電子地図情報を格納したハードディスク装置206(図2)を、上記地図データベース22として利用している。
ここで、上記のナビゲーションシステム200について簡単に説明する。
該ナビゲーションシステム200の心臓部をなすナビECU202は、図2に示すごとく、CPU210と、I/O回路208と、ROM204と、RAM205と、地図データベース22(図1)としてのハードディスク装置206とを有してなる。
このナビECU202は、I/O回路208を介して、GPSアンテナ203、車速センサ50、ジャイロセンサ204の出力信号を入力すると共に、ディスプレイ201及び上記配光制御ECU30に対して制御信号を出力するように構成してある。
ナビECU202において、上記位置検出センサ21をなす位置検出部(図示略)は、車速センサ50による車速及びジャイロセンサの出力信号に基づいて自車位置を演算すると共に、周知のマップマッチングによる補正、及び、GPSレシーバ(図示略)の測位情報による補正により、正確な自車位置を演算できるように構成してある。
そして、ナビECU202は、上記位置検出部により検出した自車位置に基づいて、ハードディスク装置206に格納した電子地図情報を参照すると共に、該参照した電子地図情報を基に、描画用ASIC220を用いて地図画像を展開するように構成してある。
そして、上記ディスプレイ201は、ナビECU202の出力する上記地図画像を表示するように構成してある。
ここで、ハードディスク装置206に格納した上記電子地図情報のうち道路の形状や、分岐路や直線路など道路属性等の道路構造に関する情報は、図3に示すごとく、周知のベクター法に基づき、道路101の経由点としての複数のノード229(節)と、ノード間の隣接関係を表すアーク239(線弧)とによって表現してある。
上記ノード229は、道路101の経由点のうち、少なくとも、道路曲率の変曲点103や、交差点102などの遷移点ごとに配置してある。
そして、ノード229の配置間隔は、道路形状や道路種別等によって相違しており、直線路では粗く、曲線路では密に設定してあり、また、幹線道路や主要国道などでは、一般道と比べて密に設定してある。
特に、本例のナビゲーションシステム200は、図4に示すごとく、上記道路データ出力手段20として機能するように構成してある。そして、該道路データ出力手段20としては、上記道路データとして車両100の走行方向の前方直近にある第1ノード221、後方直近にある第0ノード220及び上記第1ノード221と隣接する第2ノード222の各ノードデータと、第0ノード220と第1ノード221とを接続する第1アーク231及び第1ノード221と第2ノード222とを接続する第2アーク232の各アークデータを、配光制御ECU30に出力するように構成してある。
加えて、本例のナビゲーションシステム200は、該ナビゲーションシステム200が経路案内中であるか否かを表すモード信号(経路案内中では1、それ以外では0)を、配光制御ECU30に出力するように構成してある。
なお、本例のナビゲーションシステム200が出力するノードデータは、図4に示すごとく、各ノード220〜222を特定するIDデータと、自車位置を基準にした各ノード220〜222の3次元的な相対位置を表す3次元位置データと、交差点、主要国道、幹線道路、高速道路、分岐路等の道路種別を表す属性データとを組み合わせてなるデータである。
また、上記アークデータは、各アーク231、232の両端に位置するノードの各IDデータと、ノード間を連結するアークの曲率を表す曲率データとを組み合わせてなるデータである。
特に、本例の車両用前照灯装置1は、ナビゲーションシステム200による経路案内中(上記モード信号が1の状態。)に動作するように構成してあり、ナビゲーションシステム200は、誘導する道路上に存在するノードを選択して、上記第2ノードとして出力するように構成してある。
例えば、ナビゲーションシステム200は、上記第1ノードの道路種別が「交差点」である場合には、該「交差点」から分岐する経路の中から単一の第2ノード及び第2アークを選択して出力する。
また、本例の車両用前照灯装置1は、図1に示すごとく、車両100の右側に主灯としての前照灯110(以下、適宜主灯110と記載。)を、車両の左側に上記副灯としての前照灯120(以下、適宜副灯120と記載。)を有している。
すなわち、本例では、左側通行が定められた交通法規(例えば、日本の交通法規)の下で、走行中に対向車線側に配置される前照灯を主灯110とし、他方の前照灯を副灯120としている。
そして、この車両用前照灯装置1では、主灯110の光軸は第1のスイブル装置11により調整し、副灯120の光軸は第2のスイブル装置12により調整できるように構成してある。
本例のスイブル装置11、12は、図5に示すごとく、制御信号線114を介して配光制御ECU30(図1)と電気的に接続したモータ113と、互いにネジ係合するウォームギア112とウォームホィール111との組み合わせからなる駆動機構とからなる。
ウォームギア112は、図5に示すごとく、モータ113の出力軸と一体回転するように構成してある。また、ウォームホィール111は、前照灯110、120の光軸を水平方向に揺動させるための回転軸115と一体回転するように構成してある。
そして、上記スイブル装置11、12では、図5に示すごとく、モータ113の回転力を上記回転軸115に伝達することにより、前照灯110、120の光軸を水平方向に変更し得るように構成してある。
なお、本例の車両用前照灯装置1では、図1に示すごとく、主灯110及び副灯120の光軸を、それぞれ、車両軸101を中心として水平方向にア15度(図1にArで示す角度範囲。)の範囲で調整可能に構成してある。
上記ステアリング舵角センサ40は、図1に示すごとく、ステアリングシャフト411の外周側に配設してあり、ステアリング41に入力された操作量である操舵角を計測し、配光制御ECU30に出力するように構成してある。
上記車速センサ50は、同図に示すごとく、左側の転舵輪の回転を検出すると共に、検出した車速を配光制御ECU30に出力するように構成したセンサである。
これに代えて、両側の転舵輪の回転を検出できるよう、左右の転舵輪それぞれに車速センサを配設するのも良い。この場合には、車速の計測精度を、さらに向上することができる。
上記配光制御ECU30は、図6に示すごとく、中央演算処理装置31と、処理プログラム等を格納するROM34(Read Only Memory)、一時記憶用のメモリエリアとしてのRAM33(Random Access Memory)と、各種信号の入出力を行うI/O回路32とを有する装置である。
本例の配光制御ECU30は、I/O回路44を介して、上記ナビゲーションシステム200、ステアリング舵角センサ40、車速センサ50及びスイブル装置11、12と電気的に接続してある。
ここで、特に、本例の配光制御ECU30は、ナビゲーションシステム200の一部の機能である上記道路データ出力手段20から、上記道路データ及び上記モード信号を入力するように構成してある。
また、上記配光制御ECU30のROM34には、車両用前照灯装置1の配光制御を実施するための制御プログラムを格納してある。
該制御プログラムは、上記道路データ等に基づいて道路方向を計算する第1のサブプログラムと、操舵角等に基づいて推定進路方向を計算する第2のサブプログラムと、各スイブル装置11、12を制御する第3のサブプログラムとを有するプログラムである。
ここで、本例では、上記道路方向としては、道路データ出力手段20から入力した上記道路データ及び、車速センサ50から入力した車速に基づいて、所定時間後に予測される予測車両位置を見込む方向を規定してある。
また、上記推定進路方向としては、ステアリングに入力された操舵角及び、車速センサ50から入力した車速に基づいて、所定時間後に予測される予測車両位置を見込む方向を規定してある。
上記第1のサブプログラムは、図7に示すごとく、第0ノード220、第1ノード221及び、第2ノード222と、第1アーク231及び第2アーク232の各データに基づいて、車両100を座標原点とした3次元的な道路形状を再現すると共に、車速V(m/秒)を維持して該道路形状よりなる経路を走行した際、所定時間T秒後に到達する車両109の位置を算出する計算ルーチンである。
そして、この第1のサブプログラムは、現時点の車両100と、T秒後の車両109との位置関係に基づいて、T秒後の車両109を見込む角度θnavを算出するように構成してある。
なお、本例では、上記所定時間Tとしては、予め、3秒を設定した。
これに代えて、運転席周辺に設けた調整スイッチ等により所定時間Tを変更可能に構成し、ドライバーの好みや運転習熟度等に合わせて調整できるように構成するのも良い。
さらに、上記ノードの属性データが表す道路種別によって、上記所定時間Tを変更することもできる。例えば、車両の近傍領域に対する注意負担が比較的少ない自動車専用道路等では、この所定時間Tを長く設定することにより、より遠方の領域を適切に照明することができる。
上記第2のサブプログラムは、図8に示すごとく、上記ステアリング舵角センサ40により検出した操舵角を基にして、転舵輪400の転舵角αを算出すると共に、該転舵角α及び車速を、そのまま維持して走行した場合の車両100の推定進路を計算する計算ルーチンである。
そして、該推定進路に基づいて、現時点の車両100の位置と、所定時間T秒後に予測される車両108との位置関係から、該車両108を見込む角度θstrを算出するように構成してある。
なお、本例では、第2のサブプログラムの所定時間は、第1のサブプログラムと同じ3秒を設定してあるが、第1のサブプログラムの所定時間と、第2のサブプログラムの所定時間とを相違して設定することもできる。
上記第3のサブプログラムは、第1のサブプログラムの計算結果であるθnavと、第2のサブプログラムの計算結果であるθstr、上記モード信号等とに基づいて、主灯110の光軸を調整するスイブル装置11及び副灯120の光軸を調整するスイブル装置12を制御するプログラムである。
次に、本例の車両用前照灯装置1による配光制御について説明する。この配光制御は、図9に示す制御フローチャートに基づいて実行される。
以下に、この制御フローチャートに示した各制御ステップの内容について説明する。
ステップS110は、ヘッドライトの点灯状態を示すライトスイッチがON状態にあるか否かを判断するステップである。ライトスイッチがON状態にあれば、ステップS120に移行する。
このステップS120は、車速センサ50、ステアリング舵角センサ40から、車速、ステアリング41の操舵角を入力するステップである。
また、ステップS130は、上記道路データ出力手段20から上記の道路データを入力すると共に、経路案内動作中であるか否かを表す上記モード信号を入力するステップである。
ステップS140は、上記第1のサブプログラム及び、上記第2のサブプログラムを実行して、上記の角度θnav(図7)及びθstr(図8)を算出するステップである。
そして、ステップS150では、各スイブル装置11、12に適用する制御を切り替えるための判断処理を実施する。
本例のステップS150は、ナビゲーションシステム200が経路案内中であるか否かを表す上記モード信号が1(経路案内中)であると共に、θnavとθstrの正負が同じで、かつ、θnav−θstr>0(右コーナー進入時又は左コーナー脱出時)であるか、或いは、θnavとθstrの正負が同じで、かつ、θnav−θstr<0(右コーナー脱出時又は左コーナー進入時)であるときにステップS161に移行し、それ以外の場合は、ステップS162に移行するように構成してある。なお、ここで、本例のθnav及びθstrは、右方向側を正とし、中立をゼロ値としてある。
ステップS161では、上記片眼のナビ協調制御を実施する。すなわち、このステップでは、主灯110の光軸が車軸に対してθnavをなすようにスイブル装置11を制御すると共に、副灯120の光軸が車軸に対してθstrをなすようにスイブル装置12を制御する。
一方、ステップS162では、主灯110及び副灯120の光軸が、共に車軸に対してθstrをなすようにスイブル装置11、12を制御する。
ここで、上記の制御フローチャートに基づく制御を、J字カーブとS字カーブの2種類の道路形状を例にして説明する。
まず、図10に示すごとく、J字カーブについて説明する。このJ字カーブは、同図に示すごとく、点A〜点Bに至る直線区間と点B〜Cに至る曲線区間とを、点Bを変曲点として組み合わせてなる形状のカーブである。
ここで、車両10の転舵輪400の転舵角α(図8参照)は、J字カーブを通過する際、図11に示すごとく変化する。なお、同図には、横軸に道路方向の位置を、縦軸には、右曲がり時を正値として表した転舵角αの大きさを示してある。
同図によれば、転舵角αは、AからBの直線区間では中立(ゼロ値)に保持され、曲線区間が始まるBを過ぎて徐々に大きくなり、曲率一定を呈するCにおいて一定値Kを呈することが解る。
一方、上記第1のサブプログラムにより計算するθnav(図7)は、J字カーブを通過する際、図13に示すごとく変化する。なお、同図には、横軸に道路方向の位置を、縦軸には、右曲がり時を正値として表したθnavの大きさを示してある。
配光制御ECU30は、上記のごとく、車両が直線区間であるAB間にあるとき、事前に、前方の曲線区間であるBC間の道路形状を取得し得る。
そのため、上記第1のサブプログラムにより計算するθnavは、図12及び図13に示すごとく、B点よりも手前の車両位置において、ゼロより大きい正値を示すことになる。
そして、図13に示すごとく、曲率一定を呈するCにおいて、上記転舵角αと同様に一定値を呈することになる。
そして、車両100がA〜Cを走行している間において、上記のステップS150の判断条件に合致していれば、ステップS161において、主灯110は、その光軸と車軸とのなす角が上記θnavとなるように制御される。
それ故、上記主灯110の光軸方向は、図13に示すごとく、B点よりも手前の位置から、その光軸の方向がカーブの出口側(C側)に近く向くように制御されることになる。
一方、副灯120は、その光軸と車軸とのなす角が、上記第2のサブプログラムで計算するθstrとなるように制御される。
このθstrは、転舵輪400の転舵角α(図11)との相関が高く、該転舵角が0であるときには、0値をとる角度である。
そのため、副灯120の光軸は、図14に示すごとく、車両10がB点に至るまで中立位置にあり、車両10がB点を過ぎるに従って、車軸とのなす角が徐々に大きくなる(点C側に向かう)ように制御されることになる。
次に、S字カーブは、図15に示すごとく、A〜Bに至る1つめの左コーナー区間と、B〜Cに至る2つめの右コーナー区間とを、Bを変曲点として組み合わせた複合形状を呈するカーブである。
車両10の転舵輪400の転舵角α(図8)は、このS字カーブを通過する際、図16に示すごとく変化する。なお、同図には、横軸に道路方向の位置を、縦軸には、右曲がり時を正値として表した転舵角を示してある。
同図によれば、一定曲率を呈するA近傍又はC近傍では、転舵角αは、負値又は正値の一定値S又はRを呈する。そして、転舵角αは、変曲点であるB点をゼロクロス点として負値から正値に変化する。
一方、上記第1のサブプログラムにより計算するθnav(図7)は、S字カーブを通過する際、図18に示すごとく変化する。なお、同図には、横軸に道路方向の位置を、縦軸には、右曲がり時を正値として表したθnavの大きさを示してある。
配光制御ECU30は、上記のごとく、車両が左コーナー区間であるAB間にあるとき、事前に、右コーナー区間であるBC間の道路形状を取得し得る。
そのため、上記第1のサブプログラムにより計算するθnavは、図17及び図18に示すごとく、変曲点であるB点よりも手前の位置において負値(左曲がり側)から正値(右曲がり側)に反転することになる。
そして、車両100がA〜Cを走行している間において、上記のステップS150の判断条件に合致していれば、ステップS161において、主灯110は、その光軸と車軸とのなす角が上記θnavとなるように制御される。
そうすると、上記主灯110の光軸方向は、図18に示すごとく、B点よりも手前の位置において、正値(車軸に対して傾く状態。)を呈するように制御されることになる。
一方、副灯120は、その光軸と車軸とのなす角が、上記配光制御ECU30で計算するθstrとなるように制御される。
該θstrは、転舵輪400の転舵角α(図16)との相関が高く、該転舵角αが0であるときには、θstrは必ず0値をとるという角度である。
そのため、副灯120の光軸方向は、図19に示すごとく、B点において車軸とのなす角がゼロとなり、その前後で正負反転するように制御されることになる。
なお、本例のごとく各前照灯110、120の光軸調整範囲を、車軸を中心として両側に設定するのに代えて、前照灯110、120の各光軸調整範囲を、車両軸と平行な中心軸方向よりも外側のみに設定することもできる。
この場合には、主灯110の光軸は、図20(J字カーブ)、図22(S字カーブ)に示すごとく制御され、副灯120の光軸は、図21(J字カーブ)あるいは図23(S字カーブ)に示すごとく制御されるようになる。
さらになお、本例では、主灯110を対向車線側の前照灯に固定したが、これに代えて、前方カーブの曲がり方向の内側に配置した前照灯が主灯になるように、適宜、主灯と副灯とを切り替えるように制御することもできる。
(実施例2)
本例は、実施例1を基にして、ナビ協調制御を実施するか否かの判断内容を変更した例である。この内容について、図24を用いて説明する。
本例の車両用前照灯装置1は、図24に示すごとく、制御フローチャートに基づいて制御されるように構成してある。
本例では、実施例1の制御フローチャート(図9)に基づいて、実施例1のステップS150を、ステップS151に置換した例である。
すなわち、本例のステップS151は、第1ノードの属性データを参照するように構成してある。
そして、ステップS151では、第1ノードが「交差点」及び「分岐路」以外の属性データを有していると共に、θnavとθstrの正負が同じで、かつ、θnav−θstr>0(右コーナー進入時又は左コーナー脱出時)であるか、或いは、θnavとθstrの正負が同じで、かつ、θnav−θstr<0(右コーナー脱出時又は左コーナー進入時)であるときに実施例1と同様の片眼のナビ協調制御(ステップS161)を実施し、それ以外の場合には、非ナビ協調制御(ステップS162)を実施するように構成してある。
すなわち、本例の車両用前照灯装置1では、第1ノードの属性が「交差点」、「分岐路」であって、上記第2ノード及び上記第2アークの候補が複数、存在し得るような状況では、誤制御の未然防止のためにナビ協調制御を中断するように構成してある。
なお、その他の構成及び作用効果は、実施例1と同様である。
(実施例3)
本例は、実施例1を基にして、上記θnavに応じて主灯のみを制御する片眼のナビ協調制御と、上記θnavに応じて両側の前照灯を制御する両眼のナビ協調制御との2種類のナビ協調制御を切り替えて実施した例である。この内容について、図25を用いて説明する。
本例の車両用前照灯装置1は、ナビ協調制御において、上記道路データのうち道路種別を表す属性データに基づいて、上記の2種類のナビ協調制御を選択的に実施するように構成してある。
本例の車両用前照灯装置1は、図25に示す制御フローチャートに沿って制御されるように構成してある。
この制御フローチャートは、実施例1と同様のステップS150の判断ステップの後、さらに、上記属性データが、予め設定した所定の道路種別群に含まれるか否かを判断するステップS155を実施するように構成してある。
そして、ステップS155では、上記属性データが、所定の道路種別を表すものであるときには、ステップS163に移行し、上記両眼のナビ協調制御を実施する。このステップでは、両側の前照灯110、120の光軸と車軸とのなす角が、θnavとなるようにスイブル装置11、12を制御する。
一方、上記種別データが、所定の道路種別を表すものではない場合には、ステップS161に移行し、上記片眼のナビ協調制御を実施する。このステップでは、実施例1のナビ協調制御と同様に、前照灯のうち主灯110のみをθnavに従って制御し、副灯120は、θstrに従って制御する。
ここで、上記所定の道路種別としては、本例では、電子地図情報の位置精度が高いことが期待できる有料道路、自動車専用道路又は国道を、予め設定した。
なお、その他の構成及び作用効果は、実施例1と同様である。
(実施例4)
本例は、実施例3に基づいて、上記片眼のナビ協調制御と、上記両眼のナビ協調制御とを切り替える条件を変更した例である。この内容について、図26を用いて説明する。
本例では、図26に示すごとく、実施例3のステップS155に代えて、ステップS156を実施する。
また、本例のナビゲーションシステム200は、地図データベース22に格納した電子地図情報の位置精度を向上するための地図更新機能を有している。
該地図更新機能は、車両10が実走行する際に取得する位置情報に基づいて、電子地図情報中の対応する各ノードの位置データを、随時、補正して、その精度を向上するように更新する機能である。
そして、本例の地図更新機能は、各ノードの位置データを更新する毎に、各ノードの属性データ中に設定した更新カウンタを、カウントアップするように構成してある。
上記ステップS156は、上記更新カウンタが、予め設定した所定回数以上であるか否かを判断するステップである。
そして、ステップS156の判断条件を満たす場合には、ステップS163に移行して、主灯110及び副灯120を、上記θnavに基づいて制御する上記両眼のナビ協調制御を実施する。
一方、ステップS156の判断条件を満たさない場合には、ステップS161に移行して、主灯110のみを上記地図データに基づいて制御する上記片眼のナビ協調制御を実施する。
以上のように、本例の車両用前照灯装置1は、電子地図情報に含まれる位置データの精度が高い場合に限って、主灯110及び副灯120の両方を、上記θnavに従って制御するように構成してある。
ここで、上記の車両用前照灯装置1の地図更新機能は、実走行時に取得する位置情報に基づいて、電子地図情報の位置データを更新し、その精度を向上するように構成してある。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例3と同様である。
また、上記地図更新機能としては、携帯電話等の通信手段を介して、外部の地図データベースセンター等から、高精度な位置情報を取得する機能であっても良い。
そして、この場合には、上記ステップS156において、対象とするノードについて、外部から位置情報を取得済みであるか否かの判断を実施することができる。
(実施例5)
本例は、実施例1に基づいて、主灯と副灯とを走行状況に応じて切り替えるように制御した例である。この内容について、図27〜図37を用いて説明する。
本例では、図27に示すごとく、θnavの時間微分であるd(θnav)/dtの値に応じて(ステップS152)、ナビ協調制御を行うか(ステップS164あるいはS165)、非ナビ協調制御(ステップS162)を行うかの切り替え、及び、主灯副灯の切り替え(ステップS164、ステップS165)実施するように構成した制御フローチャートに基づいて、上記車両用前照灯装置を制御した。
この制御の内容について、図28に示すごとく右コーナーと、図33に示すごとくS字カーブの2種類の道路形状を例にして説明する。なお、本例のステップS152は、実施例1の同様の許可信号が1であることを前提に、条件判断を行うように構成してあり、許可信号が1以外であるときには、ステップS162に移行するように構成してある。
まず、図28に示すごとく、右コーナーは、点A〜点Cに至る直線区間と点C〜点Gに至る曲線区間と点G〜点Hの直線区間とを組み合わせてなる右カーブの道路形状である。なお、ここで、上記曲線区間のうち、点D〜点Fの区間が一定曲率を呈する区間であり、その前後の点C〜点D及び点F〜点Gは、曲率が徐々に変化する、いわゆる徐変区間である。
この右コーナーを走行する際、車両の転舵輪の転舵角α(図8参照。)は、図29に示すごとく変化する。なお、同図には、横軸に道路方向の位置を、縦軸には、右曲がり時を正値として表した転舵角αの大きさを示してある。
すなわち、転舵角αは、点A〜点Cの直線区間では中立(ゼロ値)に保持され、曲線区間が始まる点Cを過ぎて点Dに至るまでの区間で徐々に大きくなり、そして、点D〜点Fの区間で略一定の転舵角α=Kとなる。その後、一定曲率区間(点D〜点F)を過ぎた点F〜点Gの区間では、転舵角αが徐々に小さくなり、直線区間である点G〜点Hに至って中立(ゼロ値)となる。
なお、実施例1において説明したように、この転舵各αは、上記第2のサブプログラムによって計算される上記θstr(図8参照。)と高い相関関係を有するものである。
一方、実施例1と同様の第1のサブプログラムにより計算するθnav(図7参照。)は、上記の右コーナーでは、図30に示すごとく変化する。なお、同図には、横軸に道路方向の位置を、縦軸には、右曲がり時を正値として表したθnavの大きさを示してある。
ここで、θnavを計算する上記配光制御ECU(図1)は、車両が直線区間の終端点である点Cの手前の点B(点Cに到達する時点から、上記所定時間T=3秒遡った時点の車両位置。)に到達したときに、点Cよりも前方の曲線区間の道路形状を取得する。また、同様に、車両が曲率一定区間の終端点である点Fの手前の点E(所定時間T=3秒前の車両位置。)に到達したときに、点Fよりも前方の曲線変化区間の道路形状を取得する。
そのため、上記第1のサブプログラムにより計算するθnavは、図30に示すごとく、点Cよりも手前の点Bを過ぎて、一定曲率区間の始まりである点Dに至るまで徐々に大きくなる。そして、上記θnavは、曲率一定区間の始まりである点Dを過ぎて略一定となり、その後、曲率一定区間の終わりである点Fよりも手前の点Eを過ぎて徐々に小さくなる。そしてその後、上記直線区間の始まりである点Gに至って、中立(ゼロ値)となる。
本例では、車両が点A〜点Hよりなる右コーナー(図28)を走行している間、図27に示した制御フローチャートによって、車両用前照灯装置の制御を実施した。特に、本例では、上記ステップS152によりθnavの時間微分値であるd(θnav)/dtの大きさを判断し、これにより、ナビ協調制御を実施するかしないか(ステップS162、S164、S165)及び、主灯を左右いずれの前照灯に設定するか(ステップS164、S165)を切り替える制御を実施した。図28に示す点A〜点Hまでの右コーナーを走行する間における上記の制御例を、図31に示す。なお、同図では、横軸に道路方向の位置を規定し、縦軸には、3つの制御状態を示している。同図中、上側に位置した「右前照灯を主灯として片眼ナビ協調制御」という制御状態は、図27におけるステップS164によるものを表し、下側に位置した「左前照灯を主灯として片眼ナビ協調制御」という制御状態は、図27におけるステップS165によるものを表している。さらに、中間に位置した「非ナビ協調制御」という制御状態は、図27におけるステップS162によるものを表している。
図30及び図31に示すごとく、点A〜点Bの区間では、θnavが中立(ゼロ値)を維持しており、この区間ではd(θnav)/dtもゼロであるため、ステップS162(図27)に移行し、ナビ協調制御を停止する。このステップS162では、上記第2のサブプログラムによって計算される操舵角θstrと略一致するよう、左右両側の前照灯の光軸方向を調整する。
したがって、横軸に道路進行方向の位置を規定し、縦軸に右方向を正値として表した光軸角度を規定すると共に、破線に右前照灯の光軸角度を、実線に左前照灯の光軸角度を示した図32に示すごとく、点A〜点Bの区間では、左右前照灯の光軸方向は、図29における点A〜点B区間のθstr、すなわち中立(ゼロ値)に調整される。
その後、点B〜点Dの区間では、図30に示すごとく、θnavが単調に増加し、このときには、d(θnav)/dtが、正値をとるため、ステップS164に移行する。このステップS164では、図31及び図32に示すごとく、主灯を右前照灯に設定してその光軸方向がθnav(図30における点B〜点D区間のθnav。)となるように調整すると共に、副灯を左前照灯に設定してその光軸方向がθstr(図29における点B〜点D区間のθstr。)となるように調整する。
そして、点D〜点Eの区間では、図30に示すごとく、再び、θnavが略一定の値を維持し、このときには、d(θnav)/dtがゼロ値となるため、ステップS162に移行する。このステップS162では、図31及び図32に示すごとく、上記第2のサブプログラムによって計算される操舵角θstr(図29における点D〜点E区間のθstr。)と略一致するよう、左右両側の前照灯の光軸方向を調整する。
さらに、点E〜点Gの区間では、図30に示すごとく、θnavが単調に減少し、このときには、d(θnav)/dtが負値となるため、ステップS165に移行する。このステップS165では、図31及び図32に示すごとく、主灯を左前照灯に設定してその光軸方向がθnav(図30における点E〜点G区間のθnav。)となるように調整すると共に、副灯を右前照灯に設定してその光軸方向がθstr(図29における点E〜点G区間のθstr。)となるように調整する。
そして、その後の点G〜点Hの直線区間では、d(θnav)/dtがゼロ値となるため、ステップS162に移行する。このステップS162では、図31及び図32に示すごとく、上記第2のサブプログラムによって計算される操舵角θstr(図29における点G〜点H区間のθstr。)と略一致するよう、左右両側の前照灯の光軸方向を調整する。
すなわち、本例の制御では、図28に示す右コーナーにおいては、コーナーの進入時(点B〜点Dの区間)には、コーナー内側である右前照灯が主灯に設定され、コーナーの脱出時(点E〜点Gの区間)には、コーナーの外側である左前照灯が主灯に設定され、それぞれ、主灯の光軸方向についてナビ協調制御を実施する。
次に、図33に示すごとく、A〜Mに至るS字カーブにおける制御例について説明する。このS字カーブは、同図に示すごとく、点C〜点Hの左コーナー区間と、点H〜点Lの右コーナー区間とを、変曲点Hにより連結したものであり、その両端側には、さらに、直線区間点A〜点C、直線区間点L〜点Mが接続されている。
なお、ここで、上記左コーナー区間である点C〜点Hのうち、点D〜点Fの区間が略一定曲率を呈する区間であり、その前後の点C〜点D及び点F〜点Hの区間は、曲率が徐々に変化する徐変区間である。また、上記右コーナー区間である点H〜点Lのうち、点I〜点Lの区間が略一定曲率を呈する区間であり、その前後の点H〜点I及び点K〜点Lの区間は、曲率が徐々に変化する徐変区間である。
そして、上記のS字カーブーを走行する際、車両の転舵輪の転舵角α(図8参照。)は、図34に示すごとく変化する。なお、同図には、横軸に道路方向の位置を、縦軸には、右曲がり時を正値として表した転舵角αの大きさを示してある。
すなわち、転舵角αは、点A〜点Cの直線区間では中立(ゼロ値)に保持され、曲線区間が始まる点Cを過ぎて点Dに至るまでの区間で徐々に小さくなり、そして、点D〜点Fの区間で略一定の転舵角α=Sとなる。その後、一定曲率区間(点D〜点F)を過ぎた点F〜点Hの区間では、転舵角αが徐々に大きくなり、右コーナー区間へ遷移する変曲点である点Hにおいて、ゼロ値となり、これがゼロクロス点となる。
その後、点H〜点Iの区間では、転舵角αが、手前の点F〜点H区間から継続して、ゼロ値を超えてさらに大きくなり、そして、点I〜点Kの一定曲率区間で略一定の転舵角α=Rとなる。その後、一定曲率区間(点I〜点K)を過ぎた点K〜点Lの区間では、転舵角αが徐々に小さくなり、直線区間である点L〜点Mにおいて再び中立(ゼロ値)となる。
なおここで、上記のごとく、この転舵各αは、上記第2のサブプログラムによって計算される上記θstr(図8参照。)と高い相関関係を有するものである。
一方、実施例1と同様の第1のサブプログラムにより計算するθnav(図7参照。)は、上記のS字カーブを通過する際、図35に示すごとく変化する。なお、同図には、横軸に道路方向の位置を、縦軸には、右曲がり時を正値として表したθnavの大きさを示してある。
ここで、θnavを計算する上記配光制御ECU(図1)は、車両がS字カーブの始点である点Cの手前の点B(所定時間T=3秒前の車両位置。)に到達したときに、点Cよりも前方の曲線区間の道路形状を取得する。また、同様に、車両が、1つめの左コーナー(点C〜点Hの区間。)のおける曲率一定区間の終点である点Fの手前の点E(所定時間T=3秒前の車両位置。)に到達したときに、点Fよりも前方の曲線変化区間の道路形状を取得する。
さらに、上記配光制御ECU(図1)は、車両が、2つめの右コーナー(点H〜点Lの区間。)の始点である点Hの手前の点G(所定時間T=3秒前の車両位置。)に到達したときに、点Hよりも前方の右コーナーの道路形状を取得するため、θnavのゼロクロス点は点Hよりも手前の位置となる。そして、点I〜点Kよりなる曲率略一定区間の終点である点Kの手前の点J(所定時間T=3秒前の車両位置。)に到達したときに、上記配光制御ECU(図1)は、点Kよりも前方の道路形状を取得する。
そのため、上記第1のサブプログラムにより計算するθnavは、図35に示すごとく、点Cよりも手前の点Bを過ぎて、一定曲率区間の始まりである点Dに至るまで徐々に小さくなる。そして、上記θnavは、この点Dを過ぎて略一定となり、その後、曲率一定区間の終わりである点Fよりも手前の点Eを過ぎて徐々に大きくなる。そしてその後、変曲点である点Hよりも手前に位置した点Gにおいてゼロクロスし、2つめの右コーナー(点H〜点Lの区間。)における略一定曲率区間の始点である点Iまで単調に増加していく。その後、θnavは、曲率一定区間の終わりである点Kよりも手前の点Jを過ぎて徐々に小さくなり、直線区間の始点である点Lに到達して中立(ゼロ値)をとる。
本例では、車両が点A〜点MよりなるS字カーブ(図33)を走行している間、図27に示した制御フローチャートによって、車両用前照灯装置の制御を実施した。ここでは、上記の右コーナーの場合(図28)と同様、上記ステップS152によりθnavの時間微分値であるd(θnav)/dtの大きさを判断し、これにより、ナビ協調制御を実施するかしないか(ステップS162、S164、S165)及び、主灯を左右いずれの前照灯に設定するか(ステップS164、S165)を切り替える制御を実施した。この制御例を、図36に示す。なお、同図では、横軸に道路方向の位置を規定し、縦軸には、3つの制御状態を示している。同図中、上側に位置した「右前照灯を主灯として片眼ナビ協調制御」という制御状態は、図27におけるステップS164によるものを表し、下側に位置した「左前照灯を主灯として片眼ナビ協調制御」という制御状態は、図27におけるステップS165によるものを表している。さらに、中間に位置した「非ナビ協調制御」という制御状態は、図27におけるステップS162によるものを表している。
図35及び図36に示すごとく、点A〜点Bの区間では、θnavが中立(ゼロ値)を維持しており、この区間ではd(θnav)/dtもゼロであるため、ステップS162(図27)に移行し、ナビ協調制御を停止する。このステップS162では、上記第2のサブプログラムによって計算される操舵角θstrと略一致するよう、左右両側の前照灯の光軸方向を調整する。
したがって、横軸に道路進行方向の位置を規定し、縦軸に右方向を正値として表した光軸角度を規定すると共に、破線に右前照灯の光軸角度を、実線に左前照灯の光軸角度を示した図37に示すごとく、点A〜点Bの区間では、左右前照灯の光軸方向は、図34における同区間のθstr、すなわち中立(ゼロ値)に調整される。
その後、点B〜点Dの区間では、図35に示すごとく、θnavが単調に減少し、このときには、d(θnav)/dtが、負値をとるため、ステップS165(図27)に移行する。このステップS165では、図36及び図37に示すごとく、主灯を左前照灯に設定してその光軸方向がθnav(図35における同区間のθnav。)となるように調整すると共に、副灯を右前照灯に設定してその光軸方向がθstr(図34における同区間のθstr。)となるように調整する。
そして、点D〜点Eの区間では、図35に示すごとく、再び、θnavが略一定の値を維持し、このときには、d(θnav)/dtがゼロ値となるため、ステップS162に移行する。このステップS162では、図36及び図37に示すごとく、上記第2のサブプログラムによって計算される操舵角θstr(図34における同区間のθstr。)と略一致するよう、左右両側の前照灯の光軸方向を調整する。
さらに、点E〜点Iの区間では、図35に示すごとく、θnavが単調に増加し、このときには、d(θnav)/dtが正値となるため、ステップS164に移行する。このステップS164では、図36及び図37に示すごとく、主灯を右前照灯に設定してその光軸方向がθnav(図35における同区間のθnav。)となるように調整すると共に、副灯を左前照灯に設定してその光軸方向がθstr(図34における同区間のθstr。)となるように調整する。
そして、点I〜点Jの区間では、図35に示すごとく、再び、θnavが略一定の値を維持し、このときには、d(θnav)/dtがゼロ値となるため、ステップS162に移行する。このステップS162では、図36及び図37に示すごとく、上記第2のサブプログラムによって計算される操舵角θstr(図34における同区間のθstr。)と略一致するよう、左右両側の前照灯の光軸方向を調整する。
さらに、点J〜点Lの区間では、図35に示すごとく、θnavが単調に減少し、このときには、d(θnav)/dtが負値となるため、ステップS165に移行する。このステップS165では、図36及び図37に示すごとく、主灯を左前照灯に設定してその光軸方向がθnav(図35における同区間のθnav。)となるように調整すると共に、副灯を右前照灯に設定してその光軸方向がθstr(図34における同区間のθstr。)となるように調整する。
そして、その後の点L〜点Mの直線区間では、d(θnav)/dtがゼロ値となるため、ステップS162に移行する。このステップS162では、図36及び図37に示すごとく、上記第2のサブプログラムによって計算される操舵角θstr(図34における同区間のθstr。)と略一致するよう、左右両側の前照灯の光軸方向を調整する。
以上のように、本例の制御によれば、図33に示すS字カーブでは、1つめの左コーナーの進入時には、まず左側の前照灯が主灯に設定され、そして、その左コーナーの途中で主灯が右側の前照灯に切り替えられ、2つめの右コーナーの脱出時に、再び主灯が左側の前照灯に切り替えられる。
本例の車両用前照灯装置では、左右前照灯のうち、運転者の視線方向が向かう側にある前照灯を主灯とし、該主灯をナビ協調制御する。そのため、上記車両用前照灯装置は、前方の道路形状に応じて、常に適切に前方を照射して、運転者の注視方向の明るさを確保でき、安全運転に役立つものとなる。
なお、本例の図27に示す制御フローチャートに代えて、図38に示す制御フローチャートであっても、本例と略同様の制御内容を実現できる。図38に示す制御フローチャートは、d(θnav)/dtの値の正負、ゼロ値を判断するステップS152を、(θnav−θstr)の値の正負、ゼロ値を判断するステップS153に置き換えたものである。
この制御フローチャートによれば、本例と略同様、図28に示す右コーナーにおいて、図31に示すごとく主灯副灯の切り替え及び、ナビ協調制御と非ナビ協調制御との切り替えを実現でき、図32に示すごとく、左右前照灯の光軸方向を制御することができる。さらにまた、この制御フローチャートによれば、本例と略同様、図33に示すS字カーブにおいて、図36に示すごとく主灯副灯の切り替え及び、ナビ協調制御と非ナビ協調制御との切り替えを実現でき、図37に示すごとく、左右前照灯の光軸方向を制御することができる。
また、図27あるいは図38に示す制御フローチャートにおけるステップS152あるいはステップS153では、d(θnav)/dtあるいは(θnav−θstr)の正負、略ゼロであるか否かを判断するにあたって、ゼロの近傍に所定のしきい値範囲を設けるのが良い。そして、この所定のしきい値範囲にあるときに、略ゼロと判断してステップS162に移行し、上記所定のしきい値範囲よりも小さいときに、負値と判断してステップS165に移行し、上記所定のしきい値範囲よりも大きいときに、正値と判断してステップS164に移行させるのが好ましい。
実施例1における、車両用前照灯装置のシステム構成を示すブロック図。 実施例1における、ナビECUのハードウェア構成を示すブロック図。 実施例1における、ベクター法に基づく電子地図情報を説明する説明図。 実施例1における、道路データ出力手段が出力する道路データを説明する説明図。 実施例1における、前照灯及びスイブル装置を示す斜視図。 実施例1における、配光制御ECUのハードウェア構成を示すブロック図。 実施例1における、θnavを計算する方法を説明する説明図。 実施例1における、θstrを計算する方法を説明する説明図。 実施例1における、前照灯の光軸の制御手順を示すフロー図。 実施例1における、J字カーブを示す説明図。 実施例1における、J字カーブにおける転舵角の変化を示すグラフ。 実施例1における、AB間を走行する際のθnavを示す説明図。 実施例1における、J字カーブにおけるθnavの変化を示す説明図。 実施例1における、J字カーブにおける副灯の光軸方向の変化を示す説明図。 実施例1における、S字カーブを示す説明図。 実施例1における、S字カーブにおける転舵角の変化を示すグラフ。 実施例1における、AB間を走行する際のθnavを示す説明図。 実施例1における、S字カーブにおけるθnavの変化を示す説明図。 実施例1における、S字カーブにおける副灯の光軸方向の変化を示す説明図。 実施例1における、その他の制御によるJ字カーブにおける主灯の光軸方向の変化を示す説明図。 実施例1における、その他の制御によるJ字カーブにおける副灯の光軸方向の変化を示す説明図。 実施例1における、その他の制御によるS字カーブにおける主灯の光軸方向の変化を示す説明図。 実施例1における、その他の制御によるS字カーブにおける副灯の光軸方向の変化を示す説明図。 実施例2における、前照灯の光軸の制御手順を示すフロー図。 実施例3における、前照灯の光軸の制御手順を示すフロー図。 実施例4における、前照灯の光軸の制御手順を示すフロー図。 実施例5における、前照灯の光軸の制御手順を示すフロー図。 実施例5における、右コーナーを示す説明図。 実施例5における、右コーナーにおける転舵角及びθstrの変化を示すグラフ。 実施例5における、右コーナーにおけるθnavの変化を示すグラフ。 実施例5における、右コーナーにおける制御の様子を説明するグラフ。 実施例5における、右コーナーにおける左右前照灯の光軸角度の変化を示すグラフ。 実施例5における、S字カーブを示す説明図。 実施例5における、S字カーブにおける転舵角及びθstrの変化を示すグラフ。 実施例5における、S字カーブにおけるθnavの変化を示すグラフ。 実施例5における、S字カーブにおける制御の様子を説明するグラフ。 実施例5における、S字カーブにおける左右前照灯の光軸角度の変化を示すグラフ。 実施例5における、前照灯の光軸の制御手順を示すその他のフロー図。
符号の説明
1 車両用前照灯装置
11、12 スイブル装置
100 車両
110、120 前照灯
20 道路データ出力手段
21 位置検知センサ
22 地図データベース22
200 ナビゲーションシステム
203 GPSアンテナ
204 ジャイロセンサ
30 配光制御ECU
40 ステアリング舵角センサ
50 車速センサ

Claims (12)

  1. 車両の前面に配設した左右一組の前照灯の光軸を、道路面に対して略水平な面内において調整可能に構成した車両用前照灯装置において、
    車両位置を検知する位置検知センサ及び、電子地図情報を格納した地図データベースを含み、上記車両位置に基づいて上記地図データベースを参照し、車両の進路をなす道路の構造を表す道路データを出力する道路データ出力手段と、
    上記前照灯のうち一方の前照灯である主灯の光軸方向を調整する第1のスイブル手段と
    上記前照灯のうち他方の前照灯である副灯の光軸方向を調整する第2のスイブル手段と、
    上記各スイブル手段を、それぞれ独立して制御するよう構成した制御手段と
    車両の速度を検出する車速検出手段と、
    ステアリングの操舵角を検出する操舵角検出手段とを有してなり、
    上記制御手段は、上記第2のスイブル手段とは独立して上記第1のスイブル手段を制御するよう構成してあり
    かつ、上記車速検出手段から入力した車速と、上記道路データ出力手段から入力した上記道路データとに基づいて、所定時間後の予測車両位置を計算し、該予測車両位置を見込む方向を道路方向として算出すると共に、上記操舵角に基づいて車両の推定進路方向を算出し、上記第1のスイブル手段を制御して上記主灯の光軸方向を上記道路方向に一致するよう調整すると共に、上記第2のスイブル手段を制御して上記副灯の光軸の方向を上記推定進路方向に一致するよう調整する片眼のナビ協調制御を実施可能に構成してあることを特徴とする車両用前照灯装置。
  2. 請求項1において、上記制御手段は、上記推定進路方向を、上記操舵角及び上記車速検出手段から入力した車速に基づいて、所定時間後に予測される予測車両位置を見込む方向として算出するように構成してあることを特徴とする車両用前照灯装置。
  3. 請求項1又は2において、上記制御手段は、上記道路方向と上記推定進路方向との角度偏差が、所定の角度の範囲にあるときに上記片眼のナビ協調制御を実施し、上記角度偏差が上記所定の角度の範囲を超えたときは、所定の時間をかけて、上記道路方向を上記推定進路方向に一致するよう調整する復帰制御を実施するように構成してあることを特徴とする車両用前照灯装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記制御手段は、上記各スイブル手段を同様に制御することにより、上記主灯及び副灯の光軸を、上記道路方向に一致するよう調整する両眼のナビ協調制御も実施可能であり、
    該両眼のナビ協調制御と、上記片眼のナビ協調制御とを切り替えて実施するように構成してあることを特徴とする車両用前照灯装置。
  5. 請求項4において、上記車両用前照灯装置は、上記地図データベースに格納した上記電子地図情報を加工して、該電子地図情報の位置精度を向上する更新手段を有してなり、
    上記制御手段は、上記道路データ出力手段から出力される上記道路データが、上記更新手段により位置精度を向上した上記電子地図情報に基づくデータであるか否かによって、上記片眼のナビ協調制御と上記両眼のナビ協調制御とを切り換えて実施するように構成してあることを特徴とする車両用前照灯装置。
  6. 請求項4において、上記道路データは、道路の種別を表す種別情報を有してなり、
    上記制御手段は、上記道路データが表す道路の種別に応じて、上記片眼のナビ協調制御を実施するか上記両眼のナビ協調制御を実施するかを切り換えるように構成してあることを特徴とする車両用前照灯装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、上記主灯は、上記左右一組の前照灯のうち、車両の走行時に対向車線側に位置する前照灯であり、上記副灯は、上記左右一組の前照灯のうち、他方の前照灯であることを特徴とする車両用前照灯装置。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項において、上記主灯は、上記左右一組の前照灯のうち、上記道路方向が向かう側にある前照灯であり、上記副灯は、上記左右一組の前照灯のうち、他方の前照灯であることを特徴とする車両用前照灯装置。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項において、上記主灯は、上記左右一組の前照灯のうち、上記道路方向が変化する方向に当たる側の前照灯であり、上記副灯は、上記左右一組の前照灯のうち、他方の前照灯であることを特徴とする車両用前照灯装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項において、車両の右側に配設した上記前照灯の光軸の方向の調整範囲は、車両軸と平行な中心軸から右側外方に拡がる所定の範囲に制限してあり、車両の左側に配設した上記前照灯の光軸の方向の調整範囲は、車両軸と平行な中心軸から左側外方に拡がる所定の範囲に制限してあることを特徴とする車両用前照灯装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項において、上記制御手段は、車両に搭載したナビゲーションシステムが経路案内を実施しているか否かを示すモード信号を入力すると共に、上記ナビゲーションシステムが経路案内を実施している最中に上記ナビ協調制御を実施し、経路案内を実施していないときには、上記ナビ協調制御を実施せず、上記各スイブル手段を同様に制御して、上記主灯及び副灯の光軸の方向を上記推定進路方向に一致するよう調整するように構成してあることを特徴とする車両用前照灯装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項において、上記道路データ出力手段が出力する上記道路データは、道路の種別を表す種別情報を有してなり、上記制御手段は、上記道路データが表す道路の種別に応じて、上記ナビ協調制御を実施するか否かを切り換えるように構成してあることを特徴とする車両用前照灯装置。
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