JP4401509B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具に関する。詳細には、クリップを備えたキャップを、筆記具本体のペン先側に着脱自在に設けた筆記具に関する。尚、本発明で「上」とはキャップの閉塞側を指し、「下」とはキャップの開口側を指す。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属板等の弾性片よりなるクリップをキャップ本体外面に取り付け、前記クリップの下端部をキャップ本体の下端部より下方に突出させ、前記クリップの下端部の内面に玉部を設け、筆記具本体のペン先側にキャップを装着した後、前記玉部と筆記具本体外面との間で被挟持物を挟持してなるクリップ構造の筆記具が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の筆記具は、クリップの玉部と筆記具本体の外面との間で十分な挟持力を得るために、クリップに予め径方向内方にテンションを与えておくことが好ましい。それにより、図5に示すように、キャップ2aを筆記具本体5aのペン先側に装着する際、クリップ4aの玉部41aと筆記具本体5aの外面とが接触してスムーズなキャップ装着が損なわれるおそれがある。そのため、従来では、クリップに予め大きなテンションを与えることができず、十分な挟持力が得られていない。その上、前記従来のような、クリップの玉部が筆記具本体の外面に弱いテンションで接触する構造の場合、高い寸法精度がクリップに必要となる。
【0004】
尚、前記クリップの玉部と筆記具本体の外面とが接触することにより、スムーズなキャップ装着が阻害される不具合は、図5に示すように、クリップの玉部が対向する筆記具本体の外面に、凹凸部やラバーグリップ等の滑り止め把持部51aを設けた場合に生じやすい。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、クリップの寸法精度を必要とせず、クリップの十分な挟持力が得られると同時に、キャップの円滑な装着性が阻害されることがない筆記具を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔1〕本発明は、クリップ4を備えたキャップ2を、筆記具本体5のペン先52側に着脱自在に設けた筆記具1であって、クリップ4の下部内面に玉部41を設け、該玉部41をキャップ本体3の開口端より下方に突出させると共に、前記キャップ本体3の中間部外周面に支持突起31を設け、キャップ2をペン先52側に装着させた際、前記支持突起31と前記クリップ4の内面とを圧接させ、且つ、前記玉部41と前記筆記具本体5外面とを対向させてなること(請求項1)を要件とする。(図1、図2参照)
【0007】
(作用)
前記支持突起31が前記クリップ4内面を圧接支持しているため、径方向内方への大きなテンションをクリップ4に予め付与することができる。その結果、クリップの寸法精度を必要とせず、玉部41と筆記具本体5外面との間、または支持突起31とクリップ4内面との間で十分な挟持力が容易に得られる。
【0008】
さらに、前記支持突起31によって、クリップ4の径方向内方への付勢力のほとんどを支持しているため、仮に、玉部41と筆記具本体5外面とが接触しても、キャップ2の円滑な装着性が阻害されることなく、キャップ2のスムーズな装着が可能となる。
【0009】
〔2〕前記請求項1の筆記具1において、キャップ2をペン先52側に装着させた際、前記支持突起31と前記クリップ4の内面とを圧接させ、且つ、前記玉部41と前記筆記具本体5外面とを非接触状態で対向させてなること(請求項2)が好ましい。(図1参照)
【0010】
(作用)
前記支持突起31によって、クリップ4の内面が圧接支持され、少なくともキャップ2を筆記具本体5のペン先52側に装着させた際、筆記具本体5の外面と前記玉部41とが非接触状態にあるため、より一層、キャップ2のスムーズな装着が可能となる。
【0011】
〔3〕前記請求項2の筆記具1において、筆記具本体5のペン先側外面に滑り止め把持部51を設け、キャップ2をペン先52側に装着させた際、前記滑り止め把持部51と前記玉部41とを非接触状態で対向させてなること(請求項3)が好ましい。
【0012】
(作用)
前記滑り止め把持部51と玉部41とを非接触状態に対向させたことにより、前記滑り止め把持部51と前記玉部41とが接触することにより生じる不具合(即ちキャップの装着性の著しい低下)が解消され、円滑なキャップ装着が可能となる。さらに、前記滑り止め把持部51と前記玉部41との間で被挟持物を十分に挟持し、前記滑り止め把持部51の摩擦力で被挟持物の脱落をより一層抑止することができる。
【0013】
〔4〕前記請求項1の筆記具1において、キャップ2をペン先52側に装着させた際、前記支持突起31と前記クリップ4の内面とを圧接させ、且つ、前記玉部41と前記筆記具本体5外面とを圧接させてなること(請求項4)が好ましい。(図2参照)
【0014】
(作用)
前記支持突起31によって、クリップ4の径方向内方への付勢力のほとんどを支持しているため、玉部41と筆記具本体5外面とが接触しても、キャップ2の円滑な装着性が阻害されることがなく、キャップ2のスムーズな装着が可能となる。その上、玉部41と筆記具本体5外面とが圧接しているため、被挟持物が厚みの薄いものであっても被挟持物の安定した挟持が可能となる。
【0015】
〔5〕前記請求項4の筆記具1において、筆記具本体5のペン先52側外面に弾性材料よりなる滑り止め把持部51を設け、キャップ2をペン先52側に装着させた際、前記滑り止め把持部51と前記玉部41とを圧接させてなること(請求項5)が好ましい。
【0016】
(作用)
前記滑り止め把持部51と前記玉部41とを圧接させてなることにより、前記滑り止め把持部51と前記玉部41との間で被挟持物を十分に挟持し、前記滑り止め把持部51の摩擦力で被挟持物の脱落をより一層抑止することができる。
【0017】
さらに、前記滑り止め把持部51が弾性材料よりなるため、玉部41と滑り止め把持部51との接触のばらつきを吸収できる。その結果、玉部41と滑り止め把持部51とが接触し且つ支持突起31とクリップ4内面とが非接触状態となる不具合を十分に回避でき、支持突起31とクリップ4内面との圧接状態、及び玉部41と滑り止め把持部51との圧接状態が維持される。
【0018】
(滑り止め把持部)
前記請求項3に記載の前記滑り止め把持部51は、合成ゴム等の弾性材料からなるもの、もしくは凹凸形状からなるもの、又はそれらの組合せ等が挙げられる。また、前期請求項5に記載の弾性材料よりなる滑り止め把持部51は、合成ゴムや熱可塑性エラストマー等よりなるものが挙げられる。
【0019】
(玉部)
前記請求項1〜請求項5に記載の玉部41は、筆記具本体5外面に対向させることにより、筆記具本体5外面との間で挟持機能を有する。前記玉部41は、具体的には、クリップ4の下部内面に、折り曲げ加工等により一体に形成するもの、またはクリップ4の下部内面に別部材よりなる玉部41を固着したもの等、いずれであってもよい。
【0020】
(支持突起)
前記請求項1〜請求項5に記載の支持突起31は、クリップ4の中間部(取付脚部42と玉部41の中間部)内面との間で挟持機能を有し、クリップ4の下部の玉部41(第1の玉部)以外にも、挟持部(第2の玉部)を構成する。
【0021】
(クリップ)
前記請求項1〜請求項5に記載のクリップは、弾性片(例えば、金属板片、プラスチック板片等)よりなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面に従って説明する。
【0023】
図1に本発明の筆記具1の第1実施例を示す。
【0024】
筆記具1は、筆記具本体5と、該筆記具本体5のペン先52側に被着可能なキャップ2とからなる。前記筆記具本体5は、先端にペン先52(例えばボールペンチップ)を備える。そして、前記キャップ2は、キャップ本体3と、該キャップ本体3の上端部に取り付けられる金属板製のクリップ4とからなる。
【0025】
前記キャップ本体3は、上端部が閉塞され且つ下端部が開口された合成樹脂(例えばポリプロピレン樹脂等)の射出成形により得られる円筒体である。
【0026】
前記キャップ本体3の上端部外周面には取付凸部32が一体に設けられ、そこに、上方に開口する取付孔33が設けられている。
【0027】
また、前記キャップ本体3の取付凸部32の下方の外周面には、軸方向に延びる板状リブよりなる支持突起31が一体に形成される。前記支持突起31は、下側面が傾斜面または曲面、且つ頂面が曲面となっており、それにより、被挟持物(例えば衣類のポケット、手帳等)の挿入を円滑なものにする。
【0028】
前記クリップ4の上端部には、内方へのコの字状の折曲加工により取付脚部42が形成され、一方、前記クリップ4の下端部には、内方への折曲加工により玉部41が形成される。前記取付脚部42は、キャップ本体3の取付凸部32の取付孔33に圧入固定される。また、前記クリップ4の中間部(すなわち取付脚部42と玉部41の中間部)の内面には支持突起31が圧接されている。
【0029】
また、前記筆記具本体5のペン先51側外面には、合成ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性材料よりなる滑り止め把持部51が設けられる。さらに、前記滑り止め把持部51の外面には、複数の環状凸部と環状凹部からなる凹凸模様が形成されている。
【0030】
キャップ装着過程、及びキャップ装着後、前記滑り止め把持部51と前記玉部41との間には隙間6が形成され、前記滑り止め把持部51と前記玉部41との非接触状態が保たれる。
【0031】
図2に本発明の筆記具1の第2実施例を示す。
第1実施例と異なる点は、キャップ2を筆記具本体5のペン先52側に装着した際、クリップ4下端部の玉部41が弾性材料よりなる滑り止め把持部51に圧接し、前記滑り止め把持部51に前記玉部41内端部が僅かに埋没する点にある。尚、他の構成(例えば、キャップ本体3、クリップ4、筆記具本体5、及び支持突起31がクリップ4内面と圧接する構成等)は、第1実施例と同一であるため、その説明は省略する。
【0032】
図3及び図4にクリップ4の玉部41の他の例を示す。
図3のクリップ4の玉部41は、金属板製のクリップ4の下部(即ち下端部近傍)を、内方への押圧変形によって断面C字状に突出させることにより構成される。また、図4のクリップ4の玉部41は、金属板製のクリップ4の下部を内方へ僅かに傾斜させると共に、該クリップ4の下端部を外方へ断面リング状に折曲させることにより構成される。
【0033】
図3のキャップ2、及び図4のキャップ2は、筆記具本体5のペン先側に装着した際、第1実施例(図1)のように、玉部41と筆記具本体5の外面(滑り止め把持部51外面)とが非接触状態であってもよいし、第2実施例(図2)のように、玉部41と筆記具本体5の外面(滑り止め把持部51外面)とが圧接状態にあってもよい。
【0034】
尚、図3のキャップ2、及び図4のキャップ2の他の構成は第1、第2実施例と同一である。
【0035】
【発明の効果】
請求項1により、クリップの十分な挟持力が容易に得られると同時に、キャップのスムーズな装着性が得られる。
【0036】
請求項2により、より一層、キャップのスムーズな装着が可能となる。
【0037】
請求項3により、より一層、円滑なキャップ装着が可能となる。さらに、滑り止め把持部と玉部との間で被挟持物を十分に挟持し、被挟持物の脱落をより一層抑止することができる。
【0038】
請求項4により、キャップの装着性が阻害されることがない上に、被挟持物が厚みの薄いものであっても被挟持物の安定した挟持が可能となる。
【0039】
請求項5により、滑り止め把持部と玉部との間で被挟持物を十分に挟持し、被挟持物の脱落をより一層抑止することができる。さらに、玉部と滑り止め把持部との接触のばらつきを吸収でき、より一層、支持突起とクリップ内面との接触が維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施例を示す縦断面図である。
【図3】本発明に適用するキャップの他の例を示す縦断面図である。
【図4】本発明に適用するキャップの他の例を示す縦断面図である。
【図5】従来の不具合を説明する図である。
【符号の説明】
1 筆記具
2 キャップ
3 キャップ本体
31 支持突起
32 取付凸部
33 取付孔
4 クリップ
41 玉部
42 取付脚部
5 筆記具本体
51 滑り止め把持部
52 ペン先
6 隙間
Claims (5)
- クリップを備えたキャップを、筆記具本体のペン先側に着脱自在に設けた筆記具であって、クリップの下部内面に玉部を設け、該玉部をキャップ本体の開口端より下方に突出させると共に、前記キャップ本体の中間部外周面に支持突起を設け、キャップをペン先側に装着させた際、前記支持突起と前記クリップの内面とを圧接させ、且つ、前記玉部と前記筆記具本体外面とを対向させてなることを特徴とする筆記具。
- キャップをペン先側に装着させた際、前記支持突起と前記クリップの内面とを圧接させ、且つ、前記玉部と前記筆記具本体外面とを非接触状態で対向させてなる請求項1記載の筆記具。
- 筆記具本体のペン先側外面に滑り止め把持部を設け、キャップをペン先側に装着させた際、前記滑り止め把持部と前記玉部とを非接触状態で対向させてなる請求項2記載の筆記具。
- キャップをペン先側に装着させた際、前記支持突起と前記クリップの内面とを圧接させ、且つ、前記玉部と前記筆記具本体外面とを圧接させてなる請求項1記載の筆記具。
- 筆記具本体のペン先側外面に弾性材料よりなる滑り止め把持部を設け、キャップをペン先側に装着させた際、前記滑り止め把持部と前記玉部とを圧接させてなる請求項4記載の筆記具。
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JP2000015205A JP4401509B2 (ja) | 1999-07-07 | 2000-01-25 | 筆記具 |
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