JP4402794B2 - 内視鏡装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内視鏡装置、特に被観察体を光学的に拡大した場合等に像面湾曲特性を変化させることのできる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子内視鏡装置等では、スコープ先端部の対物レンズ系に変倍のための可動レンズを配置し、光学的に被観察体像を拡大することが行われている。そして、この光学的に拡大された像はCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子で撮像され、このCCDから出力されたビデオ信号(画像信号)につきプロセッサ装置により各種の画像処理を施すことにより、モニタに被観察体の拡大画像が表示される。
【0003】
図7には、上記電子内視鏡装置で形成された拡大表示画像の一例が示されており、図7(A)はモニタ上の表示、図7(B)は表示された被観察体の断面である。この図7(A)は、モニタ1の円形マスクM内に患部の陥没部K1 を拡大表示したものであるが、内視鏡の変倍機構においては70〜100倍までの像拡大によって注目部位を観察できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内視鏡の対物レンズ系においては、特に凹凸のある部位を拡大すると、非点収差,像面湾曲収差等によって周辺部位又は中央部がピンボケになる場合があった。例えば、図7の場合で説明すると、拡大された陥没部K1 の中央部にピントが合っているとき、周辺部がピンボケになったり、陥没部K1 の周辺部にピントが合っているとき、中心部がぼやけたりするという現象が生じ、ピントが画像全体において均一に合った状態にならない場合があった。このような状態では、特に記録用として撮影される静止画において十分に満足できる画像が得られないという不都合がある。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、レンズにおける像面湾曲特性を逆に利用し、被観察体の凹凸等の形状に対応して、特に拡大時の全体的なピント合わせを良好にした画像を得ることができる内視鏡装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る内視鏡装置は、内視鏡先端部の先端側から順に配置された第1乃至第3レンズ群であって、固定レンズである第1レンズ群、像の拡大率を変える変倍機能用の可動レンズである第2レンズ群及び像面湾曲特性を変化させ得る像面湾曲用の可動レンズである第3レンズ群を有する対物レンズ群と、上記変倍機能用第2レンズ群を駆動する駆動手段と、上記第3レンズ群により像面湾曲特性を変化させるように操作するための像面湾曲操作手段と、この像面湾曲操作手段の操作に基づき、上記第3レンズ群を駆動する駆動手段とを含んでなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、内視鏡先端部の先端側から順に配置された第1乃至第3レンズ群であって、固定レンズである第1レンズ群、像の拡大率を変える変倍機能用の可動レンズである第2レンズ群及び像面湾曲特性を変化させ得る像面湾曲用の可動レンズである第3レンズ群を有する対物レンズ群と、上記変倍機能用第2レンズ群を駆動する駆動手段と、上記像面湾曲用第3レンズ群を駆動する駆動手段と、上記対物レンズ群の撮像領域を複数に分割し、この分割領域からの情報の比較により中心部と周辺部のピントが所定の範囲にあるか否かを判定する判定手段と、この判定手段の判定に基づいて中心部と周辺部のピントが所定の範囲にあるとき静止画を出力するように制御する制御回路とを含んでなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、上記像面湾曲操作手段が、像面湾曲特性をオーバー方向とアンダー方向へ変化させる操作スイッチであることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、対物レンズ群の中に固定の第1レンズ群、変倍機能用の可動の第2レンズ群及び像面湾曲用の可動の第3レンズ群を設けることにより、変倍動作と像面湾曲(特性変化)動作の両方が可能なように構成される。そして、操作部等に配置された像面湾曲操作スイッチを操作すると、アクチュエータ等で上記第3レンズ群が駆動され、これによって像面湾曲特性を変化させることができる。この像面湾曲は、基準面に対してアンダー方向、オーバー方向に発生させることができ、アンダー方向への操作により凹部形状、オーバー方向への操作により凸部形状に合わせてピント合わせを行うことが可能となる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、比較手段により中心部と周辺部のピントが合っているか否かが比較され、このピントの合否、即ち合焦状態が制御回路へ供給される。そして、この制御回路は全体が合焦状態にあるとき例えば静止画を出力する。即ち、フリーズスイッチが押されたとき、中心部と周辺部のピントが合っていないときは静止画を出力せず、ピントが合っているときのみの静止画をモニタ表示し、記録することができる。また、この合焦状態の情報はモニタ等に表示したり、他の手段で報知したりしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1には、実施形態例に係る電子内視鏡装置の構成が示され、図2には、図1の対物レンズ群の構成が示されている。図1において、電子スコープ(電子内視鏡)10の先端部には、第1レンズ(群)L1 、第2レンズ(群)L2 、第3レンズ(群)L3 からなる対物レンズ群(図の左側が物体側)及び撮像素子としてのCCD11が設けられており、この対物レンズ群は、所謂フローティングを利用したもので、例えば図2のような構成とすることができる。
【0012】
図2に示されるように、第1レンズL1 は左側の観察窓レンズ(平凹)と平凸レンズの2枚からなり、固定レンズとして配置されるが、第2レンズL2 は主に変倍機能をするための1枚の平凸レンズ、第3レンズL3 は主に像面湾曲特性を変化させるための平凹レンズ及び両凸レンズの2枚からなり、両者共に可動レンズとして配置される。この対物レンズ群によれば、第2レンズL2 と第3レンズL3 の両方を光軸方向に相対的に移動させることにより、像を変倍させると共に、像面湾曲を発生させることができる。
【0013】
図1において、上記第2レンズL2 にアクチュエータ12A、第3レンズL3 にアクチュエータ12Bが設けられており、これらのアクチュエータ12A,12Bとしては、圧電アクチュエータ、静電アクチュエータ等の各種リニアアクチュエータや、特願昭11―75262号等に示されるように、線状伝達部材をモータで回転駆動し、この回転運動をレンズL2 ,L3 の直線運動に変換する構成を用いることができる。これらアクチュエータ12A,12Bには、ドライバ14を介してマイコン15が接続され、このマイコン15の制御によって変倍動作、像面湾曲動作が実行される。
【0014】
また、電子スコープ10の操作部10C等には、静止画を出力するためのフリーズスイッチ16等と共に、Near方向とFar方向のそれぞれに操作する変倍スイッチ17、アンダー方向とオーバー方向のそれぞれに操作する像面湾曲スイッチ18(二動作)が配置されており、これらの操作信号は上記マイコン15へ出力される。従って、マイコン15は上記変倍スイッチ17からの制御信号により画像の拡大及び縮小の制御をすると共に、像面湾曲スイッチ18からの制御信号により像面湾曲特性をアンダー(中心に対し、外周部の焦点位置が物体側へ移動する)方向とオーバー(中心に対し、外周部の焦点位置が物体と反対側へ移動する)方向に変化させることができる。
【0015】
図3には、当該例で設定される像面湾曲の特性の一例が示されており、この図はCCD11の撮像面の中心点から垂直V方向(高さ方向)における焦点位置を表したものである。例えば、図2の(A)から(C)に示されるように、第2レンL2 と第3レンズL3 を相対的に所定量だけ移動させると、物体側に像面が倒れた状態となるアンダー(特性Ja )から反対側に像面が倒れるオーバー(特性Jz )までの任意量の像面湾曲を発生させ、またこの特性を変化させることができる。
【0016】
一方、図1において、上記CCD11には映像信号を読み出すための信号を供給するタイミングジェネレータ(TG)20が接続され、また映像信号の処理系として、CDS(相関二重サンプリング)/AGC(自動利得制御)回路22、A/D変換器23、ホワイトバランス、ガンマ補正、輪郭補正等の各種のデジタル処理を行うDSP24、画像を一旦記憶するフレームメモリ25、D/A変換器26、映像信号を表示器の形式に合わせた出力処理をするエンコーダ(ENC)27がプロセッサ装置等に配置される。上記のエンコーダ27から出力される被観察体の映像信号がモニタ28へ供給される。
【0017】
また、当該例では、画像又は画面の中心部と周辺部のピントが合っているか否かを判定しており、この判定のために映像信号の高域成分(エッジ部分のコントラストデータ)を抽出する帯域通過フィルタ(BPF)30が上記A/D変換器23の後段に設けられ、このBPF30の出力はマイコン15に供給される。このマイコン15は、装置機能の各種制御を行うと共に、上記のピント状態の判定を行う。
【0018】
即ち、図5に示されるように、画像(画面)領域を中心部aと4つの周辺部b,c,d,eに分割し、これらの分割領域a〜eの上記映像信号の高域成分を抽出し、例えば全ての領域(全部ではなく、aとb〜eの何れか等でもよい)の高域成分が基準値以上となる場合に、画面全体が合焦状態であることを判定する。そして、当該例では、上記フリーズスイッチ16の操作により静止画が選択された場合は、この合焦状態が判定されるときのみ、静止画を出力するように制御している。
【0019】
実施形態例は以上の構成からなり、その作用を説明する。当該装置では、上述した対物レンズ群(L1 〜L3 )により被観察体が捉えられ、この被観察体像がCCD11で撮像されると、映像信号がタイミングジェネレータ20の読出し信号により読み出され、CDS/AGC回路22で相関二重サンプリングと増幅処理が施された後、デジタル信号としてDSP24で各種の処理が施される。このようにして形成された映像信号が、エンコーダ27を介してモニタ28に出力されることにより、モニタ28に被観察体の動画が表示される。
【0020】
そして、電子スコープ操作部10Cの変倍スイッチ17を操作したときは、第2レンズL2 及び第3レンズL3 がマイコン15、ドライバ14及びアクチュエータ12A,12Bにより移動制御され、Near方向の焦点合わせにより基本像からの拡大像が得られ、Far方向の焦点合わせにより基本像へ戻る方向の縮小像が得られ、これらの像がCCD11で撮像される。しかし、Near方向の拡大時において凹凸が存在する被観察体においては、像面湾曲特性により周辺部のピントが合わないことが起こる。
【0021】
このようなとき、像面湾曲スイッチ18を操作することにより周辺部のピントを合わせることができる。即ち、この像面湾曲スイッチ18をオーバー方向に操作したときには、図2の(A)〜(C)のように、第2レンズL2 と第3レンズL3 がアクチュエータ12A,12Bにより移動制御され、これによって図3のアンダーの焦点位置(Ja)からオーバーの焦点位置(Jz)へ変化する像面湾曲特性が付与される。また、アンダー方向に操作したときは、レンズL2 ,L3 の上記と逆の移動動作により、オーバーの焦点位置(Jz)からアンダーの焦点位置(Ja)へ変化する像面湾曲特性が設定される。
【0022】
例えば、図4(A)に示されるように、被観察体が陥没部K1 であった場合はアンダーの特性J1 の像面湾曲を与えることにより、陥没部K1 の形状に適したピント合わせが行われ、また図4(B)に示されるように、被観察体が突起部K2 であった場合はオーバーの特性J2 の像面湾曲を与えることにより、突起部K2 の形状に適したピント合わせが行われる。
【0023】
一方、電子スコープ操作部10Cのフリーズスイッチ16が操作されたときは、上記マイコン15により静止画形成制御が行われ、フリーズスイッチ16の押下時の映像信号がフレームメモリ25に書き込まれることによりモニタ18に静止画が表示され、この静止画はハードコピー等の記録装置へも出力される。
当該例では、この静止画出力のとき、上記マイコン15が上記BPF30から入力された高域成分に基づき、画像全体においてピントが合っているか否かの判定を行う。
【0024】
図6には、このときのマイコン15の動作が示されており、Step101では図5で説明した画像中心部aの高域成分を抽出し、次のStep102によりこの抽出値が基準値よりも大きいか否か(抽出値>基準値)の比較を行う。一方、Step103では図5の画像周辺部b,c,d,eの高域成分を抽出し、次のSTEP104によってこの抽出値が基準値よりも大きいか否か(抽出値>基準値)の比較を行う。次に、Step105では、上記領域a,b,c,d,eの比較出力が全てYESであるか否か(a・b・c・d・e=YES?)の判定が行われ、YESのときに合焦信号(全体ピント一致信号)を出力する(Step106)。
【0025】
そして、上記Step106で合焦信号が出力されたとき、マイコン15は静止画出力を許容する。即ち、フリーズスイッチ16が押されてもこの合焦信号が得られないときは静止画を出力しないようにし、静止画の画質の向上を図るようになっている。
【0026】
また、上記の画像全体の合焦状態はモニタやプロセッサ装置の操作パネル等に表示(或いは報知)する構成とすることもできる。そして、この合焦状態を表示する場合は、上記のマイコン15による静止画形成時の出力制限をせず、従来と同様の制御とし、操作者がモニタに表示された合焦状態を確認してフリーズスイッチ16を押せるようにしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、固定の第1レンズ群、変倍機能用の可動の第2レンズ群及び像面湾曲用の可動の第3レンズ群を有する対物レンズ群と像面湾曲変化量を操作する像面湾曲操作スイッチを設け、このスイッチの操作により駆動手段を介して通常の場合とは逆に像面湾曲が生じるようにしたので、被観察体の凹凸等の形状に合わせてアンダー又はオーバーの像面湾曲を与えることにより、特に拡大時の周辺部のピントボケ状態が解消され、全体的に良好な画像を得ることが可能となる。
【0028】
請求項2の発明によれば、上述の第1乃至第3レンズ群を有する対物レンズ群と共に、中心部と周辺部のピントが所定の範囲にあるか否かを判定する判定手段を設けたので、像面湾曲特性の設定状態が判断できるという利点がある。
また、上記判定手段の判定に基づいて静止画を出力するようにしたので、凹凸部画像の全体にピントが合ったコントラストのよい静止画を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係る電子内視鏡装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態例の対物レンズ群の構成及びその動作状態を示す図[図(A)〜図(C)]である。
【図3】実施形態の対物レンズ群により生じる像面湾曲の状態(量)を示すグラフ図である。
【図4】被観察体の凹凸形状と発生可能な像面湾曲特性との関係を示す図[図(A),(B)]である。
【図5】画像全体のピント判定手段で比較する分割領域を示す図である。
【図6】実施形態例のマイコンにおけるピント判定動作を示すフローチャートである。
【図7】従来の電子内視鏡装置において拡大された被観察体のモニタでの表示状態[図(A)]とその被観察体の断面[図(B)]を示す図である。
【符号の説明】
1,28 … モニタ、
10 … 電子スコープ、
11 … CCD、
12A,12B … アクチュエータ、
15 … マイコン、
16 … フリーズスイッチ、
17 … 変倍スイッチ、
18 … 像面湾曲スイッチ、
30 … 帯域通過フィルタ(BPF)、
L1 … 第1レンズ(固定レンズ)、
L2 … 第2レンズ(可動レンズ)、
L3 … 第3レンズ(可動レンズ)。
Claims (3)
- 内視鏡先端部の先端側から順に配置された第1乃至第3レンズ群であって、固定レンズである第1レンズ群、像の拡大率を変える変倍機能用の可動レンズである第2レンズ群及び像面湾曲特性を変化させ得る像面湾曲用の可動レンズである第3レンズ群を有する対物レンズ群と、
上記変倍機能用第2レンズ群を駆動する駆動手段と、
上記第3レンズ群により像面湾曲特性を変化させるように操作するための像面湾曲操作手段と、
この像面湾曲操作手段の操作に基づき、上記第3レンズ群を駆動する駆動手段とを含んでなる内視鏡装置。 - 内視鏡先端部の先端側から順に配置された第1乃至第3レンズ群であって、固定レンズである第1レンズ群、像の拡大率を変える変倍機能用の可動レンズである第2レンズ群及び像面湾曲特性を変化させ得る像面湾曲用の可動レンズである第3レンズ群を有する対物レンズ群と、
上記変倍機能用第2レンズ群を駆動する駆動手段と、
上記像面湾曲用第3レンズ群を駆動する駆動手段と、
上記対物レンズ群の撮像領域を複数に分割し、この分割領域からの情報の比較により中心部と周辺部のピントが所定の範囲にあるか否かを判定する判定手段と、
この判定手段の判定に基づいて中心部と周辺部のピントが所定の範囲にあるとき静止画を出力するように制御する制御回路とを含んでなる内視鏡装置。 - 上記像面湾曲操作手段は、像面湾曲特性をオーバー方向とアンダー方向へ変化させる操作スイッチであることを特徴とする請求項1記載の内視鏡装置。
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