以下、本発明の実施の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1実施例
図1は本発明の第1実施例にかかるレシオイメージング装置の概略構成図である。
本実施例のレシオイメージング装置は、点滅が可能な光源と、光源から出射された光束を顕微鏡に導入するための光学系と、試料から発した蛍光の画像を光源の点滅と同期して検出する装置と、画像の演算装置と、から構成されている。
光源11aは、点滅可能な発光ダイオードや半導体レーザー等の光源で構成されている。光源11aから発せられた光は、コレクタレンズ12aに入射するようになっている。コレクタレンズ12aは、光源11aからの光を平行光束に変換するように構成されている。コレクタレンズ12aを介して平行光束に変換された光は、励起フィルタ13aを通過することにより、所定の励起波長が選択された後、半透鏡14に入射する。
同様に、光源11bは、点滅可能な発光ダイオードや半導体レーザー等の光源で構成されている。光源から発せられた光は、コレクタレンズ12bに入射するようになっている。コレクタレンズ12bは、光源からの光を平行光束に変換するように構成されている。コレクタレンズ12bを介して平行光束に変換された光は、励起フィルタ13bを通過することにより、所定の励起波長が選択された後、半透鏡14に入射する。
半透鏡14は、入射光束の一部を反射させ、残りを透過させる機能を有している。光源11aから出た光束Aは半透鏡14を通過し、また、光源11bから出た光束Bは半透鏡14で反射し、光束Aと光束Bは重ね合わされ同軸の光束となる。
図1中、15は半透鏡14で合成された光束A及び光束Bの光源像を対物レンズ17の瞳面に導く投影レンズである。ダイクロイックミラー16は、投影レンズ15を透過した光束AおよびBを対物レンズ17側に反射すると共に、試料18から発した蛍光を透過するようになっている。20はダイクロイックミラー16を透過した試料18からの蛍光をカメラ24a及び24bの撮像面上に結像させる結像レンズである。
また、図中、19は試料18からの蛍光のうちを、特定の波長域のみを透過させる蛍光フィルタである。
さらに、図中、21は試料18からの蛍光を反射させてカメラ24a及びカメラ24bに偏向させる反射鏡であり、半透鏡22は入射光束の一部を反射させ、残りを透過させる機能を有している。
半透鏡22で反射された光束A’は、シャッター23aを通ってカメラに結像する。また、半透鏡22を透過した光束B’は、シャッター23bを通ってカメラに結像する。
画像処理部25は、カメラ24a及びカメラ24bから出力される電気信号をメモリーに蓄積し、さらに、得られた蛍光画像(デジタル画像データ)をもとに種々の演算を行うように構成されている。特に、カメラ24aおよびカメラ24bで得られたそれぞれの蛍光画像に関して、まず、背景光を減算し、次に、それぞれのデジタル画像データの比を演算することによりレシオ画像を算出する。
図1中、26は画像表示部である。画像表示部26は、画像処理部25で処理された画像を表示する機能を有している。
図1中、信号発生器31は光源11a、11bの点滅とシャッター23a、23bの開閉を同期させるための基準信号を2つ発生する。この基準信号としては、TTLパルス信号のような矩形波がその好例である。第1の基準信号と第2の基準信号との関係は、周波数は同一であるが、位相が180度反転している。
信号発生器31から送出された第1の信号は、光源制御部32aに入力される。光源11aは、光源制御部32aによってその点滅が制御されるようになっている。したがって、光源11aは入力された第1の信号に基づいて点滅する。
同様に、信号発生器31から送出された第2の信号は、光源制御部32bに入力される。光源11bは、光源制御部32bによってその点滅が制御されるようになっている。したがって、光源11bは入力された第2の信号に基づいて点滅する。
こうようにすることにより、光源11aから発する光束Aと光源11bから発する光束Bとは点滅周波数が同一で、かつ、その位相が180度ずれていることになる。
また、光源11aから発する光束Aで励起された試料18から発する蛍光と光源11bから発する光束Bで励起された試料18から発する蛍光も、点滅周波数が同一で、かつ、その位相が180度ずれていることになる。
また、信号発生器31から送出された第1の信号は、シャッター制御部33aに入力される。シャッター23aはシャッター制御部33aによってその開閉が制御されるようになっている。したがって、シャッター23aは入力された第1の信号に基づいて開閉する。
同様に、信号発生器31から送出された第2の信号は、シャッター制御部33bに入力される。シャッター23bはシャッター制御部33bによってその開閉が制御されるようになっている。したがって、シャッター23bは入力された第2の信号を基づいて開閉する。
このようにすることにより、シャッター23aの開閉とシャッター23bの開閉は、周波数が同一で、かつ、その位相が180度ずれていることになる。
図2に光源11a(あるいは光源11aから発する光束A)および光源11b(あるいは光源11bから発する光束B)の点滅の様子とシャッター23aおよび23bの開閉の様子と、カメラ24aとカメラ24bの露光時間とのタイミング関係を模式的に示す。光源11aが点灯しているときは、光源11bは消灯し、シャッター23aは開放し、シャッター23bは閉じている。逆に、光源11aが消灯しているときは、光源11bは点灯し、シャッター11aは閉じており、シャッター11bは開いている。したがって、光源11aからの光束Aにより励起されて発した試料18からの蛍光は、シャッター23aのみを通り抜けてカメラ24aに到達することができるが、シャッター23bで遮断されるためカメラ24bには到達することができない。逆に、光源11bからの光により励起されて発した蛍光は、シャッター23bのみを通り抜けてカメラ24bに到達することができるが、シャッター23aで遮断されるためカメラ24aには到達することができない。このようにして、カメラ24aは光源11aの光によって励起して発した蛍光のみを、カメラ24bは光源11bの光によって励起して発した蛍光のみを、カメラ24aおよび24bの1フレームの露光時間内において、それぞれ蓄積する。露光が完了すると、カメラの読み出しによって、画像処理部25のメモリーに転送される。次のフレームも同様な処理がなされる。ここで、1フレームの時間とは、1フレームを構成する複数の画素による撮像のために要する時間と複数の画素により撮像されたデータに所定のデータ処理を行うのに要する時間とからなり、主に、露光時間と撮像データをメモリーに転送するのに要するフレーム転送時間とからなっている。
このように構成されたレシオイメージング装置によれば、光源11aを点灯すると、光源から発せられた光は、コレクタレンズ12aを介して平行光束に変換され、励起フィルタ13aを所定の波長域の光が通過し、半透鏡14に入射する。半透鏡14を通過した光束Aは、投影レンズ15を通りダイクロイックミラー16で反射し対物レンズ17を経て、試料18を照射する。試料18は光束Aの光を照射されることで試料内部に導入された蛍光物質が励起され、蛍光を発する。
光束Aを照射することにより試料18で発した蛍光は、対物レンズ17を逆進し、ダイクロイックミラー16、蛍光フィルタ19を通過し、結像レンズ20を通過し、反射鏡21で反射し、半透鏡22で反射し、シャッター23aを通過し、蛍光像としてカメラ24aにより撮像される。
一方、光源11bを点灯すると、光源11bから発せられた光は、コレクタレンズ12bを介して平行光束に変換され、励起フィルタ13bを所定の波長域の光が通過し、半透鏡14に入射する。半透鏡14で反射した光束Bは、投影レンズ15を通りダイクロイックミラー16で反射し対物レンズ17を経て、試料18を照射する。試料18は光束Bの光を照射されることで試料内部に導入された蛍光物質が励起され、蛍光を発する。
光束Bを照射することにより試料18で発した蛍光は、対物レンズ17を逆進し、ダイクロイックミラー16、蛍光フィルタ19を通過し、結像レンズを20通過し、反射鏡21で反射し、半透鏡22を透過し、シャッター23bを通過し、蛍光像としてカメラ24bにより撮像される。
さらに、カメラ24a及びカメラ24bで撮像された試料18の蛍光像は、画像処理部25においてそれらの画像間の輝度比が演算され、画像表示部26に原画像及びレシオ画像が表示される。
次に、この実施例を蛍光顕微鏡に適用した場合の適用例を説明する。
細胞の機能を研究する分野では、ある細胞を被測定試料として、細胞内のカルシウムイオン濃度の2次元分布から細胞の機能を定量的に知るとことが一般的に行われている。
例えば、Fura Red−AM(Molecular Probe社)と呼ばれる蛍光色素を細胞に加えると、この色素は細胞内で加水分解されてFura Redに変化し、カルシウムイオンと特異的に結び付く。そして、この実施例のレシオイメージング装置にこのような処理を施した細胞(ここでは、ラットの心筋細胞)を被測定試料として観察状態にセットして測定を開始する。
Fura Redは458nm付近に等吸収点を有し、この波長より短波長で励起した場合は、カルシウムイオン濃度が高いときに、蛍光量が多くなり、カルシウムイオン濃度が少ないときには蛍光量が少なくなるという特性を有する。また、等吸収点より長波長で励起した場合は、カルシウムイオン濃度が高いときに、蛍光量が少なくなり、カルシウムイオン濃度が少ないときには蛍光量が多くなるという特性を有する。
したがって、図1に示す実施例において、光源11aには、青色発光ダイオード(発光中心波長470nm、スペクトル半値全幅50nm)を用い、励起フィルタ13aには、475AF20(Omega Optical社、中心波長475nm、透過波長帯域465−485nm)を用いた。また、光源11bには、紫外発光ダイオード(発光中心波長395nm、スペクトル半値全幅40nm)を用い、励起フィルタ13bには、405DF40(Omega Optical社、中心波長405nm、透過波長帯域385−425nm)を用いた。
ダイクロイックミラー16には、505DRLPXR(Omega Optical社)を用いた。これは、波長505nmより短波長の光を反射し、長波長の光を透過する。対物レンズには40倍の油浸対物レンズ(オリンパス社、UAPO340、40倍、NA1.35)を用いた。また、蛍光フィルタ19には、530ALP(Omega Optical社、波長530nmより長波長を透過)を用いた。シャッター23a、23bには、強誘電性液晶の液晶シャッター(Displaytech社、LV2500P−OEM)を用いた。カメラ24a、24bには、冷却CCDカメラ(Roper Scientific社、CoolSnap−HQ)を用いた。また、画像処理部には、市販のイメージングソフトウェア(Universal Imaging社、MetaMorph)を用いた。信号発生器31には、ファンクションジェネレーター(SONY Tektronix社、AFG−320)を用いた。これより、矩形波(0から5V)を発生させ、これを光源制御部32aおよびシャッター制御部33a(Displaytech社、DR95)に入力した。また、上述した矩形波を分岐させ、NOT回路を通して、位相を反転させた矩形波を生成し、光源制御部32bおよびシャッター制御部33b(Displaytech社、DR95)に入力した。光源制御部32aおよび光源制御部32bには自作した定電流回路を用い、信号発生器31からの信号によって接続された発光ダイオードを点滅できるようにした。信号発生器31からの矩形波信号の周波数は4kHzに設定した。したがって、光源11aおよび11bから発する光の点滅は、同じく周波数4kHzであり、その位相が反転している。また、シャッター23a、23bも同様に周波数4kHzで開閉し、その位相が反転している。また、信号発生器31から送出する矩形波のデューティー比を変えることにより光源11aおよび11bからの光量の調整を行った。カメラ24aおよび24bは、露光時間30msで撮像すると同時に、瞬時に画像処理部25によってレシオが計算され画像表示部26に表示される。これより、ラット心筋の拍動(周波数約2Hz)に伴うカルシウムの増減が、心筋の収縮による厚さの変化の影響を受けることなく確実に撮像できた。
従って、本実施例のレシオイメージング装置によれば、カメラの1フレーム内において、時間的に完全に同時に、異なる2波長の光で励起した蛍光像を、クロストークなしに確実に取得できる。したがって、変化の速い現象や、動きの速い試料のレシオ画像を確実に得ることができる。
なお、半透鏡14にかえて、ダイクロイックミラーを用いても良い。この場合、光束Aを透過し、光束Bを反射するような特性を持つダイクロイックミラーを用いることにより、夫々の光源11aおよび11bから出た光を有効に顕微鏡に導入することができる。
また、光源11a及び光源11bの点灯時間の比は1:1だけでなく、その比を変えてもよい。このようにすることにより、光源11a及び光源11bから出射される単位時間あたりの励起光強度を調整することができ、結果として得られる蛍光像の強度のバランスを最適にすることが可能である。
なお、光源11aの点灯持続時間はシャッター23aの開放時間と同じか、あるいは、短くする必要がある。同様に、光源11bの点灯持続時間はシャッター23bの開放時間と同じか、あるいは、短くする必要がある。このようにすることにより、クロストークなしに確実に蛍光像を得ることができる。
また、光源11aは、カメラ23aの露光時間内に少なくとも1回点滅すればよいが、望ましくは、10回以上点滅させるのが良い。同様に、光源11bは、カメラ23bの露光時間内に少なくとも1回点滅すればよいが、望ましくは、10回以上点滅させるのが良い。
なお、カメラ23aとカメラ23bの露光時間及び露光開始時間は同じにすることが、同時性を担保する上で望ましい。
なお、光源11aと光源11bは、異なる波長の光源を用いてもよいが、同じ波長の光源を用いてもよい。この場合、励起フィルタ13aも13bを異なる波長透過特性のものを用いる必要がある。
第2実施例
図3は本発明の第2実施例にかかるレシオイメージング装置の概略構成図である。図1の実施例と同一の構成部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
第1実施例では、光源11a、11bとしては発光ダイオード等のような光源自身が点滅可能な光源を用いたが、キセノンランプや水銀ランプ等のように光源自身は点滅ができない光源を用い、さらに、外部に変調器を用いて点滅を行っても良い。
第2実施例では、光源11aは、キセノンランプや水銀ランプ等の点滅が不能な白色光源である。光源11aから発せられた光は、コレクタレンズ12aに入射するようになっている。コレクタレンズ12aは、光源からの光を平行光束に変換するように構成されている。コレクタレンズ12aを介して平行光束に変換された光束Aは、シャッター23cを透過し、励起フィルタ13aを通過することにより、所定の励起波長が選択された後、半透鏡14に入射する。
同様に、光源11bは、キセノンランプや水銀ランプ等の点滅が不能な白色光源を想定する。光源から発せられた光は、コレクタレンズ12bに入射するようになっている。コレクタレンズ12bは、光源11bからの光を平行光束Bに変換するように構成されている。コレクタレンズ12bを介して平行光束Bに変換された光は、シャッター23dを透過し、励起フィルタ13bを通過することにより、所定の励起波長が選択された後、半透鏡に入射する。半透鏡14を透過した光束Aおよび半透鏡14で反射された光束Bは重ね合わされ投影レンズ15を介して顕微鏡に導入される。
また、シャッター制御部33cは、信号発生器31から送出される第1の信号に基づいてシャッター23cの開閉を制御する。同様に、シャッター制御部33dは、信号発生器31から送出される第2の信号に基づいてシャッター23dの開閉を制御する。
シャッター23cおよび23dとの関係は、シャッター23cが開放しているときは、シャッター23dは閉じており、また、逆に、シャッター23cが閉じているときは、シャッター23dが開放している。これにより、図1に示した実施例と同様に光源11aからの出射光束Aと光源11bから出射光束Bの点滅を逆位相で制御できる。また、光束A、光束Bの点滅とシャッターの23c、23dの開閉との関係は、図2に示したもの結果的に同じになる。
このように構成された本発明の第2実施例にかかるレシオイメージング装置によれば、光源自身が点滅できないような白色光源を用いても、外部に変調器を設けることにより、それぞれの光源からの光を結果的に点滅させることができるので、図1および図2に示した第1実施例と同様な効果を奏する。
なお、第2実施例では、シャッター23cおよび23dのかわりに、2台の光チョッパーを用いても良い。この場合、それぞれの光チョッパーは、チョッピング周波数を同一にし、光束Aと光束Bのチョッピングの位相が互いに逆になるように設置する必要がある。光チョッパーを用いた場合には、高速なチョッピング(kHzオーダー)が可能であるため変調周波数を高くすることができるので、特に、動きのある試料を観察する場合に有効である。
また、第2実施例では、シャッター23cおよび23dは機械的なシャッターのほかに、液晶シャッターを用いることができる。液晶シャッターを用いた場合には、機械的な駆動部分がないので、機械的なシャッターを用いた場合と比較して、不要な振動の発生を抑えることができるので、測定中において、焦点位置がずれてしまう等の問題の発生を抑えることができる。特に、強誘電性液晶を用いた液晶シャッターを用いると、高速な開閉(kHzオーダー)が可能であるため変調周波数を高くすることができるので、特に、動きのある試料を観察する場合に有効である。
さらに、第2実施例においては、他のシャッターとして、電気光学効果や磁気光学効果を用いた電気シャッターを用いることができる。この場合も、液晶シャッターと同様、機械的な可動部分がないので、機械的なシャッターを用いた場合と比較して、不要な振動の発生を抑えることができるので、測定中において、焦点位置がずれてしまう等の問題の発生を抑えることができる。また、高速な開閉が可能であるため変調周波数を高くすることができるので、特に、動きのある試料を観察する場合に有効である。
なお、光源部は図12に示すような構成にしても良い。光源11aから出た光束Aおよび光源11bから出た光束Bはそれぞれ光チョッパーに入射するように構成されている。光チョッパー52は、円周上に等間隔で複数の開口が配置されている。光チョッパー52を一定の速度で回転させると、光束Aの光軸上に、ある開口がきたときは、光束Aは光チョッパー52を通過し、顕微鏡に導入される。逆に、開口でない部分がきたときには、光束Aは遮光される。また、光チョッパー52の顕微鏡側の面は鏡面で構成する。このようにすると、光束Bの光軸上に光チョッパー52の開口がきたときには、光束Bは光チョッパー52を通過してしまい、顕微鏡には光が到達しない。逆に、光束Bの光軸上に光チョッパー52の開口でない部分がきたときは、光束Bは光チョッパー52で反射されて顕微鏡に導入される。また、光チョッパー52を通過した光束Aと光チョッパー52で反射した光束Bは光軸が一致するように調整しておく。
このようにすると、光源11aおよび11bが点滅できないような光源を用いても、光束Aと光束Bは、点滅の周波数が同じで、互いに逆位相で点滅させることができ、図2で示した実施例と同様な効果を奏する。また、光チョッパーを一台で構成できるので安価になる。
さらに、光源部は図13に示すような構成にしてもよい。光源11aから出た光束Aおよび光源11bから出た光束Bはそれぞれマイクロミラーアレイ53に入射するようになっている。このマイクロミラーアレイ53は、多数の微小なミラーで構成されており、夫々の微小ミラーの傾きを2通りに変化させることができるようになっている。微小ミラーが第1の方向に傾いているときに、光源11aからの光束Aがこの微小ミラーで反射した後、マイクロミラーアレイ53の法線方向に反射するようにする。また、微小ミラーが第2の方向に傾いているときに、光源11bからの光束Bがこの微小ミラーで反射した後、マイクロミラーアレイ53の法線方向に反射するようにする。このように配置すると、ミラーの傾きが第1の方向に傾いているときにミラーで反射した光束Aと、第2の方向に傾いているときにミラーで反射した光束Bとは同軸となり、それぞれの光束を顕微鏡に導入させることができる。このように構成された光源部を用いれば、マイクロミラーアレイ53を構成するすべてのミラーの傾きを同期させて変化させると、光源11aからの光束Aと光源11bからの光束Bとを交互に顕微鏡に導入させることができ、結果として、2つの光源11aと11bを交互に点滅させたのと同様となる。こうすることにより、図2に示した実施例と同様な効果を奏する。また、マイクロミラーアレイを用いれば、それぞれの傾きを電気的に制御できるので、確実に光源の点滅をさせることができる。また、シャッターを用いるのと比較して不要な振動の発生を抑えることができる。
第3実施例
図4は本発明の第3実施例にかかるレシオイメージング装置の概略構成図である。図1、図3の実施例と同一の構成部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
本実施例では、図3に示した2つの光源11a、11bの代わりに、図4に示すような1つの光源11を用いている。
第3実施例において、光源11は、キセノンランプや水銀ランプ等の点滅が不能な白色光源である。光源11から発せられた光は、コレクタレンズ12に入射するようになっている。コレクタレンズ12は、光源11からの光を平行光束に変換するように構成されている。コレクタレンズ12を介して平行光束に変換された光は、半透鏡14aに入射する。半透鏡14aは入射した光束のうち、一部を透過し、一部を反射する。半透鏡14aで反射した光束Aは、反射鏡21aで反射されてシャッター23cを通過し、励起フィルタ13aを通過し、半透鏡14bを透過して顕微鏡に導入される。他方、半透鏡14aを透過した光束Bは反射鏡21bで反射されてシャッター23dを通過し、励起フィルタ13bを通過し、半透鏡14bで反射されて顕微鏡に導入される。
このように構成すると、光源は1つで済むので、光源を2つ用いた場合に比べ、安価になる。また、キセノンや水銀ランプ等のアーク灯を用いた場合に、2個のランプで構成した場合では、アークのちらつきによる強度の時間的な変動は、それぞれのランプによって異なるため、レシオ画像を計算しても、光源強度の時間的な変動は補正できず、結果として得られるレシオの値の信頼性が低下してしまう。これに対して、1個のランプを用いた場合には、2つのカメラで撮像される蛍光画像におけるアークのちらつきに起因する強度の時間的な変動は同じであるため、比をとることによりその強度の変動をキャンセルすることができる。
なお、上記、シャッター23cおよび23dのかわりに、光チョッパー、液晶シャッター、電気シャッターを用いることができる。これらを用いた効果は図3に示した第2実施例で述べたとおりである。
また、光チョッパーは、1台で構成することも可能である。すなわち、光チョッパーの円盤上の異なる開口が2つの光束A及び光束Bを互いに逆位相でチョッピングできるような位置に配置すればよい。この場合、光チョッパーは1台のみで構成することができるので、安価になるだけでなく、2台のチョッパーの同期を取る必要がなくなるため、システムが簡略化される。
なお、図1、図3、図4では、カメラ24aおよびカメラ24bの直前に配置されたシャッター23aおよび23bは機械的なシャッターの替わりに光チョッパーを用いることができる。この場合、それぞれの光チョッパーは、チョッピング周波数を同一にし、光束Aと光束Bのチョッピングの位相が互いに逆になるように設置する必要がある。光チョッパーを用いた場合には、高速なチョッピング(kHzオーダー)が可能であるため変調周波数を高くすることができるので、特に、動きのある試料を観察する場合に有効である。
また、他のシャッター23aおよび23bの例としては機械的なシャッターの替わりに液晶シャッターを用いることもできる。液晶シャッターを用いた場合には、機械的な駆動部分がないので、機械的なシャッターを用いた場合と比較して、不要な振動の発生を抑えることができるので、測定中において、焦点位置がずれてしまう等の問題の発生を抑えることができる。特に、強誘電性液晶を用いた液晶シャッターを用いると、高速な開閉(kHzオーダー)が可能であるため変調周波数を高くすることができるので、特に、動きのある試料を観察する場合に有効である。
他のシャッター23aおよび23bの例としては電気光学効果や磁気光学効果を用いた電気シャッターを用いることができる。この場合も、液晶シャッターと同様、機械的な可動部分がないので、機械的なシャッターを用いた場合と比較して、不要な振動の発生を抑えることができるので、測定中において、焦点位置がずれてしまう等の問題の発生を抑えることができる。また、高速な開閉が可能であるため変調周波数を高くすることができるので、特に、動きのある試料を観察する場合に有効である。
さらに、シャッター23aおよび23bのかわりに増幅率を可変できるイメージインテンシファイアーを用いることもできる。この場合、光源の変調と同期して増幅率を変調できるので、シャッターと同様な効果を奏する。また、液晶シャッターや電気シャッターと同様、機械的な可動部分を持たないため、液晶シャッターおよび電気シャッターと同様な効果を奏する。イメージインテンシファイアーの増幅率の変調周波数は100MHz程度まで可能であり、また、イメージインテンシィファイアー自身において検出した蛍光を増幅する機能を有しているため、特に、微弱な蛍光の試料を測定する場合に有効である。
なお、検出部は図14に示すような構成にしてもより。試料18から発した蛍光は結像レンズ20を通って、光チョッパーに入射するように構成されている。光チョッパー52は、円周上に等間隔で複数の開口が配置されている。この光チョッパーは顕微鏡側の面は鏡面で構成する。このようにすると、光チョッパー52を一定速度で回転させたときに、光束Cの光軸上に、光チョッパー52の開口部でない部分がきたときには、光チョッパー52で反射された光束Cは、光束A’となりカメラ24aに到達することができるが、カメラ24bには到達することができない。また逆に、光束Cの光軸上に、光チョッパー52の開口部がきたときには、光チョッパー52を透過した光束Cは、光束B’となりカメラ24bに到達することができるが、カメラ24aには到達することができない。なお、結像レンズ20は、光束Aおよび光束Bそれぞれがカメラ24aおよび24bの撮像面に結像するような位置に配置する必要がある。
このようにすると、図1,2,4で示した実施例と同様な効果を奏する。また、光チョッパーを一台で構成できるので安価になる。また、蛍光のロスを最小限にすることができる。
また、検出部は図15に示すような構成にしてもよい。試料18から発した蛍光は結像レンズ20を通ったあと、マイクロミラーアレイ53に入射するようになっている。このマイクロミラーアレイ53は、多数の微小なミラーで構成されており、夫々の微小ミラーの傾きを2通りに変化させることができるようになっている。微小ミラーが第1の方向に傾いているときに、試料からの蛍光の光束Cはこの微小ミラーで反射した後、光束A’に偏向されカメラ24aに入射するようになる。また、微小ミラーが第2の方向に傾いているときに、試料からの蛍光の光束Cはこの微小ミラーで反射した後、光束B’に偏向されカメラ24bに入射するようになる。なお、結像レンズ20はマイクロミラーアレイ53で反射した光束A’あるいは光束B’がそれぞれのカメラ24aおよび24bに結像するような位置に配置されている。このように構成された検出部を用いれば、マイクロミラーアレイ53を構成するすべてのミラーの傾きを同期させて変化させると、試料からの蛍光をマイクロミラーアレイ53で反射させた後、交互に2つのカメラ24aおよび24bに結像させることができる。こうすることにより、図1,2,4に示した実施例と同様な効果を奏する。また、マイクロミラーアレイ53を用いれば、それぞれの傾きを電気的に制御できるので、確実に蛍光画像を取得できる。また、蛍光のロスを最小限にでき、さらに、光学系が簡素化される。また、機械的なシャッターを用いる場合と比較して不要な振動の発生を抑えることができる。
第4実施例
図5は本発明の第4実施例にかかるレシオイメージング装置の概略構成図である。図1の実施例と同一の構成部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
本実施例例では、図1に示した2台のカメラ24a、24bの代わりに、図5に示すように1台のカメラ24を用いている。
図5に示すように、試料18から発した蛍光は、ダイクロイックミラー16を通過し、蛍光フィルタ19を通過し、結像レンズ20を通過し、反射鏡21で反射し、半透鏡22aに入射する。半透鏡22aは、入射した蛍光の一部を反射し、一部を透過する。半透鏡22aを透過した光束A’は、シャッター23aを通過し、反射鏡21cで反射され、半透鏡22bで反射し、カメラ24に結像する。また、半透鏡22aを透過した光束B’は、シャッター23bを通過し、反射鏡21dで反射され、半透鏡22bを透過し、カメラ24に結像する。この場合、半透鏡22a、半透鏡22b、反射鏡21c、反射鏡21cのうち1つ以上を若干傾けることにより、例えば、光束A’は、カメラの撮像領域の右側(あるいは左側)に、光束B’は、カメラの撮像領域の左側(あるいは右側)に結像させるようにする。
このようにすることにより、図1に示した実施例と同様な効果を奏するだけでなく、カメラが1台で一時に撮像できるので、カメラ2台の場合に比べて安価になるばかりでなく、2つのカメラを同期させる必要がなくなるので、システム構成を簡略化できる。また、2台のカメラの感度の違いを補正する手間もなくなる。
なお、この場合でも、シャッター23a、23bのかわりに、第2実施例で示したように、光チョッパー、液晶シャッター、電気シャッター、イメージインテンシファイアーを用いることができる。
また、この場合、光チョッパーは、1台で構成することも可能である。すなわち、光チョッパーの円盤上の異なる開口が2つの光束A及び光束Bを互いに逆位相でチョッピングできるような位置に配置すればよい。この場合、光チョッパーは1台のみで構成することができるので、安価になるだけでなく、2台のチョッパーの同期を取る必要がなくなるため、システムが簡略化される。
第5実施例
図6は本発明の第5実施例にかかるレシオイメージング装置の概略構成図である。図1の実施例と同一の構成部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
本実施例において、投影レンズ15を通過した光束Aおよび光束Bは反射鏡21で反射した後、ダイクロイックミラー16を通過して、ニポウディスク41に照射される。ニポウディスクは、多数の微小開口(ピンホール)を有した円盤であり、その円盤が高速に回転する。各ピンホールを通りぬけた光束AおよびBは、対物レンズ17を通過して、試料18に照射される。なお、ニポウディスク41は顕微鏡の視野絞りの位置、すなわち、ニポウディスク41と試料面とは、対物レンズ17に対して共役位置に配置されている。したがって、あるピンホールから出た光は対物レンズ17の焦点位置に集光されて、その点にある蛍光物質を効率的に励起する。また、その点において励起されて発した蛍光は、対物レンズ17を逆進し、再び、同じピンホールを通過することができる。これに対して、共役面外から発した蛍光は、対物レンズ17を通過しても、ニポウディスク41上では、その光束が広がってしまうため、ピンホールを通過できる光量は大幅に減少する。したがって、このような配置にすることにより、焦点が合っている面のみを選択的に画像化することができる。ピンホールを通り抜けた蛍光は、さらに、ダイクロイックミラー16で反射され、蛍光フィルタ19を通り、レンズ20を通過し、半透鏡22により2分される。半透鏡22で反射した蛍光は、さらに、シャッター23aを通り、カメラ24aに結像する。また、半透鏡22を通過した蛍光は、さらに、シャッター23bを通り、カメラ24bに結像する。
このような構成にすると、試料の焦点が合っている部分のみのレシオ画像を、焦点が外れた部分からのボケた像に影響されることなく確実に得ることができる。その他、図1で示した実施例と同様な効果を奏する。
また、光源の部分を図3に示す第2実施例のように、外部に点滅可能な変調器を設けて変調を行っても良い。この場合、機械的なシャッターの他、光チョッパー、液晶シャッター、電気シャッターを用いても良い。これらの効果は図3に示した実施例と同様な効果を奏する。
また、カメラ直前のシャッター23a、23bのかわりに、光チョッパー、液晶シャッター、電気シャッター、イメージインテンシファイアーを用いてもよい。さらに、図5に示した実施例のように、1台のカメラのみで構成してもよい。
第6実施例
図7は本発明の第6実施例にかかるレシオイメージング装置の概略構成図である。図1、図6の実施例と同一の構成部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
本実施例において、光源11aおよび11bにはレーザーを用いるのが望ましい。光源11aから出た光はシャッター23cを通り、半透鏡22を通過する。また、光源11bから出た光はシャッター23dを通り、反射鏡21によって反射されて、半透鏡22で反射される。光源11aから出た光束Aと光源11bから出た光束Bは、半透鏡22において重ね合わせられ、同一の光軸となる。さらに、レンズ36によって光ファイバー42に入射される。光ファイバー42は光束Aと光束Bをともに伝播し、出射端から顕微鏡に導入される。光ファイバー42の出射端から出射した光束Aおよび光束Bはレンズ15により平行光にされ、反射鏡21で反射され、ダイクロイックミラー16を通過した後、ニポウディスク41に照射される。ニポウディスクの各ピンホールを通りぬけた光束AおよびBは、対物レンズ17を通過して、試料18に照射される。なお、ニポウディスク41は顕微鏡の視野絞りの位置、すなわち、ニポウディスク41と試料面とは、対物レンズ17に対して共役位置に配置されている。したがって、あるピンホールから出た光は対物レンズ17の焦点位置に集光されて、その点にある蛍光物質を効率的に励起する。試料面で励起された蛍光は、対物レンズ17を逆進し、再び、同じピンホールを通過することができる。これに対して、共役面外から発した蛍光は、対物レンズ17を通過しても、ニポウディスク41上では、その光束が広がるため、ピンホールを通過できる光量は大幅に減少する。したがって、このような配置にすることにより、焦点が合っている面のみを選択的に画像化することができる。ピンホールを通りぬけた蛍光は、さらに、ダイクロイックミラー16で反射され、蛍光フィルタ19を通り、レンズ20を通過し、半透鏡22により、2分される。半透鏡22で反射した蛍光は、さらに、シャッター23aを通り、カメラ24aに結像する。また、半透鏡22を通過した蛍光は、さらに、シャッター23bを通り、カメラ24bに結像する。
なお、ニポウディスク41は多数の円形開口だけでなく、スリットが刻まれたものを用いても良い。
このような構成にすると、試料18の焦点が合っている部分のみのレシオ画像を、焦点が外れた部分からのボケた像に影響されることなく確実に得ることができる。その他、図1および図6で延べた効果を奏する。
また、シャッター23cおよび23dのかわりに、光チョッパー、液晶シャッター、電気シャッターを用いても良い。これらの効果は図3した実施例と同様な効果を奏する。さらに、シャッター23cおよび23dのかわりに、音響光学素子や音響光学可変フィルタを用いることができる。特に、音響光学可変フィルタを用いれば、光源11aおよび光源11bを複数の波長で発振するレーザーを用いれば、1台のレーザーで済むので、安価になるだけでなく、システムが簡素化される。
また、カメラ直前のシャッター23a、23bのかわりに、光チョッパー、液晶シャッター、電気シャッター、イメージインテンシファイアーを用いてもよい。さらに、図5に示した実施例のように、1台のカメラのみで構成してもよい。
第7実施例
図8は本発明の第7実施例にかかるレシオイメージング装置の概略構成図である。図1の実施例と同一の構成部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
半透鏡14において重ねあわされた光束AおよびBは、レンズ36によって、開口43の部分に集光される。開口43を通り抜けた光は、投影レンズを15通り、ダイクロイックミラー16で反射して、対物レンズ17の瞳に投影される。ここで、対物レンズ17の瞳とは、試料18の側とは反対側にある対物レンズ17の後側焦点面17aに対応する。さらに、対物レンズ17を透過すると、平行光になり、試料18に対して斜めに入射する。開口は、図示していない微動機構により、図中の矢印方向に微動できるようになっている。開口の位置を調整することにより、対物レンズ17の瞳の位置に結ぶスポット位置が移動し、さらに、対物レンズ17を通りぬけると、その出射角が変化する。例えば、カバーガラスと水との屈折率差によって全反射するような角度以上で入射させることができる。このようにすると、全反射する時に、カバーガラスから水側に波長程度の浸入長で励起光が染み出す。この励起光によって、カバーガラスと接着している試料18の低部のみを選択的に励起することができる。選択的に励起されて発した蛍光は、対物レンズ17を逆進して、ダイクロイックミラー16を通過し、蛍光フィルタ19を通過し、結像レンズ20により、カメラ24aおよび24bに結像する。
このような構成にすると、カバーガラスに接着している細胞の底部のみのレシオ画像を、確実に得ることができる。また、細胞の底部における極めて少数の蛍光分子のみのレシオ画像を確実に得ることができる。その他、図1に示した実施例と同様な効果を奏する。
また、光源の部分を図3に示す実施例のように、外部に点滅可能な変調器を設けて変調を行っても良い。この場合、機械的なシャッターの他、光チョッパー、液晶シャッター、電気シャッターを用いても良い。これらの効果は図3に示した実施例と同様な効果を奏する。
また、カメラ直前のシャッター23a、23bのかわりに、光チョッパー、液晶シャッター、電気シャッター、イメージインテンシファイアーを用いてもよい。さらに、図5に示した実施例のように、1台のカメラのみで構成してもよい。
第8実施例
図9は本発明の第8実施例にかかるレシオイメージング装置の概略構成図である。図1、図8の実施例と同一の構成部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
この場合、光源11aおよび11bにはレーザーを用いるのが望ましい。光源11aから出た光はシャッター23cを通り、半透鏡22を通過する。また、光源11bから出た光はシャッター23dを通り、反射鏡21によって反射されて、半透鏡22で反射される。光源11aから出た光束Aと光源11bから出た光束Bは、半透鏡22において重ね合わせられ、同一の光軸となる。さらに、レンズ36によって光ファイバー42に入射される。光束Aと光束Bは光ファイバー42を伝播し、出射端から顕微鏡に導入される。光ファイバー42の出射端から出射した光束Aおよび光束Bはレンズ15を通過し、ダイクロイックミラー16で反射した後、対物レンズ17の瞳に投影される。さらに、対物レンズ17を透過すると、平行光になり、試料18に対して斜めに入射する。光ファイバー42の出射端は、図示していない微動機構により、図中の矢印方向に微動できるようになっている。光ファイバー42の出射端の位置を調整することにより、対物レンズ17の瞳の位置に結ぶスポット位置が移動し、さらに、対物レンズ17を通りぬけると、その出射角が変化する。例えば、カバーガラスと水との屈折率差によって全反射するような角度以上で入射することができる。このようにすると、全反射すると同時に、カバーガラスから水側に波長程度の浸入長で励起光が染み出す。この励起光によって、カバーガラスと接着している試料18の低部のみを選択的に励起することができる。選択的に励起されて発した蛍光は、対物レンズ17を逆進し、ダイクロイックミラー16を通過し、蛍光フィルタ19を通過し、結像レンズ20により、カメラ24aおよび24bに結像する。
このような構成にすると、カバーガラスに接着している細胞の底部のみのレシオ画像を、確実に得ることができる。その他の効果は、図1及び図8に示した実施例と同様である。
また、シャッター23cおよび23dのかわりに、光チョッパー、液晶シャッター、電気シャッターを用いても良い。これらの効果は図3に示した実施例と同様な効果を奏する。さらに、シャッター23cおよび23dのかわりに、音響光学素子や音響光学可変フィルタを用いることができる。特に、音響光学可変フィルタを用いれば、光源11aおよび光源11bを一台のレーザーにまとめることができるので、安価になるだけでなく、システムが簡素化される。
また、カメラ直前のシャッター23a、23bのかわりに、光チョッパー、液晶シャッター、電気シャッター、イメージインテンシファイアーを用いてもよい。さらに、図5に示した実施例のように、1台のカメラのみで構成してもよい。